JP6264842B2 - 振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、複数の検出モード(第1検出用振動モードと第2検出用振動モード)を備えた圧電振動型ヨーレートセンサ(振動子)が記載されている。このセンサでは、第1検出用振動モードの共振周波数と第2検出用振動モードの共振周波数とを近接させて、検出アームにおける振幅を増大させることにより、センサの感度を高めている。
記載されているが、温度と周波数の関係については何ら考慮されておらず、温度に対する周波数変化に伴う振動漏れ等の特性のばらつきを抑制するのが困難で、振動子間での特性のばらつきが発生していた。
本発明の目的は、温度に対する周波数変化に伴う振動漏れ等の特性のばらつきを抑制することができる振動素子、振動子を提供すること、信頼性の高い発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
[適用例1]
本発明の振動素子は、駆動モードと、当該駆動モードの振動方向と直交する方向に振動する第1検出モードおよび第2検出モードと、を振動モードとして有し、
横軸を雰囲気温度、縦軸を周波数の変化としたときの、前記各モードの温度の変化による周波数の変化を示す周波数温度特性曲線において、前記駆動モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTa[℃]、前記第1検出モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTb[℃]、前記第2検出モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTc[℃]としたとき、前記Taが前記Tbと前記Tcの間にあることを特徴とする。
このような振動素子によれば、温度に対する周波数変化に伴う振動漏れ等の特性のばらつきを抑制することができる。また、離調がばらついて、第1検出モードと第2検出モードとの関係が変化しても、雰囲気温度に対する振動漏れの変化が少ないので、温度補正が容易となる。
本発明の振動素子では、前記駆動モードの共振周波数をfa、前記第1検出モードの共振周波数をfb、前記第2検出モードの共振周波数をfcとしたとき、前記faが前記fbと前記fcの間に存在する温度領域を有していることが好ましい。
これにより、温度に対する周波数変化に伴う振動漏れ等の特性のばらつきを抑制しつつ、感度をより向上させることができる。
本発明の振動素子では、基部と、
前記基部から延出している一対の駆動用振動腕と、
前記基部から、前記一対の駆動用振動腕とは反対の方向に延出している一対の検出用振動腕と、
を備える。
これにより、温度に対する周波数変化に伴う振動漏れ等の特性のばらつきが抑制された、信頼性の高いH型の振動素子を提供することができる。
本発明の振動子は、本発明の振動素子と、
前記振動素子が収納されているパッケージと、
を備えることを特徴とする。
これにより、優れた振動特性を有する振動子を提供することができる。
本発明の発振器は、本発明の振動素子と、
前記振動素子に電気的に接続されている発振回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い発振器を提供することができる。
[適用例6]
本発明の電子機器は、本発明の振動素子を備えていることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
[適用例7]
本発明の移動体は、本発明の振動素子を備えていることを特徴とする
これにより、信頼性の高い移動体を提供することができる。
<発振器>
次に、本発明の振動片の実施形態を備える発振器について説明する。
図1は、本発明の振動素子の実施形態を備える発振器の概略構成を示す模式的断面図、図2は、図1に示す発振器の平面図、図3は、図1に示す発振器に備えられた振動素子を示す平面図、図4(a)は、図3に示す振動片の駆動用振動腕の拡大平面図、図4(b)は、図4(a)に示す駆動用振動腕の断面図、図5(a)は、図3に示す振動素子の検出用振動腕の拡大平面図、図5(b)は、図5(a)に示す検出用振動腕の断面図、図6(a)は、図3に示す振動片の調整用振動腕の拡大平面図、図6(b)は、図6(a)に示す調整用振動腕の断面図、図7は、図3に示す振動素子における検出用電極および調整用電極の接続状態を示す図、図8、9は、図3に示す振動素子の動作を説明するための図、図10は、各モードにおける周波数温度特性曲線を示すグラフ、図11は、温度に対する振動漏れの変化を一定の傾きを有する一次関数として補正したグラフ、図12は、図12(a)は、図5に示す検出用電極の漏れ出力を示す図、図12(b)は、図6および図7に示す調整用電極の出力を示す図である。
図1および図2に示す発振器1は、物理量として角速度を検出するジャイロセンサである。
この発振器1は、図1および図2に示すように、振動素子2と、ICチップ3と、振動素子2およびICチップ3を収納するパッケージ4と、を有する。
[振動素子]
振動素子2は、1つの軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサ素子である。
この振動素子2は、図3に示すように、基部21と、1対の駆動用振動腕221、222と、1対の検出用振動腕231、232と、1対の調整用振動腕(振動腕)241、242と、支持部(枠体)25と、4つの連結部261、262、263、264と、駆動用電極群51、52と、検出用電極群53、54と、調整用電極群55、56とを備える振動片58と、を有している。
本実施形態では、振動片58が、圧電体材料で一体的に形成されている。このような圧電体材料としては、特に限定されないが、水晶を用いるのが好ましい。これにより、振動素子2の特性を優れたものとすることができる。
振動片58は、上述したように、基部21と、1対の駆動用振動腕221、222と、1対の検出用振動腕231、232と、1対の調整用振動腕(振動腕)241、242と、支持部(枠体)25と、4つの連結部261、262、263、264と、駆動用電極群51、52と、検出用電極群53、54と、調整用電極群55、56とを備えている。
駆動用振動腕221、222は、それぞれ、基部21からy軸方向(+y方向)に延出している。また、駆動用振動腕221、222は、それぞれ、水晶のY軸に沿って延在している。さらに、駆動用振動腕221、222の横断面は、それぞれ、x軸に平行な1対の辺とz軸に平行な1対の辺とで構成された矩形をなしている。
そして、駆動用振動腕221には、駆動用電極群51が設けられ、同様に、駆動用振動腕222には、駆動用電極群52が設けられている。
駆動用電極群51は、図4(a)、(b)に示すように、駆動用振動腕221の上面に設けられた駆動用電極511と、駆動用振動腕221の下面に設けられた駆動用電極512と、駆動用振動腕221の一方(図4中の左側)の側面に設けられた駆動用電極513と、駆動用振動腕221の他方(図4中の右側)の側面に設けられた駆動用電極514とで構成されている。
このような検出用振動腕231、232は、それぞれ、駆動用振動腕221、222に加えられた物理量に応じて振動するものである。
検出用電極群53は、図5(a)、(b)に示すように、検出用振動腕231の上面に設けられた検出用電極531、532と、検出用振動腕231の下面に設けられた検出用電極533、534とで構成されている。ここで、検出用電極531、533は、それぞれ、検出用振動腕231の幅方向での一方側(図5中の左側)に設けられ、また、検出用電極532、534は、それぞれ、検出用振動腕231の幅方向での他方側(図5中の右側)に設けられている。
そして、調整用振動腕241には、調整用電極群55が設けられ、同様に、調整用振動腕242には、調整用電極群56が設けられている。
調整用電極群55は、図6(a)、(b)に示すように、調整用振動腕241の上面に設けられた調整用電極551と、調整用振動腕241の下面に設けられた調整用電極552と、調整用振動腕241の一方(図6中の左側)の側面に設けられた調整用電極(側面電極)553と、調整用振動腕241の他方(図6中の右側)の側面に設けられた調整用電極(側面電極)554とで構成されている。
調整用電極551および調整用電極552は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。また、調整用電極553および調整用電極554は、互いに同電位となるように電気的に接続されている。ここで、調整用電極551、552および調整用電極553、554は、対をなす。
このような調整用電極551、552では、その一部を除去することにより、センサ出力の調整を行うことが可能である。すなわち、調整用電極551、552の一部を除去することにより、調整用電極551、552と調整用電極553、554との間の電荷量を少なくし、センサ出力を調整することができる。例えば、振動素子2に物理量が加えられていない状態でのセンサ出力(以下、「ゼロ点出力」ともいう)がゼロとなるように、センサ出力を調整(補正)することができる。これにより、感度の高い振動素子2が得られる。
このように構成された振動素子2では、駆動モードと、第1検出モードと、第2検出モードとを備えている。
このような検出用振動腕231、232の検出振動により検出用電極群53、54に生じた電荷を検出することにより、振動素子2に加わった角速度ωを求めることができる。
第2検出モードでは、図9(B)に示すように、駆動用振動腕221、222がZ軸方向に、コリオリ力の作用方向に関して同相で、かつ、互いに逆向きに屈曲振動する。これにより、検出用振動腕231、231はZ軸方向に、隣り合う振動腕同士互いに逆向きにかつ駆動用振動腕221、222とは同相で屈曲振動する。
このような構成とすることにより、温度に対する振動漏れの変化を一定の傾きを有する一次関数として補正した際の、ばらつきを少なくすることができる。
また、かかる振動素子2では、仮に、製造時のバラツキによって駆動用振動腕221、222の横断面形状が設計通りにならなかった場合、振動素子2に物理量を加えていないにもかかわらず、駆動用振動腕221、222を通電により振動させると、図11(a)に示すように、検出用電極531、534と検出用電極532、533との間に漏れ出力Sとなる電荷が生じてしまう。
漏れ出力Sおよび調整用出力Tは互いに逆極性であるため、調整用出力Tの絶対値を漏れ出力Sの絶対値と等しくすることにより、振動素子2のゼロ点出力をゼロにすることができる。
また、駆動用振動腕、検出用振動腕および調整用振動腕の数は、それぞれ、1つまたは3つ以上であってもよい。また、駆動用振動腕は、検出用振動腕を兼ねていてもよい。
また、調整用振動腕は無くてもよい。
また、検出用電極の数、位置、形状、大きさ等は、物理量が加えられることによる駆動用振動腕の振動を電気的に検出することができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
また、調整用電極の数、位置、形状、大きさ等は、調整用振動腕の駆動振動に伴って生じる電荷を出力することができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
図1および図2に示すICチップ3は、前述した振動素子2を駆動する機能と、振動素子2からの出力(センサー出力)を検出する機能とを有する電子部品である。
このようなICチップ3は、図示しないが、振動素子2を駆動する駆動回路と、振動素子2からの出力を検出する検出回路とを備える。
また、ICチップ3には、複数の接続端子31が設けられている。
図1および図2に示すように、パッケージ4は、上方に開放する凹部を有するベース部材41(ベース)と、このベース部材41の凹部を覆うように設けられた蓋部材42(リッド)とを備える。これにより、ベース部材41と蓋部材42との間には、振動素子2およびICチップ3が収納される内部空間が形成されている。
このようなベース部材41は、例えば、酸化アルニウム質焼結体、水晶、ガラス等で構成されている。
図1に示すように、ベース部材41の上面(蓋部材42に覆われる側の面)には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含んで構成された接着剤のような接合部材81により、前述した振動素子2の支持部25が接合されている。これにより、振動素子2がベース部材41に対して支持・固定されている。
さらに、図1および図2に示すように、ベース部材41の上面には、複数の内部端子71および複数の内部端子72が設けられている。
この複数の内部端子71は、図示しない配線を介して、複数の内部端子72に電気的に接続されている。
また、複数の内部端子72には、例えばボンディングワイヤーで構成された配線を介して、前述したICチップ3の複数の接続端子31が電気的に接続されている。
この複数の外部端子73は、図示しない内部配線を介して、前述した内部端子72に電気的に接続されている。これにより、ICチップ3と複数の外部端子73とが電気的に接続されている。
このようなベース部材41には、蓋部材42が気密的に接合されている。これにより、パッケージ4内が気密封止されている。
この蓋部材42は、例えば、ベース部材41と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼等の金属で構成されている。
かかる接合は、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことにより、パッケージ4内を減圧状態または不活性ガス封入状態に保持することができる。
以上説明したような実施形態に係る発振器1に備えられた振動素子2によれば、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができる。
以上説明したような発振器1(振動素子2)は、各種の電子機器に組み込んで使用することができる。
このような電子機器によれば、信頼性を優れたものとすることができる。
次に、本発明の振動素子を備える振動子について説明する。
図13は、本発明の振動素子の実施形態を備える振動子の概略構成を示す模式的断面図である。
振動子1Aは、図3に示す振動素子2と、当該振動素子2を収納するパッケージ4と、を有する。
ベース部材41は、平板状の板体411(板部)と、板体411の上面の外周部に接合された枠体412(枠部)とで構成されている。
さらに、ベース部材41の上面には、複数の内部端子71および複数の内部端子72が設けられている。
この複数の内部端子71は、図示しない配線を介して、複数の内部端子72に電気的に接続されている。
以上説明したような振動素子2を備える振動子1Aによれば、温度に対する周波数特性等の特性のばらつきを抑制しつつ、感度をより向上させることができる。
ここで、本発明の振動素子を備える電子機器の一例について、図14〜図16に基づき、詳細に説明する。
図14は、本発明の振動素子を備えるモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
このようなパーソナルコンピューター1100には、ジャイロセンサとして機能する前述した発振器1が内蔵されている。
図15は、本発明の振動素子を備える携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
このような携帯電話機1200には、ジャイロセンサとして機能する前述した発振器1が内蔵されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサとして機能する前述した発振器1(振動素子2)が内蔵されている。
図17は、本発明の移動体の一例である自動車の構成を示す斜視図である。
この図において、タイヤ2109を制御する電子制御ユニット2108に発振器1(振動素子2)が内蔵され、車体2107に搭載されている。
自動車2106には、本発明に係る振動片を備える振動子や発振器が搭載されており、例えば、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS:Antilock Brake System)、エアバック、タイヤプレッシャーモニタリングシステム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システムなどの電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)2108に広く適用できる。
以上説明したような移動体によれば、優れた信頼性を有する。
以上、本発明の振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
Claims (7)
- 駆動モードと、当該駆動モードの振動方向と直交する方向に振動する第1検出モードおよび第2検出モードと、を振動モードとして有し、
横軸を雰囲気温度、縦軸を周波数の変化としたときの、前記各モードの温度の変化による周波数の変化を示す周波数温度特性曲線において、前記駆動モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTa[℃]、前記第1検出モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTb[℃]、前記第2検出モードにおける前記周波数温度特性曲線の頂点温度をTc[℃]としたとき、前記Taが前記Tbと前記Tcの間にあることを特徴とする振動素子。 - 前記駆動モードの共振周波数をfa、前記第1検出モードの共振周波数をfb、前記第2検出モードの共振周波数をfcとしたとき、前記faが前記fbと前記fcの間に存在する温度領域を有している請求項1に記載の振動素子。
- 基部と、
前記基部から延出している一対の駆動用振動腕と、
前記基部から、前記一対の駆動用振動腕とは反対の方向に延出している一対の検出用振動腕と、
を備える請求項1または2に記載の振動素子。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子が収納されているパッケージと、
を備えることを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子と、
前記振動素子に電気的に接続されている発振回路と、を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする移動体。
Priority Applications (1)
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