JP5617534B2 - 圧電振動型ヨーレートセンサ - Google Patents

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    • G01C19/5607Turn-sensitive devices using vibrating masses, e.g. vibratory angular rate sensors based on Coriolis forces using vibrating tuning forks

Description

本発明は、高感度且つ優れたノイズ低減効果を有するヨーレートセンサに関する。
従来、微小振動を検出するための圧電振動デバイスとして、例えば、振動する質量体に回転が加えられた際に生じるコリオリ力に起因して発生する非常に微弱な振動や変位を、圧電素子を介して検出することにより、各方向における回転動作(回転角速度)を検知・測定することが可能な圧電振動型ヨーレートセンサ(ジャイロセンサ)が知られている。また近年、長寿命・低価格且つ小型・軽量の圧電振動型ヨーレートセンサとして、基部を挟んで対向する複数の振動腕を有するセンサ素子を備え、一方の振動腕(駆動腕)を平面内で駆動させ、コリオリ力によってその駆動方向と直交する方向へ生じた振動・変位を、他方の振動腕(検出腕)にて検知するH型ヨーレートセンサが提案又は実用に供されている。
しかし、極めて小型のセンサ素子を有するH型ヨーレートセンサでは、駆動腕自体の質量が小さいことから、F=2mvΩで表わされるコリオリ力自体が小さくなってしまうので、その検知感度が低下してしまう。加えて、センサ素子の各振動腕が接続される基部は、例えばセンサパッケージの略中央部に固定されるところ、H型ヨーレートセンサ全体を小型化するため、振動腕と基部内の接続部位を所望に長くすることは、その構造上、極めて困難である。その結果、その接続部位の剛性が過度に高くなり、コリオリ力による駆動腕の振動・変位を十分に大きくし難くなるので、コリオリ力の検知感度が更に低下してしまう。また、極めて小型のセンサ素子を有するH型ヨーレートセンサの製造には、殊に高い加工精度や組立精度が要求されるところ、それらの精度が十分ではないと、不要振動(もれ振動)に起因するノイズが生じ易くなってしまう。
これに対し、例えば、特許文献1には、複数の振動モードを混在させることにより不要振動(もれ振動)の低減を企図した角速度センサが提案されている。この角速度センサは、H型構造の振動子を備えており、すべての腕が同方向に振動するあおぎ振動モード(第3振動モード)の周波数が、駆動腕と検出腕とが逆位相に振動する検出モード(左右逆位相且つ上下逆位相の第1振動モード)と、駆動腕と検出腕とが同位相に振動する検出モード(左右逆位相且つ上下同位相の第2振動モード)との間に設定され、そのあおぎ振動モードの近傍の周波数で励振されることにより、もれ振動があおぎ振動モードに集中し、且つ、厚さ方向の振動が同位相振動とされるものである。
特許第3769322号
しかしながら、特許文献1に記載された角速度センサにおいて生起されるあおぎ振動は、もれ振動を隠すための振動子全体の屈曲振動であるので、振幅量が非常に大きい同位相信号が生じるものと想定される。そうすると、かかる大振幅の同位相信号がコリオリ力の検出における有害なノイズとなってしまい、非常に微弱なコリオリ力に基づく検知信号を検出することは極めて困難である。
以上のことから、従来のH型ヨーレートセンサや上記特許文献1記載の角速度センサ等においては、十分な感度の向上及びノイズの低減、すなわち、十分なS/N比の改善を図ることは不可能であった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来に比して高感度であり、且つ、優れたノイズ低減効果を有する圧電振動型ヨーレートセンサを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明による圧電振動型ヨーレートセンサは、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕とを備えており、少なくとも一対の駆動腕にて生じたコリオリ力を少なくとも一対の検出腕にて検出する圧電振動型ヨーレートセンサであって、少なくとも一対の検出腕における検出感度スペクトルは、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕とが逆位相で振動する第1検出用振動モードにおける第1共振周波数をピーク周波数とする第1ピーク、及び、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕とが同位相で振動する第2検出用振動モードにおける第2共振周波数をピーク周波数とする第2ピークを有しており、検出感度スペクトルにおいては、第1共振周波数及び第2共振周波数のうちのいずれか小さい一方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度が、一方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度よりも大きく、且つ、第1共振周波数及び第2共振周波数のうちのいずれか大きい他方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度が、他方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度よりも大きいものである。この場合、検出感度スペクトルは、例えば、第1検出用振動モードでの検出感度スペクトルと、第2検出用振動モードでの検出感度スペクトルとが、合算されたものである。
この構成によれば、圧電振動型ヨーレートセンサの検出感度スペクトルにおいて、第1ピークと第2ピーク、すなわち、第1検出用振動モードの共振周波数と第2検出用振動モードの共振周波数とが近接しているので、両モードが互いに振動を強め合う振動形態となって検出感度スペクトルが混合・合算され、その結果、検出腕における振幅が有意に増大することにより、センサの感度を高めることができる。
また、本発明による圧電振動型ヨーレートセンサは、駆動腕の駆動振動共振周波数が、検出腕の第1検出用振動モードにおける第1共振周波数(第1ピークのピーク周波数)と検出腕の第2検出用振動モードにおける第2共振周波数(第2ピークのピーク周波数)との間の周波数に設定されたものであってもよい。
この構成によれば、第1検出用振動モードと第2検出用振動モードとが混合された場合、検出腕のZ方向の振動が互いに増幅されるだけでなく、駆動腕はZ方向の振動に対し互いに振動を打ち消しあう振動形態となるため、その振幅が減少する。これにより、圧電振動型ヨーレートセンサに外部から回転が印加されておらずコリオリ力が発生していない状態(回転していない状態)において、駆動腕における不要振動(もれ振動)が検出腕を振動させてしまうことを有意に防止することができ、さらに、圧電振動型ヨーレートセンサのS/N比を飛躍的に向上させることができる。また、駆動腕が、第1検出用振動モードと第2検出用振動モードの振動が互いに釣り合った状態(均衡状態)で混合されているので、圧電振動型ヨーレートセンサに外部から回転が印加されてコリオリ力が発生した状態(回転している状態)において両振動モードのその均衡状態が瞬間的に崩れることにより大きな振動が生じ、センサの更なる感度向上が達成される。
さらに、本発明による圧電振動型ヨーレートセンサは、少なくとも一対の駆動腕、及び、少なくとも一対の検出腕が接続される枠体と、その枠体の内部に形成された接続島部と、少なくとも一対の駆動腕及び/又は少なくとも一対の検出腕の延在方向と平行な方向に延在し、且つ、枠体に跨設された複数の橋部と、接続島部と複数の橋部を連結する複数の補助橋部と、を有する基部を備えていても好適である。より具体的には、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕は、互いに対向する方向(反対方向)に延設されていてもよく、また、枠体の形状は、特に制限されず、例えば、方形であってもよい。また、複数の橋部と複数の補助橋部は、互いに交差する方向、特に、互いに直交又は略直交する方向に延設されていると好ましい。
このように構成すれば、基部において、枠体の内部(空間)に形成された接続島部を例えばセンサパッケージへと固定することができ、この場合、コリオリの力によって駆動腕において生じた振動変位が検出腕に伝搬する際に、基部自体が捻れてしまうことが有効に防止される。その結果、検出腕の根元における変位をより大きくすることができるので、検出感度を一層向上させることができる。
また、本発明による角速度検出方法は、本発明の圧電振動型ヨーレートセンサを用いて実施される方法であり、すなわち、圧電振動型ヨーレートセンサにおける少なくとも一対の駆動腕にて生じたコリオリ力を、同少なくとも一対の検出腕にて検出することにより、角速度を検出するための方法であって、少なくとも一対の検出腕における検出感度スペクトルが、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕とが逆位相で振動する第1検出用振動モードにおける第1共振周波数をピーク周波数とする第1ピーク、及び、少なくとも一対の駆動腕と少なくとも一対の検出腕とが同位相で振動する第2検出用振動モードにおける第2共振周波数をピーク周波数とする第2ピークを有するように、且つ、上記検出感度スペクトルにおいては、第1共振周波数及び第2共振周波数のうちのいずれか小さい一方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度が、その一方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度よりも大きく、且つ、第1共振周波数及び第2共振周波数のうちのいずれか大きい他方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度が、その他方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度よりも大きくなるように、圧電振動型ヨーレートセンサを構成(形成)又は調整(調節)する。
この場合、駆動腕の駆動振動共振周波数を、第1検出用振動モードにおける第1共振周波数と第2検出用振動モードにおける第2共振周波数との間の周波数に設定することが好ましい。
なお、具体的には、駆動腕の共振周波数は、例えば、駆動腕及び/又は検出腕、およびその腕固定部の、材質、厚さ、幅、長さ、間隔といった形状パラメータを適宜調整することにより、上述した所望の周波数に設定することが可能である。
本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサの構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサの動作原理を示す模式図(正面図)である。 本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサのHSモードでの動作状態を示す模式図(上面図)である。 本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサのHCモードでの動作状態を示す模式図(上面図)である。 本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、HSモードとHCモードが近接する場合における、検出腕の動作状態を示す模式図(上面図)である。 本発明の第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、HSモードとHCモードが近接する場合における、検出感度スペクトルを示すグラフである。 本発明の第2実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおけるHSモード及びHCモードの共振周波数、並びに、駆動腕の駆動周波数との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、駆動腕の共振周波数を、HSモード及びHCモードのそれぞれの共振周波数の間の周波数に設定した場合における、駆動腕の動作状態を示す模式図(上面図)である。 本発明の第2実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、HSモードの共振周波数、HCモードの共振周波数、及び駆動振動共振周波数の順に設定された場合の駆動腕のX―Z変位を示すグラフである。 本発明の第2実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、HSモードの共振周波数、駆動振動共振周波数、及びHCモードの共振周波数の順に設定された場合の駆動腕のX―Z変位を示すグラフである。 本発明の第2実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、駆動振動共振周波数、HSモードの共振周波数、及びHCモードの共振周波数の順に設定された場合の駆動腕のX―Z変位を示すグラフである。 本発明の第3実施形態にかかるH型ヨーレートセンサにおいて、HSモードの共振周波数及びHCモードの共振周波数と、素子厚さとの関係を示すグラフである。 従来のH型ヨーレートセンサ(素子)の構成を示す斜視図である。 従来のH型ヨーレートセンサ(素子)における検出感度スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
ここでは、まず、本発明の理解を容易にするために、従来のH型ヨーレートセンサについて説明する。図13は、従来方式のH型ヨーレートセンサ素子100を示す斜視図である。H型ヨーレートセンサ素子100は、中央に位置する基部110と、基部110を挟んで所定の一方向(図13では+Y方向)に延びる一対の駆動腕102,103、及び駆動腕102,103とは反対方向(図13では−Y方向)に延びる一対の検出腕104,105を備えるものである。このH型ヨーレートセンサ素子100は、基部110の略中心部にてセンサパッケージ(図示ぜず)に固定され、そのセンサパッケージの内部空間に保持されるとともに、図示していない圧電素子に対して電気的な信号が入出力されるようになっている。
図13において、H型ヨーレートセンサ素子100の保持方向は、検出対象となる回転の中心軸107の方向にH型ヨーレートセンサ素子100の長手方向が合致するように選択されている。なお、基部110、駆動腕102,103、検出腕104,105から構成されるH型ヨーレートセンサ素子100は、共通の材料(例えばシリコンや水晶)からなり、一般的なウェハ(シリコンウェハ等)のパターニング加工(MEMS加工)によって一体に又は一括で形成され得る。また、圧電素子としては、PZT等の圧電材料から構成されたものが挙げられる。
一般に、圧電振動型ヨーレートセンサは、駆動腕を初期的に駆動(励振)させる駆動振動モード(図13におけるX方向振動)と、その駆動振動の向きと直交し、検出腕にて角速度を検知する検出振動モード(図13におけるZ軸方向振動)とで動作する。更には、基部110を挟んで対向する振動腕(駆動腕及び検出腕)の対を備えるH型ヨーレートセンサ素子100では、2本の検出腕104,105が互いにZ方向へ逆位相で振動する検出振動モードが少なくとも2つ存在している(これら2つの検出振動モードの詳細は後述する)。
ここで、従来方式のH型ヨーレートセンサでは、コリオリ力の検出にあたって何れの振動モードを検出振動モードとして用いるかは任意に選択可能であった。しかしながら、異なる振動モードの共振周波数が近接することで、検出振動モードの振動形状が振動の検出に選択しなかった方の振動形状の干渉を受けてしまうことも懸念され、それら各振動モードの振動形状が合成されることで、理想的な検出振動形状が崩されると考えられていた。よって従来のH型ヨーレートセンサにおいては、複数の検出振動モード混在する場合、各モードの共振周波数同士が近接しないようなセンサ素子の設計がなされることが常であり、各振動検出モードの共振周波数が互いに近接するような設計を積極的に行うことはなかった。
図14は、従来方式のH型センサの検出腕における検出振動の周波数F(X軸方向)と検出される振動の感度S(Y軸方向)との関係を示す振動スペクトル(検出感度スペクトル)である。上述した如く、ここで用いられる振動スペクトルは、複数存在する振動モードのうち、何れかの検出振動モードが選択されたものである。図14において、検出腕における検出振動の共振周波数の値をfrとすると、このH型ヨーレートセンサの感度は、周波数frにおいて感度SMAXにて極大化していることがわかる。
コリオリ力の検出のために選択した検出振動モードの共振周波数に近い周波数にて駆動腕を駆動させると、駆動振動に対して駆動腕及び検出腕の双方が揺れやすい構成となり、より大きな検出信号を得ることが可能となってセンサ自体の感度が向上することが経験上確認されている。つまり、検出振動の共振周波数と、駆動振動の共振周波数を近接させ、更にそれらに近い周波数で駆動腕を起動させると、センサの感度が最大化すると考えて良い。ここで、図14を参照すると、振動検出の感度を高く取ろうとして、振動腕の選択した検出振動モードにおける共振周波数frの近傍の周波数領域FA(図14の振動スペクトルにおける山の頂上付近)に駆動振動の共振周波数を合わせる場合、当該周波数領域FAにおける周波数変化に対する検出感度の変化が極めて急峻となってしまう。それに対し、感度の変化が緩やかな共振周波数frから離れた周波数領域FB又はFB’(図14の振動スペクトルにおける山の裾付近)に駆動振動の周波数を合わせる場合には、検出感度の変化は少ないものの、感度自体の値が低くなってしまう。
結果として、極めて小型の圧電振動型ヨーレートセンサであるH型ヨーレートセンサは、その組立精度を高く保つことが困難であり、検出感度を高く取ろうとして周波数領域FA内に駆動振動周波数(駆動腕の共振周波数)を収めることが困難であるばかりか、製造される各センサ間で駆動周波数の僅かなぶれが生じると、各センサ間での検出感度のばらつきが大きくなってしまうこととなり、センサの性能上好ましくない。また、各センサ間での感度のばらつきを抑えるために、感度の変化が緩やかな周波数領域FB内に駆動周波数(駆動腕の共振周波数)を設定することは、感度低下に繋がってしまうので、やはりセンサの性能上好ましくない。
<第1実施形態>
図1は、本発明によるH型ヨーレートセンサ素子1の構成の一例を示す斜視図である。このH型ヨーレートセンサ素子1(圧電振動デバイス)は、中央に位置する基部10と、基部10を挟んで一方(図1では+Y方向)に延びる一対の駆動腕2,3、及びその駆動腕とは反対側(図1では−Y方向)に延びる一対の検出腕4,5を備えるものである。
本実施形態におけるH型ヨーレートセンサ素子1の基部10は、駆動腕2,3、及び検出腕4,5が接続される方形の枠体15の内側空間中央部に、センサパッケージ(図示せず)に対してH型ヨーレートセンサ素子1を接続するための接続島部16を有しており、接続島部16は枠体15内側空間をY方向に平行に走る二本の橋部17,18、並びに橋部17,18の間に接続島部16を保持するためにX方向に直列に走る補助橋部19,20を備えている。ここで、左側の橋部17は、左駆動腕2及び左検出腕4の延在方向に概ね直列に設けられており、右側の橋部18は、右駆動腕3及び右検出腕5の延在方向に概ね直列に設けられている。基部10は、枠体15の内側空間における上記接続構造を画定するために、切り抜き21乃至24によって肉抜きされている。
H型ヨーレートセンサ素子1は、基部10の接続島部16の中心部25近辺にてセンサパッケージに対して固定されてパッケージ内部空間に保持されると共に、センサパッケージ内の集積回路(図示せず)に対してワイヤーボンディング等で電気的に接続され、H型ヨーレートセンサ素子1の各駆動腕2,3に設けられた図示していない複数の圧電素子に駆動信号を送信すると共に、各検出腕4,5に設けられた複数の圧電素子から出力される検出信号を電気的に受信している。なお、基部10、駆動腕2,3、検出腕4,5から構成されるH型ヨーレートセンサ素子1は、共通の材料(例えばシリコンや水晶)からなり、一般的なウェハ(シリコンウェハ等)のパターニング加工(MEMS加工)によって一体に又は一括で形成することが可能である。また圧電素子はPZT等の圧電材料(図示せず)から構成され得る。
本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1は、肉抜きされた基部10を有し基部10の内部空間に保持した接続島部16のみを介してセンサパッケージへと接続されているので、コリオリの力により駆動腕2,3において生じたZ方向の振動変位が検出腕4,5に伝搬する際に基部10全体が捻れてしまうことを有効に防止することができる。基部10の捻じれを防止することで、検出腕4,5の根元(検出腕4,5と枠体15との接続部分)における変位をより大きく取ることが可能であるので、H型ヨーレートセンサ素子1の検出感度を向上させることが出来る。また、橋部17,18は、接続島部16を保持するだけでなく、駆動腕2,3と検出腕4,5とを各々ほぼ直列に接続しているので、枠体15によって基部10自体の剛性を担保しつつ、駆動腕2,3で生じたコリオリ力によるZ方向変位を検出腕4,5に効率的に伝達することも可能としている。それに対して、補助橋部19,20は、接続島部16を側方(橋部17,18の延在方向と直交する方向)から保持するので、接続島部16に対してはコリオリ力によるZ方向変位に起因する振動が伝搬しにくい。
次に、本実施形態におけるH型ヨーレートセンサ素子1の動作原理を説明する。本実施形態では、H型ヨーレートセンサ素子1は、駆動腕2,3を上、検出腕4,5を下にして、立ち上がった姿勢で、検出対象となる回転の中心軸7の方向にH型ヨーレートセンサ素子1の長手方向が合致するように、センサパッケージ内に保持されている。基部10における電気的接続を介して、駆動腕2,3に備えられた圧電体(図示せず)に対して駆動用の電圧が印加されると、圧電体の伸縮動作によって駆動腕2,3は駆動振動を生じる。具体的には、図1の±X方向で両駆動腕2,3が近接・離反を繰り返す振動運動が生じる。
駆動腕2,3が上述のように振動している状態で、H型ヨーレートセンサ素子1の長手方向(Y方向)の中心軸7周りに回転が生じると、コリオリ力の式:F=2mvΩで表される当該回転の角速度が、コリオリ力としてH型ヨーレートセンサ素子1に対して作用し、駆動腕2,3には、駆動振動の向き(X方向)及び回転の軸(Y方向)の双方に直交するZ方向のコリオリ力が発生する。コリオリ力は、回転角速度の大きさに比例したZ方向の振幅(変位)として現れる。本実施形態のH型ヨーレートセンサ素子1は、上述のように検出腕4,5の共振周波数を駆動腕2,3の共振周波数(駆動周波数)に近くなるように設定しているので、駆動腕2,3に発生したZ方向の振動は、検出腕4,5に向かって基部10を伝搬し、検出腕4,5にて検出振動が生じる。次に、伝搬した検出腕4,5における振動変位を圧電素子が検出することにより、H型ヨーレートセンサ素子1において生じた回転運動の角速度が検出されることとなる。
図2乃至4に示すのは、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1の動作原理を説明するための簡略図であり、図2はH型ヨーレートセンサ素子1の模式的な正面図、図3及び図4はH型ヨーレートセンサ素子1が、第1の振動モード及び第2の振動モードで動作する様子を上方(+Y方向)から見下ろした模式的な上面図である。
上述したとおり、基部10を挟んで対向する振動腕の対(駆動腕2,3及び検出腕4,5)を備えるH型ヨーレートセンサ素子1は、2本の検出腕4,5が互いにZ方向へ逆位相の振動を行なう検出振動モードが少なくとも2つ存在している。それらは、2本の検出腕4,5が互いにZ方向へ逆位相の振動を行なう検出振動モードとして、駆動腕2,3と検出腕4,5とがZ方向へ逆位相に振動する振動モード(左右逆位相且つ上下逆位相の第1の振動モード:HSモード)、及び駆動腕2,3と検出腕4,5とがZ方向へ同位相に振動する振動モード(左右逆位相且つ上下同位相の第2振動モード:HCモード)の2つに分けられる。そして、駆動腕2,3より基部10を介して伝搬された検出振動は、検出腕4,5にて図3に示すHSモード及び図4に示すHCモードの双方で生じ得るが、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1は、これら2つのモードの共振周波数の値が互いに近接するようにセンサを設計することを特徴とする。
図3及び図4に示すように、HSモードとHCモードは、左右の駆動腕2,3がZ方向に逆位相に振動するという相違点はあるが、検出腕4,5の動きにのみに着目すれば同一の動きをしている。ここで左右の駆動腕2,3の何れが+の位置又は−の位置から振動を開始するか、すなわち位相に対する振動の方向は、駆動腕2,3の構造における非対称性等を素子設計に加味することにより容易に決定することができる。このことから、この二つのモードの共振周波数の値が隣接しても双方の振動形状は崩れることはなく、それ以上にお互いが干渉し合うことで振幅を増大させる(両モードにおける感度を合算することができる)。
図5はH型ヨーレートセンサ素子1を上方(+Y方向)から見下ろした上面図であり、HSモードとHCモードが混在した場合の検出腕4,5の振幅量変化(感度変化)を模式的に示すものである。この場合、HSモードとHCモードのいずれの振動検出モードにおいても検出腕4,5はZ方向に対して左右各々の検出腕が同じ向きに振動を行なう。具体的には、HSモードにおいて、左検出腕4が+Z方向から振動を始めたと仮定すれば、右検出腕5は−Z方向から振動を始める。このときHCモードも同じ挙動を示し、左検出腕4が+Z方向から振動を始め、右検出腕5は−Z方向から振動を始める。つまり、検出腕4,5はZ方向の振動に対し互いに強め合う振動形態となり、より双方の振幅が合算された大きな振幅をするようになる。
よって、図5に示すように、HSモードとHCモードが混在する場合には、左検出腕4では、HSモード単体であれば到達したであろう振幅位置P4’から、更に+Z方向に合算された振幅位置P4へと振幅が増加することとなる。右検出腕5も同様に、HSモード単体であれば到達したであろう振幅位置P5’から、更に−Z方向に合算された振幅位置P5へと振幅が増加することとなる。つまり、HSモードとHCモードとが混合された場合、検出腕4,5はZ方向の振動について互いに振動を強め合う振動形態となり、結果として、検出腕4,5における振幅が増加することで、H型ヨーレートセンサ素子1の感度が向上される。
図6は、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1における検出腕4,5の各振動モードでの検出振動の周波数F(X軸方向)と検出される感度S(Y軸方向)との関係を示す振動スペクトルである。図6に示された検出振動モードはHSモード及びHCモードの2つであり、これら各モードの検出感度スペクトルは各々実線で示されている。本実施形態では、HSモードの共振周波数frsがHCモードの共振周波数frcよりも低周波数側にあるが、この関係は逆でも良い。また、同様にHSモードの感度がHCモードの感度よりも総じて高くなっているが、この関係も逆となる場合がある。また、図6において破線で示されるのは、HSモードとHCモードが合成された状態での検出腕4,5の合算検出感度スペクトルである。
本実施形態では、HSモードの共振周波数frsとHCモードの共振周波数frcとが、両モードの混在を避ける従来のH型ヨーレートセンサの場合と比較してより近接している。この共振周波数の近接の程度は、H型ヨーレートセンサ素子1の材質や厚さ等の任意のパラメータで決定される各モードの検出感度スペクトルの外形にもよるが、各モードの検出感度が優位に合算できることを要件とし、検出感度が低い各モードのスペクトルの山の裾部分で両モードが重なる場合は除外される。具体的には、本実施形態において、周波数帯が低い方の山であるHSモードのピーク周波数に相当する共振周波数frsから任意の周波数fだけ高周波数側にシフトした周波数frs+fにおける合算検出感度S1が、周波数fだけ低周波側にシフトした周波数frs−fにおける合算検出感度S2と比較して大きく、周波数帯が高い方の山であるHCモードのピーク周波数に相当する共振周波数frcから周波数fだけ低周波数側にシフトした周波数frc−fにおける合算検出感度S3が、周波数fだけ高周波側にシフトした周波数frc+fにおける合算検出感度S4と比較して大きくなる程度に両モードのスペクトルが重なることが好ましい。このように共振周波数のピークを近接させて両モードの振動スペクトルを重ねることで、感度の合算効果をより高めることができる。
図6に示すように、両モードの検出感度スペクトルの感度合算効果は、各々のモードにおける共振周波数に近い周波数領域ほど高くなっている。よって、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1においては、駆動腕2,3の共振周波数が、HSモード又はHCモードのいずれか一方の共振周波数にのみ近接するだけでも、上述した感度合算効果を得ることができる。なお、各モードの共振周波数等は、センサ素子の材料、厚さ、基部の形状、振動腕の形状等の諸条件を微調整すること設定可能である。
<第2実施形態>
本実施形態では、感度を高めつつノイズ低減も実現される高S/N比のH型ヨーレートセンサについて詳述する。なお、第1実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1と、本実施形態にかかるヨーレートセンサとは必ずしも明確な外観上の差異を有するものではなく、センサ素子の材料、厚さ、基部の形状、振動腕の形状等の諸条件を微調整することで、駆動モードの振動周波数を二つの検出モードの共振周波数の間に設定することができる。図7は、横軸に周波数をとり、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1の駆動周波数と、HSモード及びHCモードの各々のモード共振周波数との関係が示す図である。なお、本実施形態においても、HSモードの共振周波数がHCモードの共振周波数より低くされているが、上述したセンサ素子の構成における諸条件に応じて、HSモードがHCモードより高い周波数である場合であっても同様の効果が得られる。
図7では、HSモードの共振周波数より低い周波数領域をFL領域、HSモードの共振周波数とHCモードの共振周波数との間の領域をFM領域、HCモードの共振周波数よりも高い領域をFU領域とする。
ここで、駆動腕2,3の挙動について考察すると、FL領域では、左右の駆動腕2,3は左右の検出腕4,5とは逆の方向に変位する、つまり左検出腕4が+Z方向に変位するとき、左駆動腕2は−Z方向に変位し、右検出腕5が−Z方向に変位するとき、右駆動腕3は+Z方向に変位するというHSモードでの駆動腕の挙動が主に支配的である(図3参照)。これに対して、FU領域では、左右の駆動腕2,3は左右の検出腕4,5と同じ方向に変位する、つまり左検出腕4が+Z方向に変位するとき、左駆動腕2も+Z方向に変位し、右検出腕5が−Z方向に変位するとき、右駆動腕3も−Z方向に変位するというHCモードでの駆動腕の挙動が主に支配的である(図4参照)。
これに対して、FM領域では、HSモードとHCモードの挙動が互いに干渉しあっている。具体的には、FM領域において、駆動周波数を低周波数領域(FL領域)側から高周波数領域(FU領域)側へと変化させるに連れて、駆動腕2,3はHSモードにおける振幅方向とは逆向きに振動しようとするため、HSモードにおける振動は徐々に打ち消される、すなわち減算されて結果としてHSモードでの駆動腕2,3の振幅は減少する。つまり、FL領域側で支配的だったHSモードでの駆動腕2,3の挙動は徐々に弱まり、逆にHCモードでの駆動腕2,3の挙動が顕在化して、両モードの挙動が混在するようになる。駆動周波数が、FM領域の中央部分、HSモードの振動スペクトルとHCモードの振動スペクトルの交差する周波数fX(図6参照)にまで到達すると、両モードの挙動はほぼ均等に合成される。そして交差周波数fXを超えると、駆動腕2,3はHCモードでの挙動が支配的なHSモードとの混合状態となり、FU領域へと高周波側に変化するに連れて最終的にはHCモードでの挙動が支配的になる。
図8は本実施形態におけるH型ヨーレートセンサ素子1を上方(+Y方向)から見下ろした上面図であり、各駆動腕2,3における振動の合成効果が模式的に表されている。HSモードとHCモードが混在し、さらに駆動周波数をHSモードの共振周波数とHCモードの共振周波数との間に設定した場合、すなわち図7の周波数領域FMにおける、H型ヨーレートセンサ素子1の駆動腕2,3の振幅量変化(感度変化)を示すものである。本実施形態でも、第1実施形態と同様に、HSモードの共振周波数とHCモードの共振周波数とが適切な周波数間隔に近づけられている。
HSモードの振動とHCモードの振動とが混在する状態では、双方の駆動腕に生じるZ方向の振動変位は逆方向である。このため、たとえばHSモードが駆動腕を支配する成分では、左駆動腕2が+Z方向に変位しようとすると、HCモードが駆動腕を支配する成分で左駆動腕2が−Z方向に変位する挙動が加味されて、HSモード単体であれば到達したであろう振幅位置P2’から、−Z方向に呼び戻された振幅位置P2へと左駆動腕2の振幅が減少する。右駆動腕3も同様に、たとえばHSモードが駆動腕を支配する成分では、右駆動腕3が−Z方向に変位しようとすると、HCモードが駆動腕を支配する成分で右駆動腕3が+Z方向に変位する挙動が加味されて、HSモード単体であれば到達したであろう振幅位置P3’から、+Z方向に呼び戻された振幅位置P3へと右駆動腕3の振幅が減少することとなる。つまり、HSモードとHCモードとが混合する場合には、駆動腕2,3はZ方向の振動に対し互いに振動を打ち消しあう振動形態となってしまい、結果として、駆動腕における振幅が減少するようになる。
次に本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1の駆動腕2,3の挙動について、更に有限要素法による振動解析を行った結果を図9乃至11に示す。図9乃至11では、駆動腕2,3のX方向(駆動方向)の変位量(振幅量)を横軸に、Z方向(振動検知方向)の変位量(振幅量)を縦軸に、左右両方(Drv−L及びDrv−R)の駆動腕2,3についてプロットしている。なお、本解析では、左右の駆動腕の構造に非対称性を含めることで、無回転時であってもZ方向の変位が生じる、すなわちもれ振動が生起するようにして解析を行った。
図9は、駆動周波数がFU領域に存在する場合(低い周波数から順にHSモード、HCモード、HCモードよりたとえば約3%高い駆動周波数となる場合)であり、図10は駆動周波数がFM領域に存在する場合(低い周波数から順にHSモード、駆動周波数、HCモードとなる場合)であり、図11は、駆動周波数がFL領域に存在する場合(低い周波数から順にHSモードよりたとえば約3%低い駆動周波数、HSモード、HCモードとなる場合)の結果である。
図9乃至11を比較すると、図9及び図11の場合と比較して、図10に示す駆動周波数がFM領域に存在する場合に特に、Z方向(振動検知方向)の変位量すなわち振幅が約1/3と大幅に減少しているのが判る。このことから、HSモードとHCモード間に駆動周波数を設定すると、外部から回転が印加されていない状態で、駆動腕におけるいわゆるもれ振動と呼ばれる不要なノイズが検出腕を振動させてしまうことを有意に防止することができること、すなわちH型ヨーレートセンサ素子1におけるノイズ除去効果が確認された。
また、第1実施形態で詳述したとおり、HSモード及びHCモードの共振周波数を近接させると、検出腕4,5の振幅が互いに増幅しあってコリオリ力に対する感度が向上することが見込まれる。よって本実施形態は、第1実施形態の感度向上効果が増大することに加えて、2つの振動モードの共振周波数間の周波数でセンサを駆動させることで、H型ヨーレートセンサ素子1に対してノイズ除去効果をもたらすものであり、両効果が相まって、H型ヨーレートセンサ素子1のS/N比を飛躍的に向上させることができる。
更に、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1は、駆動腕2,3にて、HSモードとHCモードの挙動が互いに釣り合った状態で混合されているので、振動に対してセンシティブになっており、センサユニットの回転によってコリオリ力を生じた際、瞬間的にこの釣り合い状態が崩れるためにより大きな推進力によって振動を生じ得る。このことによっても、結果として更なる感度向上が見込まれ、先に述べた低ノイズ化と相まって、高いS/N比を有する高性能なヨーレートセンサを得ることができる。
とりわけ、駆動周波数が、図6におけるHSモードの検出感度スペクトルとHCモードの検出感度スペクトルの交差する周波数fXにあるときが、双方のモードにおける振幅の合成に起因する駆動腕のノイズ除去効果が最大に高まる上に、HSモードとHCモードの挙動が最も釣り合った状態であると考えられ、本実施形態にかかるH型ヨーレートセンサ素子1の性能を最も高く維持し得る。さらに、図6を参照すると判るように、駆動周波数として、fxを選択した場合には、組み立て精度の問題で駆動腕の共振周波数が多少ぶれたとしても、合計検出感度スペクトルにおける感度の変化は緩やかであり、且つ感度が落ちるどころか高くシフトする。よって、本実施形態のごとく駆動周波数をHSモードとHCモードとの間に設定することによって、H型ヨーレートセンサの製造における個体間の性能のばらつきを抑えることも可能となる。
なお、本実施形態における各共振周波数間の間隔は、たとえば厚さバラツキに対する感度の安定性を望む場合等は、腕の間隔を調整することにより、所望の値とすることができる。
<第三実施形態>
本実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態に示したH型ヨーレートセンサ素子1の設計指針を示す。
第1実施形態及び第2実施形態に示したH型ヨーレートセンサでは、HSモード及びHCモードの何れにおいても、検出腕の動きがZ方向(振動子の厚さ方向)の振動となるので、H型ヨーレートセンサ素子の厚さを調整することで、各モードにおける検出腕の共振周波数を設定することが可能である。図12に示すのは、H型ヨーレートセンサ素子の厚さ(横軸)に対する、HSモードとHCモードにおける共振周波数の変化(縦軸)の割合を示す一例である。ここに示すようにHSモードとHCモードとでは、素子厚に対する共振周波数の変動割合が異なっている。よって、この変動量の差異を勘案して、所望とするHSモードの共振周波数とHCモードの共振周波数の組み合わせを定義することができる。
図12に示した素子厚に対する検出腕の共振周波数の変動割合は、各振動腕の幅・長さ等のデザインや、各振動腕の配置間隔、振動腕が接続される基部における抜き形状、及び素子自体の材質等のパラメータによっても変化する。よって、これらの追加的なパラメータと、素子厚とを組み合わせて、検出腕のHSモードの共振周波数とHCモードの共振周波数の所望とする組み合わせを定義することもできる。
一方、駆動腕の駆動振動共振周波数は、駆動腕の駆動方向がX方向(振動子の幅方向)の振動となるので、H型ヨーレートセンサ素子における駆動腕の幅を調整することで、設定可能である。例えば、駆動腕の幅を大きくすると、駆動腕のX方向(幅方向)の振動駆動が規制されるので、駆動の共振周波数は高くなる傾向にある。
素子幅に対する駆動腕の共振周波数の変動割合は、素子の厚さ、各振動腕長さ等のデザインや、各振動腕の配置間隔、振動腕が接続される基部における抜き形状、及び腕固定部を含む素子の材質、厚さ、幅、長さ等のパラメータによっても変化する。よって、これらの追加的なパラメータと、素子幅とを組み合わせて、駆動腕の共振周波数を所望の値に設定することもできる。
また、上記各実施形態における振動腕の形状は、一様な幅、厚さで構成されているが、例えば振動腕の先端のみが幅広にしたり、振動腕の長さ方向の一部の厚さに変化を加えたりしても、所望とする共振周波数の組み合わせを定義し得る。更には、各振動腕の形状を非対称にしたり、厚さ方向に変化を加える(断面積が台形や平行四辺形等の形状となるようにする)ことで、所望とする共振周波数の組み合わせを定義することもできる。以上のような追加的なパラメータを微調整することによって、安定したヨーレートセンサの製造が可能となる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、先に適宜述べたとおり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更(例えば、各実施形態の内容の適宜な組み合わせ等)が可能である。
1,100…ヨーレートセンサ(圧電振動デバイス)、2,3,102,103…駆動腕、4,5,104,105…検出腕、7,107…中心軸、10,110…基部、15…枠体、16…接続島部、17,18…橋部、19,20…補助橋部、21,22,23,24…切り抜き、f,F…周波数、P…振幅位置、S…感度。

Claims (6)

  1. 中央に位置する基部と、前記基部を挟んで一方に延びる一対の駆動腕及び前記一対の駆動腕とは反対側に延びる一対の検出腕とを備えており、前記一対の駆動腕にて生じたコリオリ力を前記一対の検出腕にて検出する圧電振動型ヨーレートセンサであって、
    前記一対の検出腕における検出感度スペクトルは、前記一対の検出腕同士が逆の方向に変位するとともに、前記一対の駆動腕と前記一対の検出腕のうち、前記基部を挟んで対向する駆動腕と検出腕とが、駆動振動の向きと直交し、且つ、前記一対の駆動腕の延在方向と直交する向きに逆位相で振動する第1検出用振動モードにおける第1共振周波数をピーク周波数とする第1ピーク、及び、前記一対の検出腕同士が逆の方向に変位するとともに、前記一対の駆動腕と前記一対の検出腕のうち、前記基部を挟んで対向する駆動腕と検出腕とが、駆動振動の向きと直交し、且つ、前記一対の駆動腕の延在方向と直交する向きに同位相で振動する第2検出用振動モードにおける第2共振周波数をピーク周波数とする第2ピークを有しており、
    前記検出感度スペクトルにおいては、前記第1共振周波数及び前記第2共振周波数のうちのいずれか小さい一方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度が、前記一方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度よりも大きく、且つ、前記第1共振周波数及び前記第2共振周波数のうちのいずれか大きい他方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度が、前記他方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度よりも大きい、
    圧電振動型ヨーレートセンサ。
  2. 前記検出感度スペクトルは、前記第1検出用振動モードでの検出感度スペクトルと、前記第2検出用振動モードでの検出感度スペクトルとが、合算されたものである、
    請求項1に記載の圧電振動型ヨーレートセンサ。
  3. 前記駆動腕の駆動振動共振周波数が、前記第1検出用振動モードにおける第1共振周波数と前記第2検出用振動モードにおける第2共振周波数との間の周波数に設定された、
    請求項1又は2に記載の圧電振動型ヨーレートセンサ。
  4. 前記基部は、
    前記一対の駆動腕、及び、前記一対の検出腕が接続される枠体と、
    前記枠体の内部に形成された接続島部と、
    前記一対の駆動腕及び前記一対の検出腕の延在方向と平行な方向に延在し、且つ、前記枠体に跨設された複数の橋部と、
    前記接続島部と前記複数の橋部を連結する複数の補助橋部と、
    を有する
    請求項1乃至3の何れかに記載の圧電振動型ヨーレートセンサ。
  5. 中央に位置する基部と、前記基部を挟んで一方に延びる一対の駆動腕及び前記一対の駆動腕とは反対側に延びる一対の検出腕とを備えた圧電振動型ヨーレートセンサにおける前記一対の駆動腕にて生じたコリオリ力を、前記圧電振動型ヨーレートセンサにおける前記一対の検出腕にて検出することにより、前記圧電振動型ヨーレートセンサの角速度を検出する方法であって、
    前記一対の検出腕における検出感度スペクトルが、前記一対の検出腕同士が逆の方向に変位するとともに、前記一対の駆動腕と前記一対の検出腕のうち、前記基部を挟んで対向する駆動腕と検出腕とが、駆動振動の向きと直交し、且つ、前記一対の駆動腕の延在方向と直交する向きに逆位相で振動する第1検出用振動モードにおける第1共振周波数をピーク周波数とする第1ピーク、及び、前記一対の検出腕同士が逆の方向に変位するとともに、前記一対の駆動腕と前記一対の検出腕のうち、前記基部を挟んで対向する駆動腕と検出腕とが、駆動振動の向きと直交し、且つ、前記一対の駆動腕の延在方向と直交する向きに同位相で振動する第2検出用振動モードにおける第2共振周波数をピーク周波数とする第2ピークを有するように、且つ、前記検出感度スペクトルにおいては、前記第1共振周波数及び前記第2共振周波数のうちのいずれか小さい一方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度が、前記一方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度よりも大きく、且つ、前記第1共振周波数及び前記第2共振周波数のうちのいずれか大きい他方の共振周波数よりもΔf低い周波数での検出感度が、前記他方の共振周波数よりもΔf高い周波数での検出感度よりも大きくなるように、前記圧電振動型ヨーレートセンサを構成又は調整する、
    角速度検出方法。
  6. 前記駆動腕の駆動振動共振周波数を、前記第1検出用振動モードにおける第1共振周波数と前記第2検出用振動モードにおける第2共振周波数との間の周波数に設定する、
    請求項5に記載の角速度検出方法。
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