JP2017210586A - 成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
成形体は、以下に述べる特徴をそれぞれ有するブロック共重合体(A)、汎用ポリスチレン(B)、及び流動パラフィン(C)を含有する樹脂組成物からなる。
ブロック共重合体(A)は、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンからなるブロック共重合体を2種類以上含有する。すなわち、2種類以上のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体の混合物である。ブロック共重合体が1種類の場合、シート、及び容器の衝撃強度が低下するため好ましくない。また、効果を妨げない範囲で、添加剤や他の樹脂を併用しても良い。
S−(R−S)n−R−S (I)
(S−(R−S)n−R−S)m−X (II)
S−(B−S)n−B−S (III)
(S−(B−S)n−B−S)m−X (IV)
(a1−1);ゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、ピークトップ分子量(Mp)が105,000〜250,000の範囲に、少なくとも1つのピークを有する。
(a2−1);ゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、ピークトップ分子量(Mp)が40,000〜140,000の範囲に、少なくとも1つのピークを有する。
(a1−2);共役ジエンの含有比率(質量)が10質量%〜20質量%である。
(a2−2);共役ジエンの含有比率(質量)が27質量%〜40質量%である。
a1/a2は、15〜50/50〜85がより好ましく、25〜50/50〜75が特に好ましい。つまり、15/85以上50/50以下がより好ましく、25/75以上50/50以下が特に好ましい。
(1)試料0.1gをクロロホルム50mLに溶解させる。
(2)一塩化よう素/四塩化炭素溶液25mLを添加し、十分混合した後、1時間暗所で放置する。
(3)2.5%よう化カリウム溶液を75mL加え、十分混合する。
(4)20%チオ硫酸ナトリウム/エタノール溶液を十分に攪拌しながら、液の色が淡黄色程度となるまで、添加する。
(5)1%デンプン指示薬を約0.5mL加え、再度、20%チオ硫酸ナトリウム/エタノール溶液で無色になるまで滴定する。
(6)滴定完了後、消費したチオ硫酸ナトリウム/エタノール溶液量a[mL]を計測する。
ブランクの測定による補正を実施すべく、(1)〜(6)の操作をクロロホルム単味にも実施し、消費したチオ硫酸ナトリウム/エタノール溶液量b[mL]を測定する。
共役ジエンの含有率は下記の式に従い、測定値より算出することができる。
共役ジエンの含有率(%)=[(b−a)×0.1×c×27/1000]/W×100
c:20%チオ硫酸ナトリウム/エタノール溶液の力価
W:試料量[g]
「ビニル芳香族炭化水素のブロック率」
=(共重合体中にブロック状ホモ重合セグメントとして存在しているビニル芳香族炭化水素の質量/共重合体中に含有されているビニル芳香族炭化水素の質量)×100
動的粘弾性測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製RSA3、
設定温度範囲:−120〜130℃、設定昇温速度:4℃/分、
測定周波数:1Hz
ブロック共重合体(A)を構成する2種類以上のブロック共重合体は、いずれも、以下のようにして製造することができる。すなわち、各ブロック共重合体は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのモノマーをアニオン重合することにより製造できる。有機溶媒は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、又はエチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素などが使用できる。ブロック共重合体の溶解性の点で、シクロヘキサンが好ましい。
汎用ポリスチレン(B)(以下、「GPPS(B)」ということがある。)は、一般的なラジカル重合により製造された汎用ポリスチレン(GPPS)を用いることができる。例えば、東洋スチレン製「トーヨースチロールGP」、Styrolution製「Styrolution PS」、KUMHO PETROCHEMICAL製「KUMHO GPPS」、PSジャパン製「PSJ−ポリスチレン」等が挙げられる。
ガスクロマトグラフ:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−WAX(ヒューレットパッカード社製、0.25mm×30m、膜厚0.5μm)
インジェクション温度:220℃
カラム温度:60℃〜150℃、10℃/min
ディテクター温度:220℃
スプリット比:30/1
流動パラフィン(C)は、特に限定されるものではない。沸点的には潤滑油留分に属する、きわめて純度の高い液状飽和炭化水素の混合物であると定義される公知の流動パラフィン(ホワイトオイル、ヌジョールとも称される。)であれば差し支えない。例えば、「PRIMOL N 382」(ExxonMobil社製)、「モレスコホワイト、セレンホワイト350、モレスコバイオレス」(MORESCO社製)、「Plastic Oil 250、350、360、380、550」(Chemtura社製)「Hydrobrite PL−380」(Sonneborn社製)、「380 PLASTIC OIL」(島貿易社製)、「ハイコールK−350」(カネダ社製)「WhiteMineralOil KF−350」(昭和興産社製)、「Lily−350」(油化産業社製)等が挙げられ、JIS K2231に準拠した流動パラフィンが好ましい。また、JIS K2001で規定された、工業用潤滑油ISO粘度グレードで分類され、JIS K2231で規定された、流動パラフィン5種類中、「ISO VG 68」と「ISO VG 100」(40℃動粘度61.2〜110mm2/s)が、取り扱いの観点から好ましい。
ブロック共重合体(A)、GPPS(B)の含有割合は、ブロック共重合体(A)及びGPPS(B)総量100質量%に対して、各々15質量%〜85質量%であることが必要である。(A)の含有割合が15質量%未満、(B)の含有割合が85質量%を超えた場合は、衝撃強度が低下するため好ましくない。一方、(B)の含有割合が15質量%未満、(A)の含有割合が85質量%を超える場合は、剛性が低下するため好ましくない。(A)/(B)の含有比(質量比)は、25〜70/75〜30が好ましく、40〜50/60〜50が特に好ましい。
樹脂組成物は、必要に応じて、さらに各種の添加剤を含有することができる。すなわち、上記ブロック共重合体(A)、汎用ポリスチレン(B)、及び流動パラフィン(C)を含む樹脂組成物を製造する際や、シート及び容器への成形加工時に、各種の加熱処理を受ける場合、及び成形品が酸化性雰囲気や紫外線などの照射下にて使用される場合等に、物性が劣化することに対処するため、あるいは、使用目的に適した物性をさらに付与するため、例えば、安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候性向上剤、軟化剤、可塑剤、顔料、鉱油、フィラー、難燃剤などの添加剤を添加できる。
成形体は、上記した樹脂組成物からなり、以下の要件(1)〜(3)を満たす。
(1)流れ方向の応力−ひずみ線図における降伏点が、2つ以上存在する。
(2)流れ方向の応力−ひずみ線図における最大降伏応力と降伏後の平坦箇所の応力との差が、5.0MPa以下である。
(3)複屈折の絶対値|ΔNxy|が、8.0×10−4以下である。
要件(1)は、流れ方向(MD)の応力−ひずみ線図(S−Sカーブ)における降伏点が、2つ以上存在するというものである。降伏点が1つの場合、衝撃強度が低下する。なお、流れ方向(MD)の応力−ひずみ線図(S−Sカーブ)は、引張弾性率測定時の引張試験にて測定した流れ方向(MD)の応力(MPa)と伸度(%)とを用いたグラフである。降伏点とは、応力−ひずみ線図(S−Sカーブ)において、ひずみをかけた際の応力の挙動が明らかに変化する変曲点である。「降伏点が2つ以上存在する」とは、例えば、図1の実施例8に示すように、応力−ひずみ線図(S−Sカーブ)にて、挙動が明らかに変化する変曲点が2つ以上存在することをいう。
ソフトニング(MPa)=(最大降伏応力(MPa))−(降伏後の平坦箇所の応力(MPa))
成形体は、シート及び容器とすることができる。すなわち、容器の作製に適したポリスチレン系シート、及び該シートからなる容器とすることができる。このシート及び容器は、優れた耐衝撃性及び透明性を有する。シート及び容器は、非発泡体でも発泡体であっても良い。シート及び容器の形状は、特に限定はされず、用途により種々の形状を採り得る。例えば、弁当容器、勘合容器、大皿、プレート、トレー、ボウル、カップ、蓋、まな板、筆箱、下敷き、クリアファイル、クリアケースなどを挙げることができる。
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2,130mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン10.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量14.0kgのスチレン、および総量56.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h(時間)、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、60.0kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は84℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、60.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つS−R−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は111,000、Mw/Mnは1.02であった。上記重合例1についてその要点を表1に示す。
上記重合例1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表1に示した条件以外は、重合例1と同様に実施することにより、重合例2、3のブロック共重合体を得た。上記重合例2、3についてその要点を表1にまとめて示す。
以下の(1)〜(12)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,240mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン10.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量2.0kgのスチレン、および総量8.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h(時間)、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、4.8kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量2.0kgのスチレン、および総量8.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(7)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、4.8kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量2.0kgのスチレン、および総量8.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(9)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、75.2kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は90℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、75.2kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(11)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つS−(R−S)2−R−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(12)この重合液を脱揮して、重合例4のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は184,000、Mw/Mnは1.02であった。上記重合例4についてその要点を表2に示す。
上記重合例4において、上記(3)〜(10)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表2に示した条件以外は、重合例4と同様に実施することにより、重合例5〜11のブロック共重合体を得た。上記重合例5〜11についてその要点を表2にまとめて示す。
以下の(1)〜(11)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2,550mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン26.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量5.0kgのスチレン、および総量20.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、12.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量5.0kgのスチレン、および総量20.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(7)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、12.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量5.0kgのスチレン、および総量20.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25.0kg/h、100.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(9)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、74.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(10)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つS−(R−S)2−R−S構造の重合体を含む重合液を得た。
(11)この重合液を脱揮して、重合例12のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は96,000、Mw/Mnは1.06であった。上記重合例12について、その要点を表3に示す。
上記重合例12において、上記(3)〜(9)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、また、(2)で使用するn−ブチルリチウム量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表3に示した条件以外は、重合例12と同様に実施することにより、重合例13〜18のブロック共重合体を得た。上記重合例13〜18について、その要点を表3にまとめて示す。
以下の(1)〜(16)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,450mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は53℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は70℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(11)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(12)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(13)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、26.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(14)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、カップリング剤として452gのエポキシ化大豆油を3.0kgのシクロヘキサンで希釈して添加し、重合を完結させた。
(15)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つ重合体をカップリングした(S−(B−S)2−B−S)m−X構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表し、Xはカップリング剤の残基を表す。)
(16)この重合液を脱揮して、重合例19のブロック共重合体樹脂組成物を得た。カップリング前のピークトップ分子量(Mp)は160,000/51,000/41,000であり、GPC面積比は42.5/19.5/38.0(%)であり、カップリング後のMw/Mnは1.67であった。上記重合例19について、その要点を表4にまとめて示す。
以下の(1)〜(6)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液4,230mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン44.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は45℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン90.0kgとスチレン66.0kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は125℃まで上昇した。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを有する、S−T構造(式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Tはスチレンとブタジエンのテーパードブロックを表す)の重合体を含む重合液を得た。
(6)この重合液を脱揮して、重合例20のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は66,000、Mw/Mnは1.07であった。上記重合例20についてその要点を表5にまとめて示す。
上記重合例20において、上記(3)〜(5)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、また、(2)で使用するn−ブチルリチウム量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表5に示した条件以外は、重合例20と同様に実施することにより、重合例21のブロック共重合体を得た。上記重合例21について、その要点を表5にまとめて示す。
<配合例1〜14>
重合例1〜21で得られたブロック共重合体を表6に示した配合比率で混ぜ、ブロック共重合体樹脂組成物を製造した。かかるブロック共重合体樹脂組成物を、単軸押出機「HV−40−30」(田端機械工業社製、φ40mm)を用い、押出温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーにてペレット化した。配合例1〜14におけるブロック共重合体樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)、共役ジエン含有質量比、スチレンのビニル芳香族炭化水素ブロック率、Mw/Mnを表6にまとめて示した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mn及びピークトップ分子量Mpを測定した。本明細書において、特に断りが無い場合、分子量はピークトップ分子量Mpであり、カップリングを実施した場合はカップリング前のMpである。また、分散度は重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnであり、カップリングを実施した場合はカップリング後のMw/Mnである。
GPC装置名:「HLC−8220GPC」(東ソー社製)
使用カラム:「ShodexGPCKF−404」(昭和電工社製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率法、移動相:テトラヒドロフラン、
サンプル濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(VARIAN社製、ピークトップ分子量Mp=2,560,000、841,700、280,500、143,400、63,350、31,420、9,920、2,930)を用いて作成した。
フルオートマチックメルトフローインデックステスター「LABOT−MI」(安田精機製作所社製)を用い、JIS K7210(ISO1133)に準拠して、200℃、49N荷重の条件で、メルトマスフローレート(MFR)を測定した。
上記重合例で使用した全モノマー量に対する1,3−ブタジエン量の使用割合および配合比から、ブロック共重合体中の共役ジエン含有比率をそれぞれ算出した。
核磁気共鳴(NMR)を用いて1H−NMRを測定し、算出した。ポリスチレンの芳香族環に付加したプロトン5つの内、オルト位に付加した2つのプロトンとして帰属される6.2〜6.8ppmのピーク強度積分値から、プロトン5つに換算した値をブロック状スチレン量Wとした。
核磁気共鳴装置名:ブルカー・バイオスピン社製AVANCE−300
測定核種:1H、共鳴周波数:300MHz(1H)、測定溶媒:CDCl3
(GPPSブレンドシートの作製)
ブロック共重合体(A)、GPPS(B)、及び流動パラフィン(C)を表7、8に示した配合比率で混ぜて樹脂組成物とした。この樹脂組成物を用いて以下の手順でシート成形した。先端に幅40cmのTダイを取り付けた田辺プラスチックス社製φ40mm単軸押出機「VS40−26」を用い、押出温度200℃、Tダイ温度200℃、スクリュー回転数60rpmにて、配合例の樹脂を用いてシート押出を実施し、田辺プラスチックス社製「480型シーティング装置」を用い、冷却ロール温度50℃でシート厚0.6mmの単層シートを作製した。シートの厚みはダイのリップ開度で調整し、シートの引き取り速度は1.3m/分一定とした。ただしシートの引き取り速度は実施例26で1.0m/分、比較例11で2.0m/分へ変更した。また冷却ロール温度は実施例27で80℃、比較例12で25℃へ変更した。使用した樹脂について表7、8に示す。
上記で成形したシートを用い、容器成形した。「研究開発用圧空真空成形機」(浅野研究所社製)に、深さ19mmの部品トレー用金型をセットし、110℃で真空成形することで、容器を成形した。実施例、比較例共に問題なく成形可能であった。しかし比較例ではシート同様に、強度不足や透明性不足が発生した。
(複屈折)
位相差測定装置「KOBRA−WR」(王子計測機器社製)を用い、傾斜中心軸が遅相軸、偏光板透過軸とサンプルの遅相軸とのなす角θが30°での標準測定方法による面内位相差測定により、複屈折ΔNxyを測定し、試験回数10回中、明らかな異常値を排除した平均値を用いた。測定に必要なサンプルの屈折率NDは計算理論値を用いた。また位相差顕微鏡で観察することで、複屈折の符号が、実施例、比較例中の全てのサンプルで負となることを確認した。これらの測定により、シート成形時のMD分子配向度を確認した。
「インパクトテスター」(テスター産業社製)を用い、先端の直径が12.7mmの撃芯を使用して測定した。その他の測定条件はASTM D3420に準拠した。打ち抜けない場合は「>4.5」と記載した。
デュポン衝撃試験機「H−100」(東洋精機製作所社製)を用い、シートから切り出した60mm四方の試験片20枚を、受け台の上に置き、先端の直径が6.35mmの撃芯を試験片上に乗せ、撃芯上端に100gの錘を落下させ、目視により、シートに生じた割れの有無を調べ、エネルギー値に換算して求めた。なお、本測定の前に別の予備試験片2〜3枚を用いて、シートが破壊するおおよその落錘高さを求め、1枚目は予備測定の結果から定めた落錘高さで測定し、2枚目以降は直前の測定結果を基に、シートが割れなかった場合は落錘高さを5cm上げ、割れた場合は落錘高さを5cm下げ、同様に測定した。この操作を連続して20回行い、各回での落錘高さと割れの有無の記録から、以下に示した式によりデュポン衝撃強度を求めた。
X=(高さ×Aの枚数)の合計/Aの枚数(m) A:割れが生じないシート
Y=(高さ×Bの枚数)の合計/Bの枚数(m) B:割れが生じたシート
Z=(X+Y)/2(m)
デュポン衝撃強度(J)=0.1(kg)×9.8(m/s2)×Z(m)
MIT耐折疲労試験機「MIT−DA」(東洋精機製作所社製)を用い、MD×TD=100mm×10mmおよび10mm×100mmに切削したサンプルをそれぞれ6回ずつ測定し、その平均値を使用した。測定は折り曲げ角度左右45°、折り曲げ回数175回/分、加重1kgで実施した。測定平均が1,000回を超えた場合、「>1,000」と記載した。
テンシロン万能試験機「RTC−1210A」(エー・アンド・デイ社製)を用い、シートからJIS K6732に準拠したダンベル型試験片をMDが長手となるように切削し、初期チャック間隔50mm、引張速度10mm/min、23℃環境下でMDへ引っ張ることで測定を行い、試験回数7回の平均を測定値とした。
引張弾性率測定で得られた、試験回数7回中の最も平均的な一測定データを使用して作成した(平均値ではない)。伸度20%までに発生する降伏点の数を「降伏点数」とし、降伏点での応力(降伏応力)の内、最も大きい値となる降伏応力を「最大降伏応力」とし、S−Sカーブ上で伸度20%までに発生した全降伏点の後に発生する平坦箇所の応力を「降伏後の平坦箇所の応力」とした。
ソフトニング(MPa)=(最大降伏応力(MPa))−(降伏後の平坦箇所の応力(MPa))
濁度計「NDH2000」(日本電色工業社製)を用い、JIS K7136に準じて測定し、そのHAZE値を記載した。
Claims (7)
- ブロック共重合体A、汎用ポリスチレンB、及び流動パラフィンCを含有する樹脂組成物からなり、
ブロック共重合体Aが、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンからなるブロック共重合体を2種類以上含有し、200℃、49N荷重の条件で測定したメルトマスフローレートMFRが10〜30g/10分であり、
汎用ポリスチレンBが、示差屈折率法でのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られるピークトップ分子量Mpが、230,000〜400,000であり、
ブロック共重合体A及び汎用ポリスチレンBの含有量が、ブロック共重合体A及び汎用ポリスチレンBの総量100質量%に対して、それぞれ、15質量%〜85質量%であり、
流動パラフィンCの含有量が、ブロック共重合体A及び汎用ポリスチレンBの総量100質量%に対して、0.6質量%〜10質量%であり、
流れ方向の応力−ひずみ線図における降伏点が、2つ以上存在し、
流れ方向の応力−ひずみ線図における最大降伏応力と降伏後の平坦箇所の応力との差であるソフトニングが、5.0MPa以下であり、
複屈折の絶対値|ΔNxy|が、8.0×10−4以下である、成形体。 - ブロック共重合体Aが、共役ジエンの含有割合が20質量%〜35質量%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率が85%〜100%であり、示差屈折率法でのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.1〜3.5であり、
汎用ポリスチレンBが、示差屈折率法でのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られる重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.9〜2.4であり、
流動パラフィンCが、JIS K2283で規定された測定方法で測定した40℃動粘度が61.2mm2/s〜110mm2/sである、請求項1に記載の成形体。 - ブロック共重合体Aが、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンからなるブロック共重合体a1、及び、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンからなるブロック共重合体a2を含有し、
ブロック共重合体a1が、ゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、ピークトップ分子量Mpが105,000〜250,000の範囲に、少なくとも1つのピークを有し、
ブロック共重合体a2が、ゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、ピークトップ分子量Mpが40,000〜140,000の範囲に、少なくとも1つのピークを有する、請求項1又は2に記載の成形体。 - ブロック共重合体a1中の共役ジエンの含有割合が、10質量%〜20質量%であり、
ブロック共重合体a2中の共役ジエンの含有割合が、27質量%〜40質量%である、請求項3に記載の成形体。 - ブロック共重合体a1及びa2の質量比a1/a2が、15/85以上60/40以下である、請求項3又は4に記載の成形体。
- ビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、共役ジエンが1,3−ブタジエンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の成形体。
- シート又は容器である、請求項1から6のいずれか一項に記載の成形体。
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