JP6563738B2 - ブロック共重合体、その組成物及びそれを用いた熱収縮性フィルム - Google Patents
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(1)ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して15質量%以下である。
(2)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるランダム共重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの質量比が82/18〜90/10であり、該ランダム共重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して50質量%〜80質量%である。
(3)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるテーパードブロックを少なくとも1個有し、該テーパードブロックに含有される共役ジエンの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して5質量%〜20質量%である。
本発明に係るブロック共重合体(以下、単に、本発明のブロック共重合体ともいう。)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体であって、以下の(1)〜(3)の要件を満たすことが必要である。
(1)ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して15質量%以下である。
(2)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるランダム共重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの質量比が82/18〜90/10であり、該ランダム共重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して50質量%〜80質量%である。
(3)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるテーパードブロックを少なくとも1個有し、該テーパードブロックに含有される共役ジエンの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して5質量%〜20質量%である。
ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを、少なくとも1個有している。ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックは、ビニル芳香族炭化水素単量体からなるブロック構造である。
ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダム共重合体ブロックを、少なくとも1個有している。このランダム共重合体ブロックは、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とが不規則に配列してなるブロック構造である。
ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのテーパードブロックを、少なくとも1個有している。テーパードブロックは、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位の構成割合が連続的に変化する(テーパー状に漸減する)ブロック構造である。テーパードブロックの構成は、添加するビニル芳香族炭化水素モノマー及び共役ジエンモノマーの組成(量)によって制御できる。
ブロック共重合体及びブロック共重合体組成物には、必要に応じて、さらに各種の添加剤を配合することができる。すなわち、ブロック共重合体が各種の加熱処理を受ける場合や、その成形品などが酸化性雰囲気や紫外線などの照射下にて使用され、物性が劣化することに対処するため、或いは、使用目的に適した物性をさらに付与するため、例えば、安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候性向上剤、軟化剤、可塑剤、顔料、鉱油、フィラー、難燃剤などの添加剤を添加できる。
ブロック共重合体は、上記(1)〜(3)を満たす各ブロック部を有していればよく、各ブロック部の順序は特に限定されない。ブロック共重合体は、例えば、(1)を満たすビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロック、(2)を満たすランダム共重合体ブロック、及び(3)を満たすテーパードブロックからなるセグメントを少なくとも1つ有する構造とすることができる。収縮応力低減の観点から、(1)を満たすビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを、端部に有する構造であることが好ましい。ブロック共重合体は、その他のブロック部を有していてもよい。
次に、ブロック共重合体の製造について説明する。ブロック共重合体は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、必要に応じてランダム化剤を共存させてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのモノマーをアニオン重合することにより製造できる。各重合体ブロックの組成及び含有割合は、ビニル芳香族炭化水素モノマー及び共役ジエンモノマーの、添加量と添加方法とにより制御することができる。
本発明におけるブロック共重合体の分子量は、モノマーの全添加量に対する重合開始剤の添加量により制御できる。
本発明に係るブロック共重合体組成物(以下、単に、本発明のブロック共重合体組成物ともいう。)は、上記した本発明のブロック共重合体を含む樹脂組成物である。ブロック共重合体組成物は、本発明のブロック共重合体を2種以上配合した樹脂組成物であってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、少なくとも1種の本発明のブロック共重合体と、他のブロック共重合体とを配合した樹脂組成物であってもよい。他のブロック共重合体としては、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体を挙げることができ、その組成は特に限定されない。
ブロック共重合体組成物は、上記した本発明のブロック共重合体を2種以上混合して、又は少なくとも1種の本発明のブロック共重合体と、他のブロック共重合体とを混合して製造することができる。各成分の混合方法は、特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融してペレット化してもよい。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理等の段階で、添加してもよい。
本発明に係る熱収縮フィルム(以下、単に、本発明の熱収縮フィルムともいう。)は、上記した本発明のブロック共重合体又はブロック共重合体組成物を含む層を少なくとも1層有する。ブロック共重合体又はブロック共重合体組成物を含む層の厚さは、特に限定されず、例えば、15μm〜60μmとすることができる。
熱収縮フィルムの製造方法としては、従来既知の任意の方法を用いることができる。例えば、本発明のブロック共重合体又はブロック共重合体組成物を、Tダイ式の単軸押出機でシート状に押し出した後、延伸して所定の厚さのフィルムを得ることができる。或いは、本発明のブロック共重合体又はブロック共重合体組成物と、他の層を構成する樹脂とを共押出しした後、延伸して所定の厚さに製膜することで製造することもできる。
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン250.0kg、テトラヒドロフラン(THF)35.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液750mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を80℃に上げてスチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総質量55.9kgのスチレン、および総質量9.1kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ55.9kg/h、9.1kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、1,3−ブタジエン12.5kg、及びスチレン14.5kgを一括添加し、引き続きこれを反応させた。
(6)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、スチレン4.0kgを一括添加し、重合を完結させた。
(7)全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのランダムブロック部、スチレンとブタジエンのテーパードブロック部をもつ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例1のブロック共重合体を得た。上記重合例1について、その要点を表1にまとめて示す。
上記重合例1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができる。従って、下記の表1に示した条件以外は、重合例1と同様に実施することにより、重合例2〜9のブロック共重合体樹脂組成物を得た。上記重合例2〜9について、その要点を表1にまとめて示す。
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン250.0kg、テトラヒドロフラン(THF)35.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液750mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を50℃に上げてスチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、1,3−ブタジエン12.5kg、及びスチレン14.5kgを一括添加し、引き続きこれを反応させた。
(5)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量55.9kgのスチレン、および総量9.1kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ55.9kg/h、9.1kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(6)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、スチレン4.0kgを一括添加し、重合を完結させた。
(7)全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック部、スチレンとブタジエンのテーパードブロック部、スチレンとブタジエンのランダムブロック部をもつ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例10のブロック共重合体を得た。上記重合例10について、その要点を表1にまとめて示す。
以下の(1)〜(9)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン250.0kg、テトラヒドロフラン(THF)35.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液750mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を80℃に上げてスチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量55.9kgのスチレン、および総量9.1kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ55.9kg/h、9.1kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、1,3−ブタジエン12.5kg、及びスチレン14.5kgを一括添加し、引き続きこれを反応させた。
(6)スチレン及びブタジエンガスが完全に消費された後、スチレン4.0kgを一括添加し、引き続きこれを反応させた。
(7)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に保ちながら、エポキシ化大豆油アデカサイザーO−130P(ADEKA社)の25質量%シクロヘキサン溶液を600g添加し、30分間カップリング反応を行った。
(8)全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロック部、スチレンとブタジエンのテーパードブロック部をもつ重合体を含む重合液を得た。
(9)この重合液を脱揮して、重合例11のブロック共重合体を得た。上記重合例11について、その要点を表1にまとめて示す。
上記重合例1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができる。したがって、下記の表1に示した条件以外は、重合例1と同様に実施することにより、重合例12〜18のブロック共重合体を得た。上記重合例12〜18について、その要点を表2にまとめて示す。
ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックのブロック共重合体中の含有割合、ランダム共重合体ブロックのブロック共重合体中の含有割合、及び、テーパードブロックに含有される共役ジエンのブロック共重合体中の含有割合を、表1及び表2にまとめて示した。
実施例1〜14、比較例1〜7として、上記の重合例1〜18で得られた各重合体を単味、または他の重合例との組成物として用い、表3の配合で一旦溶融混練して再度ペレット状の樹脂組成物とした後、後述する試験に供した。かかるブロック共重合体樹脂組成物は、2種類のブロック共重合体を十分にペレットブレンド(ドライブレンド)した後、田端機械工業株式会社製単軸スクリュー(スクリュー径:40mm、ダルメージタイプ)型押出機を用い、溶融温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーにてペレット化した。
熱収縮率は、下記の方法で測定した。
(1)延伸フィルムから、MD幅が100mm、TD幅が100mmの試験片を切り出した。
(2)温度を70℃、80℃、又は100℃に保った温水中に、それぞれ、この試験片を10秒間、完全に浸漬させた後、取り出し、直ちに水冷した。水冷後の試料片は、水分を十分に拭き取り、TDの長さL(mm)を測定した。
(3)次式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)={(100.0−L)/100.0}×100
延伸フィルムを80℃のシリコーンオイル中に浸漬し、株式会社東洋精機製作所製熱収縮応力試験機を使用して得られた収縮力のピーク値を、試料断面積で割って求めた。
テスター産業株式会社製フィルムインパクトテスター(打ち抜きヘッド:25R)を使用して、フィルムの打ち抜きに要したエネルギー値を測り、さらに値毎に破壊箇所のフィルム厚みで割って求めた。
引張弾性率は、下記の方法で測定した。
(1)延伸フィルムから、MD幅が100mm、TD幅が10mmの短冊状の試料片を切り出した。
(2)株式会社オリエンテック製テンシロン万能材料試験機を使用し、切り出した試料片を、測定温度23℃、引張速度200mm/minでMDに引張りを与え、引張弾性率を測定した。
延伸フィルム外観を目視確認し、ブツの数を以下の基準に従って評価した。なお、「ブツ」とは、製膜時に発生する熱劣化ゲルのことであり、ブツが多いと熱収縮性フィルムの外観が悪化するため好ましくない。
A:ブツが少ない(フィルムの表面にブツが点在した)
B:ブツがやや多い
C:ブツが多い(フィルムの表面全体にブツが見られた。)
ハンドリング性は、以下に従いブロッキングの発生状態によって評価した。上記単軸押出機を用いて押出を行い、ペレタイザーでペレット化させた樹脂を、25kgずつ紙袋へ袋詰めを行い、室温まで十分に冷却させた後のペレットのブロッキング状態を以下の基準で評価し、表4及び表5に合わせて示した。
A:ブロッキングしていない
B:わずかにブロッキングしているが、軽い力でほぐれる
C:ブロッキングしており、強い力を掛けないと崩すのが困難である
Claims (3)
- 下記(1)〜(3)を満たし、(1)を満たすビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを端部に有する構造であることを特徴とするブロック共重合体。
(1)ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ビニル芳香族炭化水素からなる重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して15質量%以下である。
(2)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるランダム共重合体ブロックを少なくとも1個有し、該ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの質量比が82/18〜90/10であり、該ランダム共重合体ブロックの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して50質量%〜80質量%である。
(3)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるテーパードブロックを少なくとも1個有し、該テーパードブロックに含有される共役ジエンの含有割合が、ブロック共重合体100質量%に対して5質量%〜17質量%である。 - 請求項1に記載のブロック共重合体を50質量%〜100質量%含有するブロック共重合体組成物。
- 請求項1に記載のブロック共重合体又は請求項2に記載のブロック共重合体組成物を含む層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルム。
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