JP6513488B2 - シュリンクフィルム用樹脂組成物、シュリンクフィルム及びシュリンクフィルムを装着した容器 - Google Patents

シュリンクフィルム用樹脂組成物、シュリンクフィルム及びシュリンクフィルムを装着した容器 Download PDF

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Description

本発明は、シュリンクフィルムの作製に適したビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体を含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を用いて作製したシュリンクフィルム、及び該シュリンクフィルムを装着した容器に関する。
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなり、ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的高いブロック共重合体を含有する樹脂組成物、とりわけ、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体含有樹脂組成物は、その成形体が優れた熱収縮性を有することから、シュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)の作製に使用されている。
特開2003−313259号公報 特開2004−269743号公報 特開2005−213520号公報 国際公開第2012/117964号 特表2008−527123号公報(国際公開第2006/074819号) 特表2011−525561号公報(国際公開第2009/156378号) 特開2001−354827号公報 特開2009−114308号公報 特表2010−512451号公報 特開2013−173958号公報
本発明は、高温での熱収縮性、耐自然収縮性(常温での寸法安定性)、剛性、強度、透明性が良好であるだけでなく、冷蔵庫内を想定した低温での伸度に優れるシュリンクフィルム用樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を達成するべく種々の研究を行った結果、ブロック構造、ランダムブロック中の共役ジエン質量比、及びブロック共重合体全体の共役ジエンの質量比がそれぞれ特定の範囲を有する3種類のブロック共重合体(A)〜(C)を含有する樹脂組成物中のブロック共重合体(A)〜(C)の配合質量比、及び樹脂組成物全体の共役ジエン質量比が特定の範囲を有することにより、上記の課題が達成し得ることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明に係るシュリンクフィルム用樹脂組成物は、下記(1)〜(3)で規定されたビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(A)〜(C)を含有する組成物であり、ブロック共重合体(A)〜(C)の含有割合が、ブロック共重合体(A)〜(C)の総量100質量%に対して各々30質量%〜40質量%であり、かつ組成物全体における共役ジエンの含有割合が14.6質量%〜22.1質量%であることを特徴とする。
(1)下記(a1−1)〜(a1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(A)。
(a1−1)ブロック構造が、下記一般式で表される。
S−R−S
(一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックである。)
(a1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
(a1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、4.8質量%〜14.4質量%である。
(2)下記(b1−1)〜(b1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(B)。
(b1−1)ブロック構造が、下記一般式で表される。
S−R−T−S
(一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Tはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックである。)
(b1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
(b1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、22.7質量%〜31.5質量%である。
(3)下記(c1−1)〜(c1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(C)。
(c1−1)ブロック構造が下記一般式で表される。
(S−R−B−S)n−X
(一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Bは共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表し、Xはカップリング剤残基を表す。)
(c1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
(c1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、16.2質量%〜20.5質量%である。
本発明において、ブロック共重合体(A)が下記(a2)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b2)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c2)を満たすことが好ましい。
ブロック共重合体(A)
(a2)ピークトップ分子量(Mp)が、180,000〜300,000である。
ブロック共重合体(B)
(b2)ピークトップ分子量(Mp)が、120,000〜170,000である。
ブロック共重合体(C)
(c2)カップリング前のピークトップ分子量(Mp)が、60,000〜110,000である。
本発明において、ブロック共重合体(A)が下記(a3)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b3)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c3)を満たすことが好ましい。
ブロック共重合体(A)
(a3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
nBu−S1−R1−S2
(一般式中、S1、S2はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
ブロック共重合体(B)
(b3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
nBu−S3−R2−T1−S4
(一般式中、S3、S4はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R2はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、T1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックであり、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
ブロック共重合体(C)
(c3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
(nBu−S5−R3−B1−S6)n−X
(一般式中、S5、S6はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R3はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、B1は共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表し、Xはカップリング剤残基を表し、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
本発明において、ブロック共重合体(A)が下記(a4)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b4−1)及び(b4−2)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c4)を満たすことが好ましい。
ブロック共重合体(A)
(a4)S1及びS2のピークトップ分子量(Mp)が、3,600〜6,000である。
ブロック共重合体(B)
(b4−1)S3のピークトップ分子量(Mp)が、2,400〜3,400であり、S4のピークトップ分子量が12,000〜17,000である。
(b4−2)T1中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、35/65〜45/55である。
ブロック共重合体(C)
(c4)S5のピークトップ分子量(Mp)が、24,000〜44,000であり、S6のピークトップ分子量(Mp)が1,800〜3,300である。
本発明において、前記ビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、共役ジエンが1,3−ブタジエンであることが好ましい。
また、本発明に係るシュリンクフィルムは、上記樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする。このシュリンクフィルムは、上記シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層と熱可塑性樹脂からなる層とを積層した多層構造とすることもできる。この場合において、シュリンクフィルム全体における、前記熱可塑性樹脂/前記シュリンクフィルム用樹脂組成物の質量比が、5/95〜50/50であることが好ましい。
また、本発明に係る容器は、上記シュリンクフィルムを装着したことを特徴とする。
本発明に係るビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体含有樹脂組成物を用いることで、熱収縮性、耐自然収縮性(常温での寸法安定性)、剛性、強度、透明性が良好であるだけでなく、冷蔵庫内を想定した低温環境下での伸度に優れるシュリンクフィルムを作製することができる。
以下、本発明に係るシュリンクフィルム用樹脂組成物、シュリンクフィルム及び容器について説明する。なお、本発明は、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
[シュリンクフィルム用樹脂組成物]
本発明に係るシュリンクフィルム用樹脂組成物は、以下に規定する3種類のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(A)〜(C)を含有する組成物である。なお、効果を妨げない範囲で、添加剤や他の樹脂を併用しても良い。本発明が上記効果を奏するメカニズムは現段階では明らかではないが、後記する実施例と比較例との対比からわかるように、本発明の樹脂組成物が、所定の要件を満たす場合に、上記の効果を達成することができる。
シュリンクフィルム用樹脂組成物中のブロック共重合体(A)〜(C)の含有割合は、ブロック共重合体(A)〜(C)の総量100質量%に対して各々30質量%〜40質量%である。含有割合が規定の範囲から外れると、耐自然収縮性、剛性、強度、伸度などの物性が低下するため好ましくない。
シュリンクフィルム用樹脂組成物中の共役ジエンの含有割合は、14.6質量%〜22.1質量%である。共役ジエンの含有割合が14.6質量%未満では樹脂組成物の熱収縮性、強度、伸度が低下するため好ましくない。一方、共役ジエンの含有割合が22.1質量%を超える場合には、耐自然収縮性、剛性が低下するため好ましくない。なかでも、共役ジエンの含有割合は、好ましくは18.4質量%〜22.1質量%であり、さらに好ましくは18.4質量%〜19.2質量%である。
<ブロック共重合体(A)〜(C)>
ブロック共重合体(A)〜(C)は、いずれも、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体である。ブロック共重合体(A)〜(C)は、それぞれ、特定のブロック構造を有し、ビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が特定の範囲内であるとともに、共役ジエンの含有量が特定の範囲内である。
ブロック共重合体(A)〜(C)のブロック構造は、ビニル芳香族炭化水素からなるブロック(S)、共役ジエンからなるブロック(B)、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるランダムブロック(R)(以下、単に「ランダムブロック」ということがある。)、及びビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるテーパードブロック(T)(以下、単に「テーパードブロック」ということがある。)を特定の組み合わせで有する構造である。
ビニル芳香族炭化水素からなるブロック(S)、及び共役ジエンからなるブロック(B)は、文字通り、ビニル芳香族炭化水素単量体単位からなるブロック構造、及び共役ジエン単量体単位からなるブロック構造であり、それぞれ、ビニル芳香族炭化水素モノマー又は共役ジエンモノマーをアニオン重合することにより生成される。
ランダムブロック(R)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とが不規則に配列してなるブロック構造である。ランダムブロックは、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを一定流量で添加して重合することにより、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンをランダムに重合することにより生成される。ランダムブロック部のランダム化状態は、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの添加速度、温度及びランダム化剤の濃度で調整することができる。
テーパードブロック(T)は、ビニル芳香族炭化水素単量体単位と共役ジエン単量体単位とがテーパ―状に配列してなるブロック構造である。テーパードブロックは、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを同時に添加し、ビニル芳香族炭化水素の反応性と共役ジエンの反応性の違いを利用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを同時に重合することにより生成される。テーパードブロック部分の組成比率は、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの仕込み比率で調整することができる。
ここで使用されるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。なかでも、スチレンが好ましい。ビニル芳香族炭化水素は、1種のみならず2種以上用いてもよい。
また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン,2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。なかでも、好ましくは1,3−ブタジエン又はイソプレンが好ましい。共役ジエンは、1種のみならず2種以上用いてもよい。
(1) ブロック共重合体(A)
本発明の樹脂組成物を構成するブロック共重合体(A)は、以下の特徴を有する。
(a1−1)ブロック構造が下記一般式で表される。
S−R−S
上記一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックである。ブロック共重合体(A)がこのような化学構造を有することにより、本発明の樹脂組成物を用いて作製されたシュリンクフィルムの耐自然収縮性、強度等の物性バランスが優れるようになる。
(a1−2)上記一般式中、Rで表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である必要がある。好ましくは85/15〜91/9であり、特に85/15〜87/13では伸度が良好であり、87/13〜91/9では剛性が良好である。共役ジエンの質量比が15を超えると耐自然収縮性が低下するため好ましくなく、9未満では熱収縮性、強度、低温伸度が低下するため好ましくない。
(a1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、4.8質量%〜14.4質量%である必要がある。好ましくは8.6質量%〜14.4質量%であり、特に8.6質量%〜12.2質量%では剛性が良好であり、12.2質量%〜14.4質量%では伸度が良好である。共役ジエンの含有割合が14.4質量%を超えると耐自然収縮性が低下するため好ましくなく、4.8質量%未満では熱収縮性、強度、伸度が低下するため好ましくない。
(a2)ピークトップ分子量(Mp)が、180,000〜300,000であることが好ましい。300,000以下の場合は、成形加工性の低下を防ぐことができる。180,000以上の場合は、強度の低下を防いで良好な強度を維持することができる。
(a3)ブロック構造が、下記一般式で表されることが好ましい。
nBu−S1−R1−S2
上記一般式中、S1、S2は、ビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、nBuは、開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。
(a4)上記一般式中、S1及びS2のピークトップ分子量が3,600〜6,000であることが好ましい。6,000以下の場合は、S1及びS2の分子量が大きい場合に生じる場合がある、ハードセグメント相との相溶性向上による絡み合いの促進を抑制し、Tg(ガラス転移温度)向上による熱収縮率低下を防いで、良好な熱収縮性を維持することができる。3,600以上の場合は、ハードセグメント相との相溶性の低下を防いで、強度をより良好に維持することができる。
(2) ブロック共重合体(B)
ブロック共重合体(B)は、以下の特徴を有する。
(b1−1)ブロック構造が下記一般式で表される。
S−R−T−S
上記一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Tはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックである。ブロック共重合体(B)がこのような化学構造を有することにより、本発明の樹脂組成物を用いて作製されたシュリンクフィルムの異物(フィッシュ・アイ)を低減することができ、強度、伸度等の物性バランスが優れるようになる。
(b1−2)上記一般式中、Rで表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である必要がある。85/15〜87/13では伸度が良好であり、87/13〜95/5では剛性が良好である。好ましくは87/13〜95/5であり、より好ましくは87/13〜94/6である。共役ジエンの質量比が15を超えると耐自然収縮性、剛性が低下するため好ましくなく、5未満では強度、伸度が低下するため好ましくない。
(b1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、22.7質量%〜31.5質量%である必要がある。特に22.7質量%〜26.0質量%では剛性が良好であり、26.0質量%〜31.5質量%では伸度が良好である。好ましくは22.7質量%〜28.4質量%であり、より好ましくは26.0質量%〜28.4質量%である。共役ジエンの含有割合が31.5質量%を超えると耐自然収縮性、剛性が低下するため好ましくなく、22.7質量%未満では強度、伸度が低下するため好ましくない。
(b2)ピークトップ分子量(Mp)が、120,000〜170,000であることが好ましい。170,000以下の場合は、熱安定性の低下による異物(フィッシュ・アイ)の増加を防ぐことができる。120,000以上の場合は、強度の低下を防いで良好な強度を維持することができる。
(b3)ブロック構造が下記一般式で表されることが好ましい。
nBu−S3−R2−T1−S4
上記一般式中、S3、S4はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R2はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、T1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックであり、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。
(b4−1)上記一般式中、S3のピークトップ分子量(Mp)が、2,400〜3,400であり、S4のピークトップ分子量(Mp)が12,000〜17,000であることが好ましい。S3のピークトップ分子量(Mp)が3,400以下、又はS4のピークトップ分子量(Mp)が17,000以下の場合は、ハードセグメント相との相溶性向上による絡み合いが促進されることがなく、Tg(ガラス転移温度)向上による熱収縮率低下を防いで、良好な物性を維持することができる。S3のピークトップ分子量(Mp)が2,400以上、又はS4のピークトップ分子量(Mp)が12,000以上の場合は、ハードセグメント相との相溶性低下による強度低下などの物性低下を防いで、良好な物性を維持することができる。
(b4−2)上記一般式中、T1中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、35/65〜45/55であることが好ましい。共役ジエンの質量比が65以下の場合は、耐自然収縮性、剛性の低下を防いで良好な耐自然収縮性、剛性を維持することができる。55以上の場合は、強度、伸度の低下を防いで良好な強度、伸度を維持することができる。
(3) ブロック共重合体(C)
ブロック共重合体(C)は、以下の特徴を有する。
(c1−1)ブロック構造が下記一般式で表される。
(S−R−B−S)n−X
上記一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Bは共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表す。nは1以上の整数であり、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。Xはカップリング剤残基を表す。ブロック共重合体(C)が上記化学構造を有することにより、本発明の樹脂組成物で得られる熱収縮性、強度、伸度等の物性バランスが優れるようになる。
(c1−2)上記一般式中、Rで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である必要がある。85/15〜93/7では伸度が良好であり、93/7〜95/5では剛性が良好である。好ましくは87/13〜95/5であり、より好ましくは87/13〜93/7である。共役ジエンの質量比が15を超えると耐自然収縮性、剛性が低下するため好ましくなく、5未満では熱収縮性、強度、伸度が低下するため好ましくない。
(c1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、16.2質量%〜20.5質量%である必要がある。特に16.2質量%〜17.1質量%では剛性が良好であり、17.1質量%〜20.5質量%では伸度が良好である。好ましくは16.2質量%〜19.5質量%であり、より好ましくは17.1質量%〜19.5質量%である。共役ジエン質量比が20.5質量%を超えると耐自然収縮性、剛性が低下するため好ましくなく、16.2質量%未満で熱収縮性、強度、伸度が低下するため好ましくない。
(c2)カップリング前のピークトップ分子量(Mp)が、60,000〜110,000であることが好ましい。110,000以下の場合は、熱安定性の低下による異物(フィッシュ・アイ)増加を防ぐことができる。60,000以上の場合は、強度の低下を防いで良好な強度を維持することができる。
(c3)ブロック構造が下記一般式で表されることが好ましい。
(nBu−S5−R3−B1−S6)n−X
上記一般式中、S5、S6はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R3はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、B1は共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表す。nは1以上の整数であり、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。Xはカップリング剤残基を表し、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。
(c4)上記一般式中、S5のピークトップ分子量(Mp)が、24,000〜44,000であり、S6のピークトップ分子量(Mp)が、1,800〜3,300であることが好ましい。S5、S6のピークトップ分子量(Mp)が、それぞれ44,000以下及び3,300以下の場合は、高粘度化に伴う押出成形適性低下などの成形加工性の低下を防ぐことができる。S5、S6のピークトップ分子量(Mp)が、それぞれ24,000以上及び1,800以上の場合は、ハードセグメント相との相溶性低下による強度低下などの物性低下を防いで良好な物性を維持することができる。
ブロック共重合体(C)は、上記した所定のブロック構造を有するブロック共重合体をカップリング剤によってカップリングして得られたブロック共重合体である。カップリングとは、ポリマー鎖の片末端に位置するリビング活性部位とカップリング剤分子中の反応部位との間に共有結合が生じ、それにより2本以上のポリマー鎖同士が1つのカップリング剤分子を介して結合することをいう。この操作により、スター(ラジアル)構造のブロック共重合体を含むブロック共重合体を得ることができる。
カップリング剤は、リビング活性部位が攻撃しうる反応部位を1分子当たり2個以上有する化合物である。カップリング剤は、限定されないが、ジメチルジクロロシラン、四塩化ケイ素や1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン系化合物;ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラフェノキシシラン等のアルコキシシラン系化合物;四塩化スズ;ポリハロゲン化炭化水素;カルボン酸エステル;ポリビニル化合物;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化油脂;などが挙げられる。好ましくはエポキシ化油脂、さらに好ましくはエポキシ化大豆油が挙げられる。
なかでも、取り扱いの容易さ及びカップリング反応制御の観点から、1分子当たり2個の反応部位を有する二官能性カップリング剤、1分子当たり3個の反応部位を有する三官能性カップリング剤、又は1分子当たり4個の反応部位を有する四官能性カップリング剤等の、多官能のカップリング剤が好ましい。
1分子当たり2個の反応部位を有する二官能性カップリング剤としては、ジメチルジクロロシランやジメチルジメトキシシラン等が挙げられ、1分子当たり3個の反応部位を有する三官能性カップリング剤としては、メチルトリクロロシランやメチルトリメトキシシラン等が挙げられる。1分子当たり4個の反応部位を有する四官能性カップリング剤としては、テトラクロロシランやテトラメトキシシラン及びテトラフェノキシシラン等がある。また、エポキシ化油脂は、1分子当たり3個のエステル基を有する他、3個の長鎖アルキル基側には長鎖アルキル基1個あたり0〜3個のエポキシ基を有することから、多官能性のカップリング剤として用いることができる。
カップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の多官能性カップリング剤を併用してもよい。また1種以上の二官能性カップリング剤と1種以上の多官能性カップリング剤との併用も可能である。好ましくは多官能性カップリング剤を1種単独で用いるのがよい。
また、カップリング剤におけるリビング活性部位が攻撃しうる反応部位は、必ずしも全反応部位が反応する必要はなく、一部は反応せずに残ってもよい。さらにブロック共重合体が有する全てのリビング活性部位を片末端に持つポリマー鎖が、カップリング剤の反応部位と全て反応している必要はなく、反応せずに残ったポリマー鎖が最終的に生成したブロック共重合体(C)に残ってもよい。そして、最終的に生成したブロック共重合体(C)中には、使用したカップリング剤の反応部位が完全に反応した(つまり、全ての反応部位が反応した)際に見込まれる分岐数よりも、少ない分岐数を有するブロック共重合体が混在していても構わないし、リビング活性部位にカップリング剤が置き換わっただけの、片末端にカップリング剤のみが結合したポリマー鎖が最終生成ブロック共重合体に混在していても構わない。むしろ最終生成ブロック共重合体(C)が、使用したカップリング剤の反応サイトが完全に反応した際に見込まれる分岐数に等しい分岐数を持つブロック共重合体、使用したカップリング剤の反応サイトが完全に反応した際に見込まれる分岐数よりも少ない分岐数を有するブロック共重合体、リビング活性部位にカップリング剤が置き換わって結合しただけのポリマー鎖、及びカップリング剤の反応サイトと反応せずに残ったポリマー鎖のいずれか2種以上が混在したものであるほうが、良好な成形加工性を得る点で好ましい。
ブロック共重合体(C)を製造する際に用いるカップリング剤の添加量は、任意でよいが、好ましくはリビング活性末端に対してカップリング剤の反応部位が化学量論量以上で存在するように設定する。具体的には、カップリング工程前の重合液中に存在するリビング活性末端のモル数に対して1当量〜2当量の反応部位が存在するようにカップリング剤の添加量を設定するのが好ましい。
<ブロック共重合体(A)〜(C)の製造方法>
ブロック共重合体(A)〜(C)の製造について説明する。ブロック共重合体(A)〜(C)は、ビニル芳香族炭化水素及び/又は共役ジエンのモノマーをそれぞれのブロック構造に合わせて選択し、公知の方法によってアニオン重合することにより製造できる。
ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンは、前記したものを使用することができ、それぞれ1種又は2種以上を選んで重合に用いることができる。アニオン重合は、有機溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤とするリビングアニオン重合によって行う。このリビングアニオン重合において、重合反応に供したビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンは、ほぼ全量が重合体に転化する。本発明におけるブロック共重合体の分子量は、モノマーの全添加量に対する重合開始剤の添加量により制御できる。また、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを重合し、ブロック共重合体を作製する際のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの供給速度やランダム化剤の添加量により制御できる。
有機溶媒は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、又はエチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素などが使用できる。ブロック共重合体の溶解性の点で、シクロヘキサンが好ましい。
重合開始剤は、有機リチウム化合物を用いる。有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのような単官能有機リチウム化合物、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムのような多官能有機リチウム化合物等が使用できる。
モノマーの全添加量に対する重合開始剤の添加量を調整することで、本発明におけるブロック共重合体(A)〜(C)の分子量を適宜制御できる。
ランダム化剤は、反応中でルイス塩基として作用する化合物であり、アミン類;エーテル類;チオエーテル類;ホスホルアミド;アルキルベンゼンスルホン酸塩;フォスフィン類;その他にカリウム又はナトリウムのアルコキシド;などが使用可能である。アミン類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;環状第三級アミン;などが挙げられる。エーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などが挙げられる。ホスホルアミドとしては、例えばヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸カリウム又はアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。ホスフィン類としては、トリフェニルフォスフィンなどが挙げられる。カリウム又はナトリウムのアルコキシドとしては、カリウム、ナトリウム等のブトキシドなどが挙げられる。好ましくはテトラヒドロフラン(THF)である。
ランダム化剤は1種、又は複数の種類を使用することができる。その添加濃度としては、原料とするモノマー100質量部あたり0.001質量部〜10質量部とすることが好ましい。添加時期は重合反応の開始前でもよいし、共重合鎖の重合前でもよい。また必要に応じて追加添加することもできる。
このようにして得られたブロック共重合体を、水、アルコール、二酸化炭素などの重合停止剤をリビング活性末端が不活性化するのに充分な量を添加することで不活性化して、リニア(鎖状)構造のブロック共重合体(A)、(B)を得ることができる。一方、ブロック共重合体(C)は、全モノマーを添加し、反応が完結した後、リビング活性末端を不活性化させる前に、上記したカップリング剤を添加しカップリングを実施することで得ることができる。
ブロック共重合体(A)〜(C)含有有機溶媒溶液からブロック共重合体(A)〜(C)を回収する方法としては、メタノール等の貧溶媒により析出させる方法、加熱ロール等により溶媒を蒸発させて析出させる方法(ドラムドライヤー法)、濃縮器により溶液を濃縮した後にベント式押出機で溶媒を除去する方法、溶液を水に分散させ、水蒸気を吹き込んで溶媒を加熱除去して共重合体を回収する方法(スチームストリッピング法)等、任意の方法が採用できる。
<その他の添加剤>
シュリンクフィルム用樹脂組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を配合できる。すなわち、シュリンクフィルム用樹脂組成物が各種の加熱処理を受ける場合や、その成形品などが酸化性雰囲気や紫外線などの照射下にて使用され、物性が劣化することに対処するため、あるいは、使用目的に適した物性をさらに付与するため、例えば、安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候性向上剤、軟化剤、可塑剤、顔料、鉱油、フィラー、難燃剤などの添加剤を添加できる。
安定剤としては、例えば2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤;2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイトなどのリン系酸化防止剤;などが挙げられる。
また、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸;パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどの脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール脂肪酸エステル;さらにエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどの脂肪酸アミド;エチレンビスステアリン酸アミド;またグリセリン−モノ−脂肪酸エステル;グリセリン−ジ−脂肪酸エステル;その他にソルビタン−モノ−パルミチン酸エステル、ソルビタン−モノ−ステアリン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどに代表される高級アルコール;耐衝撃性ポリスチレン(HIPS);ホワイトオイルやミネラルオイルなどの流動パラフィン;シリコーンオイル;マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
さらに耐候性向上剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシベンゾエートなどのサリシレート系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;また、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン型耐候性向上剤;が例として挙げられる。
これらの添加剤の含有量は、本発明の樹脂組成物中、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは0質量%〜3質量%の範囲であることが望ましい。添加剤の混合方法は、特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー等でドライブレンドしてもよく、更に押出機で溶融してペレット化してもよい。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理等の段階で、添加してもよい。
<用途>
シュリンクフィルム用樹脂組成物は、従来既知の任意の成形加工方法、例えば、押出成形、射出成形、中空成形などによってシート、フィルムを含む各種形状の押出成形品、射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、二軸延伸成形品等、極めて多種多様にわたる実用上有用な製品に容易に成形加工できる。
[シュリンクフィルム]
本発明に係るシュリンクフィルムは、上記したシュリンクフィルム用樹脂組成物を用いて形成されたシュリンクフィルムである。シュリンクフィルムは、上記したシュリンクフィルム用樹脂組成物からなる単層構造でもよく、以下に述べるような多層構造でもよい。単層構造のシュリンクフィルムは、例えば、上記シュリンクフィルム用樹脂組成物を、公知の方法によって一軸延伸又は二軸延伸して作製することができる。一軸延伸又は二軸延伸の際の方式は、例えば、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いることができる。例えば、流れ方向(MD)に対して垂直となる方向(TD)に実質的に一軸延伸されたフィルムの延伸処理は、70℃〜100℃程度の温度で、必要に応じてMDに例えば1.01倍〜1.5倍、好ましくは1.05倍〜1.3倍程度延伸した後、TDに3倍〜6倍、好ましくは4倍〜5.5倍程度延伸することにより行うことができる。シュリンクフィルムの厚さは、特に限定されないが、10μm〜100μmが好ましく、より好ましくは12μm〜80μm、さらに好ましくは15μm〜60μmである。
また、シュリンクフィルムは、上記したシュリンクフィルム用樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを積層した多層フィルムの形態とすることもできる。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、ポリブテン系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、ポリアミド系重合体、熱可塑性ポリエステル系重合体、ポリ乳酸系重合体、ポリアクリレート系重合体、ポリフェノキシ系重合体、ポリフェニレンスルフィド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアセタール系重合体、ポリブタジエン系重合体、熱可塑性ポリウレタン系重合体、ポリスルフィン系重合体等が挙げられる。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、熱可塑性ポリエステル系重合体、ポリ乳酸系重合体であり、より好ましい熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系重合体であり、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが例示できる。とりわけ、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)及びSBC含有樹脂組成物が好適である。
シュリンクフィルム用樹脂組成物と熱可塑性樹脂との積層構造は、特に規定はないが、製造の容易さの観点から2種3層構造が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂からなる層、
シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層、熱可塑性樹脂からなる層、の順に積層した構造や、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層、熱可塑性樹脂からなる層、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層、の順で積層した構造が挙げられる。具体的には、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層の表裏面に、ポリスチレン系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、熱可塑性ポリエステル系重合体又はポリ乳酸系重合体からなる層が形成されている構造や、ポリスチレン系重合体、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、熱可塑性ポリエステル系重合体又はポリ乳酸系重合体からなる層の表裏面に、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層が形成されている構造が挙げられる。更に具体的には、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層の表裏面に、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、又は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体からなる層が形成されている構造や、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBC)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、又は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体からなる層の表裏面に、シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層が形成されている構造が挙げられる。
多層構造の場合の積層比は、特に規定はないが、シュリンクフィルム全体における、熱可塑性樹脂/シュリンクフィルム用樹脂組成物の質量比として、5/95〜50/50が好ましく、20/80〜30/70がより好ましい。上記シュリンクフィルム用樹脂組成物の配合比が50以上の場合は、シュリンクフィルム用樹脂組成物が持つ物性を損なうことなく良好な物性を維持することができる。95以下の場合は、熱可塑性樹脂との積層構造の作製が困難となることを防ぐことができる。こうした多層構造のシュリンクフィルムの製造方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、上記したシュリンクフィルム用樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを用いて、共押出法、ドライラミネート法などによって製造することができる。
上記シュリンクフィルムは印刷を施しても良い。例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の印刷が挙げられる。上記印刷は、特に限定されないが、上記シュリンクフィルムの片面側のみに施しても良いし、両面側に施しても良い。また、上記印刷は、上記シュリンクフィルムの表面の全面に施しても良いし、一部に施しても良い。より具体的には、上記印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、UV印刷等、公知の印刷法によって、所望のデザインとなるように着色顔料の異なる複数の層によって形成される。
このシュリンクフィルムは、高温での熱収縮性、耐自然収縮性(常温での寸法安定性)、剛性、強度、透明性が良好であるだけでなく、冷蔵庫内を想定した低温での伸度に優れている。そのため、ペットボトル、食品容器、又は日用雑貨等の、ラベル又はキャップシール、集積包装用フィルム、乾電池等の電気絶縁被膜等として広く利用できる。
[容器]
本発明に係る容器は、上記シュリンクフィルムを装着した容器である。こうした容器は公知の方法によって製造できる。例えば、シュリンクフィルム両端を加熱処理(ヒートシール)や溶剤あるいは接着剤でシールし、筒状にして容器に装着する方式や、シュリンクフィルムの一端を容器に貼り付け、シュリンクフィルムを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式が挙げられる。その後、加熱処理によって、シュリンクフィルムを熱収縮させ、容器に追従密着させることによって、シュリンクフィルムを装着した容器を作製する。上記加熱処理としては、例えば、80℃〜100℃のスチームで処理する(スチーム及び湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)ことなどが例示される。
この製造に用いる上記容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、牛乳瓶、調味料などの食品用容器;アルコール飲料用ボトル;医薬品容器;洗剤、スプレーなどの化学製品の容器;トイレタリー用の容器;カップ麺容器;乾電池等の包装容器;などが含まれる。上記容器の形状としては、特に限定されないが、例えば、円筒状、角形等のボトルタイプや、カップタイプなどの様々な形状が挙げられる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック、ガラス、金属などが挙げられる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[ブロック共重合体(A)〜(C)の重合例]
<重合例A−1>
以下の(1)〜(7)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンとのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,500mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は35℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量184.0kgのスチレン、及び総量8.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ184.0kg/h、8.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、4.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(7)この重合液を脱揮して、重合例A−1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は195,000であり、共役ジエンの含有割合は4.0質量%であった。上記重合例A−1について、その要点を表1にまとめて示す。
<重合例A−2〜8>
上記重合例A−1において、上記(3)〜(5)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成比率を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表1に示した条件以外は、重合例A−1と同様に実施することにより、重合例A−2〜8のブロック共重合体を得た。上記重合例A−2〜8について、その要点を表1にまとめて示す。
<重合例A−9>
以下の(1)〜(5)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンとのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,020mLを加え、内温を80℃へ上げた。
(3)反応系の内温を80℃に保ちながら、総量190.4kgのスチレン、及び総量9.6kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ190kg/h、10kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加し、スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、重合を完結させた。
(4)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「R構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(5)この重合液を脱揮して、重合例A−9のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は242,000であり、共役ジエン含有質量比は4.8%であった。
上記重合例A−9について、その要点を表1にまとめて示す。
<重合例A−10>
上記重合例A−9において、上記(3)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表1に示した条件以外は、重合例A−9と同様に実施することにより、重合例A−10のブロック共重合体を得た。上記重合例A−10について、その要点を表1にまとめて示す。
<重合例A−11>
以下の(1)〜(7)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンとのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,000mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は35℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン24.4kgとスチレン167.6kgを同時に添加した。内温は105℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、4.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ「S−T−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Tはスチレンとブタジエンのテーパードブロックを表す。)
(7)この重合液を脱揮して、重合例A−11のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は240,000であり、共役ジエン含有質量比は12.2%であった。上記重合例A−11について、その要点を表1にまとめて示す。
<重合例B−1>
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は35℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量98.9kgのスチレン、及び総量4.1kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ148kg/h、6kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、1,3−ブタジエン36.5kgとスチレン36.5kgを同時に添加した。内温は94℃まで上昇した。
(6)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、20.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロック、テーパードブロックを持つ「S−R−T−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロック、Tはスチレンとブタジエンのテーパードブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例B−1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は139,000であり、共役ジエンの含有割合は20.3質量%であった。上記重合例B−1について、その要点を表2にまとめて示す。
<重合例B−2〜10>
上記重合例B−1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成比率を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表2に示した条件以外は、重合例B−1と同様に実施することにより、重合例B−2〜10のブロック共重合体を得た。上記重合例B−2〜10について、その要点を表2にまとめて示す。
<重合例B−11>
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,810mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は35℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量96.8kgのスチレン、及び総量6.2kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ97kg/h、6kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に下げ、1,3−ブタジエン45.8kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は95℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を65℃に下げ、47.2kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−B−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロック、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例B−11のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は140,000であり、共役ジエンの含有割合は26.0質量%であった。上記重合例B−11について、その要点を表2にまとめて示す。
<重合例C−1>
以下の(1)〜(9)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2,540mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン80.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は60℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量83.4kgのスチレン、及び総量2.6kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ181kg/h、6kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、1,3−ブタジエン28.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は89℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、6.0kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は78℃まで上昇した。
(7)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、カップリング剤として284gのエポキシ化大豆油を1.9kgのシクロヘキサンで希釈して添加し、重合を完結させた。
(8)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体をカップリングした「(S−R−B−S)n−X構造」の重合体を含む重合液を得た。上記式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表し、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表し、Xはカップリング剤の残基を表す。
(9)この重合液を脱揮して、重合例C−1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は89,000であり、共役ジエンの含有割合は15.3質量%であった。上記重合例C−1について、その要点を表3にまとめて示す。
<重合例C−2〜10>
上記重合例C−1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成比率を決定することができ、また、(2)で使用するn−ブチルリチウム量を調整することで分子量を決定することができ、上記(7)で使用するエポキシ化大豆油の量を調整することで、カップリング後の分子量分布を決定することができる。したがって、下記の表3に示した条件以外は、重合例C−1と同様に実施することにより、重合例C−2〜10のブロック共重合体を得た。上記重合例C−2〜10について、その要点を表3にまとめて示す。
<重合例C−11>
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2,540mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン80.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は60℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量79.8kgのスチレン、及び総量6.2kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ80kg/h、6kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、1,3−ブタジエン28.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は88℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、6.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−B−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロック、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例C−11のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は90,000であり、共役ジエンの含有割合は17.1質量%であった。上記重合例C−11について、その要点を表3にまとめて示す。
<重合例D−1>
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,290mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン7.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は38℃まで上昇した。
(5)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に上げ、1,3−ブタジエン6.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は78℃まで上昇した。
(4)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量153.0kgのスチレン、及び総量27.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ153kg/h、27kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(6)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、7.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−B−R−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロック、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例D−1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は214,000であり、共役ジエンの含有割合は16.5質量%であった。上記重合例D−1について、その要点を表4にまとめて示す。
<重合例D−2>
上記重合例D−1において、上記(3)〜(6)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成比率を決定することができ、また、(2)で使用するn−ブチルリチウム量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表4に示した条件以外は、重合例D−1と同様に実施することにより、重合例D−2のブロック共重合体を得た。重合例D−2のブロック共重合体は、上記重合例D−2について、その要点を表4にまとめて示す。
<重合例D−3>
以下の(1)〜(7)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,220mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン7.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は38℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量171.1kgのスチレン、及び総量14.9kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ171kg/h、15kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、7.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(7)この重合液を脱揮して、重合例D−3のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は205,000であり、共役ジエンの含有割合は7.4質量%であった。上記重合例D−3について、その要点を表4にまとめて示す。
<重合例E−1>
以下の(1)〜(7)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,220mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン8.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は38℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量172.0kgのスチレン、及び総量12.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ172kg/h、12kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、8.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(7)この重合液を脱揮して、重合例E−1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は204,000であり、共役ジエンの含有割合は6.0質量%であった。上記重合例E−1について、その要点を表5にまとめて示す。
<重合例E−2>
上記重合例E−1において、上記(3)〜(5)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの組成比率を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。したがって、下記の表5に示した条件以外は、重合例E−1と同様に実施することにより、重合例E−2のブロック共重合体を得た。上記重合例E−2について、その要点を表5にまとめて示す。
<重合例E−3>
以下の(1)〜(8)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,850mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン40.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は48℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に上げ、内温を保持しながら、総量36.0kgのスチレン、及び総量8.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ36kg/h、8kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、1,3−ブタジエン66.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は96℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を60℃に下げ、50.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ「S−R−B−S構造」の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロック、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(8)この重合液を脱揮して、重合例E−3のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は145,000であり、共役ジエンの含有割合は37.0質量%であった。上記重合例E−3について、その要点を表5にまとめて示す。
<分子量の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いた。本発明では、特に断りが無い場合、分子量はピークトップ分子量Mpであり、カップリングを実施した場合はカップリング前のMpである。得られたクロマトグラム上、最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)とした。
GPC装置名:HLC−8220GPC(東ソー社製)
使用カラム:ShodexGPCKF−404(昭和電工社製)を直列に4本接続
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率法
移動相:テトラヒドロフラン
サンプル濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(VARIAN社製、ピークトップ分子量Mp=2,560,000、841,700、280,500、143,400、63,350、31,420、9,920、2,930)を用いて作成した。
[ブロック共重合体(A)〜(C)の配合例]
<配合例1〜44>
重合例で得られたブロック共重合体を表6に示した配合比率(質量%)で混ぜ、ブロック共重合体樹脂組成物を製造した。かかるブロック共重合体樹脂組成物を、φ40mm単軸押出機(田端機械工業株式会社製、HV−40−30)を用い、押出温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーにてペレット化した。配合例1〜44におけるブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン含有割合を表6にまとめて示した。
<樹脂組成物の共役ジエン含有割合(質量)>
上記重合例で使用した全モノマー量に対する1,3−ブタジエン量の使用割合及び配合比から、ブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン含有割合をそれぞれ算出した。結果を表6に示した。
[実施例1〜15、比較例1〜26及び参考例1〜3]
<シュリンクフィルムの作製>
配合例で得られたブロック共重合体樹脂組成物を以下の手順で逐次二軸延伸することで、シュリンクフィルムを作製した。
先端にフィードブロック、リップ幅300mmのTダイを取り付けたφ65mm単軸押出機(田辺プラスチックス機械株式会社製、VS65−34V)を用い、押出温度210℃、Tダイ温度200℃、スクリュー回転数30rpmにて、配合例の樹脂を用いてシート押出を実施し、キャストロール温度30℃、延伸ロール温度85℃、熱固定ロール温度70℃設定とした400型縦延伸ロールユニット(田辺プラスチックス機械株式会社製)を用い、流れ方向(MD)の設定延伸倍率1.2倍で延伸することで、厚み約0.25mmのMD一軸延伸シートを作製した。
このシートを予熱ゾーン110℃、延伸ゾーン90℃、熱固定温度70℃設定としたテンター式延伸設備(小林機械工業株式会社製)にて、MDに対して垂直となる方向(TD)に設定延伸倍率4.5倍で延伸することで、厚み約45μmのシュリンクフィルムを作製した。なお、アンチブロッキング材としてブロック共重合体樹脂組成物100質量%に対し、HIPS(東洋スチレン株式会社製、トーヨースチロールHI E640N)を1質量%添加した。
得られたシュリンクフィルムについて、以下の方法で熱収縮率、自然収縮率、衝撃強度、引張弾性率及び伸度(23℃、5℃)、並びにヘーズ値を測定した。結果を表7及び8に示す。
<熱収縮率>
70℃、80℃、90℃もしくは100℃の温水中に10秒間浸漬させて算出したTDの値を記載した。その他の測定条件はJISZ1709に準拠した。
<自然収縮率>
以下の方法で測定した。
(1)作製直後のシュリンクフィルムからMDが約75mm、TDが約400mmの試験片を切り出した。
(2)この試験片のTDに300.0mm間隔の標線を付けた。
(3)フィルムを40℃の環境試験機内で保管した。
(4)7日後にフィルムを取り出し、ノギスを用いて標線間の距離L(mm)を0.1mm単位まで測定した。
(5)下記の式により自然収縮率を算出した。
自然収縮率(%)={(300.0−L)/300.0}×100
<衝撃強度>
フィルムインパクトテスター(テスター産業株式会社製)を用い、先端の直径が25.4mmの撃芯を使用して測定した。その他の測定条件はASTM D3420に準拠した。
<引張弾性率及び伸度(23℃)>
テンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTG−1210)を用い、試験片はMD100mm、TD10mmとし、初期チャック間隔50mmで測定を実施した。引張速度200mm/min、試験回数7回の平均を測定値とした。なお、伸度が300%を超えた場合は「>300」と記載した。
<引張弾性率及び伸度(5℃)>
高低温度恒温槽(株式会社エー・アンド・デイ製、TLF−R3T−C−A)を取り付けたテンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTG−1210)を用い、試験片はMD100mm、TD15mmとし、初期チャック間隔50mmで測定を実施した。引張速度100mm/min、試験回数10回の平均を測定値とした。
<HAZE(ヘーズ値)>
濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用い、JIS K7136に準じてヘーズ値を測定した。
Figure 0006513488
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表7に示すように、実施例1〜15のシュリンクフィルムは、熱収縮性、耐自然収縮性(常温での寸法安定性)、剛性、強度、透明性が良好であるとともに、低温における伸度に優れている。
これに対して、表8に示すように、比較例1〜26のシュリンクフィルムは、以下のように、実施例1〜15よりも熱収縮性、耐自然収縮性、剛性、強度、透明性、又は伸度が低かった。
ブロック共重合体(A)のブロック構造が、一般式S−R−Sと異なる比較例5〜7のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性あるいは衝撃強度、伸度が低かった。
ブロック共重合体(A)のランダムブロック中の共役ジエンの含有割合が、ビニル芳香族炭化水素との質量比で5未満である比較例1のシュリンクフィルムは、衝撃強度、伸度が低かった。ブロック共重合体(A)のランダムブロック中の共役ジエンの含有割合が、ビニル芳香族炭化水素との質量比で15を超える比較例2及び6のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性が低かった。
ブロック共重合体(A)全体における共役ジエン質量比が、4.8質量%未満である比較例1及び4のシュリンクフィルムは、熱収縮率、衝撃強度、伸度が低く、14.4質量%を超える比較例2及び6のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性が低かった。
ブロック共重合体(B)のブロック構造が、一般式S−R−T−Sと異なる比較例14のシュリンクフィルムは、衝撃強度、低温伸度が低かった。
ブロック共重合体(B)のランダムブロック中の共役ジエンの含有割合が、ビニル芳香族炭化水素との質量比で5未満である比較例8及び10のシュリンクフィルムは、衝撃強度、伸度が低く、15を超える比較例9及び11のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性が低かった。
ブロック共重合体(B)全体における共役ジエン含有割合が、22.7質量%未満である比較例8及び12のシュリンクフィルムは、衝撃強度、伸度が低く、31.5質量%を超える比較例9及び13のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性、剛性が低かった。
ブロック共重合体(C)のブロック構造が、一般式(S−R−B−S)n−Xと異なる比較例21のシュリンクフィルムは、衝撃強度が低かった。
ブロック共重合体(C)のランダムブロック中の共役ジエンの含有割合が、ビニル芳香族炭化水素との質量比で5未満である比較例15及び17のシュリンクフィルムは、熱収縮率、衝撃強度、伸度が低く、15を超える比較例16及び18のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性、剛性が低く、またHAZEが高く透明性が低い場合もあった。
ブロック共重合体(C)全体における共役ジエン含有割合が、16.2質量%未満である比較例15及び19のシュリンクフィルムは、衝撃強度、伸度が低く、熱収縮率が低い場合もあった。20.5質量%を超える比較例16及び20のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性、剛性が低く、またHAZEが高く、透明性が低い場合もあった。
樹脂組成物中のブロック共重合体(A)〜(C)の質量比が、ブロック共重合体(A)〜(C)の総量100質量%に対して各々30質量%〜40質量%の範囲から外れる比較例22〜24のシュリンクフィルムは、耐自然収縮性、衝撃強度、剛性、伸度のいずれか1つ以上が低く、物性バランスを維持できなかった。
樹脂組成物全体における共役ジエンの含有割合が、14.6質量%未満である比較例25のシュリンクフィルムは、熱収縮率、衝撃強度、伸度が低く、22.1質量%を超える比較例26のシュリンクフィルムは耐自然収縮性、剛性が低かった。
本発明の樹脂組成物は、優れた熱収縮性、耐自然収縮性、剛性、強度、透明性、伸度を有するため、シュリンクフィルム用の材料として有効であり、ペットボトル、食品容器、日用雑貨のラベル、キャップシール、集積包装用フィルム、乾電池等の電気絶縁被膜等として広く利用できる。

Claims (9)

  1. 下記(1)〜(3)で規定されたビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(A)〜(C)を含有する組成物であり、ブロック共重合体(A)〜(C)の含有割合が、ブロック共重合体(A)〜(C)の総量100質量%に対して各々30質量%〜40質量%であり、かつ組成物全体における共役ジエンの含有割合が14.6質量%〜22.1質量%であることを特徴とするシュリンクフィルム用樹脂組成物。
    (1)下記(a1−1)〜(a1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(A)。
    (a1−1)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    S−R−S
    (一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックである。)
    (a1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
    (a1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、4.8質量%〜14.4質量%である。
    (2)下記(b1−1)〜(b1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(B)。
    (b1−1)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    S−R−T−S
    (一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Tはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックである。)
    (b1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
    (b1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、22.7質量%〜31.5質量%である。
    (3)下記(c1−1)〜(c1−3)を満たすビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(C)。
    (c1−1)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    (S−R−B−S)n−X
    (一般式中、Sはビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、Rはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、Bは共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表し、Xはカップリング剤残基を表す。)
    (c1−2)上記一般式中のRで表されるビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンのランダムブロック中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、85/15〜95/5である。
    (c1−3)ブロック共重合体全体における共役ジエンの含有割合が、16.2質量%〜20.5質量%である。
  2. ブロック共重合体(A)が下記(a2)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b2)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c2)を満たす、請求項1に記載のシュリンクフィルム用樹脂組成物。
    ブロック共重合体(A)
    (a2)ピークトップ分子量(Mp)が、180,000〜300,000である。
    ブロック共重合体(B)
    (b2)ピークトップ分子量(Mp)が、120,000〜170,000である。
    ブロック共重合体(C)
    (c2)カップリング前のピークトップ分子量(Mp)が、60,000〜110,000である。
  3. ブロック共重合体(A)が下記(a3)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b3)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c3)を満たす、請求項1又は2に記載のシュリンクフィルム用樹脂組成物。
    ブロック共重合体(A)
    (a3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    nBu−S1−R1−S2
    (一般式中、S1、S2はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
    ブロック共重合体(B)
    (b3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    nBu−S3−R2−T1−S4
    (一般式中、S3、S4はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R2はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、T1はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするテーパードブロックであり、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
    ブロック共重合体(C)
    (c3)ブロック構造が、下記一般式で表される。
    (nBu−S5−R3−B1−S6)n−X
    (一般式中、S5、S6はビニル芳香族炭化水素を単量体単位とする重合体ブロックであり、R3はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを単量体単位とするランダムブロックであり、B1は共役ジエンを単量体単位とする重合体ブロックであり、nはカップリング剤残基と結合した高分子鎖の個数を表し、Xはカップリング剤残基を表し、nBuは開始剤のn−ブチルリチウム残基を表す。)
  4. ブロック共重合体(A)が下記(a4)を満たし、ブロック共重合体(B)が下記(b4−1)及び(b4−2)を満たし、ブロック共重合体(C)が下記(c4)を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム用樹脂組成物。
    ブロック共重合体(A)
    (a4)S1及びS2のピークトップ分子量(Mp)が、3,600〜6,000である。
    ブロック共重合体(B)
    (b4−1)S3のピークトップ分子量(Mp)が、2,400〜3,400であり、S4のピークトップ分子量(Mp)が12,000〜17,000である。
    (b4−2)T1中のビニル芳香族炭化水素/共役ジエンの質量比が、35/65〜45/55である。
    ブロック共重合体(C)
    (c4)S5のピークトップ分子量(Mp)が、24,000〜44,000であり、S6のピークトップ分子量(Mp)が、1,800〜3,300である。
  5. 前記ビニル芳香族炭化水素がスチレンであり、共役ジエンが1,3−ブタジエンである請求項1から4のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム用樹脂組成物。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のシュリンクフィルム用樹脂組成物を用いて形成されたシュリンクフィルム。
  7. 前記シュリンクフィルム用樹脂組成物からなる層と熱可塑性樹脂からなる層とを積層した多層構造を有する、請求項6に記載のシュリンクフィルム。
  8. 前記シュリンクフィルム全体における、前記熱可塑性樹脂/前記シュリンクフィルム用樹脂組成物の質量比が、5/95〜50/50である、請求項に記載のシュリンクフィルム。
  9. 請求項6から8のいずれか一項に記載のシュリンクフィルムを装着した容器。
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