JP2010024387A - ブロック共重合体及びブロック共重合体樹脂組成物 - Google Patents

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Masamitsu Matsui
正光 松井
Kazuhiro Akiyama
一広 秋山
Hideki Totani
英樹 戸谷
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Abstract

【課題】十分な耐衝撃性、柔軟性を有し、かつ折曲げても容易に白化せず外観が良好なシートやその2次加工品を形成するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体を提供する。
【解決手段】ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体であって、動的粘弾性測定により−20℃〜+20℃の温度範囲内における損失弾性率(E”T1)に極大値が観測され、ブロック共重合体全質量に対す共役ジエンの質量割合が15〜35質量%であることを特徴とするブロック共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は耐衝撃性に優れ、さらに耐折り曲げ白化性、折曲げ強度に優れた、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体に関する。更にこのブロック共重合体を含む樹脂とビニル芳香族炭化水素系樹脂を含むブロック共重合体樹脂組成物に関する。
リビングアニオン重合法により、有機溶媒中でアルキルリチウムを開始剤としてビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合させる場合、開始剤の量やビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの組成比、あるいはそれらの添加方法や順序を変えることによって共重合体の構造を比較的容易に制御することができることが一般に知られている。
またこのブロック共重合体は、可視光線の波長以下レベルの大きさで、一般にミクロ相分離構造と呼ばれる高次構造をとるため、入射光が散乱されず透明性が保たれることも知られている。
このブロック共重合体の特性を活かした用途として、ブロック共重合体単味、又はポリスチレンなどのビニル芳香族炭化水素系の樹脂と適宜混合して押出し成形等することにより作られるシートやフィルム、及び射出成形品の分野があり、各種食品容器や包装用フィルム類などの原材料としてこれまで広く使用されてきた。
なお、このような用途分野に関わるブロック共重合体の開発例として、ブロック共重合体の分子構造などの改良により成形品の透明性を損なうことなく耐衝撃性の向上を図った例(例えば、特許文献1、2、3参照を参照。)が開示されている。
ここで、特許文献1の特許第2986178号公報は、透明性、耐衝撃性及び剛性に優れた射出成形品、シート又はフィルム用ブロック共重合体樹脂組成物に関する発明が記載されているが、動的粘弾性の測定は為されておらず、従って本願と同じ観点に基づく検討は為されていない。さらにこの特許文献1は、ポリマー構造が一般式A1−B−A2(上式において、A1、A2はビニル芳香族炭化水素を含む重合体ブロックであり、Bは共役ジエンとビニル芳香族炭化水素を含む共重合体ブロックである。)であるブロック共重合体とGPポリスチレンまたはスチレン−アクリルニトリル共重合体を含むブロック共重合体樹脂組成物に関する発明であるが、Bの共重合体ブロックに関してはビニル芳香族炭化水素の比率が定められているのみであること、さらにBの構造としては、完全なブロック構造あるいはテーパーブロック構造のいずれでも良いが、特にテーパーブロック構造のものが有利であると記載されており、本願発明とは異なる。
また特許文献2の特許第2968919号公報は、透明性が高くかつ耐衝撃性及びビニル芳香族炭化水素重合体の補強性に優れたブロック共重合体に関する発明であるが、特許文献2においても特に動的粘弾性測定に基づいた検討は為されていない。なお、特許文献2に示される、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体では、分子の両末端に大きさの異なるビニル芳香族炭化水素重合体ブロックA1及びA2、その中間部分に共役ジエン重合体及び/または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とを含む重合体ブロックB1並びに共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とを含む重合体ブロックB2を有することが記載されているが、本願発明では特にこのような制約はない。
特許文献3の特許第3332281号公報もまた、透明性が高く、かつ耐衝撃性に優れた、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンモノマーの重合体とを含むブロック共重合体及びビニル芳香族炭化水素系樹脂を含有する透明高強度樹脂組成物に関する発明であるが、特許文献3においても特に動的粘弾性測定に基づいた検討は為されていない。
さらにここに示した特許文献1〜3以外に、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合に関して、本願発明と同じ目的とする物性を得るために、本願発明と同様な動的粘弾性の挙動やその構造を定めた文献は知られていない。
また他方では、特定の動的粘弾性挙動を有する異なるスチレン系共重合体を適宜組み合わせることによりしなやかな感触を持たせて、軟質塩化ビニルの代替を目的としたスチレン系共重合体組成物の開発例(例えば、特許文献4を参照。)も知られている。
特許第2986178号公報 特許第2968919号公報 特許第3332281号公報 特開2006−291128号公報
上記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体を使用し、耐折曲げ白化性が良好なシートを得るには、ブロック共重合体の全質量に対する共役ジエンの質量割合を増やすのが従来の一般的手法であるが、共役ジエンの割合が多くなると、その分樹脂が熱劣化しやすくなるため、加熱成形時に製品が変色したり、ゲル状の異物が発生して製品の外観不良を起こしたりする課題があった。
本発明の目的は、十分な耐衝撃性、柔軟性を有し、かつ折曲げても容易に白化せず外観が良好なシートやその2次加工品を形成し得るビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、原材料であるブロック共重合体の動的粘弾性挙動を最適化することにより、共役ジエンの含有量が比較的少なくても柔軟性を損なうことのないブロック共重合体を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体であって、動的粘弾性測定により−20℃〜+20℃の温度範囲内における損失弾性率(E”T1)に極大値が観測され、さらに−20〜+20℃の温度範囲における損失弾性率(E”T1)が下記(式1)を満足し、かつ40〜80℃の温度範囲における損失弾性率(E”T2)が下記(式2)を満足することを特徴とするブロック共重合体。
式1:E”T1>−11.7T −6.50×10T −1.26×10T +4.00×10T+1.30×10 (-20≦T≦20)
式2:E”T2<0.377T −133T +1.62×10T −7.90×10T +9.00×10T+2.84×10 (40≦T≦80)
ただし、E”T1、E”T2の単位はPaであり、T、Tの単位は℃である。
(2)ビニル芳香族炭化水素を含む重合体ブロックA1及びA2と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むランダム共重合体ブロックB1及びB2を有し、ランダム共重合体ブロックB1のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が3.0〜5.0であり、ランダム共重合体ブロックB2のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が1.2〜2.5であり、下記一般式(a)〜(f)からなる群から選ばれる1種の化学構造を有し、数平均分子量が50,000〜500,000である、上記(1)に記載のブロック共重合体。
A1−(B1−B2)m (a)
A1−(B1−B2)m−A2 (b)
(A1−(B1−B2)m)n−X (c)
(A1−(B1−B2)m−A2)n−X (d)
(A2−(B2−B1)m)n−X (e)
(A2−(B2−B1)m−A1)n−X (f)
(ただし、式(a)〜(f)において、m、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤の残基である。)
(3)B1に隣接するビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が、B2に隣接するビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量よりも小さい、上記(2)に記載のブロック共重合体。
(4)前記ブロック共重合体全質量に対する共役ジエンの質量割合が15〜35質量%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のブロック共重合体。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のブロック共重合体と、ビニル芳香族炭化水素系樹脂と、を含むブロック共重合体樹脂組成物。
(6)ブロック共重合体100質量部に対し、ビニル芳香族炭化水素系重合体を5〜50質量部含有する上記(5)に記載の組成物。
(7)ビニル芳香族炭化水素系重合体が、ビニル芳香族炭化水素単独重合体、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸との共重合体、又は ハイインパクトポリスチレンである上記(5)又は(6)に記載の組成物。
(8)上記(5)〜(7)のいずれかに記載の組成物から成形されるシート又はフィルム。
本発明のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体は、十分な耐衝撃性、柔軟性を有するため、折曲げても容易に白化せず外観が良好なシートやその2次加工品が得られる。
本発明のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体(より正確には、ビニル芳香族炭化水素の重合単位と共役ジエンの重合単位とを含むブロック共重合体であるが、本発明では、便宜的に、このように略して記載する。ビニル芳香族炭化水素を含む重合体などの他の重合体も場合も同様である。)有機溶媒中で有機リチウム化合物を重合開始剤とし、ビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの中から、それぞれ一種又は二種以上を選びリビングアニオン重合させることにより製造できる。
本発明において使用されるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどがあるが、特に好ましくはスチレンが挙げられる。
また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
本発明のブロック共重合体に関して、これを通常使用する温度領域で耐衝撃性や柔軟性を確保するためには、動的粘弾性測定により−20℃〜+20℃の温度範囲内における損失弾性率(E”T1)に極大値が観測され、さらに−20〜20℃の温度範囲における損失弾性率(E”T1)が下記(式1)を満足し、かつ40〜80℃の温度範囲における損失弾性率(E”T2)が下記(式2)を満足することが必要である。
式1:E”T1>−11.7T −6.50×10T −1.26×10T +4.00×10T+1.30×10 (-20≦T≦20)
式2:E”T2<0.377T −133T +1.62×10T −7.90×10T +9.00×10T+2.84×10 (40≦T≦80)
ただし、E”T1、E”T2の単位はPaであり、T、Tの単位は℃である。
このような損失弾性率のE”挙動を満たさないと軟質性を示さず、折り曲げ白化性などの本発明の効果を満たさない。
また、前記動的粘弾性の挙動を満たす限り、ブロック共重合体の化学構造に特に限定はないが、本発明では、ビニル芳香族炭化水素を含む重合体ブロックA1及びA2と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むランダム共重合体ブロックB1及びB2を有し、ランダム共重合体ブロックB1のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が3.0〜5.0であり、ランダム共重合体ブロックB2のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が1.2〜2.5であり、下記一般式(a)〜(f)からなる群から選ばれる1種の化学構造を有し、数平均分子量が50,000〜500,000である、請求項1に記載のブロック共重合体。
A1−(B1−B2)m (a)
A1−(B1−B2)m−A2 (b)
(A1−(B1−B2)m)n−X (c)
(A1−(B1−B2)m−A2)n−X (d)
(A2−(B2−B1)m)n−X (e)
(A2−(B2−B1)m−A1)n−X (f)
(ただし、前記式(a)〜(f)において、m、nは1以上の整数であり、より好ましくはmは1であり、nは1〜5であり、Xはカップリング剤の残基である。)
なお、優れた耐衝撃性や柔軟性を確保するために、ブロック共重合体の質量全体に対する共役ジエンの質量割合は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。また耐熱劣化性や、ビニル芳香族炭化水素系樹脂とブレンドしたときの透明性を維持するために、ブロック共重合体の質量全体に対する共役ジエンの質量割合は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
共役ジエンの質量割合が15質量%未満であると、耐衝撃性が不足するため実用には供し得ないものとなる場合がある。また、共役ジエンの質量割合が35質量%を超えると熱による劣化の進行が早くなるため、加熱成形中に樹脂が著しく変色したり、ゲルが生成して製品の外観不良を起こしやすくする場合がある。また、例えばポリスチレンと混合した際には白濁が生じて透明性が損なわれる不具合が生じる場合がある。
なお、ブロック共重合体の分子量についても特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPC)による数平均分子量(ポリスチレン換算法)が50,000〜500,000の範囲にあることが好ましく、100,000〜300,000の範囲にあることがより好ましい。ブロック共重合体の分子量が50,000未満では、例えばシート製膜時など半溶融状態にある場合に形状の保持が難しくなりシートが得られないことがある。また500,000を超えると流動性が悪くなるため、ブロック共重合体の製造に多大な時間やエネルギーを要するようになり、また成形加工性も低下して実用上好ましいものではない。
また、ブロック共重合体のランダム共重合体ブロックB1のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )の値は3.0〜5.0であるのが好ましく、3.5〜4.5であることがより好ましく、4.0〜4.5であることがさらにより好ましい。5.0を超えると柔軟性が乏しくなり耐折り曲げ白化性が低下し、3.0未満であると柔らかくなりすぎ実用に供し得なくなる場合がある。また、ランダム共重合体ブロックB2のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )の値は1.2〜2.5であるのが好ましく、1.3〜2.0であることがより好ましく、1.4〜1.5であることがさらにより好ましい。2.5を超えると柔軟性が乏しくなり、1.2未満であると柔らかくなりすぎる場合がある。
前記式(c)〜(f)におけるXはカップリング剤の残基であり、カップリング剤としては2官能性カップリング剤を用いてもよいし、多官能性カップリング剤を用いてもよい。また複数種のカップリング剤を併用してもよい。なお、本発明で好ましく用いられるカップリング剤としては、四塩化ケイ素や1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン等のクロロシラン系化合物、テトラメトキシシランやテトラフェノキシシラン等のアルコキシシラン系化合物、四塩化スズ、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、ポリビニル化合物、エポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化油脂などが挙げられ、特にエポキシ化大豆油が好ましい。
また、ブロック共重合体の質量全体に対するカップリング剤の質量割合は、好ましくは0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。
また、添加するカップリング剤に含まれる官能基カップリング基のモル数は、カップリング剤を添加する直前までに重合される目標分子量M及びモノマーの合計添加量w(g)から計算される共重合体の見かけ上のモル数(w/M)に対し、好ましくは0.2〜3の割合であり、より好ましくは0.5〜2である。従って、カップリング剤の全添加量は、カップリング基1モルを含むカップリング剤の質量に、カップリング剤の好ましい範囲のモル数を乗じることにより算出される。
前記式(a)、(c)及び(e)におけるブロック共重合体の質量全体に対するA1及びA2、B1及びB2の質量割合において、A1及びA2は、好ましくは2〜65質量%であり、4〜55質量%がより好ましく、B1は、好ましくは20〜35質量%であり、24〜28質量%がより好ましく、B2は、好ましくは20〜60質量%であり、25〜55質量%がより好ましい。また前記式(b)、(d)及び(f)におけるブロック共重合体の質量全体に対するA1、B1、B2、及び式右側のA2の質量割合において、A1は、好ましくは2〜15質量%であり、4〜10質量%がより好ましく、B1は、好ましくは20〜35質量%であり、24〜28質量%がより好ましく、B2は、好ましくは20〜60質量%であり、25〜55質量%がより好ましく、A2は、好ましくは6〜50質量%であり、10〜45質量%がより好ましい。
ビニル芳香族炭化水素を含む重合体ブロックA1の数平均分子量が、ブロックA2の数平均分子量より小さいことが望ましい。逆に重合体ブロックA1の数平均分子量が、ブロックA2の数平均分子量より大きいと引張り弾性値は高く、また引張り伸び値が小さくなる傾向があるため柔軟性が乏しくなり、本願特許の目的を満たすことができない場合がある。
ブロックA1とブロックA2とは同じでも異なっていても良いが、異なる場合にはA1の数平均分子量がA2の数平均分子量より小さいことが好ましい。
リビングアニオン重合では、化学的に安定な有機溶媒中で、重合活性末端が存在する限り原料モノマーの重合が継続するため、モノマーの残留は低く抑えられる。また連鎖移動反応による重合途中での反応活性末端の失活や新規生成がしにくいという重合反応上の特徴を持つ。そのため本発明における共重合体の分子量や分子構造は、モノマー、重合開始剤、ランダム化剤、活性末端の失活のために用いるプロトン供与性の物質(以下、「重合停止剤」という)の仕込量、及びその添加時期、添加回数や添加順序を目的に応じて適宜変えることにより制御することが可能である。
例えば、重合体ブロックA1,A2のようなビニル芳香族炭化水素を含むブロックを形成する場合には、ビニル芳香族炭化水素のみ反応系に仕込めばよい。
ランダム共重合体ブロックB1、B2のようなランダム構造のブロックを形成するには、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを同時に少量ずつ反応系内に仕込めばよい。また、ランダムブロックを形成する際には、できるだけ均一に反応させるため反応系の温度を40℃〜120℃間で一定に保つことが好ましい。またこのときビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム性をさらに高めるために、反応系内にランダム化剤を適宜添加することができる。
本発明においてランダム化剤は極性を持つ分子であり、アミン類やエーテル類、チオエーテル類、及びホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、その他にカリウム又はナトリウムのアルコキシドなどが使用可能である。適当なアミン類としては第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの他、環状第三級アミンなども使用できる。エーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その他にトリフェニルフォスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸カリウム又はナトリウム、カリウム、ナトリウム等のブトキシドなどを挙げることができる。
ランダム化剤は一種、又は複数の種類を使用することができ、その添加濃度としては、原料とするモノマー100質量部あたり合計0.001〜10質量部とすることが適当である。
有機溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、などの脂環式炭化水素、或いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。
重合開始剤である有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、本発明では例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの単官能性重合開始剤、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムなどの多官能性重合開始剤が使用できる。
重合停止剤として、本発明では水、アルコール、無機酸、有機酸、及びフェノール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上が選ばれ、反応系中に添加されることにより重合が停止する。重合停止剤として水はとくに賞用できる。なお、重合活性末端の失活量論数は加えた重合停止剤の化学量論数に比例するので、重合の途中で一部の重合活性末端のみを失活させ、引き続き原料モノマーを追加添加してさらに重合を継続させる製造方法も採ることができる。途中の失活回数については重合活性末端を全て失活させない限り特に制限はない。
重合停止剤の例としては下記のものが挙げられる。アルコール:メタノール、エタノール、ブタノールなど、無機酸:塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、炭酸など;、有機酸:オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレフィン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ベヘン酸などのカルボン酸、その他スルホン酸、スルフィン酸など、フェノール系化合物:2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
なお、重合活性末端の失活量論数は加えた重合停止剤の化学量論数に比例するので、重合の完了時にはその時点における活性末端数に対して充分な量の重合停止剤を添加して活性末端を全て失活させることが必要である。
失活処理の終わった共重合体を溶剤から分離するための方法としては、(1)メタノールなどの貧溶媒中に析出させる方法、(2)加熱ロールなどに共重合体溶液を供給し、溶剤のみを蒸発させて共重合体を分離する方法(ドラムドライヤー法)、(3)加熱した共重合体溶液を、そこに含まれる有機溶剤の該温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力に保った缶中に連続的、あるいは間欠的に供給して脱揮する方法(フラッシュ蒸発法)、(4)ベント式押出機に通して脱揮させる方法、(5)温水中に撹拌しながら、共重合体溶液を吹き込んで溶剤を蒸発させる方法(スチームストリッピング法)などや、これらを組み合わせた方法が挙げられる。
なお、本発明のブロック共重合体は、一種類のみを用いても二種以上のブロック共重合体を混合して用いても特に制限はない。
このようにして製造された本発明のブロック共重合体は、それ単独、好ましくはビニル芳香族炭化水素系重合体を混合して組成物として使用することできる。
本発明のブロック共重合体に混合できるビニル芳香族炭化水素系重合体としては、ポリスチレンなどのビニル芳香族炭化水素単独重合体、ビニル芳香族炭化水素―(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸共重合体、及びハイインパクトポリスチレンが挙げられる。例えば、得られるシートの剛性を高めたい場合はポリスチレンが使用され、ブロッキング性を改良する場合は、ハイインパクトポリスチレンが使用される。また、加工性や低温延伸性の向上には、ビニル芳香族炭化水素−(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸共重合体が使用される。これらのビニル芳香族炭化水素系重合体は単独で使用しても、2種以上を併用しても特に制限はない。
これらのビニル芳香族炭化水素系樹脂の製造に使用できるビニル芳香族炭化水素は、ブロック共重合体において例示されたビニル芳香族炭化水素を挙げることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられ、(メタ)アクリル酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。なかでも、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートである。同時に2種以上のメチルメタクリレートとn−ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸単量体を併用して用いることができる。
本発明の組成物における、ビニル芳香族炭化水素系重合体の配合割合は、ブロック共重合体100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部であることが好ましい。50質量部を超えると、得られる成形体の耐衝撃性が損なわれる傾向がある。特に、ハイインパクトポリスチレンを用いる場合には、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下であることが好ましい。20質量部を超えると透明性が低下する。これらの混合には押出機等を用い溶融混練することが好ましい。また、シート押出機やフィルム押出機等で溶融混練しながらシートやフィルムにすることも好ましい一例である。
本発明のブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物には、必要に応じてさらに各種の添加剤を配合することができる。ブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物が各種の加熱処理を受ける場合や、その成形品などが酸化性雰囲気や紫外線などの照射下にて使用されて物性が劣化することに対処するため、また使用目的に適した物性をさらに付与するため、たとえば安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候性向上剤、軟化剤、可塑剤、顔料などの添加剤を添加できる。
安定剤としては、例えば2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。
また、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸;パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどの脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール脂肪酸エステル;エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アマイド;エチレンビスステアリン酸アマイド;グリセリン−モノ−脂肪酸エステル;グリセリン−ジ−脂肪酸エステル;ソルビタン−モノ−パルミチン酸エステル、ソルビタン−モノ−ステアリン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどに代表される高級アルコールなどが挙げられる。
さらに耐候性向上剤としては2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系や2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどのサリシレート系、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、また、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン型耐候性向上剤が例として挙げられる。さらにホワイトオイルや、シリコーンオイルなども加えることができる。
これらの添加剤はブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物100質量部に対し5質量部以下の範囲で使用することが好ましい。5質量部を越えると透明性低下の原因となったり、成形体表面に析出してきて外観不良や印刷性低下などを引き起こすことがある。
本発明のブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物は、シートやフィルム、シートをさらに2次加工して得た成形体として実用に供されることが好ましい。またブロー成形によるボトル状容器などの製造にも好ましく用いることができる。
また、本発明では、得られたシートの表面特性を良好にするために帯電防止剤や滑剤などを表面に塗布してもよい。また耐衝撃性や透明性等のシート物性と表面特性などとのバランスさせるために、さらに本発明のブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物を主体とした少なくとも一層を有する多層シートとすることも可能である。
本発明のブロック共重合体及び/又はブロック共重合体樹脂組成物を使用した2次加工成形品としては、トレイ、蓋材、ブリスターパック、ケース、カップ(容器)などが挙げられる、その他一般的な射出成形品としても適宜使用することができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これら実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
実施例、比較例に用いたブロック共重合体は以下の方法により作製した。重合の詳細は参考例として以下に記した。
[参考例1]
(1)容積1.3mの反応容器に150ppmのテトラヒドロフランを含むシクロヘキサン500kgをとり、さらにスチレンモノマー8.0kgを添加した。
(2)次いでn−ブチルリチウムを10質量%含むシクロヘキサン溶液(開始剤)1370mLを添加し80℃まで昇温した。
(3)容器内温を80℃に保ちながらスチレンモノマー42.0kg、及びブタジエン10.0kgをそれぞれ一定の仕込み速度84kg/h、20kg/hで添加した。
(4)さらに内温を80℃に保ちながらスチレンモノマー45.4kg、及びブタジエン31.0kgをそれぞれ一定の仕込み速度60.5kg/h、41.3kg/hで添加した。添加終了後、75℃まで下げた。
(5)さらにスチレンモノマー63.6kgを一括添加し、冷却しながら反応を継続させた。
(6)反応終了後、温度を70℃まで下げたのち、ポリマー液を別の容器に移して水を110g添加してアニオン重合の活性末端を失活させ、実施例1のブロック共重合体を含むポリマー液を得た。
(7)このポリマー液に安定剤として住友化学社製スミライザーGS、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス1076をブロック共重合体100phrあたり、それぞれ0.40phr、0.20phrを溶解させてから予備濃縮し、さらに減圧ベント付き2軸押出機で脱揮押出しして、ペレット状の樹脂を得た。
[参考例2〜4、6、9]
参考例1と同じ設備を用い、同様の手順で参考例2〜4、及び参考例6、9のブロック共重合体ペレットを作製した。なお、各反応段における原料類の添加量、原料の添加比率、得られたブロック共重合体全体に対する共役ジエンの質量割合等については参考例1と合わせて表1にまとめて示した。
[参考例5]
参考例5のブロック共重合体は、(2)の操作で添加するn−ブチルリチウム溶液を2370mLとした他は、参考例1と同じように重合し、(6)の操作で水失活させる前でポリマー液の温度が85℃まで下がった段階で3Lのシクロヘキサンで希釈したエポキシ化大豆油(アデカ社製)245g添加し、その後70℃まで徐冷しながらカップリング反応させて作製した。
[参考例7]
参考例7のブロック共重合体は、(3)の操作の段階で、スチレンモノマーとブタジエンを同時に一括添加し、その後の(4)、(5)の操作を省略して得た。
[参考例8、10]
参考例8、及び10のブロック共重合体は、(3)の操作を省略した他は、参考例1と同様の操作をして得た。
参考例で示したブロック共重合体の数平均分子量、及び動的粘弾性の損失弾性率の値は表2に示した。
参考例で示した各ブロック共重合体の数平均分子量は、下記の装置、測定条件により測定した。
装置名:HLC−8220 GPC(東ソー社製)
カラム:KF−404 HQ 4本(昭和電工社製)
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PL社製)を用いて作成し、ブロック共重合体の数平均分子量はポリスチレン換算値で表した。
得られた各ブロック共重合体全体の質量に対する共役ジエンの質量割合は、仕込みモノマーの仕込み値から算出した。同様にランダムブロックB1、及びB2のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比の値も各ブロックで添加したモノマーの仕込み質量から算出した。
得られたブロック共重合体の動的粘弾性は、各ブロック共重合体ペレットを230〜250℃の条件で加熱プレスし、厚さ0.1〜0.5mmのシートを作製してから、このシートから幅3mm、長さ約30mmの試験片を切り出し、23℃、50%RHの室内に24時間以上保管して養生処理を施した後、下記の装置、条件で一定速度で昇温させながら、一定周波数の振動を引張り方向にかける方法により測定した。
装置:レオメトリクス社製 固体動的粘弾性測定装置 RSA3
温度範囲:−40〜120℃
昇温速度:4℃/分
測定周波数:1Hz
[実施例1〜7]、[比較例1〜5]
各参考例のブロック共重合体を用いて、下記の方法で実施例1〜7のシートを製造し、該シートについて下記の評価試験を実施した。これにより、本発明のブロック共重合体、及び本発明のブロック共重合体を含む樹脂とビニル芳香族炭化水素系樹脂を含むブロック共重合体樹脂組成物を用いることによる本発明の効果を確認した。また本発明をより一層明確にするため、上記実施例と同じ方法により比較例1〜5のシートを製造し、該シートについて下記の評価試験を実施した。
実施例1〜7及び比較例1〜5の評価結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
上記実施例及び比較例のシートは、上記の各種参考例のブロック共重合体ペレットと、配合に応じて汎用ポリスチレン(東洋スチレン社製:トーヨースチロールG200C、以下、GPPSという。)を混合し、下記のシート成形機を使用し、厚さ0.6mm厚で製膜することにより製造した。なお、シート厚みはダイのリップ開度で調整し、シートの引き取り速度(冷却ロール周速)は一定とした。
シート成形機:田辺プラスティック社製 40mmφ単軸押出機VE40(40cm幅Tダイ付き)
冷却ロール直径:25cmφ
冷却ロール(タッチ部)とダイ出口間の距離:10(cm)
冷却ロール周速:1.0m/分
(a)引張り弾性率(MPa)の評価方法
シートからJISK6732に準拠するダンベル型試験片を切り出し、下記の引張り試験装置、評価条件で変位(チャック間距離)、及び荷重を測定した。
装置:オリエンテック社RTC−1210A、引張速度:10(mm/min)、雰囲気温度23℃。引張り弾性率は、エー・アンド・デイ社製データ処理システム:MSAT0001V2、及びMSAT0002V2を利用し、変位、荷重曲線の傾きから算出した。
(b)引張り伸び(%)の評価方法
引張り弾性率の測定で、ダンベル型試験片が破断した際の変位より、下記の式により引張り伸び(%)を定義した。
引張り伸び(%)=(破断時のチャック間距離(mm)−初期のチャック間距離(mm))/初期のチャック間距離(mm)×100
初期のチャック間距離:50mm
(c)耐折り曲げ白化性の評価方法
シートを180°完全に折り曲げた後にもとに戻し、白化の程度を目測で判断した。白化しないものを良好(○)、僅かにスジ跡が残るものを中間(△)、明らかに白いスジが残るものを不良(×)と判断した。
(d)耐折り曲げ強度の評価方法
シートから10cm×1cmの試験片を切り出し、下記の評価装置を用い、試験片が破断するまでの回数を測定した。なお、折り曲げ角度は左右45°、折り曲げ回数は175回/分、荷重は1kgとした。評価装置:東洋精機製作所社製 MIT−DA型
(e)耐衝撃性(シートのデュポン強度(J))の評価方法
シートから切り出した6cm四方の試験片を20枚を用い、300gの落錘、先端が1/4インチRのポンチにより下記の方法に従ってシートの破壊に要するエネルギー値を算出した。測定に際してはデュポン衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用いた。次いで、耐衝撃性の値を以下の順序にて算出した。
(1)受け台の上に試験片を置き、さらにポンチを試験片上に静かに載せ、次いでポンチ上端に落錘を落として、目視によりシートに生じた割れの有無を調べた。なお、本測定の前に別の予備試験片2〜3枚を用いて、シートが破壊し始めるおおよその落錘高さを求めた。
(2)1枚目は予備測定の結果から定めた落錘高さで測定した。
(3)2枚目以降は前回の結果を基に、シートが割れなかった場合は落錘高さを5cm上げ、割れた場合は落錘高さを5cm下げて同様に測定した。
(4)この操作を連続して20回行い、各回での落錘高さと割れの有無の記録から、以下に示した式により耐衝撃性を評価した。なお、耐衝撃性はエネルギー値に換算して表示した。
X=(高さ×○の枚数)の合計/○の枚数(m) ○:割れが生じないシート
Y=(高さ×●の枚数)の合計/●の枚数(m) ●:割れが生じたシート
Z=(X+Y)/2(m)
耐衝撃性(シートのデュポン強度(J))=0.3(kg)×9.8(m/s2)×Z(m)
表2の結果より、参考例1〜5のブロック共重合体は、−20℃〜+20℃の範囲内で損失弾性率(E”T1)に極大値が存在し、かつ式1に示す条件を満たす。さらに+40℃〜+80℃の範囲で式2の規定を満たすことが分かる。また、参考例7と参考例9は、−20℃から+20℃の範囲内で損失弾性率(E”T1)に極大値がないこと、さらに、参考例6〜10のブロック共重合体は、いずれも式1、式2の条件を満足していないことが分かった。
表3及び表4の結果より、実施例1〜7のシートは、比較例1〜5のシートより、いずれも引張り伸びが大きく、シートの耐折り曲げ白化性に優れ、シートの折り曲げ強度が縦方向・横方向いずれも高く、かつシートのデュポン強度も高いことが分かる。
Figure 2010024387
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Figure 2010024387
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本発明のブロック共重合体は、単独又はスチレン系の樹脂と混合し、広範な分野で使用され、主として押出しシート、及びそのシートをさらに二次加工製品の材料として広く使用することができる。

Claims (8)

  1. ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体であって、動的粘弾性測定により−20℃〜+20℃の温度範囲内における損失弾性率(E”T1)に極大値が観測され、さらに−20〜+20℃の温度範囲における損失弾性率(E”T1)が下記(式1)を満足し、かつ40〜80℃の温度範囲における損失弾性率(E”T2)が下記(式2)を満足することを特徴とするブロック共重合体。
    式1:E”T1>−11.7T −6.50×10T −1.26×10T +4.00×10T+1.30×10 (-20≦T≦20)
    式2:E”T2<0.377T −133T +1.62×10T −7.90×10T +9.00×10T+2.84×10 (40≦T≦80)
    ただし、E”T1、E”T2の単位はPaであり、T、Tの単位は℃である。
  2. ビニル芳香族炭化水素を含む重合体ブロックA1及びA2と、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むランダム共重合体ブロックB1及びB2を有し、ランダム共重合体ブロックB1のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が3.0〜5.0であり、ランダム共重合体ブロックB2のビニル芳香族炭化水素に基づく質量(M )と共役ジエンに基づく質量(M )の質量比(M /M )が1.2〜2.5であり、下記一般式(a)〜(f)からなる群から選ばれる1種の化学構造を有し、数平均分子量が50,000〜500,000である、請求項1に記載のブロック共重合体。
    A1−(B1−B2)m (a)
    A1−(B1−B2)m−A2 (b)
    (A1−(B1−B2)m)n−X (c)
    (A1−(B1−B2)m−A2)n−X (d)
    (A2−(B2−B1)m)n−X (e)
    (A2−(B2−B1)m−A1)n−X (f)
    (ただし、前記式(a)〜(f)において、m、nは1以上の整数であり、Xはカップリング剤の残基である。)
  3. B1に隣接するビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量が、B2に隣接するビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量よりも小さい、請求項2に記載のブロック共重合体。
  4. 前記ブロック共重合体全質量に対する共役ジエンの質量割合が15〜35質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体と、ビニル芳香族炭化水素系樹脂を含むブロック共重合体と、を含む組成物。
  6. ブロック共重合体100質量部に対し、ビニル芳香族炭化水素系重合体を5〜50質量部含有する請求項5に記載の組成物。
  7. ビニル芳香族炭化水素系重合体が、ビニル芳香族炭化水素単独重合体、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸との共重合体、又はハイインパクトポリスチレンである請求項5又は6に記載の組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の組成物から成形されるシート又はフィルム。
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