JP2004091751A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビニル芳香族炭化水素単量体と、共役ジエン単量体より形成され、ビニル芳香族炭化水素単量体と共役ジエン単量体の質量比が50/50〜90/10であり、GPCの最大ピークを示すピークの分子量が5万〜30万である少なくとも1種類のブロック共重合体99.5〜97質量%と、脂肪酸モノグリセライドとクエン酸またはコハク酸のエステル0.5〜3質量%からなる樹脂組成物。それを用いてなる成形品、シート、フィルムまたは一軸以上に延伸した熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属剥離性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体や共重合体組成物は、透明性、耐衝撃性の特性を利用して射出成形用途、シート、フィルム等の押し出し成形用途等に使用されており、必要に応じ印刷が施されて使用される。
それらをフィルムやシートにする際、生産性の高い方法としてカレンダー加工法がよく利用されるが、カレンダー加工は高温で樹脂を溶融させる必要があり、その際に金属ロールに樹脂が付着し、成形が困難になることがある。即ちロール剥離性が重要な特性として挙げられる。
金属剥離性を改善する方法として、樹脂に予め滑剤を配合して粘着を防止する方法が行われている。例えば、特公平2−12264号公報にはグリセリン脂肪酸コハク酸エステルとポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびポリプロピレンとの透明性、防曇性、帯電防止性、アンチブロッキング性、粘着防止性および加工性の改良された熱可塑性樹脂組成物が、また特開昭62−84135号公報にはグリセリン脂肪酸マレイン酸エステルとポリ塩化ビニルおよびポリエチレンとの帯電防止性、初期着色性、熱安定性及び透明性の改良された熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
特開平12−86811号公報には、多価アルコールと高級脂肪酸の部分エステルと多塩基酸とのエステルである滑剤と熱可塑性樹脂からなる成形加工性の改良された樹脂組成物が記載されている。また、その実施例には、スチレン−ブタジエン共重合体とグリセリンコハク酸ラウリン酸エステル、グリセリンコハク酸ステアリン酸エステル、グリセリンコハク酸ベヘン酸エステル、グリセリンクエン酸ラウリン酸エステル、グリセリンクエン酸ステアリン酸エステル、グリセリンクエン酸ベヘン酸エステル及びセチルコハク酸エステルとの組成物がロール剥離性とロール汚染性に優れていることが記載されている。
しかしながら、これらの熱可塑性樹脂組成物では、ロール剥離性については改善効果が認められるものの、透明性、熱収縮性に優れた樹脂組成物は得られておらず、それらの特性の改良が望まれていた。また、上記のグリセリン脂肪酸のエステルの印刷性への影響及びその改善について言及したものはなかった。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−12264号公報
【特許文献2】
特開昭62−84135号公報
【特許文献3】
特開平12−86811号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量比、ブロック共重合体の分子量を制御したブロック共重合体に、特定の飽和脂肪酸モノグリセライドとカルボン酸のエステルからなる化合物を混合することにより、ロール剥離性、透明性、印刷性、及び熱収縮性に優れた樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(A成分)ビニル芳香族炭化水素単量体と、共役ジエン単量体より形成され、ビニル芳香族炭化水素単量体と共役ジエン単量体の質量比が50/50〜90/10であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいて最大ピークを示すピークのポリスチレン換算した場合の分子量が5万〜30万である少なくとも1種類のブロック共重合体99.5質量%〜97質量%と、(B成分)脂肪酸モノグリセライドとクエン酸もしくはコハク酸をエステル化した化合物0.5質量%〜3質量%からなることを特徴とする樹脂組成物が、ロール剥離性、透明性、印刷性および熱収縮性に優れることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(A成分)ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素単量体と、共役ジエン単量体より形成され、ビニル芳香族炭化水素単量体と共役ジエン単量体の質量比が50/50〜90/10であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいて最大ピークを示すピークのポリスチレン換算した場合の分子量が5万〜30万である少なくとも1種類のブロック共重合体である。
【0007】
本発明のA成分であるブロック共重合体において使用されるビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどがあるが、特に好ましくはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種類以上混合使用してもよい。
【0008】
また、共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらも同様に1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
【0009】
本発明のブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量は50質量%〜90質量%、好ましくは55質量%〜85質量%である。ビニル芳香族炭化水素含有量が50質量%未満、共役ジエン含有量が50質量%を超えると剛性が低下し、逆にビニル芳香族炭化水素含有量が90質量%を超え、共役ジエン含有量が10質量%未満では、耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0010】
本発明のブロック共重合体の分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記す)により測定された分子量分布曲線の最大ピークを示すピークの分子量を示すものである。これは、分子量既知の標準ポリスチレンのGPCを測定し、そのピーク位置の保持容量を求めて分子量と保持容量との相関曲線を作図した検量線より求められる。
【0011】
本発明におけるブロック共重合体の分子量は5万から30万であり、好ましくは7万から20万である。分子量が5万未満では組成物の耐衝撃性が劣ってしまい、また30万を超えると成形品の透明性が劣ってしまい好ましくない。
【0012】
本発明のブロック共重合体の構造は特に制約は無いが、例えばラジアルブロック構造、線状構造のものが使用できる。これらは単独で使用しても混合して使用してもよい。組成物の耐衝撃性の点では、例えば以下に示す一般式(イ)〜(ニ)の線状構造から選ばれた少なくとも1つであることがより好ましい。
【0013】
(イ)(A−B)m
(ロ)A−(B−A)m
(ハ)A−(C−B)m
(ニ)A−(C−B)m−A
但し、Aはビニル芳香族炭化水素の重合鎖、Bはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合鎖、Cは共役ジエンの重合鎖を示す。また、mはそれぞれ独立した1以上の整数を示す。また、分子鎖にA、BあるいはCが複数存在する場合には、その分子量、共重合鎖にあってはビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの分布状態などはそれぞれ独立していて、同一である必要はない。
【0014】
本発明のブロック共重合体は、有機溶媒中で有機リチウム化合物を重合開始剤とし、前記に説明したビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンの中から、それぞれ1種または2種以上を選びリビングアニオン重合させることにより得られる。
【0015】
有機溶剤としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環系炭化水素、或いはエチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが使用できる。
【0016】
重合開始剤である有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、本発明では例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどの単官能性重合開始剤、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムなどの多官能性重合開始剤が使用できる。
【0017】
そして、共重合体中のビニル芳香族炭化水素のブロック率は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合時の反応性比を変化させるランダム化剤の添加濃度を変えることにより制御することができる。そのランダム化剤は極性を持つ分子であり、アミン類やエーテル類、チオエーテル類、およびホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、その他にカリウムまたはナトリウムのアルコキシドなどが使用可能である。
適当なアミン類としては第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンの他、環状第三級アミンなども使用できる。エーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その他にトリフェニルフォスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸カリウムまたはナトリウム、カリウム、ナトリウムブトキシドなどを挙げることができる。
【0018】
ランダム化剤は1種、または複数の種類を使用することができ、その添加濃度としては、原料とするモノマー100質量部あたり合計0.001〜10質量部とすることが適当である。
【0019】
リビングアニオン重合における重合停止剤として、本発明では水、アルコール、無機酸、有機酸、およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種以上が反応系中に添加されて重合が停止する。
【0020】
重合停止剤としてのアルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノールなどが、無機酸としては塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、炭酸などが、有機酸としてオクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ベヘン酸などのカルボン酸、その他スルホン酸、スルフィン酸などが、フェノール系化合物として2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
重合停止剤として水はとくに賞用できる。
【0021】
なお、重合活性末端の失活数は加えた重合停止剤の化学量論数に比例するので、重合停止剤は活性末端数より少ない化学量論数の量を数回に分けて添加することとして、重合中の活性末端の一部のみを失活させ、残った活性末端による重合をさらに継続させながら所定の重合率に達したところで残りの活性末端を失活させても良いし、また一度に全ての活性末端を失活させても良い。但し、重合の完了時にはその時点における活性末端数に対して充分な量の重合停止剤を添加して活性末端を全て失活させることが好ましい。
【0022】
失活処理の終わった共重合体溶液から溶剤を分離するための方法としては、(1)メタノールなどの貧溶媒中に析出させる方法、(2)加熱ロールなどに共重合体溶液を供給し、溶剤のみを蒸発させて共重合体を分離する方法(ドラムドライヤー法)、(3)加熱したブロック共重合体(組成物)溶液を、そこに含まれる有機溶剤の該温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力に保った缶中に連続的、あるいは間欠的に供給して脱揮する方法(フラッシュ蒸発法)、(4)ベント式押出機に通して脱揮させる方法、(5)温水中に撹拌しながら、共重合体溶液を吹き込んで溶剤を蒸発させる方法(スチームストリッピング法)などや、これらを組み合わせた方法が挙げられる。
【0023】
次に本発明で用いられるB成分について説明する。本発明の脂肪酸モノグリセライドに用いられる脂肪酸としては、脂肪酸モノグリセライドの脂肪酸が炭素数10〜28の脂肪酸が好ましく、脂肪酸モノグリセライドの脂肪酸がステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸から選ばれた1種以上であることがより好ましい。B成分の好ましい化合物としては、例えば、グリセリンコハク酸ラウリン酸エステル、グリセリンコハク酸ステアリン酸エステル、グリセリンコハク酸ベヘン酸エステル、グリセリンクエン酸ラウリン酸エステル、グリセリンクエン酸ステアリン酸エステル及びグリセリンクエン酸ベヘン酸エステルなどが挙げられる。特に、脂肪酸がステアリン酸であるグリセリンコハク酸ステアリン酸エステル、グリセリンクエン酸ステアリン酸エステル等が好ましい。
【0024】
本発明の(B成分)脂肪酸モノグリセライドと、クエン酸もしくはコハク酸をエステル化した化合物の添加量は0.5質量%〜3質量%であり、0.5質量%未満ではロール剥離性が乏しく、3質量%を超えると透明性が低下するため好ましくない。
【0025】
本発明に用いるスチレン系樹脂としては、HIPS、GPPS、MS(メチルメタクリレート−スチレン共重合体)、MBS(メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体)、n−ブチルアクリレート−スチレン共重合体、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−スチレン共重合体、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体等があげられる。単量体成分としてスチレンが主体となっていれば特に制限はないが、GPPS、MSが好ましい。
また、スチレン系樹脂の添加量としては、樹脂組成物中の40質量%未満の範囲で添加することが好ましい。
【0026】
ブロック共重合体、B成分の化合物及びスチレン系樹脂の混合方法は特に制限されないが、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしてもよく、さらに押出機で溶融化してペレット化しても良い。
【0027】
また、本発明の樹脂組成物、本発明に用いる各(共)重合体には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、耐候剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃化剤、フィラーなどの添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。添加剤を配合する方法については、特に制限されないが、たとえばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしても良く、さらに押出機で溶融してペレット化しても良い。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理などの段階で、添加しても良い。
【0028】
なお、本発明で用いる安定剤としては、例えば2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートや、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0029】
また、滑剤、加工助剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどの脂肪酸エステルやペンタエリスリトール脂肪酸エステル、さらにエルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アマイドや、エチレンビスステアリン酸アマイド、またグリセリン−モノ−脂肪酸エステル、グリセリン−ジ−脂肪酸エステル、その他にソルビタン−モノ−パルミチン酸エステル、ソルビタン−モノ−ステアリン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどに代表される高級アルコールなどが挙げられる。
【0030】
さらに耐候性向上剤としては2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系や2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどのサリシレート系、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、また、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン型耐候性向上剤が例として挙げられる。さらにホワイトオイルや、シリコーンオイルなども加えることができる。
【0031】
これらの添加剤は樹脂組成物100質量部に対し1質量部以下の範囲で使用することが望ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、特に限定されないが射出成形や押し出し成形により成形品を得ることができ、好ましくはカレンダー成形の他、例えばTダイ法、チューブラ法で押し出したシート、フィルムを一軸、二軸あるいは多軸で延伸することにより熱収縮性フィルムを得ることが出来る。一軸延伸の例としては、押し出されたシートをロールで押し出し方向に延伸する方法、押し出されたシートをテンターで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを円周方向に延伸する方法などがあげられる。二軸延伸の例としては、押し出されたシートをロールで押し出し方向に延伸した後、テンターなどで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを押し出し方向及び円周方向に同時又は別々に延伸する方法などがあげられる。
また、本発明の熱収縮性ラベルは、公知の方法により作製することができ、例えば延伸フィルムを延伸した方向を円周方向にして、溶剤シールすることにより作製することができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物の用途としては、各種食品容器の他、包装フィルム等に適用できるが、特に熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシール等が特に好適である。
【0034】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ブロック共重合体組成物のA−1の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン490kgと70kgのスチレンモノマー、及びテトラヒドロフラン75gを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1800mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に保ちながら25kgのブタジエンを添加して反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に保ちながら、6kgのブタジエンと105kgのスチレンを一括添加して引き続きこれを反応させ、最後に重合活性末端を水により失活させてスチレンブロック構造と、ブタジエンブロック構造と、スチレンとブタジエンのテーパー構造部を持つブロック共重合体を含む重合液aを得た。
(5)反応容器中にシクロヘキサン245kgと23kgのスチレンモノマー、及びテトラヒドロフラン38gを仕込み、30℃に保った。
(6)この中に重合触媒溶液2300mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(7)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に保ちながら、48kgのブタジエンと35kgのスチレンを一括添加して引き続きこれを反応させ、最後に重合活性末端を水により失活させてスチレンブロック構造と、スチレンとブタジエンのテーパー構造部を持つブロック共重合体を含む重合液bを得た。
(8)先述の重合液aの100質量部に対して重合液bを50質量部混合し、脱揮して目的の組成物A−1を製造した。結果を表1に示した。
【0035】
ブロック共重合体分子量については、ポリマーラボラトリー社製PLgel、MIXED−Bカラムを使用し、測定温度40℃、ポリマー濃度2mg/mL、流速1mL/minの条件にて、RI検出器によって求めた。
【0036】
ブロック共重合体組成物のA−2の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン490kgと36kgのスチレンモノマー、及びテトラヒドロフラン75gを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液1800mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、9kgのブタジエンと70kgのスチレンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)反応が終了した後、反応系の内温を50℃に保ちながらさらにブタジエン27kgとスチレンモノマー70kgを一括添加して反応させた。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、スチレンブロック構造と、スチレンとブタジエンのテーパー構造部を持つ重合体を含む重合液を得て、これを重合液cとした。
(6)反応容器中にシクロヘキサン490kgと105kgのスチレンモノマー、及びテトラヒドロフラン75gを仕込み、50℃に保った。
(7)この中に重合触媒溶液1000mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(8)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に保ちながら、35kgのブタジエンと70kgのスチレンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(9)反応が終了した後、反応系の内温を50℃に保ちながらさらにブタジエン27kgとスチレンモノマー70kgを一括添加して反応させた。
(10)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、スチレンブロック構造と、スチレンとブタジエンのテーパー構造部を持つ重合体を含む重合液を得て、これを重合液dとした。
(11)先述の重合液cの100質量部に対して重合液d50質量部を混合した後、脱揮して目的の組成物A−2を得た。結果を表1に示した。
【0037】
ブロック共重合体組成物のA−3の製造
(1)反応容器中にシクロヘキサン490kgと8kgのスチレンモノマーを仕込み、30℃に保った。
(2)この中に重合触媒溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1300mLを加え、スチレンモノマーをアニオン重合させた。
(3)スチレンモノマーが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、20kgのブタジエンを一括添加して引き続きこれを反応させた。
(4)ブタジエンガスが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量116kgのスチレンモノマー、及び総量14kgのブタジエンを、それぞれ77kg/h、9kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加させ、添加終了後も5分間そのままの状態を保った。
(5)さらに53kgのスチレンモノマーを一括添加し、重合を完結させた。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック部とポリブタジエンのブロック部、及びスチレンとブタジエンのランダム構造部を持つ重合体を含む重合液を得て、これを重合液eとした。
(7)重合触媒溶液の量を2400mL、ブタジエン一括添加量を64kg、最後のスチレンモノマー添加量を8kgとして重合液Aと同様な操作を実施し、重合液fを得た。
(8)先述の重合液eの100質量部に対して重合液f50質量部を混合した後、脱揮して目的の組成物A−3を得た。結果を表1に示した。
【0038】
実施例1〜6及び比較例1〜6
表1に示したA成分のブロック共重合体、表2に示したB成分、表3に示したスチレン系樹脂を、それぞれ表4〜5の配合処方に従ってヘンシェルミキサーで混合後、単軸押出機で溶融混練しペレット化することによって樹脂組成物を製造した。得られたペレットを160℃に加熱した8インチロール上で5分間混練し、厚さ0.3mmのシートに成形した。その後、東洋精機(株)製の二軸延伸装置を用い、温度90℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フィルムを作成した。
【0039】
表4〜5に示した物性の測定は以下の方法によって行った。
(1)ロール剥離性: 8インチロールで混練した際の溶融樹脂の剥離性について評価を行った。
○:全く粘着しない △:やや粘着する ×:粘着するが剥がれる
(2)印刷性:得られた延伸フィルムに大日精化(株)社製インキ「STR722(黄)」を塗布し、2時間風乾したのち、セロハンテープを貼付して剥がす剥離試験方法により、次式によりインキ剥離率を算出して印刷性の指標とした。インキ剥離率(%)=(インキが剥がれた面積)/(セロハンテープを貼付したインキ塗布面の面積)×100
○:インキ剥離率0〜20% △:インキ剥離率21〜50% ×:インキ剥離率>50%
(3)熱収縮性:得られた延伸フィルムを、延伸方向を長手として80℃の温水中に30秒間浸漬し、次式より熱収縮率を算出し、熱収縮性の指標とした。熱収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100
但し、L1:浸漬前の長さ(延伸方向)、L2:80℃の温水中に30秒間浸漬した収縮後の長さ(延伸方向)。
○:熱収縮率 >30% △:熱収縮率 20〜30% ×:熱収縮率 <20%
(4)透明性:JIS K7136に準拠し、日本電色工業製HAZEメーターNDH−2000型を用いて曇度を測定し、透明性の指標とした。
○:曇度<10% △:曇度10〜20% ×:曇度 >20%
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】
このように本発明の樹脂組成物は、ロール剥離性が改善され、且つ印刷性、透明性、熱収縮性に優れ、食品容器をはじめ包装用フィルム、特に熱収縮ラベル、キャップシール等の用途に好適である。
Claims (7)
- (A成分)ビニル芳香族炭化水素単量体と、共役ジエン単量体より形成され、ビニル芳香族炭化水素単量体と共役ジエン単量体の質量比が50/50〜90/10であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいて最大ピークを示すピークの分子量が5万〜30万である少なくとも1種類のブロック共重合体99.5質量%〜97質量%と、(B成分)脂肪酸モノグリセライドとクエン酸またはコハク酸のエステル0.5質量%〜3質量%からなることを特徴とする樹脂組成物。
- A成分が線状構造であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 脂肪酸モノグリセライドの脂肪酸がステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 少なくとも1種類のスチレン系樹脂を混合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物からなることを特徴とするシート、フィルムまたは一軸以上に延伸した熱収縮性フィルム。
- 請求項6記載のフィルムを用いた熱収縮性ラベル。
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2002
- 2002-09-04 JP JP2002258609A patent/JP2004091751A/ja active Pending
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