JP2017207596A - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐折性に優れ、屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置にも好適に適用され得る光学積層体を提供すること。【解決手段】本発明の光学積層体は、基材と、基材の少なくとも片側に配置される偏光子とを備え、該基材と該偏光子との層間剥離力が、0.5N/15mm以上であり、曲率半径2mmで10万回屈曲させた後において、該基材/該偏光子間での層間剥離がなく、かつ、該偏光子の破断およびクラックがない。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体に関する。
近年、スマートフォンに代表されるスマートデバイス、またデジタルサイネージやウィンドウディスプレイなどの表示装置が強い外光の下使用される機会が増加している。それに伴い、表示装置自体または表示装置に用いられるタッチパネル部やガラス基板、金属配線等の反射体による外光反射や背景の映り込み等の問題が生じている。特に、近年実用化されてきている有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、反射性の高い金属層を有するため、外光反射や背景の映り込み等の問題を生じやすい。そこで、円偏光板を視認側に反射防止フィルムとして設けることにより、これらの問題を防ぐことが知られている(例えば、特許文献1)。
近年、有機EL表示装置のフレキシブル化・屈曲可能化に対する要望が強まっている。円偏光板をフレキシブル性の高い有機EL表示装置に用いると、該表示装置を屈曲させた際に、円偏光板にクラックや破断が生じ、表示特性が著しく低下するという問題がある。特に、フォルダブルと呼ばれる折り畳み可能な表示装置においては本問題が顕著となる。
特開2006−171235号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、耐折性に優れ、屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置にも好適に適用され得る光学積層体を提供することにある。
本発明の光学積層体は、基材と、基材の少なくとも片側に配置される偏光子とを備え、該基材と該偏光子との層間剥離力が、0.5N/15mm以上であり、曲率半径2mmで10万回屈曲させた後において、該基材/該偏光子間での層間剥離がなく、かつ、該偏光子の破断およびクラックがない。
1つの実施形態においては、本発明の光学積層体は、25℃における引っ張り弾性率が、1.5GPa以上である。
1つの実施形態においては、上記基材と上記偏光子とが、接着剤層を介して積層されている。
1つの実施形態においては、本発明の光学積層体は、有機EL表示装置の反射防止フィルムとして用いられる。
本発明の別の局面によれば、有機EL表示装置が提供される。この有機EL表示装置は、上記光学積層体を備える。
本発明の実施形態によれば、基材と偏光子とを備え、基材と偏光子との層間剥離力を特定の範囲とすることにより、屈曲が繰り返されても、剥離および破断が生じ難い光学積層体を得ることができる。このように耐折性優れる光学積層体は、屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置にも好適に適用され得る。
本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。 本発明の別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による有機EL表示装置の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による有機EL表示装置に用いられる有機EL素子の概略断面図である。 実施例および比較例の耐折性試験に用いられる耐折試験機を説明する図である。
以下、本発明の代表的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx−nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)液晶化合物の配向固化層
「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。
(6)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
A.光学積層体の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体100は、基材10と、基材10の少なくとも片側に配置される偏光子20とを備える。基材10は可撓性である。1つの実施形態において、基材10は、表面保護層として、有機EL表示装置のカバーガラスを代替する機能を有し、かつ、偏光子20の保護層として機能する。カバーガラスを代替する結果、光学積層体(結果として、有機EL表示装置)の薄型化が可能となる。好ましくは、基材10と偏光子20とは、接着剤層を介して積層される(図示せず)。
上記基材と偏光子との層間剥離力は、0.5N/15mm以上であり、好ましくは1N/15mm以上であり、より好ましくは2N/15mm以上であり、さらに好ましくは2.5N/15mm以上であり、より好ましくは3N/15mm以上である。基材と偏光子との層間剥離力の上限は、例えば、5N/15mmである。上記層間剥離力は、光学積層体をガラス板に固定した後、引っ張り試験機により、剥離角度:90°、剥離速度10m/minの条件で、基材と偏光子とを剥離させた際の剥離力を意味する。なお、基材と偏光子との層間剥離力は、例えば、基材と偏光子との間に配置される接着剤層の特性により調整され得る。
本発明においては、上記のように基材と偏光子との層間剥離力を特定値以上とし、基材と偏光子とを十分に密着させることにより、光学積層体を屈曲させた際の偏光子の破断およびクラックを防止することができる。より詳細には、光学積層体を屈曲させた際に偏光子の剥離が生じることを防止することで、該剥離をきっかけとして生じる偏光子の破断およびクラックが防止される。本発明の光学積層体は、屈曲が繰り返されても、剥離および破断が生じ難く、屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置に好適に適用され得る。1つの実施形態においては、基材と偏光子との層間剥離力は、2N/15mm以上である。このような範囲であれば、上記効果はより顕著となり、光学積層体を大きな屈曲率(例えば、屈曲部分の曲率半径が2mm未満)で複数回屈曲させた際にも、偏光子の破断およびクラックが防止される。
本発明の光学積層体は、曲率半径2mmで10万回屈曲させた後において、基材/偏光子間での層間剥離がなく、かつ、偏光子の破断およびクラックがない。ここで、基材/偏光子間の層間剥離がないとは、偏光子が基材から剥離した部分の面積が、偏光子の基材側全面に対して、5%以下であることを意味する。なお、偏光子が基材から剥離した部分の面積は、偏光子の基材側全面に対して、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。最も好ましくは、偏光子は基材から全く剥離しない。上記屈曲は、基材側を内側として4mmφのマンドレルを挟み(すなわち、屈曲部の曲率半径を2mmとし)、屈曲角度175°で行われる(詳細は、後述)。
好ましくは、本発明の光学積層体は、曲率半径1mmで10万回屈曲させた後において、基材/偏光子間での層間剥離がなく、かつ、偏光子の破断およびクラックがない。当該屈曲は、基材側を内側として2mmφのマンドレルを挟み、屈曲角度175°で行われる。
図2は、本発明の別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。本実施形態の光学積層体101は、偏光子20の基材10とは反対側に、光学補償層30をさらに備える。1つの実施形態においては、光学補償層30と偏光子20との積層体が円偏光板として機能する。光学補償層30の偏光子20と反対側に導電層(図示せず)が設けられてもよい。このような導電層を設けることにより、光学積層体は、表示セル(有機ELセル)と偏光子との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に適用され得る。光学積層体の周縁部(より具体的には、有機EL表示装置のベゼルに対応する位置)に印刷層(図示せず)が形成されてもよい。印刷層は、基材10の偏光子20側(実質的には、樹脂フィルム12の偏光子20側)に形成されてもよく、光学補償層30の偏光子20と反対側に形成されてもよい。印刷層が光学補償層30の偏光子20と反対側に形成され、かつ、導電層および印刷層の両方が形成される場合には、代表的には、光学補償層と導電層との間に印刷層が形成され得る。
1つの実施形態においては、上記光学補償層は、位相差フィルムで構成されている。この場合、当該位相差フィルムは、偏光子の保護層(内側保護層)としても機能し得る。その結果、光学積層体(結果として、有機EL表示装置)のさらなる薄型化に貢献し得る。なお、必要に応じて、偏光子と位相差フィルムとの間に内側保護層(内側保護フィルム)が配置されてもよい。
別の実施形態においては、光学補償層は、液晶化合物の配向固化層(以下、単に液晶配向固化層と称する)の積層構造を有する。液晶化合物を用いることにより、得られる光学補償層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための光学補償層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、光学積層体(結果として、有機EL表示装置)のさらなる薄型化を実現することができる。
光学積層体が、偏光子および基材以外の層を有する場合、各層間における層間剥離力は、基材と偏光子との層間剥離力と同等であることが好ましい。具体的には、各層間(例えば、光学補償層/偏光子間、光学補償層/導電層間等)における層間剥離力は、好ましくは0.5N/15mm以上であり、より好ましくは1N/15mm以上であり、さらに好ましくは2N/15mm以上であり、さらに好ましくは2.5N/15mm以上であり、特に3N/15mm以上である。
図示していないが、本発明の光学積層体は、任意の適切なその他の層をさらに備え得る。その他の層としては、反射防止層、防汚層等が挙げられる。
1つの実施形態においては、本発明の光学積層体は長尺状である。長尺状の光学積層体は、例えば、ロール状に巻回されて保管および/または運搬され得る。
本発明の光学積層体の総厚みは、代表的には30μm〜300μmであり、好ましくは40μm〜250μmである。
本発明の光学積層体の引っ張り弾性率は、25℃において、好ましくは1.5GPa以上であり、より好ましくは2.0GPa以上であり、さらに好ましくは2.0GPa〜10GPaである。このような範囲であれば、光学積層体全体として破断しがたい(すなわち、基材および偏光子ともに破断しがたい)光学積層体を得ることができる。光学積層体の引っ張り弾性率は、例えば、基材を構成する材料を適切に選択することにより、所望の値とすることができる。引っ張り弾性率は、JIS K 7127(試験片:ダンベル試験片)に準じて測定され得る。
上記の実施形態は適宜組み合わせてもよく、上記の実施形態における構成要素に当業界で自明の改変を加えてもよく、上記の実施形態における構成を光学的に等価な構成に置き換えてもよい。
本発明の実施形態による光学積層体は、画像表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置)、好ましくは屈曲可能(ベンダブル)な画像表示装置、より好ましくは屈曲可能な有機EL表示装置、さらに好ましくは折りたたみ可能(フォルダブル)な有機EL表示装置に用いられる。以下、簡単のため、光学積層体が屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置に適用される場合について説明するが、光学積層体が液晶表示装置にも同様に適用され得ることは当業者に自明である。
以下、光学積層体の構成要素について説明する。
B.基材
1つの実施形態においては、基材は、ハードコート層と樹脂フィルムとを含む。光学積層体において、ハードコート層は、樹脂フィルムの偏光子とは反対側の面に配置され得る。樹脂フィルムの構成に応じて、ハードコート層は省略されてもよく、樹脂フィルムの両側にハードコート層が形成されてもよい。基材は、偏光子に樹脂フィルムまたはハードコート層と樹脂フィルムの積層体を直接貼り合せて形成されてもよく、後述の樹脂を含む塗工液を偏光子に塗工して形成されてもよい。
B−1.基材の特性
以下、基材の特性についての説明における「基材」は、樹脂フィルム単独の場合には樹脂フィルムを、ハードコート層と樹脂フィルムとを含む場合にはこれらの積層体を意味する。
上記基材は、曲率半径3mm以下(例えば、3mm、2mm、1mm)で好ましくは20万回、より好ましくは30万回、さらに好ましくは50万回折り曲げ可能な屈曲性を有する。基材がこのような屈曲性を有することにより、光学積層体を有機EL表示装置に適用した場合に屈曲可能または折り畳み可能な有機EL表示装置を実現することができる。基材が樹脂フィルムの片側にハードコート層を有する場合、屈曲性の試験は、ハードコート層を内側にして折り曲げて行われる。基材の屈曲性は、マンドリルを挟んで片側のチャックが180°折り曲げを繰り返す耐折試験機にて測定され得る。
基材は、好ましくは、折り曲げ後の復元性を有する。折り曲げ後の復元性とは、折り曲げた後に折れ痕が残ることなく元の状態に戻ることをいう。折り曲げ後の復元性は、例えば基材(樹脂フィルムまたは積層体)を曲率半径1mmで180°の折り曲げを繰り返した後に折れ痕がつくまでの繰り返し回数で評価され得る。基材は、好ましくは、当該条件で10000回以上という復元性を有する。
基材の視認側表面(ハードコート層表面または樹脂フィルム表面)は、好ましくは9H以上の鉛筆硬度を有する。さらに、当該視認側表面は、1000g荷重で好ましくは300回、より好ましくは500回、さらに好ましくは1000回往復摩擦しても傷を生じない耐擦傷性を有する。鉛筆硬度および耐擦傷性がこのような範囲であれば、基材がカバーガラスの代替として良好に機能し得る。鉛筆硬度は、JIS K 5400−5−4に準じて測定され得る。また、耐擦傷性は、スチールウール#0000で1000g荷重で表面を所定の回数往復した際の傷の状態にて評価され得る。
基材の光線透過率は、好ましくは91%以上であり、より好ましくは93%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。基材ヘイズは、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.4%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。基材の光線透過率および/またはヘイズがこのような範囲であれば、光学積層体が有機EL表示装置に適用された場合に良好な視認性を実現することができる。
B−2.ハードコート層
ハードコート層は、上記B−1項に記載の特性を満足し得る任意の適切な材料で構成され得る。構成材料の具体例としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂(例えば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂)、二液混合型樹脂などが挙げられる。紫外線硬化型樹脂が好ましい。簡単な加工操作にて効率よくハードコート層を形成することができるからである。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種樹脂が挙げられる。これらは、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等を含む。好ましくは、アクリル系樹脂である。紫外線硬化型アクリル系樹脂は、紫外線重合官能基を好ましくは2個以上、より好ましくは3〜6個有するモノマー成分およびオリゴマー成分を含む。代表的には、紫外線硬化型樹脂には、光重合開始剤が配合されている。硬化方式は、ラジカル重合方式であってもよく、カチオン重合方式であってもよい。1つの実施形態においては、上記構成材料にシリカ粒子やかご状シルセスキオキサン化合物などを配合した有機無機ハイブリッド材料を用いてもよい。ハードコート層の構成材料および形成方法は、例えば特開2011−237789号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
ハードコート層は、上記構成材料にスライドリング材料を配合して形成されてもよい。スライドリング材料を配合することにより、良好な可撓性が付与され得る。スライドリング材料の代表例としてはポリロタキサンが挙げられる。ポリロタキサンは、代表的には、直鎖状のポリエチレングリコール(PEG)主鎖をシクロデキストリン(CD)環状分子がスライドする構造を有する。PEG主鎖の両末端はアダマンタンアミンで修飾され、CD環状分子の脱落が防止される。本発明に用いられるポリロタキサンにおいては、CD環状分子は化学修飾されて活性エネルギー線重合性基が付与されている。スライドリング材料を用いる場合、上記ハードコート層構成材料としては、ラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマーが好ましく用いられる。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。ポリロタキサンとの相溶性に優れ、かつ、多様な材料選択が可能となるからである。ポリロタキサン(実質的には、CD環状分子の重合性基)とハードコート層構成材料の活性エネルギー線硬化性成分とが反応して硬化すると、硬化後においても架橋点が可動であるハードコート層が得られる。その結果、折り曲げ時の応力を緩和することができ、折り曲げ耐久性が向上する。ポリロタキサンおよび硬化メカニズムは、例えば特開2015−155530号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
ハードコート層は、上記構成材料にナノファイバーおよび/またはナノクリスタルを配合して形成されてもよい。ナノファイバーの代表例としては、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバーが挙げられる。これらを配合することにより、優れた透明性を維持しつつ、可撓性、鉛筆硬度、耐擦傷性、耐摩耗性に優れたハードコート層が得られ得る。ナノファイバーおよび/またはナノクリスタル(組み合わせて用いる場合にはその合計)は、ハードコート層全体に対して好ましくは0.1重量%〜40重量%の割合で配合され得る。ナノファイバーは、平均繊維径が例えば1nm〜100nmであり、平均繊維長が例えば10nm〜1000nmである。ナノファイバーを含むハードコート層は、例えば特開2012−131201号公報、特開2012−171171号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
ハードコート層の厚みは、好ましくは1μm〜20μmであり、より好ましくは2μm〜15μmである。厚みが小さすぎると、硬度が不十分であったり、折り曲げ等に起因する寸法変化の抑制効果が不十分である場合がある。厚みが大きすぎると、屈曲性および/または折りたたみ性に悪影響を及ぼす場合がある。
B−3.樹脂フィルム
樹脂フィルムは、上記B−1項に記載の特性を満足し得る任意の適切な材料で構成され得る。構成材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、ポリアリレート系樹脂および/またはポリイミド系樹脂である。これらの樹脂を用いれば、適度な引っ張り弾性率(具体的には、A項に記載する引っ張り弾性率)を有する光学積層体を得ることができる。
樹脂フィルムは、上記構成材料に微粒子を配合してもよい。より具体的には、樹脂フィルムは、上記構成材料のマトリックス中にナノメートルオーダーの微粒子が分散した、いわゆるナノコンポジットフィルムであってもよい。このような構成であれば、非常に優れた硬度および耐擦傷性が付与されるので、ハードコート層が省略され得る。微粒子の平均粒子径は、例えば1nm〜100nm程度である。微粒子は、代表的には無機酸化物で構成されている。好ましくは、微粒子は、所定の官能基で表面が修飾されている。微粒子を構成する無機酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム、イットリア添加酸化ジルコニウム、ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸スズ、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タンタル、タンタル酸カリウム、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ガリウム等、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムが挙げられる。
樹脂フィルムの厚みは、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは10μm〜80μmである。このような厚みであれば、薄型化、ハンドリング性、機械的強度のバランスに優れる。
C.偏光子
偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3〜7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm〜12μmであり、さらに好ましくは3μm〜10μmであり、特に好ましくは3μm〜8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。さらに、偏光子の厚みがこのような範囲であれば、光学積層体(結果として、有機EL表示装置)の薄型化に貢献し得る。
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは43.0%〜46.0%であり、より好ましくは44.5%〜46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
D.光学補償層
D−1.位相差フィルムで構成される光学補償層
光学補償層が位相差フィルムで構成される場合、当該位相差フィルムは、いわゆるλ/4板として機能し得る。位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜180nm、より好ましくは135nm〜155nmである。
位相差フィルムは、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たすことが好ましい。すなわち、位相差フィルムは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散の波長依存性を示すことが好ましい。位相差フィルムのRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8〜0.95である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8〜0.97である。
位相差フィルムは、代表的には屈折率特性がnx>nyの関係を示し、遅相軸を有する。位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは35°〜55°であり、より好ましくは38°〜52°であり、さらに好ましくは42°〜48°であり、特に好ましくは約45°である。当該角度がこのような範囲であれば、位相差フィルムをλ/4板とすることにより、非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する光学積層体が得られ得る。
位相差フィルムは、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率楕円体を示す。好ましくは、位相差フィルムの屈折率楕円体は、nx>ny≧nzの関係を示す。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。位相差フィルムのNz係数は、好ましくは0.9〜2であり、より好ましくは0.9〜1.5であり、さらに好ましくは0.9〜1.3である。このような関係を満たすことにより、光学積層体を有機EL表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10−12(m/N)以上であり、より好ましくは10×10−12(m/N)〜100×10−12(m/N)であり、さらに好ましくは20×10−12(m/N)〜40×10−12(m/N)である。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、小さい厚みでも十分な位相差を確保しつつ有機EL表示装置の屈曲性を維持することができ、さらに、屈曲時の応力による位相差変化(結果として、有機EL表示装置の色変化)をより抑制することができる。
位相差フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜70μmであり、より好ましくは1μm〜20μmであり、さらに好ましくは1μm〜10μmである。本発明の光学積層体は、所望の光学特性を維持しつつ従来のλ/4板よりも厚みが薄いフィルムを用いることができるので、光学積層体(結果として、有機EL表示装置)の薄型化に貢献することができる。
位相差フィルムは、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂で形成される。位相差フィルムを形成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂である。
上記ポリカーボネート樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切なポリカーボネート樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジオール、脂環式ジメタノール、ジ、トリまたはポリエチレングリコール、ならびに、アルキレングリコールまたはスピログリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、を含む。好ましくは、ポリカーボネート樹脂は、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂環式ジメタノールに由来する構造単位ならびに/あるいはジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含み;さらに好ましくは、フルオレン系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、イソソルビド系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、ジ、トリまたはポリエチレングリコールに由来する構造単位と、を含む。ポリカーボネート樹脂は、必要に応じてその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。なお、本発明に好適に用いられ得るポリカーボネート樹脂の詳細は、例えば、特開2014−10291号公報、特開2014−26266号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性があり、又、得られる有機EL表示装置の画像品質を下げる場合がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、又フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
前記ポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができる。還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の下限は、通常0.30dL/gが好ましく、より好ましくは0.35dL/g以上である。還元粘度の上限は、通常1.20dL/gが好ましく、より好ましくは1.00dL/g、更に好ましくは0.80dL/gである。還元粘度が前記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる場合がある。一方、還元粘度が前記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性が低下するという問題が生じる場合がある。
位相差フィルムは、例えば、上記ポリカーボネート系樹脂から形成されたフィルムを延伸することにより得られる。ポリカーボネート系樹脂からフィルムを形成する方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。具体例としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法等が挙げられる。押出成形法またはキャスト塗工法が好ましい。得られるフィルムの平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができるからである。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、位相差フィルムに所望される特性等に応じて適宜設定され得る。
樹脂フィルム(未延伸フィルム)の厚みは、得られる位相差フィルムの所望の厚み、所望の光学特性、後述の延伸条件などに応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは50μm〜300μmである。
上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、長さ方向、幅方向、厚さ方向、斜め方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。
上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数)を有する位相差フィルムを得ることができる。
1つの実施形態においては、位相差フィルムは、樹脂フィルムを一軸延伸もしくは固定端一軸延伸することにより作製される。固定端一軸延伸の具体例としては、樹脂フィルムを長手方向に走行させながら、幅方向(横方向)に延伸する方法が挙げられる。延伸倍率は、好ましくは1.1倍〜3.5倍である。
別の実施形態においては、位相差フィルムは、長尺状の樹脂フィルムを長手方向に対して所定の角度の方向に連続的に斜め延伸することにより作製され得る。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長手方向に対して所定の角度の配向角(所定の角度の方向に遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、偏光子との積層に際してロールトゥロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。なお、上記所定の角度は、光学積層体において偏光子の吸収軸と位相差層の遅相軸とがなす角度であり得る。当該角度は、上記のとおり、好ましくは35°〜55°であり、より好ましくは38°〜52°であり、さらに好ましくは42°〜48°であり、特に好ましくは約45°である。
斜め延伸に用いる延伸機としては、例えば、横および/または縦方向に、左右異なる速度の送り力もしくは引張り力または引き取り力を付加し得るテンター式延伸機が挙げられる。テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機等があるが、長尺状の樹脂フィルムを連続的に斜め延伸し得る限り、任意の適切な延伸機が用いられ得る。
上記延伸機において左右の速度をそれぞれ適切に制御することにより、上記所望の面内位相差を有し、かつ、上記所望の方向に遅相軸を有する位相差フィルム(実質的には、長尺状の位相差フィルム)が得られ得る。
斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報等に記載の方法が挙げられる。
上記フィルムの延伸温度は、位相差フィルムに所望される面内位相差値および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸倍率等に応じて変化し得る。具体的には、延伸温度は、好ましくはTg−30℃〜Tg+30℃、さらに好ましくはTg−15℃〜Tg+15℃、最も好ましくはTg−10℃〜Tg+10℃である。このような温度で延伸することにより、本発明において適切な特性を有する位相差フィルムが得られ得る。なお、Tgは、フィルムの構成材料のガラス転移温度である。
ポリカーボネート系樹脂フィルムとして市販のフィルムを用いてもよい。市販品の具体例としては、帝人社製の商品名「ピュアエースWR−S」、「ピュアエースWR−W」、「ピュアエースWR−M」、日東電工社製の商品名「NRF」が挙げられる。市販のフィルムをそのまま用いてもよく、市販のフィルムを目的に応じて2次加工(例えば、延伸処理、表面処理)して用いてもよい。
D−2.液晶配向固化層の積層体で構成される光学補償層
1つの実施形態においては、液晶配向固化層の積層体で構成される光学補償層は、第1の液晶配向固化層と第2の液晶配向固化層とを有する。光学積層体において、光学補償層は、偏光子の側から順に、第1の液晶配向固化層と第2の液晶配向固化層とを有し得る。
D−2−1.第1の液晶配向固化層
第1の液晶配向固化層は、いわゆるλ/2板として機能し得る。第1の液晶配向固化層をいわゆるλ/2板とし、後述の第2の液晶配向固化層をいわゆるλ/4板とし、これらの遅相軸を偏光子の吸収軸に対して所定の方向に設定することにより、広帯域において優れた円偏光特性を有する光学積層体が得られ得る。第1の液晶配向固化層の面内位相差Re(550)は、好ましくは180nm〜320nmであり、より好ましくは200nm〜290nmであり、さらに好ましくは230nm〜280nmである。
第1の液晶配向固化層の屈折率楕円体は、代表的にはnx>ny=nzの関係を示す。第1の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは10°〜20°であり、より好ましくは13°〜17°であり、さらに好ましくは約15°である。第1の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度がこのような範囲であれば、第1の液晶配向固化層および第2の液晶配向固化層の面内位相差をそれぞれ所定の範囲に設定し、第2の液晶配向固化層の遅相軸を偏光子の吸収軸に対して後述のような所定の角度で配置することにより、広帯域において非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する光学積層体が得られ得る。
第1の液晶配向固化層の厚みは、好ましくは1μm〜7μmであり、より好ましくは1.5μm〜2.5μmである。上記のとおり、液晶化合物を用いることにより、得られる光学補償層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための層厚みを格段に小さくすることができる。したがって、樹脂フィルムよりも格段に薄い厚みで樹脂フィルムと同等の面内位相差を実現することができる。
本実施形態においては、第1の液晶配向固化層は、代表的には、棒状の液晶化合物が所定の方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。液晶化合物の配向方向に遅相軸が発現し得る。液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋(すなわち、硬化)させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された第1の液晶配向固化層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、第1の液晶配向固化層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた層となる。
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃であり、最も好ましくは60℃〜90℃である。
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002−533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker−Chem社の商品名LC−Sillicon−CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。
第1の液晶配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。このような配向処理を用いることにより、長尺状の基材の長尺方向に対して所定の方向に液晶化合物を配向させることができ、結果として、形成される液晶配向固化層の所定方向に遅相軸を発現させることができる。例えば、長尺状の基材上に長尺方向に対して15°の方向に遅相軸を有する液晶配向固化層を形成することができる。このような液晶配向固化層は、斜め方向に遅相軸を有することが所望される場合であっても、ロールトゥロールを用いて積層することができるので、光学積層体の生産性が格段に向上し得る。1つの実施形態においては、基材は任意の適切な樹脂フィルムであり、当該基材上に形成された配向固化層は、偏光子の表面に転写され得る。別の実施形態においては、基材は内側保護層(内側保護フィルム)であり得る。この場合には転写工程が省略され、配向固化層の形成から連続してロールトゥロールにより積層が行われ得る。
上記配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006−163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
D−2−2.第2の液晶配向固化層
第2の液晶配向固化層は、いわゆるλ/4板として機能し得る。第2の液晶配向固化層をいわゆるλ/4板とし、第1の液晶配向固化層を上記のようにいわゆるλ/2板とし、これらの遅相軸を偏光子の吸収軸に対して所定の方向に設定することにより、広帯域において優れた円偏光特性を有する光学積層体が得られ得る。第2の液晶配向固化層の面内位相差Re(550)は、上記のとおり好ましくは100nm〜180nmであり、より好ましくは110nm〜170nmであり、さらに好ましくは120nm〜160nmである。
第2の液晶配向固化層の屈折率楕円体は、代表的にはnx>ny=nzの関係を示す。第2の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、上記のとおり好ましくは65°〜85°であり、より好ましくは72°〜78°であり、さらに好ましくは約75°である。第2の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度がこのような範囲であれば、第1の液晶配向固化層および第2の液晶配向固化層の面内位相差をそれぞれ所定の範囲に設定し、第1の液晶配向固化層の遅相軸を偏光子の吸収軸に対して上記のような所定の角度で配置することにより、広帯域において非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する光学積層体が得られ得る。
第2の液晶配向固化層の厚みは、好ましくは0.5μm〜2μmであり、より好ましくは1μm〜1.5μmである。
第2の液晶配向固化層の構成材料、特性、製造方法等は、第1の液晶配向固化層に関して上記D−2−1項で説明したとおりである。
第1の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が約15°であり、第2の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が約75°である実施形態について説明したが、この軸角度の関係は逆であってもよい。具体的には、第1の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは65°〜85°、より好ましくは72°〜78°、さらに好ましくは約75°であってもよく、この場合、第2の液晶配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは10°〜20°、より好ましくは13°〜17°、さらに好ましくは約15°であり得る。
E.導電層
導電層(図示せず)は、代表的には透明である(すなわち、導電層は透明導電層である)。光学補償層の偏光子と反対側に導電層を形成することにより、光学積層体は、表示セル(有機ELセル)と偏光子との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に適用され得る。
導電層は、単独で光学積層体の構成層とされてもよく、基材との積層体(基材付導電層)として光学補償層に積層されてもよい。導電層単独で構成される場合には、導電層は、当該導電層が形成された基材から光学補償層に転写され得る。
導電層は、必要に応じてパターン化され得る。パターン化によって、導通部と絶縁部とが形成され得る。結果として、電極が形成され得る。電極は、タッチパネルへの接触を感知するタッチセンサ電極として機能し得る。パターンの形状はタッチパネル(例えば、静電容量方式タッチパネル)として良好に動作するパターンが好ましい。具体例としては、特表2011−511357号公報、特開2010−164938号公報、特開2008−310550号公報、特表2003−511799号公報、特表2010−541109号公報に記載のパターンが挙げられる。
導電層の全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。例えば、後述の導電性ナノワイヤを用いれば、開口部が形成された透明導電層を形成することができ、光透過率の高い透明導電層を得ることができる。
導電層の密度は、好ましくは1.0g/cm〜10.5g/cmであり、より好ましくは1.3g/cm〜3.0g/cmである。
導電層の表面抵抗値は、好ましくは0.1Ω/□〜1000Ω/□であり、より好ましくは0.5Ω/□〜500Ω/□であり、さらに好ましくは1Ω/□〜250Ω/□である。
導電層の代表例としては、金属酸化物を含む導電層、導電性ナノワイヤを含む導電層、金属メッシュを含む導電層が挙げられる。好ましくは、導電性ナノワイヤを含む導電層または金属メッシュを含む導電層である。耐屈曲性に優れ、屈曲しても導電性が失われ難いので、良好に折り曲げ可能な導電層が形成され得るからである。
金属酸化物を含む導電層は、任意の適切な成膜方法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法等)により、任意の適切な基材上に、金属酸化物膜を成膜して形成され得る。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物が挙げられる。なかでも好ましくは、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)である。
導電性ナノワイヤを含む導電層は、導電性ナノワイヤを溶剤に分散させた分散液(導電性ナノワイヤ分散液)を、任意の適切な基材上に塗布した後、塗布層を乾燥させて、形成することができる。導電性ナノワイヤとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な導電性ナノワイヤが用いられ得る。導電性ナノワイヤとは、形状が針状または糸状であり、径がナノメートルサイズの導電性物質をいう。導電性ナノワイヤは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。導電性ナノワイヤを含む導電層は、上記のとおり耐屈曲性に優れる。また、導電性ナノワイヤを含む導電層は、導電性ナノワイヤ同士が隙間を形成して網の目状となることにより、少量の導電性ナノワイヤであっても良好な電気伝導経路を形成することができ、電気抵抗の小さい導電層を得ることができる。さらに、導電性ナノワイヤが網の目状となることにより、網の目の隙間に開口部を形成して、光透過率の高い導電層を得ることができる。導電性ナノワイヤとしては、例えば、金属により構成される金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブを含む導電性ナノワイヤ等が挙げられる。
導電性ナノワイヤの太さdと長さLとの比(アスペクト比:L/d)は、好ましくは10〜100,000であり、より好ましくは50〜100,000であり、さらに好ましくは100〜10,000である。このようにアスペクト比の大きい導電性ナノワイヤを用いれば、導電性ナノワイヤが良好に交差して、少量の導電性ナノワイヤにより高い導電性を発現させることができる。その結果、光透過率の高い導電層を得ることができる。なお、本明細書において、「導電性ナノワイヤの太さ」とは、導電性ナノワイヤの断面が円状である場合はその直径を意味し、楕円状である場合はその短径を意味し、多角形である場合は最も長い対角線を意味する。導電性ナノワイヤの太さおよび長さは、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡によって確認することができる。
導電性ナノワイヤの太さは、好ましくは500nm未満であり、より好ましくは200nm未満であり、さらに好ましくは1nm〜100nmであり、特に好ましくは1nm〜50nmである。このような範囲であれば、光透過率の高い導電層を形成することができる。導電性ナノワイヤの長さは、好ましくは2.5μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜500μmであり、さらに好ましくは20μm〜100μmである。このような範囲であれば、導電性の高い導電層を得ることができる。
導電性ナノワイヤ(金属ナノワイヤ)を構成する金属としては、導電性の高い金属である限り、任意の適切な金属が用いられ得る。金属ナノワイヤは、好ましくは、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成される。なかでも好ましくは、導電性の観点から、銀、銅または金であり、より好ましくは銀である。また、上記金属にメッキ処理(例えば、金メッキ処理)を行った材料を用いてもよい。
カーボンナノチューブとしては、任意の適切なカーボンナノチューブが用いられ得る。例えば、いわゆる多層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ等が用いられる。なかでも、導電性が高い点から、単層カーボンナノチューブが好ましく用いられる。
金属メッシュとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な金属メッシュが用いられ得る。例えば、フィルム基材上に設けられた金属配線層が網目状にパターン形成されたものを用いることができる。
導電性ナノワイヤおよび金属メッシュの詳細は、例えば、特開2014−113705号公報および特開2014−219667号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
導電層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10μmであり、より好ましくは0.05μm〜3μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜1μmである。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる導電層を得ることができる。なお、導電層が金属酸化物を含む場合、導電層の厚みは、好ましくは0.01μm〜0.05μmである。
F.印刷層
印刷層は、上記のとおり、光学積層体の周縁部、より具体的には平面視で有機EL表示装置のベゼルに対応する位置に形成されている。これも上記のとおり、印刷層は、基材の偏光子側(実質的には、樹脂フィルムの偏光子側)に形成されてもよく、光学補償層の偏光子と反対側に形成されてもよい。印刷層は、所定のデザインが施された意匠層であってもよく、ベタの着色層であってもよい。印刷層は、好ましくはベタの着色層であり、より好ましくは黒色の着色層である。黒色の着色層をベゼルに対応する位置に形成することにより、非表示領域を隠蔽することができるので、本実施形態の光学積層体を用いれば、ベゼルを用いない有機EL表示装置を実現することができる。その結果、最表面に段差のない、きわめて優れた外観を有する有機EL表示装置を提供することができる。さらに、印刷層を光学補償層に形成する場合には以下の利点が得られる:すなわち、このような構成であれば、印刷層は必然的に偏光子の下側(有機EL表示装置側)に配置されることとなり、その結果、印刷層の界面の反射光が偏光子により軽減される。したがって、さらに優れた外観を有する有機EL表示装置を実現することができる。
印刷層は、任意の適切なインキまたは塗料を用いた任意の適切な印刷法により形成することができる。印刷法の具体例としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷が挙げられる。
使用されるインキまたは塗料は、代表的には、バインダーと着色剤と溶媒と必要に応じて用いられ得る任意の適切な添加剤とを含む。バインダーとしては、塩素化ポリオレフィン(例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン)、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂が挙げられる。バインダー樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。1つの実施形態においては、バインダー樹脂は熱重合性樹脂である。熱重合性樹脂は、光重合性樹脂に比べて使用量が少なくてすむので、着色剤の使用量(着色層における着色剤含有量)を増大させることができる。その結果、特に黒色の着色層を形成する場合に、全光線透過率が非常に小さく、優れた隠蔽性を有する着色層を形成することができる。1つの実施形態においては、バインダー樹脂はアクリル系樹脂であり、好ましくは多官能モノマー(例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート)を共重合成分として含むアクリル系樹脂である。多官能モノマーを共重合成分として含むアクリル系樹脂を用いることにより、適切な弾性率を有する着色層が形成され得るので、位相差フィルムをロール形状とする場合にブロッキングを良好に防止することができる。加えて、印刷層の厚みによる段差も形成され、当該段差がブロッキング防止に効果的に機能し得る。
着色剤としては、目的に応じて任意の適切な着色剤が用いられ得る。着色剤の具体例としては、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料;フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料または染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢顔料(パール顔料)が挙げられる。黒色の着色層を形成する場合には、カーボンブラック、鉄黒、アニリンブラックが好適に用いられる。この場合、着色剤は併用することが好ましい。可視光を広範囲かつ均等に吸収し、色付きのない(すなわち、真っ黒な)着色層を形成し得るからである。例えば、上記の着色剤に加えて、アゾ化合物および/またはキノン化合物が用いられ得る。1つの実施形態においては、着色剤は、主成分としてのカーボンブラックとその他の着色剤(例えば、アゾ化合物および/またはキノン化合物)とを含む。このような構成によれば、色つきがなく、かつ、経時安定性に優れた着色層を形成し得る。黒色の着色層を形成する場合には、着色剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部〜200重量部の割合で用いられ得る。この場合、着色剤中のカーボンブラックの含有割合は、好ましくは80%〜100%である。このような割合で着色剤(特にカーボンブラック)を用いることにより、全光線透過率が非常に小さく、かつ、経時安定性に優れた着色層を形成することができる。
印刷層の厚みは、好ましくは3μm〜5μmである。さらに、印刷層は、厚み3μm〜5μmにおける全光線透過率が好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.008%以下である。全光線透過率がこのような範囲であれば、ベゼルを用いることなく有機EL表示装置の非表示領域を良好に隠蔽することができる。
G.内側保護層(内側保護フィルム)
上記内側保護層(内側保護フィルム)を設ける場合には、当該内側保護フィルムは、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm〜10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が−10nm〜+10nmであることをいう。
内側保護フィルムの厚みは、好ましくは20μm〜200μm、より好ましくは30μm〜100μm、さらに好ましくは35μm〜95μmである。
内側保護フィルムは、上記所望の特性が得られる限り任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
H.粘着剤層または接着剤層
本発明の光学積層体を構成する各層の積層には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層が用いられる。
好ましくは、基材と偏光子とは、接着剤層を介して積層される。接着剤層の種類、弾性率および/または厚さを適切に選択することにより、基材と偏光子との層間剥離力を所望の値とすることができる。
接着剤層を構成する接着剤としては、任意の適切な形態の接着剤が採用され得る。具体例としては、水性接着剤、溶剤型接着剤、エマルション系接着剤、無溶剤型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、電子線硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、可視光線硬化型接着剤が挙げられる。水性接着剤および活性エネルギー線硬化型接着剤が好適に用いられ得る。水性接着剤の具体例としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤(PVA系接着剤)、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステルが挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤の具体例としては、(メタ)アクリレート系接着剤が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。(メタ)アクリレート系接着剤における硬化性成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物が挙げられる。また、カチオン重合硬化型接着剤としてエポキシ基やオキセタニル基を有する化合物も使用することができる。エポキシ基を有する化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物(芳香族系エポキシ化合物)や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物(脂環式エポキシ化合物)等が例として挙げられる。
1つの実施形態においては、上記接着剤層を構成する接着剤として、PVA系接着剤が用いられる。PVA系接着剤を用いることで、活性エネルギー線を透過しない材料を用いた場合でも、材料どうしを接着することが可能となる。別の実施形態においては、上記接着剤層を構成する接着剤として、活性エネルギー線硬化型接着剤が用いられる。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いれば、材料表面が疎水性でありPVA接着剤では接着しないような材料でも十分な層間剥離力を得ることができる。
接着剤層の貯蔵弾性率は、70℃以下の領域で好ましくは1.0×10Pa以上であり、より好ましくは1.0×10Pa以上である。接着剤層の貯蔵弾性率の上限は、例えば1.0×1010Paである。接着剤層の貯蔵弾性率は光学積層体にヒートサイクル(−40℃から80℃など)をかけた際の偏光子クラックに影響し、貯蔵弾性率が低い場合、偏光子クラックの不具合が発生しやすい。高い貯蔵弾性率を有する温度領域は、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは90℃以下である。
接着剤層の厚みは、代表的には0.01μm〜7μmであり、好ましくは0.01μm〜5μmである。
基材と偏光子との積層以外の積層には、上記接着剤層または粘着剤層が用いられ得る。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤が挙げられる。粘着剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。透明性、加工性、耐久性などの点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
粘着剤層の厚みは、代表的には10μm〜250μmであり、好ましくは10μm〜150μmである。粘着剤層は、単一層であってもよく、積層構造を有していてもよい。
粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)は、25℃において、好ましくは0.01MPa〜1.00MPaであり、より好ましくは0.05MPa〜0.50MPaである。粘着剤層の貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、非常に優れた屈曲性を有する光学積層体が得られ得る。結果として、屈曲可能または折りたたみ可能な有機EL表示装置を実現することができる。
I.有機EL表示装置
本発明の光学積層体が適用され得る画像表示装置の一例として、有機EL表示装置について説明する。なお、本発明の光学積層体は、上記のとおり液晶表示装置にも適用され得る。図3は、本発明の1つの実施形態による有機EL表示装置の概略断面図である。有機EL表示装置300は、有機EL素子(有機EL表示セル)200と、有機EL素子200の視認側に光学積層体100または101(好ましくは、光学積層体101)を備える。光学積層体は、上記A項〜H項に記載した本発明の光学積層体である。光学積層体は、光学補償層が有機EL素子側となるように(基材が視認側となるように)積層されている。なお、光学積層体は、上記の光学積層体100または101に限られず、図示していない本発明のさらに別の実施形態による光学積層体であってもよい。1つの実施形態においては、光学積層体101は、反射防止フィルムとして機能する。
有機EL表示装置は、好ましくは屈曲可能である。上記の本発明の光学積層体と後述の屈曲可能な有機EL素子とを組み合わせることにより、屈曲可能な有機EL表示装置が実現され得る。より詳細には、有機EL表示装置の少なくとも一部は、曲率半径が好ましくは10mm以下で、より好ましくは8mm以下で屈曲可能である。有機EL表示装置は、任意の適切な部分で屈曲可能である。例えば、有機EL表示装置は、折り畳み式の表示装置のように中央部で屈曲可能であってもよく、デザイン性と表示画面を最大限に確保するという観点から端部で屈曲可能であってもよい。さらに、有機EL表示装置は、その長手方向に沿って屈曲可能であってもよく、その短手方向に沿って屈曲可能であってもよい。用途に応じて有機EL表示装置の特定部分が屈曲可能(例えば、四隅の一部または全部が斜め方向に屈曲可能)であればよいことは言うまでもない。
光学補償層が位相差フィルムで構成される場合には、位相差フィルムの遅相軸方向が有機EL表示装置の屈曲方向に対して好ましくは20°〜70°、より好ましくは30°〜60°、さらに好ましくは40°〜50°、特に好ましくは45°近傍となるように、光学積層体が配置され得る。光学補償層が第1の液晶配向固化層と第2の液晶配向固化層との積層構造を有する場合には、第1の液晶配向固化層31の遅相軸方向が有機EL表示装置の屈曲方向に対して好ましくは10°〜20°、より好ましくは11°〜19°、さらに好ましくは12°〜18°、特に好ましくは15°近傍となるように、光学積層体が配置され得る。この場合、第2の液晶配向固化層の遅相軸方向は、有機EL表示装置の屈曲方向に対して好ましくは70°〜80°、より好ましくは71°〜79°、さらに好ましくは72°〜78°、特に好ましくは75°近傍となる。なお、第1の液晶配向固化層および第2の液晶配向固化層は非常に薄く屈曲の影響が少ないので、軸角度の調整は位相差フィルムの場合ほど厳密でなくてもよい。いずれの実施形態においても、光学補償層の遅相軸方向と有機EL表示装置の屈曲方向との関係を調整することにより、屈曲による色変化が抑制された屈曲可能な有機EL表示装置を得ることができる。1つの実施形態においては、有機EL表示装置(または有機EL素子)の屈曲方向は、長手方向または長手方向に直交する方向(短手方向)である。このような実施形態においては、光学積層体の偏光子の吸収軸を長手方向(または短手方向)に対して直交または平行に設定すれば、有機EL素子に積層される際、光学補償層の遅相軸を位置合わせする必要はなく、偏光子の吸収軸方向を位置合わせすればよい。このようにすれば、ロールトゥロールによる製造が可能となる。
J.有機EL素子
有機EL素子200としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な有機EL素子を採用することができる。図4は、本発明に用いられる有機EL素子の一形態を説明する概略断面図である。有機EL素子200は、代表的には、基板210と、第1電極220と、有機EL層230と、第2電極240と、これらを覆う封止層250とを有する。有機EL素子200は、必要に応じて、任意の適切な層をさらに有し得る。例えば、基板上に平坦化層(図示せず)を設けてもよく、第1電極と第2電極との間に短絡を防止するための絶縁層(図示せず)を設けてもよい。
基板210は、上記所定の曲率半径で屈曲可能である限りにおいて任意の適切な材料で構成され得る。基板210は、代表的には、可撓性を有する材料で構成される。可撓性を有する基板を用いれば、上記の本発明の効果に加えて、長尺状の光学積層体を用いる場合には、有機EL表示装置をいわゆるロールトゥロールプロセスで製造できるので、低コストおよび大量生産を実現し得る。さらに、基板210は、好ましくはバリア性を有する材料で構成される。このような基板は、有機EL層230を酸素や水分から保護し得る。バリア性および可撓性を有する材料の具体例としては、可撓性を付与した薄ガラス、バリア性を付与した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂フィルム、合金、金属が挙げられる。熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂が挙げられる。合金としては、例えば、ステンレス、36アロイ、42アロイが挙げられる。金属としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、チタンが挙げられる。基板の厚みは、好ましくは5μm〜500μmであり、より好ましくは5μm〜300μmであり、さらに好ましくは10μm〜200μmである。このような厚みであれば、有機EL表示装置を上記所定の曲率半径で屈曲可能とすることができ、ならびに、可撓性、取り扱い性および機械的強度のバランスに優れる。また、有機EL素子をロールトゥロールプロセスに好適に用いることができる。
第1電極220は、代表的には陽極として機能し得る。この場合、第1電極を構成する材料としては、正孔注入性を容易にするという観点から、仕事関数の大きい材料が好ましい。このような材料の具体例としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物(IWO)、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物(IWZO)、酸化チタンを含むインジウム酸化物(ITiO)、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物(ITTiO)、モリブテンを含む酸化インジウムスズ(ITMO)などの透明導電性材料;ならびに、金、銀、白金などの金属およびそれらの合金が挙げられる。
有機EL層230は、種々の有機薄膜を含む積層体である。図示例では、有機EL層230は、正孔注入性有機材料(例えば、トリフェニルアミン誘導体)からなり、陽極からの正孔注入効率を向上させるべく設けられた正孔注入層230aと、例えば銅フタロシアニンからなる正孔輸送層230bと、発光性有機物質(例えば、アントラセン、ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニル〕ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1´−(ビフェニル)−4,4´−ジアミン(NPB))からなる発光層230cと、例えば8−キノリノールアルミニウム錯体からなる電子輸送層230dと、電子注入性材料(例えば、ペリレン誘導体、フッ化リチウム)からなり、陰極からの電子注入効率を向上させるべく設けられた電子注入層230eと、を有する。有機EL層230は、図示例に限定されず、発光層230cにおいて電子と正孔とが再結合して発光を生じさせ得る任意の適切な組み合わせが採用され得る。有機EL層230の厚みは、できる限り薄いことが好ましい。発光した光を可能な限り透過させることが好ましいからである。有機EL層230は、例えば5nm〜200nm、好ましくは10nm程度のきわめて薄い積層体で構成され得る。
第2電極240は、代表的には陰極として機能し得る。この場合、第2電極を構成する材料としては、電子注入を容易にして発光効率を上げるという観点から、仕事関数の小さい材料が好ましい。このような材料の具体例としては、アルミニウム、マグネシウムおよびこれらの合金が挙げられる。
封止層250は、任意の適切な材料で構成される。封止層25は、好ましくは、バリア性および透明性に優れた材料で構成される。封止層を構成する材料の代表例としては、エポキシ樹脂、ポリ尿素が挙げられる。1つの実施形態においては、封止層250は、エポキシ樹脂(代表的には、エポキシ樹脂接着剤)を塗工し、その上にバリア性シートを貼り付けて形成してもよい。
有機EL素子200は、好ましくは、ロールトゥロールプロセスで連続的に製造され得る。有機EL素子200は、例えば2012−169236号公報に記載の手順に準じた手順で製造され得る。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。さらに、有機EL素子200は、長尺状の光学積層体100とロールトゥロールプロセスで連続的に積層されて、有機EL表示装置300が連続的に製造され得る。
なお、屈曲可能な有機EL表示装置の詳細は、例えば、特許第4601463号または特許第4707996号に記載されている。これらの記載は、参考として本明細書に援用される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
[製造例1]接着剤(活性エネルギー線硬化型接着剤)A〜Cの調製
表1に記載の配合表に従い各成分を混合して、50℃で1時間撹拌し、接着剤A〜C(活性エネルギー線硬化型接着剤A〜C)を調製した。表中の数値は組成物全量を100重量%としたときの重量%を示す。使用した各成分は以下のとおりである。
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド、興人社製;
M−220:ARONIX M−220(M−220)(トリプロピレングリコールジアクリレート)、東亞合成社製
ACMO:アクリロイルモルホリン、興人社製
AAEM:(2−アセトアセトキシエチルメタクリレート)、日本合成化学社製
ライトアクリレート1,9ND−A:1,9−ナノンジオールジアクリレート、共栄社化学社製
UP−1190:ARUFON UP−1190、東亞合成社製
ニカラックMX−750LM:日本カーバイト工業社製
IRG907:IRGACURE907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、BASF社製
DETX−S:KAYACURE DETX−S(ジエチルチオキサントン)、日本化薬社製
CPI−100P:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートを主成分とする有効成分50%のプロピレンカーボネート溶液、サンアプロ社製
なお、接着剤A〜Cを用いた実施例および比較例においては、該接着剤を介して基材と偏光子とを積層した後、紫外線を照射して該接着剤を硬化し、接着剤層を形成した。紫外線の照射には、ガリウム封入メタルハライドランプ(Fusion UV Systems,Inc社製、商品名「Light HAMMER10」、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380〜440nm))を使用した。
[製造例2]接着剤(PVA系接着剤)Dの調製
特開2008−15483号に記載された方法に従って、接着剤D(PVA系接着剤D)を調整した。
なお、接着剤Dを用いた実施例においては、該接着剤を介して基材と偏光子とを積層した後、該接着剤は60℃のオーブン内で5分間乾燥し、接着剤を形成した。
[実施例1]
基材として厚さ20μmのポリアリレート(PAR)樹脂フィルムを用いた。該基材と偏光子(特開2012−73580号に記載された方法に従って作製、厚さ5μm)とを、上記接着剤Aを介して接着して、光学積層体を得た。
[実施例2]
ポリアリレート(PAR)樹脂フィルムに代えて、厚さ20μmのポリイミド(PI)樹脂フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[実施例3]
接着剤Aに代えて、接着剤Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[実施例4]
ポリアリレート(PAR)樹脂フィルムに代えて、厚さ20μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用い、接着剤Aに代えて、接着剤Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[比較例1]
接着剤Aに代えて、接着剤Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[比較例2]
接着剤Aに代えて、接着剤Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。
[評価]
実施例および比較例で得られた光学積層体を、下記評価(1)〜(3)に供した。結果を表2に示す。
(1)層間剥離力
所定のサイズ(長さ:200mm、幅15mm;偏光子の延伸方向と平行な方向を長さ方向とする)に切り出した光学積層体を評価サンプルとした。
光学積層体の長さ方向端部において、基材と接着剤層との間にカッターナイフで切り込み(長さ:10mm)を入れた。次いで、光学積層体をガラス板に固定した後、引っ張り試験機により、剥離角度:90°、剥離速度10m/minの条件で、基材と偏光子とを剥離させた際の剥離力を測定した。
(2)耐折性試験
図5に示す株式会社井元製作所製の耐折試験機を用いた。
光学積層体100の一方端を、折り曲げ可能な治具Aに固定し、他方端には所定荷重(100g/10mm)を掛けた。基材側を内側として4mmφのマンドレルBを挟み(すなわち、屈曲部の曲率半径を2mmとし)、治具Aを折り曲げることにより、光学積層体を、フラットな状態から屈曲角度Xが175°になるまで、屈曲させた。なお、マンドレルとしては、表面がフッ素含有アルマイト処理(TUFRAM(登録商標))されたものを用いた。また、マンドレルとの摩擦によるダメージの影響を低減するため、光学積層体の基材側表面に保護フィルム(30μm)を貼り付けた状態で、上記の試験を行った。
上記屈曲を10万回(治具を10万往復)行った後、目視および顕微鏡観察によって、偏光子および基材の破断およびクラックの有無を確認した。
表2中、基材および偏光子ともに、破断およびクラックが確認されなかった場合を〇、偏光子には破断およびクラックが確認されなかった場合(基材には破断またはクラックが確認された場合)を△、偏光子に破断およびクラックが確認された場合を×とする。
(3)引っ張り弾性率
光学積層体の引っ張り弾性率を、JIS K 7127に基づいて測定した。
本発明の光学積層体は有機EL表示装置に好適に用いられ、屈曲可能または折り畳み可能な有機EL表示装置に特に好適に用いられ得る。
10 基材
20 偏光子
30 光学補償層(位相差フィルム)
100 光学積層体
101 光学積層体
200 有機EL素子
300 有機EL表示装置

Claims (5)

  1. 基材と、基材の少なくとも片側に配置される偏光子とを備え、
    該基材と該偏光子との層間剥離力が、0.5N/15mm以上であり、
    曲率半径2mmで10万回屈曲させた後において、該基材/該偏光子間での層間剥離がなく、かつ、該偏光子の破断およびクラックがない、
    光学積層体。
  2. 25℃における引っ張り弾性率が、1.5GPa以上である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記基材と前記偏光子とが、接着剤層を介して積層されている、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 有機EL表示装置の反射防止フィルムとして用いられる、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体を備える、有機EL表示装置。
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