JP2017203086A - 光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像表示用装置における保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間を充填するために好適に適用し得、且つ画像表示用装置の構成部材として用いた場合の表示ムラの発生を抑制できると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる光硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体と、50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエンと、50質量%を超える1,4−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエンと、光重合開始剤と、(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有するポリブタジエンとを含む光硬化性樹脂組成物であり、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1000Pa〜6000Paであり、且つ25℃における損失弾性率が200Pa〜4000Paである光硬化性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法に関する。
代表的な画像表示用装置として液晶表示装置が例示される。液晶表示装置は、液晶パネルを含むものであり、液晶パネルは、透明電極、画素パターン等を表面に形成した厚さ約1mm程度のガラス基板の間に数ミクロン程度のギャップを介して液晶を充填してシールしてなる液晶表示セルと、液晶表示セルの外側両面に貼り付けた偏光板と、バックライトシステム等の光源とを備える。
この液晶パネルを構成する偏光板は、薄くて傷付き易いため、特に、携帯電話、ゲーム機、デジカメ、車載用途等では、液晶パネルの前面(視認面側)に一定の空間を置いて透明な前面板(保護パネル)を設けた構造の液晶表示装置が一般的に用いられている。
さらに、近年、携帯電話、ゲーム機、デジカメ、車載部品、ノートパソコン、デスクトップパソコン、パソコン用モニター、大型液晶モニター等に、タッチパネルが搭載されるようになってきた。このような液晶表示装置は、保護パネル、タッチパネル及び液晶パネルがこの順で積層された積層構造を有しており、保護パネルとタッチパネルとの間及びタッチパネルと液晶パネルとの間に一定の空間が存在する。
上述の液晶表示装置における上記空間に空気のみが存在する場合、この空間が光の散乱を起こす原因となり、それに起因してコントラスト、輝度及び透過率が低下し、さらには二重映りによる画質の低下が起こり得る。
このような光の散乱を防止する方法として、特許文献1では、保護パネルと液晶パネルとの間の空間にオイル状材料を充填する方法が提案され、特許文献2では、アクリルモノマーを共重合してなるシートを保護パネルと液晶パネルとの間に介在させる方法が提案されている。
また、フラットパネルディスプレイ(FPD)の一つであるプラズマディスプレイパネル(PDP)は、PDPの割れを防止するために、PDPから1〜5mm程度の空間を設け、厚さ3mm程度のガラス等の保護パネルを前面に設けている。
ディスプレイの割れ及び光の散乱を防止する方法として、特許文献3では、保護パネルとプラズマ表示板及び液晶パネル等の画像表示ユニットとの間の空間、保護パネルとタッチパネルとの間の空間、並びにタッチパネルと画像表示ユニットとの間の空間(以下、まとめて「保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間」ともいう。)に特定の樹脂からなる光学フィルムを介在させる方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1で使用されているオイル状材料は、漏出(ブリード)を防ぐためのシールが難しく、また、液晶パネルに使用されている材料を侵す可能性がある。更に、保護パネルが割れた場合にオイル状材料が漏れ出すという問題がある。
また、特許文献2及び3に開示されているような光学フィルム(シート)は、オイル状材料を用いたときのような漏出の問題は無いものの、より大型化された液晶表示装置等の画像表示用装置に適用した場合に改善の余地がある。すなわち、大面積の光学フィルムを均一に大型画像表示ユニット上に積層することは難しい。光学フィルムを均一に積層することができないと、色ムラ等の表示ムラの発生の原因となり得る。
上述したような、光学フィルムを均一に積層することができないという問題を改善する方法として、液状の光硬化性樹脂組成物を用いて空間を充填した後、光照射により該組成物を硬化させる方法が考えられる。しかしながら、従来の光硬化性樹脂組成物では、該組成物の硬化物が応力を発散する能力が低いため、その光硬化時に発生する体積収縮によって応力が集中した部分で表示ムラが発生し易くなるという問題がある。それゆえ、表示ムラの解消を図るために、光硬化性樹脂組成物の硬化物の弾性率を低下させることが考えられる。つまり、硬化物の弾性率を低下させることによって、外部からの応力又は光硬化性樹脂組成物の硬化物自体からの応力を低減することができ、表示ムラが解消され得る。しかし、硬化物の弾性率を低下させることにより、高温高湿試験等の信頼性試験において光硬化性樹脂組成物の硬化物の凝集力が低下し、保護パネルと画像表示ユニット等との間の接着力が低下する問題がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、画像表示用装置における保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間を充填するために好適に適用し得、且つ、画像表示用装置の構成部材として用いた場合の表示ムラの発生を抑制できると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体(以下、「(A)成分」ともいう)と、(B)50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン(以下、「(B)成分」ともいう)と、(C)50質量%を超える1,4−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン(以下、「(C)成分」ともいう)と、(D)光重合開始剤(以下、「(D)成分」ともいう)と、(E)(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有するポリブタジエン(以下、「(E)成分」ともいう)とを含む光硬化性樹脂組成物であり、上記光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1000Pa〜6000Paであり、且つ、25℃における損失弾性率が200Pa〜4000Paである、光硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記構成を有することにより、画像表示用装置における保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間を充填するために好適に適用し得、且つ、画像表示用装置の構成部材として用いた場合の表示ムラの発生を抑制できると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる。特に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(E)成分とを併用することにより、表示ムラの発生を抑制することができると共に、高温高湿試験等の信頼性試験でも良好な接着力を維持することができる。その理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
まず、本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(E)成分とを併用することにより、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにすることができるため、表示ムラを抑制することができる。
従来の光学フィルムにおいて、貯蔵弾性率が高い場合、外部から加わった応力を貯め込み易く、応力を発散する能力が低くなる。光学フィルムが応力を貯め込み易いと、画像表示用装置を圧迫し、表示ムラの原因となり得る。一方、貯蔵弾性率が低すぎる場合、光学フィルムとしての形状を維持することが困難となる。形状を維持できないと、膜厚変移が大きくなり、表示ムラが発生し易くなる。また、損失弾性率が高い場合、同様に光学フィルムとしての形状を維持することが困難となり、表示ムラが発生し易くなる。一方、損失弾性率が低い場合、応力が加わった際、熱として応力を外部へ発散させる能力が低く、表示ムラの原因となり得る。本発明者らは、以上のように表示ムラを抑制するには、貯蔵弾性率と損失弾性率とのバランスを保つことが重要となることを発見し、そして、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにすることにより、適度に応力を吸収し、適度に応力を発散することができるため、表示ムラを抑制することができることを発見した。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を架橋構造を形成する(E)成分と併用することにより、高温高湿条件下において光重合性樹脂組成物の硬化物が加水分解を受け難くなるため、硬化物の接着力の低下等を防止することが可能となる。一方、(E)成分を含有しない場合、高温高湿条件において架橋構造を形成する(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む光硬化性樹脂組成物の硬化物が加水分解を受け易いため、硬化物の凝集力が低下し、接着力の低下及びブリードの発生等の不具合につながる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、1,2−ブタジエン単位を有する(B)成分を含むことにより、架橋密度が向上し、接着力の低下及びブリードの発生を抑制することができる。
上記光硬化性樹脂組成物において、(D)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤及びアルキルフェノン系光重合開始剤のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。これにより、光硬化性樹脂組成物を所定の形状に形成した後、光照射により該樹脂組成物を硬化させることができ、漏出を抑制することができる。
上記光硬化性樹脂組成物は、実質的に有機溶媒を含有せず、25℃における粘度が500mPa・s〜6000mPa・sであることが好ましい。これにより、耐湿熱信頼性が向上し、硬化物中の気泡発生を抑制することができると共に、実際の塗布工程における光重合性樹脂組成物の作業性が向上し、歩留まりを向上することができる。
本発明はまた、画像表示ユニットと、保護パネルと、上記画像表示ユニットと上記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、上記樹脂層が上記本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む画像表示用装置を提供する。かかる画像表示用装置は、上記本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層を備えるため、表示ムラの発生を抑制することができると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができる。
本発明はまた、画像表示ユニットと、保護パネルと、上記画像表示ユニットと上記保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、上記画像表示ユニットと上記タッチパネルとの間、又は、上記タッチパネルと上記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、上記樹脂層が上記本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む画像表示用装置を提供する。かかる画像表示用装置は、上記本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層を備えるため、表示ムラの発生を抑制することができると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができる。
本発明はまた、画像表示ユニットと、保護パネルと、上記画像表示ユニットと上記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置の製造方法であって、上記画像表示ユニットと上記保護パネルとの間に上記本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、上記光硬化性樹脂組成物層を硬化させて上記樹脂層を形成する工程とを有する製造方法を提供する。かかる画像表示用装置の製造方法は、上記本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成するため、表示ムラの発生を抑制することができると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができる画像表示用装置を得ることができる。
本発明はさらに、画像表示ユニットと、保護パネルと、上記画像表示ユニットと上記保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、上記画像表示ユニットと上記タッチパネルとの間、又は、上記タッチパネルと上記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置の製造方法であって、上記画像表示ユニットと上記タッチパネルとの間、又は、上記タッチパネルと上記保護パネルとの間に上記本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、上記光硬化性樹脂組成物層を硬化させて上記樹脂層を形成する工程とを有する製造方法を提供する。かかる画像表示用装置の製造方法は、上記本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成するため、表示ムラの発生を抑制することができると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができる画像表示用装置を得ることができる。
本発明によれば、画像表示用装置における保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間を充填するために好適に適用し得、且つ、画像表示用装置の構成部材として用いた場合の表示ムラの発生を抑制できると共に、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置及び画像表示用装置の製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明するが、この実施形態により本発明が限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本明細書における「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)は、(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体、(B)成分:50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン、(C)成分:50質量%を超える1,4−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン、(D)成分:光重合開始剤、及び、(E)成分:(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有するポリブタジエンを含むものに関する。
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1000Pa〜6000Paであり、且つ、25℃における損失弾性率が200Pa〜4000Paである。上記貯蔵弾性率が6000Pa以下であり、且つ、上記損失弾性率が200Pa以上であると、外部から熱膨張などの応力が硬化物に加わった際に、硬化物中に応力が過剰に貯め込まれることを抑制でき、その応力を適度に発散することが可能となるため、表示ムラの発生を抑制することができる。一方、上記貯蔵弾性率が1000Pa以上であり、且つ、上記損失弾性率が4000Pa以下であると、硬化物の形状を維持し易く、膜厚変移を抑制して表示ムラを抑制することができる。光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、上述した効果をより十分に得る観点から、5000Pa以下であることが好ましく、4000Pa以下であることがより好ましい。加えて、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における損失弾性率は、上述した効果をより十分に得る観点から、300Pa以上であることが好ましく、400Pa以上であることがより好ましい。
具体的に光硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Paとし、損失弾性率を200Pa〜4000Paとする方法としては、例えば、光硬化性樹脂組成物中の硬化後の、(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエンの(メタ)アクリロイル基の数を低減させ、更に1,2−ブタジエン単位を有するポリブタジエンを用いる方法がある。本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、(B)成分として50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエンを含むため、その硬化物の貯蔵弾性率及び損失弾性率を上記範囲内に調節し易い。
また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、画像表示用装置の構成部材として用いた場合に、表示ムラの発生をより十分に抑制する観点から、貯蔵弾性率と損失弾性率との比(損失弾性率/貯蔵弾性率)で求められる損失正接(tanδ)の値が、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
〔(A)成分:(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体〕
(A)成分は、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにする観点から、数平均分子量(Mn)が5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、15000以上であることが更に好ましい。同様の観点から、数平均分子量が30000以下であることが好ましく、25000以下であることがより好ましく、20000以下であることが更に好ましい。
(A)成分は、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにする観点から、数平均分子量(Mn)が5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、15000以上であることが更に好ましい。同様の観点から、数平均分子量が30000以下であることが好ましく、25000以下であることがより好ましく、20000以下であることが更に好ましい。
上記一般式(1)中、m1は50〜1000の数を示し、n1は1〜5の数を示し、R1は水素原子又はメチル基を示す。m1は、50〜1000であるが、好ましくは100〜800、より好ましくは150〜700、更に好ましくは200〜600である。n1は、1〜5であるが、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2.0〜3.5、更に好ましくは2.0〜3.0である。
上記一般式(1)で表される化合物の市販品としては、例えば、UC−102(官能基数:2、数平均分子量:17000)、UC−203(官能基数:3、数平均分子量:27000)(以上、株式会社クラレ製、商品名)が挙げられる。
(A)成分のアクリル当量(g/eq)は、光硬化性樹脂組成物の硬化収縮率、貯蔵弾性率及び損失弾性率のバランスの観点から、好ましくは2500以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは7500以上である。同様の観点から、(A)成分のアクリル当量(g/eq)は、好ましくは15000以下、より好ましくは13000以下、更に好ましくは10000以下である。
(A)成分は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光硬化性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、硬化性、硬化収縮率及び弾性率を良好にする観点から、光硬化樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。同様の観点から、(A)成分の含有量は、光硬化樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
〔(B)成分:50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン〕
ポリブタジエンを構成する構造単位には、「1,4−ブタジエン単位」と「1,2−ブタジエン単位」とがある。ここで、ポリブタジエンにおける、「1,4−ブタジエン単位」とは、下記化学式(1t)又は(1c)で表されるような構造単位であり、「1,2−ブタジエン単位」とは、下記化学式(1d)で表されるような構造単位である。すなわち、(B)成分とは、下記化学式(1d)で表されるように側鎖に1,2−ビニル基を有する「1,2−ブタジエン単位」を50質量%超含有するポリブタジエンであって、且つ(メタ)アクリロイル基を含有しないものである。なお、(B)成分は、下記化学式(1t)又は(1c)で表される「1,4−ブタジエン単位」を更に含有してもよい。本発明の効果をより十分に得る観点から、(B)成分において、全ブタジエン単位中の1,2−ブタジエン単位の含有量は、65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、85質量%以上であることが極めて好ましい。
ポリブタジエンを構成する構造単位には、「1,4−ブタジエン単位」と「1,2−ブタジエン単位」とがある。ここで、ポリブタジエンにおける、「1,4−ブタジエン単位」とは、下記化学式(1t)又は(1c)で表されるような構造単位であり、「1,2−ブタジエン単位」とは、下記化学式(1d)で表されるような構造単位である。すなわち、(B)成分とは、下記化学式(1d)で表されるように側鎖に1,2−ビニル基を有する「1,2−ブタジエン単位」を50質量%超含有するポリブタジエンであって、且つ(メタ)アクリロイル基を含有しないものである。なお、(B)成分は、下記化学式(1t)又は(1c)で表される「1,4−ブタジエン単位」を更に含有してもよい。本発明の効果をより十分に得る観点から、(B)成分において、全ブタジエン単位中の1,2−ブタジエン単位の含有量は、65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、85質量%以上であることが極めて好ましい。
(B)成分は、常温(25℃)で液状であることが好ましく、光硬化性樹脂組成物の硬化物が25℃における貯蔵弾性率1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率200Pa〜4000Paを満たし易くなる観点から、下記式(2)又は式(3)で表される構造を主として有するポリブタジエンが好ましい。
式(3)中、n3は16〜40の整数を示し、R2は各々独立に直鎖のアルキル基を示す。
上記式(2)又は(3)で表される構造を主として有するポリブタジエンにおいて、1,2−ブタジエン単位と1,4−ブタジエン単位との含有割合の比(1,2−ブタジエン単位/1,4−ブタジエン単位)は、好ましくは70/30〜100/0、より好ましくは75/25〜100/0、更に好ましくは80/20〜100/0、特に好ましくは85/15〜100/0である。
(B)成分のうち、上記式(2)で表される構造を主として有する(B)成分としては、例えば、B−1000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:85質量%以上、数平均分子量:1100)、B−2000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:90質量%以上、数平均分子量:2100)、B−3000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:90質量%以上、数平均分子量:3200)(以上、日本曹達株式会社製、商品名)が挙げられる。また、上記式(3)で表される構造を主として有する(B)成分としては、例えば、G−1000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:85質量%以上、数平均分子量:1400)、G−2000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:85質量%以上、数平均分子量:2000)、G−3000(1,2−ブタジエン単位の含有割合:90質量%以上、数平均分子量:3000)(以上、日本曹達株式会社製、商品名)が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、適度な粘度を有する樹脂組成物を得る観点、並びに、硬化物の貯蔵弾性率及び損失弾性率の調節の観点から、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。また、同様の観点から、(B)成分の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
(B)成分は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
〔(C)成分:50質量%を超える1,4−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエン〕
(C)成分としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が例示される。なお、(C)成分に含有される1,4−ブタジエン単位は、上記化学式(1t)で表されるトランス−1,4−ブタジエン単位及び上記化学式(1c)で表されるシス−1,4−ブタジエン単位のいずれであってもよく、両者が混在していてもよい。(C)成分は、上記化学式(1d)で表される「1,2−ブタジエン単位」を更に有していてもよい。本発明の効果をより十分に得る観点から、(C)成分において、全ブタジエン単位中の1,4−ブタジエン単位の含有量は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。(C)成分として具体的には、LBR−305(1,4−ブタジエン単位の含有量:95質量%以上、数平均分子量:26000)、LBR−307(1,4−ブタジエン単位の含有量:95質量%以上、数平均分子量:8000)(以上、株式会社クラレ製、商品名)等が挙げられる。
(C)成分としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が例示される。なお、(C)成分に含有される1,4−ブタジエン単位は、上記化学式(1t)で表されるトランス−1,4−ブタジエン単位及び上記化学式(1c)で表されるシス−1,4−ブタジエン単位のいずれであってもよく、両者が混在していてもよい。(C)成分は、上記化学式(1d)で表される「1,2−ブタジエン単位」を更に有していてもよい。本発明の効果をより十分に得る観点から、(C)成分において、全ブタジエン単位中の1,4−ブタジエン単位の含有量は、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。(C)成分として具体的には、LBR−305(1,4−ブタジエン単位の含有量:95質量%以上、数平均分子量:26000)、LBR−307(1,4−ブタジエン単位の含有量:95質量%以上、数平均分子量:8000)(以上、株式会社クラレ製、商品名)等が挙げられる。
式(4)中、n4は140〜500の整数を示す。
(C)成分は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光硬化性樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、適度な貯蔵弾性率を付与する観点から、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。同様の観点から、(C)成分の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは65質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
〔(D)成分:光重合開始剤〕
光硬化性樹脂組成物は、(D)光重合開始剤を含有することにより、樹脂組成物を所定の形状に形成した後、光照射により該樹脂組成物を硬化させることができ、漏出を抑制することができる。この(D)光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物の硬化反応を促進させるものである。本明細書において、活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
光硬化性樹脂組成物は、(D)光重合開始剤を含有することにより、樹脂組成物を所定の形状に形成した後、光照射により該樹脂組成物を硬化させることができ、漏出を抑制することができる。この(D)光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物の硬化反応を促進させるものである。本明細書において、活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
光重合開始剤としては特に制限はなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等公知の材料を使用することが可能である。光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び、アルキルフェノン系光重合開始剤のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド基を有する化合物であって、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、樹脂組成物の硬化反応を促進させる重合開始剤の一種である。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキサイド基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、LUCIRIN TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製、商品名)が挙げられる。
また、アルキルフェノン系光重合開始剤は、アルキルフェノン基を有する化合物であって、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生させ、樹脂組成物の硬化反応を促進させる重合開始剤の一種である。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、アルキルフェノン基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンが挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR−1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、BASF社製、商品名)が挙げられる。
(D)光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
光硬化性樹脂組成物中の(D)光重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましい。(D)光重合開始剤の含有量が0.1質量%以上であると、光硬化性樹脂組成物の硬化反応を十分に促進させることができ、硬化物を効率的に形成することができる。同様の観点から、(D)成分の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。一方、(D)光重合開始剤の含有量が5.0質量%以下であると、光硬化性樹脂組成物の厚み方向において反応率が低下することを抑制することができる。同様の観点から、(D)成分の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
〔(E)成分:(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有するポリブタジエン〕
(E)成分は、ウレタン結合を介して(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン重合体である。(E)成分は、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにする観点から、重量平均分子量(Mw)が5000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましい。
(E)成分は、ウレタン結合を介して(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン重合体である。(E)成分は、光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を1000Pa〜6000Pa、25℃における損失弾性率を200Pa〜4000Paにする観点から、重量平均分子量(Mw)が5000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましい。
式(5)中、nは30〜80の数を示す。nは、30〜80であるが、好ましくは40〜70、より好ましくは50〜60である。R3及びR4は、それぞれ独立的に下記一般式(6)で表される基を示し、R3及びR4は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、R5及びR6は、それぞれ独立的にアルキレン基を示し、R5及びR6は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
式(6)中、R7は、アルキレン基を示す。R8は、水素原子又はメチル基を示す。
上記一般式(a)中、nは30〜80の数を示す。nは、30〜80であるが、好ましくは40〜70、より好ましくは50〜60である。
一般式(5)で表される化合物は、例えば、1,2−ブタジエン単位及び水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリロイル基及びイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得ることができる。1,2−ブタジエン単位及び水酸基を有する化合物としては、例えば、上記式(3)で表される構造を主として有するポリブタジエンが挙げられる。
また、上記一般式(a)で表される化合物は、例えばG−3000(日本曹達株式会社製、商品名)とMOI(昭和電工株式会社、商品名)とを反応して合成することができる。G−3000の代替品としては、例えば、G−2000及びG−1000(以上、日本曹達株式会社製、商品名)、Poly bd R−45HT及びPoly bd R−15HT(以上、出光興産株式会社、商品名)、Krasol LBH2000、Krasol LBH−P2000、Krasol LBH3000、Krasol LBH−P3000、Krasol HLBH−P2000及びKrasol HLBH−P3000(以上、巴工業株式会社、商品名)が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物中の(E)成分の含有量は、表示ムラ抑制の観点及び高温高湿条件下での良好な接着力維持の観点から、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。同様の観点から、(E)成分の含有量は、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。なお、(E)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔熱重合開始剤〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を併用してもよい。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤を併用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾ系化合物などが挙げられる。
光硬化性樹脂組成物に熱重合開始剤を配合する場合、当該熱重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは0.01質量%〜1質量%である。
〔可塑剤〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、可塑剤を含んでもよい。本実施形態で用いる可塑剤は、実質的に(メタ)アクリロイル基を有さない25℃で液状の成分であることを意味する。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、可塑剤を含んでもよい。本実施形態で用いる可塑剤は、実質的に(メタ)アクリロイル基を有さない25℃で液状の成分であることを意味する。
可塑剤の数平均分子量は、樹脂組成物の粘度調節の観点、及び揮発性と作業性の観点から、好ましくは350以上、より好ましくは400以上である。同様の観点から、可塑剤の数平均分子量は、30000以下、より好ましくは10000以下である。
可塑剤としては、例えば、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムの液状物;ポリブテン等のポリα−オレフィン、水添ポリブテン等の水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレン等のポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニル等の芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエン等の水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油等のパラフィン系オリゴマー;ナフテン油等のシクロパラフィン系オリゴマー;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジ(ヘプチル,ノニル,ウンデシル)フタレート、ベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレート等のテトラヒドロフタル酸誘導体;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等のセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレート等のマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテート等のピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート等のクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート等のオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート等のステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレート等のグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレート等のグリセリン誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシル等のエポキシ誘導体などが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、揮発性、粘度、作業性、耐黄変性、相溶性及び耐熱性の観点から、ポリα−オレフィン、水添α−オレフィンオリゴマー、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、及びスチレンブタジエンゴムが好ましく、スチレンブタジエンゴム、ポリα−オレフィン、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートがより好ましい。
可塑剤の含有量は、光硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率及び損失弾性率を適度な範囲に調節する観点から、光硬化性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
〔その他の添加剤〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、更にその他の添加剤を配合することができる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、更にその他の添加剤を配合することができる。
その他の添加剤としては、例えば、消泡・レベリング材、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等の酸化防止剤、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物などが挙げられる。
また、消泡・レべリング材の市販品としては、例えば、「UVX−190」、「OX−750HF」(以上、楠本化成製、商品名)が挙げられる。チオール化合物の市販品としては、例えば、「IRGANOX 1520L」(4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、BASF社製、商品名)が挙げられる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、耐湿熱信頼性の観点及び硬化物中の気泡発生を抑制する観点から、実質的に有機溶媒(溶剤)を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に有機溶媒を含有しない」とは、意図的に有機溶媒を添加しないという意味であり、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の光硬化後の特性を著しく低下させない程度であれば、微量の有機溶媒が存在していてもよい。具体的には、光硬化性樹脂組成物中の有機溶媒の含有量が、光硬化樹脂組成物の総量を基準として1000ppm以下であればよく、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは有機溶媒を全く含有しない。
なお、本実施形態において「有機溶媒」とは、(メタ)アクリロイル基を有さず、25℃において液状であり、且つ、大気圧における沸点が250℃以下の有機化合物を意味する。
〔光硬化性樹脂組成物の物性〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、作業性の観点から、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1000mPa・s以上、更に好ましくは2200mPa・s以上である。同様の観点から、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、好ましくは6000mPa・s以下、より好ましくは4500mPa・s以下、更に好ましくは4000mPa・s以下である。なお、ここでいう25℃における粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値であり、具体的には、E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名「PE−80L」)により測定した値を意味する。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、作業性の観点から、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは1000mPa・s以上、更に好ましくは2200mPa・s以上である。同様の観点から、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、好ましくは6000mPa・s以下、より好ましくは4500mPa・s以下、更に好ましくは4000mPa・s以下である。なお、ここでいう25℃における粘度は、JIS Z 8803に基づいて測定した値であり、具体的には、E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名「PE−80L」)により測定した値を意味する。なお、粘度計の校正は、JIS Z 8809−JS14000に基づいて行うことができる。
〔画像表示用装置〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて画像表示用装置を製造することができる。本実施形態の画像表示用装置は、画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、樹脂層が本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むものに関する。本実施形態の画像表示用装置はまた、画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、樹脂層が本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むものに関する。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて画像表示用装置を製造することができる。本実施形態の画像表示用装置は、画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、樹脂層が本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むものに関する。本実施形態の画像表示用装置はまた、画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、樹脂層が本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むものに関する。
以下、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて製造することが可能な画像表示用装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図1は、本実施形態の画像表示用装置の一例である液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。図1に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた樹脂層32と、樹脂層32の表面に設けられた保護パネル(透明保護基板)40とを備える。なお、樹脂層32は、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
図2は、本実施形態の画像表示用装置の一例であるタッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。図2に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面(視認側面)に設けられた樹脂層32と、樹脂層32の上面に設けられたタッチパネル30と、タッチパネル30の上面に設けられた樹脂層31と、樹脂層31の上面に設けられた透明保護基板40とを備える。
なお、図2の液晶表示装置においては、画像表示ユニット1とタッチパネル30との間及びタッチパネル30と透明保護基板40との間の両方に樹脂層が介在しているが、樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよい。また、図2の液晶表示装置において、樹脂層31及び樹脂層32は、少なくとも一方の樹脂層が本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含めばよい。なお、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、図1の液晶表示装置の液晶表示セル10が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
図1及び2に示す液晶表示装置は、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物を樹脂層31又は32として備えているため、耐衝撃性を有し、二重写りがなく鮮明でコントラストの高い画像が得られる。
液晶表示セル10は、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。また、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−twisted nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本実施形態では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
偏光板20及び22は、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。偏光板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の表面処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、偏光板の片面に対して実施されていてもよく、その両面に対して実施されていてよい。また、タッチパネル30は、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
樹脂層31又は32は、例えば0.02mm〜3mmの厚さで形成することができる。特に、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、厚膜形成が容易であり、0.1mm以上の樹脂層31又は32を形成する場合に好適である。また、樹脂層31又は32は、透明樹脂層であることが好ましい。
透明保護基板40は、一般的な光学用透明基板を使用することができる。透明保護基板としては、例えば、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シートなどが挙げられる。これらの中でも、高い表面硬度が必要とされる場合には、ガラス板及びアクリル板が好ましく、ガラス板がより好ましい。なお、透明保護基板40の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の表面処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、透明保護基板の片面に対して実施されていてもよく、その両面に対して実施されていてよい。また、透明保護基板は、複数枚の基板を組み合わせて使用することもできる。
バックライトシステム50としては、その構成に特に制限はないが、一般的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。これらの反射手段及び照明手段は、通常の画像表示用装置で適用される公知の手段及び構成を適用することができる。
〔画像表示用装置の製造方法〕
本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いた、図1及び図2に示されたような画像表示用装置は、以下の方法により製造することができる。
本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いた、図1及び図2に示されたような画像表示用装置は、以下の方法により製造することができる。
まず、図1に示されたような、画像表示ユニットと、保護パネルと、画像表示ユニットと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置は、画像表示ユニットと保護パネルとの間に本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程(以下、「工程(1a)」ともいう。)と、光硬化性樹脂組成物層を硬化させて樹脂層を形成する工程(以下、「工程(2a)」ともいう。)とを経て製造することができる。
また、図2に示されたような、画像表示ユニットと、タッチパネルと、保護パネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置は、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと保護パネルとの間に本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程(以下、「工程(1b)」ともいう。)と、光硬化性樹脂組成物層を硬化させて樹脂層を形成する工程(以下、「工程(2b)」ともいう)とを経て製造することができる。
ここで、従来の光硬化性樹脂組成物を用いて画像表示用装置を製造した場合、65℃/90%RH等の高温高湿条件下で接着力低下が生じ、さらに外部から熱膨張などの応力が加わった場合、表示ムラが発生し、画像表示用装置の品質を大きく損なう信頼性の低下を招く。ところが、本実施形態の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、貯蔵弾性率と損失弾性率とのバランスを保つことができるため、外部から熱膨張などの応力が加わった際、適度に応力を蓄え、適度に応力を発散できる。また、本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、(E)成分を含むことにより、65℃/90%RH等の高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができる。そのため、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いた画像表示用装置の製造方法によれば、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持することができ、且つ表示ムラが抑制された品質の優れた画像表示用装置を生産性良く製造することができる。
工程(1a)及び(1b)において、画像表示ユニットと保護パネルとの間等に、光硬化性樹脂組成物層を介在させる方法としては、例えば、スリットコーター又はディスペンサーを用いて、画像表示ユニット又は保護パネル上に当該樹脂組成物を塗布した後に、真空(減圧)又は大気圧で画像表示ユニットと保護パネルとを貼合する方法、一定の間隔を開けて配置された画像表示ユニットと保護パネルとの間に、当該樹脂組成物を注型する方法等が挙げられる。なお、光硬化性樹脂組成物を注型する際には、画像表示ユニット及び保護パネルの周囲にダムを形成してもよい。
工程(2a)及び(2b)における硬化は、例えば、保護パネル面側から又は光硬化性樹脂組成物を含む積層体の側面から光照射して行うことができる。なお、光照射の際には、保護パネル面側からの照射と、積層体の側面からの照射とを併用してもよい。なお、光照射と同時に光硬化性樹脂組成物を含む積層体を加熱する等して、硬化を促進させることもできる。
工程(2a)及び(2b)における光照射は、紫外線、電子線、α線、β線等の活性エネルギー線を照射することで行うことができ、例えば、紫外線照射装置を用いて行うことができる。本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、例えば、露光量が50mJ/cm2と少なくても十分に硬化反応を進行させることができる。そのため、露光量が50mJ/cm2以上であれば、十分に硬化反応を進行させ、硬化物を得ることができる。なお、露光量の上限値は、5000mJ/cm2とすることが好ましい。本明細書において、露光量とは、紫外線照射装置(株式会社オーク製作所、商品名「UV−M02(受光器:UV−36)」)等で測定される照度に、照射時間(秒)を掛けた値をいう。
紫外線照射用の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。これらの中でも、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。
以上のように、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な画像表示用装置の一つである液晶表示装置について説明したが、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な画像表示用装置は、これに限られない。本実施形態の光硬化性樹脂組成物は、例えば、プラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、3Dディスプレイ、電子ペーパー等に適用することも可能である。特に、画像表示用装置が5インチサイズ以上である場合において、本実施形態の光硬化性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成することがより好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3及び比較例1〜7]
下記表1に示す各成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、90℃で30分間加熱攪拌して混合し、実施例1〜3及び比較例1〜7の光硬化性樹脂組成物を調製した。なお、下記表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
下記表1に示す各成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、90℃で30分間加熱攪拌して混合し、実施例1〜3及び比較例1〜7の光硬化性樹脂組成物を調製した。なお、下記表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<(A)成分>
UC−102:イソプレンゴム、株式会社クラレ製、商品名、Mn=17000
<(B)成分>
B−1000:1,2−ポリブタジエンホモポリマー、日本曹達株式会社製、商品名、Mn=1100、1,2−ブタジエン単位の含有量=85質量%以上
<(C)成分>
LBR−307:ポリブタジエン、株式会社クラレ製、商品名、Mn=8000、1,4−ブタジエン単位の含有量=95質量%以上
<(D)成分>
DAROCUR−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、BASF社製、商品名
<(E)成分>
アートレジン:アクリル基含有ブタジエンゴム、根上工業株式会社、Mw=7600
<その他の成分>
ACMO:アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ株式会社製、商品名
ライトアクリレートL−A:n−ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、商品名
UC−102:イソプレンゴム、株式会社クラレ製、商品名、Mn=17000
<(B)成分>
B−1000:1,2−ポリブタジエンホモポリマー、日本曹達株式会社製、商品名、Mn=1100、1,2−ブタジエン単位の含有量=85質量%以上
<(C)成分>
LBR−307:ポリブタジエン、株式会社クラレ製、商品名、Mn=8000、1,4−ブタジエン単位の含有量=95質量%以上
<(D)成分>
DAROCUR−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、BASF社製、商品名
<(E)成分>
アートレジン:アクリル基含有ブタジエンゴム、根上工業株式会社、Mw=7600
<その他の成分>
ACMO:アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ株式会社製、商品名
ライトアクリレートL−A:n−ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、商品名
各実施例及び各比較例で得られた光硬化性樹脂組成物及びその硬化物について、以下に示す試験を行い、各特性を評価した。その結果を下記表1に示す。
(粘度)
E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名「RE−80L」、コーン角度3度)を用いて、回転数1.0rpmの条件にて、各実施例及び各比較例で得られた光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度(mPa・s)を測定した。
E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名「RE−80L」、コーン角度3度)を用いて、回転数1.0rpmの条件にて、各実施例及び各比較例で得られた光硬化性樹脂組成物の25℃における粘度(mPa・s)を測定した。
(硬化物の弾性率)
表面が離型処理されたPETフィルム(ニッパ株式会社製、商品名「KX−4」)に、各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物を滴下し、該樹脂組成物の硬化後の膜厚が1mmとなるように、もう一枚の同様なPETフィルムを貼り合わせた。そして、一方のPETフィルム側から、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」、光源:メタルハライドランプ)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、硬化物を作製した。
表面が離型処理されたPETフィルム(ニッパ株式会社製、商品名「KX−4」)に、各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物を滴下し、該樹脂組成物の硬化後の膜厚が1mmとなるように、もう一枚の同様なPETフィルムを貼り合わせた。そして、一方のPETフィルム側から、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」、光源:メタルハライドランプ)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、硬化物を作製した。
次いで、硬化物からPETフィルムを剥がし、上記硬化物を10mm×10mmに切り出して試験片を作製した。レオメータ(株式会社アントンパール製、商品名「MCR−301」)を用いて、0.01N〜0.10Nの範囲の力を与え、1Hz、25℃の条件で、測定治具PP08を用いて硬化物の貯蔵弾性率及び損失弾性率の測定を行なった。
(表示ムラ)
表示ムラの有無を、パネル点灯表示試験により評価した。評価用パネルは、貼合装置AS−RD(株式会社大橋製作所製)を用いて作製した。各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物は、硬化後の膜厚が200μmになるように塗布し、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。その後、作製した評価用パネルの点灯表示試験を行うことで、表示ムラの有無を目視にて評価した。点灯表示試験はブラックモードで行ない、パネル表示エリアの端部に発生する表示ムラの有無によって評価を行なった。表示ムラが無い場合には、「A」と評価し、表示ムラがある場合には、「B」と評価した。
表示ムラの有無を、パネル点灯表示試験により評価した。評価用パネルは、貼合装置AS−RD(株式会社大橋製作所製)を用いて作製した。各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物は、硬化後の膜厚が200μmになるように塗布し、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。その後、作製した評価用パネルの点灯表示試験を行うことで、表示ムラの有無を目視にて評価した。点灯表示試験はブラックモードで行ない、パネル表示エリアの端部に発生する表示ムラの有無によって評価を行なった。表示ムラが無い場合には、「A」と評価し、表示ムラがある場合には、「B」と評価した。
(硬化物の高温高湿条件下での接着性)
まず、スライドガラスS1111(松浪硝子工業株式会社製)を2枚用意し、厚さ0.18mmの両面テープ(3M社製、商品名「Scotch Double−Coated Tape」)を25.0mm×3.0mmに切り出し、図3(a)に示すように、切り出した2枚の両面テープ66を一方のスライドガラス62の幅方向両端に貼り付けた。次に、スライドガラス62の両面テープが貼り付けた表面の中心部に、各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物を、硬化後の寸法が直径6.0mm±0.5mm、厚さ約0.2mmとなるように滴下し、上部から他方のスライドガラス64を被せて挟み込み、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」、光源:メタルハライドランプ)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させて硬化物60を形成し、図3(a)に示した構造の試験片を作製した。なお、両面テープ66のスライドガラス64側の面は保護フィルムで被覆されており、両面テープ66とスライドガラス64との間は非接着状態となっている。
まず、スライドガラスS1111(松浪硝子工業株式会社製)を2枚用意し、厚さ0.18mmの両面テープ(3M社製、商品名「Scotch Double−Coated Tape」)を25.0mm×3.0mmに切り出し、図3(a)に示すように、切り出した2枚の両面テープ66を一方のスライドガラス62の幅方向両端に貼り付けた。次に、スライドガラス62の両面テープが貼り付けた表面の中心部に、各実施例及び各比較例で調製した光硬化性樹脂組成物を、硬化後の寸法が直径6.0mm±0.5mm、厚さ約0.2mmとなるように滴下し、上部から他方のスライドガラス64を被せて挟み込み、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製、商品名「US5−X0401」、光源:メタルハライドランプ)を用いて、露光量3000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させて硬化物60を形成し、図3(a)に示した構造の試験片を作製した。なお、両面テープ66のスライドガラス64側の面は保護フィルムで被覆されており、両面テープ66とスライドガラス64との間は非接着状態となっている。
上記試験片について、AUTOGRAPH EZ−TEST EZ−S(株式会社島津製作所製)を用い、図3(b)に示すように、スライドガラス64を固定した状態でスライドガラス62を10mm/minの速度で押し下げ、硬化物の高温高湿試験前の引張接着力を測定した。
別途、上記試験片を温度65℃、相対湿度90%の高温高湿槽内に500時間放置した後、上記硬化物の引張接着力の測定と同様に、高温高湿試験後の硬化物の引張接着力を測定した。高温高湿試験前の引張接着力と高温高湿試験後の引張接着力との差を算出し、以下の基準に基づき、硬化物の高温高湿条件下での接着性を評価した。
A:高温高湿試験前後の接着力の低下が無い又は少ないため、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる
B:高温高湿試験前後の接着力の低下が著しいため、高温高湿条件下において良好な接着力を維持できない
A:高温高湿試験前後の接着力の低下が無い又は少ないため、高温高湿条件下でも良好な接着力を維持できる
B:高温高湿試験前後の接着力の低下が著しいため、高温高湿条件下において良好な接着力を維持できない
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3の光硬化性樹脂組成物は、適度な粘度を有しており、高温高湿試験後も良好な接着力を維持できた。また、実施例1〜3の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率が1000Pa〜6000Paの範囲内であり、25℃における損失弾性率が200Pa〜4000Paの範囲内であるため、パネル点灯表示試験において表示ムラが発生しなかった。このような実施例1〜3の光硬化性樹脂組成物は、外部から熱膨張などの応力が加わった際に、適度に応力を吸収し、適度に応力を発散することができるため、画像表示用装置の構成部材に用いた場合に、表示ムラの発生を抑制することができたと考えられる。
一方、比較例2〜4の光硬化性樹脂組成物は、(E)成分を含有していないため、高温高湿試験後に著しい接着力の低下が起きた。また、高温高湿試験後の試験片の外観を観察したところ、ブリードが確認された。比較例6の光硬化性樹脂組成物は、(C)成分を含有していないため、表示ムラが発生した。比較例7の光硬化性樹脂組成物は、(B)成分を含有していないため、高温高湿試験後に著しい接着力の低下が起きた。比較例1、4及び5の光硬化性樹脂組成物は、損失弾性率は200Pa〜4000Paの範囲内であるが、貯蔵弾性率は1000Pa〜6000Paの範囲外であるため、表示ムラが発生した。また、比較例2の光硬化性樹脂組成物は、貯蔵弾性率は1000Pa〜6000Paの範囲内であるが、損失弾性率は200Pa〜4000Paの範囲外であるため、表示ムラが発生した。
本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、高温高湿条件でも良好な接着力を維持することができる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、外部から熱膨張などの応力が加わった際に適度に応力を吸収し、適度に応力を発散することができるため、画像表示用装置の構成部材として用いた場合、表示ムラの発生を抑制することができる。以上の特性を鑑みると、本発明の光硬化性樹脂組成物は、液晶表示装置等の画像表示用装置における、保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間を充填するための構成部材として好適に使用し得る。
1…画像表示ユニット、10…液晶表示セル、20,22…偏光板、30…タッチパネル、31,32…樹脂層、40…保護パネル、50…バックライトシステム、60…硬化物、62,64…スライドガラス、66…両面テープ。
Claims (7)
- (A)(メタ)アクリロイル基を有するイソプレン重合体と、(B)50質量%を超える1,2−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエンと、(C)50質量%を超える1,4−ブタジエン単位を有し且つ(メタ)アクリロイル基を有さないポリブタジエンと、(D)光重合開始剤と、(E)(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有するポリブタジエンとを含む光硬化性樹脂組成物であり、
前記光硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1000Pa〜6000Paであり、且つ、25℃における損失弾性率が200Pa〜4000Paである、光硬化性樹脂組成物。 - 前記(D)光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤及びアルキルフェノン系光重合開始剤のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 実質的に有機溶媒を含有せず、25℃における粘度が500mPa・s〜6000mPa・sである、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 画像表示ユニットと、保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、
前記樹脂層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、画像表示用装置。 - 画像表示ユニットと、保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、前記画像表示ユニットと前記タッチパネルとの間、又は、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備え、
前記樹脂層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、画像表示用装置。 - 画像表示ユニットと、保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
前記光硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記樹脂層を形成する工程と、
を有する、製造方法。 - 画像表示ユニットと、保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に配置されたタッチパネルと、前記画像表示ユニットと前記タッチパネルとの間、又は、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に配置された樹脂層とを備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記タッチパネルとの間、又は、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
前記光硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記樹脂層を形成する工程と
を有する、製造方法。
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