JP2017197046A - スタッドピン、及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタッドピンは、路面と接触するチップ先端面を有するチップと、前記チップを保持し、一方向に延在する胴体部と、を有する。前記胴体部は、前記胴体部の一方の端で前記チップを固定した上部フランジと、前記胴体部の前記上部フランジと反対側の位置に設けられた下部フランジと、を備える。前記上部フランジの前記チップが突出する上端面は、前記チップの突出基部に近づくにつれて前記下部フランジの側に湾曲状に窪んだ、滑らかな傾斜面を備えた凹面を含む。
【選択図】 図4
Description
一般に、スタッドピンを装着したタイヤが、氷路面を走行するとき、スタッドピンにより掘削された氷粉がタイヤのトレッド面と氷路面の間に入り込む場合がある。この場合、氷粉の層がスタッドピンの氷への貫入を阻害するので、氷路面におけるスタッドピンのグリップが低下する。
当該スタッダブルタイヤは、トレッドの陸部の表面のスタッド孔の中心を中心とする互いに半径の異なる2つの円で囲まれた領域内の前記陸部の踏み込み側と蹴り出し側とにそれぞれ形成された、両端部がともに陸部内で終端する陸部内溝と、前記陸部内溝とラグ溝とを連通する連通溝とを備える。
一方、接地基準面に対して凹状の凹部が、チップが配置された先端面の中央に対して放射状に設けられたスタッドピンにおいても、氷粉のスタッドピンへの付着を抑制できなかった。
当該スタッドピンは、
路面と接触するチップ先端面を有するチップと、
前記チップを保持し、一方向に延在する胴体部と、を有する。
前記胴体部は、
前記胴体部の一方の端で前記チップを固定した上部フランジと、
前記胴体部の前記上部フランジと反対側の位置に設けられた下部フランジと、を備え、
前記上部フランジの前記チップが突出する上端面は、前記チップの突出基部に近づくにつれて前記下部フランジの側に湾曲状に窪んだ、滑らかな傾斜面を備えた凹面を含む。
前記チップの突出基部の位置を原点としたとき、
前記傾斜面に対応する傾斜面に対応する曲線あるいは直線の、任意の位置Aにおける前記x方向に対する傾斜角度は、
前記原点と前記x方向の同じ位置にある前記チップ先端面上の点を焦点とする放物線の、前記位置Aと前記x方向の同じ位置における前記x方向に対する傾斜角度よりも大きい、ことが好ましい。
当該空気入りタイヤは、
スタッドピン取り付け用孔が設けられたトレッド部と、
前記スタッドピン取り付け用孔に装着された、前記スタッドピンと、を備える。
以下、本実施形態のスタッドタイヤについて説明する。図1は、本実施形態のスタッドタイヤ(以降、タイヤという)10の断面の一例を示すタイヤ断面図である。図2は、タイヤ10の外観斜視図である。
タイヤ10は、トレッド部にスタッドピン50(図4(a)参照)が埋め込まれたタイヤである(図1,2では、スタッドピン50は図示されていない)。
タイヤ10は、例えば、乗用車用タイヤである。乗用車用タイヤは、JATMA YEAR BOOK 2012(日本自動車タイヤ協会規格)のA章に定められるタイヤをいう。この他、B章に定められる小型トラック用タイヤおよびC章に定められるトラック及びバス用タイヤに適用することもできる。
以降で具体的に説明する各パターン要素の寸法の数値は、乗用車用タイヤにおける数値例であり、スタッドタイヤはこれらの数値例に限定されない。
タイヤ10は、骨格材として、カーカスプライ層12と、ベルト層14と、ビードコア16とを有する。タイヤ10は、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム18と、サイドゴム20と、ビードフィラーゴム22と、リムクッションゴム24と、インナーライナゴム26と、を主に有する。
この他に、タイヤ10は、ベルト層14のタイヤ径方向外側からベルト層14を覆う、有機繊維をゴムで被覆したベルトカバー層28を備える。
図3は、タイヤ10の、一例であるトレッドパターン30を平面上に展開したトレッドパターンの一部の平面展開図である。図3では、トレッド部に装着されるスタッドピン50の図示は省略されている。タイヤ10は図3に示されるように、タイヤ周方向の一方の向きを示す回転方向Xが指定されている。回転方向Xの向きの情報は、タイヤ10のサイドウォール表面に設けられた数字、記号(例えば、矢印の記号)等の情報表示部に示されている。スタッドピン(図4(a)参照)50は、図3に示される複数のピン埋め込み用孔(スタッドピン取り付け用孔ともいう)29に装着される。
傾斜溝32は、タイヤ周方向(図3の上下方向)に所定の間隔で複数形成されている。
傾斜溝32は、タイヤ回転方向X(図3では、下方向)と逆方向(図3では、上方向)に、かつタイヤ幅方向外側に延びている。傾斜溝32は、タイヤ赤道線CLを挟んでタイヤ幅方向Wの一方の側の、タイヤ赤道線CLの近傍の位置を始端として、タイヤ赤道線CLを横切って、タイヤ幅方向Wの他方の側に向かって進み、パターンエンドPEに至る。
傾斜溝32の溝幅は、タイヤ赤道線CLの近傍の始端から徐々に大きくなっている。傾斜溝32のタイヤ幅方向Wに対する傾斜は、始端を含むタイヤ赤道線CL近傍で最も小さく、タイヤ赤道線CLを横切った後、タイヤ幅方向Wに対する傾斜角度が大きくなるように屈曲してタイヤ幅方向外側で、タイヤ回転方向Xと逆方向に進む。さらに、タイヤ幅方向外側に進むに連れて上記傾斜角度は、徐々に小さくなっている。このような傾斜溝32は、タイヤ赤道線CLを挟んだ両側に設けられる。
トレッド部のタイヤ赤道線CLを挟んだ一方の側に設けられる傾斜溝32は、他方の側に設けられる傾斜溝32に対してタイヤ周方向Cに対して位置ずれしている。このため、一方の側に設けられる傾斜溝32の始端は、他方の側に設けられる傾斜溝32と接続されない構成となっている。
傾斜溝32、周方向連絡溝34、及び突出溝36の溝深さは、例えば8.5〜10.5mmであり、溝幅の最大は12mmである。図3に示すトレッドパターン30は一例であり、本実施形態のスタッドピンを装着するタイヤのトレッドパターンは、図3に示す形態に限定されない。
図4(a)は、本実施形態のスタッドピン50を示す斜視図である。図4(b)は、スタッドピン50の平面図であり、スタッドピン50の下部フランジ58を胴体部54の延在方向から見たときの図である。
胴体部54の上部フランジ56は、タイヤ10のトレッド部に埋め込まれる時、トレッド表面からチップ52が突出するように構成されている。チップ52は、胴体部54の上部フランジ56の側の端で固定される。
下部フランジ58は、タイヤ10のトレッド部に埋め込まれる時、ピン埋め込み用孔29の底に接触するように構成されている。下部フランジ58は、胴体部54の上部フランジ56の側の端と反対側の位置に設けられている。
シャンク部60は、上部フランジ56と下部フランジ58を接続する部分で、上部フランジ56及び下部フランジ58に比べて、胴体部54の延在方向に直交する断面において、細い。
胴体部54の材料は特に制限されないが、例えば、スタッドピン50の軽量化のためにアルミニウム合金等で構成されている。
上部フランジ56を胴体部54の延在方向からみたとき、上部フランジ56の外周形状を定める縁は、六角形形状の6つの角が丸まり、4つの辺の一部が凹状になった、変形した6角形形状を成している。このような形状は、一例であって、図4(b)に示すように、胴体部54を胴体部54の延在方向からみたとき、下部フランジ58は上部フランジ52に比べて大きければ、上部フランジ56の縁の形状は特に制限されず、公知の他の形状であってもよい。
第1の辺58aは、下部フランジ58の外側に向かって丸く突出した形状で、胴体部54の延在方向(中心軸Zの軸方向)に直交する第1の方向Aに突出している。
第2の辺58bは、図4(b)に示すように、チップ52が設けられるチップ配置位置、具体的にはチップ52の中心位置(チップ先端面52cの図心位置)を基準にして第1の辺58aと反対側に設けられている。第2の辺58bは、胴体部54の延在方向(中心軸Zの軸方向)及び第1の方向Aに直交する第2の方向Bに延びるとともに、下部フランジ58の内側に向かって凹んだ凹部を備える。
また、第2の辺58bは、第2の辺58bに設けられている凹部の最も凹んだ位置を通る第2の方向Bに平行な直線58eが、下部フランジ58の縁と交わる一対の点58fを
端として形成される。したがって、図4(b)に示す例では、第3の辺58cは、点58fと点58dの間の直線あるいは曲線の部分をいう。
第2の辺58bは、2つの直線と、2つの直線に挟まれた凹状に凹んだ部分とを備える形状でもよく、凹部を挟む部分の形状は直線形状でなく、下部フランジ58の外側に向けて凸状を成した曲線形状であってもよい。また、第2の辺58bの凹部の形状は、曲線形状で凹状に形成されてもよく、2つの直線がV字状に組み合わされて凹状に形成されてもよい。第3の辺58cの凹部の形状は、曲線形状で凹状に形成されてもよく、2つの直線がV字状に組み合わされて凹状に形成されてもよい。
このような下部フランジ58の縁の形状は、一例であって、本実施形態のスタッドピン50の下部フランジ58の縁の形状は、特に制限されず、公知の他の形状であってもよい。
図6は、本実施形態のスタッドピン50の上部フランジ56に設けられる傾斜面56bの形状を説明する図である。図6では、凹面56cの形状は、y方向において寸法を拡大して示している。図7は、放物線Bと放物線Bの焦点Cの関係を説明する図である。放物線Bの焦点Cから直線的に移動する粒子が放物線Bで鏡面反射のように反射(入射角=反射角)するとき、粒子の反射方向は、反射位置に係らずy方向になる。したがって、この放物線Bの反射位置の曲線のx方向に対する傾斜角度(絶対値)に比べて、同じ反射位置における傾斜面56bのx方向に対する傾斜角度(絶対値)を大きくすることにより、粒子である氷粉82が傾斜面56bで反射しても、図6に示すように、チップ52の側に向かう方向(x方向と反対方向)に移動する。このため、傾斜面56bで反射した氷粉82は、凹面56cと氷路面80で囲まれる空間の外に飛び出しにくい。したがって、氷粉82の層がチップ52と氷路面80との間に形成されにくい。
上部フランジ56の凹面56cの有無及びその形態が異なるスタッドピンを種々作製し、作製したスタッドピンを図1〜3に示すタイヤ10に埋め込んだスタッドタイヤを乗用車に装着して、氷上性能を調べた。
作製したタイヤのタイヤサイズは、205/55R16とした。乗用車は、排気量2000ccの前輪駆動のセダン型乗用車を用いた。タイヤの内圧条件は、前輪、後輪ともに230(kPa)とした。各タイヤの荷重条件は、前輪荷重を450kg重、後輪荷重を300kg重とした。
表1,2における「基準平面の有無」に関して、「無し」とは、凹面56cの縁の形状が、胴体部54の延在方向から見た上部フランジ56の縁の形状に対応することを意味する。
なお、従来例は、図4(a)に示すスタッドピン50において、凹面56cが設けられない形態であり、実施例1〜10は、図4(a)に示すスタッドピン50を、表1,2の仕様にあわせて変形した形態である。
従来例における凹面56cが「無し」とは、スタッドピンの上部フランジの上端面が平面であることを意味する。
実施例1,2との比較より、傾斜面56bの形状を、傾斜面56bの傾斜角度が、チップ52の突出基部52aに近づくにつれて小さくなる形状にすることが、氷上性能を向上させる点で好ましいことがわかる。
実施例2,3の比較より、凹面56cの縁を囲むように基準平面56dを設けることが、氷上性能を向上させる点で好ましいことがわかる。
実施例3〜8より、深さDは0.3mm以上であることが、氷上性能を向上させる点で好ましいことがわかる。
実施例5,9,10の比較より、距離W2/距離W1を0.3以上にすることが、氷上性能を向上させる点で好ましいことがわかる。また、距離W2/距離W1を0.3以上0.5以下とすることにより優れた氷上性能が実現できることがわかる。
12 カーカスプライ層
14 ベルト層
14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム
18a 上層トレッドゴム
18b 下層トレッドゴム
20 サイドゴム
22 ビードフィラーゴム
24 リムクッションゴム
26 インナーライナゴム
28 ベルトカバー層
30 トレッドパターン
32 傾斜溝
34 周方向連絡溝
36 突出溝
50 スタッドピン
52 チップ
52a 突出基部
52b 中心軸
52c チップ先端面
52d 点
54 胴体部
56 上部フランジ
56a 上端面
56b 傾斜面
56c 凹面
56d 基準平面
58 下部フランジ
58a 第1の辺
58b 第2の辺
58c 第3の辺
58d,58f 点
58e 直線
58g 両端
60 シャンク部
Claims (7)
- 空気入りタイヤのトレッド部に設けられたピン埋め込み用孔に埋め込むためのスタッドピンであって、
路面と接触するチップ先端面を有するチップと、
前記チップを保持し、一方向に延在する胴体部と、を有し、
前記胴体部は、
前記胴体部の一方の端で前記チップを固定した上部フランジと、
前記胴体部の前記上部フランジと反対側の位置に設けられた下部フランジと、を備え、
前記上部フランジの前記チップが突出する上端面は、前記チップの突出基部に近づくにつれて前記下部フランジの側に湾曲状に窪んだ、滑らかな傾斜面を備えた凹面を含む、ことを特徴とするスタッドピン。 - 前記延在方向に直交する直交平面に対する前記傾斜面の傾斜角度は、前記チップの突出基部に近づくにつれて小さくなる、請求項1に記載のスタッドピン。
- 前記上端面は、前記胴体部の延在方向と直交する基準平面を備え、前記凹面は、前記基準平面に囲まれている、請求項1又は2に記載のスタッドピン。
- 前記凹面の最も窪んだ位置の深さは、0.3mm以上2.0mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスタッドピン。
- 前記チップは、前記胴体部の延在方向に延びる中心軸を有し、前記中心軸を通り、前記中心軸に直交する直線上の、前記上部フランジの縁から前記チップの突出基部の位置までの距離を距離W1とし、前記中心軸に直交する前記直線上の、前記凹面の窪み開始位置から前記チップの突出基部の位置までの距離を距離W2としたとき、前記距離W2は、前記距離W1の0,3倍以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスタッドピン。
- 前記チップは、前記胴体部の延在方向に延びる中心軸を有し、前記チップの中心軸に平行で前記中心軸を含むように、前記上部フランジ及び前記チップを切断した切断面において、前記延在方向のうち前記チップ先端面の側に向く方向をy方向とし、前記延在方向に直交する方向のうち、前記スタッドピンの外側を向く方向をx方向とし、
前記チップの突出基部の位置を原点としたとき、
前記傾斜面に対応する傾斜面に対応する曲線あるいは直線の、任意の位置Aにおける前記x方向に対する傾斜角度は、
前記原点と前記x方向の同じ位置にある前記チップ先端面上の点を焦点とする放物線の、前記位置Aと前記x方向の同じ位置における前記x方向に対する傾斜角度よりも大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスタッドピン。 - 空気入りタイヤであって、
スタッドピン取り付け用孔が設けられたトレッド部と、
前記スタッドピン取り付け用孔に装着された、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスタッドピンと、を備える、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
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