前記従来のプロテクタ付き医療用針では、前記ハブと前記プロテクタとはいずれも合成樹脂製であり、射出成形により成形される。ところが、各別に成形された前記ハブと前記プロテクタとを組み付けようとすると、前記第1の係止手段又は前記第2係止手段が障害となり、組み付けることができないという問題がある。
前記問題を解決するために、例えば、前記ハブと前記プロテクタとの一方を予め成形しておき、他方の射出成形時に予め金型内に配置し、インサート成形を行うことにより、該ハブと該プロテクタとが組み付けられた状態の製品を得ることが考えられる。
しかしながら、前記インサート成形を行うには複雑な構造の金型を必要とし、操作が煩雑になるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、各別に成形された前記ハブと前記プロテクタとを容易に組み付けることができるプロテクタ付き医療用針を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明のプロテクタ付き医療用針は、先端に針管の後端部を支持するハブと、該ハブを摺動させて該針管を収納可能な筒状のプロテクタと、該針管が該プロテクタから突出した状態で該ハブを該プロテクタに解除可能に係止する第1係止手段と、針管が該プロテクタに収納された状態で該ハブを該プロテクタに解除不能に係止する第2係止手段とを備えるプロテクタ付き医療用針において、前記ハブの先端部は、該ハブの軸線と直交する第1の軸線上に設けられ、該ハブの外周面から離間する方向に夫々突出する一対の第1突出部と、該第1突出部より後端側に第1の所定間隔を存して、該ハブの軸線と直交するとともに、該ハブの軸線からみて前記第1の軸線と所定角度で交差する第2の軸線上に設けられ、該ハブの外周面から離間する方向に夫々突出する一対の第2突出部とを有し、該プロテクタの後端部には、該プロテクタの軸線と直交する第3の軸線上に設けられ、該プロテクタの内周面から該プロテクタの軸線に向かって後端側に傾斜しつつ夫々延出し、該プロテクタの軸線から離れる方向に弾性変形自在な一対の突片と、該プロテクタの突片より先端側に前記第1の所定間隔以下の第2の所定間隔を存して該プロテクタの内周面に設けられ、前記プロテクタの軸線からみて前記第3の軸線と前記所定角度で交差する第4の軸線上において互いに対向する一対の側壁部とを有し、該第2係止手段は、前記針管が前記プロテクタに収納されたときに、該プロテクタの前記側壁部の先端側が該ハブの該第1突出部に係止されるとともに、該プロテクタの該突片の後端側が該ハブの該第2突出部に係止されることにより構成され、前記一対の側壁部の間隔は、該ハブの軸線からみた第1の軸線と直交する方向における両突出部の最大幅以上であって、両突出部の一方突端から他方突端までの夫々の距離未満に形成されていることを特徴とする。
本発明のプロテクタ付き医療用針は、ハブと、該ハブが組み付けられる筒状のプロテクタとを備え、該ハブは先端に針管の後端部を支持しており、該プロテクタは該針管を収納可能とされている。
本発明のプロテクタ付き医療用針は、前記針管が前記プロテクタから突出した状態で血管等に穿刺する際には、前記ハブが前記第1の係止手段により前記プロテクタに係止されることにより、前記針管が血管等から抜け落ちることを防止することができる。
次に、本発明のプロテクタ付き医療用針は、血管等から抜去した後は、第1の係止手段による前記ハブと前記プロテクタとの係止を解除し、前記ハブを後退させることにより、前記針管が前記プロテクタ内に引き込むことができる。
そして、前記ハブの第1突出部及び第2突出部が前記プロテクタの後端側まで後退すると、該プロテクタの後端側に設けられた突片は、該プロテクタの内周面から該プロテクタの軸線に向かって後端側に傾斜しつつ延出しているため、前記第2突出部の後端側によってプロテクタの軸線から離れる方向に変形される。さらに、ハブを相対的に後退させると、前記突片は、前記第2突出部を乗り越え、それ自体の弾性により原状に復帰するので、該突片は後端側から前記第2突出部によって係止される。
このとき、ハブの第1突出部と第2突出部との距離である第1の所定間隔は、プロテクタの突片と側壁部との距離である第2の所定間隔以上であるため、ハブの第1突出部は先端側からプロテクタの側壁部を係止する。
この結果、前記第2係止手段を構成するハブの第1突起部及び第2突起部がプロテクタの側壁部及び突片を挟み込むことになるため、前記ハブは前記プロテクタに解除不能に係止され、前後動不能になり、該プロテクタに収容された前記針管が再突出することがなくなるので、誤穿刺を防止することができる。
次に、前記ハブを前記プロテクタに組み付けるときには、該プロテクタの後端側に該ハブの先端側を挿入する。このとき、ハブがプロテクタに収納される姿勢と同じ姿勢になるように、該プロテクタの後端側に該ハブの先端側を挿入しようとすると、側壁部の間隔は第1突出部の一方突端から他方突端までの距離未満に形成されているので、該第1突出部が前記側壁部に突き当たり挿入することができない。
しかしながら、側壁部の間隔は、該ハブの軸線からみた第1の軸線と直交する方向における該第1突出部の最大幅以上であるため、前記プロテクタと前記ハブとをその中心軸回りに相対的に回転させると、第1突出部は前記側壁部との衝突を回避して、該側壁部より先端側まで挿入される。
次に、前記第2突出部は、前記回転により前記突片との衝突を回避して前進することができるが、前記側壁部の間隔は第2突出部の一方突端から他方突端までの距離未満に形成されているので、今度は前記側壁部に突き当たりそれ以上挿入することができなくなる。
しかしながら、前記側壁部の間隔は、該ハブの軸線からみた第1の軸線と直交する方向における前記第2突出部の最大幅以上であるため、今度は、前記プロテクタと該ハブとを前回と反対方向に回転させると、該第2突出部は該側壁部との衝突を回避して該側壁部より先端側に挿入され、該ハブが前記プロテクタに組み付け完了する。
従って、本発明のプロテクタ付き医療用針によれば、各別に成形された前記ハブと前記プロテクタとを、インサート成形等によることなく、容易に組み付けることができる。
本発明のプロテクタ付き医療用針において、前記ハブの外周面には、該ハブの軸線に沿って条部が設けられ、前記側壁部には、該条部が通過可能なスリットが設けられていることが好ましい。
これによれば、前記ハブを前記プロテクタから相対的に後退させる際に、該ハブの条部が該側壁部のスリットによりハブの軸線に沿って案内されるので円滑に後退することができる。
また、本発明のプロテクタ付き医療用針において、前記側壁部は、前記プロテクタの各側壁部がプロテクタの軸線から離れる方向に弾性変形自在な1対の板バネ部材からなり、前記スリットは、該各板バネ部材の対向する突端部が所定の距離離間することにより形成されていることが好ましい。
これによれば、前記プロテクタと前記ハブとをその中心軸回りに相対的に前回と反対方向に徐々に回転させていくときに、前記条部が前記板バネ部材を外側に変形させていく。そして、さらに回転すると、前記板バネ部材が前記条部を乗り越えて、それ自体の弾性により原状に復帰する。これによって、前記条部が一対の板バネ部材の間隙により形成されるスリットに嵌合される。したがって、かかる構成を備えるプロテクタ付き医療用針によれば、条部が設けられたハブであっても前記プロテクタと、容易に組み付けることができる。
前記プロテクタは1対の翼状部材を備えることが好ましい。本発明のプロテクタ付き医療用針は、前記1対の翼状部材を重ね合わせて摘むことにより前記針管を容易に血管等に穿刺することができる。また、本発明のプロテクタ付き医療用針は、前記針管を血管等に穿刺した後は、前記1対の翼状部材を広げて粘着テープ等により皮膚に固定することができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、本実施形態のプロテクタ付き医療用針1は、前端が鋭利な針管2を支持するハブ3と、ハブ3が組み付けられる筒状のプロテクタ4と、プロテクタ4に外嵌された一対の翼状部材5とを備える。
プロテクタ4はポリプロピレン樹脂等の射出成形により形成されて針管2を収容可能とされており、翼状部材5は塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂の射出成形により形成されている。
図2Aに示すように、ハブ3は、後端に可撓性チューブ6が接続されるハブ基部7と、該ハブ基部7の先端から先端方向に延びる円筒状の小円筒部71とからなる。この小円筒部71の先端に、針管2の後端部が支持される。
ハブ3は、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の合成樹脂の射出成形により形成されている。
図2B及び図2Cに示すように、小円筒部71は、先端側に針管2が挿入されて支持される針管支持部72aを備え、また、ハブ基部7は、後端側に可撓性チューブ6が接続される接続管部72bを備えている。この針管支持部72aと接続管部72bとは、中間に設けられた空洞部72cを介して相互に連通している。
ハブ基部7の後端部には、図2A及び図2Cに示すように、小円筒部71の中心軸に対して対称となるように、1対の腕部73,73が設けられている。腕部73,73は、ハブ基部7との間に間隔を存して、小円筒部71の長さ方向に沿って設けられている。腕部73の先端部には頸部73aを介して鉤部73bが設けられており、鉤部73bの先端には小円筒部71に近接する側を鋭利とする傾斜面73cが先端側から後端側に向けて形成されている。
ハブ基部7は、前述のようにABS樹脂からなるので、腕部73,73は矢示方向に押圧されることにより、小円筒部71方向に弾性的に変形することができる。また、腕部73,73は押圧が解除されると、それ自体の弾性力により原状に復帰することができる。
図2A乃至図2Cに示すように、小円筒部71の先端部の外周面上には、第1突出部74と第2突出部75とが設けられている。第1突出部74は、小円筒部71の先端に設けられ、第2突出部75は、第1突出部74より後端側に、第1突出部74との間に第1の所定間隔を存して設けられている。
第1突出部74は、先端側から見たときに、腕部73,73を結ぶ線と直交する線(本発明の第1の軸線に相当)に沿って突出している。また、第2突出部75は、先端側から見たときに、腕部73,73を結ぶ線(本発明の第2の軸線に相当)に沿って突出している。
第1突出部74は、先端部にスロープ74aを備え、上下(図2A参照)対称に1対設けられている。スロープ74aは、先端から後端に向けて徐々に高さが高くなるよう形成されている。また、第2突出部75は、後端部にスロープ75aを備え、左右(図2A参照)対称に1対設けられている。スロープ75aは、先端から後端に向けて徐々に高さが低くなるよう形成されている。
また、小円筒部71の外周面上には、軸線に沿って、第1突出部74からハブ基部7まで全長に亘って条部76が設けられている。
なお、以下では、一方の第1突出部74の突端部から、他方の第1突出部74の突端部までの距離を「高さ」といい、各第1突出部74の高さ方向及び小円筒部71の軸線の両方と直交する方向の最大幅を単に「幅」という。なお、この定義は、第2突出部75についても同様とする。
なお、本実施形態では、突出部74,75は、小円筒部71の先端部の外周面上に各一対ずつ設けられているが、各一個ずつであってもよい。また、第1突出部74と第2突出部75とは、位相が90度ずれて突出しているが、本発明はこれに限られることなく、第1突出部74と第2突出部75との突出方向が平行(0度、180度)でなければ、他の角度であってもよい。
図3A乃至図3Cに示すように、プロテクタ4は、筒状の大円筒部41の後端部に平面視(図3B参照)において、先端側から後端側に次第に拡幅する拡幅部42を備える。大円筒部41の内部空間は、小円筒部71(突出部74,75を含む)が摺動可能とされている。
拡幅部42の後端部には、腕部73,73が挿入される挿入部42a,42aを備えている。挿入部42aは、側方に窓部42bを備えており、挿入部42aに挿入された腕部73の鉤部73bが窓部42bに係止されるようになっている。即ち、ハブ基部7の腕部73、鉤部73bと、プロテクタ4の挿入部42a、窓部42bとにより第1係止手段が構成される。
また、図3A乃至図3Cに示すように、プロテクタ4の後端部には、突片43,43と側壁部44,44とが設けられている。
図3A及び図3Bに示すように、突片43,43は、プロテクタ4の軸線に向かって傾斜しつつ後端側に延びる板状部材である。突片43,43は、大円筒部41の後端部から連続して、左右(図3A参照)対称に一対設けられている。なお、この左右方向が、本発明におけるプロテクタ4の軸線と直交する第3の軸線に相当する。
また、突片43は、プロテクタ4の軸線から外側に凸状に湾曲されている。一対の突片43,43の突端間は、第2突出部75,75の高さ以下の距離に形成されている。なお、本実施形態では、一対の突片43,43の突端間の距離は、小円筒部71の直径と実質的に等しい長さに形成されている。
プロテクタ4は、前述のようにポリプロピレン樹脂からなるので、突片43は、大円筒部41の軸線から離れる方向(図3Aの左右方向)に弾性的に変形することができる。
側壁部44は、図3A及び図3Bに示すように、突片43より先端側に第2の所定間隔を存して設けられている。この第2の所定間隔(側壁部44の先端から突片43の後端の距離)は、本実施形態においては、前記第1の所定間隔(第1突出部の後端から第2突出部の先端との距離)と実質的に一致しているが、これに限られず、前記第1の所定間隔以下の長さであればよい。
側壁部44は、図3cに示すように、大円筒部41の内周面より内側において、水平方向に延びる平坦な板状部材である。側壁部44は、突片43の上下方向に一対設けられている。この上下方向が、本発明におけるプロテクタの軸線からみて前記第3の軸線と所定角度で交差する第4の軸線に相当する。
一対の側壁部44,44の距離は、突出部74,75の幅以上であって、突出部74,75の高さ以下に形成されている。なお、本実施形態では、一対の側壁部44,44の距離は、小円筒部71の直径と実質的に等しい長さに形成されている。
また、各側壁部44は、一対の板バネ部材44a,44aからなる。各板バネ部材44aは、大円筒部41の内周面から、水平方向に沿って中心方向に夫々延びている。また、板バネ部材44aと大円筒部41(拡幅部42)との内周面との間にはスペースが設けられており、プロテクタ4は、前述のようにポリプロピレン樹脂からなるので、板バネ部材44aは、大円筒部41の外方(図3Aの上下方向)に弾性的に変形することができる。また、各側壁部44を構成する一対の板バネ部材44a,44aの突端は、所定の間隔を存することでスリット44bを夫々形成している。
なお、本実施形態においては、スリット44bは、一対の板バネ部材44aによって形成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、側壁部44に溝部を設けることで形成することもできる。
次に、図4及び図5を参照して、プロテクタ付き医療用針1において、針管2を血管等から抜去した後、プロテクタ4に収納する際の作動について説明する。
針管2が血管等に穿刺されるときには、図4Aに示すように、ハブ基部7の腕部73の先端に設けられた鉤部73bがプロテクタ4の窓部42bに係止されることにより、針管2がプロテクタ4から突出した状態とされている。
そこで、針管2を血管等から抜去した後には、腕部73を矢示する方向に押圧し、腕部73を小円筒部71方向に弾性的に変形させることにより、鉤部73bと窓部42bとの係止を解除する。
そして、図4Bに示すように、腕部73を小円筒部71方向に変形させたまま、ハブ3を後退させる。これにより、針管2は大円筒部41内に引き込まれていく。このとき、図7Cに示すように、小円筒部71の条部76は、スリット44bにより案内されるので、円滑に後退することができる。
そして、ハブ3を後退させていくと、図5Aに示すように、第2突出部75,75が突片43,43に当接する。突片43は、前述のように弾性的に変形可能なので、第2突出部75のスロープ75aに案内されて大円筒部41の軸線から離れる方向(図5Aの上下方向)に変形する。
その後、さらにハブ3を後退させて、図示を省略した針管2を大円筒部41内に収納すると、図5Bに示すように、突片43,43は第2突出部75,75を乗り越え、それ自体の弾性力により原状に復帰して、第1突出部74と第2突出部75と間の間隙に嵌合される。これにより、平面視(図5B参照)において、突片43,43の後端は、第2突出部75,75の先端により係止される。
このとき、前述のとおり側壁部44の先端から突片43の後端の距離(第2の所定距離)は、第1突出部の後端から第2突出部の先端との距離(第1の所定間隔)と実質的に一致しているので、同時に側面視(図5C参照)において、側壁部44の先端は第1突出部74,74の後端より係止される。
つまり、プロテクタ4の突片43及び側壁部44が、ハブ3の突出部74,75によって挟持される。なお、本実施形態においては、ハブ3の突出部74,75と、プロテクタ4の突片43及び側壁部44とにより本発明の第2係止手段が構成される。
この結果、突片43及び側壁部44と突出部74,75との係止は、突片43を外方に変形させない限り解除不能であるので、大円筒部41内に収納された針管2は再突出することがなく、誤穿刺を防止することができる。
次に、図6を参照して、各別に成形されたハブ3とプロテクタ4とを組み付ける際の作動について説明する。
ハブ3をプロテクタ4に組み付ける際には、プロテクタ4の後端側にハブ3の先端側を挿入する。このとき、仮に、ハブ基部7の1対の腕部73,73が大円筒部41の挿入部42aに挿入される姿勢で、プロテクタ4の後端側にハブ基部7の先端側を挿入しようとすると、一対の突片43,43の突端の間隔は、第2突出部75,75の高さ以下であるために、第2突出部75,75の先端が突片43,43の突端(後端)に突き当たってしまう。
そこで、図6Aで示すように、プロテクタ4とハブ3とをその中心軸回りに相対的に90°回転させておく。そのうえで、プロテクタ4の後端側にハブ3の先端側を挿入しようとすると、突片43は、前述のように弾性的に変形可能なので、第1突出部74のスロープ74aに案内されて大円筒部41の軸線から離れる方向に変形され、第1突出部74,74は突片43,43を通過して先端側へ前進する。
さらに、図6Aに示すように、一対の側壁部44,44の上下方向にあるときに、第1突出部74の幅方向が上下方向に配置されるところ、一対の側壁部44,44の距離は第1突出部74の幅以上に形成されているので、第1突出部74は側壁部44,44を通過する。
また、第2突出部75,75は、中心軸回りに相対的に90°回転されたことにより、突片43との衝突を回避できる。
そこで、ハブ3を前進させて行くと、図6Bに示すように、第2突出部75,75が側壁部44,44に突き当たる。
次に、図6Bに矢示するように、プロテクタ4とハブ3とをその中心軸回りに相対的に90°、前回と反対方向に回転させる。このようにすると、ハブ3は、腕部73,73がプロテクタ4の挿入部42a,42aに挿入できる姿勢に復帰する。
このとき、条部76により側壁部44が変形される様子を、図7を参照して説明する。
まず、図7Aは、図6BのVII−VII線断面図である。この状態から、矢示する方向に回転させていくと、板バネ部材44a,44aは、夫々上下方向にスペースを有して弾性的に変形可能であるため、図7Bに示すように、条部76,76に押し込まれて大円筒部41の軸線から離れる方向に変形される。
さらに、矢示する方向に回転させていくと、図7Cに示すように、板バネ部材44a,44aは条部76,76を乗り越え、それ自体の弾性力により原状に復帰する。これにより、条部76,76は夫々、対向する一対の板バネ部材44a,44aの間のスリット44bに嵌合される。
図6に戻り、回転完了した後の作動を説明する。このとき、図6Cに示すように、第1突出部74,74は、側壁部44,44をすでに通過していたため、側壁部44より先端側に配置される。
また、第2突出部75,75も、該突片43,43の突端より先端側に前進した状態で回転されるので、図6Dに示すように、突片43,43を無理開きした状態で、突片43,43の突端(後端)より先端側に配置される。
そこで、ハブ3を前進させて行くと、図6Cにおいて、一対の側壁部44,44の上下方向にあるときに、第2突出部75の幅方向が上下方向に配置されるところ、一対の側壁部44,44の距離は第2突出部75の幅以上に形成されているので、第2突出部74も側壁部44,44を通過する。
さらにハブ3を前進させて行くと、腕部73は先端に傾斜面73cを備えるので、挿入部42aに衝突すると、徐々に小円筒部71方向に押圧変形され、挿入部42aに挿入されていく。その状態でさらに前進させると、腕部73の先端に設けられた鉤部73bが窓部42bの位置に達したところで腕部73の押圧が解除されて、腕部73はそれ自体の弾性により原状に復帰し、鉤部73bが窓部42bに係止される。
この結果、図4Aに示すように、ハブ3をプロテクタ4に組み付けることができる。
次に、図8を参照して、本実施形態の変形例にかかるプロテクタ付き医療用針を説明する。
該変形例に係るハブ3は、図8Aに示すように、第1突出部74の上下方向(図8A参照)の外周面の一部に、第1平坦面74bをさらに有する。第1平坦面74bは、第1突出部74の他の外周面と段差部74cを介して繋がっている。
また、変形例に係るプロテクタ4の内周面には、図8Bに示すように、プロテクタ4の軸線に沿って、先端から後端まで全長に亘って、第1平坦部74bに対応する第2平坦部45が設けられている。第2平坦部45は、大円筒部41の内周面の上下方向に夫々設けられ、大円筒部41の他の内周面と段差部74cに対応する段差部45aを介して繋がっている。
これにより、図8Cに示すように、プロテクタ4の段差部45a,45aに、ハブ基部7の段差部74c,74cが挟まれた状態で、ハブ3の平坦面74bとプロテクタ4の平坦面45とが相対的に摺動される。したがって、変形例に係るプロテクタ付き医療用針によれば、ハブ3をさらに円滑に後退させることができる。