JP2017192963A - プレス金型の製造方法、プレス加工法及びプレス金型機構 - Google Patents
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Abstract
Description
この結果、パンチで3個、ダイで少なくとも1個、合計4個の部品製作と位置合わせが求められ、金型製作工数の増大と位置合わせ誤差を生む原因となってきた。
レーザビーム等の所謂量子ビームを用いることにより、量子レベルの微細な加工が可能となり、複数の形状が相互に入り組んで配置された複雑なパターンであっても、形状毎に分割することなく、高精度で一度に刻設することが可能となる。
また、突出し加工後にダイまたはパンチをより大きなものに変更して被加工材の打ち抜き加工をすることにより、クリアランスを調整することも可能となる。
突出し加工においては途中でかえり(切削屑/切粉)が発生するが、これに対してもレーザービーム等を照射することにより、容易に除去することができる。
この際、パンチの刃丈から被加工材の厚さを減じた寸法よりも薄い板厚を備えたストリッパプレートによって加工対象物の表面を押圧することにより、加工対象物の仮押さえとすると共に、加工後の剥離を確保することが可能となる。
これに対し、この発明では、(1)雌雄の型の両方、もしくは一方の型の形状加工をレーザービーム、イオンビーム、電子ビーム等の量子ビームを用いた加工法を適用する。
量子ビームでは原子、分子単位での加工が行えることから精度の向上が図れるが、その一方、壁面の垂直性が得られない等の課題がある。
上記で作成した型を組み合わせ、突き出し加工を実施する。突き出し加工においては、形状を整えられる調整型を基準型により切削するが、この時にかえり(切削屑/切粉)が残ってしまうため、打ち抜き加工に必要な深さを一度に突き出し加工することは難しい。
完成した調整型は基準型に倣う形で仕上がり、クリアランスが無い(きわめて0に近い)形状となる。
また基準型の公差があっても、そこに倣うため、組み合わせの公差もきわめて0に近い仕上げを得ることを可能とする。
このため、複数の形状の加工に際しても、その型を一体として作成可能となり、一度の打ち抜きですべての加工を同時に行えるプレス加工法が実現する。
この際、レーザービーム14は、せん断加工において被加工材に残されるべき形状に対応したパターンに沿って照射され、当該形状パターンに対応した凹部が刻設される。
図2(b)及び(c)において、レーザー加工前のパンチ材料(ブランク材)12の外観を示す。
図1(a)に示す複数形状の切り出しでは、レーザー加工時に、角部や微小半径部で突出し幅を一定に加工していくことが難しい。そこで、基本となる突出し幅を10μmと設定した上で、さらに角部や微小半径部加工時の切り込み増し分を複数回の加工から平均化した15μmとし、突出し幅の基本設定を2つの値を足した25μmとしてレーザー加工を行った。
ダイ20としては、荒加工パンチ材16よりも硬い材質(例えば超微粒子超硬材料)によって構成されている。
その結果、図3(b)及び図4に示すように、ダイ20との間で突出し加工を行った荒加工パンチ材16にはかえり22が形成される。
この突出し加工後のかえり22に対しては、図3(c)に示すように、再度レーザービーム14を照射することで除去した。
つぎに、このパンチ10及びダイ20を組み込んだ金型に、被加工材として板厚0.010mmのSUS304材を挿入し、複数異形穴の一括プレス成型加工を行った。
図5(a)は、だれ側(パンチ側)から観察した被加工材24の平面写真であり、図5(b)は上斜め45度から観察した拡大写真、図5(c)は切り口面の拡大写真である。
また図6(a)は、かえり側(ダイ側)から観察した被加工材24の平面写真であり、図6(b)は上斜め45度から観察した拡大写真、図6(c)は切り口面の拡大写真である。
また、それぞれの切り口面の拡大写真から、切り口面にだれやせん断面、破断面が形成されており、パンチとダイの工具によるせん断加工が行われたことがわかる。
かえりもほぼ発生していないレベルであり、突出し加工によるクリアランスが0の加工によって、良好な切り口面が得られている。
この金型50は、シャンク52と、ベースプレート(上型)54と、バックプレート56と、パンチプレート58と、パンチガイド60と、カラー62と、パンチ10と、スプリングガイド64と、スプリング66と、ストリッパプレート68と、ポスト70と、ボルト72と、被加工材24と、ダイ20と、ダイガイド74と、ダイプレート76と、バッキングプレート78と、ベースプレート(下型)80と、精密位置決めユニットの軸82及びブッシュ84と、位置決めピン86と、ピン88を備えている。
これに対しダイ20は、ダイガイド74に設けられた位置決め穴にピン88を打ち込むことで固定される。
パンチプレート58とダイプレート76は、ダイプレート76側に固定された精密位置決めユニットの軸82を、パンチプレート58側に固定されたブッシュ84に嵌合させることにより、位置合わせがなされている。
各ポスト70の下端部は上記貫通孔89よりも径大であるため、ストリッパプレート68の脱落が防止されている。
このボルト72の頂面にはスプリング66が当接しているため、ポスト70は常時下方に向けて付勢されている。
また、ボルト72の頭部がスプリングガイド64の下端の段部に引っ掛かる構造のため、ポスト70がパンチガイド60から脱落することがない。
これに対しこの発明に係る金型50の場合、パンチ10の位置は精密位置決めユニットの軸82及びブッシュ84によって担保されるため、ストリッパプレート68は(1)の位置決めの役割を持たないが、(2)の被加工材を押さえる必要性と、(3)の被加工材を引き剥がす必要性はある。
まず、図10(a)に示すように、ダイ20の表面に被加工材24が載置され、その上にストリッパプレート68が配置される。
ストリッパプレート68には、パンチ10の凸部の形状に対応した形状の開口部(貫通孔)90が設けられている。
また、ストリッパプレート68に接続された各ポスト70の上端がスプリング66によって下方向に付勢されているため、被加工材24の表面はストリッパプレート68によって下方向に加圧されている。
この際も、被加工材24の表面がストリッパプレート68によって下方向に加圧されているため位置ズレが生じることなく、所望の形状で正確に抜くことができる。
また、ストリッパプレート68の板厚は、パンチ10の刃丈92から被加工材24の板厚を減じた値よりも薄くなるように設定されているため、確実な抜き加工が確保されている。
この後、パンチプレート58をダイプレート76から離してストリッパプレート68を上げ、被加工材24を移動させる。
12 パンチ材料
14 レーザービーム
16 荒加工パンチ材
20 ダイ
24 被加工材
50 金型
58 パンチプレート
66 スプリング
68 ストリッパプレート
76 ダイプレート
82 位置決め機構の軸
84 位置決め機構のブッシュ
86 位置決めピン
92 パンチの刃丈
Claims (7)
- 金型材料に対してレーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射してパンチまたはダイの少なくとも一方の複数の形状を削り出し、突出し加工用の荒加工金型材とするプレス金型の製造方法。
- 上記荒加工金型材がパンチ用である場合に、当該荒加工金型材と別途用意したダイとの間で突出し加工を行う工程と、
上記工程において生じたパンチ側のかえりに対し、レーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して除去することにより、パンチを形成する工程と、
からなることを特徴とする請求項1に記載のプレス金型の製造方法。 - 上記荒加工金型材がダイ用である場合に、当該荒加工金型材と別途用意したパンチとの間で突出し加工を行う工程と、
上記工程において生じたダイ側のかえりに対し、レーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して除去することにより、ダイを形成する工程と、
からなることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス金型の製造方法。 - 上記突出し加工によって形成したパンチまたはダイに表面処理を施し、パンチまたはダイとしての強度を高めることを特徴とする請求項2または3の何れかに記載のプレス金型の製造方法。
- 金属材料に対してレーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して複数の形状を削り出し、複数の形状を備えた荒加工パンチ材を形成する工程と、
この荒加工パンチ材と別途用意したダイとの間で突出し加工を行う工程と、
上記工程において生じたパンチ側のかえりに対し、レーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して除去することにより、複数形状を有するパンチを形成する工程と、
このパンチと上記ダイを用いて、被加工材に対して複数形状の一括打ち抜き加工を実行する工程と、
からなるプレス加工法。 - 金属材料に対してレーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して複数の形状を削り出し、複数の形状を備えた荒加工パンチ材を形成する工程と、
この荒加工パンチ材と別途用意したダイとの間で突出し加工を行う工程と、
上記工程において生じたパンチ側のかえりに対し、レーザービーム、電子ビーム、イオンビームの何れかを照射して除去することにより、複数形状を有するパンチを形成する工程と、
上記ダイを取り外し、より大きな形状を備えた他のダイと組み替えることでクリアランスを調整する工程と、
このダイ及び上記パンチを用いて、被加工材に対して複数形状の一括打ち抜き加工を実行する工程と、
からなるプレス加工法。 - 請求項2に記載のパンチを組み込んだパンチプレートと、
ダイを組み込んだダイプレートと、
上記パンチプレート及びダイプレート間の位置を規定する位置決め機構と、
ダイ上に載置された被加工材の表面に配置されるストリッパプレートと、
このストリッパプレートをダイ側に加圧する付勢手段とを備え、
上記ストリッパプレートの板厚が、上記パンチの刃丈から上記被加工材の厚さを減じた厚さよりも薄く形成されており、
上記パンチによる断被加工材へのせん断加工時に、上記被加工材の表面が上記ストリッパプレートによって加圧されていることを特徴とするプレス金型機構。
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