JP2017192897A - 分離材及びカラム - Google Patents
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[1] 多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、水溶性セルロースを含む被覆層と、を備え、水溶性セルロースの2質量%水溶液の25℃における粘度が1〜3000mPa・sである、分離材。
[2] 空隙率が40〜70体積%である、[1]に記載の分離材。
[3] 多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、[1]又は[2]に記載の分離材。
[4] 多孔質ポリマ粒子の細孔径分布におけるモード径が0.1〜0.5μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離材。
[5] 吸湿度が1〜30質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離材。
[6] 多孔質ポリマ粒子の比表面積が30m2/g以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材。
[7] 多孔質ポリマ粒子は、モノマ単位として、ジビニルベンゼンをモノマ単位全質量基準で50質量%以上含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の分離材。
[8] 多孔質ポリマ粒子における粒径の変動係数が3〜15%である、[1]〜[7]のいずれかに記載の分離材。
[9] 多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの被覆層を備える、[1]〜[8]のいずれかに記載の分離材。
[10] カラムに充填した場合、カラム圧が0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の分離材。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の分離材を備えるカラム。
本実施形態の分離材は、多孔質ポリマ粒子と、該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を備える。なお、本明細書中、「多孔質ポリマ粒子の表面」とは、多孔質ポリマ粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマ粒子の内部における細孔の表面を含むものとする。
本実施形態の多孔質ポリマ粒子は、例えば、スチレン系モノマを含むモノマを重合することにより得られ、スチレン系モノマをモノマ単位として含んでいてよい。また、本実施形態の多孔質ポリマ粒子は、スチレン系モノマと多孔質化剤とを含む組成物を反応させることにより得ることもできる。多孔質ポリマ粒子は、例えば、従来の懸濁重合、乳化重合等によって合成することができる。モノマとしては、スチレン系モノマを使用することができる。具体的なスチレン系モノマとしては、以下のような多官能性スチレン系モノマ、単官能性スチレン系モノマ等が挙げられる。
1)超音波分散装置を使用して粒子を水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の多孔質ポリマ粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス株式会社製)を用いて、上記分散液中の粒子約1万個の画像により平均粒径及び粒径のC.V.(変動係数)を測定する。
本実施形態の被覆層は、水溶性セルロースを含む。水酸基を有する水溶性セルロースで多孔質ポリマ粒子を被覆することにより、カラム圧の上昇を抑制することができるとともに、タンパク質の非特異吸着を抑制することが可能となる。さらに、水溶性セルロースが架橋されていると、カラム圧の上昇をより抑制することが可能となる。
水溶性セルロースとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース及びカルボキシメチルセルロース、並びにこれらの変性体が挙げられる。
まず、水溶性セルロースを純水に溶解させて2質量%水溶液を調製する。次いで、調製した水溶液を60℃になるまで加温し、粘度計にて水溶液の粘度を測定する。なお、60℃で水溶性セルロースが溶解しない場合は、水溶液をさらに加温して水溶性セルロースを溶解させた後、水溶液の温度を60℃まで降温させてから水溶液の粘度を測定する。
水溶性セルロースを含む被覆層は、例えば、以下に示す方法により形成することができる。
まず、水溶性セルロース溶液を多孔質ポリマ粒子表面に吸着させる。水溶性セルロースの溶液の溶媒としては、水溶性セルロースを溶解することのできるものであれば、特に限定されないが、水が最も一般的である。溶媒に溶解させる高分子の濃度は、5〜20(mg/mL)が好ましい。
この溶液を、多孔質ポリマ粒子に含浸させる。含浸方法は、水溶性セルロース溶液に多孔質ポリマ粒子を加えて一定時間放置する。含浸時間は多孔質体の表面状態によっても変わるが、通常一昼夜含浸すれば高分子濃度が多孔質体の内部で外部濃度と平衡状態となる。その後、水、アルコール等の溶媒で洗浄し、未吸着分の水溶性セルロースを除去する。
次いで、架橋剤を加えて多孔質ポリマ粒子表面に吸着された水溶性セルロースを架橋反応させて、架橋体を形成する。このとき、架橋体は、水酸基を有する3次元架橋網目構造を有する。
被覆層を備える分離材は、イオン交換基、リガンド(プロテインA)等を表面上の水酸基等を介して導入することによりイオン交換精製、アフィニティ精製等に使用することができる。イオン交換基の導入方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。
(吸湿後分離材質量−1)g/1g×100=吸湿度(質量%)
(多孔質ポリマ粒子1の合成)
500mLの三口フラスコ中で、純度96%のジビニルベンゼン(DVB960、新日鉄住金化学株式会社)14g、オクタノール2g、及び過酸化ベンゾイル0.64gをポリビニルアルコール水溶液(0.5質量%)に加え、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化させた。得られた乳化液をフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、撹拌機を用いて約8時間撹拌をして粒子を得た。得られた粒子をろ過後、アセトン洗浄を行い、多孔質ポリマ粒子1を得た。得られた多孔質ポリマ粒子1の粒径をフロー型粒径測定装置で測定し、平均粒径及び粒径のC.V.値を算出した。また、多孔質ポリマ粒子1の細孔径分布におけるモード径、比表面積、空隙率を水銀圧入法にて測定した。結果を表1に示す。
ヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロピルセルロース150−400cP、和光純薬工業株式会社)水溶液(2質量%、25℃での粘度:18mPa・s)100mLに水酸化ナトリウム4g、グリシジルフェニルエーテル0.4gを加え、70℃で12時間反応させ、2Lのイソプロピルアルコールで再沈殿し、吸引ろ過することで変性ヒドロキシプロピルセルロースを得た。得られた変性ヒドロキシプロピルセルロースを70℃の純水100mLに再度溶解し、2Lのイソプロピルアルコールで再沈殿し、吸引ろ過する工程を2回繰り返すことで精製した。
分離材の分散液について、遠心分離により水を除去した後、分離材20gを、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩を所定量溶解させた水溶液100mLに分散させ、70℃で10分撹拌した。その後、70℃に加温した5MのNaOH水溶液100mLを添加し、1時間反応させた。反応終了後、濾過、水/エタノール(体積比8/2)で2回洗浄し、ジエチルアミノエチル(DEAE)基をイオン交換基として導入したDEAE変性分離材を得た。得られたDEAE変性分離材の細孔径分布におけるモード径、比表面積、空隙率を水銀圧入法にて測定した。結果を表2に示す。
DEAE変性分離材のイオン交換容量を以下のように測定した。5mL容量の分離材を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液20mLに1時間浸漬し、室温で撹拌した。その後、洗浄液として用いた水のpHが7以下となるまで洗浄を行った。洗浄した分離材を0.1Nの塩酸20mLに浸漬し、1時間撹拌させた。分離材をろ過で取り除いた後、ろ液の塩酸水溶液を中和滴定することによって、分離材のイオン交換容量を測定した。結果を表3に示す。
分離材をφ7.8×300mmのステンレスカラムにスラリー(溶媒:メタノール)濃度30質量%にて15分間かけて充填した。その後、カラムに流速を変えて水を流し、流速とカラム圧との関係を測定し、カラム圧0.3MPa時の線流速を算出した。結果を表3に示す。
また、動的吸着量を以下のようにして測定した。20mmol/LのTris−塩酸緩衝液(pH8.0)をカラムに10カラム容量流した。その後、BSA濃度2mg/mLの20mmol/L Tris−塩酸緩衝液を流し、UVによりカラム出口でのBSA濃度を測定した。カラム入口と出口のBSA濃度が一致するまで液を流し、5カラム容量分の1M NaClのTris−塩酸緩衝液で希釈した。10%breakthroughにおける動的吸着量は以下の式を用いて算出した。結果を表3に示す。
q10=cfF(t10−t0)/VB
q10:10%breakthroughにおける動的吸着量(mg/mL wet resin)
cf:注入しているBSA濃度
F:流速(mL/min)
VB:ベッド体積(mL)
t10:10%breakthroughにおける時間
t0:BSA注入開始時間
得られた粒子(分離材)0.5gをBSA濃度20mg/mLのリン酸緩衝液(pH7.4)50mLに投入し、室温で24時間撹拌を行った。その後、遠心分離で上澄みをとった後、分光光度計でろ液のBSA濃度を算出することにより、粒子に吸着したBSA量を算出した。BSAの濃度は、分光光度計により280nmの吸光度から算出した。非特異吸着量が1mg/mL粒子以下である場合を○、1mg/mL粒子を超え10mg/mL粒子以下である場合を△、10mg/mL粒子を超える場合を×とした。結果を表3に示す。
分離材を0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で24時間撹拌し、リン酸緩衝液で洗浄後、カラム特性評価と同様の条件にて充填した。BSAの10%breakthrough動的吸着量を測定し、アルカリ処理前の動的吸着量と比較した。動的吸着量の減少率が3%以下である場合を○、3%を超え20%以下である場合を△、20%を超える場合を×とした。結果を表3に示す。
800cm/hの流速で水をカラムに流し、カラム圧を測定後、3000cm/hに流速を上昇させ、1時間通液させた。再度800cm/hにカラム圧を下げた際に、カラム圧が初期値(3000cm/hに流速を上げる前)より10%以上上昇した場合を×、10%未満の上昇である場合を○とした。結果を表3に示す。
多孔質ポリマ粒子1と同様にして多孔質ポリマ粒子2を合成した。被覆層の形成において、ヒドロキシプロピルセルロースに代えて、ヒドロキシエチルセルロース(HECダイセルSP500、ダイセルファインケム株式会社)を用いた以外は、実施例1と同様に分離材の作製及び評価を行った。ヒドロキシエチルセルロースの2質量%水溶液の25℃における粘度は、340mPa・sであった。
多孔質ポリマ粒子1と同様にして多孔質ポリマ粒子3を合成した。被覆層の形成において、ヒドロキシプロピルセルロースに代えて、ヒドロキシエチルセルロース(HECダイセルSE550、ダイセルファインケム株式会社)を用いた以外は、実施例1と同様に分離材の作製及び評価を行った。ヒドロキシエチルセルロースの2質量%水溶液の25℃における粘度は、1370mPa・sであった。
多孔質ポリマ粒子1と同様にして多孔質ポリマ粒子4を合成した。被覆層の形成において、ヒドロキプロピルセルロースに代えて、ヒドロキシエチルセルロース(HECダイセルSP600、ダイセルファインケム株式会社)を用いた以外は、実施例1と同様に分離材の作製及び評価を行った。ヒドロキシエチルセルロースの2質量%水溶液の25℃における粘度は、4720mPa・sであった。
多孔質ポリマ粒子5として市販のアガロース粒子(Capto DEAE、GEヘルスケア)を使用して、実施例1と同様に評価を行った。
Claims (11)
- 多孔質ポリマ粒子と、
該多孔質ポリマ粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、水溶性セルロースを含む被覆層と、を備え、
前記水溶性セルロースの2質量%水溶液の25℃における粘度が1〜3000mPa・sである、分離材。 - 空隙率が40〜70体積%である、請求項1に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子の平均粒径が10〜300μmである、請求項1又は2に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子の細孔径分布におけるモード径が0.1〜0.5μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離材。
- 吸湿度が1〜30質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子の比表面積が30m2/g以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子は、モノマ単位として、ジビニルベンゼンをモノマ単位全質量基準で50質量%以上含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子における粒径の変動係数が3〜15%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離材。
- 前記多孔質ポリマ粒子1g当たり30〜500mgの前記被覆層を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離材。
- カラムに充填した場合、カラム圧が0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分離材。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の分離材を備えるカラム。
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