JP7463676B2 - 複合粒子、複合粒子の製造方法、複合粒子を含むパーソナルケア製品 - Google Patents

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Description

本発明は、複合粒子、複合粒子の製造方法、および複合粒子を含むパーソナルケア製品に関する。
スキンケアやメイクアップ、ヘアケア、オーラルケア、ネイルケアなどを目的としたパーソナルケア製品には、様々な機能性材料が添加されている。例えば、ファンデーション等のメイクアップ製品には、油脂・ロウ類をはじめとする油性原料、紫外線吸収剤や着色剤、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物等の機能性材料や、肌なじみをよくするためにマイクロ粒子等が含まれる。また、スキンケア製品には、水、アルコールあるいはオイル等を任意の配合で組み合わせた分散溶媒分に対し、機能性材料が添加されている。これらのパーソナルケア製品は、保湿や発色、紫外線防止、抗菌、皮膚などに塗布する際の滑り性や肌なじみのよさ、といった各種要求特性を満たすために使用される。
実用化されているパーソナルケア製品として、各種マイクロ粒子やマイクロカプセルからなるものが挙げられる。通常、マイクロ粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった各種ポリマーから形成されたマイクロサイズオーダーの粒子であり、使用感の向上やソフトフォーカス性を付与する目的でファンデーションに用いられたり、あるいは角質除去剤として洗顔料に用いられたり、といったように、パーソナルケア用途向けに広範に利用されている。
ファンデーションに用いられるマイクロ粒子は、ファンデーションの使用感向上や、油吸収性の付与、有効成分の含浸、高いソフトフォーカス性発揮の目的で、マイクロ粒子を多孔質や中空とすることが検討されてきた。
また、マイクロ粒子を芯物質として粒子表面を壁膜で被覆したマイクロカプセル構造とすることにより、さらなる機能性の付与・発現が試みられている。具体的には、芯物質内に医薬品、香料、酵素、顔料、染料、等の機能性材料を取り込ませた上でマイクロカプセル化することで、該機能性材料の保護や、放出挙動の制御などが可能となる。芯物質を覆う壁膜自体に機能性材料をさらに付与することも可能である。
しかし、マイクロサイズオーダーのマイクロ粒子は高比表面積のため一般的に凝集しやすく、分散安定性が課題となっている。
そこで、分散安定性が良く、保湿性や毛穴補正、ソフトフォーカス性等の各種機能を発揮する肌なじみがよいパーソナルケア製品に適用可能な、新たなマイクロ粒子を提供することが強く望まれている。しかし、従来、多孔質マイクロ粒子を作製すると、マイクロ粒子の形状が保てなくなり、使用感が良好でなくなるという問題があった。また、多孔質マイクロ粒子において吸油性と保湿性を両立することが難しかった。
一方、近年、木材中のセルロース繊維やカニ等の甲殻類の殻を構成するキチンおよび/またはキトサンを、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
例えば、特許文献1には、木材セルロースに対しブレンダーやグラインダーによる機械処理を繰り返すことで、微細化セルロース、すなわちセルロースナノファイバー(以下CNFとも称する)が得られることが開示されている。この方法で得られるCNFは、短軸径が10~50nm、長軸径が1μmから10mmに及ぶことが報告されている。このCNFは、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを誇り、250m/g以上の膨大な比表面積を有することから、樹脂強化用フィラーや吸着剤としての利用が期待されている。
また、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように予め化学処理したのち、家庭用ミキサー程度の低エネルギー機械処理により微細化してCNFを製造する試みが活発に行われている。上記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維にアニオン性官能基を導入して微細化しやすくする方法が好ましい。セルロース繊維にアニオン性官能基が導入されることによってセルロースミクロフィブリル構造間に浸透圧効果で溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化に要するエネルギーを大幅に減少することができる。
上記アニオン性官能基の導入方法としては特に限定されないが、例えば非特許文献1にはリン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。
特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
比較的安定なN-オキシル化合物である2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法も報告されている(例えば、特許文献3を参照)。TEMPOを触媒として用いる酸化反応(TEMPO酸化反応)は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能であり、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性一級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
TEMPO酸化によって選択的に結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の電離に伴う浸透圧効果により、溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースシングルナノファイバー(以下CSNF、TEMPO酸化セルロースナノファイバー、TEMPO酸化CNFとも称する)を得ることが可能となる。CSNFは表面のカルボキシ基に由来した高い分散安定性を示す。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来のCSNFは、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm~数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および成形体は高い透明性を有することが報告されている。また、特許文献4にはCSNF分散液を塗布乾燥して得られる積層膜が、ガスバリア性を有することが報告されている。
更に、CNFまたはCSNFに更なる機能性を付与する検討がなされている。例えば、CSNF表面のカルボキシ基を利用した更なる機能性付与も可能である。特許文献5には、CSNF表面のカルボキシ基に金属イオンを吸着させた状態で金属を還元析出させることにより、金属ナノ粒子がCSNFに担持された複合体(金属ナノ粒子担持CSNF)が開示されている。この特許文献5には、金属ナノ粒子担持CSNFを触媒として用いる例が開示されており、金属ナノ粒子を比表面積が高い状態で分散安定化させることが可能となることにより触媒活性が向上することが報告されている。
特許文献6では、カニ殻等から採取したキチンおよび/またはキトサンを極細繊維に粉砕することでキチンナノファイバー(キチンナノファイバー)を得られることが開示されている。キチンナノファイバーは、循環型資源であり、抗菌性や生分解性を有しており、食品や化粧品への添加、フィルムなどの補強繊維、農業資源への利用、医療用途への利用などが期待される。
キチンおよび/またはキトサンは強い水素結合で互いに密に結合しているため、キチンおよび/またはキトサンから完全に一本一本のナノファイバーを調製することは容易ではない。特許文献6に記載されたキチンナノファイバーとその製造方法によれば、簡便な工程で、一本一本に分離されたキチンナノファイバーを含む分散液を得ることができる。
このように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーをはじめとする、天然材料由来の微細繊維に新たな機能性を付与する高機能部材開発に関して、様々な検討がなされている。
ここで、これらの微細繊維の実用化に向けては、得られる微細繊維の分散液の固形分濃度が0.1~5%程度と低くなってしまうことが課題となっている。例えば微細繊維の分散体を輸送しようとした場合、大量の溶媒を輸送するに等しいため輸送費の高騰を招き、事業性が著しく損なわれるという問題がある。
しかしながら、単純に熱乾燥などで微細繊維の分散液の溶媒を除去してしまうと、微細繊維同士が凝集・角質化し、あるいは膜化してしまい、微細繊維の高比表面積という特性を有効に活用することが困難であり、安定な機能発現が困難になってしまう。さらに微細繊維の固形分濃度が低いため、乾燥による溶媒除去工程自体に多大なエネルギーがかかってしまうことも事業性を損なう一因となる。
このように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーなどの微細繊維を分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性を損なう原因となる。よって、粒子の表面に微細繊維が結合された複合粒子として、微細繊維の高比表面積である特性を有効に活用できる新たな取り扱い様態を有し、洗浄や溶媒からの分離が容易なものが強く望まれている。
特開2010-216021号公報 国際公開第2014/088072号 特開2008-001728号公報 国際公開第2013/042654号 国際公開第2010/095574号 特開2010-180309号公報
Noguchi Y, Homma I, Matsubara Y. Complete nanofibrillation of cellulose prepared by phosphorylation. Cellulose. 2017;24:1295.10.1007/s10570-017-1191-3
本発明の課題は、比表面積の高い多孔質や中空率の高い中空の粒子であっても球状を保つことができ、分散安定性に優れ、肌なじみが良好であり、優れた吸油性と保湿性を発揮する複合粒子及びその製造方法、複合粒子を用いたパーソナルケア製品を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様、第二態様、第三態様は以下の構成を有する。
〔第一態様〕
ポアを有するコア粒子と、
コア粒子の表面に結合されて不可分の状態にある微細繊維とを有し、
微細繊維がキチンナノファイバーを含む複合粒子。
〔第二態様〕
チン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、キチンナノファイバーを含む微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
微細繊維分散液に、ポア形成剤とコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、液滴の表面を微細繊維で被覆する工程と、
液滴の内部のコア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
微細繊維被覆粒子を精製し、コア粒子内部に含まれるポア形成剤を除去する工程と、
を有する複合粒子の製造方法。
〔第三態様〕
チン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、キチンナノファイバーを含む微細繊維分散液を得る工程と、
コア粒子前駆体にポア形成剤を含む液滴を分散させてW/O型エマルション液を作製し、微細繊維分散液にW/O型エマルション液を含む液滴を分散させ、W/O型エマルション液を含む液滴の表面を微細繊維で被覆してW/O/W型エマルション液を作製する工程と、
液滴の内部のコア粒子前駆体を固体化して、ポア形成剤を含む液滴を有するコア粒子の表面に微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
微細繊維被覆粒子を精製し、コア粒子内部に含まれるポア形成剤を除去する工程と、
を有する複合粒子の製造方法。
また、本発明に係るパーソナルケア製品は、第一態様に係る複合粒子を含有するものである。
本発明によれば、比表面積の高い多孔質や中空率の高い中空の粒子であっても球状を保つことができ、分散安定性に優れ、肌なじみが良好であり、優れた吸油性と保湿性、光拡散性を発揮する複合粒子及びその製造方法、複合粒子1を用いたパーソナルケア製品を提供できる。
本発明の一実施形態の複合粒子を示す概略図である。 実施形態の複合粒子の製造方法(製造方法I)を説明する図である。 実施形態の複合粒子の製造方法(製造方法II)を説明する図である。 実施例1で得られたセルロースナノファイバーの水分散液について分光透過スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 実施例1で得られたセルロースナノファイバーの水分散液に対し、レオメータを用いて定常粘弾性測定を行った結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の複合粒子1は、少なくともポア4を有するコア粒子2と、コア粒子2の表面に結合されて不可分の状態にある、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーの少なくとも一方である微細繊維3と、を有する複合粒子1である。微細繊維3は、セルロースナノファイバーとキチンナノファイバーの両方を含んでもよい。
ポア4とは、気体を有する部分であり、孔または中空部分を意味する。図1(a)は、多孔質のコア粒子2を有する複合粒子1であり、図1(b)は多中空のコア粒子2を有する複合粒子1であり、図1(c)は単中空のコア粒子2を有する複合粒子1である。ポアサイズや形状は特に限定されず、ポアの数は1つであっても複数であってもよい。ポアは単独で存在してもよく、閉じていても表面に開口していてもよい。また、複数のポアが連結していてもよい。
本実施形態では、微細繊維3がコア粒子2の表面を覆う被覆層として形成されることが好ましい。
複合粒子1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、化学的調製法や物理化学的調製法を用いることができる。
化学的調製法としては、重合性モノマーから重合過程で粒子形成を行う重合造粒法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、放射線重合法等)が挙げられる。
物理化学的調製法としては、微小液滴化したポリマー溶液から粒子形成を行う分散造粒法(スプレードライ法、液中硬化法、溶媒蒸発法、相分離法、溶媒分散冷却法等)が挙げられる。
例えば、ポア形成剤とコア前駆体を含む液滴6を、微細繊維3を用いてO/W型ピッカリングエマルションを形成させ、液滴内部のコア粒子前駆体を固体化さてコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆されたコア粒子2と微細繊維3とが結合して不可分の状態にある微細繊維被覆粒子10を得ることができる。コア粒子前駆体を固体化させる過程或いは固体化させた後にポア形成剤を除去することでポア4を形成した複合粒子1を得ることができる。微細繊維3を用いることで界面活性剤等の添加物を用いることなく、安定した液滴を形成することが可能であり、細孔率や中空率が高くても、真球状を保つことができ、分散性が高く、滑りがよく、肌なじみのよい複合粒子1を得ることができる。
ここで、O/W型エマルションは、水中油滴型(Oil-in-Water)とも言われ、水を連続相とし、その中に油が油滴(油粒子)として分散しているものである。
コア粒子前駆体は、固体化してコア粒子2を形成するものであればよく、例えば、重合性モノマー、溶融ポリマー、溶解ポリマーである。コア粒子前駆体の固体化の方法は特に限定されず、重合性モノマーを重合する、溶融ポリマーを凝固させる、溶解ポリマーから溶媒を除去する、ことにより、コア粒子前駆体を固体化することができる。
ポア形成剤としては、非重合性溶媒、直鎖高分子、固体微粒子等を用いることができる。非重合性溶媒としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-ドデカン、トルエン等の疎水性溶媒、エタノール、メタノール等の親水性溶媒、水等が挙げられる。直鎖高分子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリメチルシロキサン等が挙げられる。固体微粒子としては、炭酸カルシウム等が挙げられる。
ポア形成剤の除去方法は、特に限定されず、用いるポア形成剤に応じて、常圧或いは減圧条件下で常温或いは加熱条件で乾燥させることや、トルエン等の良溶媒で溶解させる方法等が挙げられる。
ポア4を有する複合粒子1を作製する方法として、例えば、コア粒子前駆体にポア形成剤として非重合性溶媒を混合する方法を用いることができる。コア粒子前駆体に溶解している非重合性溶媒が、コア粒子前駆体が固体化する過程で非重合性溶媒が液滴として析出し、非重合性溶媒を取り除くことによりポア4を有する複合粒子1を得ることができる。
また、コア粒子前駆体に過剰の油溶性界面活性剤を混合することで、ポア4を有する複合粒子1を得ることもできる。臨界ミセル濃度以上の過剰の油溶性界面活性剤を含有すると、ミセルが形成する。液滴6にミセルを含むと、液滴6内部に連続相の親水性溶媒7が液滴6内部に吸収され、ポア形成剤として機能する。
更に、予め油溶性界面活性剤や微細繊維3等の安定化剤8を用いてポア形成剤として水等の親水性溶媒をコア粒子前駆体に分散させてW/O型エマルションを調製し、得られたW/O型エマルションを微細繊維3の分散液に分散させ、W/O/W型エマルションを調製し、コア粒子前駆体を固体化し、水を除去して多孔質または中空の複合粒子を得ることができる。
ここで、W/O型エマルションは、油中水滴型(Water-in-Oil)とも言われ、油を連続相とし、その中に水が水滴(水粒子)として分散しているものである。W/O/W型エマルションは、水滴(水粒子)を内部に分散した油滴(油粒子)が水中に分散しているダブルエマルションで、水中油中水型エマルションとも呼ぶ。
また、直鎖高分子をコア前駆体に含むことで、微細繊維被覆粒子10を作製後にトルエン等の良溶媒を用いて直鎖高分子を溶解させることも可能である。
パーソナルケア製品とは、化粧品類や洗面用具など、人の肌を清潔に保ち、身だしなみを整えたり、美化したりする製品である。ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ネイルケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品等のことであり、例えば、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等である。
本実施形態の複合粒子1は、図2および図3に示す製造方法で製造することができる。
図2に示す製造方法は、上述の第二態様の製造方法(製造方法I)に相当し、第1工程と第2-i工程と第3工程と第4工程とを有する。
第1工程は、図2(a)に示すように、セルロース原料またはキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3の分散液を得る工程である。
第2-i工程は、図2(b)に示すように、微細繊維3の分散液に、ポア形成剤とコア粒子前駆体を含む液滴6を分散させ、液滴6の表面を微細繊維3で被覆する工程である。この工程により、微細繊維3の分散液を連続相とし、ポア形成剤とコア前駆体を含む液滴6を分散相としたО/W型ピッカリングエマルションを得る。
第3工程は、図2(c)に示すように、液滴6の内部のコア粒子前駆体を固体化して、コア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子10の分散液を得る工程である。
第4工程は、図2(c)に示す状態の微細繊維被覆粒子10の分散液から微細繊維被覆粒子10を精製し、固体化されたコア粒子2内部に含まれるポア形成剤を除去する工程である。この工程により、複合粒子(ポア4を有するコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子10)1が得られる。
つまり、製造方法Iでは、親水性溶媒7に分散したポア前駆体及びコア粒子前駆体を含む液滴6の界面に微細繊維3が吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。そして、この安定化状態を維持したまま、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化し、非重合性溶媒や、過剰の油溶性界面活性剤により液滴6に吸収された親水性溶媒7等のポア形成剤を除去することによって、複合粒子1を得る。
非重合性溶媒を液滴6内部に含むと、コア粒子前駆体が固体化すると非重合性溶媒がコア粒子2内部に油滴として非重合性溶媒が析出し、油滴を除去することによりポア4有するコア粒子2を形成することができる。
液滴6内部に臨界ミセル濃度以上の多量の油溶性界面活性剤を含むと、親水性溶媒7が液滴6内部に吸収され、ポア形成剤として機能する。コア粒子前駆体を固体化させると親水性溶媒7を含むコア粒子2を得られ、親水性溶媒7を除去することにより、ポア4を有するコア粒子2を形成することができる。
図3に示す製造方法は、上述の第三態様の製造方法(製造方法II)に相当し、第1工程と第2-ii工程と第3工程と第4工程とを有する。
第1工程は、図3(a)に示すように、セルロース原料またはキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3の分散液を得る工程である。
第2-ii工程は、図3(b)に示すように、微細繊維3の分散液に、予めコア前駆体に安定化剤8を用いて親水性溶媒等のポア形成剤を分散して調製した液滴9(親水性)のW/O型エマルション液を分散相とし、連続相である親水性溶媒7に液滴6として分散させ、液滴6の表面を微細繊維3で被覆する工程である。
第3工程は、図3(c)に示すように、液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化して、コア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子10の分散液を得る工程である。
第4工程は、図3(c)に示す状態の微細繊維被覆粒子10の分散液から微細繊維被覆粒子10を精製し、固体化されたコア粒子2内部に含まれるポア形成剤を除去する工程である。この工程により、複合粒子(ポア4を有するコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子10)1が得られる。
つまり、製造方法IIでは、親水性溶媒7に分散した、コア粒子前駆体に液滴9(親水性)が分散した液滴6の界面に微細繊維3が吸着することによって、W/O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。そして、この安定化状態を維持したまま、エマルション内部のコア粒子前駆体を固体化し、ろ過により遊離の微細繊維3や連続相の親水性溶媒7を分離し、液滴6内部に分散してポア形成剤として液滴9を形成する親水性溶媒を除去することによって、複合粒子1を得る。
ここで言う「不可分」とは、微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することで微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、コア粒子2と微細繊維3とが分離せず、微細繊維3によるコア粒子2の被覆状態が保たれることを意味する。被覆状態の確認は走査型電子顕微鏡による複合粒子1の表面観察により確認することができる。微細繊維被覆粒子10や複合粒子1において微細繊維3とコア粒子2の結合メカニズムについては定かではないが、微細繊維被覆粒子10や複合粒子1が微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体に微細繊維3が接触した状態で、コア粒子前駆体を固体化してコア粒子2とするために、物理的に微細繊維3がコア粒子2表面に固定化されて、最終的にコア粒子2と微細繊維3とが不可分な状態に至ると推察される。
特に限定されないが、微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を作製すると、O/W型エマルションが安定化されるため、O/W型エマルションに由来した真球状の微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を得ることができる。詳細には、真球状のコア粒子2の表面に微細繊維3からなる被覆層が比較的均一な厚みで形成された様態となることが好ましい。
コア粒子2の表面が微細繊維3に被覆されることにより、微細繊維3の高い強度によりポア4の形成による細孔率や中空率が高くても球状を保つことができ、高い光拡散率と滑らかな使用感、優れた保湿性、分散性を実現することができる。
複合粒子1の粒径は光学顕微鏡観察により確認できる。例えば、ランダムに選んだ100個の複合粒子1の直径を測定し、粒子の直径の平均値を取ることで平均粒径を算出できる。平均粒径は特に限定されないが、0.1μm以上1000μm以下であることが好ましい。
分散安定性の観点から、微細繊維3は、コア粒子2表面に被覆層を形成することが好ましい。被覆層はコア粒子2表面の全面を覆うことが好ましいが、必ずしも全面を覆わなくてもよい。
微細繊維3で構成される被覆層の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。
被覆層の平均厚みは複合粒子1を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中の複合粒子1の断面像における被覆層の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出できる。
また、複合粒子1は比較的揃った厚みの被覆層で均一に被覆されていることが好ましい。被覆層の厚みが均一であると分散安定性が高い。具体的には上述した被覆層の厚みの値の変動係数は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。
本実施形態における微細繊維3は、セルロースナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーである。
セルロースナノファイバーは、セルロース、セルロース誘導体からなる数平均短軸径が1nm以上1000nm以下のファイバーである。キチンナノファイバーは、キチンおよび/またはキトサン、キチンおよび/またはキトサンの誘導体からなる数平均短軸径が1nm以上1000nm以下のファイバーである。
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材等から得られるセルロース原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細繊維3であり、安全で生分解性を有する。
キチンナノファイバー(キチンNF)は、カニ殻等から採取したキチンおよび/またはキトサン(以下、キチン/キトサン)原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細繊維3であり、安全で生分解性を有し、抗菌性を有する。特に特許文献6の方法で作製されたキチンナノファイバーは、化学変性していないキチンおよび/またはキトサンからなるものであり、安全性確認が不要であることから、特に、食品、医療、薬剤、パーソナルケアなど、体内に取り込んで使用される用途における応用展開が格段に容易になる。
なお、微細繊維3は、結晶表面にイオン性官能基を有していることが好ましい。イオン性官能基を有することで、複合粒子1の凝集を抑制することができ、肌なじみのよいパーソナルケア用品を得ることができる。更に、イオン性官能基を利用して複合粒子1表面に機能性材料を担持することができる。例えば、アニオン性官能基を有する微細繊維3であれば、カチオン性の機能性材料を担持でき、カチオン性官能基を有する微細繊維3であれば、アニオン性の機能性材料を担持しやすい。
イオン性官能基の種類は特に限定されないが、アニオン性官能基であることが好ましい。アニオン性官能基を有することで、例えば、金属微粒子を担持させる場合に、金属イオンを微細繊維3のアニオン性官能基に配位させて還元析出させ、効率よく金属微粒子を担持させることができる。また、微細繊維3が分散安定剤として機能するため、生成する金属微粒子の形状や粒子径を制御することができる。また、複合粒子1において微細繊維3からの金属微粒子の脱離を抑制できる。更に、通常、金属微粒子は乾燥させると凝集するため、後述する局在表面プラズモン共鳴(LSPR)による光学特性を発揮できないが、複合粒子1を乾燥粉体とした場合においては、金属微粒子が凝集することがないため、乾燥粉体においても光学特性を発揮することができる。金属微粒子が銀微粒子であれば抗菌性を付与することができる。
アニオン性官能基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基が挙げられる。中でも、カルボキシ基やリン酸基が好ましく、セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
イオン性官能基の含有量は、1gの微細繊維原料および/または微細繊維3当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることが好ましい。0.1mmol未満であると、複合粒子1の分散安定性が悪くなることがあり、5.0mmolを超えると安定して複合粒子1を製造することが難しくなることがある。
さらに、微細繊維3は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。具体的には、微細繊維3は繊維状であって、数平均短軸径が1nm以上1000nm以下、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の5倍以上であることが好ましい。また、微細繊維3の結晶化度は50%以上であることが好ましい。セルロースナノファイバーの結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。キチンナノファイバーの結晶構造は、アルファキチン、ベータキチンのどちらでも良いが、アルファキチンであることが好ましい。
コア粒子2は、ポア4を有する。すなわち、多孔質或いは中空構造を形成する。ポア4の形状や大きさ、数は、用いるポア形成剤の種類や量により制御することが可能である。
ここで、多孔質とは、細孔が非常に多く空いていることをいう。多孔質であると、複合粒子1の比表面積が高く、複合粒子1をパーソナルケア用途で用いる場合には、皮膚の油を吸収してさらっとした感触を与えることができる。
多孔質における、細孔径は、特に限定されないが、2nm以上30μm以下であることが好ましい。油吸収性を有する多孔質の複合粒子1を得るためには、細孔径が2nm以上50nm以下であることが好ましい。細孔径が2nm未満であると、十分な吸水量や吸油量を得ることができない。また、細孔径が50nmを超えると機能性成分を保持しにくくなる。
複合粒子1の比表面積は、2m/g以上1000m/g以下であることが好ましく、3m/g以上400m/g以下であることがより好ましく、更に好ましくは5m/g以上300m/g以下である。比表面積が2m/g未満であると十分に吸水性、吸油性を発揮することができず、1000m/gを超えると球状の形態を保つことができず、滑らかな使用感を得られなくなる。
細孔径及び比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。例えば、JIS Z 8830のBET法(窒素吸着法)により測定できる。複合粒子1の乾燥粉体を、自動比表面積/細孔分布測定装置を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出する。細孔径(平均細孔径)および細孔容積は、BJH法により算出する。
本発明の複合粒子1の吸油量は、30ml/100g以上800ml/100g以下であることが好ましく、50ml/100g以上500ml/100g以下であることがより好ましく、更に好ましくは70ml/100g以上300ml/100g以下である。吸油量が30ml未満であると、パウダーファンデーション等のパウダー化粧品に用いる際に化粧持ち効果が十分でない場合がある。一方、吸油量が800ml/100gを超えると他の成分を吸収してしまうことがある。
本発明の複合粒子1の吸水量は、30ml/100g以上800ml/100g以下であることが好ましく、50ml/100g以上500ml/100g以下であることがより好ましく、更に好ましくは70ml/100g以上300ml/100g以下である。吸水量が30ml/100g未満であると、ファンデーション等に用いる際に汗を吸収しにくくなる。吸水量が800ml/100gを超えると、周囲の水分を吸収し、保湿効果が低下する。
吸油量は、JIS K 5101-13-2の方法で評価することができる。複合粒子1の粉体を測定板の上に置き、精製あまに油をビュレットから一回に4、5滴ずつ徐々に加える。その都度、パレットナイフで精製あまに油を試料に練り込む。これを繰り返し、精製あまに油及び試料の塊ができるまで滴下を続ける。以後、1滴ずつ滴下し、完全に混練するようにして繰り返す。ペーストが滑らかな硬さになったところを終点とする。吸水量は、上記の方法においてあまに油の代わりに純水を用いて評価することができる。
中空とは、粒子の内部に閉じた空洞があることをいう。中空であると、周囲の屈折率によらずに高いソフトフォーカス性を有することができ、リキッドタイプのファンデーション等、油相に分散させても油成分が内部に侵入することがなく、高いソフトフォーカス性を維持することが可能である。
中空粒子における空隙の数は特に限定されず、中空が1つの単中空であってもよく、空隙の数が多数の多中空であってもよい。中空率は特に限定されないが、中空率は10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上80%以下であることがより好ましく、更に好ましくは40%以上60%以下である。中空率が10%未満であると十分なソフトフォーカス性を発揮することが難しい。一方、中空率が90%を超えると球状の複合粒子1を得ることが難しくなる。
中空率は複合粒子1を透過型電子顕微鏡にて観察し、算出することができる。複合粒子1の乾燥粉体を、透過型電子顕微鏡で観察し、100個以上の粒子の平均粒子径及び平均内径を算出する。「(平均内径)/(平均粒子径)×100」の式より、平均中空率を求めることができる。
ポア形成剤として疎水性の高い非重合性溶媒を用いることにより、コア粒子前駆体が固体化する過程において中心に集まり、中空の複合粒子1を得やすくなる。一方、比較的親水性の高い非重合性溶媒をポア形成剤として用いることにより、多孔質の複合粒子1を得やすくなる。
本発明の複合粒子1は球状であり、特に真球状であることが好ましい。真球状であるとファンデーション等の化粧品として用いる際に滑らかな使用感を得ることができる。真球度の指標は、画像分析型粒度分布計による円形度から評価することができる。円形度が0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.9以上である。円形度が0.6未満であると滑らかな使用感を得るのが難しくなる。平均円形度は、画像分析型粒度分布計にて測定した1000個以上の粒子の円形度の平均値として算出することができる。尚、画像上における複合粒子の面積をS、周囲長をLとしたとき、円形度は、「円形度=4πS/L」の式で算出できる。
複合粒子1は、ポア4を有するために優れた光拡散性を示す。光拡散性は、分光変角色差計GC5000(日本電色製)を用いて評価することができる。光拡散指数は0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.9以上である。光拡散指数が0.6未満であるとファンデーション等に用いた際の毛穴補正効果やソフトフォーカス効果が十分でないことがある。
光拡散指数は次の方法で測定することができる。ガラス板に乾燥粉体を乗せ、波長400nmから700nmにおいて、-45°の入射光に対する0°と45°の受光角度における分光反射率を測定する。波長600nmの光の-45°の入射光の+45°の反射光強度100に対する0°の反射光強度を光拡散指数として評価する。光拡散指数は「光散乱指数=(0°の散乱光強度)/(45°の散乱光強度)」の式で算出される。
コア粒子2は、25℃で固体の有機化合物を含むことが好ましい。例えば、パラフィン、ポリマー、油脂等である。
また、コア粒子2は、少なくとも一種類以上のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、公知のポリマーを用いることができ、重合性モノマーを公知の方法で重合させたポリマーでもよい。
ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、アミノ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン・イソシアネート系ポリマー等が挙げられる。
特に限定されないが、ポリマーは生分解性ポリマーであることが好ましい。生分解性とは、土壌や海水中などの地球環境において分解して消滅するポリマー、または/および生体内で分解して消滅するポリマーのことである。一般的に、土壌や海水中では微生物がもつ酵素によりポリマーが分解されるのに対し、生体内では酵素を必要とせず物理化学的な加水分解により分解される。ポリマーの分解は、ポリマーが低分子化或いは水溶性化して形態を消失することである。ポリマーの分解は、特に限定されないが、主鎖、側鎖、架橋点の加水分解や、主鎖の酸化分解により起こる。
生分解性ポリマーには、天然由来の天然高分子、或いは合成高分子がある。
天然高分子としては、例えば、植物が生産する多糖(セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物が生産する多糖(キチン、キトサン、ヒアルロン酸等)、タンパク質(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等)、微生物が生産するポリエステル(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、多糖(ヒアルロン酸等)等が挙げられる。
合成高分子としては、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリオール、ポリカーボネート等が挙げられる。
脂肪酸ポリエステルとしては、例えば、グリコール・ジカルボン酸重縮合系(ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等)、ポリラクチド類(ポリグリコール酸、ポリ乳酸等)、ポリラクトン類(β-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等)、その他(ポリブチレンテレフタレート・アジペート等)が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、例えば、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。
その他、ポリ酸無水物、ポリシアノアクリレート、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン等も生分解性の合成高分子である。
コア粒子2はポリマー以外に他の成分を含んでも良い。例えば、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭成分、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、等が挙げられる。これらの他成分は固体、気体、液体のいずれの形態であってもよい。他成分の複合粒子1中の含有率は、特に限定されず、複合粒子1が安定して形態を保つことができる範囲であることが好ましい。他成分の含有率は、複合粒子1を100質量部とすると、他成分は0.001質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
本発明において、ポア4の中に機能性成分を含むことが好ましい。機能性成分を含むことで、その機能を発揮することができる。機能性成分を含有させる方法としては、複合粒子1に機能性成分を含浸、或いは複合粒子1の作製過程で機能性成分を内包されることができる。
機能性成分は、例えば、動物、植物、菌類等の生物に影響を与えて機能する物質である。特に限定されないが、例えば、防カビ剤、香料、肥料(生物肥料、化学肥料、有機肥料等)、pH調整剤、農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤等)、植物活力剤、植物延命剤、害虫及び動物の忌避剤、土壌浸透剤、栄養成分(ミネラル等)、植物ホルモン、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、抗菌成分等が挙げられる。
特に、パーソナルケア製品においてその機能を発揮する機能性成分を含むことが好ましい。例えば、油脂・ロウ類をはじめとする油性原料、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、ピーリング剤、皮脂抑制剤、血行促進成分、美白成分、エイジングケア成分、抗炎症成分、冷感成分、温感成分、消臭成分、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物等が挙げられる。中でも、少なくとも紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料、消臭成分、ピーリング剤、エイジングケア成分、美白成分、抗炎症成分、着色剤のいずれかを有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
香料としては、動植物等から抽出された天然香料、化学的に合成された合成香料、複数種類の香料を調合した調合香料がある。このうち天然香料としては例えばジャスミン、ローズ、カーネーション、ライラック、シクラメン、スズラン、バイオレット、ラベンダー、キンモクセイ等の花卉系、オレンジ、レモン、ライム等の柑橘系、シナモン、ナツメグ等の香辛料系、ヒノキ精油、ヒバ精油、スギ精油等の木材精油系等を挙げることができる。また合成香料としては例えばリモネン、ピネン、カンフェン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、メントール、シトロネロール、ベンジルアルコール等のアルコール類、シトラール、シトロネラール、ノナジエナール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド類、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、メチルノニルケトン、イロン、メントン等のケトン類、メチルアニソール、オイゲノール等のフェノール類、デカラクトン、ノニルラクトン、ウンデカラクトン等のラクトン類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、酢酸テルピニル、酢酸シトロネリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
消臭成分としては、カテコール、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4’-ビフェニルジオール、3,4’-ビフェニルジオール等のビフェニルジオール類;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート等のカテキン類;ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシン等のカテコール誘導体。植物から抽出等した植物由来のポリフェノール;コーヒー、リンゴ、ぶどう、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)、柿、大豆、カカオ、ローズマリー、アロエ等の由来のものが挙げられる。
ピーリング剤としては、グリコール酸、サリチル酸、乳酸が挙げられる。
エイジングケア成分としてはパルミチン酸レチノール、フラーレン、アセチルヘキサペプチド-8、パルミトイルペンタペプチド-4、ユビキノン、白金等が挙げられる。
美白成分としては、リン酸アスコルビルMg、アルブチン、プラセンタエキス、カミツレ花エキス等が挙げられる。
抗炎症成分としては、カンゾウ根エキス、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
着色剤としては、有機合成色素(染料、レーキ、有機顔料)、天然色素、無機顔料、金属微粒子、高分子粉体等が挙げられる。中でも、有機合成色素、天然色素、無機顔料、金属微粒子を有することが好ましい。
また、複合粒子1の表面に機能性材料を担持すると、微細繊維3がコア粒子2表面に被覆されるため、機能性材料の分散安定性が高く、その機能を効果的に発揮することができる。機能性材料が微細繊維3に「担持」されるとは、機能性材料が微細繊維3に、物理的或いは化学的に、可逆的或いは不可逆的に、結合或いは吸着す ることをいう。機能性材料は、公知の方法で担持することができる。
機能性材料と微細繊維3は「不可分」の状態にあることが好ましい。微細繊維3と機能性材料とが「不可分」とは、複合粒子1を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することで複合粒子1を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、微細繊維3と機能性材料が分離しないことをいう。
機能性材料は、パーソナルケア製品においてその機能を発揮する材料であり、公知の機能性材料を用いることができる。機能性材料としては、例えば、油脂・ロウ類をはじめとする油性原料、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、ピーリング剤、皮脂抑制剤、血行促進成分、美白成分、エイジングケア成分、抗炎症成分、冷感成分、温感成分、消臭成分、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物等が挙げられる。中でも、少なくとも紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料、消臭成分、着色剤のいずれかを有することが好ましい。
微細繊維3への機能性材料の担持方法は、特に限定されないが、微細繊維3に機能性材料を担持して機能性材料担持微細繊維を作製した後、機能性材料担持微細繊維を用いて非重合性溶媒または界面活性剤、コア粒子前駆体を含む液滴6を有するO/W型ピッカリングエマルションを調製し、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化後、ろ過洗浄、ポア形成剤を除去して機能性材料を担持した複合粒子1を作製することができる。
あるいは、微細繊維3を用いて非重合性溶媒または界面活性剤、コア粒子前駆体を含む液滴6を有するO/W型ピッカリングエマルションを作製し、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化後、ろ過洗浄、ポア形成剤を除去して複合粒子1を作製後、複合粒子1の表面の微細繊維3に機能性材料を担持して機能性材料を担持した複合粒子1を作製することができる。
微細繊維3への機能性材料の担持方法は特に限定されず、例えば、市販の或いは予め作製した機能性材料を微細繊維3や複合粒子1の分散液に添加、混合し、付着させてもよい。
好適には、微細繊維3或いは複合粒子1の分散液中で機能性材料を作製する方法がある。微細繊維3或いは複合粒子1の分散液中で機能性材料を作製することにより、微細繊維3に機能性材料が安定的に担持され、機能性材料の凝集を抑制することができる。
<複合粒子の製造方法について>
上述したように、実施形態の複合粒子1は、図2および図3に示す方法(製造方法Iおよび製造方法II)により製造することができる。
製造方法Iおよび製造方法IIにより得られた複合粒子1は乾燥固形物として得られ、再分散させて分散体とすることもできる。微細繊維被覆粒子10や複合粒子1はろ過や遠心分離等により精製が可能であり、さらにオーブン等による熱乾燥や真空乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。この際、得られる複合粒子1の乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかで滑らかな粉体として得られる。
この理由は定かではないが、通常、微細繊維3分散体から溶媒を除去すると、微細繊維3同士が強固に凝集、膜化することが知られている。一方、微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を含む分散液の場合、微細繊維3が表面に固定化された球状の微細繊維被覆粒子10や複合粒子1を得られるため、親水性溶媒7を除去しても微細繊維3同士が凝集することなく、微細繊維被覆粒子10や複合粒子1同士が点と点で接するのみであるため、その乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られると考えられる。微細繊維被覆粒子10や複合粒子1同士の凝集がないため、ファンデーション等パウダー化粧品においては、滑らかで肌なじみの良い化粧品を得られる。更に、多孔質或いは中空粒子は中実粒子よりも軽やかな質感を得ることができ、高い光拡散性を有するためにソフトフォーカス性に優れる。また、多孔或いは中空に機能性成分を含有させることも可能であり、微細繊維3に機能性材料を担持させることで機能性材料の凝集を抑制することができ、均一なパウダー化粧品を得ることができる。
なお、複合粒子1の乾燥粉体は、親水性溶媒7等の溶媒をほとんど含まず、さらに溶媒に再分散可能であることを特長とする乾燥固形物とすることができ、具体的には固形分率を80%以上とすることができ、さらに90%以上とすることができ、さらに95%以上とすることができる。溶媒をほぼ除去することができるため、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。
複合粒子1の乾燥粉体は、複合粒子1の表面の微細繊維3の親水性が高いため、汗等の水分を吸収する、或いは高い保湿性を発揮するといった特長を有する。
また、乾燥粉体として得られた複合粒子1を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も複合粒子1の表面に結合された微細繊維3に由来した分散安定性を示す。そのため、美容液、乳液、クリーム等に含有させることもできる。
以下に、各工程について、詳細に説明する。
上述のように、製造方法Iは第1工程と第2-i工程と第3工程、第4工程を有し、製造方法IIは第1工程と第2-ii工程と第3工程、第4工程とを有する。
(第1工程)
第1工程は微細繊維原料を溶媒中で解繊して微細繊維3の分散液を得る工程である。微細繊維原料とは、セルロースナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーの原料である、セルロース原料、キチン/キトサン原料のことである。
まず、各種微細繊維原料を溶媒中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中の微細繊維原料の濃度としては0.1%以上10%未満が好ましい。0.1%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なうため好ましくない。10%以上になると、微細繊維原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となるため好ましくない。
懸濁液作製に用いる溶媒としては、親水性溶媒7を用いることが好ましい。親水性溶媒7については特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、或いはこれらの混合物が好ましい。好適には、水を50%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50%以下になると、後述する微細繊維原料を溶媒中で解繊して微細繊維分散液を得る工程において、微細繊維3の分散が阻害される。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
必要に応じて、微細繊維原料、及び生成する微細繊維3の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、微細繊維原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、親水性溶媒7を溶媒としたセルロース原料の懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロースの分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細繊維3の数平均短軸径および数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化された微細繊維3の分散体(微細繊維分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、後述するO/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
また、微細繊維3の分散体は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、特に限定されず、複合粒子1の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性材料、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、着色剤、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物、防腐剤、抗菌剤、天然抽出物、海面活性剤等が挙げられる。
通常、微細繊維3は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であるため、本実施形態の製造方法に用いる微細繊維3としては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。すなわち、微細繊維3の形状としては、繊維状であることが好ましい。また、繊維状の微細繊維3は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下であればよく、好ましくは2nm以上500nm以下であればよい。ここで、数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細繊維3繊維構造をとることができず、エマルションの安定化と、エマルションを鋳型とした重合反応やポリマーの固体化等による複合粒子1の形成が難しくなる。一方、1000nmを超えると、エマルションを安定化させるにはサイズが大きくなり過ぎるため、得られる複合粒子1のサイズや形状を制御することが困難となる。また、数平均長軸径においては特に制限はないが、好ましくは数平均短軸径の5倍以上であればよい。数平均長軸径が数平均短軸径の5倍未満であると、複合粒子1のサイズや形状を十分に制御することができない可能性があるため好ましくない。
なお、微細繊維3の数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細繊維3の数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察および原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
セルロース原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
キチン/キトサン原料は、カニ、エビなどの甲殻類や昆虫、クモなど、節足動物やイカの腱のように動物の体を支え、守るための直鎖状の構造多糖であり、結晶性があり(分子が規則的に並んでいる部分がある)、一部はタンパク質と結合している。キチンは、N-アセチルグルコサミンを主な構成糖とした多糖である。キチンおよび/またはキトサン原料を単離-精製すると、100%がN-アセチルグルコサミンからなる精製キチンはほとんどなく、一部はグルコサミンを構成成分として含んだキチンおよび/またはキトサンを得られる。例えば、乾燥状態のタラバガニの殻を5mm程度に砕いた原料と、湿潤状態のヤリイカの軟甲を1cm程度に砕いた原料の2種類がキチンおよび/またはキトサン原料を用いることができる。キチン/キトサン原料は予め精製することが好ましい。
さらに微細繊維原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることが好ましい。微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果で微細繊維原料の結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、微細繊維原料の微細化が進行しやすくなるためである。さらに、イオン性官能基を有することで微細繊維の液滴安定化効果が高くなる。また、イオン性官能基を介して機能性材料を吸着させることにより、機能性材料を担持することができる。
微細繊維原料の結晶表面に導入されるイオン性官能基の種類は特に限定されない。例えば、アニオン性官能基を有することで、微細繊維3とカチオン性の機能性材料を担持することができる。また、アニオン性官能基を有する微細繊維3に金属イオンを配位させて還元析出することで、機能性材料として金属微粒子を担持することができる。アニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。セルロースの場合、セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
セルロースの結晶表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷低減のためにはN-オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N-オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N-オキシル化合物の使用量は、着色としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01質量%以上5.0質量%以下である。
N-オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~200質量%程度である。
また、N-オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。80℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化して高結晶性の剛直なセルロースナノファイバーの繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分以上5時間以下である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9以上11以下が好ましい。pHが9以上であると反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9以上11以下に保つことが好ましい。反応系のpHを9以上11以下に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N-オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N-オキシル化合物等の着色、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nmの均一な繊維幅を有するTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF、セルロースシングルナノファイバー、CSNFともいう)が得られる。CSNFを複合粒子1のセルロースナノファイバーの原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
以上のように、本実施形態で用いられるCSNFは、セルロース原料を酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、CSNFに導入するカルボキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることは難しい。また、5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直なセルロースナノファイバーの繊維構造をとることができず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
必要に応じて、微細繊維3分散液中において微細繊維3に機能性材料を担持させて機能性材料を担持した微細繊維3の分散液を得てもよい。機能性材料を担持した微細繊維を用いて複合粒子1を得ることができる。
微細繊維3に機能性材料を付与する方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、微細繊維3の分散液に機能性材料を添加して混合し、付着させる方法が用いられる。また、微細繊維3の分散液中で機能性材料を合成して担持することができる。
ここで、上述したように、微細繊維3に対し、機能性材料を担持する際、微細繊維3の結晶表面に予めアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。アニオン性官能基を有する微細繊維3の分散液にカチオン性の機能性材料を添加して混合することで、微細繊維3に機能性材料を安定的に担持することができる。また、分散液のpHを調整することにより、機能性材料の担持或いは脱離を制御することができる。
機能性材料を担持する際の微細繊維3の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。微細繊維3の濃度が0.1%未満であると、機能性材料4を効率よく担持させることが難しい。微細繊維3の濃度が20質量%を超えると、微細繊維3の粘度が非常に高く、十分に攪拌できずに均一な反応が難しくなる。
微細繊維3の分散液の溶媒は特に限定されないが、親水性溶媒7であることが好ましい。親水性溶媒7は、特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。特に、水を50質量%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50質量%未満になると、微細繊維3の分散性が悪くなることがある。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
必要に応じて、微細繊維原料や微細繊維3の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アニオン性官能基を有するセルロースナノファイバーに機能性材料として金属微粒子を担持する方法としては、特に限定されないが、例えば以下の方法で製造することができる。
少なくとも1種類のセルロースナノファイバーを含有する分散液を調製する、セルロースナノファイバー分散液準備工程と、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバーとを含有する分散液を調製する、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液準備工程と、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液中の金属イオンを還元して金属微粒子を担持させる、金属微粒子担持セルロースナノファイバー分散液調製工程と、
を有する方法。
必要に応じて機能性材料を担持した微細繊維3をろ過や遠心分離等により洗浄し、遊離の機能性材料を除去してもよい。
(第2-i工程)
第2-i工程は、微細繊維3分散液中においてポア形成剤とコア粒子前駆体を含む液滴6の表面を微細繊維3で被覆し、エマルションとして安定化させる工程である。
具体的には、第1工程で得られた微細繊維分散液に、ポア形成剤とコア粒子前駆体を含むコア前駆体含有液を添加し、微細繊維3の分散液中に液滴6として分散させ、液滴6の表面を微細繊維3によって被覆し、微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを作製する工程である。微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションをエマルション液と呼ぶ。
O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、微細繊維3の分散液に対しコア粒子前駆体含有液を添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、微細繊維3の分散液中にポア形成剤とコア粒子前駆体を含む液滴6が分散してエマルション化が進行し、さらに液滴6と微細繊維分散液の液/液界面に選択的に微細繊維3が吸着することで、液滴6が微細繊維3で被覆されO/W型エマルションとして安定した構造を形成する。このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のように微細繊維3によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースはその分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有することから両親媒性を示すため、両親媒性に由来して疎水性モノマーと親水性溶媒の液/液界面に吸着すると考えられる。
前述のように、液滴6に含まれるポア形成剤である非重合性溶媒は、コア前駆体が固体化する際に、コア粒子2内部に非重合性溶媒を含む油滴を形成する。非重合性溶媒を除去することにより、コア粒子2内部にポア4が形成される。
また、液滴6に過剰の界面活性剤を含むことにより、液滴6内部に連続相である親水性溶媒7が吸収されてポア形成剤として機能し、コア粒子2に親水性溶媒7を含有する。親水性溶媒を除去することにより、コア粒子2内部にポア4が形成される。
O/W型エマルション構造は、光学顕微鏡観察により確認することができる。O/W型エマルションの粒径は特に限定されないが、平均粒径が0.1μm以上1000μm以下であることが好ましい。平均粒径は、ランダムに100個のエマルションの直径を測定し、平均値を取ることで算出できる。
O/W型エマルション構造において、液滴6の表層に形成された被覆層(微細繊維層)の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。特に限定されないが、エマルション構造における粒径が第3工程において得られる複合粒子1の粒径と同程度となる。被覆層の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
第2工程において用いることができる微細繊維分散液とコア粒子前駆体の重量比については特に限定されないが、微細繊維3が100質量部に対し、重合性モノマーが1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。重合性モノマーが1質量部以下となると複合粒子1の収量が低下するため好ましくなく、50質量部を超えると液滴6を微細繊維3で均一に被覆することが困難となり好ましくない。
コア粒子前駆体含有液は、コア粒子前駆体を含有し、O/W型エマルションを形成することができればよく、O/W型エマルションを安定的に形成するためには、疎水性であることが好ましい。また、コア粒子前駆体は、化学的な変化或いは物理化学的な変化により固体化してコア粒子2を形成する前駆体である。コア粒子前駆体は、特に限定されないが、液滴6を安定して形成できるものであれば特に限定されない。コア粒子前駆体としては、例えば、重合性モノマー(モノマー)、溶融ポリマー、溶解ポリマーを用いることができる。
第2-i工程で用いることができる重合性モノマーの種類としては、ポリマーの単量体であって、その構造中に重合性の官能基を有し、常温で液体であって、水と相溶せず、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成できるものであれば特に限定されない。重合性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する重合性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。重合性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマー(例えばε-カプロラクトン等)を用いることも可能である。なお、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むこと示す。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレンおよびスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1-ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4-トリビニルベンゼン、1,3,5-トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ジブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば多官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
また、これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
上記重合性モノマーは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合性モノマーに重合開始剤を添加してもよい。一般的な重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2-アゾビス(2-メチルブチルアミド)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
第2-i工程において、重合性モノマー及び重合開始剤を含んだコア粒子前駆体含有液を用いれば、後述の第3工程でO/W型エマルションの液滴6中に重合開始剤が含まれるため、後述の第3工程においてエマルションの液滴6内部のモノマーを重合させる際に重合反応が進行しやすくなる。
第2-i工程において用いることができる重合性モノマーと重合開始剤の重量比については特に限定されないが、通常、重合性モノマー100質量部に対し、重合性開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合性モノマーが0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずに複合粒子1の収量が低下するため好ましくない。
溶解ポリマーを得るためのポリマーとしては、特に限定されないが、親水性溶媒7に溶解しにくいことが好ましい。ポリマーが親水性溶媒7に溶解すると、安定したエマルションを形成することができない。
溶解ポリマーを得るためのポリマーとしては、以下のものが例示できる。セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、キチン、キトサン等の多糖類、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類。ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類。ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類。ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類。ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類。ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記ポリマーを溶媒に溶解させることで溶解ポリマーを得ることができる。上記ポリマーを溶解させる溶媒としては、微細繊維3の分散液への相溶性が低い溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒7への溶解度が高い場合、溶媒が分散相(液滴6)から連続相(親水性溶媒7)へ容易に溶解してしまうため、エマルション化が困難となる。また、ポリマーを溶解させる溶媒は沸点が90℃以下であるものが好ましい。沸点が90℃より高い場合、溶媒よりも先に微細繊維3の分散液の親水性溶媒7が蒸発してしまい複合粒子1を得ること困難となる。用いることができる溶媒として、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、セロソルブアセテート、イソホロン、ソルベッソ100、トリクレン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、ノナン等を用いることができる。
溶解させるポリマーと溶媒の重量比は、特に限定されず、ポリマーを溶解することができればよい。好ましくは、ポリマー100質量部に対し、溶媒の重量は0.005質量部以上100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
ポリマーを溶融させた溶融ポリマーを得る方法としては、例えば常温で固体のポリマーを溶融させて液体とする。溶融ポリマーを前述のように超音波ホモジナイザー等による機械処理を加えながら、ポリマーの溶融状態を維持可能な温度にまで加熱された微細繊維3の分散液に添加することによって、分散液中で溶融ポリマー液滴をO/W型エマルションとして安定化することが好ましい。
溶融ポリマーとしては、微細繊維3の親水性溶媒7への溶解性が低いものが好ましい。親水性溶媒7への溶解度が高い場合、分散相(液滴6)から連続相(親水性溶媒7)へポリマーが容易に溶解してしまうため、エマルション化が困難となる。また、溶融ポリマーは融点が90℃以下であることが好ましい。融点が90℃より高い場合、微細繊維3の分散液4中の水が蒸発してしまい、エマルション化が困難となる。
溶融ポリマーに用いるポリマーとしては、具体的には、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ステアリルステアレート、ステアリン酸バチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸エチレングリコール、ベヘニルアルコール、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、炭化水素ワックス、脂肪酸アルキルエステル、ポリオール脂肪酸エステル、脂肪酸エステルとワックスの混合物、脂肪酸エステルの混合物、グリセリンモノパルミテート(/ステアリン酸モノグリセライド)、グリセリンモノ・ジステアレート(/グリセリンステアレート)、グリセリンモノアセトモノステアレート(/グリセリン脂肪酸エステル)、コハク酸脂肪族モノグリセライド(/グリセリン脂肪酸エステル)、クエン酸飽和脂肪族モノグリセライド、ソルビタンモノステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタントリベヘネート、プロピレングリコールモノベヘネート(/プロピレングリコール脂肪酸エステル)、アジピン酸ペンタエリスリトールポリマーのステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ステアリルシトレート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、超淡色ロジン、ロジン含有ジオール、超淡色ロジン金属塩、水素化石油樹脂、ロジンエステル、水素化ロジンエステル、特殊ロジンエステル、ノボラック、結晶性ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等を用いることができる。
コア粒子前駆体含有液は、ポア4を有するコア粒子2を得る目的で、コア形成剤を用いることが好ましい。ポア形成剤としては、前述のように公知のポア形成剤を用いることができ、非重合性溶媒を含むことができる。
非重合性溶媒としては、例えば、芳香族化合物、酢酸エステル系化合物、脂肪族炭化水素類が挙げられる。芳香族化合物としては、トルエン、キシレン等、酢酸エステル系化合物としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等、脂肪族炭化水素類としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ドデカン等が挙げられる。
特に限定されないが、非重合性溶媒は、コア粒子前駆体を溶解し、固体化したコア粒子2を溶解しないことが好ましい。酢酸エステル系化合物、脂肪族炭化水素類を用いることが好ましく、中でも、n-ヘキサン、n-ヘプタンを用いることが好ましい。
コア粒子前駆体を溶解し、固体化したコア粒子2を溶解しない非重合性溶媒を用いることにより、第2-i工程において非重合性溶媒がコア粒子前駆体に溶解した状態で液滴6を得て、第3工程においてコア粒子前駆体が固体化すると、生成するコア粒子2内部で油滴として非重合性溶媒が析出し、第4工程で親水性溶媒7を除去することにより、多孔質或いは中空のコア粒子2を有する複合粒子1を得ることができる。
第2-i工程において用いることができるコア粒子前駆体とポア形成剤の重量比については特に限定されないが、コア粒子前駆体とポア形成剤の合計を100質量部とすると、ポア形成剤が10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量部以下である。ポア形成剤が10質量%以下であると十分に多孔が形成せず、或いは空隙率が低く、十分なソフトフォーカス性や質感のよさを得られないことがある。一方、ポア形成剤が90質量%を超えると球状の粒子を得ることが難しくなる。
コア粒子前駆体含有液は、ポア4を有するコア粒子2を得る目的で油溶性界面活性剤を含むことが好ましい。コア粒子前駆体に多量の油溶性界面活性剤を含むことで、第2-i工程或いは第3工程において連続相の溶媒である親水性溶媒7が液滴6内部に吸収され、親水性溶媒7がポア形成剤として機能する。そのため、第4工程において溶媒を除去すると、多孔質或いは中空のコア粒子2を有する複合粒子1を得ることができる。
油溶性界面活性剤は、コア粒子前駆体に溶解することができれば、特に限定されない。HLB(Hidrophilic-Lipophilic Balance)が8以下であることが好ましい。油溶性界面剤としては、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。中でも、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート等を用いることができる。
第2-i工程において用いることができるコア粒子前駆体と油溶性界面活性剤の重量比については特に限定されないが、油溶性界面活性剤が、臨界ミセル濃度以上であることが好ましい。油溶性界面活性剤が臨界ミセル濃度以上であると、連続相の親水性溶媒7を吸収し、親水性溶媒7がポア形成剤として機能し、多孔質或いは中空の複合粒子1を作製することができる。
また、液滴6には予め重合開始剤以外の他の成分が含まれていてもよい。具体的には着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、酵素、等が挙げられる。コア粒子前駆体に、予め重合開始剤以外の他の成分が含まれている場合、複合粒子1として形成した際のコア粒子2内部に上述の成分を含有させることができ、用途に応じた機能発現が可能となる。
他の成分は、液滴6へ溶解または分散しやすく、親水性溶媒7に溶解または分散しにくいことが好ましい。液滴6に溶解或いは分散することにより、O/W型エマルションを形成した際にエマルションの液滴6中に他の成分を内包しやすく、他の成分を内包する複合粒子1を効率的に得ることができる。また、内包する他の成分の量を増やすことが可能である。
さらに、コア粒子前駆体として、重合性モノマーおよび溶解ポリマー、溶融ポリマーを併用して用いて液滴6を形成し、エマルション化することも可能である。また、複合粒子1のコア粒子2のポリマー種として生分解性ポリマー(樹脂)を選択した場合、得られる複合粒子1は生分解性ポリマーからなるコア粒子2および微細繊維3で構成されることにより、生分解性材料を有する環境調和性の高い複合粒子1として提供することも可能である。
(第2-ii工程)
第2-ii工程は、コア粒子前駆体に親水性溶媒等のポア形成剤を含む液滴9(親水性)を分散させてW/O型エマルション液を作製し、微細繊維分散液にW/O型エマルション液を含む液滴6(疎水性)を分散させ、液滴9の表面を微細繊維3で被覆してW/O/W型エマルション液として安定化させる工程である。
具体的には、コア粒子前駆体に安定化剤8を溶解或いは分散させ、ポア形成剤として水等の親水性溶媒を添加して分散させ、液滴9(親水性)を分散するW/O型エマルションを作製する。次に、W/O型エマルション液を、第1工程で得られた微細繊維分散液に添加し、微細繊維3の分散液中に液滴6として分散させ、液滴6(疎水性)の表面を微細繊維3によって被覆し、微細繊維3によって安定化されたW/O/W型エマルションを作製する。
尚、第2-ii工程においては、特に記載のない限りは第2-i工程と同様の材料および方法を適用する。
W/O型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、安定化剤8を含むコア粒子前駆体含有液に対しポア形成剤として水等の親水性溶媒を添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、コア粒子前駆体含有液中にポア形成剤として親水性溶媒を含む液滴9が分散してエマルション化が進行し、さらに液滴9とコア粒子前駆体相の液/液界面に選択的に安定化剤が吸着することで、W/O型エマルションとして安定した構造を形成する。
親水性の液滴9に含まれるポア形成剤の親水性溶媒は、コア粒子前駆体に溶解しにくい溶媒であればよい。例えば、連続相に用いる親水性溶媒7と同様の溶媒を用いることができる。
コア粒子前駆体にポア形成剤として親水性溶媒を含む液滴を分散させてW/O型エマルション液を作製するために、安定化剤8を使用する。安定化剤8としては、液滴9を安定化することができれば特に限定されず、例えば、油溶性界面活性剤、固体材料を用いることができる。油溶性界面活性剤としては、前述のように非イオン性界面活性剤を用いることができる。例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。中でも、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート等を用いることができる。
固体材料としては、液滴9を安定化することができればよく、例えば、クレイ、カーボンブラック、シリカ粒子、酸化チタン粒子、微細繊維3を用いることができる。微細繊維3を用いる場合、繊維表面に疎水性の官能基を導入することが好ましい。疎水性官能基の導入方法は特に限定されず、イオン結合、共有結合等により導入することができる。微細繊維としてイオン性官能基を有する微細繊維を用いる場合には、イオン結合により、有機オニウムイオン等を用いて疎水性の官能基を導入できる。
得られたW/O型エマルション液を、第2-i工程と同様に微細繊維分散液に液滴6として分散させ、液滴6の表面を微細繊維3で被覆してW/O/W型エマルション液として安定化することができる。
W/O/W型エマルションにおいて、第3工程で、コア粒子前駆体を固体化させることで、微細繊維3で被覆された親水性溶媒を含む液滴9を内包するコア粒子2を得ることができ、親水性溶媒を除去することにより、微細繊維3で被覆された多孔質或いは中空のコア粒子2を有する複合粒子1を得ることができる。
(第3工程)
液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化させてコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子10の分散液を得る工程である。
コア粒子前駆体を固体化させる方法については特に限定されない。コア粒子前駆体として重合性モノマーを用いた場合、重合性モノマーを重合することによりポリマー化することで、固体化できる。コア粒子前駆体として溶解ポリマーを用いた場合、液滴6内部の溶媒を親水性溶媒7に拡散させる方法や、溶媒を蒸発させる方法により溶媒を除去し、ポリマーを固体化できる。コア粒子前駆体として溶融ポリマーを用いた場合、溶融ポリマーを冷却して凝固させて固体化させることができる。
製造方法Iにおいては、第2-i工程においてコア粒子前駆体に溶解していた非重合性溶媒が油滴として析出するため、油滴を含むコア粒子2となる。また、コア粒子前駆体に油溶性界面活性剤を含む場合においては連続相の親水性溶媒7が液滴6に吸収されるため、親水性溶媒7を内包したコア粒子2となる。
製造方法IIにおいては、第2-ii工程において形成されたW/O/W型エマルションにおいてコア粒子前駆体が固体化するため、親水性溶媒を含む液滴9を内包するコア粒子2となる。
例えば第2-i工程及び第2-iiで作製された、コア粒子前駆体として重合性モノマーおよび重合開始剤を含む液滴6が微細繊維3によって被覆され安定化したO/W型エマルションを、攪拌しながら加熱して重合性モノマーを重合し、コア粒子前駆体を固体化する。攪拌の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。また、攪拌せずに加熱処理のみでもよい。
また、加熱時の温度条件については重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、20℃以上150℃以下が好ましい。20℃未満であると重合の反応速度が低下するため好ましくなく、150℃を超えると微細繊維3が変性する可能性があるため好ましくない。重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間~24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
溶解ポリマーの溶媒を蒸発させる方法としては、具体的には、加熱または/および減圧乾燥により溶媒を蒸発させ、除去する。有機溶媒の沸点が水より低いと、有機溶媒を選択的に除去することが可能である。特に限定されないが、減圧条件下で加熱することにより効率的に溶媒を除去することができる。加熱温度は20℃以上100℃以下であることが好ましく、圧力は600mHg以上750mmHg以下であることが好ましい。
溶解ポリマーの溶媒を拡散させる方法は、具体的にはO/W型エマルション液に更に溶媒や塩の添加により液滴6内部の溶媒を拡散させる。親水性溶媒7への溶解性の低い溶媒が経時的に親水性溶媒7相へと拡散して行くことで、溶解ポリマーが析出して粒子として固体化させることができる。
溶融ポリマーを凝固させる方法としては、O/W型エマルション液を冷却することで、溶融ポリマーを凝固させる。
(第4工程)
第4工程は、上述の工程を経て得られたコア粒子2が微細繊維3によって被覆された微細繊維被覆粒子10を精製し、コア粒子2内部に含まれる溶媒を除去する工程である。具体的には、微細繊維被覆粒子10の分散液から微細繊維被覆粒子10を遠心分離等により精製し、ポア形成剤としてコア粒子2内部に残留している水等の親水性溶媒や非重合性溶媒を除去する工程である。ポア形成剤として用いた溶媒を除去することによりポア4を有する複合粒子1を得ることができる。
微細繊維被覆粒子10生成直後の状態は、微細繊維被覆粒子10の分散液中に多量の水と被覆層に形成に寄与していない遊離した微細繊維3が混在した状態となっている。そのため、微細繊維被覆粒子10を回収・精製する必要があり、回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄またはろ過洗浄が好ましい。
遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができ、具体的には遠心分離によって微細繊維被覆粒子10を沈降させて上澄みを除去し、水・メタノール混合溶媒に再分散する操作を繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去して微細繊維被覆粒子10を回収することができる。ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができ、例えば孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて水とメタノールで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストからさらに残留溶媒を除去して複合粒子1を回収することができる。
ポア形成剤の除去方法は特に限定されず、除去する溶媒に応じて常圧下、減圧下で常温或いは加熱して乾燥することが可能である。こうして得られた複合粒子1を含む乾燥固形物は上述のように膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。
必要に応じ、複合粒子1を溶媒に分散させ、複合粒子1の分散液中で複合粒子1の表面の微細繊維3に機能性材料を担持させてもよい。
複合粒子1に機能性材料を担持させる方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、複合粒子1を水やアルコール等の親水性溶媒に再分散させて複合粒子1の分散液を作製し、機能性材料を複合粒子1の分散液に添加、混合して付着させる方法が用いることができる。また、複合粒子1の分散液中で機能性材料を合成して担持することができる。
微細繊維3としてアニオン性官能基を有するセルロースナノファイバーを用いた微細繊維3被覆粒子に機能性材料として金属微粒子を担持する方法としては、特に限定されないが、例えば以下の方法で製造することができる。
少なくとも1種類の複合粒子1を含有する分散液を調製する、複合粒子1の分散液準備工程と、少なくとも1種類の金属塩と複合粒子1とを含有する分散液を調製する、金属塩および複合粒子1含有液準備工程と、金属塩および複合粒子1含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製する、金属微粒子担持複合粒子1分散液調製工程と、を有する方法。
必要に応じて機能性材料を担持した複合粒子をろ過や遠心分離等により洗浄し、遊離の機能性材料を除去してもよい。
複合粒子1は、ポア4に前述の機能性成分を含浸或いは内包することができる。機能性成分を含むことで、その機能を発揮することができる。
本実施形態の複合粒子1の乾燥粉体は、光拡散フィルム、断熱材、ホームケア用品、パーソナルケア製品として使用することができる。特に、パーソナルケア用途で使用するパーソナルケア用粒子として使用することが好ましい。
パーソナルケア製品とは、化粧品類や洗面用具など、人の肌を清潔に保ち、身だしなみを整えたり、美化したりする製品である。ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ネイルケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品等のことであり、例えば、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等である。
複合粒子は1、他の化粧品原料に混合或いは分散させてメイクアップ製品等のパーソナルケア製品に使用できる。また、複合粒子1、化粧品原料等を含む溶媒に分散させ、パーソナルケア用組成物として使用することができる。
化粧品原料としては、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭成分、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、等が挙げられる。
(複合粒子の効果)
本発明の複合粒子の第一態様によれば、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維の溶媒過多の問題を解決すると共に、簡便な方法で製造可能な新たな様態の微細繊維を有する複合粒子を提供することができる。
安全性が高く、親水性が高く、強度が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆されていることにより、多孔質であっても強度が高く、分散安定性が良く、高い保湿性や毛穴補正、ソフトフォーカス性等の各種機能を発揮する肌なじみがよい複合粒子を、簡便な方法で提供することができる。
また、細孔率が高く比表面積の高い多孔質或いは中空率の高い複合粒子においても作製中に崩壊することなく、安定的に複合粒子を提供することができる。
ポアに機能性成分を含浸させることにより、各種効能を発揮する複合粒子を提供することができる。
セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維は生分解性ポリマーであるセルロースやキチン/キトサンから構成される。よって、コア粒子も生分解性ポリマーを含む材料で構成することにより、環境への負荷を低減し、マイクロプラスチック問題を解決しうる複合粒子を提供することができる。
本発明の第二態様および第三態様の製造方法によれば、本発明の第一態様の複合粒子を製造することができる。
複合粒子をパーソナルケア用途で使用することができ、複合粒子を含むパーソナルケア製品やパーソナルケア用組成物を提供することができる。例えば、ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品に利用することができる。具体的には、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、美容液、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等である。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。例えば、コア粒子2にはポリマー及び機能性成分の他にその他成分を含んでも構わない。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
<実施例1>
(第1工程:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.0mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプ(酸化セルロース)を得た。
(酸化セルロースのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。
(酸化セルロースの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化セルロース0.5gを99.5gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、濃度0.5%のセルロースナノファイバー水分散液を得た。これを連続相とする。
(セルロースナノファイバーの評価)
得られた酸化セルロース、セルロースナノファイバーについて、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率およびレオロジーの測定や算出を次のように行った。得られたセルロースナノファイバーの評価結果を表1、図4、図5に示す。
(カルボキシ基量の測定)
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。そこに、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
(結晶化度の算出)
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
(セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径の算出)
原子間力顕微鏡を用いて、セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、セルロースナノファイバー水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードでセルロースナノファイバーの形状を観察した。セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
(セルロースナノファイバー水分散液の光線透過率の測定)
セルロースナノファイバー0.5質量%の水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないようにセルロースナノファイバー水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから800nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
(レオロジー測定)
セルロースナノファイバー0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、セルロースナノファイバー分散液はチキソトロピック性を示した。せん断速度が10s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
Figure 0007463676000001
図4から明らかなように、セルロースナノファイバー水分散液は高い透明性を示した。また、セルロースナノファイバー水分散液に含まれるセルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF)の数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は831nmであった。さらに、レオメータを用いて定常粘弾性測定を行った結果を図5に示す。図5から明らかなように、セルロースナノファイバー分散液はチキソトロピック性を示した。
(第2工程:O/W型エマルションを作製する工程)
次に、コア前駆体として重合性モノマーであるジビニルベンゼン(以下、DVBとも称する。)5gに対し、ポア形成剤として非重合性溶媒であるn-ヘプタンを5g、重合開始剤である2、2-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(以下、ADVNとも称する。)を1g溶解させた。これを分散相とする。コア粒子前駆体である重合性モノマー(DVB)とポア形成剤である非重合性溶媒の合計を100質量部とすると、ポア形成剤である非重合性溶媒が50質量%である。
重合性モノマー混合液全量を、セルロースナノファイバー分散液40gに対し添加したところ、重合性モノマー混合液とセルロースナノファイバー分散液はそれぞれ2相に分離した。
次に、上記2相分離した状態の混合液における上相の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液の外観は白濁した乳化液の様態であった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、数μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、セルロースナノファイバー水分散液を連続相とし、重合性モノマー混合液を分散相とするO/W型エマルションが分散安定化している様子が確認された。
(第3工程:コア粒子前駆体を固体化する工程)
O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却した。重合反応の前後で分散液の外観に変化はなかった。
(第4工程:精製及びポア形成剤除去工程)
得られた分散液に対し、遠心力75,000gで5分間処理したところ、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで交互に2回ずつ洗浄した。
こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、肌理細やかな乾燥粉体を得た。
(走査型電子顕微鏡による形状観察)
得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。O/W型エマルション液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した、球状の粒子が無数に形成していることが確認され、さらに、その表面は幅数nmのセルロースナノファイバーによって均一に被覆されていることが確認された。ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、粒子の表面は等しく均一にセルロースナノファイバーによって被覆され、コア粒子とセルロースナノファイバーは結合しており、不可分の状態にあることが示された。また、粒子表面には微細な孔が形成されていることが確認された。
また、乾燥粉体を樹脂に包埋し、断面をSEM観察したところ、多数の微細な孔が存在し、ポア4を有する複合粒子1が得られたことが確認された。
(分散性の評価)
乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して再分散させたところ、容易に再分散し、目視で凝集も見られなかった。また、粒度分布計を用いて粒径を評価したところ、平均粒径は乾燥前と同程度であり、粒度分布計のデータにおいても凝集を示すようなシグナルは存在しなかった。以上のことから、複合粒子1はその表面がセルロースナノファイバーで被覆されているにもかかわらず、乾燥によって膜化することなく粉体として得られ、かつ再分散性も良好であることが示された。
<実施例2>
実施例1の第2工程において、重合性モノマーであるDVB7gに対し、非重合性溶媒であるn-ヘプタン3gを用いた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例3>
実施例1の第2工程において、重合性モノマーであるDVB3gに対し、非重合性溶媒であるn-ヘプタン7gを用いた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例4>
実施例1の第2工程において、n-ヘプタンの代わりにn-ヘキサンを用いた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例5>
実施例1の第2工程において、n-ヘプタンの代わりにn-ドデカンを用いた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例6>
実施例1の第2工程において、コア前駆体として重合性モノマーであるDVB7gに対し、n-ヘプタンの代わりに油溶性界面活性剤であるソルビタンモノオレート(Span80)3gを用い、連続相の溶媒である蒸留水をポア形成剤として液滴6内部に吸収させた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
液滴6内部に吸収されるポア形成剤である蒸留水の量が不明のため、コア粒子前駆体である重合性モノマー(DVB)とポア形成剤である蒸留水の合計を100質量部としたときの、ポア形成剤の割合は不明である。
<実施例7>
実施例1の第2工程において、コア前駆体として重合性モノマーであるDVB7gに対してアセチル化CNFを1質量%分散させ、続いて重合開始剤である2、2-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(以下、ADVNとも称する。)を1g溶解させ、重合性モノマー混合液を調製した。
重合性モノマー混合液に、ポア形成剤として純水3gを添加すると、重合性モノマー混合液と蒸留水の相が2相に分離した。次に、超音波ホモジナイザー処理を施してW/O型エマルション液を作製した。コア粒子前駆体である重合性モノマー(DVB)とポア形成剤である蒸留水の合計を100質量部とすると、ポア形成剤である蒸留水が30質量%である。
W/O型エマルション液全量を、セルロースナノファイバー水分散液40gに対し添加した。それ以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例8>
実施例1において、TEMPO酸化CNFの代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献6に従い作製したキチンナノファイバー(キチンNFともいう)分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例9>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献2に従いカルボキシメチル化(以下、CM化とも称する。)処理を行って得られたCM化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例10>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた非特許文献1に従いリン酸エステル化処理を行って得られたリン酸エステル化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例11>
実施例1において、第2工程にて、重合性モノマーであるDVBの代わりにポリ-ε-カプロラクトン(PCL、和光純薬製)5gを加熱して溶融した溶融ポリマー10gを用いた以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<比較例1>
実施例1において、第2工程及び第3工程を行わずにスプレードライによって粒子を作製した以外は、実施例1と同様に実施した。
<比較例2>
実施例1において、第2工程において重合性モノマーであるDVB10gに対し、非重合性溶媒であるn-ヘプタンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例3>
実施例1において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりにカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも称する。)水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例4>
実施例11において、第1工程において、セルロースナノファイバー水分散液の代わりにポリビニルアルコール(PVA)を8質量部、ラウリン酸ポリグリセリル-10(PGLE ML10)0.5質量部を純水500gに溶かした水溶液を用いた以外は、実施例11と同様の条件で実施した。
<比較例5>
実施例11において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりにCMC水溶液を用いた以外は、実施例11と同様の条件で実施した。
<比較例6>
市販のスチレン-ジビニルベンゼン共重合マイクロビーズ(粒子径4.5μm、テクノケミカル)の乾燥粉体(従来のポリマー粒子)について、実施例1と同様に各種評価を実施した。
<評価方法>
(円形度の測定)
画像分析型粒度分布計PITA-04(セイシン企業)にて1000個以上の粒子円形度の平均値から平均円形度を算出し、以下の評価基準により真球度を評価した。尚、粒子の画像の面積をS、周長をLとしたとき、「円形度=4πS/L」の式で算出される。
〇:平均円形度が0.6以上であった。
×:平均円形度が0.6未満であった。
(吸油量の測定)
吸油量は、JK 5101-13-2の方法で測定した。粉体を測定板の上に置き、精製あまにIS 油をビュレットから一回に4、5滴ずつ徐々に加えた。その都度、パレットナイフで精製あまに油を試料に練り込む。これを繰り返し、精製あまに油及び試料の塊ができるまで滴下を続ける。以後、1滴ずつ滴下し、完全に混練するようにして繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになったところを終点とした。
〇:吸油量が30ml/100g以上であった。
△:吸油量が20ml/100g以上30ml/100g未満であった。
×:吸油量が20ml/100g未満であった。
として判定した。
(光拡散性の評価)
光拡散性は、分光変角色差計GC5000(日本電色製)を用いて評価した。ガラス板に乾燥粉体を乗せ、波長400nmから700nmにおいて、-45°の入射光に対する0°と45°の受光角度における分光反射率を測定した。波長600nmの光の-45°の入射光の+45°の反射光強度100に対する0°の反射光強度を光拡散指数とした。
「光散乱指数=(0°の散乱光強度)/(45°の散乱光強度)」とし、光拡散指数が1に近いほど角度依存性が低く、ソフトフォーカス性が高くなる。
〇:光拡散指数が0.9以上であった。
△:光拡散指数が0.6以上0.9未満であった。
×:光拡散指数が0.6未満であった。
として判定した。
(分散性の評価)
乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して分散させ、目視で凝集があるか確認した。
〇:目視で凝集物が確認されなかった。
×:目視で凝集物が確認された。
として判定した。
(使用感の評価)
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例および比較例の各乾燥粉体を塗布した。具体的には各乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。肌に塗布した際の使用感について、以下のように判定した。
○:肌に対するなじみが良く、肌への刺激が少ない。
×:肌に対するなじみが悪く、肌への刺激を感じる。
として判定した。
(保湿性の評価)
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例および比較例の各乾燥粉体を塗布した。具体的には乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。塗布してから30分経過したのち、モイスチャーチェッカーMY-707S(スカラ株式会社)にて、乾燥粉体塗布箇所の肌の水分量を測定した。
○:水分量が60%以上であった。
×:水分量が60%未満であった。
として判定した。
以上の実施例および比較例を用いた評価結果については、以下の表2にまとめて掲載した。表2におけるエマルション安定化剤は、セルロースナノファイバーまたはセルロースナノファイバーの代わりに用いたエマルション安定化剤である。コア粒子2を構成するポリマーとポア形成剤を示した。図2に示した製造方法Iまたは図3に示した製造方法IIを用いて複合粒子1の作製を行った。
Figure 0007463676000002
実施例1から実施例11で得られた乾燥粉体をSEM観察及び断面観察すると、微細繊維の種類(TEMPO酸化CNF、CM化CNF、リン酸エステル化CNF、キチンNF)によらず、各種モノマーの重合物や生分解性ポリマー等の各種ポリマーを用い、ポア4を有し、微細繊維3が被覆された球状の複合粒子1を作製できた。また、ポア形成剤の種類やポア形成剤の添加量によらず、ポア4を有し、微細繊維3が被覆された球状の複合粒子1を作製できた。
実施例1から実施例4、実施例6、実施例8から実施例11の複合粒子1の表面を観察すると、微細繊維が被覆されている部分と細孔が確認され、多孔質の複合粒子1を得られたことが確認された。これらの吸油量を測定した結果、非常に高い吸油性を有し、優れた光拡散性を示した。
実施例5、実施例7においては表面に細孔は観察されなかったが、断面観察を行うと、中空の複合粒子1であることが確認された。実施例5、実施例7においては、吸油量は比較的高く、優れた光拡散性を示した。
実施例1から実施例11で得られた複合粒子1は全て、乾燥後も再分散性が良好であり、優れた肌なじみ、保湿性を示した。
更に、実施例1にて得られた複合粒子1に機能性成分としてビタミンC誘導体を含浸させ、美白成分を有するパーソナルケア用粒子を得ることができた。
一方、比較例1、比較例2、比較例6においては粒子表面及び断面を観察しても多孔質または中空の粒子ではなく、吸油性、光拡散性が良好でなかった。比較例3から比較例5においては、多孔質の粒子を得られ、吸油性が良好であったが、球状を保つことができず、使用感が良好でなかった。また、微細繊維3が被覆されていないため、分散性、保湿性に優れていなかった。
本発明に係る複合粒子は、塗料、艶消し剤等の塗料用添加剤、光拡散フィルム等のフィルム、自動車や建材等の成形品への添加剤、記録紙等の紙、化粧品等のパーソナルケア製品、トイレタリー製品やホームケア製品、医療用製品等に用いることができる。本発明に係る複合粒子をパーソナルケア製品に用いる場合、例えば、ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品に利用することができる。具体的には、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、美容液、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等に利用できる。
1 複合粒子
2 コア粒子
3 微細繊維(セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーの少なくとも一方である微細繊維)
4 ポア
6 液滴(疎水性)
7 親水性溶媒
8 安定化剤
9 液滴(親水性)
10 微細繊維被覆粒子

Claims (11)

  1. ポアを有するコア粒子と、
    前記コア粒子の表面に結合されて不可分の状態にある微細繊維とを有し、
    前記微細繊維がキチンナノファイバーを含む複合粒子。
  2. 前記コア粒子が少なくともポリマーを含有する請求項1記載の複合粒子。
  3. 前記コア粒子が多孔質または中空である請求項1または請求項2に記載の複合粒子。
  4. 前記複合粒子の光拡散度が0.6以上である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合粒子。
  5. 前記ポアに紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料、消臭成分、美白成分、抗炎症成分、ピーリング剤、および着色剤の少なくとも一つを含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合粒子。
  6. 前記微細繊維はイオン性官能基を有する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の複合粒子。
  7. 前記コア粒子が生分解性ポリマーを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の複合粒子。
  8. キチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、キチンナノファイバーを含む微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
    前記微細繊維分散液に、ポア形成剤とコア粒子前駆体を含む液滴とを分散させ、前記液滴の表面を前記微細繊維で被覆する工程と、
    前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
    前記微細繊維被覆粒子を精製し、前記コア粒子内部に含まれるポア形成剤を除去する工程と、
    を有する複合粒子の製造方法。
  9. キチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、キチンナノファイバーを含む微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
    コア粒子前駆体にポア形成剤を含む液滴を分散させてW/O型エマルション液を作製し、前記微細繊維分散液に前記W/O型エマルション液を含む液滴を分散させ、前記W/O型エマルション液を含む液滴の表面を前記微細繊維で被覆してW/O/W型エマルション
    液を作製する工程と、
    前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、ポア形成剤を含む液滴を有するコア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
    前記微細繊維被覆粒子を精製し、前記コア粒子内部に含まれるポア形成剤を除去する工程と、
    を有する複合粒子の製造方法。
  10. 前記コア粒子前駆体として、重合性モノマー、溶解ポリマー、および溶融ポリマーの少なくともいずれか用いる請求項8または請求項9に記載の製造方法。
  11. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合粒子を含むパーソナルケア製品。
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