JP7346921B2 - パーソナルケア用粒子、パーソナルケア用粒子の製造方法、パーソナルケア用品、パーソナルケア用組成物 - Google Patents
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Description
スキンケア製品には、水、アルコールあるいはオイル等を任意の配合で組み合わせた分散溶媒分に対し、機能性材料が添加されている。
従来より実用化されているパーソナルケア製品として、各種マイクロ粒子やマイクロカプセルからなるものが挙げられる。通常、マイクロ粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった各種ポリマーから形成されたマイクロサイズオーダーの粒子であり、ファンデーションの母材として用いられたり、あるいは角質除去剤として洗顔料に用いられたり、といったように、パーソナルケア用途向けに広範に利用されている。
しかし、マイクロサイズオーダーのマイクロ粒子は高比表面積のため一般的に凝集しやすく、分散安定性が課題となっている。
一方、近年、木材中のセルロース繊維やカニ等の甲殻類の殻を構成するキチンおよび/またはキトサンを、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
キチンおよび/またはキトサンは強い水素結合で互いに密に結合しているため、キチンおよび/またはキトサンから完全に一本一本のナノファイバーを調製することは容易ではない。特許文献6に記載されたキチンナノファイバーとその製造方法によれば、簡便な工程で、一本一本に分離されたキチンナノファイバーを含む分散液を得ることができる。
ここで、これらの微細繊維の実用化に向けては、得られる微細繊維の分散液の固形分濃度が0.1~5%程度と低くなってしまうことが課題となっている。例えば微細繊維の分散体を輸送しようとした場合、大量の溶媒を輸送するに等しいため輸送費の高騰を招き、事業性が著しく損なわれるという問題がある。
このように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーなどの微細繊維を分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性を損なう原因となる。よって、粒子の表面に微細繊維が結合された複合粒子として、微細繊維の高比表面積である特性を有効に活用できる新たな取り扱い様態を有し、洗浄や溶媒からの分離が容易なものが強く望まれている。
〔第一態様〕
ポリマーを含有する材料で形成されたコア粒子と、前記コア粒子の表面に結合されて不可分の状態にある、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維と、前記微細繊維に担持されている、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料と、を有するパーソナルケア用粒子。
セルロース原料またはキチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、前記微細繊維分散液中で前記微細繊維に、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料を担持させて、機能性材料担持微細繊維の分散液を得る工程と、前記機能性材料担持微細繊維の分散液にコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、前記液滴の表面を前記機能性材料担持微細繊維で被覆する工程と、前記機能性材料担持微細繊維で被覆された前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化する工程と、を有するパーソナルケア用粒子の製造方法。
セルロース原料またはキチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、前記微細繊維分散液にコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、前記液滴の表面を前記微細繊維で被覆する工程と、前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、前記微細繊維被覆粒子の分散液中で前記微細繊維被覆粒子の表面の前記微細繊維に、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料を担持させる工程と、を有するパーソナルケア用粒子の製造方法。
第一態様のパーソナルケア用粒子は、パーソナルケア用品およびパーソナルケア組成物に含有させることができる。
また、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線防止(吸収および/または散乱)、発色、抗菌、等の機能性材料の機能を効果的に発揮するパーソナルケア用粒子を提供できる。
さらに、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーは、生分解性ポリマーであるセルロースやキチン/キトサンから構成されるため、コア粒子に含まれるポリマーとして生分解性ポリマーを使用することにより、環境への負荷を低減したパーソナルケア用粒子を提供することができる。
本発明の第二態様および第三態様の製造方法によれば、本発明の第一態様のパーソナルケア用粒子を製造することができる。
パーソナルケア用粒子1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、化学的調製法や物理化学的調製法を用いることができる。
化学的調製法としては、重合性モノマーから重合過程で粒子形成を行う重合造粒法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、放射線重合法等)が挙げられる。
例えば、微細繊維3を用いたO/W型ピッカリングエマルションを形成させ、液滴内部のコア粒子前駆体を固体化さてコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子を作製することで、コア粒子2と微細繊維3とが結合して不可分の状態にあるパーソナルケア用粒子1を得ることができる。微細繊維3を用いることで界面活性剤等の添加物を用いることなく、安定した液滴を形成することが可能であり、分散性が高く、機能性材料による高い効果を発揮し、滑りがよく、肌なじみのよいパーソナルケア用粒子1を得ることができる。
コア粒子前駆体の固体化の方法は特に限定されず、重合性モノマーを重合する、溶融ポリマーを凝固させる、溶解ポリマーから溶媒を除去する、ことにより、コア粒子前駆体を固体化することができる。
パーソナルケア用品とは、化粧品類や洗面用具など、人の肌を清潔に保ち、身だしなみを整えたり、美化したりする製品である。ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ネイルケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品等のことであり、例えば、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等である。
図2に示す製造方法は、上述の第二態様の製造方法(製造方法I)に相当し、第1工程と第i工程と第2工程と第3工程を有する。
第1工程は、図2(a)に示すように、セルロース原料またはキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、未担持のセルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3Aの分散液11Aを得る工程である。第i工程は、図2(b)に示すように、未担持の微細繊維3Aの分散液11A中で微細繊維3Aに、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料4を担持させて、機能性材料担持微細繊維3Bの分散液11Bを得る工程である。
第3工程は、図2(d)に示すように、液滴6の内部のコア粒子前駆体を固体化する工程である。この工程により、パーソナルケア用粒子(コア粒子2の表面に機能性材料担持微細繊維3Bが被覆された、機能性材料3B担持微細繊維被覆粒子)1が得られる。
つまり、製造方法Iでは、親水性溶媒7に分散した液滴6の界面に機能性材料担持微細繊維3Bが吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。そして、この安定化状態を維持したまま、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化することによって、パーソナルケア用粒子1を得る。
第1工程は、図3(a)に示すように、セルロース原料またはキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、未担持のセルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3Aの分散液11Aを得る工程である。
第2工程は、図3(b)に示すように、未担持の微細繊維3Aの分散液11Aにコア粒子前駆体を含む液滴6を分散させ、液滴6の表面を未担持の微細繊維3Aで被覆する工程である。
第ii工程は、図3(d)に示すように、微細繊維被覆粒子10の分散液12中で微細繊維被覆粒子10の表面の微細繊維3Aに、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料4を担持させる工程である。この工程により、パーソナルケア用粒子(コア粒子2の表面に機能性材料担持微細繊維3Bが被覆された、機能性材料担持微細繊維3B被覆粒子)1が得られる。
そして、図3(d)に示す状態の分散液をろ過することで、パーソナルケア用粒子1を分離することができる。
特に限定されないが、微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型としてパーソナルケア用粒子1を作製すると、O/W型エマルションが安定化されるため、O/W型エマルションに由来した真球状のパーソナルケア粒子1を得ることができる。詳細には、真球状のコア粒子2の表面に微細繊維3からなる被覆層30が比較的均一な厚みで形成された様態となることが好ましい。
分散安定性の観点から、微細繊維3は、コア粒子2表面に被覆層30を形成することが好ましい。被覆層30はコア粒子2表面の全面を覆うことが好ましいが、必ずしも全面を覆わなくてもよい。
被覆層30の平均厚みはパーソナルケア用粒子1を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中のパーソナルケア用粒子1の断面像における被覆層30の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出でききる。
また、パーソナルケア用粒子1は比較的揃った厚みの被覆層30で均一に被覆されていることが好ましい。被覆層2の厚みが均一であると分散安定性が高い。具体的には上述した被覆層30の厚みの値の変動係数は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。
本実施形態における微細繊維3は、セルロースナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーである。
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材等から得られるセルロース原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細繊維3であり、安全で生分解性を有する。
イオン性官能基の含有量は、1gの微細繊維原料および/または微細繊維3当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることが好ましい。0.1mmol未満であると、パーソナルケア用粒子1の分散安定性が悪くなることがあり、5.0mmolを超えると機能性材料4を安定して担持することが難しくなることがある。
本実施形態のパーソナルケア用粒子1では、機能性材料4と微細繊維3は「不可分」の状態にある。微細繊維3と機能性材料4とが「不可分」とは、パーソナルケア用粒子1を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することでパーソナルケア用粒子1を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、微細繊維3と機能性材料4が分離しないことである。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
香料としては、動植物等から抽出された天然香料、化学的に合成された合成香料、複数種類の香料を調合した調合香料がある。このうち天然香料としては例えばジャスミン、ローズ、カーネーション、ライラック、シクラメン、スズラン、バイオレット、ラベンダー、キンモクセイ等の花卉系、オレンジ、レモン、ライム等の柑橘系、シナモン、ナツメグ等の香辛料系、ヒノキ精油、ヒバ精油、スギ精油等の木材精油系等を挙げることができる。また合成香料としては例えばリモネン、ピネン、カンフェン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、メントール、シトロネロール、ベンジルアルコール等のアルコール類、シトラール、シトロネラール、ノナジエナール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド類、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、メチルノニルケトン、イロン、メントン等のケトン類、メチルアニソール、オイゲノール等のフェノール類、デカラクトン、ノニルラクトン、ウンデカラクトン等のラクトン類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、酢酸テルピニル、酢酸シトロネリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
エイジングケア成分としてはパルミチン酸レチノール、フラーレン、アセチルヘキサペプチド-8、パルミトイルペンタペプチド-4、ユビキノン、白金等が挙げられる。
美白成分としては、リン酸アスコルビルMg、アルブチン、プラセンタエキス、カミツレ花エキス等が挙げられる。
抗炎症成分としては、カンゾウ根エキス、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、ヨクイニンエキス島が挙げられる。
有機合成色素や天然色素はヘアダイなどのヘアカラーリング剤および化粧水や美容液に色を付ける場合に使用され、無機顔料および有機顔料は、メイクアップ製品に、ファンデーションの色相、彩度、明度のコントロールや、カバー力のコントロールに使用される。口紅やネイルエナメルでは顔料と染料を組み合わせて配合されることがある。
有機顔料は構造内に可溶性基を持たず水や油などに溶解しない有色粉末である。有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料が挙げられる。
天然色素は、動植物由来のものと微生物由来の色素である。例えば、人参、トマト、ベニザケなどに存在する黄-橙赤色はカロチノイド系の色素で、ハイビスカス、ベニバナなどには黄-赤紫色のフラボノイド系色素が挙げられる。
体質顔料は光沢や使用感の調整に使用され、例えば、タルク(含水ケイ酸マグネシウム、滑石)、カオリン(含水ケイ酸アルミニウム、白陶土)、マイカ(雲母、含水ケイ酸アルミニウムカリウム)、シリカ(無水ケイ酸)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)等が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック等が挙げられる。
真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。雲母に被覆している酸化チタンの膜厚を変えて色々な干渉色を出している。
高分子粉体は、屈折率の異なる高分子を交互に積層させたものや、ナイロンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー等が挙げられる。
中でも、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)より選ばれた1種類以上の金属または金属化合物を含むことが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。更に、銀(Ag)を用いることで、抗菌性を付与することができる。
また、金属微粒子は金属以外の他の成分を含んでいてもよい。
金属微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、500nm以下であることが好ましい。平均粒子径が500nmを超えると微細繊維3に担持するのが難しくなる。より好ましくは0.1nm以上50nm以下である。金属微粒子の平均粒子径により色調が変化することがあるため、金属微粒子の形状を制御することが重要である。金属微粒子の形状は、特に限定されない。例えば、球状、平板状、ロッド状が挙げられる。
例えば、粒子径が数nm~数十nmの球状銀ナノ粒子は、上記LSPRにより、波長400nm付近に吸収を持つため、黄色味を呈することが知られている。しかしながら、異方成長した銀微粒子はこの限りではなく、例えば、平板状銀微粒子は、吸収ピークがレッドシフトすることが知られている。この際、平板状銀微粒子のアスペクト比(すなわち、粒子径/粒子厚み)が大きくなるほど、吸収/散乱ピークがより長波側にシフトすることが確認されている。すなわち、平板状銀微粒子は、任意の波長を吸収/散乱する光学材料として用いることができる。また、可視光領域で吸収/散乱波長を制御すれば、黄色以外にも赤色、青色など鮮やかな色調を呈する平板状銀微粒子を得ることができ、着色剤として機能する。
また、ロッド状金微粒子は、そのアスペクト比(長軸/短軸)により吸収/反射ピークがシフトする。
なお、本実施形態において、可視光とは波長領域がおよそ400nmから700nmである電磁波を指し、近赤外線とは赤外線の中でも可視光に近い波長領域(およそ700nmから2500nm)の電磁波を指すものとする。
ここで、平板状金属微粒子の厚みh、直径d(円相当径)とし、平板状金属微粒子の厚みhに対する直径dをアスペクト比(d/h)とする。平板状金属微粒子の「平板状」とは、粒子が板状であることを示し、板状とは、例えば、アスペクト比(d/h)の平均値が1.1以上であることを示している。
また、平板状金属微粒子の表面と裏面は、どちらの面積が大きくもよく、両面は平行でなくてもよい。
光学特性を制御する観点から、平板状金属微粒子の形状は平板状であり、その粒子径d、厚みh、アスペクト比が以下の範囲内であることが好ましい。
平板状金属微粒子の厚みhの平均値、すなわち表面と裏面の距離hの平均値は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましい。
平板状金属微粒子の平均アスペクト比(dの平均値/hの平均値)は、1.1以上であり、2.0以上であることが好ましく、2.0以上100以下であることがより好ましく、2.0以上50以下であることがさらに好ましい。粒子径dの平均値を任意に変化させ、その平均アスペクト比を制御することにより、色調を変化させることができる。
平板状金属微粒子の形状、大きさの評価は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡を用いて行うことができる。
(1)粒子径の測定法
パーソナルケア用粒子1の乾燥粉体を走査透過型電子顕微鏡で観察することにより、走査透過型電子顕微鏡像が得られる。この走査透過型電子顕微鏡像中の平板状金属微粒子を、円形で近似した際の径を、平面方向の粒子径として算出する。上記の平均値は、100個の粒子を測定して求める。
(2)平均厚みの測定法
パーソナルケア用粒子1の乾燥粉体を、包埋樹脂で固定したものをミクロトームで断面方向に切削し、透過型電子顕微鏡で観察することにより測定できる。透過型電子顕微鏡中の平板状金属微粒子の厚みhを、平面方向と垂直な厚みとして算出する。上記厚みhの平均値(平均厚み)は、100個の粒子を測定して求める。
(3)平均アスペクト比の算出方法
上述のようにして求めた、平板状金属微粒子の厚みhの平均値に対する直径d(円相当粒子径)の平均値、平板状金属微粒子の平均アスペクト比(dの平均値/hの平均値)として算出する。
平板状金属微粒子を構成する金属または金属化合物は、特に限定されず、任意の金属または金属化合物を用いることができる。平板状金属微粒子を構成する金属または金属化合物としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。中でも、金、銀、銅の少なくともいずれかを含むことが好ましく、特に、少なくとも銀を含む場合、平板状金属微粒子は可視光領域から近赤外領域の波長の光を遮蔽することができ、抗菌性を付与することもできる。
微細繊維3Aへの機能性材料4の担持方法は、特に限定されないが、図2のように、微細繊維3Aに機能性材料4を担持して機能性材料担持微細繊維3Bを作製した後、前記機能性材料担持微細繊維3Bを用いてコア粒子前駆体を含む液滴6を有するO/W型ピッカリングエマルションを調製し、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化して機能性材料担持微細繊維3B被覆粒子(パーソナルケア用粒子1)を作製することができる。
微細繊維3Aへの機能性材料4の担持方法は特に限定されず、例えば、市販の或いは予め作製した機能性材料4を微細繊維3Aや微細繊維3A被覆粒子の分散液に添加、混合し、付着させてもよい。
コア粒子2は、少なくとも一種類以上のポリマーを含む。ポリマーは、公知のポリマーを用いることができ、重合性モノマーを公知の方法で重合させたポリマーでもよい。
特に限定されないが、ポリマーは生分解性ポリマーであることが好ましい。生分解性とは、土壌や海水中などの地球環境において分解して消滅するポリマー、または/および生体内で分解して消滅するポリマーのことである。一般的に、土壌や海水中では微生物がもつ酵素によりポリマーが分解されるのに対し、生体内では酵素を必要とせず物理化学的な加水分解により分解される。
生分解性ポリマーは、天然由来の天然高分子、或いは合成高分子がある。
天然高分子としては、例えば、植物が生産する多糖(セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物が生産する多糖(キチン、キトサン、ヒアルロン酸等)、タンパク質(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等)、微生物が生産するポリエステル(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、多糖(ヒアルロン酸等)等が挙げられる。
脂肪酸ポリエステルとしては、例えば、グリコール・ジカルボン酸重縮合系(ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等)、ポリラクチド類(ポリグリコール酸、ポリ乳酸等)、ポリラクトン類(β-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等)、その他(ポリブチレンテレフタレート・アジペート等)が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、例えば、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。
その他、ポリ酸無水物、ポリシアノアクリレート、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン等も生分解性の合成高分子である。
上述したように、実施形態のパーソナルケア用粒子1は、図2および図3に示す方法(製造方法Iおよび製造方法II)により製造することができる。
製造方法Iおよび製造方法IIにより得られたパーソナルケア用粒子1は分散体として得られる。さらに溶媒を除去することにより乾燥固形物として得られる。溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば遠心分離法やろ過法によって余剰の水分を除去し、さらにオーブンで熱乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。この際、得られる乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかで滑らかな粉体として得られる。
この理由としては定かではないが、通常、微細繊維3分散体から溶媒を除去すると、微細繊維3同士が強固に凝集、膜化することが知られている。
パーソナルケア用粒子1の乾燥粉体は、パーソナルケア用粒子1の表面の微細繊維3の親水性が高いため、汗等の水分を吸収する、或いは高い保湿性を発揮するといった特長を有する。
また、乾燥粉体として得られたパーソナルケア用粒子1を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後もパーソナルケア用粒子1の表面に結合された微細繊維3に由来した分散安定性を示す。そのため、美容液、乳液、クリーム等に含有させることもできる。
上述のように、製造方法Iは第1工程と第i工程と第2工程と第3工程を有し、製造方法IIは第1工程と第2工程と第3工程と第ii工程を有する。
(第1工程)
第1工程は微細繊維原料を溶媒中で解繊して微細繊維3Aの分散液を得る工程である。微細繊維原料とは、セルロースナノファイバーおよび/またはキチンナノファイバーの原料である、セルロース原料、キチン/キトサン原料のことである。
懸濁液作製に用いる溶媒としては、親水性溶媒7を用いることが好ましい。
親水性溶媒7については特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、或いはこれらの混合物が好ましい。
必要に応じて、微細繊維原料、及び生成する微細繊維3の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
また、微細繊維3の分散体は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、特に限定されず、パーソナルケア用粒子1の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性材料、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、着色剤、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物、防腐剤、抗菌剤、天然抽出物、海面活性剤等が挙げられる。
セルロース原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
キチン/キトサン原料は予め精製することが好ましい。
さらに微細繊維原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることが好ましい。微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果で微細繊維原料の結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、微細繊維原料の微細化が進行しやすくなるためである。さらに、イオン性官能基を介して機能性材料4を吸着させることにより、担持することができる。
また、アニオン性官能基を有する微細繊維3に金属イオンを配位させて還元析出することで、機能性材料4として金属微粒子を担持することができる。
アニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。
セルロースの結晶表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷低減のためにはN-オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分以上5時間以下である。
N-オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。 添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nmの均一な繊維幅を有するTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF、セルロースシングルナノファイバー、CSNFともいう)が得られる。CSNFをパーソナルケア用粒子1のセルロースナノファイバーの原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
第i工程は、前記微細繊維3A分散液中において前記微細繊維3Aに機能性材料4を担持させて機能性材料担持微細繊維3Bの分散液を得る工程である。
微細繊維3に機能性材料4を付与する方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、微細繊維3の分散液に機能性材料4を添加して混合し、付着させる方法が用いられる。また、微細繊維3の分散液中で機能性材料4を合成して担持することができる。
機能性材料4を担持する際の微細繊維3Aの濃度は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。微細繊維3Aの濃度が0.1%未満であると、機能性材料4を効率よく担持させることが難しい。微細繊維3Bの濃度が20質量%を超えると、微細繊維3Aの粘度が非常に高く、十分に攪拌できずに均一な反応が難しくなる。
親水性溶媒7は、特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。
特に、水を50質量%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50質量%未満になると、微細繊維3の分散性が悪くなることがある。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
工程ia)少なくとも1種類のセルロースナノファイバーを含有する分散液を調製する、セルロースナノファイバー分散液準備工程と、
工程ib)少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバーとを含有する分散液を調製する、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液準備工程と、
工程ic)前記金属塩およびセルロースナノファイバー含有液中の金属イオンを還元して金属微粒子を担持させる、金属微粒子担持セルロースナノファイバー分散液調製工程と、
を有する。
セルロースナノファイバーへの金属微粒子の担持方法において、工程iaでは、少なくとも1種類のセルロースナノファイバー分散液を準備する。
まず、セルロースナノファイバー分散液を準備する。セルロースナノファイバー分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上10質量%であることがより好ましい。
セルロースナノファイバー分散液の固形分濃度が0.1質量%未満では、金属微粒子の粒子径の制御が難しい。一方、セルロースナノファイバー分散液の固形分濃度が20質量%を超えると、セルロースナノファイバー分散液の粘度が高くなり、工程ib(金属塩およびセルロースナノファイバー含有液準備工程)において、金属塩とセルロースナノファイバーとを均一に混ぜるのが難しくなり、工程ic(金属微粒子担持セルロースナノファイバー分散液調製工程)において、均一に還元反応を進行させることができなくなる。
金属微粒子およびセルロースナノファイバーの分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
少なくとも1種類のセルロースナノファイバー分散液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
セルロースナノファイバーへの金属微粒子の担持方法において、工程ibでは、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバーとを含有する分散液を調製し、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液を準備する。
少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバーを含有する溶液または分散液を調製する方法は、特に限定されない。例えば、少なくとも1種類のセルロースナノファイバーを含有する分散液(セルロースナノファイバー分散液)と、少なくとも1種類の金属塩を含有する溶液(金属塩含有溶液)とを用意し、セルロースナノファイバー分散液を攪拌しながら、セルロースナノファイバー分散液に金属塩含有溶液を添加して調製することができる。また、セルロースナノファイバー分散液に、直接、固体の金属塩を加えてもよく、金属塩含有溶液にセルロースナノファイバー分散液を添加してもよい。
金属塩含有溶液を準備する場合、金属塩含有溶液に用いる溶媒は、金属塩が充分に分散または溶解するものであれば、特に限定されない。
金属塩の溶解性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
また、金属塩含有溶液中の金属塩の濃度も特に限定されない。
金属塩およびセルロースナノファイバー分散液における金属塩の濃度は、特に限定されないが、0.002mmol/L以上20.0mmol/L以下であることが好ましい。特に、アニオン性官能基を有するセルロースナノファイバーを用いる場合、アニオン性官能基に金属イオンが配位するため、金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が、アニオン性官能基量未満となるように調製することが好ましい。金属塩の濃度(金属イオンの濃度)がセルロースナノファイバーのアニオン性官能基量を上回るとセルロースナノファイバーが凝集することがある。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
セルロースナノファイバーの分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
セルロースナノファイバーの固形分濃度が0.1質量%未満では、金属微粒子の粒子径を制御するのが難しくなる。一方、セルロースナノファイバーの固形分濃度が20質量%を超えると、セルロースナノファイバー分散液の粘度が高くなり、工程ibにおいて、金属塩とセルロースナノファイバーとを均一に混ぜるのが難しくなり、工程icにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなる。
環境への負荷の面からは、溶媒としては、水を用いることが好ましい。
金属微粒子およびセルロースナノファイバーの分散性の観点からは、溶媒としては、水や親水性溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。
金属塩およびセルロースナノファイバー含有液のpHは、特に限定されないが、pH2以上pH12以下であることが好ましい。
また、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液の温度は、特に限定されないが、溶媒に水を用いる場合には4℃以上100℃以下であることが好ましい。
セルロースナノファイバーへの金属微粒子の担持方法において、工程icでは、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液中の金属イオンを還元し、反応させることにより金属微粒子析出させると共に形状を制御し、目的の形状の金属微粒子を担持したセルロースナノファイバーを得る。
金属塩およびセルロースナノファイバー含有液中の金属イオンを還元させる方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、還元剤、紫外線、電子線、液中プラズマ等を用いる方法を採用することができる。金属イオンの還元に用いる還元剤としては、公知の還元剤を用いることができる。
金属塩およびセルロースナノファイバー含有液における還元剤の添加量(還元剤の濃度)は、特に限定されないが、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液における金属塩の濃度と等量以上となるようにすることが好ましく、0.002mmol/L以上2000mmol/L以下であることがより好ましい。
還元剤を用いて、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液中の金属イオンを還元させる場合の還元剤の添加方法は特に限定されないが、予め還元剤を水等の溶媒に溶解または分散させてから、その溶液または分散液を金属塩およびセルロースナノファイバー含有液に添加してもよい。
また、金属塩およびセルロースナノファイバー含有液に対する還元剤の添加速度は、特に限定されないが、還元反応が均一に進行するような方法で添加することが好ましい。
なお、セルロースナノファイバーへの金属微粒子の担持方法は、特に限定されないが、上述の工程ia、工程ib、工程icを少なくとも含むことが好ましい。各工程の間に他の工程が入ってもよい。
必要に応じて機能性材料担持セルロースナノファイバーをろ過や遠心分離等により洗浄し、遊離の機能性材料4を除去してもよい。
第2工程は、前記微細繊維3(3Aまたは3B)分散液中においてコア粒子前駆体を含む液滴6の表面を前記微細繊維3(3Aまたは3B)で被覆し、エマルションとして安定化させる工程である。
具体的には、製造方法Iでは、第i工程で得られた機能性材料担持セルロースナノファイバー分散液11Bに、製造方法IIでは、第1工程で得られた微細繊維分散液11Aに、コア粒子前駆体含有液を添加し、微細繊維3の分散液中に液滴6として分散させ、液滴6の表面を微細繊維3によって被覆し、微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを作製する工程である。微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションをエマルション液と呼ぶ。
O/W型エマルション構造において、液滴6の表層に形成された被覆層30(微細繊維層)の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。特に限定されないが、エマルション構造における粒径が第3工程において得られるパーソナルケア用粒子1の粒径と同程度となる。被覆層30の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
また、これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
また、重合性モノマーに重合開始剤を添加してもよい。一般的な重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
例えば2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2-アゾビス(2-メチルブチルアミド)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
第2工程において用いることができる重合性モノマーと重合開始剤の重量比については特に限定されないが、通常、重合性モノマー100質量部に対し、重合性開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合性モノマーが0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずにパーソナルケア用粒子1の収量が低下するため好ましくない。
溶解ポリマーを得るためのポリマーとしては、特に限定されないが、前記親水性溶媒7に溶解しにくいことが好ましい。ポリマーが親水性溶媒7に溶解すると、安定したエマルションを形成することができない。
ポリマーを溶融させた溶融ポリマーを得る方法としては、例えば常温で固体のポリマーを溶融させて液体とする。溶融ポリマーを前述のように超音波ホモジナイザー等による機械処理を加えながら、ポリマーの溶融状態を維持可能な温度にまで加熱された微細繊維3の分散液に添加することによって、分散液中で溶融ポリマー液滴をO/W型エマルションとして安定化することが好ましい。
機能性成分は、液滴6へ溶解または分散しやすく、親水性溶媒7に溶解または分散しにくいことが好ましい。液滴6に溶解或いは分散することにより、O/W型エマルションを形成した際にエマルションの液滴6中に機能性成分を内包しやすく、機能性成分を内包するパーソナルケア用粒子1を効率的に得ることができる。また、内包する機能性成分の量を増やすことが可能である。
液滴6内部の前記コア粒子前駆体を固体化させてコア粒子2の表面に微細繊維3(3Aまたは3B)が被覆された微細繊維3(3Aまたは3B)被覆粒子の分散液を得る工程である。
コア粒子前駆体を固体化させる方法については特に限定されない。コア粒子前駆体として重合性モノマーを用いた場合、重合性モノマーを重合することによりポリマー化することで、固体化できる。コア粒子前駆体として溶解ポリマーを用いた場合、液滴6内部の溶媒を親水性溶媒7に拡散させる方法や、溶媒を蒸発させる方法により溶媒を除去し、ポリマーを固体化できる。コア粒子前駆体として溶融ポリマーを用いた場合、溶融ポリマーを冷却して凝固させて固体化させることができる。
また、加熱時の温度条件については重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、20℃以上150℃以下が好ましい。20℃未満であると重合の反応速度が低下するため好ましくなく、150℃を超えると微細繊維3が変性する可能性があるため好ましくない。重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間~24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
溶解ポリマーの溶媒を拡散させる方法は、具体的には前記O/W型エマルション液に更に溶媒や塩の添加により液滴6内部の溶媒を拡散させる。親水性溶媒7への溶解性の低い溶媒が経時的に親水性溶媒7相へと拡散して行くことで、溶解ポリマーが析出して粒子として固体化させることができる。
上述の工程を経て、コア粒子2が微細繊維3によって被覆された粒子(微細繊維被覆粒子10、パーソナルケア用粒子1)を作製することができる。なお、微細繊維被覆粒子10(微細繊維3A被覆粒子)またはパーソナルケア用粒子1(機能性材料担持微細繊維3B被覆粒子)生成直後の状態は、パーソナルケア用粒子1の分散液中に多量の水と被覆層30に形成に寄与していない遊離した微細繊維3が混在した状態となっている。そのため、パーソナルケア用粒子1を回収・精製する必要があり、回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄またはろ過洗浄が好ましい。また、残留溶媒を除去してもよい。
残留溶媒の除去方法は特に限定されず、風乾やオーブンで熱乾燥にて実施することが可能である。こうして得られたパーソナルケア用粒子1を含む乾燥固形物は上述のように膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。
第ii工程は、前記微細繊維被覆粒子10(微細繊維3A被覆粒子)の分散液中で前記微細繊維3A被覆粒子の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持させる工程である。
微細繊維3A被覆粒子の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持させる方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、微細繊維3A被覆粒子を水やアルコール等の親水性溶媒に再分散させて微細繊維3A被覆粒子の分散液を作製し、機能性材料4を微細繊維3A被覆粒子の分散液に添加、混合して付着させる方法が用いることができる。また、微細繊維3A被覆粒子の分散液中で機能性材料4を合成して担持することができる。
微細繊維3A被覆粒子の分散液の溶媒は特に限定されないが、親水性溶媒7であることが好ましい。
特に、水を50質量%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50質量%未満になると、微細繊維3A被覆粒子の分散性が悪くなることがある。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
必要に応じて、微細繊維3A被覆粒子の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
工程iia)少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子を含有する分散液を調製する、セルロースナノファイバー被覆粒子分散液準備工程と、
工程iib)少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子とを含有する分散液を調製する、金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液準備工程と、
工程iic)前記金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製する、金属微粒子担持セルロースナノファイバー被覆粒子分散液調製工程と、
を有する。
セルロースナノファイバー被覆粒子への金属微粒子の担持方法において、工程iiaでは、少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子分散液を準備する。
まず、セルロースナノファイバー被覆粒子分散液を準備する。セルロースナノファイバー被覆粒子分散液の固形分濃度は、特に限定されないが、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上20質量%であることがより好ましい。
セルロースナノファイバー被覆粒子を分散させる溶媒、pHは第ia工程と同様である。
セルロースナノファイバー被覆粒子への金属微粒子の担持方法において、工程iibでは、少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子とを含有する分散液を調製する。
少なくとも1種類の金属塩と少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子分散液を調製する方法は、特に限定されない。例えば、少なくとも1種類のセルロースナノファイバー被覆粒子分散液と、少なくとも1種類の金属塩を含有する溶液(金属塩含有溶液)とを用意し、セルロースナノファイバー被覆粒子分散液を攪拌しながら、セルロースナノファイバー被覆粒子分散液に金属塩含有溶液を添加して調製することができる。また、セルロースナノファイバー被覆粒子分散液に、直接、固体の金属塩を加えてもよく、金属塩含有溶液にセルロースナノファイバー被覆粒子分散液を添加してもよい。
金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子分散液における金属塩の濃度は、特に限定されないが、0.002mmol/L以上20.0mmol/L以下であることが好ましい。特に、アニオン性官能基を有するセルロースナノファイバー被覆粒子を用いる場合、アニオン性官能基に金属イオンが配位するため、金属塩の濃度(金属イオンの濃度)が、アニオン性官能基量未満となるように調製することが好ましい。金属塩の濃度(金属イオンの濃度)がセルロースナノファイバー被覆粒子のアニオン性官能基量を上回るとセルロースナノファイバー被覆粒子が凝集することがある。
金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子分散液におけるセルロースナノファイバー被覆粒子の固形分濃度は、特に限定されないが、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
セルロースナノファイバー被覆粒子の固形分濃度が0.1質量%未満では、金属微粒子の粒子径を制御するのが難しくなる。一方、セルロースナノファイバーの固形分濃度が50質量%を超えると、セルロースナノファイバー被覆粒子の分散性が悪くなり、工程iibにおいて、金属塩とセルロースナノファイバー被覆粒子とを均一に混ぜるのが難しくなり、工程iicにおいて、均一に還元反応を進行させることができなくなる。
金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液の溶媒としては、第ib工程と同じものを用いることができる。pH、温度も第i工程と同様にすることができる。
セルロースナノファイバー被覆粒子への金属微粒子の担持方法において、工程iicでは、金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液中の金属イオンを還元し、反応液させることにより、金属微粒子を析出すると共に形状を制御し、金属微粒子を担持したセルロースナノファイバー被覆粒子を得る。
金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液中の金属イオンを還元させる方法は、工程icの方法と同様の方法を用いることができ、還元剤も同様のものを用いることができる。
金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液における還元剤の添加量(還元剤の濃度)は、特に限定されないが、金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液における金属塩の濃度と等量以上となるようにすることが好ましく、0.002mmol/L以上2000mmol/L以下であることがより好ましい。
還元剤を用いて、金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液中の金属イオンを還元させる場合の還元剤の添加方法は特に限定されないが、予め還元剤を水等の溶媒に溶解または分散させてから、その溶液または分散液を金属塩およびセルロースナノファイバー被覆粒子含有液に添加してもよい。
なお、セルロースナノファイバー被覆粒子への金属微粒子の担持方法は、特に限定されないが、上述の工程iia、工程iib、工程iicを少なくとも含むことが好ましい。各工程の間に他の工程が入ってもよい。
尚、特に記載のない限り、第ii工程においては、第i工程におけるセルロースナノファイバーの代わりにセルロースナノファイバー被覆粒子を用いて同様の条件を適用することができる。
本実施形態のパーソナルケア用粒子1の乾燥粉体をその他の化粧品原料に混合或いは分散させてメイクアップ製品等のパーソナルケア用品に使用できる。また、パーソナルケア用粒子1、化粧品原料等を含む溶媒に分散させ、パーソナルケア用組成物として使用することができる。
本発明のパーソナルケア用粒子の一態様によれば、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維の溶媒過多の問題を解決すると共に、簡便な方法で製造可能な新たな様態の微細繊維を有するパーソナルケア用粒子を提供することができる。
また、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆されていることにより、粒子同士が凝集することなく、滑りや肌なじみがよく、保湿性に優れたパーソナルケア用粒子を提供することができる。
更に、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線防止(吸収および/または散乱)、発色、抗菌、等の機能性材料の機能を効果的に発揮するパーソナルケア用粒子を提供できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。例えば、コア粒子2にはポリマー及び機能性成分の他にその他成分を含んでも構わない。
<実施例1>
(第1工程:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.0mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプ(酸化セルロース)を得た。
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。
(酸化セルロースの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化セルロース0.5gを99.5gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、濃度0.5%のセルロースナノファイバー水分散液を得た。
(セルロースナノファイバーの評価)
得られた酸化セルロース、セルロースナノファイバーについて、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率およびレオロジーの測定や算出を次のように行った。得られたセルロースナノファイバーの評価結果を表1、図4、図5に示す。
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥重量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。
そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。
そこに、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。
得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
原子間力顕微鏡を用いて、セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、セルロースナノファイバー水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。
乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードでセルロースナノファイバーの形状を観察した。
セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
セルロースナノファイバー0.5質量%の水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないようにセルロースナノファイバー水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから800nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
セルロースナノファイバー0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。
測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、セルロースナノファイバー分散液はチキソトロピック性を示した。せん断速度が10s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
(工程ia:セルロースナノファイバー分散液の準備)
0.5質量%のセルロースナノファイバーの分散液50gを準備した。
(工程ib:硝酸銀水溶液及びセルロースナノファイバー含有液の調製)
100mMの硝酸銀(I)水溶液を調製した。0.5質量%のセルロースナノファイバーの分散液50gに対し、温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mMの硝酸銀水溶液1.0gを添加し、30分攪拌を続けた。
(工程ic:還元析出)
水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水に溶解し、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。硝酸銀水溶液及びセルロースナノファイバー含有液を温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を1.0g添加し、さらに60分攪拌を続けることによって銀微粒子担持セルロースナノファイバーの分散液を作製した。得られた分散液は銀微粒子由来の黄色を呈し、銀微粒子の生成が示された。
次に、重合性モノマーであるジビニルベンゼン(以下、DVBとも称する。)10gに対し、重合開始剤である2、2-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(以下、ADVNとも称する。)を1g溶解させた。
前記重合性モノマー混合液全量を、銀微粒子担持セルロースナノファイバー分散液40gに対し添加したところ、重合性モノマー混合液とセルロースナノファイバー分散液はそれぞれ2相に分離した。
次に、上記2相分離した状態の混合液における上相の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液の外観は白濁した乳化液の様態であった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、数μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却した。重合反応の前後で分散液の外観に変化はなかった。
得られた分散液に対し、遠心力75,000gで5分間処理したところ、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで交互に2回ずつ洗浄した。
こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、球状銀微粒子のLSPRに由来する黄色の肌理細やかな乾燥粉体(パーソナルケア用粒子)を得た。
得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図6に示す。O/W型エマルション液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した、真球状の粒子が無数に形成していることが確認され、さらに、その表面は幅数nmのセルロースナノファイバーによって均一に被覆されていることが確認された。ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、粒子の表面は等しく均一にセルロースナノファイバーによって被覆され、コア粒子とセルロースナノファイバーは結合しており、不可分の状態にあることが示された。
更に、乾燥粉体を包埋し、樹脂にミクロトームにより断面を切削して走査型電子顕微鏡にて観察を行ったところ、コア粒子の表面に均一な被覆層が形成されていることが確認された。
このように、ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、パーソナルケア用粒子の表面は等しく均一にセルロースナノファイバーによって被覆され、セルロースナノファイバーの表面に機能性材料として球状銀微粒子が担持されていることから、本実施形態のパーソナルケア用粒子1を得られたことが示された。
乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して再分散させたところ、容易に再分散し、目視で凝集も見られなかった。また、粒度分布計を用いて粒径を評価したところ、平均粒径は乾燥前と同程度であり、粒度分布計のデータにおいても凝集を示すようなシグナルは存在しなかった。以上のことから、パーソナルケア用粒子1はその表面がセルロースナノファイバーで被覆されているにもかかわらず、乾燥によって膜化することなく粉体として得られ、かつ再分散性も良好であることが示された。
実施例1の第i工程の工程ic工程において、酸素ガスをバブリングした以外は実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を得た。得られたパーソナルケア用粒子1の乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図7に示す。
<実施例3>
実施例1において、TEMPO酸化CNFの代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献6に従い作製したキチンナノファイバー(キチンNFともいう)分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を作製した。
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献2に従いカルボキシメチル化(以下、CM化とも称する。)処理を行って得られたCM化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を作製した。
<実施例5>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた非特許文献1に従いリン酸エステル化処理を行って得られたリン酸エステル化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を作製した。
(第1工程:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
実施例1と同様の条件でセルロースナノファイバー分散液を得た。
(第i工程:機能性材料担持工程)
実施例1と同様の条件で球状銀微粒子担持セルロースナノファイバー分散液を得た。
(第2工程:O/W型エマルションを作製する工程)
次に、ポリ乳酸(PLA)10gを100gのジクロロエタンに溶解、混合し、溶解ポリマーを調製した。
溶解ポリマー全量を、0.5質量%の球状銀微粒子担持セルロースナノファイバー分散液500gに対し添加したところ、溶解ポリマーと球状銀微粒子担持セルロースナノファイバー分散液はそれぞれ2相に分離した。
次に、上記2相分離した状態の混合液における上層の液面から超音波ホモジナイザーを用いて実施例1の第2工程と同様に超音ホモジナイザー処理した。光学顕微鏡にて1~数十μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
上記O/W型エマルション液を700mgHgの減圧条件下で40℃で3時間減圧乾燥してジクロロエタンを完全に揮発させた。ジクロロエタンの揮発前後で分散液の外観に変化はなかった。
得られた分散液を実施例1と同様の条件で分離・精製したところ、1~数十μm程度の粒子径のパーソナルケア用粒子1を得られた。実施例1と同様の条件で回収物を乾燥したところ、球状銀微粒子のLSPRに由来する黄色の肌理細やかな乾燥粉体(パーソナルケア用粒子1)を得た。
実施例6において、第1工程、第i工程と同様の条件で球状銀微粒子担持セルロースナノファイバーを調製し、第2工程にて、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL、和光純薬製)10gを200gの酢酸エチルに溶解して溶解ポリマーを調製した以外は第2工程と同様にO/W型エマルション液を調製後、第3工程にてO/W型エマルション液を700mgHgの減圧条件下で、40℃で5時間減圧乾燥し、酢酸エチルを完全に揮発させた。
それ以外は実施例6と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を得た。
実施例1において、第1工程の後に第i工程を行わずに第2工程と第3工程と洗浄及び乾燥工程を行った後、以下の第ii工程を行った後、以下の方法で洗浄および乾燥した。それ以外は実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を得た。
(第ii工程:機能性材料4担持工程)
(工程iia:セルロースナノファイバー被覆粒子分散液の準備)
第1工程、第2工程、第3工程、洗浄および乾燥工程において得られたセルロースナノファイバー被覆粒子を、純水に分散させ、0.5質量%のセルロースナノファイバー被覆粒子の分散液50gを準備した。
(工程iib:硝酸銀水溶液及びセルロースナノファイバー被覆粒子含有液の調製)
100mMの硝酸銀(I)水溶液を調製した。0.5質量%のセルロースナノファイバー被覆粒子の分散液50gに対し、温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mMの硝酸銀水溶液1.0gを添加し、30分攪拌を続けた。
水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水に溶解し、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。硝酸銀水溶液及びセルロースナノファイバー被覆粒子含有液を温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を1.0g添加し、さらに60分攪拌を続けることによって球状銀微粒子担持セルロースナノファイバー被覆粒子の分散液を作製した。得られた分散液は球状銀微粒子由来の黄色を呈し、球状銀微粒子の生成が示された。
孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水を用いて4回洗浄した。こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。
次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、球状銀微粒子に由来する黄色を呈する肌理細やかな乾燥粉体(パーソナルケア用粒子1)を得た。
実施例1の第i工程において、硝酸銀水溶液の代わりにテトラクロロ金(III)酸ナトリウムの水溶液を用いた以外は実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を得た。得られたパーソナルケア用粒子1の乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図8に示す。
実施例1において、第1工程の後に第i工程を行わずに第2工程と第3工程と洗浄及び乾燥工程を行った後、以下の第ii工程を行い、以下の方法で洗浄及び乾燥を行った。それ以外は実施例1と同様の条件でパーソナルケア用粒子1を得た。
(第ii工程:機能性材料4担持工程)
第1工程、第2工程、第3工程、洗浄および乾燥工程において得られたセルロースナノファイバー被覆粒子を、純水に分散させ、5質量%のセルロースナノファイバー被覆粒子の分散液10gを準備した。続いて、カチオン染料であるローダミンBを純水に溶解し、5質量%のローダミンB水溶液10gを準備した。ローダミンBの水溶液を攪拌しながらセルロースナノファイバー被覆粒子の分散液を添加してしばらく攪拌した。
孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水を用いて4回洗浄した。こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。
次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、ローダミンBに由来する赤色を呈する肌理細やかな乾燥粉体(パーソナルケア用粒子1)を得た。
実施例1において、第2工程及び第3工程を行わなかった以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例2>
実施例1において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりに純水を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例3>
実施例1において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりにカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも称する。)水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
実施例6において、第1工程において、セルロースナノファイバー分散液の代わりにポリビニルアルコール(PVA)を8質量部、ラウリン酸ポリグリセリル-10(PGLE ML10)0.5質量部を純水500gに溶かした水溶液を用い、第2工程は実施例6と同様の条件でO/W型エマルション液を調製した。第3工程において、得られたO/W型エマルション液を、スプレードライヤー装置を用いて乾燥温度100℃で噴霧乾燥し、粒子を作製した。
<比較例5>
比較例4において、ラウリン酸ポリグリセリル-10(PGLE ML10)を添加しなかった以外は比較例4と同様の条件で実施した。
<比較例6>
実施例8において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりにカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも称する。)水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
比較例1において、硝酸銀水溶液の代わりにテトラクロロ金(III)酸ナトリウムの水溶液を用いた以外は実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例8>
比較例1において、第i工程の工程icにおいて酸素ガスをバブリングした以外は実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例9>
市販のスチレン-ジビニルベンゼン共重合マイクロビーズ(粒子径4.5μm、テクノケミカル)と球状銀微粒子(粒子径10nm、シグマアルドリッチ)の混合物乾燥粉体(従来のポリマー粒子)について、実施例1と同様に各種評価を実施した。
(パーソナルケア用粒子の生成可否評価)
パーソナルケア用粒子の形成可否は、走査型電子顕微鏡による形状観察により判断した。得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察した。
○:真球状の粒子が得られ、表面にセルロースナノファイバーが被覆されており、セルロースナノファイバーに機能性材料が担持されていた。
×:上記粒子は得られなかった。
として判定した。
第3工程或いは第ii工程にて得られた分散液に対し、遠心力75,000gで5分間処理し、デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで交互に2回ずつ洗浄した。
○:遠心分離により沈殿物を回収し、メンブレンフィルター上に試料を回収できた。
×:遠心分離により沈殿物を回収できなかった。または、メンブレンフィルター上に試料を回収できなかった
として判定した。
(分散性の評価)
乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して分散させ、目視で凝集があるか確認した。
〇:目視で凝集物が確認されなかった。
×:目視で凝集物が確認された。
として判定した。
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例および比較例の各乾燥粉体を塗布した。具体的には各乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。肌に塗布した際の使用感について、以下のように判定した。
○:肌に対するなじみが良く、肌への刺激が少ない。
×:肌に対するなじみが悪く、肌への刺激を感じる。
として判定した。
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例および比較例の各乾燥粉体を塗布した。具体的には乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。塗布してから30分経過したのち、モイスチャーチェッカーMY-707S(スカラ株式会社)にて、乾燥粉体塗布箇所の肌の水分量を測定した。
○:水分量が60%以上であった。
×:水分量が60%未満であった。
として判定した。
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例および比較例の各乾燥粉体を塗布した。具体的には乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。
○:目視で着色が均一であった。
×:目視で着色が不均一であった。
として判定した。
また、目視で乾燥粉体の色を確認した。
表2の実施例1から実施例10の評価結果において明らかなように、微細繊維の種類(TEMPO酸化CNF、CM化CNF、リン酸エステル化CNF、キチンNF)によらず、各種モノマーの重合物や生分解性ポリマーを含むコア粒子2とするパーソナルケア用粒子1を作製可能であることが確認された。また、実施例1及び実施例8に示すように、作製方法I及び作製方法IIにおいてパーソナルケア用粒子1を作製できた。
実施例1から実施例10で得られたパーソナルケア用粒子1は、ろ過洗浄が可能であり、乾燥後も再分散性が良好であり、優れた肌なじみ、保湿性、均一な着色性を示した。
一方、比較例1、比較例7、比較例8においては、各種形状、金属種の金属微粒子をセルロースナノファイバーに担持して金属微粒子担持セルロースナノファイバーの分散体を作製した。
比較例2及び比較例5においては、第2工程の遂行が不可能であった。具体的には、超音波ホモジナイザー処理を実施してもモノマー相或いは溶解ポリマー相とセルロースナノファイバー分散液相が2相分離したままの状態、或いはエマルションがすぐに崩壊してしまい、安定したO/W型エマルションの作製が不可能であった。
比較例2から比較例6において、使用感、保湿性、着色性を評価した結果、肌なじみが良好でなく、保湿量が低く、目視で着色に不均一性が観察された。比較例2から比較例6においては、セルロースナノファイバーによる保湿効果や分散効果が得られず、使用感や着色性が良好でなかったと考えられる。
比較例9においては、使用感に優れていたが、水への分散性や保湿性、着色性が良好でなかった。
また、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆されていることにより、肌触りがよく、保湿性に優れたパーソナルケア用粒子を提供することができる。
更に、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線遮蔽(吸収および/または散乱)、発色、抗菌、消臭等の機能性材料の機能を効果的に発揮するパーソナルケア用粒子を提供できる。
また、パーソナルケア用粒子を含むパーソナルケア用品やパーソナルケア用組成物を提供することができる。例えば、ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品に利用することができる。具体的には、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、美容液、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリームおよび石鹸等である。
2 コア粒子
3 微細繊維(セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維)
3A 未担持の微細繊維
3B 機能性材料が担持された微細繊維
4 機能性材料
6 液滴
7 親水性溶媒
10 微細繊維被覆粒子
11 微細繊維の分散液
11A 未担持の微細繊維の分散液
11B 機能性材料担持微細繊維の分散液
12 微細繊維被覆粒子の分散液
Claims (1)
- セルロース原料またはキチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、セルロースナノファイバーおよびキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
前記微細繊維分散液にコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、前記液滴の表面を前記微細繊維で被覆する工程と、
前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
前記微細繊維被覆粒子の分散液中で前記微細繊維被覆粒子の表面の前記微細繊維に、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料を担持させる工程と、
を有するパーソナルケア用粒子の製造方法。
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