JP2022063042A - 複合粒子、複合粒子の製造方法、パーソナルケア用品、及びパーソナルケア用組成物 - Google Patents

複合粒子、複合粒子の製造方法、パーソナルケア用品、及びパーソナルケア用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆され、柔軟性の高いコア粒子を有し、粒子径が均一で真球状であることにより、水分散性に優れ、質感が良好で滑りや肌なじみがよく、保湿性に優れた複合粒子を効率良く提供する。【解決手段】この発明の複合粒子1は、ウレタン結合を有するポリマーを含有する材料で形成されたコア粒子2と、コア粒子2の表面に結合されて不可分の状態にある、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、複合粒子、複合粒子の製造方法、パーソナルケア用品、及びパーソナルケア用組成物に関する。
スキンケアやメイクアップ、ヘアケア、オーラルケア、ネイルケアなどを目的としたパーソナルケア製品(パーソナルケア用品)には、様々な機能性材料が添加されている。例えば、ファンデーション等のメイクアップ製品には、油脂・ロウ類をはじめとする油性原料、紫外線吸収剤や着色剤、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物等の機能性材料や、肌なじみをよくするためにマイクロ粒子等が含まれる。
また、スキンケア製品には、水、アルコールあるいはオイル等を任意の配合で組み合わせた分散溶媒分に対し、機能性材料が添加されている。
これらのパーソナルケア製品には、保湿や発色、紫外線防止、抗菌、皮膚などに塗布する際の滑り性や肌なじみのよさ、といった各種要求特性を満たすために使用される。
従来から、実用化されているパーソナルケア製品として、各種マイクロ粒子やマイクロカプセルが添加されたものが挙げられる。通常、マイクロ粒子は、ポリエチレン、ポリプロピレン、といった各種ポリマーから形成されたマイクロサイズオーダーの粒子であり、ファンデーションの母材として用いられたり、あるいは角質除去剤として洗顔料に用いられたり、といったように、パーソナルケア用途向けに広範に利用されている。
また、マイクロ粒子を芯物質として粒子表面を壁膜で被覆したマイクロカプセル構造とすることにより、更なる機能性の付与・発現が試みられている。具体的には、芯物質内に医薬品、香料、酵素、顔料、染料、等の機能性材料を取り込ませた上でマイクロカプセル化することで、該機能性材料の保護や、放出挙動の制御などが可能となる。芯物質を覆う壁膜自体に機能性材料を更に付与することも可能である。
しかし、マイクロサイズオーダーのマイクロ粒子は、高比表面積のため一般的に凝集しやすく、分散安定性が課題となっている。
このように、マイクロ粒子として、分散安定性が良く、保湿性や発色性等の各種機能を発揮する肌なじみがよいパーソナルケア製品に適用可能な、新たなマイクロ粒子を提供することが強く望まれている。
一方、近年、木材中のセルロース繊維やカニ等の甲殻類の殻を構成するキチン及び/又はキトサンを、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
例えば、特許文献1には、木材セルロースに対しブレンダーやグラインダーによる機械処理を繰り返すことで、微細化セルロース、すなわちセルロースナノファイバー(以下、CNFとも称する)が得られることが開示されている。この方法で得られるCNFは、短軸径が10~50nm、長軸径が1μmから10mmに及ぶことが報告されている。このCNFは、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを誇り、250m/g以上の膨大な比表面積を有することから、樹脂強化用フィラーや吸着剤としての利用が期待されている。
また、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように予め化学処理したのち、家庭用ミキサー程度の低エネルギー機械処理により微細化してCNFを製造する試みが活発に行われている。上記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維にアニオン性官能基を導入して微細化しやすくする方法が好ましい。セルロース繊維にアニオン性官能基が導入されることによってセルロースミクロフィブリル構造間に浸透圧効果で溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化に要するエネルギーを大幅に減少することができる。
上記アニオン性官能基の導入方法としては特に限定されないが、例えば非特許文献1にはリン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。
特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
比較的安定なN-オキシル化合物である2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル(TEMPO)を着色として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法も報告されている(例えば、特許文献3を参照)。TEMPOを着色として用いる酸化反応(TEMPO酸化反応)は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能であり、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
TEMPO酸化によって選択的に結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の電離に伴う浸透圧効果により、溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースシングルナノファイバー(以下、CSNF、TEMPO酸化セルロースナノファイバー、TEMPO酸化CNFとも称する)を得ることが可能となる。CSNFは、表面のカルボキシ基に由来した高い分散安定性を示す。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来のCSNFは、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm~数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液及び成形体は高い透明性を有することが報告されている。また、特許文献4にはCSNF分散液を塗布乾燥して得られる積層膜が、ガスバリア性を有することが報告されている。
更に、CNF又はCSNFに更なる機能性を付与する検討がなされている。例えば、CSNF表面のカルボキシ基を利用した更なる機能性付与も可能である。特許文献6には、CSNF表面のカルボキシ基に金属イオンを吸着させた状態で金属を還元析出させることにより、金属ナノ粒子がCSNFに担持された複合体(金属ナノ粒子担持CSNF)が開示されている。この特許文献5には、金属ナノ粒子担持CSNFを触媒として用いる例が開示されており、金属ナノ粒子を高比表面積な状態で分散安定化させることが可能となることにより触媒活性が向上することが報告されている。
特許文献6では、カニ殻等から採取したキチン及び/又はキトサンを極細繊維に粉砕することでキチンナノファイバー(キチンナノファイバー)を得られることが開示されている。キチンナノファイバーは、循環型資源であり、抗菌性や生分解性を有しており、食品や化粧品への添加、フィルムなどの補強繊維、農業資源への利用、医療用途への利用などが期待される。
キチン及び/又はキトサンは強い水素結合で互いに密に結合しているため、キチン及び/又はキトサンから完全に一本一本のナノファイバーを調製することは容易ではない。特許文献6に記載されたキチンナノファイバーとその製造方法によれば、簡便な工程で、一本一本に分離されたキチンナノファイバーを含む分散液を得ることができる。
このように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーをはじめとする、天然材料由来の微細繊維に新たな機能性を付与する高機能部材開発に関して、様々な検討がなされている。
ここで、これらの微細繊維の実用化に向けては、得られる微細繊維の分散液の固形分濃度が0.1~5%程度と低くなってしまうことが課題となっている。例えば微細繊維の分散体を輸送しようとした場合、大量の溶媒を輸送するに等しいため輸送費の高騰を招き、事業性が著しく損なわれるという問題がある。
しかしながら、単純に熱乾燥などで微細繊維の分散液の溶媒を除去してしまうと、微細繊維同士が凝集・角質化し、あるいは膜化してしまい、微細繊維の高比表面積である特性を有効に活用することが困難であり、安定な機能発現が困難になってしまう。更に微細繊維の固形分濃度が低いため、乾燥による溶媒除去工程自体に多大なエネルギーが掛かってしまうことも事業性を損なう一因となる。
このように、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーなどの微細繊維を分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性を損なう原因となる。よって、粒子の表面に微細繊維が結合された複合粒子として、微細繊維の高比表面積である特性を有効に活用できる新たな取り扱い様態を有し、洗浄や溶媒からの分離が容易なものが強く望まれている。
特開2010-216021号公報 国際公開第2014/088072号 特開2008-001728号公報 国際公開第2013/042654号 国際公開第2010/095574号 特開2010-180309号公報公報
Noguchi Y, Homma I, Matsubara Y. Complete nanofibrillation of cellulose prepared by phosphorylation. Cellulose. 2017;24:1295.10.1007/s10570-017-1191-3
本発明の目的は、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆され、柔軟性の高いコア粒子を有し、粒子径が均一で真球状であることにより、水分散性に優れ、質感が良好で滑りや肌なじみがよく、保湿性に優れた複合粒子を効率良く提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様、第二態様は以下の構成を有する。
〔第一態様〕
ウレタン結合を有するポリマーを含有する材料で形成されたコア粒子と、前記コア粒子の表面に結合されて不可分の状態にある、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維と、を有する複合粒子。
〔第二態様〕
セルロース原料又はキチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
前記微細繊維分散液にコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、前記液滴の表面を前記微細繊維で被覆する工程と、
前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された複合微細繊維被覆粒子の分散液を得る工程と、
を有する複合粒子の製造方法。
第一態様の複合粒子は、パーソナルケア用品及びパーソナルケア用組成物に含有させることができる。
本発明の第一態様によれば、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆され、柔軟性の高いコア粒子を有し、粒子径が均一で真球状であることにより、水分散性に優れ、質感が良好で滑りや肌なじみがよく、保湿性に優れた複合粒子を効率良く提供することができる。
セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維の溶媒過多の問題を解決すると共に、簡便な方法で製造可能な新たな様態の微細繊維を有する複合粒子を提供することができる。
また、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線防止(吸収及び/又は散乱)、発色、抗菌、等の機能性材料の機能を効果的に発揮するパーソナルケア用の複合粒子を提供できる。
本発明の第二態様の製造方法によれば、本発明の第一態様の複合粒子を製造することができる。
本発明の一実施形態の複合粒子を示す概略図である。 実施形態の複合粒子の製造方法(製造方法I)を説明する図である。 実施形態の複合粒子の製造方法(製造方法II)を説明する図である。 実施例1で得られたセルロースナノファイバーの水分散液について分光透過スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 実施例1で得られたセルロースナノファイバーの水分散液に対し、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った結果を示すグラフである。 実施例1で得られた複合粒子の顕微鏡写真(SEM画像)である。 実施例4で得られた複合粒子の顕微鏡写真(SEM画像)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の複合粒子1は、ウレタン結合を有するポリマーを含有する材料で形成されたコア粒子2と、コア粒子2の表面に結合されてコア粒子2と不可分の状態にある微細繊維3と、を有する。微細繊維3は、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである。微細繊維3は、セルロースナノファイバーとキチンナノファイバーの両方を含んでもよい。
本実施形態では、微細繊維3がコア粒子2の表面を覆う被覆層30として形成されていることが好ましい。また、機能性材料4が微細繊維3に担持されていることが好ましい(図3参照)。
複合粒子1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、化学的調製法や物理化学的調製法を用いることができる。
化学的調製法としては、重合性モノマーから重合過程で粒子形成を行う重合造粒法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、放射線重合法等)が挙げられる。
物理化学的調製法としては、微小液滴化したポリマー溶液から粒子形成を行う分散造粒法(スプレードライ法、液中硬化法、溶媒蒸発法、相分離法、溶媒分散冷却法等)が挙げられる。
例えば、微細繊維3を用いたO/W型ピッカリングエマルションを形成させ、液滴内部のコア粒子前駆体を固体化さてコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された微細繊維被覆粒子を作製することで、コア粒子2と微細繊維3とが結合して不可分の状態にある複合粒子1を得ることができる。微細繊維3を用いることで界面活性剤等の添加物を用いることなく、安定した液滴を形成することが可能であり、分散性が高く、機能性材料による高い効果を発揮し、柔軟性が高く質感のよい複合粒子1を得ることができる。
コア粒子前駆体は、固体化してコア粒子2を形成するものであればよく、例えば、重合性を有する化合物、溶融ポリマー、溶解ポリマーである。
コア粒子前駆体の固体化の方法は特に限定されず、重合性を有する化合物を重合する、溶融ポリマーを凝固させる、溶解ポリマーから溶媒を除去する、ことにより、コア粒子前駆体を固体化することができる。
ここで、パーソナルケア用品とは、化粧品類や洗面用具など、人の肌を清潔に保ち、身だしなみを整えたり、美化したりする製品である。パーソナルケア用品とは、ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ネイルケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品等のことである。パーソナルケア用品としては、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリーム及び石鹸等が例示できる。尚、パーソナルケア用組成物とは、液体あるはペースト状のパーソナルケア用品である。
本実施形態の複合粒子1は、図2及び図3に示す製造方法で製造することができる。
図2に示す製造方法は、上述の第二態様の製造方法(製造方法I)に相当し、工程1と工程2と工程3を有する。
工程1は、図2(a)に示すように、セルロース原料又はキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3Aの分散液を得る工程である。
工程2は、図2(b)に示すように、微細繊維3の分散液にコア粒子前駆体を含む液滴6を分散させ、液滴6の表面を微細繊維3で被覆する工程である。
工程3は、図2(c)に示すように、液滴6の内部のコア粒子前駆体を固体化する工程である。この工程により、複合粒子1(コア粒子2の表面に微細繊維3Aが被覆された微細繊維被覆粒子)の分散液が得られる。
そして、その分散液をろ過することで、複合粒子1を分離することができる。
つまり、製造方法Iでは、親水性溶媒7に分散した液滴6の界面に微細繊維3が吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。そして、この安定化状態を維持したまま、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化することによって、複合粒子1を得る。
図3に示す製造方法(製造方法II)は、工程1と工程2と工程3と工程iを有する。
工程1は、図3(a)に示すように、セルロース原料又はキチン/キトサン原料を親水性溶媒7中で解繊して、未担持のセルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維3Aの分散液を得る工程である。
工程2は、図3(b)に示すように、微細繊維3Aの分散液にコア粒子前駆体を含む液滴6を分散させ、液滴6の表面を微細繊維3Aで被覆する工程である。
工程3は、図3(c)に示すように、液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化して、コア粒子2の表面に微細繊維3Aが被覆された複合粒子1(微細繊維3A被覆粒子)の分散液を得る工程である。
工程iは、図3(d)に示すように、複合粒子1の分散液中で複合粒子1の表面の微細繊維3Aに、パーソナルケア機能を発揮する機能性材料4を担持させる工程である。この工程により、機能性材料を担持した複合粒子1が得られる。
そして、その分散液をろ過することで、機能性材料を担持した複合粒子1を分離することができる。
つまり、製造方法IIでは、親水性溶媒7に分散したコア粒子前駆体を含む液滴6の界面に微細繊維3Aが吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。そして、この安定化状態を維持したまま、エマルション内部のコア粒子前駆体を固体化して、コア粒子2の表面が微細繊維3Aで被覆された複合粒子1を得る。その後、複合粒子1の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持させることにより、機能性材料を担持した複合粒子1を得る。
ここで言う「不可分」とは、複合粒子1を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、更に溶媒を加えて再分散することで複合粒子1を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、コア粒子2と微細繊維3とが分離せず、微細繊維3によるコア粒子2の被覆状態が保たれることを意味する。被覆状態の確認は走査型電子顕微鏡による複合粒子1の表面観察により確認することができる。複合粒子1において微細繊維3とコア粒子2の結合メカニズムについては定かではないが、複合粒子1が微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体に微細繊維3が接触した状態で、コア粒子前駆体を固体化してコア粒子2とするために、物理的に微細繊維3がコア粒子2表面に固定化されて、最終的にコア粒子2と微細繊維3とが不可分な状態に至ると推察される。
ここで、O/W型エマルションは、水中油滴型(Oil-in-Water)とも言われ、水を連続相とし、その中に油が油滴(油粒子)として分散しているものである。
微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として複合粒子1を作製すると、O/W型エマルションが安定化される。このため、複合粒子1の形状はO/W型エマルションに由来した真球状となる。詳細には、真球状のコア粒子2の表面に微細繊維3からなる被覆層30が比較的均一な厚みで形成された様態となることが好ましい。
複合粒子1の粒径は、光学顕微鏡観察により確認できる。100箇所ランダムに測定し、粒子の直径の平均値を取ることで平均粒径を算出できる。その平均粒径を複合粒子1の粒径とすればよい。平均粒径は、特に限定されないが、0.01μm以上1000μm以下であることが好ましい。平均粒径は、より好ましくは0.05μm以上100μm以下、更に好ましくは0.10μm以上20μm以下である。微細繊維3が液-液界面に吸着して安定したピッカリングエマルションを形成することにより、粒子径が小さく、均一な複合粒子1を得ることができる。
本実施形態の複合粒子1は、球状であり、特に真球状であることが好ましい。微細繊維3により安定したO/W型ピッカリングエマルションが形成し、これにより真球状の複合粒子1を得ることができる。真球状であるとクレンジング剤やスキンケア製品等の化粧品として用いる際に滑らかな使用感を得ることができる。真球度の指標は、画像分析型粒度分布計による円形度から評価することができる。円形度が0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.9以上である。円形度が0.6未満であると、滑らかな使用感を得るのが難しくなる。平均円形度は、画像分析型粒度分布計にて測定した1000個以上の粒子の円形度の平均値として算出することができる。その平均円形度を上記真球度の指標とするとよい。なお、画像上における複合粒子の面積をS、周囲長をLとしたとき、円形度は、「円形度=4πS/L」の式で算出でき、円形度が1に近いほど真球度が高くなる。
複合粒子1のコア粒子2は柔軟性が高いため、圧壊強度は1MPa以上800MPa以下であることが好ましく、圧壊しないことがより好ましい。圧壊強度は、JIS R 1639-5:2007(ファインセラミックス-か(顆)粒特性の測定方法-第5部:単一か粒圧壊強さ)に基づき、圧壊試験にて測定すればよい。
圧壊強度の評価は、例えば次のように行うことができる。微小圧縮試験機MCT-510にて20μmの平坦圧縮端子を用い、試料台に粒子を散布し、圧壊試験を行った。N=10にて実施して圧壊強度を測定した。圧壊強度の算出には以下の式を用いた。
圧壊強度は「σ =α ×P/(π d)」で表すことができる。
ここで、σ:圧壊強さ(Pa)、α:係数、P:圧壊試験力(N)、d:複合粒子1の粒径(m)、である。
αとしては、値が最大となる位置の値「2.8」を用いることができる。
また、複合粒子1は、圧縮試験において10%変位強度が、0.01MPa以上20MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.02MPa以上10MPa以下、更に好ましくは0.05MPa以上1MPa以下である。10%変位強度は、粒子径に対して10%変位(圧縮)した時点での強度のことであり、基本的にJIS Z 8844:2019(微小粒子の破壊強度及び変形強度の測定方法)の方法で行う。
10%変位強度の評価は、微小圧縮試験機MCT-510にて20μmの平坦圧縮端子を用い、試料台に粒子を散布し、最大試験力1.0mN、負荷速度0.045mN/sの条件にて行うことができる。N=10にて実施して10%変位強度を測定する。粒子径に対して10%変位(圧縮)した時点での強度(10%変位強度)を圧壊試験の圧壊強度と同じの式を用いて求めることができる。
分散安定性の観点から、微細繊維3は、コア粒子2表面に被覆層30を形成することが好ましい。被覆層30はコア粒子2表面の全面を覆うことが好ましいが、必ずしも全面を覆わなくてもよい。微細繊維3で構成される被覆層30の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。
被覆層30の平均厚みは、複合粒子1を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中の複合粒子1の断面像における被覆層30の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出できる。
また、複合粒子1は、比較的揃った厚みの被覆層30で均一に被覆されていることが好ましい。被覆層30の厚みが均一であると分散安定性が高い。具体的には、上述した被覆層30の厚みの値の変動係数は、0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。
本実施形態における微細繊維3は、セルロースナノファイバー及び/又はキチンナノファイバーである。
セルロースナノファイバー3は、セルロース、セルロース誘導体からなる数平均短軸径が1nm以上1000nm以下のファイバーである。キチンナノファイバーは、キチン及び/又はキトサン、キチン及び/又はキトサンの誘導体からなる数平均短軸径が1nm以上1000nm以下のファイバーである。
セルロースナノファイバー(CNF)は、木材等から得られるセルロース原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細繊維3であり、安全で生分解性を有する。
キチンナノファイバー(キチンNF)は、カニ殻等から採取したキチン及び/又はキトサン(以下、キチン/キトサン)原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細繊維3であり、安全で生分解性を有し、抗菌性を有する。特に特許文献6の方法で作製されたキチンナノファイバーは、化学変性していないキチン及び/又はキトサンからなるものであり、安全性確認が不要であることから、特に、食品、医療、薬剤、パーソナルケアなど、体内に取り込んで使用される用途における応用展開が格段に容易になる。
なお、微細繊維3は、結晶表面にイオン性官能基を有していることが好ましい。イオン性官能基を有することで、エマルションの液滴同士や複合粒子1の凝集を抑制することができるため、高い収率で複合粒子1を得ることができる。また、機能性材料4の機能を効果的に発揮し、肌なじみのよいパーソナルケア用品を得ることができる。更に、イオン性官能基を利用して機能性材料4を担持することにより、機能性材料4の脱離を抑制あるいは制御することができる。例えば、アニオン性官能基を有する微細繊維3であれば、カチオン性の機能性材料4を担持でき、カチオン性官能基を有する微細繊維3であれば、アニオン性の機能性材料4を担持しやすい。
更に、イオン結合を介して修飾基を導入することができる。微細繊維3の修飾基は特に限定されず、公知の修飾基、例えば、炭化水素基を導入することができる。
イオン性官能基の種類は特に限定されないが、アニオン性官能基であることが好ましい。アニオン性官能基を有することで、例えば、金属微粒子を担持させる場合に、金属イオンを微細繊維3のアニオン性官能基に配位させて還元析出させ、効率良く金属微粒子を担持させることができる。また、微細繊維3が分散安定剤として機能するため、生成する金属微粒子の形状や粒子径を制御することができる。更に、複合粒子1において微細繊維3からの金属微粒子の脱離を抑制できる。また、アニオン性官能基を介して、イオン結合により修飾基を導入することが可能である。
アニオン性官能基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基が挙げられる。中でも、カルボキシ基やリン酸基が好ましく、セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
イオン性官能基の含有量は、1gの微細繊維原料及び/又は微細繊維3当たり、0.1mmol以上5.0mmol以下であることが好ましい。0.1mmol未満であると、複合粒子1の分散安定性が悪くなることがあり、5.0mmolを超えると安定して複合粒子を作製することが難しくなることがある。
イオン性官能基を介して導入される炭化水素基としては、鎖式飽和炭化水素基、鎖式不飽和炭化水素基、環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
特に限定されないが、有機オニウムカチオン又はアミンがイオン性官能基を介してイオン結合して修飾基を導入することが好ましい。有機オニウム化合物がイオン化した状態を、有機オニウムイオン又は有機オニウムカチオンと記載する。また、ここで言うアミンとは、一部又は全てがイオン化しアンモニウムイオンを含むものとする。なお、これ以降、有機オニウム化合物又はアミン、又は有機オニウムカチオン又はアンモニウムイオンのいずれかを、それぞれ「有機オニウム化合物/アミン」、「有機オニウムカチオン(又は、有機オニウムイオン)/アンモニウムイオン」とも記載することとする。有機オニウムカチオン(又は、有機オニウムイオン)/アンモニウムイオンを、イオン性官能基を介してイオン結合することで、微細繊維3の表面が疎水化され、後述するコア粒子前駆体との親和性が高まり、安定したO/Wエマルションを形成することができ、高収率で粒子径の揃った複合粒子1を得ることができる。
微細繊維3における修飾基の平均結合量は、エマルション安定性の観点からセルロースあたり、好ましくは0.02mmol/g以上であり、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、更に好ましくは2mmol/g以下である。修飾基として任意の2種以上の修飾基が同時にセルロース繊維に導入されている場合、修飾基の平均結合量は、導入されている修飾基の合計量が前記範囲内であることが好ましい。
微細繊維3に導入される修飾基の導入率は、修飾基を導入するための化合物の添加量や種類、反応温度、反応時間、溶媒などによって調整することができる。修飾基の平均結合量(mmol/g)は公知の方法で測定できる。例えば、滴定やIR測定等により算出できる。
更に、微細繊維3は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。具体的には、微細繊維3は繊維状であって、数平均短軸径が1nm以上1000nm以下、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の5倍以上であることが好ましい。また、微細繊維3の結晶化度は50%以上であることが好ましい。セルロースナノファイバーの結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。キチンナノファイバーの結晶構造は、アルファキチン、ベータキチンのどちらでも良いが、アルファキチンであることが好ましい。
コア粒子2は、少なくとも一種類以上のウレタン結合を有するポリマーを含むことが好ましい。ウレタン結合を有するポリマーをウレタン系ポリマーとも呼ぶ。ウレタン系ポリマーは通常、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物の共重合により生成される。ウレタン系ポリマーは、イソシアネート基を有する化合物はハードセグメントと呼ばれ、水酸基を有する化合物はソフトセグメントと呼ばれる。ウレタン系ポリマーは、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物の構成により、柔軟性を制御することができる。イソシアネート基を有する化合物によってポリマー同士が水素結合を形成することにより強靭性が付与され、水酸基を有する化合物により柔軟性を付与することができる。そのため、ウレタン系ポリマーを含むことで、コア粒子2の柔軟性が高まり、複合粒子1の表面の微細繊維3の質感に加えて良好な質感を得ることができる。また、柔軟性の高いウレタン系ポリマーは粒子同士がくっつきやすいが、微細繊維3を被覆することで粒子同士がくっつきにくく取り扱いやすくなり、分散性が良好となる。通常、ウレタン系ポリマーのマイクロ粒子はくっつきやすく、取り扱いが困難であり、粒子表面にシリカ等の無機粒子をまぶすが、本複合粒子1においては、バイオマス由来の有機材料であるCNFが被覆されているため、無機材料を含むことなく、ウレタン系ポリマーをコア粒子2とする複合粒子1を得ることができる。そのため、一般的なウレタン系ポリマーのマイクロ粒子とは異なる、独特の柔らかな質感を与えることができる。
ウレタン系ポリマーは、ウレタン結合を有する公知のポリマーを用いることができる。例えば、ポリイソシアネートとポリオールを公知の方法で重合させたウレタン系ポリマーや、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を公知の方法で重合させたウレタン系ポリマーを用いることができる。
本実施形態において、ウレタン系ポリマーは、ウレタン(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマー等のウレタン(メタ)アクリル化合物を重合させて得ることができる。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の両方を示している。「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。例えば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
ウレタン(メタ)アクリル化合物は、既知のものを用いることができるが、例えば、ジイソシアネートをはじめとするポリイソシアネートとポリオールとを反応させてウレタン結合を形成した後、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステルなどを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリル化合物を用いることができる。ポリオールとしては、形成するウレタン(メタ)アクリル化合物が水に溶解しにくければ特に限定されない。例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを用いることができる。特に限定されないが、柔軟性の観点からポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ウレタン系ポリマーを構成するポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の誘導体であるアダクト体、ビュレット体及びイソシアヌレート体等の硬化剤を用いることができる。
また、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。ウレタン系ポリマーにおけるポリオールの数平均モル質量は、特に限定されないが、400~50000g/mol、より好ましくは800~30000g/molである。また、コア粒子2の柔軟性の観点から、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリブタジエンジオール又はこれらの共重合物(例えば、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとのコポリマー)等を挙げることができる。また、これらは、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はテトラヒドロフランの開環重合により得ることができる。
ポリエステルポリオール類としては、上述のポリエーテルジオール類又はジアルコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレン1,3-グリコール、プロピレン1,2-グリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオール、1,10-デカンジオールなどが挙げられる)と、ジカルボン酸類(例えば、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる)とのエステル化反応により、又は対応するエステル交換反応により得ることができる。このタイプのポリエステルジオール類をラクトン類(例えば、カプロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクトンなどが挙げられる)の開環重合により得ることもできる。
ポリカーボネートポリオール類としては、上述のポリエーテルポリオール類又はポリアルコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレン1,3-グリコール、プロピレン1,2-グリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオール、1,10-デカンジオールなどが挙げられる)をジフェニルカーボネート類又はホスゲン類と反応させることにより得ることができる。
ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル化合物の水系溶媒への溶解性や分散性を調整すること目的として、カルボキシ基を導入した後、その一部又は全てを中和して親水性を増すことができる。カルボキシ基を導入するために、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などをジオールとして用いればよく、カルボキシ基の中和には、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類や、その他塩基性の化合物を用いることができる。
これらの方法により得られたウレタン骨格を有する(メタ)アクリル化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーとして得られたものを用いることができ、その分子量は水系溶媒への溶解性又は分散性があれば特に制限されるものではないが、10000以下であれば、均質なコア粒子2を形成することができるため、好ましい。
コア粒子2はウレタン系ポリマー以外のポリマーを含んでも構わない。ウレタン系ポリマー以外のポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、アミノ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー等が挙げられる。
特に限定されないが、コア粒子2は生分解性ポリマーを含有することが好ましい。生分解性とは、土壌や海水中などの地球環境において分解して消滅するポリマー、又は/及び生体内で分解して消滅するポリマーのことである。一般的に、土壌や海水中では微生物がもつ酵素によりポリマーが分解されるのに対し、生体内では酵素を必要とせず物理化学的な加水分解により分解される。
ポリマーの分解は、ポリマーが低分子化、あるいは水溶性化して形態を消失することである。ポリマーの分解は、特に限定されないが、主鎖、側鎖、架橋点の加水分解や、主鎖の酸化分解により起こる。
生分解性ポリマーは、天然由来の天然高分子、あるいは合成高分子があり、天然高分子としては、例えば、植物が生産する多糖(セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物が生産する多糖(キチン、キトサン、ヒアルロン酸等)、タンパク質(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等)、微生物が生産するポリエステル(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、多糖(ヒアルロン酸等)等が挙げられる。
天然高分子としては、例えば、植物が生産する多糖(セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物が生産する多糖(キチン、キトサン、ヒアルロン酸等)、タンパク質(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等)、微生物が生産するポリエステル(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、多糖(ヒアルロン酸等)等が挙げられる。
合成高分子としては、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリオール、ポリカーボネート等が挙げられる。
脂肪酸ポリエステルとしては、例えば、グリコール・ジカルボン酸重縮合系(ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等)、ポリラクチド類(ポリグリコール酸、ポリ乳酸等)、ポリラクトン類(β-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等)、その他(ポリブチレンテレフタレート・アジペート等)が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、例えば、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。
その他、ポリ酸無水物、ポリシアノアクリレート、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン等も生分解性の合成高分子である。
コア粒子2はポリマー以外に機能性成分等他の成分を含んでも良い。例えば、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、等が挙げられる。
上記機能性成分は、固体、気体、液体のいずれの形態であってもよい。機能性成分の複合粒子1中の含有率は、特に限定されず、複合粒子1が安定して形態を保つことができる範囲であることが好ましい。機能性成分の含有率は、複合粒子1を100質量部とすると、機能性成分は0.001質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の複合粒子1は、機能性材料4が担持されてもよい。機能性材料4が担持された微細繊維3がコア粒子2表面を被覆することで、機能性材料4の分散安定性が高く、その機能を効果的に発揮することができる。機能性材料4が微細繊維3に「担持」されるとは、物理的あるいは化学的に、可逆的あるいは不可逆的に、結合あるいは吸着することである。本発明の複合粒子1において、機能性材料4は、公知の方法で担持することができる。
本実施形態の複合粒子1では、機能性材料4と微細繊維3は「不可分」の状態にある。微細繊維3と機能性材料4とが「不可分」とは、複合粒子1を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、更に溶媒を加えて再分散することで複合粒子1を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、微細繊維3と機能性材料4が分離しないことである。
機能性材料4は、パーソナルケア用品においてその機能を発揮する材料であり、公知の機能性材料4を用いることができる。機能性材料4としては、例えば、油脂・ロウ類をはじめとする油性原料、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、ピーリング剤、皮脂抑制剤、血行促進成分、美白成分、エイジングケア成分、抗炎症成分、冷感成分、温感成分、消臭成分、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物等が挙げられる。
中でも、少なくとも紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、香料、消臭成分、着色剤のいずれかを有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
香料としては、動植物等から抽出された天然香料、化学的に合成された合成香料、複数種類の香料を調合した調合香料がある。このうち天然香料としては例えばジャスミン、ローズ、カーネーション、ライラック、シクラメン、スズラン、バイオレット、ラベンダー、キンモクセイ等の花卉系、オレンジ、レモン、ライム等の柑橘系、シナモン、ナツメグ等の香辛料系、ヒノキ精油、ヒバ精油、スギ精油等の木材精油系等を挙げることができる。また合成香料としては例えばリモネン、ピネン、カンフェン等の炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、メントール、シトロネロール、ベンジルアルコール等のアルコール類、シトラール、シトロネラール、ノナジエナール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド類、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、メチルノニルケトン、イロン、メントン等のケトン類、メチルアニソール、オイゲノール等のフェノール類、デカラクトン、ノニルラクトン、ウンデカラクトン等のラクトン類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、酢酸テルピニル、酢酸シトロネリル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
消臭成分としては、カテコール、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4’-ビフェニルジオール、3,4’-ビフェニルジオール等のビフェニルジオール類;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート等のカテキン類;ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシン等のカテコール誘導体。植物から抽出等した植物由来のポリフェノール;コーヒー、リンゴ、ぶどう、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)、柿、大豆、カカオ、ローズマリー、アロエ等の由来のものが挙げられる。
ピーリング剤としては、グリコール酸、サリチル酸、乳酸が挙げられる。
エイジングケア成分としてはパルミチン酸レチノール、フラーレン、アセチルヘキサペプチド-8、パルミトイルペンタペプチド-4、ユビキノン、白金等が挙げられる。
美白成分としては、リン酸アスコルビルMg、アルブチン、プラセンタエキス、カミツレ花エキス等が挙げられる。
抗炎症成分としては、カンゾウ根エキス、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、ヨクイニンエキス島が挙げられる。
着色剤としては、有機合成色素(染料、レーキ、有機顔料)、天然色素、無機顔料、金属微粒子、高分子粉体等が挙げられる。中でも、有機合成色素、天然色素、無機顔料、金属微粒子を有することが好ましい。
有機合成色素や天然色素は、ヘアダイなどのヘアカラーリング剤及び化粧水や美容液に色を付ける場合に使用され、無機顔料及び有機顔料は、メイクアップ製品に、ファンデーションの色相、彩度、明度のコントロールや、カバー力のコントロールに使用される。口紅やネイルエナメルでは顔料と染料を組み合わせて配合されることがある。
染料は水や油、アルコールなどの溶媒に溶解し、化粧品基剤中に溶解状態で存在し彩色できる物質であり、水に可溶な水溶性染料、油やアルコールに可溶な油溶性染料がある。染料としては、例えば、アゾ系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料等が挙げられる。特に限定されないが、染料はカチオン性のカチオン染料やアニオン性のアニオン染料であることが好ましい。例えば、カチオン染料であればアニオン性官能基を有する微細繊維3に吸着させるとことができ、アニオン染料であればカチオン性官能基を有する微細繊維3に吸着させることができる。
レーキは、水溶性の染料の金属塩である。
有機顔料は構造内に可溶性基を持たず水や油などに溶解しない有色粉末である。有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、インジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料が挙げられる。
天然色素は、動植物由来のものと微生物由来の色素である。例えば、人参、トマト、ベニザケなどに存在する黄-橙赤色はカロチノイド系の色素で、ハイビスカス、ベニバナなどには黄-赤紫色のフラボノイド系色素が挙げられる。
無機顔料としては、体質顔料、有色顔料、白色顔料、真珠光沢顔料が挙げられる。
体質顔料は光沢や使用感の調整に使用され、例えば、タルク(含水ケイ酸マグネシウム、滑石)、カオリン(含水ケイ酸アルミニウム、白陶土)、マイカ(雲母、含水ケイ酸アルミニウムカリウム)、シリカ(無水ケイ酸)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)等が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック等が挙げられる。等が挙げられる。
白色顔料は、色の調整だけでなく、シミやソバカスを隠す目的や紫外線の防御にも使用される。白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、オキシ塩化ビスマス等が挙げられる。雲母に被覆している酸化チタンの膜厚を変えて色々な干渉色を出している。
高分子粉体は、屈折率の異なる高分子を交互に積層させたものや、ナイロンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー等が挙げられる。
着色剤や光遮蔽剤として、金属微粒子を用いることができる。金属微粒子は、バルクの金属には見られない性質を有する。例えば、粒子が小さくなると、粒子の総表面積が大きくなるため、粒子の触媒性能が高くなる。粒子がナノサイズになると融点が低下するため、その粒子を低温で焼成することが可能となる。更に、粒子の大きさにより、粒子の光学特性にも大きな変化が起こる。屈折率が小さい酸化物等は、可視光の波長領域の1/10以下のサイズになると光の散乱が非常に小さくなるため、液体等に均一に分散させると透明になる。
ナノサイズの金属微粒子は、その元素、粒子径や形状により局在表面プラズモン共鳴により、特定の波長の光を吸収する特性を有する。金属微粒子の表面の自由電子は、光等の外部電場により集団的に振動を起こすことがある。電子は電荷を持った粒子であるため、電子が振動を起こすと周囲に電場を発生する。自由電子の振動を起こすことにより生じる電場と外部電場(光等)が共鳴する現象を局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance;LSPR)と言う。このLSPRにより、特定の波長域の光の吸収や反射が起こり、遮蔽することができる。また、吸収や反射する光の波長が可視光領域であれば、着色剤として機能する。吸収や散乱する光の波長は、金属微粒子を構成する金属の種類、粒子径、形状により変化する。金属微粒子は、着色剤として一般的に用いられる有機顔料と比較し、安定性が高く、長期間にわたり安定して特定の波長領域を吸収あるいは散乱する特徴がある。
金属微粒子を構成する金属元素は特に限定されないが、少なくともルビジウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)のいずれかを含有することが好ましい。金属微粒子を構成する元素は単一でもよく、複数でもよい。
中でも、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)より選ばれた1種類以上の金属又は金属化合物を含むことが好ましいが、特にこれに限定されるものではない。更に、銀(Ag)を用いることで、抗菌性を付与することができる。
複数の金属種を用いる場合、例えば析出した銀(Ag)微粒子の周りを銀より貴な金属あるいはシリカ等の金属酸化物などで被覆して、銀(Ag)微粒子の安定性を向上させてもよい。
また、金属微粒子は金属以外の他の成分を含んでいてもよい。
微細繊維3Aへの機能性材料4の担持方法は、特に限定されないが、図3のように、微細繊維3Aを用いてコア粒子前駆体を含む液滴6を有するO/W型ピッカリングエマルションを作製し、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化して複合粒子1を作製後、複合粒子1の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持した複合粒子1を作製することができる。
また、微細繊維3Aに機能性材料4を担持して機能性材料担持微細繊維3Bを作製した後、前記機能性材料担持微細繊維3Bを用いてコア粒子前駆体を含む液滴6を有するO/W型ピッカリングエマルションを調製し、エマルションの液滴6内部のコア粒子前駆体を固体化して機能性材料を担持した複合粒子1を作製することができる。
微細繊維3Aへの機能性材料4の担持方法は特に限定されず、例えば、市販のあるいは予め作製した機能性材料4を、微細繊維3Aの分散液に添加、混合し、付着させてもよい。
好適には、微細繊維3Aあるいは複合粒子1の分散液中で機能性材料4を作製する方法である。微細繊維3Aあるいは複合粒子1の分散液中で機能性材料4を作製することにより、微細繊維3Aに機能性材料4が安定的に担持される。
<複合粒子の製造方法について>
上述したように、実施形態の複合粒子1は、図2及び図3に示す方法(製造方法I及び製造方法II)により製造することができる。
製造方法I及び製造方法IIにより得られた複合粒子1は、分散体として得られる。更に溶媒を除去することにより乾燥固形物として得られる。溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば遠心分離法やろ過法によって余剰の水分を除去し、更にオーブンで熱乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。この際、得られる乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。この理由としては定かではないが、通常、微細繊維3分散体から溶媒を除去すると、微細繊維3同士が強固に凝集、膜化することが知られている。
一方、複合粒子1を含む分散液の場合、微細繊維3が表面に固定化された真球状の複合粒子1であるため、溶媒を除去しても微細繊維3同士が凝集することなく、複合粒子1間の点と点で接するのみであるため、その乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られると考えられる。また、複合粒子1同士の凝集がないため、乾燥粉体として得られた複合粒子1を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も複合粒子1の表面に結合された微細繊維3に由来した分散安定性を示す。
なお、複合粒子1の乾燥粉体は溶媒をほとんど含まず、更に溶媒に再分散可能であることを特長とする乾燥固形物であり、具体的には固形分率を80%以上とすることができ、更に90%以上とすることができ、更に95%以上とすることができる。溶媒をほぼ除去することができるため、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。
複合粒子1は、乾燥粉体として容易に得られ、再分散させることが可能なものである。なお、乾燥処理により固形分率を80%以上にした際、微細繊維3は親水性が高いため、汗等の水分を吸収する、あるいは保湿性の高い複合粒子1を得られる。
以下に、各工程について、詳細に説明する。
上述のように、製造方法Iは工程1と工程2と工程3を有し、製造方法IIは工程1と工程2と工程3と工程iを有する。
(工程1)
工程1は、微細繊維原料を溶媒中で解繊して微細繊維3Aの分散液を得る工程である。微細繊維原料とは、セルロースナノファイバー及び/又はキチンナノファイバーの原料である、セルロース原料、キチン/キトサン原料のことである。
まず、各種微細繊維原料を溶媒中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中の微細繊維原料の濃度としては0.1%以上10%未満が好ましい。0.1%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なうため好ましくない。10%以上になると、微細繊維原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となるため好ましくない。
懸濁液作製に用いる溶媒としては、親水性溶媒7を用いることが好ましい。
親水性溶媒7については特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、あるいはこれらの混合物が好ましい。
好適には、水を50%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50%以下になると、後述する微細繊維原料を溶媒中で解繊して微細繊維分散液を得る工程において、微細繊維3の分散が阻害される。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
必要に応じて、微細繊維原料、及び生成する微細繊維3の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、微細繊維原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、前記親水性溶媒7を溶媒としたセルロース原料の懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロースの分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細繊維3の数平均短軸径及び数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化された微細繊維3の分散体(微細繊維分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、又は希釈、濃縮等を行って、後述するO/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
また、微細繊維3の分散体は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース及びpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、特に限定されず、複合粒子1の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物又はその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性材料、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、着色剤、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物、防腐剤、抗菌剤、天然抽出物、海面活性剤等が挙げられる。
通常、微細繊維3は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であるため、本実施形態の製造方法に用いる微細繊維3としては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。すなわち、微細繊維3の形状としては、繊維状であることが好ましい。また、繊維状の微細繊維3は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下であればよく、好ましくは2nm以上500nm以下であればよい。ここで、数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細繊維3繊維構造をとることができず、エマルションの安定化と、エマルションを鋳型とした重合反応やポリマーの固体化等による複合粒子1の形成が難しくなる。一方、1000nmを超えると、エマルションを安定化させるにはサイズが大きくなり過ぎるため、得られる複合粒子1のサイズや形状を制御することが困難となる。また、数平均長軸径においては特に制限はないが、好ましくは数平均短軸径の5倍以上であればよい。数平均長軸径が数平均短軸径の5倍未満であると、複合粒子1のサイズや形状を十分に制御することができないために好ましくない。
なお、微細繊維3の数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察及び原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細繊維3の数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察及び原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
セルロース原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。更には、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製及び微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
キチン/キトサン原料は、カニ、エビなどの甲殻類や昆虫、クモなど、節足動物やイカの腱のように動物の体を支え、守るための直鎖状の構造多糖であり、結晶性があり(分子が規則的に並んでいる部分がある)、一部はタンパク質と結合している。キチンは、N-アセチルグルコサミンを主な構成糖とした多糖である。キチン及び/又はキトサン原料を単離-精製すると、100%がN-アセチルグルコサミンからなる精製キチンはほとんどなく、一部はグルコサミンを構成成分として含んだキチン及び/又はキトサンを得られる。
例えば、乾燥状態のタラバガニの殻を5mm程度に砕いた原料と、湿潤状態のヤリイカの軟甲を1cm程度に砕いた原料の2種類がキチン及び/又はキトサン原料を用いることができる。
キチン/キトサン原料は予め精製することが好ましい。
更に微細繊維原料は、化学改質されていることが好ましい。より具体的には、微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることが好ましい。微細繊維原料の結晶表面にイオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果で微細繊維原料の結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、微細繊維原料の微細化が進行しやすくなるためである。更に、イオン性官能基を介して機能性材料4を吸着させることにより、担持することができる。
微細繊維原料の結晶表面に導入されるイオン性官能基の種類は特に限定されない。例えば、アニオン性官能基を有することで、微細繊維3とカチオン性の機能性材料4を担持することができる。
また、アニオン性官能基を有する微細繊維3に金属イオンを配位させて還元析出することで、機能性材料4として金属微粒子を担持することができる。
アニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。
セルロースの場合、セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
セルロースの結晶表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。更には、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性及び環境負荷低減のためにはN-オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N-オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N-オキシル化合物の使用量は、着色としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01質量%以上5.0質量%以下である。
N-オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~200質量%程度である。
また、N-オキシル化合物及び共酸化剤とともに、臭化物及びヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウム又は臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。80℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化して高結晶性の剛直なセルロースナノファイバーの繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分以上5時間以下である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9以上11以下が好ましい。pHが9以上であると反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9以上11以下に保つことが好ましい。反応系のpHを9以上11以下に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N-オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N-オキシル化合物等の着色、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。
酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。
酸化処理後のセルロースの回収方法としては、例えば、上述の(a)のカルボキシル基が塩を形成したままろ別する方法、(b)反応液に酸を添加して系内を酸性下に調整し、カルボン酸としてろ別する方法、(c)有機溶媒を添加して凝集させた後にろ別する方法が挙げられる。
その中でも、ハンドリング性や回収効率、廃液処理の観点から、(b)カルボン酸として回収する方法が好適である。また、後述する対イオン置換工程において、対イオンを置換する場合、対イオンとして金属イオンを含有しないほうが副生成物の生成を抑制でき、置換効率に優れるため、カルボン酸として回収する方法が好ましい。
なお、酸化反応後のセルロース中の金属イオン含有量は、様々な分析方法で調べることができ、例えば、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法、蛍光X線分析法の元素分析によって簡易的に調べることができる。塩を形成したままろ別する方法を用いて回収した場合、金属イオンの含有率が5wt%以上であるのに対し、カルボン酸としてからろ別する方法により回収した場合、1wt%以下となる。
更に回収したセルロースは洗浄を繰り返すことにより精製でき、触媒や副生成物を除去することができる。このとき、塩酸等を用いてpH3以下の酸性条件に調製した洗浄液で洗浄を繰り返した後に、純水で洗浄を繰り返すことにより、残存する金属イオン及び塩類の量を低減することができる。
次に、対イオン置換工程としては、カルボキシル基を導入したセルロースの懸濁液にアルカリを添加することにより実施される。アルカリの添加量としては、セルロースに導入されたカルボキシル基に対して0.8当量以上2当量以下であることが好ましい。特に、1当量以上1.8当量以下であると、過剰量のアルカリを添加することなく対イオン交換できるため、より好ましい。ここで、0.8当量未満でもセルロースをある程度分散させることは可能だが、分散処理により長時間・高エネルギーを要し、得られる繊維の繊維径も本発明のものより大きくなり、分散体の均質性が低下する。一方、2当量を超えると、過剰量のアルカリによる分解や分散媒への親和性が低下する場合があり好ましくない。
このとき、セルロースの懸濁液のpHを、アルカリを用いてpH4以上pH12以下の範囲に調整することが好ましい。特に、pHをpH7以上pH12以下のアルカリ性とし、添加したアルカリとカルボン酸塩を形成する。これにより、カルボキシル基同士の荷電反発が起こりやすくなるため、分散性が向上しセルロースナノファイバー分散体が得やすくなる。ここで、pH4未満でも機械的分散処理によりセルロースを分散させることは可能であるが、アルカリの添加量が過少である場合と同様の理由により分散体の均質性が低下する。一方、pH12を超えると分散処理中に酸化セルロースのピーリング反応やアルカリ加水分解による低分子量化や、末端アルデヒドや二重結合形成に伴い分散体の黄変が促進されるため、力学強度や均質性が低下する。
懸濁液のpHを調整するアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機オニウム化合物/アミン等の水溶液を用いることができる。
上述のように有機オニウム化合物/アミンを用いることで、エマルション液滴の安定性を制御することができ、複合粒子1を高収率にて得ることができる。
本実施形態における有機オニウム化合物は、構造式(1)に示すカチオン構造を有する。
Figure 2022063042000002
構造式(1)中において、Mは窒素原子、リン原子、水素原子、硫黄原子のいずれかであり、R1、R2、R3、及びR4は、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子を含む炭化水素基のいずれかである。
例えば、Mが窒素原子であり、R1、R2、R3及びR4がいずれも水素原子の場合、有機オニウム化合物はアンモニアである。R1、R2、R3、R4のうち3つが水素原子の場合は第1級アミン、2つの場合は第2級アミン、1つの場合は第3級アミン、0個の場合は第4級アミンとなり、いずれも本実施形態における有機オニウム化合物である。へテロ原子を含む炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキル基、アリール基、芳香族基等を例示できる。R1、R2、R3、及びR4が環を形成していてもよい。
有機オニウム化合物のカチオン構造の対イオンは特に限定されないが、金属イオンの混入に伴う悪影響や分散媒への分散性などを考慮すると、水酸化物イオンが対イオンであることが好ましい。有機オニウム化合物に加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の金属塩を含む無機アルカリが添加されてもよい。
本実施形態における第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンは、それぞれ下記構造式(2)、(3)、(4)に示す構造を有する。なお、これらがイオン化しアンモニウムイオンとなった際の構造は、それぞれ(2)’、(3)’、(4)’となる。
Figure 2022063042000003
上記構造式中において、R1~R6は、炭化水素基、ヘテロ原子を含む炭化水素基のいずれかである。
第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、n-オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、へキシルアミン、2-エチルへキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリへキシルアミン、ジオクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどを例示することができる。
アニオン性を有するセルロース原料と有機オニウム化合物/アミンを用いて得られた懸濁液は、金属イオンを対イオンとする無機アルカリを用いた場合よりも低エネルギー、短時間で分散処理を行うことができ、かつ最終的に得られる分散液の均質性も高い。これは、有機オニウム化合物/アミンを用いた方が、セルロース原料が有するアニオン性部位の対イオンのイオン径が大きいため、分散媒中で微細化セルロース繊維同士をより引き離す効果が大きいためと考えられる。更に、分散液として有機オニウム化合物/アミンを含むと、無機アルカリと比べて分散液の粘度とチキソ性を低下させることができ、分散処理のしやすさとその後のハンドリングにおいて有利になる。更に、有機オニウム化合物/アミンとイオン結合により相互作用した微細繊維3は、有機オニウムイオン/アンモニウムイオンに基づく立体斥力又は疎水化作用によって親水性が低下する。これにより後述の工程2において液状のコア粒子前駆体2のエマルション液滴への親和性が高まり、液滴の安定性が向上する。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nmの均一な繊維幅を有するTEMPO酸化セルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF、セルロースシングルナノファイバー、CSNFとも言う)が得られる。CSNFを複合粒子1のセルロースナノファイバーの原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
以上のように、本実施形態で用いられるCSNFは、セルロース原料を酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、CSNFに導入するカルボキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることは難しい。また、5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直なセルロースナノファイバーの繊維構造をとることができず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
(工程2)
工程2は、前記微細繊維3(3A又は3B)分散液中においてコア粒子前駆体を含む液滴6の表面を前記微細繊維3(3A又は3B)で被覆し、エマルションとして安定化させる工程である。
具体的には、工程1で得られた微細繊維分散液に、コア粒子前駆体含有液を添加し、微細繊維3の分散液中に液滴6として分散させ、液滴6の表面を微細繊維3によって被覆し、微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションを作製する工程である。微細繊維3によって安定化されたO/W型エマルションをエマルション液と呼ぶ。
O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、工程1にて得られた微細繊維3の分散液に対しコア粒子前駆体含有液を添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm2以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、微細繊維3の分散液中にコア粒子前駆体を含む液滴6が分散してエマルション化が進行し、更に液滴6と微細繊維分散液の液/液界面に選択的に微細繊維3が吸着することで、液滴6が微細繊維3で被覆されO/W型エマルションとして安定した構造を形成する。このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のように微細繊維3によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースはその分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有することから両親媒性を示すため、両親媒性に由来して疎水性モノマーと親水性溶媒の液/液界面に吸着すると考えられる。
O/W型エマルション構造は、光学顕微鏡観察により確認することができる。O/W型エマルションの粒径は特に限定されないが、平均粒径が0.1μm以上1000μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上100μm以下、更に好ましくは0.10μm以上20μm以下である。微細繊維3が液-液界面に吸着して安定したピッカリングエマルションを形成することにより、エマルションの粒径が小さく、均一となり、粒径の小さく均一な複合粒子1を得ることができる。平均粒径は、ランダムに100個のエマルションの直径を測定し、平均値を取ることで算出できる。
O/W型エマルション構造において、液滴6の表層に形成された被覆層30(微細繊維層)の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。特に限定されないが、エマルション構造における粒径が工程3において得られる複合粒子1の粒径と同程度となる。被覆層30の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
工程2において用いることができる微細繊維分散液とコア粒子前駆体の質量比については特に限定されないが、微細繊維3が100質量部に対し、コア粒子前駆体が1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。コア粒子前駆体が1質量部以下となると複合粒子1の収量が低下するため好ましくなく、50質量部を超えると液滴6を微細繊維3で均一に被覆することが困難となり好ましくない。
前記コア粒子前駆体含有液は、コア粒子前駆体を含有し、O/W型エマルションを形成することができればよく、O/W型エマルションを安定的に形成するためには、疎水性であることが好ましい。また、前記コア粒子前駆体は、化学的な変化あるいは物理化学的な変化により固体化してコア粒子2を形成する前駆体である。コア粒子前駆体は、特に限定されないが、液滴6を安定して形成できるものであれば特に限定されない。コア粒子前駆体としては、例えば、重合性を有する化合物、加熱により溶融した溶融ポリマー、溶媒に溶解した溶解ポリマーを用いることもできる。
重合性を有する化合物は、その構造中に重合性官能基を有し、重合反応によりポリマー(高分子重合体)を形成するものである。特に限定されないが、常温で液体や固体であって、水と相溶しにくいことが好ましい。より好ましくは常温において液体で、粘度が40℃において30Pa・s以下であることが好ましい。重合性を有する化合物の粘度がこの範囲であると後述する分散処理において容易にエマルションを得ることが可能となる。重合性を有する化合物としては、例えば、重合性モノマー(モノマー)、重合性オリゴマー(オリゴマー)、重合性ポリマーが挙げられる。
工程2で用いることができる重合性モノマーは、ポリマーの単量体であって、その構造中に重合性の官能基を有し、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成できる化合物である。特に限定されないが、常温で液体や固体であって、水と相溶しにくいことが好ましい。重合性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する重合性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。重合性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマー(例えばε-カプロラクトン等)を用いることも可能である。
なお、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むこと示す。
重合性オリゴマーは、比較的少数のモノマーが結合した重合体であり、その構造中に重合性の官能基を有し、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成できる化合物である。特に限定されないが、常温で液体や固体であって、水と相溶しないことが好ましい。
重合性ポリマーは、モノマーが結合した重合体であり、その構造中に重合性の官能基を有し、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成できるものである。特に限定されないが、常温で液体や固体であって、水と相溶しないことが好ましい。
コア粒子前駆体として、柔軟性を有するコア粒子2を得るために、ウレタン骨格を有する重合性を有する化合物であるウレタン(メタ)アクリル化合物を用いることや、ポリイソシアネートとポリオールを併用することが好適である。
ウレタン(メタ)アクリル化合物は、ウレタン結合を有し、重合性官能基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。ウレタン(メタ)アクリル化合物は、既知のものを用いることができるが、例えば、ジイソシアネートをはじめとするポリイソシアネートとポリオールとを反応させてウレタン結合を形成した後、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエステルなどを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリル化合物を用いることができる。ポリオールとしては、形成するウレタン(メタ)アクリル化合物が水に溶解しにくければ特に限定されない。例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリル化合物は、特に限定されないが、水と相溶しにくいことが好ましい。また、粘度が40℃において30Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは40℃において20Pa・s以下であり、更に好ましくは25℃において20Pa・s以下である。水に相溶しにくく、粘度がこの範囲であるウレタン(メタ)アクリル化合物を用いることにより、分散処理を行いやすく、容易にエマルションを得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリル化合物の水系溶媒への溶解性や分散性を調整すること目的として、カルボキシ基を導入した後、その一部又は全てを中和して親水性を増すことができる。カルボキシ基を導入するために、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などをジオールとして用いればよく、カルボキシ基の中和には、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類や、その他塩基性の化合物を用いることができる。
これらの方法により得られたウレタン(メタ)アクリル化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーとして得られたものを用いることができ、その分子量は特に制限されるものではないが、10000以下であれば、均質なコア粒子2を形成することができるため、好ましい。
ポリイソシアネートとして、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の誘導体であるアダクト体、ビュレット体及びイソシアヌレート体等の硬化剤を用いることができる。
また、ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。ウレタン系ポリマーにおけるポリオールの数平均モル質量は、特に限定されないが、400~50000g/mol、より好ましくは800~30000g/molである。また、コア粒子2の柔軟性の観点から、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ポリエーテルジオール類としては、例えば、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリブタジエンジオール又はこれらの共重合物(例えば、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとのコポリマー)等を挙げることができる。また、これらは、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はテトラヒドロフランの開環重合により得ることができる。
ポリエステルジオール類としては、上述のポリエーテルジオール類又はジアルコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレン1,3-グリコール、プロピレン1,2-グリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオール、1,10-デカンジオールなどが挙げられる)と、ジカルボン酸類(例えば、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる)とのエステル化反応により、又は対応するエステル交換反応により得ることができる。このタイプのポリエステルジオール類をラクトン類(例えば、カプロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクトンなどが挙げられる)の開環重合により得ることもできる。
ポリカーボネート類としては、上述のポリエーテルジオール類又はジアルコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレン1,3-グリコール、プロピレン1,2-グリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオール、1,10-デカンジオールなどが挙げられる)をジフェニルカーボネート類又はホスゲン類と反応させることにより得ることができる。
コア粒子前駆体として用いる重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリル化合物や、ポリイソシアネートとポリオール以外に、この他の重合性を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)や溶融ポリマー、溶解ポリマーを含んでもよい。
重合性モノマーとして、単官能の(メタ)アクリル系モノマー、2官能の(メタ)アクリル系モノマー、3官能の(メタ)アクリル系モノマー、単官能のビニル系モノマー、多官能のビニル系モノマーが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン及びアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレン及びスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1-ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4-トリビニルベンゼン、1,3,5-トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ジブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
その他の重合性ポリマーとしては、例えば、ポリエーテル樹脂(ポリマー)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
上記重合性を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー)は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合性を有する化合物に重合開始剤を添加してもよい。一般的な重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ重合開始剤としては、例えばADVN,AIBNが挙げられる。
例えば2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2-アゾビス(2-メチルブチルアミド)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
工程2において、重合性を有する化合物及び重合開始剤を含んだコア粒子前駆体含有液を用いれば、後述の工程3でO/W型エマルションの液滴6中に重合開始剤が含まれるため、後述の工程3においてエマルションの液滴6内部のモノマーを重合させる際に重合反応が進行しやすくなる。
工程2において用いることができる重合性を有する化合物のコア粒子前駆体と重合開始剤の質量比については特に限定されないが、通常、コア粒子前駆体100質量部に対し、重合性開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合性開始剤が0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずに複合粒子1の収量が低下するため好ましくない。
コア粒子前駆体含有液は、溶媒を含んでも構わない。特に限定されないが、工程2にてエマルションを安定化させるためには、有機溶媒を用いることが好ましい。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、セロソルブアセテート、イソホロン、ソルベッソ100、トリクレン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、ノナン等を用いることができる。
工程2において用いることができる重合性を有する化合物と溶媒の質量比については特に限定されないが、重合性を有する化合物100質量部に対し、溶媒が80質量部以下であることが好ましい。
溶解ポリマーを得るためのポリマーとしては、特に限定されないが、前記親水性溶媒7に溶解しにくいことが好ましい。ポリマーが親水性溶媒7に溶解すると、安定したエマルションを形成することができない。
溶解ポリマーを得るためのポリマーとしては、ウレタン系ポリマーを用いることが好ましい。ウレタン系ポリマー以外にポリマーを含んでもよい。その他のポリマーとして以下のものが例示できる。セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、キチン、キトサン等の多糖類、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類。ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類。ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類。ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類。ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類。ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記ポリマーが溶解する溶媒に溶解させることで溶解ポリマーを得ることができる。上記ポリマーを溶解させる溶媒としては、微細繊維3の分散液への相溶性が低い溶媒を用いることが好ましい。親水性溶媒7への溶解度が高い場合、溶媒が液滴6相から親水性溶媒7相へ容易に溶解してしまうため、エマルション化が困難となる。また、溶媒は沸点が90℃以下であるものが好ましい。沸点が90℃より高い場合、溶媒よりも先に微細繊維3の分散液の親水性溶媒7が蒸発してしまい複合粒子1を得ること困難となる。用いることができる溶媒として、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、セロソルブアセテート、イソホロン、ソルベッソ100、トリクレン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、ノナン等を用いることができる。
溶解させるポリマーと溶媒の質量比は、特に限定されず、ポリマーを溶解することができればよい。好ましくは、ポリマー100質量部に対し、溶媒の質量は0.005質量部以上100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
ポリマーを溶融させた溶融ポリマーを得る方法としては、例えば常温で固体のポリマーを溶融させて液体とする。溶融ポリマーを前述のように超音波ホモジナイザー等による機械処理を加えながら、ポリマーの溶融状態を維持可能な温度にまで加熱された微細繊維3の分散液に添加することによって、分散液中で溶融ポリマー液滴をO/W型エマルションとして安定化することが好ましい。
溶融ポリマーとしては、微細繊維3の親水性溶媒7への溶解性が低いものが好ましい。親水性溶媒7への溶解度が高い場合、溶融ポリマー液滴6相から親水性溶媒7相へポリマーが容易に溶解してしまうため、エマルション化が困難となる。また、溶融ポリマーは融点が90℃以下であることが好ましい。融点が90℃より高い場合、微細繊維3の分散液中の水が蒸発してしまい、エマルション化が困難となる。
溶融ポリマーに用いるポリマーとしては、柔軟性の観点からウレタン系ポリマーを用いることが好ましい。ウレタン系ポリマー以外のポリマーを用いることができる。その他のポリマーとしては、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ステアリルステアレート、ステアリン酸バチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸エチレングリコール、ベヘニルアルコール、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、炭化水素ワックス、脂肪酸アルキルエステル、ポリオール脂肪酸エステル、脂肪酸エステルとワックスの混合物、脂肪酸エステルの混合物、グリセリンモノパルミテート(/ステアリン酸モノグリセライド)、グリセリンモノ・ジステアレート(/グリセリンステアレート)、グリセリンモノアセトモノステアレート(/グリセリン脂肪酸エステル)、コハク酸脂肪族モノグリセライド(/グリセリン脂肪酸エステル)、クエン酸飽和脂肪族モノグリセライド、ソルビタンモノステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタントリベヘネート、プロピレングリコールモノベヘネート(/プロピレングリコール脂肪酸エステル)、アジピン酸ペンタエリスリトールポリマーのステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ステアリルシトレート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、超淡色ロジン、ロジン含有ジオール、超淡色ロジン金属塩、水素化石油樹脂、ロジンエステル、水素化ロジンエステル、特殊ロジンエステル、ノボラック、結晶性ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等を用いることができる。
また、液滴6には予め重合開始剤以外の機能性成分が含まれていてもよい。具体的には着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、酵素、等が挙げられる。
重合性モノマーに、予め重合開始剤以外の他の機能性成分が含まれている場合、複合粒子1として形成した際のコア粒子2内部に上述の機能性成分を含有させることができ、用途に応じた機能発現が可能となる。
機能性成分は、液滴6へ溶解又は分散することが好ましい。液滴6に溶解あるいは分散することにより、O/W型エマルションを形成した際にエマルションの液滴6中に機能性成分を内包しやすく、機能性成分を内包する複合粒子1を効率的に得ることができる。また、内包する機能性成分の量を増やすことが可能である。
更に、コア粒子前駆体として、重合性モノマー及び溶解ポリマー、溶融ポリマーを併用して用いて液滴6を形成し、エマルション化することも可能である。また、複合粒子1のコア粒子2のポリマー種として生分解性ポリマー(樹脂)を含む場合、得られる複合粒子1は生分解性材料を有する環境調和性の高い複合粒子1として提供することも可能である。
(工程3)
工程3は、液滴6内部の前記コア粒子前駆体を固体化させてコア粒子2の表面に微細繊維3が被覆された複合粒子1の分散液を得る工程である。
コア粒子前駆体を固体化させる方法については特に限定されない。コア粒子前駆体として重合性を有する化合物を用いた場合、加熱や紫外線照射等にて重合することにより固体化できる。コア粒子前駆体として溶解ポリマーを用いた場合、液滴6内部の溶媒を親水性溶媒7に拡散させる方法や、溶媒を蒸発させる方法により溶媒を除去し、ポリマーを固体化できる。コア粒子前駆体として溶融ポリマーを用いた場合、溶融ポリマーを冷却して凝固させて固体化させることができる。
例えば工程2で作製された、コア粒子前駆体として重合性を有する化合物(モノマーやオリゴマー、ポリマー)、更に重合開始剤を含む液滴6が微細繊維3によって被覆され安定化したO/W型エマルションを、攪拌しながら加熱して重合し、コア粒子前駆体を固体化する。攪拌の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。また、攪拌せずに加熱処理のみでもよい。
また、加熱時の温度条件については重合性を有する化合物の種類及び重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、20℃以上150℃以下が好ましい。20℃未満であると重合の反応速度が低下するため好ましくなく、150℃を超えると微細繊維3が変性する可能性があるため好ましくない。重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類及び重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間~24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
溶解ポリマーの溶媒を蒸発させる方法としては、具体的には、加熱又は/及び減圧乾燥により溶媒を蒸発させ、除去する。前記有機溶媒の沸点が水より低いと、有機溶媒を選択的に除去することが可能である。特に限定されないが、減圧条件下で加熱することにより効率的に溶媒を除去することができる。加熱温度は20℃以上100℃以下であることが好ましく、圧力は600mHg以上750mmHg以下であることが好ましい。
溶解ポリマーの溶媒を拡散させる方法は、具体的には前記O/W型エマルション液に更に溶媒や塩の添加により液滴6内部の溶媒を拡散させる。親水性溶媒7への溶解性の低い溶媒が経時的に親水性溶媒7相へと拡散して行くことで、溶解ポリマーが析出して粒子として固体化させることができる。
溶融ポリマーを凝固させる方法としては、前記O/W型エマルション液を冷却することで、溶融ポリマーを凝固させる。
上述の工程を経て、コア粒子2が微細繊維3によって被覆された複合粒子1を作製することができる。なお、複合粒子1生成直後の状態は、複合粒子1の分散液中に多量の水と被覆層30に形成に寄与していない遊離した微細繊維3が混在した状態となっている。そのため、複合粒子1を回収・精製する必要があり、回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄又はろ過洗浄が好ましい。また、残留溶媒を除去してもよい。
遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができ、具体的には遠心分離によって複合粒子1を沈降させて上澄みを除去し、水・メタノール混合溶媒に再分散する操作を繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去して複合粒子1を回収することができる。ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができ、例えば孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて水とメタノールで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストから更に残留溶媒を除去して複合粒子1を回収することができる。
残留溶媒の除去方法は特に限定されず、風乾やオーブンで熱乾燥にて実施することが可能である。こうして得られた複合粒子1を含む乾燥固形物は上述のように膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。
(工程i)
工程iは、前記複合粒子1の分散液中で前記複合粒子1の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持させる工程である。
複合粒子1の表面の微細繊維3Aに機能性材料4を担持させる方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、複合粒子1を水やアルコール等の親水性溶媒に再分散させて複合粒子1の分散液を作製し、機能性材料4を複合粒子1の分散液に添加、混合して付着させる方法が用いることができる。また、複合粒子1の分散液中で機能性材料4を合成して担持することができる。
ここで、上述したように、複合粒子1に機能性材料4を担持する際、微細繊維3Aの結晶表面に予めアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。アニオン性官能基を有する複合粒子1の分散液にカチオン性の機能性材料4を添加して混合することで、複合粒子1の表面の微細繊維3に機能性材料4を安定的に担持することができる。また、複合粒子1の分散液のpHを調整することにより、機能性材料4の担持あるいは脱離を制御することができる。
機能性材料4を担持する際の複合粒子1の濃度は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。複合粒子1の濃度が0.1%未満であると、機能性材料4を効率良く担持させることが難しい。複合粒子1の濃度が50質量%を超えると、複合粒子1の分散性が悪くなり、均一な反応が難しくなる。
複合粒子1の分散液の溶媒は特に限定されないが、親水性溶媒7であることが好ましい。
親水性溶媒7は、特に制限はないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。
特に、水を50質量%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50質量%未満になると、複合粒子1の分散性が悪くなることがある。また、水以外に含まれる溶媒としては前述の親水性溶媒が好ましい。
必要に応じて、複合粒子1の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
微細繊維3としてアニオン性官能基を有するセルロースナノファイバーを用いた複合粒子1に機能性材料4として金属微粒子を担持する方法としては、特に限定されないが、例えば以下の方法で製造することができる。
すなわち、a)複合粒子1を含有する分散液を調製する、粒子1の分散液準備工程と、
b)少なくとも1種類の金属塩と複合粒子1とを含有する分散液を調製する、金属塩及び粒子1含有液準備工程と、
c)前記金属塩及び複合粒子1含有液中の金属イオンを還元し、反応液を調製する、金属微粒子担持セルロースナノファイバー被覆粒子分散液調製工程と、
を有する。
なお、複合粒子1への金属微粒子の担持方法は、特に限定されないが、上述の工程ia、工程ib、工程icを少なくとも含むことが好ましい。各工程の間に他の工程が入ってもよい。
必要に応じて、金属微粒子の表面を少なくとも一部が半導体又は金属、その金属酸化物で被覆されてもよい。被覆に用いられる半導体や金属及びその酸化物は、特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、白金、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、金属塩、金属錯体及びこれらの合金、又は酸化物、複酸化物、シリカ等が挙げられる。特に、安定性や汎用性の観点から、金及びシリカを被覆するのが好ましい。
必要に応じて機能性材料4を担持した複合粒子1をろ過や遠心分離等により洗浄し、遊離の機能性材料4を除去してもよい。
なお、複合粒子1への機能性材料4の担持方法としては、工程iのように複合粒子1に機能性材料4を担持する方法に特に限定されず、工程1で得られた微細繊維3に予め機能性材料4を担持させて微細繊維3Bを作製し、微細繊維3Bを用いて工程2、工程3によって機能性材料4を担持した複合粒子1を作製することができる。
本実施形態の複合粒子1の乾燥粉体をその他の化粧品原料に混合あるいは分散させてメイクアップ製品等のパーソナルケア用品に使用できる。また、複合粒子1、化粧品原料等を含む溶媒に分散させ、パーソナルケア用組成物として使用することができる。
化粧品原料としては、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭剤、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、等が挙げられる。
(複合粒子の効果)
本発明の複合粒子の一態様によれば、セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維の溶媒過多の問題を解決すると共に、簡便な方法で製造可能な新たな様態の微細繊維を有する複合粒子を提供することができる。
また、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆されていることにより、水への分散性に優れ、柔軟性が高くても真球状の形態を維持しやすく、質感が良好で肌なじみがよく、保湿性に優れた複合粒子を提供することができる。
更に、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線防止(吸収及び/又は散乱)、発色、抗菌、等の機能性材料の機能を効果的に発揮する複合粒子を提供できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。例えば、コア粒子2にはポリマー及び機能性成分の他にその他成分を含んでも構わない。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
<実施例1>
(工程1:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.0mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプ(酸化セルロース)を得た。
(酸化セルロースのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ及び再酸化パルプを固形分質量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。
(酸化セルロースの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化セルロース0.5gを99.5gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、濃度0.5%のセルロースナノファイバー水分散液を得た。
(セルロースナノファイバーの評価)
得られた酸化セルロース、セルロースナノファイバーについて、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率及びレオロジーの測定や算出を次のように行った。得られたセルロースナノファイバーの評価結果を表1、図4、図5に示す。
(カルボキシ基量の測定)
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥質量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。
そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。
また、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。
得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
(結晶化度の算出)
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
(セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径の算出)
原子間力顕微鏡を用いて、セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、セルロースナノファイバー水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。
乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードでセルロースナノファイバーの形状を観察した。
セルロースナノファイバーの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
(セルロースナノファイバー水分散液の光線透過率の測定)
セルロースナノファイバー0.5質量%の水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないようにセルロースナノファイバー水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから800nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
(レオロジー測定)
セルロースナノファイバー0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメータ(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。
測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、セルロースナノファイバー分散液はチキソトロピック性を示した。せん断速度が10s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
Figure 2022063042000004
図4から明らかなように、セルロースナノファイバー水分散液は高い透明性を示した。また、セルロースナノファイバー水分散液に含まれるセルロースナノファイバー(TEMPO酸化CNF)の数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は831nmであった。更に、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った結果を図5に示す。図5から明らかなように、セルロースナノファイバー分散液はチキソトロピック性を示した。
(工程2:O/W型エマルションを作製する工程)
次に、ウレタンアクリレートオリゴマーであるUA4200を7gと重合性モノマーであるジビニルベンゼン(以下、DVBとも称する。)3gを混合した10gに対し、重合開始剤である2、2-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(以下、ADVNとも称する。)を1g溶解させた。
前記重合性モノマー混合液全量を、セルロースナノファイバー分散液40gに対し添加したところ、重合性モノマー混合液とセルロースナノファイバー分散液はそれぞれ2相に分離した。
次に、上記2相分離した状態の混合液における上相の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液の外観は白濁した乳化液の様態であった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、数μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
(工程3:コア粒子前駆体を固体化する工程)
O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却した。重合反応の前後で分散液の外観に変化はなかった。
(洗浄及び乾燥工程)
得られた分散液に対し、遠心力75,000gで5分間処理したところ、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、更に孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで交互に2回ずつ洗浄した。
こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。次に精製・回収物を風乾し、更に室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、白色の肌理細やかな乾燥粉体(複合粒子)を得た。
(走査型電子顕微鏡による形状観察)
得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図6に示す。O/W型エマルション液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した、真球状の複合粒子が無数に形成していることが確認され、更に、その表面は幅数nmのセルロースナノファイバーによって均一に被覆されていることが確認された。ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、粒子の表面は等しく均一にセルロースナノファイバーによって被覆され、コア粒子とセルロースナノファイバーは結合しており、不可分の状態にあることが示された。
更に、乾燥粉体を包埋し、樹脂にミクロトームにより断面を切削して走査型電子顕微鏡にて観察を行ったところ、コア粒子の表面に均一な被覆層が形成されていることが確認された。
このように、ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、複合粒子の表面は等しく均一にセルロースナノファイバーによって被覆されていることから、本実施形態の複合粒子1を得られたことが示された。
(分散性の評価)
複合粒子乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して再分散させたところ、容易に再分散し、目視で凝集も見られなかった。また、粒度分布計を用いて粒径を評価したところ、平均粒径は乾燥前と同程度であり、粒度分布計のデータにおいても凝集を示すようなシグナルは存在しなかった。以上のことから、複合粒子1はその表面がセルロースナノファイバーで被覆されているにもかかわらず、乾燥によって膜化することなく粉体として得られ、かつ再分散性も良好であることが示された。
<実施例2>
実施例1において得られた酸化パルプをpH2に調整した塩化水素水溶液に加え、脱水した後水洗いして1回目の酸処理を行った。続いてpH3に調整した塩化水素水溶液に加え、脱水した後水洗いして2回目の酸処理を行った。その後水洗、脱水を繰り返し、精製した酸化パルプを得た。TEMPO酸化反応後、蒸留水による水洗を実施した後の酸化パルプ(酸処理前)、及びその後塩化水素水溶液により酸処理した後に水洗を実施した酸化パルプ(酸処理後)について、スライドガラスに挟み込み70℃で3時間乾燥し、ATR法によるFT-IR測定(日本分光社製、FT/IR-6300)を実施した。酸処理後の酸化パルプには、COOH基に由来する1720cm-1付近のピークが認められる一方、酸処理前に認められたCOOに由来する1600cm-1付近のピークが消失している。以上より、酸処理により酸化パルプのCOO基(Na型)が完全にCOOH基(H型)に置換されていることが確認された。酸化パルプに水を加えて固形分濃度5%の懸濁液を調製し、アルカリ種としてアミンであるステアリルアミンを酸化パルプのカルボキシ基に対して1.0当量加えた。スターラーを用いて1時間撹拌し、対イオン置換によりステアリルアミンが導入された酸化パルプを得た。それ以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。得られた複合粒子1の乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図6に示す。
<実施例3>
実施例2においてステアリルアミンの代わりに有機オニウム化合物であるテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)を用いた以外は実施例2と同じ条件で複合粒子1を作製した。
<実施例4>
実施例2においてステアリルアミンの代わりに有機オニウム化合物であるテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)を用いた以外は実施例2と同じ条件で複合粒子1を作製した。得られた複合粒子1の乾燥粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。そのSEM画像を図7に示す。
<実施例5>
実施例3においてDVBを用いずにUA4200を10g用いた以外は実施例3と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例6>
実施例1においてUA4200の代わりにUA160TMを7g用いた以外は実施例3と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例7>
実施例1においてUA4200とDVBの代わりにポリイソシアネートとしてトルエンジイソシアネート(TDI)とポリオールとしてサンニックス PP-2000(三洋化成)を用いた以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
<実施例8>
実施例1において、TEMPO酸化CNFの代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献6に従い作製したキチンナノファイバー(キチンNFとも言う)分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例9>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた特許文献2に従いカルボキシメチル化(以下、CM化とも称する。)処理を行って得られたCM化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例10>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた非特許文献1に従いリン酸エステル化処理を行って得られたリン酸エステル化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例11>
実施例1において、機械解繊CNF分散液BiNFi-s(スギノマシン製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子1を作製した。
<実施例12>
実施例1において、複合粒子1の分散液を得、洗浄及び乾燥工程を行った後、以下の工程iを行った後、以下の方法で洗浄及び乾燥した。それ以外は実施例1と同様の条件で複合粒子1を得た。
(工程i:機能性材料4の担持工程)
(工程ia:セルロースナノファイバー被覆粒子分散液の準備)
工程1、工程2、工程3、洗浄及び乾燥工程において得られた複合粒子1を、純水に分散させ、0.5質量%の複合粒子1の分散液50gを準備した。
(工程ib:硝酸銀水溶液及び複合粒子1含有液の調製)
100mMの硝酸銀(I)水溶液を調製した。0.5質量%の複合粒子1の分散液50gに対し、温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mMの硝酸銀水溶液1.0gを添加し、30分攪拌を続けた。
(工程ic:還元析出)
水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水に溶解し、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。硝酸銀水溶液及びセルロースナノファイバー被覆粒子含有液を温度一定(25℃)に保ち、攪拌子で攪拌しながら、100mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を1.0g添加し、更に60分攪拌を続けることによって球状銀微粒子担持セルロースナノファイバー被覆粒子の分散液を作製した。得られた分散液は球状銀微粒子由来の黄色を呈し、球状銀微粒子の生成が示された。
(洗浄及び乾燥工程)
孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水を用いて4回洗浄した。こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA-EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価した。
次に精製・回収物を風乾し、更に室温25℃にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、球状銀微粒子に由来する黄色を呈する肌理細やかな乾燥粉体(複合粒子1)を得た。
<比較例1>
実施例1において、工程2及び工程3を行わず、TEMPO酸化CNF分散液を、スプレードライヤーを用いて乾燥温度100℃で噴霧乾燥し、粒子を作製した。
<比較例2>
実施例1において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりに純水を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例3>
実施例1において、TEMPO酸化CNF分散液の代わりにカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも称する。)水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例4>
実施例1において、UA4200を用いずにDVB10gを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
<比較例5>
市販のスチレン-ジビニルベンゼン共重合マイクロビーズ(粒子径4.5μm、テクノケミカル)について、実施例1と同様に各種評価を実施した。
<比較例6>
実施例12において、実施例1の複合粒子1の代わりに市販のスチレン-ジビニルベンゼン共重合マイクロビーズ(粒子径4.5μm、テクノケミカル)と球状銀微粒子(粒子径10nm、シグマアルドリッチ)の混合物乾燥粉体(従来のポリマー粒子)について、実施例1と同様に各種評価を実施した。
<評価方法>
(複合粒子の生成可否評価)
複合粒子の形成可否は、走査型電子顕微鏡による形状観察により判断した。得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察した。
評価は次の基準で判定した。
○:真球状の粒子が得られ、表面にセルロースナノファイバーが被覆されていた。
×:上記粒子は得られなかった。
(収率評価)
取得された粒子の質量(g)/製造に用いたコア粒子前駆体の樹脂質量(g)×100として算出した。
評価は次の基準で判定した。
◎:収率が70%以上であった。
〇:収率が50%以上70%未満であった。
×:収率が50%未満であった。
(粒度分布評価)
乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して分散させ、レーザー回折式粒度分布計(ベックマン・コールター社製、LS-13320)を用いて粒度分布を測定し、複合粒子の平均粒径(メジアン値)を求めた。
評価は次の基準で判定した。
◎:平均粒径が20μm以下であった。
〇:平均粒径が20μmより大きく、100μm以下であった。
×:平均粒径が100μmより大きかった。
(圧壊強度評価)
微小圧縮試験機MCT-510にて20μmの平坦圧縮端子を用い、試料台に粒子を散布し、圧壊試験を行った。N=10にて実施して圧壊強度を測定した。圧壊強度の算出には以下の式を用いた。
圧壊強度 σ =α ×P/(π d
ここで、
σ :圧壊強さ(Pa)
α :係数
P :圧壊試験力(N)
d :粒子の粒径(m)
である。
また、αの値が最大となる位置の値「2.8」を採用した。
評価は次の基準で行った。
◎:圧壊しなかった。
〇:圧壊し、圧壊強度が800MPa以下であった。
×:圧壊し、圧壊強度が800MPaより高かった。
(10%変位強度評価)
微小圧縮試験機MCT-510にて20μmの平坦圧縮端子を用い、試料台に粒子を散布し、最大試験力1.0mN、負荷速度0.045mN/sの条件にて圧縮試験を行った。N=10にて実施して10%変位強度を測定した。10%変位強度は粒子径に対して10%変位した時点での強度を圧壊試験と同様の式を用いて求めた。
〇:10%変位強度が20MPa以下であった。
×:10%変位強度が20MPaより高かった。
(分散性の評価)
得られた乾燥粉体を1質量%の濃度で純水に添加し、攪拌子で24時間攪拌して分散させ、目視で凝集があるか確認した。
評価は次の基準で判定した。
〇:目視で凝集物が確認されなかった。
×:目視で凝集物が確認された。
(使用感の評価)
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例及び比較例の各複合粒子乾燥粉体を塗布した。具体的には各乾燥粉体複合粒子0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。肌に塗布した際の使用感について、以下のように判定した。
○:肌に対するなじみが良く、肌への刺激が少ない。
×:肌に対するなじみが悪く、肌への刺激を感じる。
(保湿性の評価)
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例及び比較例の各複合粒子乾燥粉体を塗布した。具体的には乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。塗布してから30分経過したのち、モイスチャーチェッカーMY-707S(スカラ株式会社)にて、乾燥粉体塗布箇所の肌の水分量を測定した。
評価は次の基準で判定した。
○:水分量が60%以上であった
×:水分量が60%未満であった
(着色性の評価)
気温20℃、湿度40%RHの室内において、被験者(30代女性)の下腕の内側に実施例及び比較例の各複合粒子乾燥粉体を塗布した。具体的には乾燥粉体0.1gを直径5cm程度の円状に指で塗り広げた。
評価は次の基準で判定した。
○:目視で着色が均一であった
×:目視で着色が不均一であった
また、目視で複合粒子乾燥粉体の色を確認した。
以上の実施例及び比較例を用いた評価結果については、以下の表2にまとめて掲載した。表2におけるエマルション安定化剤は、セルロースナノファイバー又はセルロースナノファイバーの代わりに用いたエマルション安定化剤である。コア粒子2を構成するポリマーとコア粒子2に内包した機能性成分を示した。図2に示した製造方法I又は図3に示した製造方法IIを用いて複合粒子1の作製を行った。
Figure 2022063042000005
Figure 2022063042000006
表2の斜線のセル「\」は、実施していない、あるいは評価の遂行が不可能となり、実施していないことを示している。
表2の実施例1及び実施例8から実施例11の評価結果において明らかなように、微細繊維の原料がセルロースやキチンのどちらであっても、また、繊維幅や表面の官能基の有無や導入された官能基の種類(TEMPO酸化CNF、CM化CNF、リン酸エステル化CNF、キチンNF、機械解繊CNF)によらず、ウレタン系ポリマーを含むコア粒子2とする複合粒子1を作製可能であることが確認された。
また、実施例1から実施例4により対イオンをNaイオン、有機オニウムカチオン/アミンとしてTEMPO酸化CNFを用いて、真球状の複合粒子を得ることができることが確認された。図6、図7に示すように、粒子の表面に微細繊維が確認され、粒子表面に微細繊維が被覆されていることが確認された。
特に、有機オニウムカチオン/アミンを用い、TEMPO酸化CNFのアニオン性官能基にイオン結合を介して修飾基を導入することで、収率が向上し、更に粒子径の均一な真球状の複合粒子1を得られることが確認された。
実施例1及び実施例6から実施例7により、各種ウレタン系ポリマーを用いて高収率で均一な複合粒子1を得られることが示唆された。得られた複合粒子1の圧壊強度や10%変位強度を評価したところ、圧壊しないあるいは圧壊強度が低く、10%変位強度が低いことから、柔軟性の高い複合粒子1を得られたことが示唆された。
更に、実施例12に示すように、機能性材料4を担持した複合粒子1を作製できた。複合粒子1(乾燥粉体)を観察すると、銀微粒子のLSPRに由来して黄色を示した。実施例12において得られた複合粒子1の着色性を確認したところ、目視にて均一に着色できることが確認された。
上記のように実施例1から実施例11において微細繊維が被覆された真球状の複合粒子1が得られた。これらはろ過洗浄が可能であり、乾燥後も再分散性が良好であり、柔軟性が高く、優れた質感、保湿性を示した。また、実施例12において機能性材料4として金属微粒子を担持し、均一に着色された複合粒子1を得ることができた。
一方、比較例1において得られた粒子は、真球状ではなく、粗大な粒子であった。この粒子は、保湿性には優れていたが、柔軟性に乏しく、再分散性や肌なじみがよくなかった。
一方、比較例2においては、工程2の遂行が不可能であった。具体的には、超音波ホモジナイザー処理を実施しても分散相(油相或いはモノマー相)と連続相(水相或いはセルロースナノファイバー分散液相)が2相分離したままの状態、あるいはエマルションの安定性が低く、安定したO/W型エマルションの作製が不可能であった。
また、比較例3においては、工程2におけるO/W型エマルションの形成は可能であった。これは、CMCがセルロースナノファイバーと同様に両親媒性を示したため、エマルションの安定化剤として機能したと考えられる。しかしながら、続く工程3において重合性モノマーの重合によりコア粒子前駆体の固体化を実施すると、エマルションが崩壊してしまい、O/W型エマルションを鋳型とした複合粒子を得ることができなかった。この理由としては定かではないが、CMCは水溶性であるため、コア粒子前駆体の固体化中にエマルション形状を維持するための被覆層30としては脆弱である可能性が高く、そのためコア粒子前駆体の固体化中にエマルションが崩壊したと考えられる。
比較例4においては、微細繊維が被覆された真球状の粒子径の均一な粒子を得られた。表面に微細繊維が被覆されているため、使用感、保湿性、分散性に優れていたが、コア粒子のポリマーが硬いために圧壊強度や10%変位強度が高く、柔軟性が良好でなかった。
比較例5においては、使用感に優れていたが、水への分散性や保湿性が良好でなく、圧壊強度や10%変位強度が高かった。
比較例6においては均一に着色することができなかった。
本発明の複合粒子によれば、安全性が高く、親水性が高く、比表面積の高い微細繊維が被覆され、柔軟性の高いコア粒子を有し、粒子径が均一で真球状であることにより、水分散性に優れ、質感が良好で滑りや肌なじみがよく、保湿性に優れた複合粒子を効率よく提供することができる。
セルロースナノファイバーやキチンナノファイバーといった微細繊維の溶媒過多の問題を解決すると共に、簡便な方法で製造可能な新たな様態の微細繊維を有する複合粒子を提供することができる。
また、高比表面積の微細繊維に機能性材料が担持されるために、機能性材料の分散安定性が保たれ、紫外線遮蔽(吸収及び/又は散乱)、発色、抗菌、消臭等の機能性材料の機能を効果的に発揮する複合粒子を提供できる。
更に、複合粒子を含むパーソナルケア用品やパーソナルケア用組成物を提供することができる。例えば、ヘアケア、オーラルケア、匂いケア、ボディーケア、スキンケア、メイクアップ関連製品に利用することができる。具体的には、歯磨き粉、香水、ネイルラッカー、美容液、化粧水、乳液、クレンジング剤、アイシャドー、アイライナー、ファンデーション、チーク、ヘアジェル、ヘアスプレー、シャンプー、リンス、育毛剤、ローション、クリーム及び石鹸等である。
1 複合粒子
2 コア粒子
3 微細繊維
3A 微細繊維(未担持)
3B 微細繊維(機能性材料担持)
4 機能性材料
6 液滴
7 親水性溶媒
30 被覆層

Claims (11)

  1. ウレタン結合を有するポリマーを含有する材料で形成されたコア粒子と、
    前記コア粒子の表面に結合されて不可分の状態にある、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維と、
    を有する複合粒子。
  2. 前記複合粒子の圧壊強度が1MPa以上800MPa以下である、請求項1に記載の複合粒子。
  3. 前記複合粒子を圧縮した際における、前記複合粒子の10%変位強度が0.01MPa以上20MPa以下である、請求項1又は請求項2に記載の複合粒子。
  4. 前記ウレタン結合を有するポリマーが、少なくともウレタン(メタ)アクリル化合物を含む重合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の複合粒子。
  5. 前記ウレタン結合を有するポリマーが、少なくともポリイソシアネートとポリオールの重合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の複合粒子。
  6. 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールのいずれかである請求項5に記載の複合粒子。
  7. 前記セルロースナノファイバー又は前記キチンナノファイバーは、イオン性官能基を有する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の複合粒子。
  8. セルロース原料又はキチン/キトサン原料を溶媒中で解繊して、セルロースナノファイバー及びキチンナノファイバーのいずれかである微細繊維が分散された微細繊維分散液を得る工程と、
    前記微細繊維分散液にコア粒子前駆体を含む液滴を分散させ、前記液滴の表面を前記微細繊維で被覆する工程と、
    前記液滴の内部の前記コア粒子前駆体を固体化して、コア粒子の表面に前記微細繊維が被覆された複合粒子の分散液を得る工程と、
    を有する複合粒子の製造方法。
  9. 前記コア粒子前駆体として、重合性を有する化合物、溶解ポリマー、及び溶融ポリマーの少なくともいずれか用いる請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の複合粒子を含むパーソナルケア用品。
  11. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の複合粒子を含むパーソナルケア用組成物。
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