JP2021049487A - 徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体 - Google Patents

徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体 Download PDF

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Abstract

【課題】徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ない、取り扱いが容易な新たな徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体を提供する。【解決手段】水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相4を内包する少なくとも一種のポリマーを含むコア粒子3と、コア粒子3の表面に微細化セルロース1により構成された被覆層2とを備え、コア粒子3と微細化セルロース1とが結合して不可分の状態にある徐放性複合粒子5とした。【選択図】図1

Description

本発明は、有効物質を含有する徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体に関する。
機能性材料として、様々な分野で各種マイクロカプセルが実用化されている。マイクロカプセルのように芯物質をカプセルで覆うことで、芯物質単体では困難な特性を付与することが可能となる。マイクロカプセルの効果としては、芯物質を外部刺激から保護する、特定の刺激により芯物質を放出する、気体や液体を芯物質とすることで、気体や液体を粉体として扱うことが可能となる、芯物質を徐々に放出し、効果を長期化させる等が挙げられる。
特に徐放性に関しては近年、医療、化粧品、建装材、ホームケア、ファブリックなどの分野で注目され、多くの製品に使用されている。芯物質としては前述したように気体、液体、固体と形態を選ばず、多くの物質が使用できる。具体的には、磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料等が挙げられる。
マイクロカプセルの作製方法としては芯物質の形態や性質を考慮して選択される。芯物質を含む疎水性有機溶媒と水との界面で重合反応を起こすことでカプセル化する、界面重合法(特許文献5)、芯物質の内または外側の一方からモノマーを供給し、界面上で重合反応を起こすことでカプセル化する、in site重合法(特許文献6)等の化学的手法や、コアセルベーション法、液中乾燥法等の物理化学的手法、気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法、高速気流中衝撃法等の機械的・物理的手法等、様々な作製方法がある。
特開平10−120511号公報 特開2010−158640号公報 国際公開第2012/105140号
Noguchi Y, Homma I, Matsubara Y. Complete nanofibrillation of cellulose prepared by phosphorylation. Cellulose. 2017;24:1295.10.1007/s10570-017-1191-3
しかし、マイクロカプセルは加工時に破壊されやすいため、ハンドリング性が悪いという問題点がある。この問題を解決すべく、多孔質微粒子に機能性物質を担持させる方法がある。例えば、ポリ乳酸及び異なる種類の樹脂をエーテル系溶媒に溶解させ、次いで、せん断力を加えてエマルションを形成した後、貧溶媒に接触させることで、小粒子径で吸油量の大きな多孔質のポリ乳酸系樹脂粒子を得る方法がある(特許文献7)。しかしこの方法は不純物を含んだ廃溶媒が多量に発生する。この廃溶媒は、排出すると環境に悪影響を与えてしまう可能性が高く、また、環境に悪影響を与える恐れのある物質が生成してしまう可能性が高い。
また、マイクロカプセルはその大きさ故に比表面積が大きく、界面が不安定であるため、凝集しやすく、再分散がしにくいという問題もある。そのためマイクロカプセル表面に界面活性剤を用いて分散性を改善する方法があるが、界面活性剤がカプセル表面に存在すると、攪拌操作や移送、助剤添加、塗工などの各工程で泡トラブルを引き起こし、生産効率の低下を招いたり、界面活性剤の系外流出による廃水負荷の原因となったりするおそれがある。
このように、徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ないマイクロ粒子を容易に取り扱うことができる新たな取り扱い様態を提供することが強く望まれている。
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ない、取り扱いが容易な新たな徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための、本発明に係る徐放性複合粒子は、液相を内包するポリマーを含むコア粒子と、前記コア粒子の表面に微細化セルロースにより構成された被覆層と、を備え、前記コア粒子と前記微細化セルロースとが結合して不可分の状態にある徐放性複合粒子であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための、本発明に係る徐放性複合粒子の製造方法は、水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相と疎水性モノマー又は液状疎水性ポリマーとを混合することにより、W/O型エマルションを得る第1工程と、セルロース原料を溶媒中で解繊して得た微細化セルロースの分散液中に前記W/O型エマルションを分散させることにより、前記W/O型エマルションの液滴の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロースで覆い、W/O/W型エマルションを得る第2工程と、前記W/O/W型エマルションに含まれる、前記疎水性モノマー又は前記液状疎水性ポリマーを固体化して、前記液相を内包するコア粒子を形成することにより、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロースで覆い、かつ前記コア粒子と前記微細化セルロースとを不可分の状態にする第3工程と、を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するための、本発明に係る乾燥粉体は、上述の徐放性複合粒子を含み、固形分率が80%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、微細化セルロースの特性を維持しつつ、徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ない、取り扱いが容易な新たな徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体を提供することができる。
本発明に係る徐放性複合粒子の一実施形態の概略図である。 本発明に係る徐放性複合粒子の製造方法の一実施形態の説明図である。 実施例1で得られた微細化セルロースの水分散液の分光透過スペクトルを測定した結果のチャートである。 実施例1で得られた微細化セルロースの水分散液の定常粘弾性をレオメーターで測定した結果のグラフである。 実施例1で得られた徐放性複合粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM画像)である。 実施例1で得られた徐放性複合粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で高倍率観察した写真(SEM画像)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<徐放性複合粒子>
まず、本実施形態に係る徐放性複合粒子について説明する。
図1は、水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相(以下、「有効物質含有水相」とも称する)4を内包する少なくとも一種類のポリマーを含むコア粒子3の表面に微細化セルロース(以下、「セルロースナノファイバー」、「CNF」とも称する)1により構成された被覆層2を有する徐放性複合粒子5の概略図である。なお、ここで言う「微細化セルロース」とは、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下の範囲内である繊維状セルロースを意味する。
徐放性複合粒子5は、有効物質含有水相4を内包する少なくとも一種類のポリマーを含むコア粒子3と、コア粒子3の表面に微細化セルロース1により構成された被覆層2とを備え、コア粒子3と微細化セルロース1とが結合して不可分の状態になっている。
徐放性複合粒子5の製造方法は、特に限定されないが、例えば、疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6に有効物質含有水相4を分散させたW/O型エマルションを、微細化セルロース1により安定化されたW/O/W型ピッカリングエマルションにし、エマルション内部の疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6を固体化させて固体のコア粒子3とすることで、コア粒子3と微細化セルロース1とが結合して不可分の状態にある徐放性複合粒子5を得ることができる。微細化セルロース1を用いることで徐放性複合粒子5表面に界面活性剤等の添加物を用いることなく、徐放性複合粒子5を作製することが可能であり、分散性の高い徐放性複合粒子5を得ることができる。
ここで言う「不可分」とは、例えば、徐放性複合粒子5を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することで徐放性複合粒子5を精製や洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による精製や洗浄する操作を繰り返した後であっても、微細化セルロース1とコア粒子3とが分離せず、微細化セルロース1によるコア粒子3の被覆状態が保たれることを意味する。被覆状態の確認は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による徐放性複合粒子5の表面観察により確認することができる。
なお、徐放性複合粒子5において微細化セルロース1とコア粒子3との結合メカニズムについては定かではないが、徐放性複合粒子5が微細化セルロース1によって安定化されたW/O/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルション内部の疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6に微細化セルロース1が接触した状態で疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6が固体化することにより、固体化後に得られる徐放性複合粒子5において、コア粒子3の表面に存在する微細化セルロース1の少なくとも一部がコア粒子3の内部に取り込まれた状態となると予想され、物理的に微細化セルロース1が固体化後のコア粒子3に固定化されて、最終的にコア粒子3と微細化セルロース1とが不可分な状態に至るからと推察される。
ここで、W/O型エマルションは、油中水滴型(Water-in-Oil)とも言われ、油を連続相とし、その中に水が水滴(水粒子)として分散しているものである。また、W/O/W型エマルションは水を連続相とし、その中にW/O型エマルションが油滴として分散しているものである。
また、徐放性複合粒子5は微細化セルロース1によって安定化されたW/O/W型エマルションを鋳型として作製されるため、徐放性複合粒子5の形状はW/O/W型エマルションに由来した真球状となることが特徴である。詳細には、真球状のコア粒子3の表面に微細化セルロース1からなる被覆層2が比較的均一な厚みで形成された様態となる。
被覆層2の平均厚みは、例えば、徐放性複合粒子5を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中の徐放性複合粒子5の断面像における被覆層2の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出できる。また、徐放性複合粒子5は比較的揃った厚みの被覆層2で均一に被覆されていることが特徴であり、具体的には上述した被覆層2の厚みの値の変動係数は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。微細化セルロース1を含む被覆層2の厚みの値の変動係数が0.5を超える場合には、例えば、徐放性複合粒子5の回収が困難となることがある。
さらに、微細化セルロース1は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。具体的には、微細化セルロース1は繊維状であって、数平均短軸径が1nm以上1000nm以下、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の5倍以上であることが好ましい。また、微細化セルロース1の結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。
<徐放性複合粒子の製造方法>
図2に、本実施形態に係る徐放性複合粒子5の製造方法を示す。本実施形態に係る徐放性複合粒子5の製造方法は、水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相4と疎水性モノマー又は液状疎水性ポリマー6とを混合することにより、W/O型エマルションを得る第1工程と、セルロース原料を溶媒中で解繊して得た微細化セルロース1の分散液中に前記W/O型エマルションを分散させることにより、W/O型エマルションの液滴の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロース1で覆い、W/O/W型エマルションを得る第2工程と、前記W/O/W型エマルションに含まれる、前記疎水性モノマー又は前記液状疎水性ポリマー6を固体化して、前記液相4を内包するコア粒子3を形成することにより、前記コア粒子3の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロース1で覆い、かつ前記コア粒子3と前記微細化セルロース1とを不可分の状態にする第3工程と、を製造工程に有している。
上記製造方法により得られた徐放性複合粒子5は溶媒中の分散体として得られる。さらに溶媒を除去することにより乾燥固形物として得られる。溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば遠心分離法やろ過法によって余剰の溶媒を除去し、さらにオーブンで熱乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。
この際、得られる乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。この理由としては、定かではないものの、微細化セルロース1の分散液7から溶媒を除去すると、微細化セルロース1同士が強固に凝集して膜化することが一般に知られているが、徐放性複合粒子5を含む分散液7の場合、微細化セルロース1が表面に固定化された真球状の徐放性複合粒子5であることから、溶媒を除去しても微細化セルロース1同士が凝集することなく、徐放性複合粒子5間の点と点で接するのみであるため、その乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られるからと考えられる。
また、徐放性複合粒子5同士の凝集がないため、乾燥粉体として得られた徐放性複合粒子5を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も徐放性複合粒子5の表面に結合された微細化セルロース1に由来した分散安定性を示す。
なお、徐放性複合粒子5の乾燥粉体は溶媒をほとんど含まず、さらに溶媒に再分散可能であることを特徴とする乾燥固形物であり、具体的には固形分率を80%以上とすることができ、さらに90%以上とすることができ、さらに95%以上とすることができる。溶媒をほぼ除去することができるため、例えば、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。
ここで、乾燥処理により固形分率を80%以上にした際、微細化セルロース1は吸湿しやすいため、空気中の水分を吸着して固形分率が経時的に低下する可能性がある。しかしながら、徐放性複合粒子5は乾燥粉体として容易に得られ、さらに再分散させ得ることが特徴である本発明の技術的思想を考慮すると、徐放性複合粒子5を含む乾燥粉体の固形分率を80%以上とする工程を含む乾燥固形物の製造方法により製造された乾燥固形物であれば、本発明の技術的範囲に含まれると定義する。
次に、本実施形態に係る徐放性複合粒子5の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
≪第1工程≫
第1工程は、水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相(有効物質含有水相)4と疎水性モノマー又は液状疎水性ポリマー6とを混合することにより、W/O型エマルションを得る工程である。
W/O型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いることも可能である。
本発明において用いられる水溶性有効物質としては、水に溶解する、または分散する物質であれば制限はなく、水性媒体、詳しくは水またはアルコール水溶液に溶解、または分散するものが好ましい。アルコール水溶液とは水とアルコールとを混合した溶液であり、水100重量部に対してエタノールまたはメタノール等の1価のアルコールを1〜300重量部溶解したものが挙げられる。
前記水溶性有効物質としては例えば、酸味料、色素、着色料、香料、抗酸化剤、酵素、菌類、調味料、無機塩類、澱粉、澱粉加水分解物、ペプチド、生理活性を有するポリペプチド、アミノ酸、食物繊維、セルロース、栄養強化剤、生薬エキス、糖尿病治療剤、解熱剤、消炎剤、鎮痛剤、鎮静剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗潰瘍剤、抗腫瘍剤、抗凝血剤、止血剤、強心剤、筋弛緩剤、麻酔剤、不整脈治療剤、血管拡張剤等の薬剤、ワクチン、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、忌避剤、キチン合成阻害剤、昆虫成長制御剤、植物成長調節剤等が挙げられる。具体的にはクエン酸及びその塩類、リン酸及びその塩類、メタリン酸及びその塩類、クチナシ青色色素、カラメル、カカオ色素、ブドウ果皮色素、ストロベリー色素、シソ色素、フォスフォリパーゼ、アミラーゼ、デヒドロゲナーゼ、タカヂアスターゼN1、乳酸菌、酪酸菌、ビフィズス菌、核酸、酵母、タウリン、食塩、醤油、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コーン澱粉、デキストリン、乳ペプチド、コーンペプチド、インスリン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、L−トリプトファン、塩化リジン、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、ポリデキストロース、微結晶セルロース、アスコルビン酸及びその塩類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸、リン酸L−アスコルビン酸マグネシウム、ビタミンB類、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチン、塩化カルシウム等のカルシウム塩類、乳性ミネラル、乳酸カルシウム、カゼイン・カルシウム・ペプチド(CCP)、カゼインホスホペプチド(CPP)、カルシウムサイトレマート(CCM)、牛骨粉、貝殻粉、へム鉄、亜鉛、アルブチン、コウジ酸、ニフェジピン、ユビデカノン、ニカルジピン、ソマトスタチン、メソトレキセート、塩酸フェンフォルミン、グリピザイド、塩酸ブフォルミン、グリミジンナトリウム、サリチル酸ナトリウム、フルフェナム酸ナトリウム、スルピリン、プロクロルペラジン、塩酸クロルプロマジン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸メトジラジン、マレイン酸クロルフェニラミン、アミカシン、トブラマイシン、リビドマイシン、ゲンタマイシン、カネンドマイシン、塩酸テトラサイクリン、ジベカシン、アンピシリン、メトクロプロミド、マイトマイシンC、塩酸ブレオマイシン、アクチノマイシンD、メソトレキセート、塩酸ダウノルビシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビスブラスチン、アドリアマイシン、レンチナン、グリチルリチン、ヘパリンナトリウム、トロンビン、トロンボプラスチン、トランスパイオキソカンファー、アミノフィリン、テオフィロール、メタンスルホン酸プリジノール、塩化ツボクラリン、塩酸ブフェトロール、塩酸ジルチアゼム、塩酸オキシフェドン、グリチルリチン酸ジカリウム、マレイン酸クロフェニラミン、リン酸コデイン、アスピリン、アセトアミノフェノン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、ヒベンズ酸チペピジン、ビスベンチアミン、アセチルサリチル酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クエン酸カルベタペンタン、グアヤコールスルホン酸カリウム、インフルエンザワクチン、ギムネマ、ギムネマシルベスタ抽出物、ハトムギエキス、蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリス、羅漢果抽出物、ハーブエキス、ぶどう抽出物、ブルーベリー抽出物、ブルーベリー葉抽出物、ローズマリー抽出物、茶抽出物、カテキン、杜仲エキス、ロートエキス、ポーレン、ナリンジン、香辛料抽出物、こけもも抽出物、カフェイン、オウバク末、ヨード、コバルト、セレニウム、オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニンニク抽出物、シイタケエキス、わさび、たで、マツバエキス、バジル、コカ、さんしょう、しそ、しそ抽出物、辛子、米糠酵素分解物、クロレラ、タウリン、スピルリナ、エゾウコギ、キチン、キトサン、ルチン、紅花抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、アロエ、イソアルファー苦味酸、ゲンチアナ抽出物、霊芝、霊芝抽出物、冬虫夏草、マムシエキス、マローエキス、スッポンエキス、カキエキス、ヨモギ抽出物、クコシ、クコ、クマザサエキス、高麗人参エキス、田七人参エキス、イチョウ葉エキス、人参の葉エキス、オクタコサノール、シャクヤク、エンゴサク、リョウキョウ、シュクシャ、ボレイ、エンゴサク、ケイヒエキス、ダイダイエキス、カキ葉エキス、クズ花エキス、ウイキョウエキス、ショウガエキス、エゾウコギエキス、サンザシエキス、ガラナエキス、オウセイエキス、カンゾウエキス、イソロイシン、トレオニン、フェニルアラニン、ナリンジン、ナイアシンアミド、リジン、スレオニン、アルギニン、ガラナ、カキニクエキス、ギムネマシルベスタエキス、トナカイホーンエキス、ステビア、深海ザメエキス、オットセイエキス、しらこ蛋白、プラセンタエキス、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンプロパトリン、エスフェンバレレート、トラロメトリン、アクリナトリン、ビフェントリン、レスメトリン、テトラメトリン等のピレスロイド系化合物、プロポキサー、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、カルバリル、ピリミカルブ、カルボフラン、メソミル、フェノキシカルブ、アラニカルブ、メトキサジアゾン等のカーバメート系化合物、アセフェート、フェントエート、バミドチオン、トリクロルホン、モノクロトホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、ホサロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、メチダチオン、メタミドホス、ジメトエート、フェルモチオン、アジンホスエチル、アジンホスメチル、サリチオン等の有機リン系化合物、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ルフェヌロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、シロマジン、ジアフェンチウロン、ヘキシチアゾクス、ノヴァルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、4−クロロ−2−(2−クロロ−2−メチルプロピル)−5−(6−ヨード−3−ピリジルメトキシ)ピリダジン−3(2H)−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、2−tert−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,3,5−チアジアゾン−4−オン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]ウレア等のウレア系化合物、5−アミノ−4−ジクロロフルオロメチルスルフェニル−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール、5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−4−トリフルオロメチルスルフェニルピラゾール等のピラゾール系化合物、ニトロイミダゾリジン誘導体;アセタミプリド等のN−シアノアミジン誘導体;カルタップ、ブプロフェジン、チオシクラム、ベンスルタップ、フェノキシカルブ、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、リプロキシフェン、ヒドラメチルノン、チオジカルブ、クロルフェナピル、フェンプロキシメート、ピメトロジン、ピリミジフェン、テブフェノジド、テブフェンピラド、トリアザメート、インドキサカーブ、スルフルラミド、ミルベメクチン、アベルメクチン、ホウ酸、パラジクロロベンゼンなどが挙げられる。
前記有効物質含有水相4を分散させる油相として用いることのできる疎水性モノマーは重合性を持つモノマーであり、ポリマーの単量体であって、その構造中に重合性の官能基を有し、常温で液体であって、水と相溶せず、重合反応によってポリマー(高分子重合体)を形成できるものであれば特に限定されない。疎水性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する疎水性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。
疎水性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する疎水性モノマー(例えばε-カプロラクトン等、)を用いることも可能である。
なお、「(メタ)アクリル」の表記は、「アクリル」と「メタクリル」との両方を含むこと示し、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むこと示す。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレンおよびスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ジブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
また、これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
上記疎水性モノマーは単独又は2種類以上を組み合わせて用いることが可能である。
また、重合性モノマーには予め重合開始剤を含ませることも可能である。一般的な重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。特に、ADVN、AIBNが汎用される。
第1工程において予め重合開始剤が含まれた状態の疎水性モノマー6を用いれば、後の工程であるW/O/W型エマルションを形成した際にエマルション粒子内部の疎水性モノマー6中に重合開始剤が含まれるため、後述の第3工程においてエマルション内部の疎水性モノマー6を重合させて固体化する際に重合反応が進行しやすくなる。
また、疎水性モノマー6と重合開始剤との重量比については特に限定されないが、通常、モノマー100質量部に対し、重合開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。疎水性モノマー6が0.1質量部未満となると、重合反応が充分に進行せずに徐放性複合粒子5の収量が低下するため好ましくない。
また、疎水性ポリマーを各種溶媒に溶解させた溶解疎水性ポリマーを油相として用いることも可能である。例えば、後述の微細化セルロース1の分散液7への相溶性の低い溶媒に既存の疎水性ポリマーを溶解させて液状疎水性ポリマー(溶解疎水性ポリマー)6とし、前記有効物質含有水相4と混合することで、W/O型エマルションを形成することができる。
具体的なポリマーとしては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併せて用いることができる。
また、前記疎水性ポリマーを溶解させる溶媒としては、微細化セルロース1の分散液7への相溶性の低い溶媒が好ましい。水への溶解度が高い場合、溶解疎水性ポリマーの液滴相から前記分散液7の水相へ溶媒が容易に溶解してしまい、エマルション化が難しくなってしまう。一方で、水への溶解性がない溶媒の場合、溶解疎水性ポリマーの液滴相から溶媒が前記分散液7の水相に移動できず、複合粒子が得られなくなってしまう。
また、前記溶媒は、沸点が90℃以下であると好ましい。沸点が90℃より高い場合、前記溶媒よりも先に微細化セルロース1の分散液7が蒸発し易くなり、徐放性複合粒子5を得ることが困難となってしまう。前記溶媒としては、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ベンゼンなどが挙げられる。
さらに、溶媒を用いずに疎水性ポリマーそのものを溶融させた液状疎水性ポリマー(溶融疎水性ポリマー)6を油相として用いることも可能である。例えば常温で固体の疎水性ポリマーを溶融させて液体とし、前記有効物質含有水相4と混合することで、W/O型エマルションを形成することができる。
前記疎水性ポリマーは、沸点が90℃以下であると好ましい。沸点が90℃より高い場合、微細化セルロース1の分散液7中の水が蒸発してしまい、エマルション化が難しくなってしまう。
前記疎水性ポリマーとしては、具体的には、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ステアリルステアレート、ステアリン酸バチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸エチレングリコール、ベヘニルアルコール、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、炭化水素ワックス、脂肪酸アルキルエステル、ポリオール脂肪酸エステル、脂肪酸エステルとワックスの混合物、脂肪酸エステルの混合物、グリセリンモノパルミテート(/ステアリン酸モノグリセライド)、グリセリンモノ・ジステアレート(/グリセリンステアレート)、グリセリンモノアセトモノステアレート(/グリセリン脂肪酸エステル)、コハク酸脂肪族モノグリセライド(/グリセリン脂肪酸エステル)、クエン酸飽和脂肪族モノグリセライド、ソルビタンモノステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタントリベヘネート、プロピレングリコールモノベヘネート(/プロピレングリコール脂肪酸エステル)、アジピン酸ペンタエリスリトールポリマーのステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ステアリルシトレート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、超淡色ロジン、ロジン含有ジオール、超淡色ロジン金属塩、水素化石油樹脂、ロジンエステル、水素化ロジンエステル、特殊ロジンエステル、ノボラック、結晶性ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等を用いることができる。
W/O型エマルションを形成する際に有効物質含有水相4を疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6中に安定して分散させるために疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6に乳化剤を添加することが好ましい。乳化剤としてはイオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の何れをも用いることができる。
イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ラウロイルザルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル型活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル型活性剤、さらに、ポリオキシエチレングリセリルモノイソステアレート等のエーテル・エステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤、及びグリセリルモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル、等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が挙げられる。また、シリコーン系界面活性剤としてポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
中でもHLB値が10以下の界面活性剤が好ましい。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ジグリセライド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、シリコーン系乳化剤、アルキレンオキサイド付加界面活性剤等が挙げられ、具体的にはソルビタンモノオレート、ソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノリノレート、クエン酸とグリセリンモノオレートのエステル化物、プロピレングリコールモノステアレート、グリセリンジオレート、グリセリンジリノレート、なたね油とグリセリンのエステル交換により得られたジグリセライド、サフラワーとグリセリンのエステル交換により得られたジグリセライド、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリントリオレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、テトラグリセリン縮合リシノレート、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖トリないしペンタステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート、レシチン(例えば日清オイリオグループ株式会社製、商品名「レシチンDX」、「ベイシスLP−20(登録商標)」、「ベイシスLS−60(登録商標)」等)、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン5モル付加)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン5モル付加)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン5モル付加)シロキサン共重合体等が挙げられる。
前記有効物質含有水相4と疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6との重量比については特に限定されないが、疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6が100質量部に対し、有効物質含有水相4が1質量部以上80質量部以下であることが好ましい。有効物質含有水相4が1質量部未満となると水溶性有効物質の効能が弱くなるため好ましくなく、80質量部を超えるとW/O型エマルションを形成することが困難となり好ましくない。
さらに、前記疎水性モノマーおよび液状疎水性ポリマー6を併用することによりW/O型エマルションを形成することも可能である。また、本徐放性複合粒子5のコア粒子3となるポリマー種として生分解性樹脂を選択した場合、得られる徐放性複合粒子5は、内部のコア粒子3が生分解性樹脂および外部の被覆層(シェル)2がCNFで構成されることにより、生分解性材料を有する環境調和性の高い徐放性複合粒子5として提供することも可能である。
≪第2工程≫
第2工程は、セルロース原料を溶媒中で解繊して得た微細化セルロース1の分散液7中に第1工程で形成したW/O型エマルションを分散させることにより、W/O型エマルションの液滴の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロース1で覆い、W/O/W型エマルションを得る工程である。
まず、セルロース原料を溶媒中で解繊して得た微細化セルロース1の分散液7を作製する。各種セルロース原料を溶媒中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中のセルロース原料の濃度としては0.1%以上10%未満が好ましい。懸濁液中のセルロース原料の濃度が0.1%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なう傾向があるため好ましくない。また、懸濁液中のセルロース原料の濃度が10%以上になると、セルロース原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となる傾向があるため好ましくない。
懸濁液作製に用いる溶媒としては、水を50%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50%未満になると、後述する、セルロース原料を溶媒中で解繊して微細化セルロース分散液を得る工程において、微細化セルロース1の分散が阻害され易い傾向となる。
また、水以外に含まれる溶媒としては親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒については特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロース1の分散性を上げるために、例えば、懸濁液のpH調整を行うと好ましい。
pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロース原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。
このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺をナノメートルオーダーになるまで微細化したセルロース(微細化セルロース)1の分散液7を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細化セルロース1の数平均短軸径および数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺をナノメートルオーダーにまで微細化したセルロース(微細化セルロース)1の分散体(微細化セルロース1の分散液7)を得ることができる。得られた分散液7は、そのまま、または希釈や濃縮等を行って、後述するW/O/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
通常、微細化セルロース1は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であるため、本実施形態に係る製造方法に用いる微細化セルロース1としては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。すなわち、微細化セルロース1の形状としては、繊維状であることが好ましい。また、繊維状の微細化セルロース1は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下であると好ましく、2nm以上500nm以下であるとさらに好ましい。
ここで、数平均短軸径が1nm未満であると、微細化セルロース1が高結晶性の剛直な繊維構造となり難く、エマルションの安定化と、エマルションを鋳型とした重合反応とを実施することが困難となる傾向になってしまう。他方、数平均短軸径が1000nmを超えると、サイズが大きくなり過ぎて、エマルションが安定化し難くなってしまい、得られる徐放性複合粒子5のサイズや形状を制御することが困難となる傾向になってしまう。
また、数平均長軸径においては特に制限はないが、数平均短軸径の5倍以上であると好ましい。数平均長軸径が数平均短軸径の5倍未満であると、徐放性複合粒子5のサイズや形状を十分に制御することが困難となる傾向になってしまう。
なお、微細化セルロース1の数平均短軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡での観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロース1の数平均長軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡での観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロース1の原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。
さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプなど、一般的にCNFの製造に用いられるものを適用することができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
さらに、セルロース原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、セルロース原料の結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。セルロース結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果でセルロース結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化が進行しやすくなるためである。
セルロースの結晶表面に導入されるアニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基がより好ましい。
セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度のアルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させてカルボキシメチル化を行うことにより得ることができる。また、オートクレーブ中でガス化させたマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースとを直接反応させてカルボキシ基を導入することも可能である。
さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を適用することも可能である。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷低減のためにはN−オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N−オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒として適切な量であり、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。
この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を向上させることができる。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持し易くすることができる。
共酸化剤としては、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応の促進が可能な量であり、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
また、N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用することも可能である。これにより、酸化反応をさらに円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を向上させることができる。
このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムであると、より好ましい。化合物の使用量は、酸化反応の促進が可能な量であり、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上80℃以下であると好ましく、10℃以上70℃以下であるとより好ましい。酸化反応の反応温度が4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなる傾向になってしまう。酸化反応の反応温度が80℃を超えると、副反応が促進して試料であるセルロースが低分子化して、高結晶性の剛直な微細化セルロース1の繊維構造が崩壊し、W/O/W型エマルションの安定化剤として用いることが難しくなる傾向になってしまう。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分〜5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9〜11が好ましい。pHが9以上であると、反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると、副反応が進行し易くなり、試料であるセルロースの分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、例えば、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、例えば、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、例えば、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供することも可能であるが、N−オキシル化合物等の触媒や不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄すると好ましい。酸化セルロースの回収は、例えば、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nm前後の均一な繊維幅を有するセルロースシングルナノファイバー(CSNF)が得られる。CSNFを徐放性複合粒子5の微細化セルロース1の原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるW/O/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
以上のように、本実施形態で用いられるCSNFは、セルロース原料を酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、微細化セルロース1(CSNF)に導入するカルボキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下であると、より好ましい。
ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働き難くなるため、セルロースを微細化して均一に分散させることが困難となる傾向になってしまう。また、カルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると、化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化し易くなるため、微細化セルロース1が高結晶性の剛直な繊維構造をとり難くなり、W/O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向になってしまう。
得られた微細化セルロース1の分散液7に対して、第1工程で得られたW/O型エマルションを添加し、撹拌することで、W/O型エマルションの液滴の表面を微細化セルロース1によって被覆し、微細化セルロース1により安定化されたW/O/W型エマルションを形成することができる。
W/O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されず、W/O型エマルションを作製する方法と同様の方法を適用することが可能である。例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、微細化セルロース1の分散液7に対して、第2工程で得られたW/O型エマルションを添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。
超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
超音波処理により、微細化セルロース1の分散液7中にW/O型エマルションが分散してW/O/W型エマルション化が進行し、さらにW/O型エマルションの液滴と微細化セルロース1の分散液7との液/液界面に微細化セルロース1が選択的に吸着することで、W/O型エマルションの前記液滴が微細化セルロース1で被覆されW/O/W型エマルションとして安定した構造を形成する。
このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のように微細化セルロース1によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースは、その分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有するため、両親媒性を示すことから、両親媒性に由来して疎水性モノマー6と親水性溶媒との液/液界面に吸着すると考えられる。
≪第3工程≫
第3工程は、前記W/O/W型エマルションに含まれる、疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6を固体化して有効物質含有水相4を内包するコア粒子3とすることで、前記コア粒子3の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロース1で覆い、かつ前記コア粒子3と前記微細化セルロース1とを不可分の状態にし、徐放性複合粒子5を得る工程である。
前記W/O型エマルションの液滴に含まれる疎水性モノマー6を固体化する方法については特に限定されず、用いた疎水性モノマー6の種類および重合開始剤の種類によって適宜選択可能であるが、例えば懸濁重合法が挙げられる。
具体的な懸濁重合の方法についても特に限定されず、公知の方法を用いて実施することができる。例えば第2工程で作製された、重合開始剤を含有する疎水性モノマー6によるW/O型エマルションの液滴が微細化セルロース1によって被覆され安定化したW/O/W型エマルションを攪拌しながら加熱することによって実施することができる。攪拌の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。
また、攪拌せずに加熱処理のみを行うことも可能である。また、加熱時の温度条件については疎水性モノマー6の種類および重合開始剤の種類等によって適宜設定することが可能であるが、20℃以上150℃以下が好ましい。20℃未満であると、重合の反応速度が低下するため好ましくなく、150℃を超えると、微細化セルロース1が変性する可能性があるため好ましくない。
重合反応に供する時間は疎水性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間〜24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
また、前記W/O型エマルションに含まれる液状疎水性ポリマー6を固体化する方法については特に限定されない。例えば溶媒を用いた溶解疎水性ポリマーを用いる場合、微細化セルロース1の分散液7中でW/O/W型エマルションが形成された後、前述のように水への溶解性の低い溶媒が経時的に水相へ次第に拡散して行くことにより、溶解疎水性ポリマーを析出させて粒子として固体化させることができる。
また、例えば疎水性ポリマーを加熱して液体化した溶融疎水性ポリマーを用いる場合、微細化セルロース1の分散液7中でW/O/W型エマルションが形成された後、該エマルションを冷却することにより、溶融疎水性ポリマーを粒子として固体化することができる。
上述の工程を経て、有効物質含有水相4を内包したコア粒子3が微細化セルロース1によって被覆された真球状の徐放性複合粒子5を作製することができる。
なお、疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー6の固体化処理終了直後は、徐放性複合粒子5の分散液7中に多量の水と徐放性複合粒子5の被覆層2の形成に寄与せずに遊離した微細化セルロース1とが混在した状態となっていることから、作製した徐放性複合粒子5を分散液7中から回収して精製する必要がある。回収方法や精製方法としては、遠心分離による洗浄またはろ過洗浄が好ましい。
遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができ、具体的には遠心分離によって徐放性複合粒子5を沈降させて上澄みを除去し、水とメタノールとの混合溶媒に再分散することを繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去して徐放性複合粒子5を精製回収することができる。
ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができ、例えば孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターを用いて水とメタノールとで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストからさらに残留溶媒を除去して徐放性複合粒子5を精製回収することができる。
残留溶媒の除去方法は特に限定されず、風乾やオーブンなどの簡便な熱乾燥にて実施することが可能である。こうして得られた徐放性複合粒子5を含む乾燥固形物は上述のように膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。
<実施形態の効果>
本実施形態に係る徐放性複合粒子5は、その表面の微細化セルロース1の特性を維持しつつ、徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ない、取り扱いが容易な新たなものとなる。
また、本実施形態に係る徐放性複合粒子5を含む乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られ、粒子同士の凝集がない。このため、乾燥粉体として得られた徐放性複合粒子5を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も徐放性複合粒子5の表面に結合された微細化セルロース1の被覆層に由来した分散安定性を示す。
また、本実施形態に係る徐放性複合粒子5の製造方法によれば、環境への負荷が低く、簡便な方法で提供することが可能な新規な徐放性複合粒子5の製造方法を提供することができる。
また、本実施形態に係る微細化セルロース1の複合体を含む乾燥固形物によれば、乾燥固形物を溶媒に再分散可能な形で提供することができる。
また、本実施形態に係る徐放性複合粒子5によれば、溶媒をほとんど除去することが可能なため、輸送費の削減、腐敗リスクの低減、添加剤としての添加効率の向上、疎水性樹脂への混練効率向上といった効果が期待できる。特に、CNFが生分解性材料であるだけでなく、コア粒子3のポリマーも生分解性樹脂であると、環境性に優れたものとなる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述した実施形態の説明で例示した構成要素は適宜に組み合わせて実施することが可能である。
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量百分率(w/w%)を示す。
[実施例1]
<第1工程:W/O型エマルションを得る工程>
疎水性モノマーであるジビニルベンゼン(以下「DVB」という。)10gに対し、重合開始剤である2、2−アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル(以下「ADVN」という。)を1g、乳化剤であるショ糖エルカ酸エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製、商品名「リョートーシュガーエステルS−370(登録商標)」、以下「S−370」という。)0.5gを溶解させた。開始剤及び乳化剤を含有させたDVB全量に対し、殺虫成分であるピレトリンを水1gに対して0.1g溶解したピレトリン水溶液を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で5分間処理を行い、W/O型エマルションを得た。
<第2工程:W/O/W型エマルションを得る工程>
≪木材セルロースのTEMPO酸化≫
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度を常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.50mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
≪酸化パルプのカルボキシ基量測定≫
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
≪酸化パルプの解繊処理≫
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CSNF濃度1%のCSNF水分散液を得た。
ここで、CSNF分散液を光路長1cmの石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、「UV−3600」)を用いて分光透過スペクトルの測定を行った。その結果を図2に示す。図2から明らかなように、CSNF水分散液は高い透明性を示した。また、CSNF水分散液に含まれるCSNFの数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は1110nmであった。さらに、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った。その結果を図3に示す。図3から明らかなように、CSNF分散液はチキソトロピック性を示した。
そして、前記方法にて得られたCSNF濃度1%のCSNF分散液40gに対し、第1工程で得られたW/O型エマルション全量を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で3分間処理を行い、W/O/W型エマルションを得た。
<第3工程:徐放性複合粒子を得る工程>
W/O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却した。得られた分散液に対し、遠心力75,000g(gは重力加速度)で5分間処理することにより、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで繰り返し洗浄した。
こうして得られた精製回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(日機装株式会社製、「NANOTRAC UPA−EX150」)を用いて粒径を評価したところ、平均粒径2.1μmであった。次に精製回収物を風乾し、さらに室温25度にて48時間風乾によって乾燥を実施したところ、肌理細やかな乾燥粉体(徐放性複合粒子5)が得られた。
≪走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察≫
得られた乾燥粉体をSEMにて観察した。その結果を図5および図6に示す。図5から明らかなように、W/O/W型エマルションの液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、当該液滴の形状に由来した、真球状の徐放性複合粒子5が無数に形成していることが確認できた。さらに図6に示されるように、その表面は幅数nmのCNFによって均一に被覆されていることが確認できた。
また、徐放性複合粒子5は、ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、その表面が微細化セルロース1によって等しく均一に被覆されていることから、内部のコア粒子3と微細化セルロース1であるCNFとが結合していると考えられ、不可分の状態にあると認められた。
[実施例2]
実施例1において、疎水性モノマーの単独のDVBに代えて、セルロースアセテートブチレート(米国イーストマン社製、商品名「CAB−551−0.2」、以下「CAB」という。)4gとDVB6gとの混合物を用いた。それ以外は、実施例1と同様の条件で徐放性複合粒子5を作製し、実施例1と同様に各種評価を実施した。
[実施例3]
実施例1において、TEMPO酸化に代えて、非特許文献1に記載のリン酸エステル化処理を行い、得られたリン酸エステル化CNFの分散液を用いた。それ以外は実施例2と同様の条件で徐放性複合粒子5を作製し、実施例1と同様に各種評価を実施した。
[実施例4]
ポリ乳酸(ユニチカ株式会社製、商品名「テラマックTE4000(登録商標)」、以下「PLA」という。)6gをジクロロメタン(沸点:39.6℃)4gに溶解させ液状疎水性ポリマーを得た。PLA溶液に乳化剤「S−370」を0.5g溶解させた。乳化剤含有PLA全量に対し、殺虫成分であるピレトリンを水1gに対して0.1g溶解したピレトリン水溶液を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で5分間処理を行い、W/O型エマルションを得た。
CSNF濃度1%のCSNF分散液40gに対し、ピレトリン水溶液とPLA溶液とで作製したW/O型エマルション全量を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で3分間処理を行い、W/O/W型エマルションを得た。
次に、W/O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、ジクロロメタンを揮発させた。8時間処理後に上記分散液を実施例1と同様に処理を行うことにより、乾燥粉体(徐放性複合粒子5)を得た。
[実施例5]
ステアリン酸(融点:69.6℃)10gをウォーターバスで80℃に加温して溶解させた。加温したまま乳化剤「S−370」を0.5g混合した。乳化剤含有ステアリン酸全量に対し、殺虫成分であるピレトリンを70℃の水1gに対して0.1g溶解したピレトリン水溶液を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で5分間処理を行い、W/O型エマルションを得た。
80℃に加温したCSNF濃度1%のCSNF分散液40gに対し、ピレトリン水溶液とステアリン酸とで作製したW/O型エマルション全量を添加し、超音波ホモジナイザーにて、周波数24kHz、出力400Wの条件で3分間処理を行い、W/O/W型エマルションを得た。
次に、W/O/W型エマルション分散液を、室温まで冷却させた。冷却した分散液を実施例1と同様に処理を行うことにより、乾燥粉体(徐放性複合粒子5)を得た。
[比較例1]
実施例2において、CSNF分散液に代えて、純水を用いた。それ以外は実施例2と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[比較例2]
実施例2において、CSNF分散液に代えて、カルボキシメチルセルロース(以下「CMC」という。)水溶液を用いた。それ以外は実施例2と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[比較例3]
実施例2において、CSNF分散液に代えて、ドデシル硫酸ナトリウム(以下「SDS」という。)8%水溶液を用いた。それ以外は実施例2と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[比較例4]
実施例4において、ジクロロメタンに代えて、キシレン(沸点144℃)を用いた。それ以外は実施例4と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[比較例5]
実施例5において、ステアリン酸に代えて、オレイン酸(融点:13.4℃)を用いた。それ以外は実施例5と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[比較例6]
実施例6において、ステアリン酸に代えて、アミド系ワックス(山桂産業株式会社、商品名「ITOHWAX−J630」(融点:135℃)、以下「ITOHWAX」という。)を用いた。それ以外は実施例5と同様の条件で徐放性複合粒子5の作製を行った。
[結果]
上記実施例1〜5および比較例1〜6の結果を下記の表1に示す。
なお、表1において、W/O/W型エマルションの安定化剤とは、第2工程においてW/O/W型エマルションを安定化させるために用いた添加剤のことであって、得られた徐放性複合粒子5の最表面に被覆している物質である。例えば本実施形態における微細化セルロース1が相当する。
<評価基準>
第2工程の可否については、W/O/W型エマルションの形成が可能であったものを「〇」と判定し、W/O/W型エマルションの形成が不可能であったものを「×」と判定した。
また、第3工程の可否については、W/O/W型エマルションを鋳型とした真球状の粒子が得られたものを「〇」と判定し、当該粒子が得られなかったものを「×」と判定した。
また、再分散性に関しては、蓋つきサンプル瓶に水10gを入れ、作製した徐放性複合粒子5を0.1g添加し、蓋を閉めた状態で1分間サンプル瓶を強く手で振とうさせた後、水中の状態を目視にて観察した。その結果、得られた徐放性複合粒子5が溶媒(水)に凝集することなく分散したものを「〇」と判定し、分散せずに凝集したものを「×」と判定した。
また、殺虫成分の徐放性に関しては、ヒメコガネムシ幼虫に対する殺虫効果を評価した。具体的には、土壌に徐放性複合粒子5を0.1g/mとなるように混合し、40日後に10匹のコガネムシを放飼して7日後の死亡率を確認した。その結果、死亡率が90%以上であったものを「〇」と判定し、死亡率が90%未満であったものを「×」と判定した。
また、界面活性剤の流出に関しては、第3工程での遠心分離処理にて得られる上澄み液を蓋つきサンプル瓶に入れ、蓋を閉めた状態で1分間サンプル瓶を強く手で振とうさせた後、サンプル瓶内の泡立ちを目視にて観察した。その結果、泡が発生しないものを「〇」と判定し、泡が発生するものを「×」と判定した。
また、生分解性に関してはJIS規格「JIS K6950:2000 プラスチック−水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方−閉鎖呼吸計を用いる酸素消費量の測定による方法」に基づき評価した。すなわち、徐放性複合粒子5と活性汚泥とをそれぞれ100mg/L、30mg/Lになるように無機塩培地に添加し、酸素の消費量を測定し、酸素消費生物化学的酸素要求量(BOD:化学物質又は有機物が、特定条件下で、水中での好気的生物酸化によって消費された溶存酸素の質量濃度)を算出した。
なお、コントロールとして徐放性複合粒子5が入っていない無機塩培地を用いた。また、徐放性複合粒子5の全てが水と炭酸ガスにまで変換されるのに必要な酸素量(理論酸素要求量:ThOD)をポリマー組成式から算出した。生分解度は、理論酸素要求量に対する生物化学的酸素要求量として算出した(生分解度=BOD/ThOD×100)。その結果、試験開始から28日後の生分解度が80%以上であったものを「〇」と判定し、試験開始から28日後の生分解度が80%未満であったものを「×」と判定した。
なお、表1の比較例中の各セルにおける斜線表記は、各工程実施中に工程の遂行が不可能となり、その後の工程を実施していないことを示している。
Figure 2021049487
<評価結果>
表1から明らかにわかるように、実施例1〜5においては、微細化セルロース1の種類(TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF)や、コア粒子の種類に拠らず、再分散性がよく、界面活性剤の流出が少なく、徐放性の高い殺虫成分を付与された徐放性複合粒子5を得られることが確認できた。
一方、比較例1においては、第2工程を実施することができなかった。具体的には、超音波ホモジナイザー処理を実施してもW/Oエマルションの層と水の層とが2層分離したままの状態となり、W/O/W型エマルションの作製自体が不可能であった。
また、比較例2においては、第2工程におけるW/O/W型エマルションの形成が可能であった。これはCMCが微細化セルロース1と同様に両親媒性を示したため、エマルションの安定化剤として機能したと考えられる。しかしながら、続く第3工程において重合反応を実施すると、エマルションが崩壊してしまい、W/O/W型エマルションを鋳型とした徐放性複合粒子5を得ることができなかった。
この理由としては定かではないが、CMCが水溶性であることから、重合反応中もエマルション形状を維持するための被覆層としては脆弱である可能性が高く、そのため重合反応中にエマルションが崩壊したと考えられる。
また、比較例3においては、第3工程において重合することができ、粉体として回収することができたが、得られた粉体の再分散性が悪く、遠心分離処理の際に得られた上澄み液の泡立ちから、界面活性剤の流出が見られ、また徐放性も悪かった。
また、比較例4においては、第2工程におけるW/O/W型エマルションの形成が可能であった。しかし、第3工程においてキシレンを除去するにあたり、CNFの分散液7に水を使用していることから、キシレンの沸点以上にすることができないため、W/O型エマルションの液滴を固体化させることができず、徐放性複合粒子5を得ることができなかった。
また、比較例5においては、第2工程におけるW/O/W型エマルションの形成が可能であった。しかし、第3工程において室温まで冷却してもオレイン酸を凝固させることができないため、W/O型エマルションの液滴を固体化させることができず、徐放性複合粒子5を得ることができなかった。
また、比較例6においては、第2工程においてCNF分散液1に使用している水の沸点よりも高温にすることができず、「ITOHWAX」を融解させることができないため、W/O型エマルションを形成できず、W/O/W型エマルションを形成することができなかった。
本発明は、微細化セルロースの特性を維持しつつ、徐放性、分散性に優れ、環境負荷の少ない、取り扱いが容易な新たな徐放性複合粒子及びその製造方法並びにこの粒子を利用する乾燥粉体を提供することができるので、香料、消臭剤、防カビ剤、肥料、pH調整剤、農薬、植物活力剤、植物延命剤、害虫及び動物の忌避剤、土壌浸透剤、栄養成分、植物ホルモン、抗菌性物質などに適用することができ、産業上、極めて有益に利用することができる。
1 微細化セルロース(セルロースナノファイバー)
2 被覆層
3 コア粒子
4 有効物質含有水相
5 徐放性複合粒子
6 疎水性モノマーまたは液状疎水性ポリマー
7 分散液

Claims (6)

  1. 液相を内包するポリマーを含むコア粒子と、
    前記コア粒子の表面に微細化セルロースにより構成された被覆層と、
    を備え、
    前記コア粒子と前記微細化セルロースとが結合して不可分の状態にある複合粒子である
    ことを特徴とする、徐放性複合粒子。
  2. 前記ポリマーが生分解性を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の徐放性複合粒子。
  3. 前記液相が水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の徐放性複合粒子。
  4. 水性媒体及び水溶性有効物質及び/又は水分散性有効物質を含む液相と疎水性モノマー又は液状疎水性ポリマーとを混合することにより、W/O型エマルションを得る第1工程と、
    セルロース原料を溶媒中で解繊して得た微細化セルロースの分散液中に前記W/O型エマルションを分散させることにより、前記W/O型エマルションの液滴の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロースで覆い、W/O/W型エマルションを得る第2工程と、
    前記W/O/W型エマルションに含まれる、前記疎水性モノマー又は前記液状疎水性ポリマーを固体化して、前記液相を内包するコア粒子を形成することにより、前記コア粒子の表面の少なくとも一部を前記微細化セルロースで覆い、かつ前記コア粒子と前記微細化セルロースとを不可分の状態にする第3工程と、
    を有することを特徴とする徐放性複合粒子の製造方法。
  5. 前記第1工程が、
    重合開始剤を含む前記疎水性モノマーと前記液相とを混合することにより、前記W/O型エマルションを得る工程、
    前記分散液への相溶性の低い溶媒で疎水性ポリマーを溶解したものと前記液相とを混合することにより、前記W/O型エマルションを得る工程、
    常温にて固体である疎水性ポリマーを前記液相に添加し当該疎水性ポリマーの融点以上に加熱し融解させることにより、前記W/O型エマルションを得る工程、
    のうちいずれか一つの工程である
    ことを特徴とする請求項4に記載の徐放性複合粒子の製造方法。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載の徐放性複合粒子を含み、固形分率が80%以上である
    ことを特徴とする乾燥粉体。
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