JP2017186447A - サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法 - Google Patents
サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明の課題は、残サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程において、昇温中に、反応液に還元剤を投入する工程(工程III)を有し、工程IIIにおいて、還元剤が投入される反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法等に関する。
住宅やビル等の建物、車両等の移動体など、内部(室内、車両内)と外部環境との間で大きな熱交換が生じる箇所(例えば窓ガラス)において、省エネルギー性と快適性とを両立するため、サーモクロミック材料の適用が期待されている。
「サーモクロミック材料」とは、例えば透明状態/反射状態等の光学的な性質を、温度により制御することが可能な材料である。例えば、建物の窓ガラスにそのような材料を適用した場合、夏には太陽光を反射させて熱を遮断し、冬には太陽光を透過させて熱を利用することが可能となる。
現在最も着目されているサーモクロミック材料の一つに、二酸化バナジウム(VO2)を含む材料がある。この材料は、二酸化バナジウム(VO2)の室温付近での相転移の際に、サーモクロミック特性(温度により、光学特性が可逆的に変化する性質)を示すことが知られている。したがって、この特性を利用することにより、環境温度依存型のサーモクロミック特性を得ることができる。
このような、サーモクロミック材料の形成方法として、二酸化バナジウム(VO2)を含む粒子又はその分散液を調製し、これを、例えば接着材を介して、サーモクロミック特性を発現させたい部材に貼合することにより、サーモクロミック特性を有する部材を製造することが検討されている(例えば特許文献1参照。)。
ここで、二酸化バナジウム(VO2)には、A相、B相、C相及びR相など、いくつかの結晶相の多形が存在する。中でも、前述のようなサーモクロミック特性を示す結晶構造は、ルチル型の結晶相(以下、「R相」という)に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。また、二酸化バナジウム(VO2)粒子において、実質的に優良なサーモクロミック特性を発現させるためには、粒子が凝集していないこと、粒径がナノオーダー(一次粒子径が100nm以下)であること、粒子が等方的な形状を有していることが望ましい。
前述の特許文献1などに記載の従来技術では、水熱反応によるM相の二酸化バナジウム(VO2)粒子の製作方法について、幾つかの報告がされている。
しかしながら、特許文献1に記載の水熱反応で得られる二酸化バナジウム(VO2)粒子は、水熱反応中に過飽和に達し、VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長も始まり、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進むため、最終的に得られるVO2粒子は、粗大粒子を含み粒径が不均一となり、十分なサーモクロミック性が得られないという問題がある。また、このような粗大粒子を含むと、フィルムなどの部材に塗布した際のヘイズ悪化の要因となり、光学特性の観点からも大きな問題となる。
しかしながら、特許文献1に記載の水熱反応で得られる二酸化バナジウム(VO2)粒子は、水熱反応中に過飽和に達し、VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長も始まり、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進むため、最終的に得られるVO2粒子は、粗大粒子を含み粒径が不均一となり、十分なサーモクロミック性が得られないという問題がある。また、このような粗大粒子を含むと、フィルムなどの部材に塗布した際のヘイズ悪化の要因となり、光学特性の観点からも大きな問題となる。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、下記工程I〜工程IIIを有し、下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることにより、小粒径かつ粒径の均一な粒子を生成でき、ひいては、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
下記工程I〜工程IIIを有し、
下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
工程I:水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して前記反応液を調製する工程
工程II:前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程
工程III:前記工程IIにおいて、前記昇温中に、前記反応液に前記還元剤を投入する工程
下記工程I〜工程IIIを有し、
下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
工程I:水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して前記反応液を調製する工程
工程II:前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程
工程III:前記工程IIにおいて、前記昇温中に、前記反応液に前記還元剤を投入する工程
2.前記工程IIIにおいて、前記還元剤が投入される前記反応液の温度が、120〜180℃の範囲内であることを特徴とする第1項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
3.前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
4.前記工程IIにおいて、前記水熱反応温度まで昇温させた後、1〜72時間の範囲内、当該水熱反応温度を保持することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
5.前記工程IIIにおいて、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
6.前記工程IIIにおいて、投入する前記還元剤の温度を、90℃以上にすることを特徴とする第5項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
7.前記工程IIIにおいて、ヒーターで加温可能な還元剤投入装置によって、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することを特徴とする第5項又は第6項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
8.前記工程IIIが、ポンプによって、前記反応液を収容した反応槽に、加熱装置を備える送液管を介して前記還元剤の水溶液を送液することで、前記反応液に加熱された前記還元剤を投入することを特徴とする第5項又は第6項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
9.サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法であって、
第1項から第8項までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法。
第1項から第8項までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法。
本発明の上記手段により、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
水熱反応で得られる二酸化バナジウム(VO2)粒子の従来の製造方法においては、昇温中に二酸化バナジウム(VO2)が過飽和に達し、VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長も始まるため、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進むことが、前記問題が発生する原因の一つであった。VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長が始まる原因は、昇温前の反応液に、還元剤を含有させていることが考えられる。
すなわち、従来技術では、常温の反応液に還元剤を投入し、その後昇温させ、水熱反応をしていたため、水熱反応中に過飽和に達し、VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長も始まり、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進んでいたと考えられる。
そこで、本発明者は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法において、還元剤(ヒドラジン)を反応液の昇温中に添加すれば、反応が短時間で進行し、小粒径かつ粒径の均一な粒子が生成をすることができ、ひいては、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法等を提供できることを見いだし、本発明に至った。これは、還元剤を、反応液の昇温中に添加することによって、VO2粒子の核を生成させた後に、粒子成長を開始させることができ、この結果、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進むことを抑制できるためと推察する。
そして、本発明者は、還元剤が投入される反応液の温度範囲として、100〜200℃とすることで、本発明の効果を好適に奏することを見いだした。これは、100℃以上であれば反応が短時間で進行する、という効果を十分に得られ、200℃以下であれば還元剤(例えば、ヒドラジン)が分解し、反応が進まなくなることを回避できるためと推察する。
すなわち、従来技術では、常温の反応液に還元剤を投入し、その後昇温させ、水熱反応をしていたため、水熱反応中に過飽和に達し、VO2粒子の核生成が起こると同時に、粒子成長も始まり、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進んでいたと考えられる。
そこで、本発明者は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法において、還元剤(ヒドラジン)を反応液の昇温中に添加すれば、反応が短時間で進行し、小粒径かつ粒径の均一な粒子が生成をすることができ、ひいては、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法等を提供できることを見いだし、本発明に至った。これは、還元剤を、反応液の昇温中に添加することによって、VO2粒子の核を生成させた後に、粒子成長を開始させることができ、この結果、液中に核、一次粒子、凝集粒子が混在した状態で反応が進むことを抑制できるためと推察する。
そして、本発明者は、還元剤が投入される反応液の温度範囲として、100〜200℃とすることで、本発明の効果を好適に奏することを見いだした。これは、100℃以上であれば反応が短時間で進行する、という効果を十分に得られ、200℃以下であれば還元剤(例えば、ヒドラジン)が分解し、反応が進まなくなることを回避できるためと推察する。
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、上記工程I〜工程IIIを有し、上記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。これにより、本発明は、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供できるという効果を得られる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIIにおいて、前記還元剤が投入される前記反応液の温度が、120〜180℃の範囲内であることが、本発明の効果発現の観点からより好ましい。
本発明の実施態様としては、前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることが好ましい。これにより、結晶性の高いM相の粒子を生成しやすくなる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIにおいて、前記水熱反応温度まで昇温させた後、1〜72時間の範囲内、当該水熱反応温度を保持することが好ましい。これにより、結晶性が高い粒子を生産性よく得ることができる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIIにおいて、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することが好ましい。これにより、水熱反応に与える影響を小さくすることができ、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIIにおいて、投入する前記還元剤の温度を、90℃以上にすることが好ましい。これにより、水熱反応に与える影響を小さくすることができ、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIIにおいて、ヒーターで加温可能な還元剤投入装置によって、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することが好ましい。このように、還元剤投入装置を加熱することで水熱反応の温度低下を最小限にすることができ、ひいては、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
本発明の実施態様としては、前記工程IIIが、ポンプによって、前記反応液を収容した反応槽に、加熱装置を備える送液管を介して前記還元剤の水溶液を送液することで、前記反応液に加熱された前記還元剤を投入する態様であることが好ましい。このように、還元剤の水溶液を送液途中で加熱することで、還元剤投入による水熱反応の温度低下を最小限にすることができ、ひいては、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
本発明の方法サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法は、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法であって、本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《二酸化バナジウム含有粒子の製造方法の概要》
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、下記工程I〜工程IIIを有し、下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とする。
工程I:水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して前記反応液を調製する工程
工程II:前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程
工程III:前記工程IIにおいて、前記昇温中に、前記反応液に前記還元剤を投入する工程
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、下記工程I〜工程IIIを有し、下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される前記反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とする。
工程I:水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して前記反応液を調製する工程
工程II:前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程
工程III:前記工程IIにおいて、前記昇温中に、前記反応液に前記還元剤を投入する工程
以下に、本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子(以下、単に「二酸化バナジウム含有粒子」ともいう。)の製造方法で用いられる材料や各種条件、測定方法等について詳細に説明する。
[工程I:反応液調製工程]
工程Iは、水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して反応液を調製する工程(以下、「反応液調製工程」ともいう。)である。
工程Iでは、水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合し反応液を調製する。この反応液は、原料が水中に溶解した水溶液であっても良いし、原料が水中に分散した懸濁液であっても良い。
工程Iは、水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して反応液を調製する工程(以下、「反応液調製工程」ともいう。)である。
工程Iでは、水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合し反応液を調製する。この反応液は、原料が水中に溶解した水溶液であっても良いし、原料が水中に分散した懸濁液であっても良い。
(バナジウム(V)を含有する原料)
本発明において、バナジウム(V)を含有する原料とは、バナジウム(V)を含有するバナジウム化合物又は当該バナジウム化合物とその他の化合物との混合物をいう。当該原料としては、溶媒中に溶解されたものを用いても良いし、分散媒中に分散されたものを用いても良い。
本発明において、バナジウム(V)を含有する原料とは、バナジウム(V)を含有するバナジウム化合物又は当該バナジウム化合物とその他の化合物との混合物をいう。当該原料としては、溶媒中に溶解されたものを用いても良いし、分散媒中に分散されたものを用いても良い。
原料に含有されるバナジウム化合物としては、五価のバナジウム(V)の化合物であれば、特に限定されず、例えば、五酸化二バナジウム(V2O5)、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3)、三塩化酸化バナジウム(VOCl3)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO3)等を用いることができる。中でも、バナジウム原子以外の金属原子を含まないため二酸化バナジウム含有粒子の形成が妨げられず、より純度の高い二酸化バナジウム含有粒子を得られる観点から、五酸化二バナジウム、バナジン酸アンモニウム及び三塩化酸化バナジウムから選定された化合物が好ましい。また、原料に含有されるバナジウム化合物としては、1種のみであっても良いし2種以上であっても良い。
上記した原料に対しては、後述する水熱反応工程を行う前に、過酸化水素の存在下で前処理を行っても良い。水熱反応工程前に過酸化水素の存在下で前処理を行うことにより、特に五酸化二バナジウム等の非イオン性のバナジウム化合物を含有する場合であっても、反応液がゾル状になり、水熱反応が均一に進行し得る。この場合、例えば、バナジウム化合物1モルに対して0.5〜10モルの過酸化水素を反応液に添加し、例えば20〜40℃で、必要に応じて撹拌しながら0.5〜10時間程度反応させれば良い。
(水)
本発明に係る水は、特に限定されないが、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水、蒸留水等の精製水を用いることができる。
本発明に係る水は、特に限定されないが、不純物の少ない高純度のものが好ましく、具体的には、イオン交換水、蒸留水等の精製水を用いることができる。
(本発明に係る反応液が含有していても良いその他の化合物)
本発明に係る反応液は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)、リン(P)及びチタン(Ti)からなる群から選定される、少なくとも1種の原子を含む化合物を含有していても良い。
本発明に係る反応液は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)、リン(P)及びチタン(Ti)からなる群から選定される、少なくとも1種の原子を含む化合物を含有していても良い。
これらの原子を含む化合物を、添加剤として本発明に係る反応液に添加することにより、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性(特に、転移温度)を制御することができる。
また、本発明に係る反応液は、酸化性又は還元性を有する物質を更に含むものであって良い。このような物質には、例えば、過酸化水素(H2O2)が含まれる。酸化性又は還元性を有する物質を添加することにより、反応液のpHを調整したり、上記原料を均一に溶解させたりすることができる。
また、本発明に係る反応液は、pH調整剤として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化アンモニウム、アンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリを含んでも良い。反応液のpHは、二酸化バナジウム含有粒子の粒径及びサーモクロミック性の観点から、例えば4〜7(液温は25℃)である。
[工程II:昇温工程]
工程IIは、前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程(以下、「昇温工程」ともいう。)である。この工程IIでは、具体的には、例えば、調製した反応液を、水熱反応処理に用いられるオートクレーブ装置等の密閉容器内に収容し、密閉空間内で加熱することによって、常温(例えば25℃)から水熱反応温度まで昇温させる。
工程IIは、前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程(以下、「昇温工程」ともいう。)である。この工程IIでは、具体的には、例えば、調製した反応液を、水熱反応処理に用いられるオートクレーブ装置等の密閉容器内に収容し、密閉空間内で加熱することによって、常温(例えば25℃)から水熱反応温度まで昇温させる。
ここで、水熱反応温度とは、後述する水熱反応工程を行うときの反応液の液温をいい、反応液を昇温して当該水熱反応温度に到達した後に水熱反応工程を行う。すなわち、水熱反応温度とは、昇温工程において最終的に到達させた温度のことをいう。水熱反応温度としては、二酸化バナジウム含有粒子が相変化する温度であることが好ましく、具体的には、例えば、200〜350℃の範囲内であり、好ましくは200〜300℃の範囲内、更に好ましくは、250〜300℃の範囲内である。
温度を350℃以下にすることにより二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を小さくすることができる。一方、温度が高いほど反応速度は速くなり、200℃以上であれば十分な反応速度が得られるとともに、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性がより優れたものとなる。
また、水熱反応温度の範囲が250〜300℃であれば、好適にM相に相変化させることができ、この結果、結晶性の高いM相の粒子を生成しやすくなるため好ましい。
温度を350℃以下にすることにより二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を小さくすることができる。一方、温度が高いほど反応速度は速くなり、200℃以上であれば十分な反応速度が得られるとともに、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性がより優れたものとなる。
また、水熱反応温度の範囲が250〜300℃であれば、好適にM相に相変化させることができ、この結果、結晶性の高いM相の粒子を生成しやすくなるため好ましい。
また、昇温工程においては、反応液が水熱反応温度に到達する前であって、反応液が100〜200℃の範囲内のいずれかである保持温度に到達した時に昇温を停止し、当該保持温度を0.5〜5時間保持することが好ましい。このように昇温を一旦停止することで材料を全て溶解させることができ、その後の昇温により均一な粒子を形成することができるものと考えている。
また、この場合には、反応液を保持温度に0.5〜5時間保持した後、当該反応液の昇温を再開して水熱反応温度まで昇温させる。
また、昇温再開後、反応液が100〜200℃の温度範囲内であって上記保持温度よりも高い温度に到達した時に昇温を停止し、当該温度で0.5〜5時間保持するものとしても良い。また、このような昇温停止、温度保持及び昇温再開を複数回繰り返すものとしても良い。
また、昇温再開後、反応液が100〜200℃の温度範囲内であって上記保持温度よりも高い温度に到達した時に昇温を停止し、当該温度で0.5〜5時間保持するものとしても良い。また、このような昇温停止、温度保持及び昇温再開を複数回繰り返すものとしても良い。
[工程III:還元剤投入工程]
工程IIIは、工程IIにおいて、昇温中に、反応液に還元剤を投入する工程(以下、「還元剤投入工程」ともいう。)である。この工程IIIにおいては、還元剤が投入される反応液の温度が、100〜200℃の範囲内である。
なお、還元剤が投入される反応液の温度の好ましい値は、120〜180℃の範囲内である。120〜180℃の範囲内とすることで、製造される二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径及び本発明の製造方法により製造された二酸化バナジウム含有粒子を含有する光学フィルムのヘイズ値をより良好にすることができる。
工程IIIは、工程IIにおいて、昇温中に、反応液に還元剤を投入する工程(以下、「還元剤投入工程」ともいう。)である。この工程IIIにおいては、還元剤が投入される反応液の温度が、100〜200℃の範囲内である。
なお、還元剤が投入される反応液の温度の好ましい値は、120〜180℃の範囲内である。120〜180℃の範囲内とすることで、製造される二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径及び本発明の製造方法により製造された二酸化バナジウム含有粒子を含有する光学フィルムのヘイズ値をより良好にすることができる。
工程IIIにおいては、還元剤を加熱した後、反応液に当該還元剤を投入することが好ましい。これにより、水熱反応に与える影響を小さくすることができ、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
上記観点から、工程IIIにおいては、投入される還元剤の温度を、90℃以上にすることが好ましい。これによりサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを好適に回避できる。還元剤の温度の上限は特に限定されないが100℃以内とすれば、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを好適に回避できると考える。
上記観点から、工程IIIにおいては、投入される還元剤の温度を、90℃以上にすることが好ましい。これによりサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを好適に回避できる。還元剤の温度の上限は特に限定されないが100℃以内とすれば、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを好適に回避できると考える。
工程IIIにおいて、還元剤を加熱した後、反応液に当該還元剤を投入する方法としては、例えば、図1に示すような、ヒーター10で加温可能な還元剤投入装置12によって行うことが挙げられる。なお、図1は本発明の製造方法に好適に使用される水熱反応装置の一例を示す模式図である。図1に示す水熱反応装置1では、還元剤投入装置12と反応液を収容する反応槽16とが、還元剤の水溶液を送液可能な送液管15を介して接続されている。この送液管15は、開閉可能な栓14を有する。この栓14を操作することにより、還元剤投入装置12は、所望のタイミングで還元剤の水溶液を反応槽16に投入することができる。この図1の例では、還元剤を加熱した後、反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であるときに、栓14を操作し、反応槽16中の反応液に当該還元剤を投入する。このように、還元剤投入装置12に収容された還元剤を加熱することで水熱反応の温度低下を最小限にすることができ、ひいては、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
なお、還元剤投入装置12としては、例えば、収容された投入前の還元剤をヒーター10で加熱した後、反応槽16に加熱された還元剤が投入できるようなものであればよく、特に限定されない。また、ヒーター10は、還元剤を加熱できるものであればよく、公知のものを使用できる。
なお、還元剤投入装置12としては、例えば、収容された投入前の還元剤をヒーター10で加熱した後、反応槽16に加熱された還元剤が投入できるようなものであればよく、特に限定されない。また、ヒーター10は、還元剤を加熱できるものであればよく、公知のものを使用できる。
また、工程IIIにおいて、還元剤を加熱した後、反応液に当該還元剤を投入する方法の他の例としては、図2に示すような加熱装置を備える送液管を使用することが挙げられる。なお、図2は本発明の製造方法に好適に使用される水熱反応装置のほかの例を示す模式図である。図2に示す水熱反応装置2では、投入される還元剤を収容する還元剤収容槽20と、反応槽24とが、還元剤を送液可能な送液管A、Bによって接続されている。送液管Aと送液管Bとの間には還元剤収容槽20中の還元剤(の水溶液)を反応槽24に送液するポンプ22が備えられている。このポンプ22を操作することにより、所望のタイミングで還元剤の水溶液を反応槽24に投入することができる。送液管Bは、送液管Bを流れる還元剤の水溶液を加熱可能な加熱装置26を備える。図2の例では、ポンプ22によって、反応液を収容した反応槽24に、加熱装置26を備える送液管Bを介して還元剤の水溶液を加熱しつつ送液することで、反応液に加熱された還元剤を投入することができる。このように、還元剤の水溶液を送液途中で加熱することで、還元剤投入による水熱反応の温度低下を最小限にすることができ、ひいては、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子が粗大粒子となることを回避できる。
なお、ポンプ22としては、例えば、所望のタイミングで還元剤の水溶液を反応槽24に投入することができるものであればよく、公知のものを使用できる。また、反応槽24や、送液管A、Bは、水熱反応装置に一般的に使用されるものを使用できる。加熱装置26としては、送液管B中を流れる還元剤の水溶液を加熱できるものであればよく、公知のものを使用できる。
なお、ポンプ22としては、例えば、所望のタイミングで還元剤の水溶液を反応槽24に投入することができるものであればよく、公知のものを使用できる。また、反応槽24や、送液管A、Bは、水熱反応装置に一般的に使用されるものを使用できる。加熱装置26としては、送液管B中を流れる還元剤の水溶液を加熱できるものであればよく、公知のものを使用できる。
(還元剤)
本発明に係る還元剤としては、水に容易に溶解する性質を有し、かつ、バナジウム(V)を含有する原料の還元剤として機能すれば良く、例えば、ヒドラジン(N2H4)、ヒドラジン一水和物等のヒドラジンの水和物(N2H4・nH2O)、シュウ酸((COOH)2)、シュウ酸二水和物等のシュウ酸の水和物(H2C2O4・nH2O)等が挙げられる。なお、還元剤としては、1種単独で用いられても良いし2種以上を組み合わせて用いられても良い。
反応液中の還元剤の含有量は、特に制限されるものではないが、例えば、バナジウム化合物1モルに対して0.01〜2モルである。
本発明に係る還元剤としては、水に容易に溶解する性質を有し、かつ、バナジウム(V)を含有する原料の還元剤として機能すれば良く、例えば、ヒドラジン(N2H4)、ヒドラジン一水和物等のヒドラジンの水和物(N2H4・nH2O)、シュウ酸((COOH)2)、シュウ酸二水和物等のシュウ酸の水和物(H2C2O4・nH2O)等が挙げられる。なお、還元剤としては、1種単独で用いられても良いし2種以上を組み合わせて用いられても良い。
反応液中の還元剤の含有量は、特に制限されるものではないが、例えば、バナジウム化合物1モルに対して0.01〜2モルである。
なお、還元剤を水溶液として、反応液に投入する場合、溶媒である水は、特に限定されず、例えば、上述のものを好適に使用することができる。
[水熱反応工程]
水熱反応工程では、工程IIで水熱反応温度まで昇温された反応液を用いて水熱反応処理を行う。具体的には、工程IIにおいて反応液を水熱反応温度まで昇温させた後、一定時間の範囲内、当該反応液について、水熱反応温度を保持することで行う。
ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低く、100℃以上の熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置等の密閉容器内で実施される。上記昇温工程により昇温された反応液に対して水熱反応処理(水熱反応温度を保持すること)を行うことにより、二酸化バナジウムが結晶成長して二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
水熱反応工程では、工程IIで水熱反応温度まで昇温された反応液を用いて水熱反応処理を行う。具体的には、工程IIにおいて反応液を水熱反応温度まで昇温させた後、一定時間の範囲内、当該反応液について、水熱反応温度を保持することで行う。
ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低く、100℃以上の熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置等の密閉容器内で実施される。上記昇温工程により昇温された反応液に対して水熱反応処理(水熱反応温度を保持すること)を行うことにより、二酸化バナジウムが結晶成長して二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(反応物の量、水熱反応温度、処理圧力、水熱反応温度を保持する時間)は、適宜設定される。
なお、工程IIにおいて、水熱反応温度まで昇温させた後、1〜72時間の範囲内、当該水熱反応温度を保持(水熱反応処理)することが好ましい。
1時間以上であれば、成長を十分にでき結晶性が高い二酸化バナジウム含有粒子を得ることができる。また、72時間以内であれば、生産性を悪化させることを回避できる。このように、水熱反応温度を保持する時間は、1〜72時間であることが結晶性の高い二酸化バナジウム含有粒子を生産性よく得ることができるため好ましいが、これに限定されず、例えば0.1時間〜7日の範囲内であっても本発明の効果は失われない。
また、水熱反応処理の圧力は特に制限されないが、例えば水熱反応時の飽和水蒸気圧であり、より具体的には、例えば5〜7MPaの範囲内である。
1時間以上であれば、成長を十分にでき結晶性が高い二酸化バナジウム含有粒子を得ることができる。また、72時間以内であれば、生産性を悪化させることを回避できる。このように、水熱反応温度を保持する時間は、1〜72時間であることが結晶性の高い二酸化バナジウム含有粒子を生産性よく得ることができるため好ましいが、これに限定されず、例えば0.1時間〜7日の範囲内であっても本発明の効果は失われない。
また、水熱反応処理の圧力は特に制限されないが、例えば水熱反応時の飽和水蒸気圧であり、より具体的には、例えば5〜7MPaの範囲内である。
また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、二酸化バナジウム含有粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。
なお、水熱反応処理は、バッチ式で実施しても良く、連続式で実施しても良い。
水熱反応処理終了後は、速やかに反応液の温度を150℃以下まで冷却することが好ましい。より好ましくは、30分以内に150℃以下まで冷却する。
以上の工程により、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子を含む懸濁液が得られる。当該懸濁液に対して濾過(例えば限外濾過)や遠心分離を行うことにより、分散媒や溶媒の置換を行い、二酸化バナジウム含有粒子を水やアルコール等によって洗浄しても良い。得られた二酸化バナジウム含有粒子は、任意の手段により乾燥しても良い。これにより、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子が得られる。
《サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子》
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって製造された二酸化バナジウム含有粒子は、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有する。
当該二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましい。
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって製造された二酸化バナジウム含有粒子は、少なくとも二酸化バナジウム(VO2)を含有し、かつ、サーモクロミック性を有する。
当該二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましい。
このような二酸化バナジウム含有粒子を含有する光学フィルム等であれば、ヘイズが発生することを抑制でき、また、可視光透過率を向上させることができる。
本発明の製造方法により製造された二酸化バナジウム含有粒子を、例えばバインダー樹脂中に分散された状態で基材上に設けることで、光学フィルムを製造することができる。
(サーモクロミック性及び透明性)
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、サーモクロミック性と透明性とを有している。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子の可視光透過率は、高いほど好ましいが、70%以上であることが好ましい。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、サーモクロミック性と透明性とを有している。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子の可視光透過率は、高いほど好ましいが、70%以上であることが好ましい。
また、二酸化バナジウム含有粒子が有するサーモクロミック性としては、温度変化によって光透過率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化すれば特に限定されるものではない。例えば、25℃・50%RH及び85℃・85%RHにおける光透過率の差が30%以上であることが好ましい。
二酸化バナジウム含有粒子の光透過率は、例えば、分光光度計V−670(日本分光(株)製)を用いて、波長2000nmにおける光透過率として測定することができる。
二酸化バナジウム含有粒子の光透過率は、例えば、分光光度計V−670(日本分光(株)製)を用いて、波長2000nmにおける光透過率として測定することができる。
また、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、上記したとおり、二酸化バナジウム(VO2)のほか、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)、リン(P)及びチタン(Ti)からなる群から選定される、少なくとも1種の原子を含んでいても良い。これらのような原子を含有することにより、二酸化バナジウム含有粒子の相転移特性(特に、調光温度)を制御することが可能となる。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子に対する、これらの原子の添加総量は、バナジウム(V)原子に対して0.1〜5.0原子%程度で十分であり、例えば、1.0原子%である。添加総量が5.0原子%以下であると、十分なサーモクロミック性(例えば、調光前後の光透過率の差)を確保することができる。
(平均粒径の測定方法)
二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径としては、例えば、次の方法で測定することができる。
まず、二酸化バナジウム含有粒子を1質量%の濃度で水に混合し、超音波で15分間分散して測定用サンプルを作製する。次に、作製した測定用サンプルについて、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、二酸化バナジウム含有粒子の粒径D50を測定する。なお、測定値としては、個数基準値を採用することができる。
二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径としては、例えば、次の方法で測定することができる。
まず、二酸化バナジウム含有粒子を1質量%の濃度で水に混合し、超音波で15分間分散して測定用サンプルを作製する。次に、作製した測定用サンプルについて、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、二酸化バナジウム含有粒子の粒径D50を測定する。なお、測定値としては、個数基準値を採用することができる。
《サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法》
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法は、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法であって、上記した二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とする。
本発明のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法は、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法であって、上記した二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とする。
本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法としては、上記水熱反応工程後の反応液をそのまま用いて二酸化バナジウム含有粒子分散液としても良い。この場合、水熱反応工程が、サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むものとなる。
また、本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法としては、上記水熱反応工程後に得られた二酸化バナジウム含有粒子を分散媒に分散させることで調製する工程を更に有するものとしても良い。この場合、分散方法は公知のものを好適に使用できる。
また、本発明の二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法としては、上記水熱反応工程後に得られた二酸化バナジウム含有粒子を分散媒に分散させることで調製する工程を更に有するものとしても良い。この場合、分散方法は公知のものを好適に使用できる。
分散媒としては、特に制限されず、例えばアルコールのような有機溶媒又は水のような無機性の溶媒を用いることができる。また、分散媒として水を用いる場合、分散媒は水のみからなるものであっても良いし、例えば水に加えて0.1〜10質量%(分散液中)程度の有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン等のケトン類等を含んでも良い。また、分散媒としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液を用いることもできる。
二酸化バナジウム含有粒子分散液には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化アンモニウム、アンモニア等の有機又は無機の酸又はアルカリ等のpH調整剤を含有させるものとしても良く、これにより所望のpHに調整しても良い。なお、二酸化バナジウム含有粒子分散液中での二酸化バナジウム含有粒子の凝集が抑制されるという観点から、pHが4〜7であることが好ましい。
例えば、上記のようにして製造した二酸化バナジウム含有粒子分散液を基材上に塗布することで、フィルムを製造することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[二酸化バナジウム含有粒子1の製造]
純水60gに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、Strem Chemical社製、99.995%)2.6gを混合し、60℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)に昇温後、更に、還元剤として5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液(60℃)を、バナジン酸アンモニウムに対するモル比が1.0となるようにゆっくり滴下し、反応液を調製した。
純水60gに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、Strem Chemical社製、99.995%)2.6gを混合し、60℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)に昇温後、更に、還元剤として5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液(60℃)を、バナジン酸アンモニウムに対するモル比が1.0となるようにゆっくり滴下し、反応液を調製した。
調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、100℃(第1保持温度)で2時間(第1保持時間)、270℃(第2保持温度)で24時間(第2保持温度)水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子1を得た。
[二酸化バナジウム含有粒子2の製造]
純水60gに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、Strem Chemical社製、99.995%)2.6gを混合した。
調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、100℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)に昇温後、還元剤として90℃に加温した5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、バナジン酸アンモニウムに対するモル比が1.0となるようにオートクレーブ内に注入後、100℃(第1保持温度)で2時間(第1保持時間)、270℃(第2保持温度)で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。
純水60gに、バナジン酸アンモニウム(NH4VO3、Strem Chemical社製、99.995%)2.6gを混合した。
調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、100℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)に昇温後、還元剤として90℃に加温した5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、バナジン酸アンモニウムに対するモル比が1.0となるようにオートクレーブ内に注入後、100℃(第1保持温度)で2時間(第1保持時間)、270℃(第2保持温度)で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。
水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子2を得た。
[二酸化バナジウム含有粒子3〜8の製造]
二酸化バナジウム含有粒子2の製造において、第1保持温度、第1保持時間、第2保持温度及び第2保持時間を表1のようにしたほかは、二酸化バナジウム含有粒子2の製造と同様にして、二酸化バナジウム含有粒子3〜8を製造した。
二酸化バナジウム含有粒子2の製造において、第1保持温度、第1保持時間、第2保持温度及び第2保持時間を表1のようにしたほかは、二酸化バナジウム含有粒子2の製造と同様にして、二酸化バナジウム含有粒子3〜8を製造した。
[二酸化バナジウム含有粒子9の製造]
60gの10質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株))(溶媒)に、原料として1.80gの五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬工業(株)製、特級)を添加し、これを25℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、還元剤として5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、酸化バナジウム(V)に対するモル比が1.2となるようにゆっくり滴下し、反応液を調製した。
60gの10質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株))(溶媒)に、原料として1.80gの五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬工業(株)製、特級)を添加し、これを25℃(還元剤を添加する際における反応液の温度に相当)で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。得られたゾルに、還元剤として5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、酸化バナジウム(V)に対するモル比が1.2となるようにゆっくり滴下し、反応液を調製した。
調製した反応液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、25℃(常温)から270℃(水熱反応温度、第2保持温度)まで昇温した。
昇温後、270℃で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子9を得た。
昇温後、270℃で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子9を得た。
[二酸化バナジウム含有粒子10の製造]
60gの10質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株))(溶媒)に、原料として1.80gの五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬工業(株)製、特級)を添加し、これを25℃で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。赤茶色のゾルを、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、25℃(常温)から270℃(水熱反応温度、第2保持温度)まで昇温した。
水熱反応温度まで昇温させる途中の、反応液が120℃の段階で、還元剤として90℃に加熱した5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、酸化バナジウム(V)に対するモル比が1.2となるように注入した。
昇温後、270℃で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子10を得た。
60gの10質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株))(溶媒)に、原料として1.80gの五酸化バナジウム(V2O5、和光純薬工業(株)製、特級)を添加し、これを25℃で4時間撹拌して澄んだ赤茶色のゾルを得た。赤茶色のゾルを、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(オーエムラボテック(株)製、MMJ−100)に入れ、25℃(常温)から270℃(水熱反応温度、第2保持温度)まで昇温した。
水熱反応温度まで昇温させる途中の、反応液が120℃の段階で、還元剤として90℃に加熱した5質量%のヒドラジン一水和物(N2H4・H2O、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を、酸化バナジウム(V)に対するモル比が1.2となるように注入した。
昇温後、270℃で24時間(第2保持時間)水熱反応させた。水熱反応後、得られた反応生成物を室温まで冷却した後に限外濾過し、水及びエタノールで洗浄した。更に、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥させた。これにより、二酸化バナジウム含有粒子10を得た。
[二酸化バナジウム含有粒子11の製造]
二酸化バナジウム含有粒子10の製造において、還元剤として、5質量%のヒドラジン一水和物水溶液の代わりにシュウ酸((COOH)2、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を用いるほかは、二酸化バナジウム含有粒子10の製造と同様にして二酸化バナジウム含有粒子11を得た。
二酸化バナジウム含有粒子10の製造において、還元剤として、5質量%のヒドラジン一水和物水溶液の代わりにシュウ酸((COOH)2、和光純薬工業(株)製、特級)水溶液を用いるほかは、二酸化バナジウム含有粒子10の製造と同様にして二酸化バナジウム含有粒子11を得た。
[二酸化バナジウム含有粒子1〜11の評価]
下記のようにして、二酸化バナジウム含有粒子1〜11について平均粒径を測定し、そのサーモクロミック性を評価した。また、二酸化バナジウム含有粒子1〜11について、それぞれを含有する光学フィルムを測定用フィルムとして作製し、そのヘイズ値を測定し、評価した。
下記のようにして、二酸化バナジウム含有粒子1〜11について平均粒径を測定し、そのサーモクロミック性を評価した。また、二酸化バナジウム含有粒子1〜11について、それぞれを含有する光学フィルムを測定用フィルムとして作製し、そのヘイズ値を測定し、評価した。
(1)平均粒径の測定
二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、得られた粒子を用いて走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により評価した。
各粒子の粒径は、いわゆる面積円相当径とし、SEM写真において各粒子の面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を各粒子の粒径とした。
二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、得られた粒子を用いて走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により評価した。
各粒子の粒径は、いわゆる面積円相当径とし、SEM写真において各粒子の面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を各粒子の粒径とした。
<粒子の平均粒径の測定>
◎…50nm未満
○…50nm以上100nm未満
△…100nm以上200nm未満
×…200nm以上
◎…50nm未満
○…50nm以上100nm未満
△…100nm以上200nm未満
×…200nm以上
(2)サーモクロミック性評価
固形分が0.0001質量%となるように二酸化バナジウム含有粒子に純水を加え、超音波分散機(エスエムティー社製 UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、測定試料とした。試料を市販の栓付石英セル(2面透光型45mm×12.5mm×10mm)内に入れ、調温可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により、25℃及び80℃における波長1300nmでの試料の光透過率を測定した。25℃における波長1300nmでの光透過率から、80℃における波長1300nmでの光透過率を引いて差分を算出し、評価した。なお、差分が大きいほどサーモクロミック性に優れることを示す。
固形分が0.0001質量%となるように二酸化バナジウム含有粒子に純水を加え、超音波分散機(エスエムティー社製 UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、測定試料とした。試料を市販の栓付石英セル(2面透光型45mm×12.5mm×10mm)内に入れ、調温可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により、25℃及び80℃における波長1300nmでの試料の光透過率を測定した。25℃における波長1300nmでの光透過率から、80℃における波長1300nmでの光透過率を引いて差分を算出し、評価した。なお、差分が大きいほどサーモクロミック性に優れることを示す。
<粒子分散液のサーモクロミック性の評価>
◎…20%以上
○…15%以上20%未満
△…10%以上15%未満
×…10%未満
◎…20%以上
○…15%以上20%未満
△…10%以上15%未満
×…10%未満
(3)ヘイズ測定
作製した二酸化バナジウム含有粒子を用いて、粒子濃度が5質量%となるように純水を加え、二酸化バナジウム含有粒子分散液を調製した。20gの二酸化バナジウム含有粒子分散液を、90gの10質量%ポリビニルアルコール水溶液と混合した(二酸化バナジウム含有粒子の含有量が、形成される層の固形分中10質量%となるようにした。)。ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)上に、調製した混合液を乾燥層厚5μmとなるようにワイヤーバーで塗布して層を形成し、60℃で24時間乾燥して測定用フィルムとした。
作製した測定用フィルムを用いて、日本電色工業(株)製 ヘーズメーター NDH7000を用いてヘイズ値の測定を行った。ヘイズ値は小さいほど透明フィルムとして良好であることを示す。
作製した二酸化バナジウム含有粒子を用いて、粒子濃度が5質量%となるように純水を加え、二酸化バナジウム含有粒子分散液を調製した。20gの二酸化バナジウム含有粒子分散液を、90gの10質量%ポリビニルアルコール水溶液と混合した(二酸化バナジウム含有粒子の含有量が、形成される層の固形分中10質量%となるようにした。)。ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)上に、調製した混合液を乾燥層厚5μmとなるようにワイヤーバーで塗布して層を形成し、60℃で24時間乾燥して測定用フィルムとした。
作製した測定用フィルムを用いて、日本電色工業(株)製 ヘーズメーター NDH7000を用いてヘイズ値の測定を行った。ヘイズ値は小さいほど透明フィルムとして良好であることを示す。
<光学フィルムのヘイズの測定>
◎…5未満
○…5以上10未満
△…10以上20未満
×…20以上
◎…5未満
○…5以上10未満
△…10以上20未満
×…20以上
(まとめ)
表1より、本発明によれば、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法等を提供できることが示された。
表1より、本発明によれば、サーモクロミック性及び光学フィルムに含有させた場合においてヘイズの良好なサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法等を提供できることが示された。
1、2 水熱反応装置
10 ヒーター
12 還元剤投入装置
14 栓
16、24 反応槽
20 還元剤収容槽
22 ポンプ
26 加熱装置
15、A、B 送液管
10 ヒーター
12 還元剤投入装置
14 栓
16、24 反応槽
20 還元剤収容槽
22 ポンプ
26 加熱装置
15、A、B 送液管
Claims (9)
- 水熱反応によるサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
下記工程I〜工程IIIを有し、
下記工程IIIにおいて、還元剤が投入される反応液の温度が、100〜200℃の範囲内であることを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
工程I:水と、バナジウム(V)を含有する原料と、を混合して前記反応液を調製する工程
工程II:前記反応液を、水熱反応温度まで昇温させる工程
工程III:前記工程IIにおいて、前記昇温中に、前記反応液に前記還元剤を投入する工程 - 前記工程IIIにおいて、前記還元剤が投入される前記反応液の温度が、120〜180℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記水熱反応温度が、250〜300℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記工程IIにおいて、前記水熱反応温度まで昇温させた後、1〜72時間の範囲内、当該水熱反応温度を保持することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記工程IIIにおいて、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記工程IIIにおいて、投入する前記還元剤の温度を、90℃以上にすることを特徴とする請求項5に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記工程IIIにおいて、ヒーターで加温可能な還元剤投入装置によって、前記還元剤を加熱した後、前記反応液に当該還元剤を投入することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- 前記工程IIIが、ポンプによって、前記反応液を収容した反応槽に、加熱装置を備える送液管を介して前記還元剤の水溶液を送液することで、前記反応液に加熱された前記還元剤を投入することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
- サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造し、分散・調製する工程を含むサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法であって、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法によって前記サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子を製造することを特徴とするサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016076281A JP2017186447A (ja) | 2016-04-06 | 2016-04-06 | サーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子の製造方法及びサーモクロミック性二酸化バナジウム含有粒子分散液の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108373226A (zh) * | 2018-02-13 | 2018-08-07 | 洛阳理工学院 | 一种低浓度含钒废水的水热-吸附联合处理方法 |
WO2019065794A1 (ja) | 2017-09-27 | 2019-04-04 | 国立大学法人鹿児島大学 | Pac1受容体拮抗薬を用いた鎮痛薬 |
-
2016
- 2016-04-06 JP JP2016076281A patent/JP2017186447A/ja active Pending
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