JP2017179617A - 水彩画用紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水性絵の具で画像を形成した際に、筆跡が残り難く色ムラが生じ難い水彩画用紙の製造方法を提供すること。【解決手段】 調製塗料総量に対して、ゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含む調製塗料を調製する工程と、基材の少なくとも一方の面に、前記調製塗料をサイズプレス方式により、乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2塗工する工程とを有し、前記水彩画用紙表面のJIS P 8140で規定する蒸留水に対する接触時間が30秒のときのコッブ吸水度が10.0〜30.0g/m2であることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、水彩画用紙の製造方法に係り、特に、水性絵の具に対して適度な定着性、吸水性を有し、細い穂先の筆に対しての筆記特性をも有する水彩画用紙の製造方法に関する。
従来から、水性絵の具に対して適度な定着性、吸収性を有し、画像に筆跡が残らず、色ムラの生じにくい水彩画用紙が望まれている。また、植物の葉等をデッサンする際に穂先の細い筆で下書き用の細線を引くと線にかすれが発生するという問題もある。
これらの問題を含め、従前より、水彩画用紙に必要な特性を付与するため様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、水性絵の具の水が速やかに紙の内部に吸収されて画線がにじまず、均一な発色性を持ち、経時により紙が変色や強度劣化しにくい高級水彩紙を得るために、30重量%以上がパルプからなる製紙用繊維を350〜550mlC.S.F.に叩解し、かつエポキシ化高級脂肪酸アミドを0.1〜1.5重量%含有させて抄紙し、冷水抽出pHを6.0〜9.5とする技術が提案されている。また特許文献2には、水彩画用紙として文具、画用紙、スケッチブック等の用途に供する、水性絵具に対して優れたカラーバリューを発揮する感性機能紙を得るために、無緊張状態でマーセライズ処理したラミー麻繊維と、ケミカルパルプとを混抄した水彩画用紙が提案されている。
更に、特許文献3には、水彩画用紙等向けに適度な撥水性を有するように、セルロースと、セルロースの水酸基と反応する官能基を含有する撥水性化合物、を反応させて得られる撥水性セルロースを含む撥水性紙が提供されている。
特開平10−018195号公報 特開平10−168779号公報 特開2005−290609号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示された発明では、これらの問題を解消するには至っていない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、水性絵の具で画像を形成した際に、筆跡が残り難く色ムラが生じ難い水彩画用紙の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、穂先の細い筆で下書き用の細線を引く際に線にかすれが生じにくい水彩画用紙の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明に係る水彩画用紙の製造方法は、調製塗料総量に対して、ゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含む調製塗料を調製する工程と、基材の少なくとも一方の面に、前記調製塗料をサイズプレス方式により、乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2塗工する工程とを有し、前記水彩画用紙表面のJIS P 8140で規定する蒸留水に対する接触時間が30秒のときのコッブ吸水度が10.0〜30.0g/m2であることを特徴とする。
本願発明者等は、水彩画用紙の筆跡の残り具合と色ムラについて、JIS P 8140で規定される接触時間が30秒のときのコッブ吸水度で評価できることを見出した。したがって、このような構成によれば、水彩画用紙の少なくとも一方面にサイズプレス方式により調製塗料が均一に塗布されることで、調製塗料に含まれているゼラチンとアルキルケテンダイマーにより水彩画用紙の表面に水性絵の具に対する適度な定着性及び吸収性が付与され、水性絵の具で画像を形成した場合でも、乾燥後の画像に筆跡が残りにくく色ムラの少ない水彩画用紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記調製塗料を塗工した後、前記水彩画用紙の両面をマシンカレンダーで処理する工程を更に有し、前記水彩画用紙のベック平滑度が5〜20秒であってもよい。
尚、ここで「ベック平滑度」とは、JIS−P−8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定される値をいう。本発明の製造方法による水彩画用紙は、水彩画用紙表面の平滑度を適度に調整することにより、穂先の細い筆に対する筆記適性を付与して、下書き用に細線を引く際にかすれを生じ難くすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基紙中のパルプは、非木材パルプと化学パルプとを20:80〜80:20の範囲で含むものであってもよい。
このような構成によれば、水彩絵具を水で塗りのばすときにより色ムラの生じにくい水彩画用紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記非木材パルプは、JIS P 8121に規定されるカナダ標準濾水度が500〜650mlであってもよい。
このような構成によれば、より表面強度と吸収性のバランスに優れた水彩画用紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記化学パルプは、JIS P 8121に規定されるカナダ標準濾水度が400〜600mlであってもよい。
このような構成によれば、より表面強度と吸収性のバランスに優れた水彩画用紙を製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、水彩画用紙は、JIS P 8133による冷水抽出pH値が7〜9であってもよい。
このような構成によれば、冷水抽出pH値が上述の範囲であれば中性紙となるため、絵が完成した後に長期保存された場合でも紙表面の経時的色変化が少ない水彩画用紙を製造することが出来る。
また本発明は、水彩画用紙用の調整塗料に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る水彩画用紙用の調整塗料は、調整塗料総量に対して、ゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含むことを特徴とする。
このような構成によれば、基材の表面に当該塗料を適量塗工することで、乾燥後に筆跡が残りにくく色ムラの少ない水彩画用紙とすることができる。
本発明により製造した水彩画用紙は、水彩画用紙の表面に水性絵の具に対する適度な定着性及び吸収性を付与することにより、水性絵の具で画像を形成した場合でも、乾燥後の画像に筆跡が残り難く色ムラを少なくすることができる。
また、表面の平滑度を適度に調整することにより、水彩画用紙表面に穂先の細い筆の筆記適性を付与して、下書き用の細線を引く際にかすれを生じ難くすることができる。
実施例及び比較例における水彩画用紙の組成を示す図表である。 実施例及び比較例における水彩画用紙の物性評価を示す図表である。
次に本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
(基材)
本発明に係る水彩画用紙の製造方法で使用するパルプは、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、サルファイドパルプなどの化学パルプ、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)などの機械パルプ及びDIP(脱インキパルプ)等の木材パルプ、ケナフ、バガス、竹、コットン、マーセル化したコットンなどの非木材パルプ等を、単独で使用、又は任意の割合で混合して使用することが可能である。これらの中でも、本発明の目的とする効果である水性絵の具を水で塗りのばすときに色ムラが生じにくいという観点から、コットン、マーセル化したコットンなどの非木材パルプを主材として、必要な絵の具適性に応じて化学パルプを併用することが好ましい。
また、パルプのJIS P 8121「パルプのろ水度試験方法」に規定されるカナダ標準濾水度(CSF)は、コットンパルプについては500〜650mlであることが好ましい。濾水度が550ml未満となると、多層紙基材の表層及び裏層の表面に調製塗料を塗布する際に、調製塗料が層中へ吸収しにくくなるため、必要量を塗布することが難しくなる。一方、濾水度が650mlを越えると、吸収性については問題ないものの紙の地合いを整えることが難しく、さらに各層の表面強度が弱くなる。また、LBKPやサルファイドパルプ等の化学パルプカナダ標準濾水度(CSF)については、400〜600mlであることが好ましい。
本発明においては、基紙に填料を含有させても良い。ここで用いる填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、硫酸バリウム等の一般的な製紙用填料が挙げられる。特に水彩画用紙に白さを求める場合には、二酸化チタン、硫酸バリウムを使用することが好ましい。
本発明において填料を用いる場合には、使用する填料の平均粒子径は歩留まり等を考慮して、5μm以下であることが好ましい。尚、ここで平均粒子径とはマイクロトラックHRA(ハネウェル社製)を用いてレーザー法で測定した体積平均粒子径を意味する。紙中の填料含有量は、特に限定するものではないが、パルプの乾燥重量に対して乾燥固形分で2〜10重量%であることが好ましい。
水彩画用紙は、水性絵の具により画像を形成するために紙面が多くの水分にさらされる。そのため、水彩画用紙に耐水性を付与し、表面の毛羽立ち等の肌の荒れを防止して水性絵の具が乾燥した後の水彩画用紙の波うちや変形を防止する必要がある。そこで、本発明の製造方法に係る水彩画用紙では、湿潤紙力増強剤をパルプスラリーに内添して製造することが好ましい。内添する湿潤紙力増強剤としては、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤等の使用が好ましい。また、水性絵の具はアニオン性のものが多いことから、湿潤紙力増強剤としてカチオン性を示すものを使用することで水性絵の具の定着性の向上にも有効となる。
本発明に係る水彩画用紙の製造方法では、パルプスラリーのJIS P 8133による冷水抽出pH値が7〜9である中性紙とすることが好ましい。水彩画用紙は絵が完成した後に長期保存されることが多いため、紙表面の経時的色変化の少ない中性紙が好ましいためである。
また本発明において基紙には、本発明の目的を損なわない範囲で、カチオン性澱粉、内添中性サイズ剤、硫酸バンド、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合することができる。
(調製塗料)
本発明の製造方法に係る水彩画用紙は、基材の少なくとも一方の面に調製塗料をサイズプレス方式、デッピング方式、コーター塗工方式等の塗布方式により塗布する。該調製塗料は、乾燥固形分でゼラチンの濃度が調製塗料総量に対して1.0〜10.0重量%及びアルキルケテンダイマーの濃度が0.1〜1.0重量%を含んでおり、該調製塗料が水彩画用紙の表層及び裏層の表面に乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2塗布される。
調製塗料中のゼラチンは水性絵の具を均一に定着させるために色ムラが発生しくくなり、また水性絵の具の保持性を向上させる。ゼラチンの配合量が乾燥固形分で調製塗料総量に対して1.0重量%未満になると、配合量が少ないためにゼラチンによる効果が十分に発揮されず、水彩画用紙は水性絵の具の定着性に劣るものとなる。一方、配合量が10.0重量%を超えると、水性絵の具の定着性が上がりすぎて、水彩画用紙に筆跡が残りやすくなる。また、ゼラチンの配合量が増えると調製塗料の粘度も高くなることから、調製塗料をサイズプレス方式で水彩画用紙の表面に塗布することが困難になるという操業上の問題もある。
本発明にて製造される水彩画用紙は、中性で抄紙することが望ましいため、表面サイズ剤に中性サイズ剤を使用することが好ましい。本願発明者等は、中性サイズ剤の中でもアルキルケテンダイマーを採用することで、水性絵の具の発色性が良好となり、吸収性の調整も容易となることを見出した。調製塗料中のアルキルケテンダイマーにより、水性絵の具の吸収性が調整されて水性絵の具が適度な濃度で表層上を均一に拡がることにより、乾燥後に筆跡が生じにくくなる。なおここで「筆跡」とは、水性絵の具で重ね塗りをする際に、初めに塗った画線が乾燥後に残る現象をいう。
上記調製塗料中のアルキルケテンダイマーの配合量(濃度)は、乾燥固形分で調製塗料総量に対して0.1〜1.0重量%が含まれていることが好ましい。調製塗料中のアルキルケテンダイマーの濃度が、乾燥固形分で調製塗料総量に対して0.1重量%未満であると、水性絵の具の吸収性が大きくなりすぎて水性絵の具で重ね塗りを行ったときに筆跡が残りやすくなる。一方、1.0重量%を越えると水性絵の具の画線部に吸収性が小さくなり乾燥が遅く、画像中に水性絵の具の偏りを生じて色ムラが発生しやすくなる。
本発明者等は、水性絵の具の水彩画用紙表面における筆跡と色ムラは、JIS P 8140で規定される蒸留水に対する接触時間30秒のときのコッブ吸水度の測定結果と相関することを見出した。このため、本発明においては水彩画用紙のコッブ吸水度を10〜30g/m2にすることが必須である。コッブ吸水度が10g/m2未満になると、水性絵の具が水彩画用紙表面上で流れてしまい色ムラを生じ易くなり、30g/m2を超えると水性絵の具が水彩画用紙中にすぐに浸透してしまうことで筆跡が残り易くなる。なお、本発明においてコッブ吸水度の調整は、調整塗料の塗工量を適切な量とすることで行える。
本発明において、調製塗料には、前述のゼラチンとアルキルケテンダイマーの他に、消泡剤、防腐剤、粘度調整剤、などの公知の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。
本発明の製造方法に係る水彩画用紙は、該調製塗料を水彩画用紙の少なくとも一方の面に乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2塗布するものであり、両面に塗布すればより好ましい。片面あたりの塗工量が0.3g/m2未満になると、調整塗料の塗工量が不十分であるため調製塗料による効果が十分に得られず、紙面上の水性絵の具に対して定着性と吸収性に劣るものとなり、色ムラが生じて筆跡が残るようになる。一方、片面あたりの塗工量が10.0g/m2を超えると、塗工層が厚すぎるために水性絵の具が水彩画用紙中に浸透し難くなり、こちらの場合も色ムラが発生し易くなる。更に、塗工量が10.0g/m2を超えるように塗工するには調製塗料の濃度を上げる必要があるため調製塗料の粘度上昇につながり、サイズプレス方式で塗布することが難しくなるという操業上の問題もある。
本発明に係る水彩画用紙の製造方法においては、当該調製塗料を塗工後、水彩画用紙の両面をマシンカレンダーで処理することにより、ベック平滑度が5〜20秒になるように調整することが望ましい。ベック平滑度が5秒未満になると、穂先の細い筆で細線を引く際にかすれが生じやすくなる。一方、ベック平滑度が20秒を超えると、水性絵の具が水彩画用紙の表面に塗りにくくなり画像の濃度が低下すると共に水性絵の具による色ムラが生じ易くなる。
上記のように、調製した紙料は、一般の長網式及び円網式の抄紙機により水彩画用紙を製造することができる。本発明に係る水彩画用紙は、湿紙をエンボス加工することにより、表面に凹凸をつけて風合いを出すことが可能である。坪量は、特に限定されないが、100〜400g/m2であることが好ましく、120〜360g/m2であればより好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
コットンパルプ100重量部を600mlC.S.Fに叩解し、填料として重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1500、白石カルシウム社製)10.0重量部を添加し、湿潤紙力増強剤としてカチオン性のポリアクリルアミド(商品名:WS−4030、星光PMC社製)1.0重量部を添加したパルプスラリーを米坪300g/m2となるように、抄紙pH7.5で抄紙して基材を得た。得られた基材の表層及び裏層の表面に、調製塗料全量に対してゼラチン(商品名:HBC−P20、新田ゼラチン社製)5.0重量%、中性の表面サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SE2360、星光PMC社製)0.3重量%含む調製塗料をサイズプレス塗工機により乾燥固形分で8.2g/m2となるように塗布乾燥後、マシンカレンダー処理することでベック平滑度が8秒である水彩画用紙を得た。
(実施例2)
実施例1において、ゼラチンの配合量を8.0重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で4.6g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が7秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例3)
実施例1において、ゼラチンの配合量を1.5重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.2重量%に変更し、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.2g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例4)
実施例1において、ゼラチンの配合量を9.0重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.7重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で1.4g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が4秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例5)
実施例1において、ゼラチンの配合量を1.0重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.1重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.0g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が7秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例6)
実施例1において、ゼラチンの配合量を3.0重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.2重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.8g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例7)
実施例1において、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.4g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が6秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(実施例8)
実施例1において、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.4g/m2に変更し、マシンカレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。ベック平滑度は2秒未満であった。
(比較例1)
実施例1において、ゼラチンの配合量を0.5重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.2重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.3g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が4秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例2)
実施例1において、ゼラチンの配合量を12.0重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を0.3重量%、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.0g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が7秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例3)
実施例1において、アルキルケテンダイマーを無添加とし、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で3.0g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が6秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例4)
実施例1において、ゼラチンの配合量を2.0重量%、アルキルケテンダイマーの配合量を1.2重量%に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例5)
実施例1において、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で0.1g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が3秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例6)
実施例1において、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で16.0g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
(比較例7)
実施例1において、調製塗料の塗工量を乾燥固形分で8.4g/m2に変更し、マシンカレンダー処理によりベック平滑度が18秒となるようにした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
各実施例及び比較例で得られた水彩画用紙の各物性は、それぞれ次の方法により評価した。
(筆跡)
水性絵の具(商品名:キナクリンレッド、ホルベイン画材社製)を蒸留水で重量比1:9に希釈した水性絵の具溶液を準備し、本発明の各実施例及び比較例で作成した水彩画用紙の表面に筆で4回重ね塗りを行い、乾燥後の筆跡の状態を目視評価で観察した。評価は以下の4段階で行い、○以上を実用上問題なしとした。
◎:乾燥後に筆跡が認められない。
○:乾燥後にわずかに筆跡が認められる。
△:乾燥後に若干筆跡が認められる(実用上問題あり)。
×:乾燥後に明確に筆跡が認められる(実用上問題あり)。
(発色の均一性:色ムラ)
水性絵の具(商品名:キナクリンレッド、ホルベイン画材社製)を蒸留水で重量比1:9に希釈した水性絵の具溶液を準備し、本発明の各実施例及び比較例で作成した水彩画用紙の表面に、筆で多めの水性絵の具溶液を付着させて1回塗りを行い、画像が乾燥した後に色ムラを目視で観察した。評価は以下の4段階で行い、△以上を実用上問題なしとした。
◎:乾燥後の画像に色ムラがない。
○:乾燥後の画像にわずかに色ムラがある。
△:乾燥後の画像に若干色ムラがある(実用上問題あり)。
×:乾燥後の画像に部分的に色ムラがある(実用上問題あり)。
(穂先の細い筆の筆記適性:かすれ)
水性絵の具(商品名:キナクリンレッド、ホルベイン画像社製)を蒸留水で重量比1:1に希釈した水性絵の具溶液を準備し、本発明の各実施例及び比較例で作成した水彩画用紙の表面に、筆で1〜2mmの太さの線を引き、乾燥後に線のかすれ具合を目視で観察した。評価は以下の4段階で行い、○以上を問題なしとした。
◎:線に字切れがない。
○:線に字切れがわずかにある。
△:線に字切れが若干ある(実用上問題あり)。
×:線に字切れが部分的にある(実用上問題あり)。
(接触時間が30秒のときのコッブ吸水度)
JIS P 8140に従い、水彩画用紙の表面の接触時間が30秒のときのコッブ吸水度を測定した。
(ベック平滑度(秒))
ベック平滑度(秒)はJIS−P−8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜7で得られた水彩画用紙の構成と評価結果が図1,2に示されている。
図2に示された実施例1〜8結果から明らかなように、本発明で製造された水彩画用紙は、乾燥後の画像に筆跡が残り難く、色ムラも少ないものであった。これに対して、比較例1〜7で得られた水彩画用紙は、筆跡、色ムラのいずれか一方、若しくは両方について実用に適さないものであった。このことから、総量に対してゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含む調整塗料を、基材の少なくとも一方の面に抄紙機のサイズプレス方式により乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2となるように塗布し、JIS P 8140で規定する蒸留水に対する接触時間が30秒のときのコッブ吸水度を10.0〜30.0g/m2に調整して製造された水彩画用紙は、用紙表面に水性絵の具で画像を形成した場合に、乾燥後に筆跡が残り難く色ムラも少ないものであることがわかる。
更に、本発明で製造した水彩画用紙において、当該調製塗料を塗工後、水彩画用紙の両面をマシンカレンダーで処理してベック平滑度を5〜20秒に調整することで、水彩画用紙表面に穂先の細い筆の筆記適性を付与して、下書き用の細線を引く際にかすれを生じ難くすることもできる。

Claims (7)

  1. 水彩画用紙を製造する方法であって、
    調製塗料総量に対して、ゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含む調製塗料を調製する工程と、
    基材の少なくとも一方の面に、前記調製塗料をサイズプレス方式により、乾燥固形分で0.3〜10.0g/m2塗工する工程とを有し、
    前記水彩画用紙表面のJIS P 8140で規定する蒸留水に対する接触時間が30秒のときのコッブ吸水度が10.0〜30.0g/m2であることを特徴とする水彩画用紙の製造方法。
  2. 前記調製塗料を塗工した後、前記水彩画用紙の両面をマシンカレンダーで処理する工程を更に有し、前記水彩画用紙のベック平滑度が5〜20秒であることを特徴とする請求項1に記載の水彩画用紙の製造方法。
  3. 前記基材中のパルプは、非木材パルプと化学パルプとが20:80〜80:20の範囲で含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の水彩画用紙の製造方法。
  4. 前記非木材パルプは、JIS P 8121に規定されるカナダ標準濾水度が500〜650mlであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水彩画用紙の製造方法。
  5. 前記化学パルプは、JIS P 8121に規定されるカナダ標準濾水度が400〜600mlであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水彩画用紙の製造方法。
  6. 前記水彩画用紙のJIS P 8133による冷水抽出pH値が7〜9であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水彩画用紙の製造方法。
  7. 総量に対して、ゼラチンを1.0〜10.0重量%、アルキルケテンダイマーを0.1〜1.0重量%を含むことを特徴とする水彩画用紙用の調整塗料。
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