JP6734242B2 - 水彩画用紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は水彩画用紙及びその製造方法に関する。更に詳しくは適度な絵具発色性を有し、また好適な見た目の白さを有する水彩画用紙及びその製造方法に関する。
従来、水彩画用紙に必要な特性を付与するための様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、水性絵具の水が速やかに紙の内部に吸収され、画線がにじまず、均一な発色性を持ち、経時により紙が変色したり、強度劣化したりしにくい高級水彩紙を得る方法が提案されている。また特許文献2ではケミカルパルプに無緊張状態でマーセライズ処理したマリー麻繊維を混抄することによって、水彩画用紙中のセルロース繊維上に吸着される色素粒子の密度を増加させ、色素の深度効果を達成し、絵具の画用紙上での色再現性が測れる水彩画用紙を得る方法が提案されている。
水彩画用紙に必要な適性として上記のような水の吸収性、発色性、色再現性が求められる上に、近年では塗布した絵具の色の再現性の良い白さを持った水彩画用紙が強く求められている。種類が異なるが、印刷用紙では見た目の白さを付与する様々な提案がされており、特許文献3ではパルプを主成分とする基紙の両面に無機顔料と接着剤を含む顔料塗工層が設けられ、前記顔料塗工層に含まれる無機顔料の80質量%以上が炭酸カルシウムであり、前記顔料塗工層は紫色染料及び/又は青色染料及び蛍光染料が含まれ、白色度が85%以上である印刷用塗工紙が提案されている。
この様に紙の白さを向上させる提案が種々されているが、特許文献3の様な蛍光染料を添加する方法では、水彩画を展示する場合に光や熱による蛍光染料の失活で白色度が容易に低下してしまうという問題がある。また、青又は紫色の染料による黄味減少による白さ改善ではパルプが持つ黄味との関係でくすみが出て白さの改善効果が低減してしまう問題点もある。
特開平10−018195号公報 特開平10−168779号公報 特開2014−189924号公報
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い絵具の発色性を維持しながら好適な見た目の白さを有する水彩画用紙及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明の水彩画用紙は、パルプと白色顔料とを含有する基紙の少なくとも一方の表面に塗布層を設けてなる水彩画用紙であって、前記基紙にはパルプ全量に対して50質量%以上のコットンリンターパルプが含まれており、前記基紙中の白色顔料の含有量が3〜12質量%であり、前記塗布層にはゼラチンが片面あたり固形分換算で0.3〜10g/m2含まれており、JIS P 8148:2001により測定した白色度が83%以上であることを特徴とする。
そして、このような構成によれば、塗布層に含有されるゼラチンによって紙中への絵具の浸透が抑制され、それにより絵具について高い発色性を維持しながらも、好適な見た目の白さを有する水彩画用紙とすることができる。
また、本発明の水彩画用紙においては、前記白色顔料が、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウムより選ばれる1種又は2種以上であってもよい。このような構成によれば、より白色度が高く、絵具の発色性に優れる水彩画用紙とすることができる。
また、本発明においては、前記パルプのJIS P 8121:1995による濾水度が、350〜750mlCSFであってもよい。このような構成によれば、濾水度が適切な範囲であるため地合いが整いやすく、水彩画に適した紙面を得やすくなる。
本発明においては、前記基紙及び/又は前記塗布層には、更にサイズ剤が含まれていてもよい。このような構成によれば、サイズ剤により絵具の浸透がより抑制されることにより発色も向上し、適度な絵具のハジキも実現可能となる。
また、本発明においては、前記塗布層には、更に紙力増強剤が含まれていてもよい。このような構成によれば、紙力増強剤により湿潤強度が向上することで、水彩絵具使用後の浪打や変形がより抑制される。
また、本発明の水彩画用紙においては、JIS P 8150:2004により測定したb*値が−5.5〜5.5であってもよい。このような構成によれば、蛍光色の強くない自然な白さの水彩画用紙とすることができる。
また、本発明は水彩画用紙の製造方法としても捉えることができる。本発明に係る水彩画用紙の製造方法は、コットンリンターパルプを50質量%以上含有するパルプを水中に分散してパルプスラリーとする工程と、該パルプスラリーに抄紙後の紙中の含有量が3〜12質量%となるよう白色顔料を添加して紙料を調製する工程と、紙料を用いて抄紙機にて基紙を抄造する工程と、基紙の少なくとも一方の面に、ゼラチンを含む塗布液をゼラチンの片面当たりの含有量が固形分換算で0.3〜10g/m2となるように塗布する工程とを有し、JIS P 8148:2001により測定した白色度が83%以上であることを特徴とする。
そして、このような構成によれば、絵具について高い発色性を維持しながらも好適な見た目の白さを有する水彩画用紙を容易に製造することができる。
本発明によれば、高い絵具の発色性を維持しながら好適な見た目の白さを有する水彩画用紙及び水彩画用紙を提供することが可能となる。
各実施例及び比較例における水彩画用紙の組成と物性を示す図表である。
以下に、本発明に係る水彩画用紙の好適な一実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(基紙の構成)
本発明に係る水彩画用紙は、パルプと白色顔料とを含有する基紙に、ゼラチンを含む塗布層を設けたものである。先ずはじめに、基紙の構成について説明を行う。本発明において基紙に用いるパルプとしては、基紙中のパルプ全量に対して50%以上のコットンリンターパルプを配合することが必要である。コットンリンターパルプは他の木材パルプと比べて比較的繊維長が長いので、毛管現象により絵具の吸収及び広がりを適度に向上させることができ、水彩画用紙として好適な基紙が得られる。コットンリンターパルプの配合割合は50%以上であれば特に限定するものではないが、絵具の吸収の面からは60%以上がより好ましく、70%以上であれば更に好ましい。またコットンリンターパルプの配合上限については特に定めるものではないが、コットンリンターパルプはNBKPなどと比較して一般に黄味が強い傾向があるので、水彩画用紙の見た目の白さを求める場合には80%以下であることが好ましく、75%以下であればより好ましい。
本発明においてコットンリンターパルプと共に用いる繊維は特に限定するものではなく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプ、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、古紙パルプ等の中から適宜選択して使用することができる。また、本発明において用いるパルプは木材パルプに限定するものではないため、楮、三椏、雁皮、麻、バガス、ケナフ、竹、コットンリンターなどの非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを使用してもよい。
本発明において用いられるパルプの濾水度は特に限定するものではないが、カナダ標準濾水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜750mlCSFとすることが好ましく、400〜700mlであればより好ましい。ここで本発明における濾水度とは、2種以上のパルプを併用する場合には、混合後のパルプスラリーの濾水度を意味する。濾水度をこの範囲とすることで地合いを整えることが容易となり、水彩画に適した紙面を得やすくなる。
本発明において、パルプスラリーに配合する白色顔料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、硫酸バリウム、合成樹脂填料などの公知の白色顔料の中から1種以上を使用することができる。この中でも、白さ向上の効果が大きいことから炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウムが好ましく、加えて、水彩画用紙の保存性向上に効果があることから炭酸カルシウムが特に好ましい。
パルプスラリーに添加する白色顔料の配合量は、抄紙後の紙中の白色顔料含有量が3〜12質量%となるように決定する。具体的には、ワイヤー工程での脱落など抄紙工程での白色顔料の歩留まりを考慮して配合量を決定すればよい。白色顔料の含有量が3質量%未満だと紙の白さを向上させる効果が乏しく、逆に12質量%を超えると水彩絵具を塗布したときの浸透性が悪くなるとともに、塗布した絵具の濃度が出にくくなるという問題がある。
本発明においてパルプスラリーには、内添サイズ剤を添加してもよい。用いる内添サイズ剤としては良好なサイズ性を発揮するものが好ましく、例えば、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(表中ではAKDと略)ワックス系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤等を1種以上使用することができる。本発明は水彩画用紙に関する発明であるから、これらの内添サイズ剤の中でも、絵具の浸透を抑えて発色を向上させ、更に水彩画の技法である適度な絵具のハジキも実現できるという点から、アルキルケテンダイマーワックス系サイズ剤が好適である。
水彩画用紙は水彩絵具により画像を形成するために紙面が水にさらされることが多いことから、水彩画用紙には耐水性を付与して表面の毛羽立ちなどの肌(紙面)の荒れを防止し、水彩絵具が乾燥した後の水彩画用紙の波打ちや変形を防止する必要がある。そのため本発明の水彩画用紙では、基紙に紙力増強剤を含有させることが望ましい。このような紙力増強剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン系紙力増強剤、澱粉、カチオン化澱粉、その他変性澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂などを1種以上使用することができる。これらの中でも湿潤強度を大きく向上させるという点から、ポリアミドエピクロルヒドリン系の紙力増強剤が特に好ましい。
また、パルプスラリーには、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、嵩高剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、ピッチコントロール剤等の各種製紙用資材を含有させてもよい。但し、蛍光増白剤は経時により紙の白色度を低下させるので含有させないことが望ましい。
(抄紙方法)
本発明において基紙の抄紙方法としては、特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して、単層または抄合わせにて抄造できる。抄合わせでは抄合わせ各層の層間剥離を防止するために層間用澱粉等の紙力剤をスプレー塗布しても良い。
(塗布層の構成)
次に、塗布層の構成について説明を行う。先にも説明したように、本発明においては基紙の表面にゼラチンを含む塗布液を塗布することで塗布層を設ける。本願発明者等の知見によれば、水彩画用紙の表面にゼラチンを含む塗布層を設けることで水彩絵具を塗布した際に紙面の紙剥けや毛羽立ちなどを防止することができ、更には絵具の定着性を向上させる効果もある。ここで用いるゼラチンとしては特に限定しないが、水彩画用紙の白色度を向上させるためにはゼラチン製造過程の抽出初期で得られるゼリー強度の高いゼラチンを用いることが好ましい。抽出初期で得られるゼラチンは、抽出時にかかる熱量が少ない為にゼラチン自体の黄味も少なく、基紙に塗布した場合でも白色度の低下や黄味の増加を抑えることができる。
基紙へのゼラチンの塗布方法は特に限定するものではなく、サイズプレス方式、ディッピング方式、コーター方式、スプレー方式等の各種公知の塗布方式により塗布することができる。
また本発明においては、塗布液にはゼラチン以外の各種助剤を加えてもよい。例えば、水彩画用紙の表面強度を更に向上させる目的であれば澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤を添加することができる。また、サイズ性を向上させる目的であればスチレンアクリル系樹脂、アルキルケテンダイマー等の表面サイズ剤を添加してもよい。これらの中でもアルキルケテンダイマーワックス系サイズ剤は、添加することで絵具の浸透を抑え、発色を向上させ、水彩画の技法である適度な絵具のハジキも実現できることから、水彩画用紙には好ましい。
本発明において塗布層中のゼラチンの含有量は、基紙の片面当たり0.3〜10.0g/m2であり、1.0〜8.0g/m2であれば好ましく、4.0〜7.0g/m2であればより好ましい。ゼラチンの基紙片面当たりの含有量が0.3g/m2未満になると、絵具の定着性に劣り、水彩画用紙の表面強度も弱くなることから絵具を塗布したときに紙の表面が剥け易くなる。さらに絵具が浸透し過ぎることで水彩画用紙表面での絵具濃度が低下することに加え、絵具を重ね塗りした時に先に塗った絵具が脱落しやすくなる。一方、ゼラチンの含有量が10.0g/m2を超えると、ゼラチンの持つ黄味の影響で十分な白色度が得られにくいことに加え、過剰となったゼラチンが塗布後の乾燥工程でのドライヤー等に付着し、工程機器を汚すおそれがある。また、蓄積されたドライヤー等の汚れが紙面に転写されることで水彩画用紙を汚すおそれもある。
本発明の水彩画用紙は、JIS P 8148:2001により測定した白色度を83.0%以上とし、好ましくは85.0%以上とし、より好ましくは86.0%以上とする。白色度が83%未満となると、見た目の白さに劣るために好ましくない。基紙に塗布するゼラチンは一般的に黄味がかっているため、基紙にゼラチンを塗布すると白色度は低下する傾向にある。従って、基紙の白色度はゼラチン塗布後の水彩画用紙で必要とする白色度よりもやや高めに設定することが好ましい。水彩画用紙の白色度を向上させる方法は色々あるが、一例として、白色度の高いパルプを使用する、黄味の少ないゼラチンを使用する、等が挙げられる。
本発明の水彩画用紙は、JIS P 8150:2004により測定したb*値を−5.5〜5.5の範囲とすることが好ましく、−4.0〜4.0の範囲であればより好ましい。b*値をこのような範囲とすることで、蛍光色の強くない自然な白さの水彩画用紙とすることができる。b*値が−5.5より小さくなると、青味が増して見た目の白さを損なったり、蛍光色の比較的強い白さとなるおそれがある。逆に5.5より大きくなると、黄味が増して見た目の白さを損なうおそれがある。b*値をこの範囲とする方法は色々あるが、一例として白色度が高くb*値が比較的低いパルプを使用すること、微量の着色剤の使用による調整等が挙げられる。基紙に塗布するゼラチンは一般的に黄味がかっているため、基紙にゼラチンを塗布すると、b*値は上昇する傾向となる。従って、基紙のb*値は、ゼラチン塗布後の水彩画用紙で必要とするb*値よりもやや低めに設定することが好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部又は質量%を示す。
尚、以下に示すゼラチンのb*値は、色彩・濁度同時測定器(COH−400型/日本電色工業製)を用い、JIS Z 8722:2009に準拠し、濃度9質量%のゼラチン溶液をセルに入れて透過光にて測定した。
コットンリンターパルプ(ガオミ社製)50部とNBKP(RAYONIER社製)50部とを水中に分散後叩解して、フリーネス610mlCSFであるパルプスラリーを得た。該パルプスラリーにカチオン澱粉(ネオタック40T、日本食品化工製)1部を添加し、更に抄紙後の含有率が4質量%となるように白色顔料の炭酸カルシウム(ソフトン1500、備北粉化工業製)を秤量して添加し紙料を得て、その後、紙料を抄紙して乾燥し、坪量300g/m2の基紙を得た。次に、濃度9質量%のゼラチン水溶液(R微粉、新田ゼラチン製、ゼリー強度100g、b*値=20.4)100部(ゼラチン固形分ではなくゼラチン水溶液としての部数)にアルキルケテンダイマー(SE2360、星光PMC製)0.2部を添加してサイズプレス液(塗布液)を得た後、サイズプレスにて基紙の片面当たりに乾燥固形分10.1g/m2となるように塗布することで水彩画用紙を得た。
パルプの配合割合をコットンリンターパルプを100部、NBKPを0部とし、サイズプレス液のゼラチン濃度を4.5質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で5.5g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
サイズプレス液のゼラチン濃度を4.5質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で5.4g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
炭酸カルシウムを抄紙後の含有率が3質量%となるように基紙に添加した以外は実施例2と同様にして水彩画用紙を得た。
炭酸カルシウムを抄紙後の含有率が12質量%となるように基紙に添加した以外は実施例2と同様にして水彩画用紙を得た。
炭酸カルシウムを抄紙後の含有率が4質量%となるように基紙に添加し、更に酸化チタン(A−110、堺化学製)を抄紙後の含有率が3.5質量%となるように基紙に添加した以外は実施例3と同様にして水彩画用紙を得た。
サイズプレス液のゼラチンを#300(新田ゼラチン製、ゼリー強度300g、9質量%溶液のJIS Z 8722により測定したb*値=11.4)に変更し、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で10.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
サイズプレス液のゼラチン濃度を10.0質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で11.5g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
サイズプレス液のゼラチン濃度を1.0質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で1.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例1
パルプの配合割合を、コットンリンターパルプを100部、NBKPを0部に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例2
パルプの配合割合を、コットンリンターパルプを40部、NBKPを60部に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例3
パルプの配合割合を、コットンリンターパルプを0部、NBKPを100部に変更した以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例4
炭酸カルシウムの添加を無しとした以外は実施例2と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例5
炭酸カルシウムを抄紙後の含有率が2.4質量%となるように添加した以外は実施例2と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例6
炭酸カルシウムを抄紙後の含有率が16質量%となるように添加した以外は実施例2と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例7
サイズプレス液のゼラチン濃度を12質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で14.0g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
比較例8
サイズプレス液のゼラチン濃度を0.2質量%、基紙片面当たりの塗布量を乾燥固形分で0.2g/m2とした以外は実施例1と同様にして水彩画用紙を得た。
各実施例及び比較例で得られた水彩画用紙の構成と評価を図1に示す。尚、各評価は以下の方法で行った。
<白色顔料含有量>
JIS P 8251:2003「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に従い各実施例及び各比較例にて得られた水彩画用紙を強熱し、得られた灰分を測定してその測定値を白色顔料の含有量とした。また、炭酸カルシウムと酸化チタンのそれぞれの含有量は、灰分の測定で得られた灰を原子吸光光度法及び吸光光度法により成分分析して求めた。
<白色度>
分光式色差計(PF−10、日本電色工業製)を用い、JIS P 8148:2001(紙及び板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法)に準拠して各実施例及び各比較例にて得られた水彩画用紙の表面(フェルト面)を測定して白色度とした。
<b*値>
分光式色差計(PF−10、日本電色工業製)を用い、JIS P 8150:2004(紙及び板紙−色(C/2°)の測定方法−拡散照明法)に準拠して各実施例及び各比較例にて得られた水彩画用紙の表面(フェルト面)を測定してb*値とした。
<絵具濃度>
水彩画用紙では絵具を塗布したときに良好な発色が得られること、換言すれば高い色濃度が得られることが機能として重視されている。ここでは、水彩用絵具(商品名:キナクリドンレッド、ホルベイン工業株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈した絵具液を、各実施例及び各比較例にて得られた水彩画用紙の同じ個所に平筆で15cmの長さで6回重ね塗りして、自然乾燥後の色の濃度を濃度計(X-Rite eXact、サカタインクスエンジニアリング製)で測定して絵具濃度とした。絵具濃度の評価としては、前述の測定方法により0.75以上の絵具濃度が得られた水彩画用紙を発色良好として合格とした。
図1から明らかなように、各実施例で得られた水彩画用紙は、絵具を塗布した際に、高い絵具濃度を維持しながら好適な見た目の白さを有するものであった。
実施例1、比較例1〜3の結果から明らかなように、パルプ全量に占めるコットンリンターパルプの配合率が高くなる程、抄紙後の基材の白色度が低下してb*値が増加する。これは併用したNBKPよりもコットンリンターパルプの方が白色度が低く、b*値が高い為である。このため、コットンリンターパルプの配合率が高く、さらに塗布液中のゼラチン含有量が多く、これにより基紙へのゼラチンの付着量も多くなったために比較例1は見た目の白さの点で不合格となった。比較例2、3のようにコットンリンターパルプの配合量が低めのものは、見た目の白色度は良好であるが毛管現象による絵具の吸収及び広がりが低下するので、絵具濃度が低くなった。
実施例1、7の結果から明らかなように、塗布層中のゼラチンをb*値の低いものにすることにより、より見た目の白さを向上させることができる。
コットンリンターパルプの配合が50%である実施例1、3、8、9、比較例7、8及びコットンリンターパルプの配合が100%である実施例2、比較例1の結果から明らかなように、塗布層中のゼラチンの含有量が多いものほど見た目の白さが低下する傾向にある。これは、ゼラチン自体が黄味を持っているために、塗布層にゼラチンが多く含有されるほど紙の白色度が低下し、b*値が増加してしまうからである。その一方で、塗布層のゼラチン含有量が多くなるにつれて絵具の浸透性、保持性が向上するため、絵具濃度は高くなっていく。比較例8のようにゼラチンの含有量が少ない場合は見た目の白さは非常に良好であるが、絵具の浸透性、保持性が低下して絵具濃度に劣るものとなり不合格となってしまう。
実施例2、4、5、比較例4、5、6の結果から明らかなように、基紙に含まれる白色顔料の量が多くなるほど水彩画用紙の見た目の白さが増加する。これは、今回の実施例及び比較例において白色顔料として用いた炭酸カルシウムがコットンリンターパルプよりも白色度が高いために、白色顔料の含有率の増加がそのまま白色度の向上と黄味の低減に寄与するためである。その一方で、白色顔料の含有率が増加するにつれて紙の繊維間の空隙も減少してゼラチンが基紙に浸透しにくくなるために、絵具の浸透性、保持性が低下し、絵具の濃度が低くなる。これに加えて白色顔料の遮蔽性により塗布された絵具が表面から見えにくくなる影響もあり、さらに絵具濃度が低下する。実施例3、6の結果から明らかなように、白色顔料として炭酸カルシウムと酸化チタンを併用することで、炭酸カルシウムを単独使用する場合よりも見た目の白さの向上が見込めるものの、絵具濃度は低下する。

Claims (7)

  1. パルプと白色顔料とを含有する基紙の少なくとも一方の表面に塗布層を設けてなる水彩画用紙であって、前記基紙にはパルプ全量に対して50質量%以上のコットンリンターパルプが含まれており、前記基紙中の白色顔料の含有量が3〜12質量%であり、前記塗布層にはゼラチンが片面あたり固形分換算で0.3〜10g/m2含まれており、JIS P 8148:2001により測定した白色度が83%以上であることを特徴とする水彩画用紙。
  2. 前記白色顔料が、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウムより選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の水彩画用紙。
  3. 前記パルプのJIS P 8121:1995による濾水度が、350〜750mlCSFであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水彩画用紙。
  4. 前記基紙及び/又は前記塗布層には、更にサイズ剤が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水彩画用紙。
  5. 前記塗布層には、更に紙力増強剤が含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水彩画用紙。
  6. JIS P 8150:2004により測定したb*値が−5.5〜5.5であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水彩画用紙。
  7. コットンリンターパルプを50質量%以上含有するパルプを水中に分散してパルプスラリーとする工程と、
    該パルプスラリーに抄紙後の紙中の含有量が3〜12質量%となるよう白色顔料を添加して紙料を調製する工程と、
    紙料を用いて抄紙機にて基紙を抄造する工程と、
    基紙の少なくとも一方の面に、ゼラチンを含む塗布液をゼラチンの片面当たりの含有量が固形分換算で0.3〜10g/m2となるように塗布する工程とを有し、
    JIS P 8148:2001により測定した白色度が83%以上であることを特徴とする水彩画用紙の製造方法。
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