JP5935316B2 - 塗工印刷用紙 - Google Patents
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Description
通常、回収された古紙には蛍光染料が含まれており、脱墨や漂白処理しても、古紙パルプには蛍光染料が残る。蛍光染料を使用していない古紙を大量に収集することは困難であるから、食品包装の用途には非塗工紙の中でも原料に古紙パルプを使用していない、バージンパルプ100%の用紙が使用される。
一般の紙用染料は、脱墨、洗浄、漂白等の古紙処理により、比較的容易に色を取り除くことができるが、蛍光染料は、これらの処理によってある程度は除去可能であるが、残った少量の蛍光染料でも、ブラックライトの照射により発光して、検知が容易であることもあり、蛍光染料は一般の紙用染料よりも紙への混入や使用が厳しく制限される要因になっている。
特許文献1:古紙原料を主体とした2層以上の板紙において、表層又は表層と表下層に蛍消剤を添加する。食品包装容器に使用できる無蛍光板紙。
特許文献2:蛍光顕微鏡で観察される蛍光強度が110以下とし、ステルスバーコード印刷の読み取り、仕分けに問題をおこさない、古紙を多配合した再生葉書用紙。古紙パルプに蛍光消色処理を施してもよい。
特許文献2については、蛍光強度を低くする方法として、多層抄きにより抄紙し、表層を蛍光物質を含まないクラフトパルプで構成し、表層以外を古紙パルプで構成することや、蛍消剤を添加することが開示されているが、単層抄きの塗工印刷用紙には適用できない。
本発明の塗工印刷用紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。抄紙機の型式は特に限定はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の単層抄きの抄紙機を適宜使用できるが、オントップ型やギャップフォーマ型のツインワイヤー抄紙機を使用するのが紙の表裏差が少なくなるので望ましい。
塗料の塗工装置としては、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が用いられる。使用する顔料としては、炭酸カルシウムを主体に用いるのが白色度が高くなるので望ましく、塗料に含まれる顔料100質量部のうち、炭酸カルシウムが70〜100質量部とするのが白色度が高くなるので望ましい。そのほか、使用する顔料に特に制限は無いが、塗工印刷用紙に従来から用いられている、カオリン、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料等を1種類以上混合して使用することができる。
NBKP30質量%(510mlCSF、白色度81%)、LBKP10質量%(220mlCSF、白色度83%)、TMP30質量%(65mlCSF、白色度68%)、上質古紙脱墨パルプ30質量%(160mlCSF、白色度78%)からなるパルプ分散液に、歩留向上剤(商品名 DR8500 ハイモ株式会社製)を0.06質量部、硫酸バンド0.9質量部(有姿)、軽質炭酸カルシウム(商品名 TP−121−6S 奥多摩工業株式会社製)、カチオン化澱粉(商品名 ジェルトロン24 ジー・エス・エル・ジャパン株式会社製)0.4質量部を添加して抄紙した。なお、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が10%となるように添加した。塗工装置では、ショートドゥエルタイプのブレードコーターを用いて、以下のような、顔料と接着剤を含む塗料を原紙の両面に塗工した。
重質炭酸カルシウム(商品名 ハイドロカーブ90HS 備北粉化工業株式会社製)100質量部、SBラテックス(商品名 スマーテックスPA8008 日本エイアンドエル株式会社製)4.6質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(商品名 スターコート16 日本食品化工株式会社製)7.7質量部、分散剤(商品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対顔料)、塗工量片面当たり8.0g/m2で両面に塗工後、乾燥し、ソフトカレンダー1ニップ処理(線圧50kN/m、ロール温度130℃)を行い、坪量52.3g/m2、水分5.5%の塗工印刷用紙を得た。
使用するパルプをNBKP30質量%、LBKP20質量%、TMP20質量%、上質古紙脱墨パルプ30質量%とした以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
使用するパルプをNBKP25質量%、LBKP10質量%、TMP45質量%、上質古紙脱墨パルプ20質量%とし、塗料の塗工量片面当たり6.0g/m2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
塗料の塗工量片面当たり8.0g/m2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が5%となるように添加した以外は、実施例3と同様にして塗工印刷用紙を得た。
使用するパルプをNBKP40質量%、LBKP30質量%、TMP10質量%、上質古紙脱墨パルプ20質量%とし、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が8.0%となるように添加した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
塗料の塗工量片面当たり5.0g/m2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が15.0%となるように添加した以外は実施例5と同様にして塗工印刷用紙を得た。
塗料の塗工量片面当たり4.5g/m2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
使用するパルプをNBKP40質量%、LBKP30質量%、TMP5質量%、上質古紙脱墨パルプ25質量%とし、塗工量片面当たり6.0g/m2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
使用するTMPの白色度60%とし、塗料の塗工量片面当たり6.0g/m2で両面に塗工した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
塗料の塗工量片面当たり7.0g/m2で両面に塗工したことと、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が4%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
塗料の塗工量片面当たり10.0g/m2で両面に塗工し、軽質炭酸カルシウムは、原紙(塗工前)の灰分が5%となるように添加した以外は実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(灰分)JISP8251:2003紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(蛍光強度)日本電色工業株式会社製の分光式白色差計PF−10を用い、パルスキセノンランプを光源として使用し、JIS P8148(2001年)に従って測定する白色度において、光路に420nmカットオフフィルターを挿入しない場合から同フィルターを挿入した場合の白色度を引いた値を蛍光強度とした。
(不透明度)JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照射法
(こわさ評価)JISP8143:2009紙−こわさ試験方法―クラークこわさ試験機法によりクラークこわさ縦を測定し、次の基準で評価した。
◎:25cm3/100以上、○:23cm3/100以上25cm3/100未満、×:22cm3/100未満
(印面評価)
オフセット輪転印刷機を用い、印刷速度700rpm、紙面温度120℃で4色印刷(オフ輪用プロセスインキ 墨・紅・藍・黄)を行い、各塗工印刷用紙の印面を次の基準で相対評価した。
◎:優れる、○:良い、×:印面にムラがみられた。
比較例2は、機械パルプ配合率が5質量%と少ないため、不透明度が低く、こわさ評価が悪くなっている。
比較例3は、機械パルプの白色度が60%と低いので、白色度が低くなっている。
比較例4は、原紙灰分が4.0%と低く、灰分が24.8%と低いので、白色度が低く、印面評価が悪くなっている。
比較例5は、塗工液の片面当たりの塗工量が10.0g/m2と多く、灰分が35.2%と高いので、こわさの評価が悪くなっている。
市販品は、坪量、白色度、不透明度が実施例の塗工印刷用紙と同程度のものであるが、蛍光強度が3.0%と高くなっている。
Claims (2)
- パルプを主体とした基材に、顔料と接着剤を含む塗料を塗工した塗工印刷用紙であって、白色度65〜75%の機械パルプを10質量%以上、上質古紙脱墨パルプを20質量%以上配合して抄紙した基材に、蛍光染料を含まない塗料を少なくとも片面に5〜8g/m2塗工した、坪量が40〜60g/m 2 、白色度75〜85%、不透明度85〜95%、蛍光強度1.0%以下、灰分25〜35%であることを特徴とする塗工印刷用紙。
- 前記塗料に含まれる顔料100質量部のうち、炭酸カルシウムが70〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載の塗工印刷用紙。
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