JP2017179374A - アミノ−カルボン酸により修飾されたヒアルロン酸誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性と血中滞留性の両方の特徴を兼ね備えたヒアルロン酸誘導体、および/または遺伝子及び薬物を細胞質内に送達することができるヒアルロン酸誘導体の提供。【解決手段】式(I)で表されるアルキルアミン、アミノ酸等のアミノ及びカルボキシを有する化合物(アミノ−カルボン酸)又はそのアミド化合物(アミノ−カルボン酸アミド)により修飾されたヒアルロン酸誘導体。該ヒアルロン酸誘導体と薬物とが結合したコンジュゲート及び該ヒアルロン酸誘導体を含む医薬品組成物、該ヒアルロン酸誘導体と薬物との複合体。【選択図】なし
Description
本発明は、アルキルアミン、アミノ酸などのアミノおよびカルボキシを有する化合物(アミノ−カルボン酸)またはそのアミド化合物(アミノ−カルボン酸アミド)により修飾されたヒアルロン酸誘導体、該ヒアルロン酸誘導体と薬物とが結合したコンジュゲートおよび該ヒアルロン酸誘導体を含む医薬品組成物、特に、該ヒアルロン酸誘導体と薬物との複合体に関する。
ポリエチレングリコール(以下、「PEG」とも称す)は生体に対して不活性な化合物である。PEGを用いて修飾することによりタンパク質やリポソームの生体内での安定性および薬物動態特性が改善できることが知られており、PEGにより修飾されたタンパク質や、PEGで被覆されることにより血中滞留性が高められたリポソームは、医薬品として既に実用化の段階に入っている。しかし、動物実験においてPEG化タンパク質の長期、大量投与を行った場合に、腎臓への蓄積および腎臓の空胞化が起こることが報告されている。特に、PEGは生分解性ポリマーではなく、ヒトに長期間投与した場合の体内での蓄積および安全性等の問題はまだ明らかでない。更に、近年、PEGコンジュゲートやPEG化リポソームにおいて、投与2回目のクリアランスが異常に早い現象(Accerelated Blood Clearance現象、以下「ABC現象」とも称す)が報告されており(非特許文献1および2)、PEG化医薬品の安全性、有効性は充分に確立されたとは言い難い。
一方、臨床で既に使用されている高分子として、ヒアルロン酸が挙げられる。ヒアルロン酸(以下、「HA」とも称す)は、1934年、K.Meyerによって牛の眼の硝子体から単離された多糖であり、細胞外マトリックスの主成分として古くから知られている。HAは、D−グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとがβ(1→3)グリコシド結合により連結された二糖単位を繰り返し単位として構成されるグリコサミノグリカンの一種である。ヒアルロン酸は、その化学的および物理的構造に種差が無く、ヒトにおいてもヒアルロン酸の代謝系が存在する。さらに免疫性または毒性の点に関してもヒアルロン酸は非常に安全な生体材料(Biomaterial)として知られている。
上述の安全性という特性に加え、近年、細胞の接着、増殖、移動の誘導に関するヒアルロン酸の生理活性物質としての側面も注目されている。更に製造の観点からも、微生物による高分子量のヒアルロン酸の大量生産が可能となっており、ヒアルロン酸を用いた薬物送達システム(以下「DDS」とも称す)の研究が盛んに行われている。薬物をヒアルロン酸とコンジュゲートすることで、薬物の癌組織へのターゲティング(特許文献1)、肝臓へのターゲティング(特許文献2)、抗原性の低減等(特許文献3)が達成できるという報告がなされている。
ヒアルロン酸を滞留性延長やターゲティング用DDS基材として用いる場合、その血中滞留性の短さが欠点となる。ヒアルロン酸の連続する6糖がレセプターの認識部位であると考えられており、カルボキシを修飾することで血中滞留時間の延長(特許文献4、5および6)を行う試みがなされている。
ヒアルロン酸のグルクロン酸部分のカルボキシを高度に修飾することにより、血中滞留性の長期化を実現させたヒアルロン酸誘導体が開発され、その有用性が示されてきた(特許文献7)。一般にグルクロン酸部分のカルボキシの修飾率を高めることによりヒアルロン酸誘導体の血中滞留性も長期化する。しかし、両者は直線的に相関するわけではなく、ある閾値を境に急激に変化することが明らかになっている。
近年、核酸医薬品として開発が進められているアンチセンスDNA/RNAやsiRNAといったオリゴヌクレオチドは、生体内外の核酸分解酵素で分解を受けやすく、核酸単体で静脈内投与(以下、「iv」とも称す)すると、速やかに分解される。核酸医薬品の薬効発現には、核酸を細胞質内や核内に送達させることが必須である。タンパク質やペプチドを活性成分とする医薬品に関しても、これまでは細胞外のターゲットに作用するものが主であった。より革新的な医薬品を開発するためには、タンパク質やペプチドを細胞内のターゲットに作用させる手段が求められている。このためにはタンパク質やペプチドを細胞質内に送達させる方法、つまりエンドサイトーシスにより細胞に取り込ませた後、エンドソームから医薬活性成分を効率的に細胞質内へ放出させる方法が必要とされている。
カチオン性の合成ポリマーは負に帯電する遺伝子を静電的に凝縮させて、遺伝子を細胞質内に送達することができるため、これまで遺伝子担体として有効とされてきた。このようなカチオン性合成ポリマーとして、ポリ−L−リジン(特許文献8、非特許文献3)やポリエチレンイミン(非特許文献4)、イミダゾリルを有する合成ポリマー(非特許文献5)、ポリアミドアミンデンドリマー(非特許文献6)といった合成ポリマーが報告されている。特に、二級アミンを有するポリエチレンイミンやイミダゾリルを有する合成ポリマーはプロトンスポンジ効果を発揮することにより、高い導入効率で細胞質内へ取り込まれることが示されている。しかしながら、これらの合成ポリマーは一般的に細胞毒性が高いとされるポリアミン類であり、安全性が確保されているとは言えない。多糖のカチオン性ポリマーであるキトサンを用いた例もあるが(非特許文献7)、遺伝子導入効率が低く実用化には至っていない。他には、メルカプト(チオール)を有する化合物でヒアルロン酸のカルボキシを修飾し、それを超音波照射により架橋して得られるナノゲルにより、siRNAの細胞質内導入を試みた事例も報告されている(非特許文献17)。
タンパク質やペプチドの細胞質内導入に関しても、さまざまな報告がされている。例えば膜透過性ペプチド(cell−penetrating peptide(cpp))で修飾する方法(非特許文献8)や、カチオニックリポソームを担体としてタンパク質またはペプチドの複合体を形成して細胞質内導入を行う試みが報告されているが(非特許文献9)、その導入効率は必ずしも高いとは言えない。
また、細胞毒性の低減のために、ポリアミンPEG化、またはHAをポリアミンで修飾するアプローチ(非特許文献10)や、ポリアミンをpH応答的に(例えば、低pHにおいて)脱離する官能基で修飾することにより、その毒性を軽減させるアプローチが進められている。しかし、ポリアミンが依然として内在するため、その毒性に関しては更なる工夫、検討が必要である(非特許文献11)。
また、生理的環境下(pH7.4)では水溶性を示すが、エンドソーム内のpHに該当する弱酸性領域(pH5〜6.8)において疎水化し、エンドソーム膜に断裂を与えることで、エンドソームから細胞質内への遺伝子/薬物の放出を可能とする弱アニオン性のポリカルボン酸ポリマーの研究が検討されている。このようなアニオン性ポリマーとしてポリ(エチルアクリル酸)(非特許文献12)やポリ(プロピルアクリル酸)(非特許文献13)が知られており、pKaが5程度のポリカルボン酸ポリマーが、細胞毒性が低く、エンドソームからの核酸の放出に有効であることが示されている。他にも、コハク酸エステル化したポリグリシドール(非特許文献14)や、ポリ(L−リジン−イソフタルアミド)の側鎖をL−フェニルアラニンで修飾した擬似ペプチド(非特許文献15)が、pH応答性を示すアニオン性ポリマーとして、エンドソームからの遺伝子/薬物の放出、すなわちエンドサイトーシスを経ての薬物の細胞質内への取り込みに有効であることが報告されている。
ヒアルロン酸中のカルボキシをアミノ酸で修飾した事例としては、例えば、N−メチルモルホリンの存在下、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンを用いることにより生成する4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン)−4−メチルモルホリウム(以下、DMT−MMとも称す)を縮合剤として用いた、グリシンのエチルエステルによる修飾が挙げられるが、修飾率は、最大でも20%となっている(非特許文献16)。また本願の優先日以降に開示された文献において、トリアジン系化合物を縮合剤として利用した事例としてはアラニンを導入したヒアルロン酸が報告されており(非特許文献18)、同様の手法で、他のアミノ酸に関しても、修飾が報告されている(非特許文献19、特許文献10)。また、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、EDCとも称す)を縮合剤として用いて、ロイシンのメチルエステル塩酸塩、バリンのメチルエステル塩酸塩、イソロイシンのメチルエステル塩酸塩、プロリンのメチルエステル塩酸塩、フェニルアラニンのメチルエステル塩酸塩、アルギニンのメチルエステル塩酸塩およびヒスチジンのメチルエステル塩酸塩により修飾し、脱保護せずにゲル化させて、非水溶性の生体適合性フィルムを調製した事例もあるが、修飾率は不明である(特許文献9)。
ヒアルロン酸中のカルボキシを脂肪族アミン、アリール脂肪族アミンでアミドに変換したヒアルロン酸の修飾の例として、1,1−カルボニルジイミダゾールを用いて、ベンジルアミンを60%、オクチルアミンを25%、ドデシルアミンを15%、ヘキサデシルアミンを5%導入した例が報告されているが、修飾率は、最大でも60%となっている(特許文献11)。
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ヒアルロン酸誘導体の血中滞留性は、グルクロン酸部分のカルボキシの修飾率と相関するものの、ある閾値を境に急激に変化することも明らかになっており、ヒアルロン酸誘導体の血中滞留性を、カルボキシの修飾率を制御することのみによって望ましい範囲内にコントロールすることは困難である。よって、より簡便かつ確実な方法で血中滞留性をコントロールする方法が望まれている。また、ヒアルロン酸のレセプターによる認識が低下すると、生体内での代謝を受けにくくなり、ヒアルロン酸が元来もつ特徴である生分解性が低下することも予想される。したがって、生分解性(安全性)および血中滞留性の両方の特徴を兼ね備えた新規基材が求められている。
また、エンドサイトーシスを経て医薬品の活性成分を細胞質内へ送達するために使用できる材料については報告されているが、より効率的に、および/または、より安全に活性成分を送達するための方法が求められている。
発明が解決しようとする課題は、生分解性と血中滞留性の両方の特徴を兼ね備えたヒアルロン酸誘導体、および/または遺伝子及び薬物を細胞質内に送達することができるヒアルロン酸誘導体を提供することである。また発明が解決しようとするさらなる課題は、該ヒアルロン酸誘導体と薬物とが結合したコンジュゲートおよび該ヒアルロン酸誘導体を含む医薬品組成物、特に、該ヒアルロン酸誘導体と薬物との複合体を提供することである。
本発明者は、かかる課題を解決する為に鋭意研究を進めたところ、ヒアルロン酸またはその塩のグルクロン酸部分のカルボキシを、特定のアルキルアミン、特定のアミノ−カルボン酸または特定のアミノ−カルボン酸アミドと反応させてアミドに変換することにより得られたヒアルロン酸誘導体が、生分解性と血中滞留性の両方の特性を有することを見出し、本発明を完成させた。また、特定のアミノ−カルボン酸を用いて修飾したヒアルロン酸誘導体が、エンドソームから細胞質内への遺伝子/薬物の放出に有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、生分解性と血中滞留性とを併せ持つヒアルロン酸誘導体、および、薬理活性を有する化合物、特に核酸医薬品の生体内における分解を抑制し、細胞質内へのデリバリーを可能とするヒアルロン酸誘導体に関する。さらに本発明は、該ヒアルロン酸誘導体の製造方法、ならびに薬物および該ヒアルロン酸誘導体を含む医薬品組成物およびその製造方法に関する。
本発明の1つの側面において、以下の(1)〜(17)のヒアルロン酸誘導体が提供される。
(1)式(I):
(1)式(I):
R8は、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xは、−NRx−A−B−Zで表される基であり;
Aは、−CRaRb−、およびC3−8シクロアルキレンから選択され、Bは直接結合であり、Zは−COORyまたは−CONRyaRybであり;または
−A−B−Zは、C1−6アルキルを表し;または
Aは−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bはフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Zは−COORyであり;
RxおよびRyは、それぞれ独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Raは、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Rbは、水素原子、C1−6アルキル(ここでC1−6アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシ、C3−8シクロアルキル、アリールおよびカルバモイルから選択される1以上の基で置換されていてもよく、ここでアリールはヒドロキシにより置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキル、およびアリール(ここでアリールはヒドロキシにより置換されていてもよい)から選択され;
RyaおよびRybは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、ホルミルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択される]
で表される二糖単位を含み、前記式(I)のAが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンの場合、存在する二糖単位に対する式(I)の二糖単位の割合は70%以上であるヒアルロン酸誘導体。
(2)Xが−NHCH3、−NH(CH2)2CH3、−NRx−A−Zであり;Aが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンである、上記(1)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(3)AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合である;
Aが−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bがフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択される;または
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合である、上記(1)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(4)Aが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、2−クロロベンゼン−1,4−ジイルおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択される;
Aが−CH2CH2−であり、Bがベンゼン−1,4−ジイルである;または、
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され;Bが直接結合である、上記(1)または(3)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(5)Zが−COORyである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
(6)式(I):
R8は、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xは、−NHCH3、−NH(CH2)2CH3、−NRx−A−B−COORyまたは−NRx−CHRc−CONRyaRybで表される基であり;
RxおよびRyは、それぞれ独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Aは、−CRaRb−、C3−8シクロアルキレン、2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bは直接結合であり;または
Aは−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bはフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され;
Raは、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Rbは、水素原子およびC1−6アルキル(ここでC1−6アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルバモイルから選択される1以上の基で置換されていてもよい)から選択され;
Rcは、カルバモイルで置換されていてもよいC1−6アルキルを表し;
RyaおよびRybは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、ホルミルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択される]
で表される二糖単位を含み、前記式(I)のAが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンの場合、存在する二糖単位に対する式(I)の二糖単位の割合は70%以上であるヒアルロン酸誘導体。
(7)Xが−NHCH3、−NH(CH2)2CH3または−NRx−CHRc−CONRyaRybであるか、あるいは、Aが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンである、上記(6)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(8)AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合である;
Aが−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bがフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択される;または
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合である、上記(6)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(9)Aが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、2−クロロベンゼン−1,4−ジイルおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択される;
Aが−CH2CH2−であり、Bがベンゼン−1,4−ジイルである;または、
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され;Bが直接結合である、上記(6)または(8)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(10)式(I):
R8は、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xは、−NRx−A−B−COORyで表される基であり;
RxおよびRyは、それぞれ独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Aは、−CRaRb−、C3−8シクロアルキレン、2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、および3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され、Bは直接結合であり;または
Aは−CH2−であり、BはフェニレンおよびC3−8シクロアルキレンから選択され;
Raは、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Rbは、水素原子およびC1−6アルキル(ここでC1−6アルキルは、ヒドロキシおよびカルボキシから選択される1以上の基で置換されていてもよい)から選択される]
で表される二糖単位を含み、前記式(I)のAが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンの場合、存在する二糖単位に対する式(I)の二糖単位の割合が70%以上である、ヒアルロン酸誘導体。
(11)Aが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンである、上記(10)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(12)AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合である;
Aが−CH2−であり、BがフェニレンおよびC3−8シクロアルキレンから選択される;または
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合である、上記(10)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(13)Aが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイルおよびベンゼン−1,4−ジイルから選択される;または、
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合である、上記(10)または(12)に記載のヒアルロン酸誘導体。
(14)式(II):
R8aは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xaは、ヒドロキシおよび−O−Q+、から選択され;ここで、Q+は、カウンターカチオンを表す]
で表される二糖単位をさらに含む、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
(15)式(III):
R8bは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xbは、−NRe−Yb−Rdで表される基であり;ここで、
Reは、水素原子またはC1−6アルキルであり;
Rdは、水素原子、C1−6アルキル、−CO−C(R7)=CH2、または−CO−G4−Xcであり;
R7は、水素原子またはメチルであり;
G4は、フェニレン、C3−8シクロアルキレン、または−G5−(C1−10アルキレン)−G6−から選択され、ここでC1−10アルキレン部分は、1〜3のフェニレンまたはC3−8シクロアルキレンが挿入されていてもよく;
G5およびG6は、それぞれ独立に、直接結合、フェニレン、またはC3−8シクロアルキレンから選択され;
Xcは、メルカプト、ハロゲン原子または
Ybは、−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−、−CH2−(CHR6)p−2−CH2−O−、−(CH2)j−S−または−(CH2)a−(Y1−(CH2)b)c−G−であり;
l、p、およびjは、それぞれ独立に2〜10から選択される整数であり、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシであり;
aは、2〜10から選択される整数であり;
bは、それぞれ独立に2〜10から選択される整数であり;
cは、1〜200から選択される整数であり;
Y1は、酸素原子または−NRn−であり;
Gは、酸素原子、硫黄原子または−NH−であり;
Rnは、水素原子、C1−6アルキル、−CO−(CH2)d−Ro、−(CH2)e−Rpまたは−(CH2)f−(Y2−(CH2)g)h−Rqであり;
gは、それぞれ独立に、2〜10から選択される整数であり;
d、e、fおよびhは、それぞれ独立に、2〜10から選択される整数であり;
Ro,RpおよびRqは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシまたは−NHRrであり;
Y2は、酸素原子または−NH−であり;
Rrは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルである]
で表される二糖単位をさらに含む、上記(1)〜(14)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
(16)R1a、R2a、R3a、およびR4aの全てを水素原子とし、R8aをアセチルとし、かつ、Xaを−O−Na+とした場合の重量平均分子量が20〜120キロダルトンとなる、上記(14)に記載の式(II)で表される二糖単位のみから構成されるヒアルロン酸を用いて製造される、上記(1)〜(15)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
(17)前記ヒアルロン酸誘導体に主鎖構造が対応する誘導体化されていないヒアルロン酸の重量平均分子量が20〜120キロダルトンであり、ここで誘導体化されていないヒアルロン酸は、前記式(II)においてR1a、R2a、R3aおよびR4aが水素原子であり、R8aがアセチルであり、Xaが−O−Na+である二糖単位のみからなるヒアルロン酸である、上記(1)〜(15)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体。
本発明の別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を担体として含む、医薬組成物が提供される。
本発明のさらに別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体に、1以上の薬物が結合した、ヒアルロン酸誘導体−薬物結合体が提供される。
さらに本発明の別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を含む、生分解性の薬物担体が提供される。
本発明のさらに別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を含む、薬物の細胞質内導入用の担体が提供される。
さらに本発明の別の側面において、上記(1)、(2)、(5)〜(7)、(10)、(11)、および(14)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を含む、生分解性の薬物担体が提供される。
本発明のさらに別の側面において、上記(1)、(3)〜(6)、(8)〜(10)、および(12)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体を含む、薬物の細胞質内導入用の担体が提供される。
さらに本発明の別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体と共に治療有効量の薬物を対象に投与することを含む、薬物の投与方法が提供される。
本発明のさらに別の側面において、上記(1)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体と共に治療有効量の薬物を投与することを含む、薬物の細胞質内導入方法が提供される。
さらに本発明の別の側面において、上記(1)、(2)、(5)〜(7)、(10)、(11)、および(14)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体と共に治療有効量の薬物を対象に投与することを含む、薬物の投与方法が提供される。
本発明のさらに別の側面において、上記(1)、(3)〜(6)、(8)〜(10)、および(12)〜(17)のいずれかに記載のヒアルロン酸誘導体と共に治療有効量の薬物を投与することを含む、薬物の細胞質内導入方法が提供される。
本発明のヒアルロン酸誘導体は、式(I)で表される1以上の二糖単位を含むヒアルロン酸誘導体であれば特に限定されない。本発明の1つの態様において、本発明のヒアルロン酸誘導体に存在する二糖の繰り返し単位に対する式(I)の二糖単位の割合は、例えば70%以上、好ましくは75%以上、更に好ましくは90%以上である。上限は100%以下であればよい。本発明の1つの態様において、式(I)で表される1以上の二糖単位と、式(II)および/または(III)で表される1以上の二糖単位を含むヒアルロン酸誘導体が提供される。
本発明の一態様において、ヒアルロン酸誘導体は、式(I)および(II)の二糖単位から実質的に構成される。当該ヒアルロン酸誘導体は、当該誘導体に含まれるD−グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとから成る二糖の繰り返し単位のうちの、例えば80%以上が、好ましくは90%以上が、より好ましくは95%以上が式(I)または(II)の二糖単位である。本発明の1つの態様において、上記式(I)および(II)で表される二糖単位のみから構成される。
本発明の一態様において、ヒアルロン酸誘導体は、式(I)、(II)および(III)の二糖単位から実質的に構成される。当該ヒアルロン酸誘導体は、当該誘導体に含まれるD−グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとから成る二糖の繰り返し単位のうちの、例えば80%以上が、好ましくは90%以上が、より好ましくは95%以上が式(I)、(II)または(III)の二糖単位である。本発明の1つの態様において、上記式(I)、(II)および(III)で表される二糖単位のみから構成される。
本発明のヒアルロン酸誘導体に存在する二糖の繰り返し単位に対する特定の二糖単位の割合は、好ましくは、二糖単位を繰り返し単位とする多糖類である本発明のヒアルロン酸誘導体の一定量に含まれる全ての二糖単位に対する特定の二糖単位の割合を意味する。
本発明のヒアルロン酸誘導体に含まれる二糖単位を表す式(I)において、R1、R2、R3、およびR4は、全て水素原子であるのが好ましい。R8は、水素原子またはC1−6アルキルカルボニルであるのが好ましく、水素原子またはアセチルであるのが更に好ましく、アセチルであるのが更に好ましい。また、本発明のヒアルロン酸誘導体に含まれる二糖単位を表す式(II)および(III)において、R1a、R2a、R3aおよびR4a、並びにR1b、R2b、R3bおよびR4bは、全て水素原子であるのが好ましい。R8aおよびR8bは、水素原子またはC1−6アルキルカルボニルであるのが好ましく、水素原子またはアセチルであるのが更に好ましく、いずれもアセチルであるのが更に好ましい。
式(I)において、−A−B−ZがC1−6アルキルの場合、C1−3アルキルが好ましく、特にメチル、n−プロピルが好ましい。
式(I)において、Rxは、水素原子またはメチル、エチルなどのC1−6アルキルであり、水素原子であるのが好ましい。Ryは、水素原子またはメチル、エチルなどのC1−6アルキルであり、水素原子、メチルまたはエチルであるのが好ましい。
式(I)において、AまたはBがC3−8シクロアルキレンである場合、その例として、1,1−シクロヘキシレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,1−シクロペンチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,1−シクロブチレン、1,2−シクロブチレン、1,3−シクロブチレンなどが挙げられる。好ましい例として、1,1−シクロヘキシレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,1−シクロブチレンが挙げられる。生分解性及び血中滞留性の両方の特性を有する観点では、C3−8シクロアルキレンは、1,1−シクロヘキシレン、1,2−シクロヘキシレン、または1,1−シクロブチレンが好ましく、遺伝子および薬物を細胞質内に送達させる観点では、C3−8シクロアルキレンは1,4−シクロヘキシレンが好ましい。
式(I)において、Bがフェニレンである場合、その例として、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレンが挙げられる。好ましい例として、1,4−フェニレン、1,3−フェニレンが挙げられる。またBがフェニレンである場合、特に好ましい例として、1,4−フェニレンが挙げられる。
フェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい。置換されているフェニレンの具体例としては、2−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、3−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−フェニレン、3,5−ジヒドロキシ−1,4−フェニレン、5−ヒドロキシ−1,3−フェニレン、3−ヒドロキシ−1,2−フェニレン、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン;2−クロロ−1,4−フェニレン、2−ヨード−1,4−フェニレン、3−ブロモ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、3,5−ジクロロ−1,4−フェニレン、5−クロロ−1,3−フェニレン、3−ブロモ−1,2−フェニレン、4−クロロ−1,2−フェニレン、;6−フルオロ−2−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、5−クロロ−3−ヨード−1,4−フェニレン、2−ブロモ−3−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、5−ブロモ−3−クロロ−1,4−フェニレン、5−ヒドロキシ−6−ヨード−1,3−フェニレン、3−クロロ−4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン、4−ブロモ−3−クロロ−1,2−フェニレン、が挙げられ、好ましくは3−ヒドロキシ−1,4−フェニレン、2−クロロ−1,4−フェニレンが挙げられる。
Rcは、カルバモイル(−CONH2)で置換されていてもよいC1−6アルキルであり、好ましくは、メチル、イソプロピルまたはカルバモイルメチルであり、さらに好ましくはイソプロピルまたはカルバモイルメチルである。
RyaおよびRybは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、ホルミルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択され、好ましくは、両方が水素原子;一方が水素原子で他方がC1−6アルキル;一方が水素原子で他方がC1−6アルキルカルボニルであり、さらに好ましくは、両方が水素原子;一方が水素原子で他方がメチル;一方が水素原子で他方がエチルであり、さらに好ましくは、両方が水素原子である。 式(I)におけるXとして、例えば以下の基が例示される。
例示した基は、生分解性及び血中滞留性の両方の特性を有する観点で好ましい基である。
さらに、式(I)におけるXの例として、以下の基が例示される。
ここで、「*」は、ヒアルロン酸誘導体中のカルボキシへの結合位置を表す(以下同じ)。
本発明の一態様として、生分解性及び血中滞留性の両方の特性を有する観点では、式(I)で定義されるAが−CRaRb−(Raは、前記にて定義した通りであり、Rbは、水素原子およびC1−6アルキル(C1−6アルキルは、ヒドロキシおよびカルボキシから選択される基で置換されていてもよい)から選択される)であり、Bが直接結合であるか;または、AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合であるのが好ましい。
本発明の別の態様として、生分解性及び血中滞留性の両方の特性を有する観点では、式(I)で定義されるXが−NHCH3、−NH(CH2)2CH3またはNRx−CHRc−CONRyaRybであるか;Aが−CRaRb−(Raは、前記にて定義した通りであり、Rbは、水素原子およびC1−6アルキル(C1−6アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルバモイルから選択される基で置換されていてもよい)から選択される)であり、Bが直接結合であるか;あるいは、AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合であるのが好ましい。
Raとしては、水素原子およびメチルがさらに好ましく、水素原子がさらに好ましい。Rbとしては、水素原子およびC1−4アルキル(C1−4アルキルは、ヒドロキシおよびカルボキシから選択される基で置換されていてもよい)が好ましく、ヒドロキシで置換されていてもよいメチルがさらに好ましい。また好ましいRbの例として、水素原子およびC1−4アルキル(C1−4アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルバモイルから選択される基で置換されていてもよい)が挙げられる。
Bとしては、シクロヘキサン−1,2−ジイルおよびシクロブタン−1,1−ジイルが好ましく、シクロヘキサン−1,2−ジイルがさらに好ましい。シクロヘキサン環上の−NRx−および−COORyの立体配置としては、シス配置およびトランス配置のいずれも好ましい。本発明のヒアルロン酸誘導体では、シクロヘキサン環上の−NRx−および−COORyの立体配置としてシス配置またはトランス配置のみを含んでいてもよく、またはシス配置およびトランス配置が任意の比で存在してもよい。または、各基の立体化学は単一であってもよく、任意の比で存在していてもよい。
生分解性及び血中滞留性の両方の特性を有する観点で、好ましいXの具体例としては、例えば以下の式で表される基が挙げられる:
本発明の一態様として、遺伝子および薬物を細胞質内に送達させる観点では、式(I)で定義されるAがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合であるか;Aが−CH2−であり、BがフェニレンおよびC3−8シクロアルキレンから選択されるか;またはAが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合であるのが好ましい。さらに好ましくは、式(I)で定義されるAが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイルおよびベンゼン−1,4−ジイルから選択されるか;または、Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択される。
本発明の別の態様として、遺伝子および薬物を細胞質内に送達させる観点では、式(I)で定義されるAがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合であるか;Aが−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bがフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択されるか;またはAが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合であるのが好ましい。さらに好ましくは、式(I)で定義されるAが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、2−クロロベンゼン−1,4−ジイルおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択されるか;Aが−CH2CH2−であり、Bがベンゼン−1,4−ジイルであるか;または、Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択される。
遺伝子および薬物を細胞質内に送達させる観点で、好ましいXの具体例としては、例えば以下の式で表される基が挙げられる:
なお、式(I)のXから、以下の基:
式(II)において、Q+はカルボキシと水中で塩を形成するカウンターカチオンであれば特に限定されず、2価以上の場合は価数に応じて複数のカルボキシと塩を形成する。カウンターカチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどの金属イオン;式:N+RjRkRlRm(式中、Rj、Rk、RlおよびRmは、それぞれ独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択される)で表されるアンモニウムイオンなどが挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン(例えば、テトラn−ブチルアンモニウムイオンなど)が挙げられる。Rj、Rk、RlおよびRmは、C1−6アルキルから選択される同一の基であるのが好ましく、n−ブチルであるのが好ましい。
式(III)において、Xbの例として以下の基が挙げられる:
−HN−(CH2)j−SH;
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−SH;
−HN−(CH2)p−O−CO−C(R7)=CH2;
−HN−(CH2)l−NHCO−C(R7)=CH2;
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−C(R7)=CH2;または
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−C(R7)=CH2
[式中、j、Yl、c、p、R7、およびlは、本明細書において既に定義されたとおりである]。
−HN−(CH2)j−SH;
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−SH;
−HN−(CH2)p−O−CO−C(R7)=CH2;
−HN−(CH2)l−NHCO−C(R7)=CH2;
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−C(R7)=CH2;または
−HN−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−C(R7)=CH2
[式中、j、Yl、c、p、R7、およびlは、本明細書において既に定義されたとおりである]。
本発明において「C1−6アルキル」とは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状のアルキルを意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチルなどの「C1−4アルキル」が含まれ、さらに、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3−エチルブチル、および2−エチルブチルなどが含まれる。
本発明において「C1−6アルキルカルボニル」とは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状のアルキルを有するアルキルカルボニルを意味し、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、ヘキサノイルなどが含まれる。
本発明において「アリール」とは、芳香族炭素環基、例えば炭素数が6〜14の芳香族炭素環基を意味し、アリールの例としてはフェニル、ナフチル(1−ナフチル、2−ナフチルおよび3−ナフチル)などが挙げられる。
本発明において「C3−8シクロアルキル」とは、炭素数3〜8の環状アルキルを意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、およびシクロオクチルが含まれる。
本発明において「C3−8シクロアルキレン」とは、炭素数3〜8の2価の環状アルキルを意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロへプチレン、およびシクロオクチレンが含まれる。より具体的な例としては、1,1−シクロヘキシレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,1−シクロペンチレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、1,1−シクロブチレン、1,2−シクロブチレン、1,3−シクロブチレンなどが挙げられる。好ましい例として、1,1−シクロヘキシレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,1−シクロブチレンが挙げられる。
本発明において「フェニレン」とは、ベンゼンの2つの水素原子が置換されている2価の基を意味し、ベンゼン−1,2−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイルが含まれる。
本発明において「C1−10アルキレン」とは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基を意味し、例えば、メチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1.3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、2−メチルプロパン−1,3−ジイル、ブタン−2,4−ジイル、3−メチルブタン−1,4−ジイル、2−メチルペンタン−1,5−ジイル、4−エチルヘキサン−1,6−ジイル、4−メチルヘプタン−2,7−ジイル、5−エチルオクタン−1,8−ジイル、および6−メチルノナン−1,9−ジイルが含まれる。
本発明において「1〜3のC3−8シクロアルキレンまたはフェニレンが挿入されたC1−10アルキレン」とは、1〜3個、好ましくは1個のフェニレンまたはC3−8シクロアルキレンが挿入されたC1−10アルキレン基を意味する。
G4の好ましい例としては、例えば、フェニレン、または以下の式で表される基が挙げられる:
本発明において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を意味する。Xcがハロゲン原子の場合、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が好ましく、薬物中のメルカプトとの反応性の観点では、臭素原子およびヨウ素原子が好ましい。
本発明において、「薬物担体が生分解性である」とは、ラットおよび/またはヒトに静脈内投与後、2週間後までの間に、尿中において検出される薬物担体が低分子化を起こしていることを意味する。
本発明において、「細胞内」とは、エンドソームおよび細胞核を含む、細胞膜の内側を意味する。
本発明において、「細胞質内」とは、「細胞内」から、エンドソームおよび細胞核を除いた、細胞膜の内側を意味する。
本発明において「エンドソーム」とは、細胞が物質を取り込む過程で形成される生体膜からなる小胞および、それらがライソゾームと融合してできた小胞を意味する。
「低分子化を起こしていること」は、尿中に排出される薬物担体の大きさを、サイズ排除カラムクロマトグラフィーに付して測定することで判定できる(本願明細書実施例3−3を参照)。この時、投与後2週間後までの間のいずれか1つの時点または24時間の期間において観察される尿由来の薬物担体のピークトップが、それより前の時点または期間に採取された尿由来の薬物担体のピークトップと比較して低分子側に移行している(すなわち、カラムクロマトグラムにおける保持時間が長くなる)ならば、薬物担体が生分解性であると判定される。
式(I)で表される二糖単位を1以上含む本発明のヒアルロン酸誘導体は、例えば式(II)で表される二糖単位から実質的になるヒアルロン酸またはその誘導体、さらに好ましくは、式(II)で表される二糖単位のみから構成されるヒアルロン酸(塩などを含む)を原料として合成される。本発明の1つの側面において、原料となるヒアルロン酸の重量平均分子量は20〜120キロダルトンであり、好ましくは、20〜30キロダルトン、および50〜120キロダルトンが好ましい。好ましい重量平均分子量としては、例えば、25キロダルトンおよび99キロダルトン等が挙げられる。血中滞留性向上の観点では、重量平均分子量の下限は5キロダルトン以上であればよく、好ましくは、50キロダルトン以上、更に好ましくは99キロダルトン以上である。重量平均分子量の上限は250キロダルトン以下が好ましい。また、生分解性の観点では、好ましい重量平均分子量は、50〜120キロダルトン、例えば99キロダルトンであり、細胞質内移行性の観点では、好ましい重量平均分子量は、20〜120キロダルトン、例えば、25キロダルトンおよび99キロダルトンである。
なお、20〜120キロダルトンという、原料として用いられる、式(II)で表される二糖単位のみから構成されるヒアルロン酸(塩を含む)の重量平均分子量とは、本発明のヒアルロン酸誘導体の主鎖構造を保持したまま、式(II)における、R1a、R2a、R3a、およびR4aの全てを水素原子とし、R8aをアセチルとし、かつ、Xaを−O−Na+として換算した場合の重量平均分子量を意味する。従って、例えば、実際に用いる原料における一部又は全ての二糖単位においてXaが−O−(テトラn−ブチルアンモニウムイオン)であり、その重量平均分子量が400キロダルトンである場合であっても、上記に従って換算した重量平均分子量が20〜120キロダルトンと算出される場合は、本発明の好ましい1態様に含まれることになる。
HA重量平均分子量の測定方法については、例えば、中浜精一他著「エッセンシャル高分子科学」(講談社発行、ISBN4−06−153310−X)に記載された、光散乱法、浸透圧法、粘度法等、各種の公知の方法を利用することができる。本明細書において示される、光散乱法により測定した重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー装置を接続した多角度光散乱検出器(SEC−MALLS)を使用するなど、本発明が属する技術分野において通常用いられる方法により測定することができる。
本発明の別の側面によれば、本発明のヒアルロン酸誘導体は、重量平均分子量が500キロダルトン、好ましくは250キロダルトン以下である、式(II)で表される二糖単位から実質的になるヒアルロン酸(塩などを含む)を原料として製造することができる。本発明の1つの態様において、本発明のヒアルロン酸誘導体は式(I)および(II)の二糖単位から実質的に構成されるヒアルロン酸誘導体である。
式(I)で表される二糖単位を含む本発明のヒアルロン酸誘導体は、グルクロン酸部分のカルボキシをアミドに変換することにより製造することができる。例えば、原料のヒアルロン酸(塩などを含む)、好ましくは、式(II)で表される二糖単位のみから構成されるヒアルロン酸を、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム(TBA)塩)にイオン交換し、適当な縮合剤存在下、溶媒中で当該ヒアルロン酸塩と式:HNRx−A−B−COORz(式中、Rzは、カルボキシを保護するためのエステル形成基であり、Rx、AおよびBは本明細書に既に定義されたとおりである)または式:HNRx−A−CONRyaRybで表される化合物とを反応させ、保護基が存在する場合は脱保護をおこなう方法が挙げられる。ここでエステル形成基は特に限定されず、カルボキシの保護に通常用いられる基であれば特に限定されない。エステル形成基の例としては、C1−6アルキル、ベンジル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、およびベンジルオキシC1−6アルキルなどが挙げられる。
式(I)における基:−NRx−A−B−COORzおよび−NRx−A−CONRyaRybは、複数存在する二糖単位の各々において同一であっても異なっていてもよい。例えば、異なる種類の式:HNRx−A−B−COORzおよび/またはHNRx−A−CONRyaRybで表される化合物を用いて上記反応を行ってもよい。
上記の反応において使用することができる縮合剤は特に限定されず、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン)−4−メチルモルホリウム(DMT−MM)、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、2−ベンゾトリアゾール−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム4フッ化ホウ酸塩(TBTU)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、ベンゾトリアゾール−1−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム6フッ化リン酸塩(PyBOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などを挙げることができる。
特に、限定はされないが、DMT−MMは水および有機溶媒の混合溶媒中でも反応が高効率に進む点において好ましい。また、DMT−MMを縮合剤として使用することにより、多数のヒドロキシが共存する系において、エステル結合形成を抑えつつ、高選択的にアミノとカルボキシによるアミド結合形成を行うことができる。この縮合剤の使用により、例えば、溶媒であるアルコールがヒアルロン酸部分のカルボキシと反応することや、ヒアルロン酸部分に同時に存在するカルボキシとヒドロキシとが、分子内もしくは分子間で結合して、望まない架橋を形成してしまうことを防ぐことができる。
上記反応において用いる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、スルホラン(SF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジオキサン(例えば1,4−ジオキサン)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。出発物質、修飾物および生成物の溶解性と、縮合剤の反応性の観点からは、DMSO単独もしくは水/DMSO混合溶媒を使用するのが好ましい。修飾物であるアミノ−カルボン酸の種類によっては、それをメタノール溶液やジオキサン溶液として反応に用いてもよい。
式:HNRx−A−B−COORzで表される化合物として、例えば、アラニンエステル、セリンエステル、グルタミン酸ジエステル、グリシンエステル、バリンエステル、ロイシンエステル、イソロイシンエステル、スレオニンエステル、アスパラギン酸ジエステル、シス−2−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸エステル、トランス−2−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸エステル、2−アミノイソブタン酸エステル、1−アミノ−1−シクロブタン酸エステル、1−アミノメチル−1−シクロヘキサン酸エステル、シス−4−アミノシクロヘキサン酸エステル、L−2−ナフチルアラニンエステル、2−アミノフェニルブタン酸エステル、シクロヘキシル−L−アラニンエステル、4−アミノメチル安息香酸エステルなどが挙げられる。ここで、上記のエステルは、例えばC1−6アルキルエステル、アリールエステル、C1−6アルコキシC1−6アルキルエステル、アリールC1−6アルキルエステルなどであり、好ましくは、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステルなどである。
式:HNRx−A−CONRyaRybで表される化合物として、例えば、アラニンアミド、アスパラギンアミド、アスパラギン酸アミド、グルタミンアミド、グルタミン酸アミド、グリシンアミド、イソロイシンアミド、ロイシンアミド、フェニルアラニンアミド、セリンアミド、スレオニンアミド、チロシンアミド、バリンアミドなどが挙げられる。
式(I)で表される二糖単位を含む本発明のヒアルロン酸誘導体のうち、Xが、−NHCH3および−NH(CH2)2CH3である誘導体を製造する方法としては、例えば、上記のヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩と、適当な縮合剤存在下、溶媒中で当該ヒアルロン酸塩とNH2CH3およびNH2(CH2)2CH3で表される化合物とを反応させる方法が挙げられる。上記反応では本明細書に既に記載した縮合剤および溶媒を使用することができる。各々のアミンによる修飾率は、例えば、HAユニットに対する縮合剤および/またはアミンの等量数、反応温度、反応時間等をコントロールすることで、調整できる。
式(III)で表される二糖単位を含む本発明のヒアルロン酸誘導体を製造する方法としては、例えば、上記のヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩と、適当な縮合剤存在下、溶媒中で当該ヒアルロン酸塩と式:HNRe−Yb−Rw(式中、Rwは、水素原子、C1−6アルキル、−CO−C(R7)=CH2、−CO−G4−Xc、ヒドロキシの保護基、アミノの保護基、またはメルカプトの保護基であり、Re、Yb、R7、G4、およびXcは本明細書に既に定義されたとおりである)で表される化合物とを反応させ、保護基が存在する場合は脱保護をおこなう方法が挙げられる。上記反応では本明細書に既に記載した縮合剤および溶媒を使用することができる。
−CO−G4−Xcの具体例としては、以下の式で表される基が挙げられる:
ヒドロキシの保護基の例としては、C1−6アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキル、C1−6アルキルスルホニル、((アミノC1−6アルキル)カルボニルオキシ)C1−6アルキル、不飽和ヘテロ環カルボニルオキシC1−6アルキル、アリールジ(C1−6アルキル)シリル、トリ(C1−6アルキル)シリルなどが挙げられる。好ましいヒドロキシの保護基としては、アセチルなどが挙げられる。
−NH−またはアミノの保護基の例には、C1−6アルキルカルボニル、アリールC1−6アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルアミノカルボニル、ジ(C1−6アルキル)アミノカルボニル、アリールC1−6アルキル、ヘテロアリールC1−6アルキル、(アリールC1−6アルキル)アミノカルボニルなどが含まれる。好ましいアミノの保護基としては、アセチル、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルなどが挙げられる。また、アミノは保護されることにより、フタル酸イミド、コハク酸イミド、グルタル酸イミド、1−ピロリルなどの飽和または不飽和へテロ環基を形成していてもよい。
メルカプトの保護基としては、例えば、エチルチオおよびt−ブチルチオ等のC1−6アルキルチオ、2−ニトロフェニルチオおよび2−カルボキシフェニルチオ等の置換フェニルチオ、並びに2−ピリジルチオ等のヘテロアリールチオが挙げられる。好ましい例は、2−ピリジルチオである。
上記式(III)の−NRe−Yb−Rdで表される基の例としては、式:
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH2;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH2;
−NH−CH2−(CHR6)p−2−CH2−OH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−OH;
−NH−(CH2)j−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−SH;
−NH−(CH2)p−O−CO−C(R7)=CH2;
−NH−(CH2)l−NHCO−C(R7)=CH2;
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−CO−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH−CO−CH2−SH;
−NH−(CH2)p−O−CO−CH2−CH2−SH;
−NH−(CH2)l−NHCO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−CO−CH2−Br;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH−CO−CH2−I;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−C(R7)=CH2;または
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−C(R7)=CH2
[式中、R5、R6、R7、Y1、c、j、l、およびpは、本明細書で定義されるとおりである]
で表される基が挙げられる。
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH2;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH2;
−NH−CH2−(CHR6)p−2−CH2−OH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−OH;
−NH−(CH2)j−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−SH;
−NH−(CH2)p−O−CO−C(R7)=CH2;
−NH−(CH2)l−NHCO−C(R7)=CH2;
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−CO−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH−CO−CH2−SH;
−NH−(CH2)p−O−CO−CH2−CH2−SH;
−NH−(CH2)l−NHCO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−CH2−CH2−SH;
−NH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−CO−CH2−Br;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NH−CO−CH2−I;
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−NHCO−C(R7)=CH2;または
−NH−CH2−CH2−(Y1−CH2−CH2)c−O−CO−C(R7)=CH2
[式中、R5、R6、R7、Y1、c、j、l、およびpは、本明細書で定義されるとおりである]
で表される基が挙げられる。
ここで、ヒアルロン酸誘導体の分子中に含まれる、R5およびR6がヒドロキシであるCHR5およびCHR6の個数は、それぞれ0〜8であるが、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0および1である。R5およびR6がヒドロキシであるCHR5およびCHR6の個数を調節することで、本発明のヒアルロン酸誘導体の、水に対する溶解度を調節することができる。R5がすべて水素原子の場合、lとしては2〜6が好ましく、その具体例として2および6が挙げられる。R5の1つがヒドロキシである場合、lの具体例としては3が挙げられる。Y1が酸素原子の場合、cの具体例としては2が挙げられる。Y1が−NH−の場合、cの具体例としては1〜3が挙げられる。lおよびpの具体例としては3が挙げられる。
−(CH2)a−(Y1−(CH2)b)c−G−の具体例としては、例えば、−(CH2)2−(O−CH2−CH2)c−O−、−(CH2)2−(O−CH2−CH2)c−NH−、−(CH2)3−(O−CH2−CH2−CH2)c−O−、−(CH2)3−(O−CH2−CH2−CH2)c−NH−、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−O−、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NH−、−(CH2)3−NRn−(CH2)4−O−、−(CH2)3−NRn−(CH2)4−NH−、−(CH2)6−NRn−(CH2)6−O−、−(CH2)6−NRn−(CH2)6−NH−、−(CH2)3−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)3−O−、−(CH2)3−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)3−NH−、−(CH2)3−NRn−(CH2)4−NRn−(CH2)3−O−、−(CH2)3−NRn−(CH2)4−NRn−(CH2)3−NH−(スペルミン型)、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−O−、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NH−、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−O−、−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NRn−(CH2)2−NH−、が挙げられる。ここで、Rnとしては、全てが水素原子であるのが好ましい。
これら−(CH2)a−(Y1−(CH2)b)c−G−に結合するRdの具体例としては、例えば、水素原子、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CO−CH2−Cl、−CO−CH2−Br、−CO−CH2−I、−CO−CH2−SH、−CO−CH2−CH2−SH等が挙げられる。
また、−NRe−Yb−Rdで表される基の具体例として、−NH−(CH2)3−N(−(CH2)4−NH−(CH2)3−NHCOCH3)−(CH2)2−SH、−NH−(CH2)2−N(−(CH2)3−NH−(CH2)4−NHCOCH3)−(CH2)3−SHおよび−NH−(CH2)5−N(−(CH2)3−NH−(CH2)2−NHCOCH3)−(CH2)2−SHが挙げられる。
式(III)で表される二糖単位を含む本発明のヒアルロン酸誘導体を製造する方法として、ヒアルロン酸のグルクロン酸部分のカルボキシ(−COOH)を、式:H2N−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH2で表されるジアミンと反応させて式:−CONH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH2で表されるアミドに変換し、さらに末端のアミノを修飾して基:−CONH−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NHRdで表されるアミドに変換する方法が挙げられる。
上記ジアミンの具体例としては、例えば、H2N−(CH2)2−NH2、H2N−(CH2)3−NH2、H2N−(CH2)4−NH2、H2N−(CH2)5−NH2、H2N−(CH2)6−NH2、H2N−(CH2)7−NH2、H2N−(CH2)8−NH2、H2N−(CH2)9−NH2、H2N−(CH2)10−NH2、H2N−CH2−CHOH−CH2−NH2、H2N−CH2−CHOH−(CH2)2−NH2、H2N−CH2−(CHOH)2−CH2−NH2、H2N−CH2−CHOH−(CH2)3−NH2、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)2−NH2、H2N−CH2−(CHOH)2−(CH2)2−NH2、H2N−(CH2−CHOH)2−CH2−NH2、H2N−CH2−(CHOH)3−CH2−NH2、H2N−CH2−CHOH−(CH2)4−NH2、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)3−NH2、H2N−CH2−(CHOH)2−(CH2)3−NH2、H2N−CH2−CHOH−CH2−CHOH−(CH2)2−NH2、H2N−CH2−CHOH−(CH2)2−CHOH−CH2−NH2、H2N−(CH2)2−(CHOH)2−(CH2)2−NH2、H2N−CH2−(CHOH)3−(CH2)2−NH2、H2N−CH2−(CHOH)2−CH2−CHOH−CH2−NH2、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)4−NH2、H2N−(CH2)3−CHOH−(CH2)4−NH2、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)6−NH2およびH2N−(CH2)5−CHOH−(CH2)4−NH2が挙げられる。
式(III)で表される二糖単位を含む本発明のヒアルロン酸誘導体を製造する方法として、ヒアルロン酸のグルクロン酸部分のカルボキシ(−COOH)を、式:H2N−CH2−(CHR5)p−2−CH2−OHで表されるヒドロキシアミンと反応させて式:−CONH−CH2−(CHR5)p−2−CH2−OHで表されるアミドに変換し、さらに末端のアミノを修飾して基:−CONH−CH2−(CHR5)p−2−CH2−ORdで表されるアミドに変換する方法が挙げられる。
上記ヒドロキシアミンの具体例としては、例えば、H2N−(CH2)2−OH、H2N−(CH2)3−OH、H2N−(CH2)4−OH、H2N−(CH2)5−OH、H2N−(CH2)6−OH、H2N−(CH2)7−OH、H2N−(CH2)8−OH、H2N−(CH2)9−OH、H2N−(CH2)10−OH、H2N−CH2−CHOH−CH2−OH、H2N−CH2−CHOH−(CH2)2−OH、H2N−CH2−(CHOH)2−CH2−OH、H2N−CH2−CHOH−(CH2)3−OH、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)2−OH、H2N−CH2−(CHOH)2−(CH2)2−OH、H2N−(CH2−CHOH)2−CH2−OH、H2N−CH2−(CHOH)3−CH2−OH、H2N−CH2−CHOH−(CH2)4−OH、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)3−OH、H2N−CH2−(CHOH)2−(CH2)3−OH、H2N−CH2−CHOH−CH2−CHOH−(CH2)2−OH、H2N−CH2−CHOH−(CH2)2−CHOH−CH2−OH、H2N−(CH2)2−(CHOH)2−(CH2)2−OH、H2N−CH2−(CHOH)3−(CH2)2−OH、H2N−CH2−(CHOH)2−CH2−CHOH−CH2−OH、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)4−OH、H2N−(CH2)3−CHOH−(CH2)4−OH、H2N−(CH2)2−CHOH−(CH2)6−OHおよびH2N−(CH2)5−CHOH−(CH2)4−OHが挙げられる。
なお、これらの化合物は例えばシグマ−アルドリッチ社などから市販されており、適宜購入して利用することができる。また、文献記載の方法に従い、もしくは文献記載の方法を参考にして合成してもよい。
式(III)における基:−NRe−Yb−Rdは、複数存在する二糖単位の各々において同一であっても異なっていてもよい。例えば、異なる種類の式:HNRe−Yb−Rdで表される化合物を用いて上記反応を行ってもよい。
式(I)におけるXが−NRx−A−B−COORyである場合、Xbは、式(III)で表される二糖単位中に示した位置に存在するばかりでなく、その一部又は全部が、−ORyと置換して、Xが、−NRx−A−B−CO−Xbとなってもよい。
本発明の1つの側面において、本発明のヒアルロン酸誘導体に主鎖構造が対応する誘導体化されていないヒアルロン酸の重量平均分子量は20〜120キロダルトンである。ここで誘導体化されていないヒアルロン酸(塩を含む)は、上記式(II)においてR1a、R2a、R3aおよびR4aが水素原子であり、R8aがアセチルであり、Xaが−O−Na+である二糖単位のみからなるヒアルロン酸である。
当該誘導体化されていないヒアルロン酸は本発明のヒアルロン酸誘導体に主鎖構造が対応するので、当該誘導体化されていないヒアルロン酸に存在する二糖単位の数は、本発明のヒアルロン酸誘導体に存在する二糖単位の数と一致する。当該側面におけるヒアルロン酸誘導体は、例えば重量平均分子量は20〜120キロダルトンのヒアルロン酸またはそのナトリウム塩を原料として用いることにより製造することができる。
本発明の1つの側面において、存在する二糖の繰り返し単位に対する式(II)で表される二糖単位の割合は、50%以下であるのが好ましく、30%以下がさらに好ましく、20%以下がさらに好ましい。その割合の下限は0%以上であればよい。ここでは、ヒアルロン酸誘導体のカルボキシ(−COOH)の50%以上が、基:−CONHCH3、−CONH(CH2)2CH3、−CONRx−A−B−COORy、−CONRx−A−CONRyaRybまたは−CONRe−Yb−Rdに変換されている。
式(III)で表される二糖単位において反応性の炭素−炭素二重結合を含むヒアルロン酸誘導体は、2以上のメルカプトを有する架橋剤(例えば、ジチオスレイトール:DTT、ブタンジチオール、ポリエチレングリコールジチオール)との架橋反応に供することができる。また、式(III)で表される二糖単位においてメルカプトを含むヒアルロン酸誘導体は、2以上のメルカプトを有する架橋剤(例えば、ジチオスレイトール:DTT、ブタンジチオール、ポリエチレングリコールジチオール)とのジスルフィド形成による架橋反応、または反応性の炭素−炭素二重結合を2以上含む架橋剤(例えばジビニルスルホン)を使用する架橋反応に供することができる。架橋反応を行うことで、本発明のヒアルロン酸誘導体をゲル化することができる。
架橋反応の他の事例としては、アミノにより修飾したヒアルロン酸誘導体と、C2−20アルキレンの両端にスクシンイミジルエステルやその他のイミドエステルを有する架橋剤(例えば、ビス[スルフォスクシンイミジル]スベレート(BS3)、エチレングリコール−ビス[スルフォスクシンイミジル]スクシネート(Sulfo−EGS)、ジメチルアジピミデート塩酸塩(DMA)など)とので縮合反応による架橋;アミノにより修飾したヒアルロン酸誘導体と、C2−20アルキレンの両端にホルミルを有する架橋剤(例えば、グルタルアルデヒドなど)との架橋;メルカプトにより修飾したヒアルロン酸誘導体の酸化条件下(例えば、テトラチオネートナトリウム(STT)存在下など)での酸化反応による架橋;メルカプトにより修飾したヒアルロン酸誘導体と、C2−20アルキレンの両端にマレイミド(MAL)やメタクリロイルなどの不飽和結合を有する架橋剤(例えば、1,4−ビス−マレイミドブタン(BMB)、ジメタクリル酸エチレン(EDMA)など)とのマイケル付加反応による架橋;アルクロイルおよびメタクリロイルなどの不飽和結合により修飾したヒアルロン酸誘導体と各種重合開始剤(例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)/N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、Irgacure2959など)とのラジカル重合による架橋;ジアミン化合物(例えば、EDA、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチレンジアミン)など)共存下、縮合剤(例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン)−4−メチルモルホリウムクロライド(DMT-MM)、2−ベンゾトリアゾール−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム4フッ化ホウ酸塩(TBTU)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HODhbt)、ベンゾトリアゾール−1−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム6フッ化リン酸塩(PyBOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)など)による架橋が挙げられる。上記の架橋形成は、ヒアルロン酸誘導体の分子内であっても、複数のヒアルロン酸誘導体の分子間であってもよい。
本発明のヒアルロン酸誘導体の製造方法が、ジアミンをグルクロン酸部分のカルボキシと縮合させる工程を含み、ジアミンの一部、例えば、10%のみが薬物と結合することにより、利用されることなく残存したアミノを当該ヒアルロン酸誘導体が含む場合、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸および無水アジピン酸などのジカルボン酸無水物などで処理するか、マレイン酸、グルタル酸およびアジピン酸などのジカルボン酸を縮合剤共存下で反応させることで、末端の官能基をカルボキシに戻して、残存したアミノが有していたカチオン性を消失させたり、トータル電荷をアニオン性にすることもできる。また、無水酢酸および無水安息香酸などのカルボン酸無水物で処理するか、酢酸および安息香酸などのカルボン酸を縮合剤共存下で反応させることで、末端の官能基をアミドに変換して、残存したアミノ基が有していたカチオン性を消失させたり、トータル電荷をノニオン性にすることもできる。
本発明のヒアルロン酸誘導体のゲルが有する化学架橋構造は生体内で分解する構造を含んでいてもよい。特に限定されないが、例えば架橋反応に供する基として、エステル結合およびメタクリロイルを有する基を用いてもよい。また、架橋剤として、Sulfo−EGSやEDMAなど、エステル結合を有する化合物、または生体内の酵素によって分解されるペプチドスペーサーを有する化合物を用いてもよい。また、メルカプトの酸化によって形成するジスルフィド結合によって架橋したゲルは、ジスルフィド交換反応や還元反応によって、生体で分解される。分解性の化学架橋構造を有することで、本発明のヒアルロン酸誘導体のゲルの生体内での分解速度を制御することができ、これによって薬物の放出速度も制御することが可能である。
本発明のヒアルロン酸誘導体は医薬組成物の担体として使用することができる。本発明の1つの側面において、式(I)および式(III)、あるいは式(I)、式(II)および式(III)で表される二糖単位を含むヒアルロン酸誘導体を、架橋剤を用いて架橋し、ゲル化して、薬物(低分子化合物、タンパク質、ペプチド、または核酸)を封入するための担体として使用することができる。薬物の例としては、以下のものを挙げることができる。
低分子化合物の例としては、例えば、制癌剤(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アルカロイド等)、免疫抑制剤、抗炎症剤(ステロイド剤、非ステロイド剤系抗炎症剤等)、抗リウマチ剤、抗菌剤(β−ラクタム系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質、マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質、新キノロン系抗生物質、サルファ剤等)などを挙げることができる。
タンパク質、ペプチドの例としては、例えば、貧血治療薬、臓器保護薬であるエリスロポエチン(EPO)、好中球減少症治療薬であるグラニュロサイトコロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−α、β、γ、(INF−α、β、γ)、トロンボポエチン(TPO)、シリアリーニュートロフィクファクター(CNTF)、チューマーネクローシスファクター(TNF)、チューマーネクローシスファクター結合タンパク質(TNFbp)、インターロイキン−10(IL−10)、FMS類似チロシンカイネース(Flt−3)、成長ホルモン(GH)、インシュリン、インシュリン類似成長因子−1(IGF−1)、血小板由来成長因子(PDGF)、インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)、ブレイン由来ニューロトロフィクファクター(BDNF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、幹細胞因子(SCF)、メガカリオサイト成長分化因子(MGDF)、オステオプロテゲリン(OPG)、レプチン、副甲状腺ホルモン(PTH)、塩基性フィブロブラスト成長因子(b−FGF)、骨形成タンパク質(BMP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、各種酵素補充療法薬、抗体、ダイアボディー、ミニボディー、断片化抗体、およびこれらを化学的に修飾したもの等を挙げることができる。
核酸の例としては、例えば、DNA、RNA、アンチセンス、デコイ、リボザイム、smallinterfering RNA、microRNA、RNAアプタマー、およびこれらを化学的に修飾したもの等を挙げることができる。
薬物としては、タンパク質、ペプチドおよび核酸が好ましく、これらの薬物を封入することで、タンパク質、ペプチドおよび核酸を含有する、本発明の組成物を得ることができる。
本発明の別の側面において、式(I)で表される二糖単位を含むヒアルロン酸誘導体に、上記薬物の1以上が結合した、ヒアルロン酸誘導体−薬物結合体が提供される。この側面の1つの態様において、ヒアルロン酸誘導体として式(I)および式(III)、あるいは式(I)、式(II)および式(III)で表される二糖単位を含むヒアルロン酸誘導体を用いることができる。例えば、式(III)の基−NRe−Yb−Rdに含まれるヒドロキシ、アミノ、メルカプトまたは反応性の炭素−炭素二重結合(メタクリロイル、アクリロイルなど)と薬物を結合させることにより、上記のヒアルロン酸誘導体−薬物結合体を調製することができる。基−NRe−Yb−Rdの一部または全部は、−NRx−A−B−CO−NRe−Yb−Rdとなって、式(I)中に存在してもよい。
なお、基−NRe−Yb−Rdと薬物との間に、更に、式−G1−G2−G3−J−***
(式中、***は、薬物との結合部位を表し、
G1は、直接結合、−C(=O)−、−NRs−および−S−から選択され、
G2は、−(CH2)i−および−(CH2)q−(O−CH2−CH2)k−から選択され、
G3は、直接結合、−C(=O)−NRt−(CH2)r−および−NRu−C(=O)−(CH2)m−から選択され、
Jは、以下の式で表される基を表し、
(式中、***は、薬物との結合部位を表し、
G1は、直接結合、−C(=O)−、−NRs−および−S−から選択され、
G2は、−(CH2)i−および−(CH2)q−(O−CH2−CH2)k−から選択され、
G3は、直接結合、−C(=O)−NRt−(CH2)r−および−NRu−C(=O)−(CH2)m−から選択され、
Jは、以下の式で表される基を表し、
で表されるスペーサーが挿入されていてもよい。
式−G1−G2−G3−J−***の具体例としては、例えば、以下の式が挙げられる:
本発明のヒアルロン酸誘導体のゲル中に、薬物を封入して、あるいは、本発明のヒアルロン酸誘導体−薬物結合体は、1種もしくはそれ以上の薬学的に許容し得る希釈剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤等を含む医薬組成物として、目的とする投与経路に応じ、適当な任意の形態にして投与することができる。投与経路は非経口的経路であっても経口的経路であってもよい。
本発明により、従来の徐放性製剤では得られない、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物といった薬物を長期間徐放でき、かつ適切な生分解性を有する安全性の高い徐放性製剤および医薬組成物を提供することが可能である。また、薬物がエンドサイトーシスを経て細胞内に取り込まれる経路において、本発明のヒアルロン酸誘導体はエンドソームから細胞質内への薬物の放出を促進する作用を有するため、薬物が細胞質内に効率的に取り込まれる医薬製剤および医薬組成物を提供することも可能である。
以下、本発明の好適な具体的態様を実施例として説明する。
以下に記載中のHAユニットとは、ヒアルロン酸中のN−アセチルグルコサミン−グルクロン酸の繰り返し単位(1ユニット)を意味する。NMR測定は、核磁気共鳴装置(JNM−ECA500 日本電子株式会社製)を用いて測定した。NMRの測定条件を以下に示す。
1H−NMR測定条件
Data point:16384
Spectral width(X sweep):15ppm
Acquisition time(X acq time):1.749s
Pulse delay(Relaxation delay):30s
Transients(Scans):64
Data point:16384
Spectral width(X sweep):15ppm
Acquisition time(X acq time):1.749s
Pulse delay(Relaxation delay):30s
Transients(Scans):64
〔実施例1〕ヒアルロン酸誘導体の合成
(実施例1−1)カチオン交換樹脂のテトラブチルアンモニウム(TBA)塩化
DOWEX(登録商標)50WX−8−400(シグマ−アルドリッチ社製)を超純水に懸濁させ、デカンテーションにより樹脂を超純水で3回程度洗浄した。40重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TBA−OH)(シグマ−アルドリッチ社製)を樹脂のカチオン交換能に対し約1.5倍モル等量を加え、30分間攪拌した。余剰のTBA−OH溶液をデカンテーションにより除去した後、さらに過剰の超純水で洗浄を繰り返し、最後に0.45μmのフィルターを用いて濾過することによりTBA塩化したカチオン交換樹脂を得た。
(実施例1−1)カチオン交換樹脂のテトラブチルアンモニウム(TBA)塩化
DOWEX(登録商標)50WX−8−400(シグマ−アルドリッチ社製)を超純水に懸濁させ、デカンテーションにより樹脂を超純水で3回程度洗浄した。40重量%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TBA−OH)(シグマ−アルドリッチ社製)を樹脂のカチオン交換能に対し約1.5倍モル等量を加え、30分間攪拌した。余剰のTBA−OH溶液をデカンテーションにより除去した後、さらに過剰の超純水で洗浄を繰り返し、最後に0.45μmのフィルターを用いて濾過することによりTBA塩化したカチオン交換樹脂を得た。
(実施例1−2)HAのTBA塩(HA−TBA)の調製
分子量25kDaおよび99kDaのヒアルロン酸ナトリウム塩(HA−Na、資生堂株式会社製)をそれぞれ15mg/mLの濃度で超純水に溶解した。実施例1−1で得たTBA塩化したカチオン交換樹脂をHAユニット(ユニット分子量401.3)のモル数に対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間攪拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、HA−TBAを白色固体として得た。
分子量25kDaおよび99kDaのヒアルロン酸ナトリウム塩(HA−Na、資生堂株式会社製)をそれぞれ15mg/mLの濃度で超純水に溶解した。実施例1−1で得たTBA塩化したカチオン交換樹脂をHAユニット(ユニット分子量401.3)のモル数に対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間攪拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、HA−TBAを白色固体として得た。
代表例として99kDaのHA−Naを出発原料とする生成物のD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図1に示す。HAのグルコサミンのアセチル由来のシグナル(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、TBAの4つのエチレン由来のシグナル(N(CH2CH2CH2CH3)4、1.4、1.7ppm;16H)の積分値より、HAユニットに対するTBAの量比を算出し、この比からHA−TBAのユニット平均分子量を算出した。例えば、99kDaのHA−Naを出発原料とするHA−TBAのユニット平均分子量は752.6であった。
(実施例1−3)HAのフルオロセイン(FL)ラベル体のTBA塩(HA−FL/TBA)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(10mg/mL)を調製した。その後、5−(アミノメチル)フルオロセインの塩酸塩(invitrogen社製)をHAユニットに対して0.05倍モル等量添加した。次に、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM、国産化学株式会社製)をHAユニットに対して0.2倍モル等量を添加し、室温で6時間以上撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に、実施例1−1でTBA塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液をHAユニットに対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間撹拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、目的物(HA−FL/TBA)を黄色固体として得た。
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(10mg/mL)を調製した。その後、5−(アミノメチル)フルオロセインの塩酸塩(invitrogen社製)をHAユニットに対して0.05倍モル等量添加した。次に、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM、国産化学株式会社製)をHAユニットに対して0.2倍モル等量を添加し、室温で6時間以上撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に、実施例1−1でTBA塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液をHAユニットに対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間撹拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、目的物(HA−FL/TBA)を黄色固体として得た。
測定溶媒としてD2Oを用いた生成物の1H−NMRスペクトルを図2に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、TBAの4つのメチル((N(CH2CH2CH2CH3)4、1.0ppm;12H)の積分値より、HAユニットに対するTBAの量比を算出し、この比からHA−TBAのユニット平均分子量を算出し、グルコサミンのアセチル由来のピークの積分値と、内部標準として用いた3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム−d4(TSP−d4)のメチル由来のピーク(−Si(CH3)3,0.0ppm;9H)の積分値から重量あたりのHAユニット含量を定量した。また、生成物を0.05mg/mLで50mM炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解し、その491nmにおける吸光度から重量あたりのFL含量を定量し、HAユニットにおけるFLによる修飾率を算出した。FLによる修飾率は各ロットで3〜6%であった。
(実施例1−4)HA−TBAもしくはHA−FL/TBAからのHA誘導体の合成
(実施例1−4−1)L−アラニン(Ala)により修飾したHA誘導体(HA−Ala/FL)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、L−アラニンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)をHAユニットに対して3倍モル等量と、5−(アミノメチル)フルオロセインの塩酸塩を0.15倍モル等量添加した。DMT−MMをHAユニットに対して6倍モル等量を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、DMSO、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に2N NaOHを添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエチルエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、2N HClを用いて中和を行い、さらに透析を行った後、凍結乾燥してHA−Ala/FLを黄色固体として得た。
(実施例1−4−1)L−アラニン(Ala)により修飾したHA誘導体(HA−Ala/FL)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、L−アラニンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)をHAユニットに対して3倍モル等量と、5−(アミノメチル)フルオロセインの塩酸塩を0.15倍モル等量添加した。DMT−MMをHAユニットに対して6倍モル等量を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、DMSO、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に2N NaOHを添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエチルエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、2N HClを用いて中和を行い、さらに透析を行った後、凍結乾燥してHA−Ala/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−1に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、アラニン中のメチル由来のピーク(−CH3、1.4ppm;3H)の積分値より、下に示す式からHAユニットにおけるアラニンによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−2)L−セリン(Ser)により修飾したHA誘導体(HA−Ser/FL)の合成
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−セリンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Ser/FLを黄色固体として得た。また、カルボキシを脱保護する前の透析溶液の一部を採り凍結乾燥して修飾率算出用サンプルとした(HA−Ser−OEt/FL)。
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−セリンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Ser/FLを黄色固体として得た。また、カルボキシを脱保護する前の透析溶液の一部を採り凍結乾燥して修飾率算出用サンプルとした(HA−Ser−OEt/FL)。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した修飾率算出用サンプルの1H−NMRスペクトルを図3−2に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、セリンのエチルエステル中のメチル由来のピーク(−CH3、1.3ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるセリンによる修飾率を算出した(表1)。また、脱保護したサンプルを実施例1−3の記載と同じ条件で測定した1H−NMRスペクトルを図3−2に示す。
(実施例1−4−3)L−グルタミン酸(Glu)により修飾したHA誘導体(HA−Glu/FL)の合成
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−グルタミン酸ジエチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Glu/FLを黄色固体として得た。
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−グルタミン酸ジエチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Glu/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−3に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、グルタミン酸のメチレン由来のピーク(−CH2CH2COOH、2.3ppm;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるグルタミン酸による修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、グルタミン酸の別のメチレン由来のピーク(−CH2CH2COOH、2.1ppm;2H)が重なっているため、1.7〜2.2ppmのピークの積分値から2.3ppmのピークの積分値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−4)グリシン(Gly)により修飾したHA誘導体(HA−GlyおよびHA−Gly/FL)の合成
実施例1−2で合成したHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)もしくは、実施例1−3で合成したHA−FL/TBAを超純水/DMSO混液(1:3)溶液(約4mg/mL)を出発原料とした。グリシンエチルエステル塩酸塩(和光純薬株式会社製)をHAユニットに対して5倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3倍モル等量を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に2N NaOHを添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、2N HClを用いて中和を行い、さらに透析を行った後、凍結乾燥して、HA−Glyを白色個体、HA−Gly/FLを黄色固体として得た。また、カルボキシを脱保護する前の透析溶液の一部を採り凍結乾燥して修飾率算出用サンプルとした(HA−Gly−OEt/FL)。
実施例1−2で合成したHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)もしくは、実施例1−3で合成したHA−FL/TBAを超純水/DMSO混液(1:3)溶液(約4mg/mL)を出発原料とした。グリシンエチルエステル塩酸塩(和光純薬株式会社製)をHAユニットに対して5倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3倍モル等量を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に2N NaOHを添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、2N HClを用いて中和を行い、さらに透析を行った後、凍結乾燥して、HA−Glyを白色個体、HA−Gly/FLを黄色固体として得た。また、カルボキシを脱保護する前の透析溶液の一部を採り凍結乾燥して修飾率算出用サンプルとした(HA−Gly−OEt/FL)。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した修飾率算出用サンプルの1H−NMRスペクトルを図3−4に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、グリシンのエチルエステル中のメチル由来のピーク(−CH3、1.3ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるグリシンによる修飾率を算出した(表1)。また、脱保護したサンプルを実施例1−3の記載と同じ条件で測定した1H−NMRスペクトルを図3−4に示す。
(実施例1−4−5)L−バリン(Val)により修飾したHA誘導体(HA−ValおよびHA−Val/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−バリンエチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Valを白色個体、HA−Val/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−バリンエチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Valを白色個体、HA−Val/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−5に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、バリン中の2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)2、0.9ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるバリンによる修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、バリンの3位の水素のピーク(−CH(CH3)2、2.1ppm;1H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から0.9ppmのピークの積分値に1/6を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−6)L−ロイシン(Leu)により修飾したHA誘導体(HA−LeuおよびHA−Leu/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−ロイシンエチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Leuを白色個体、HA−Leu/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−ロイシンエチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Leuを白色個体、HA−Leu/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−6に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、ロイシン中の2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)2、0.9ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるロイシンによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−7)L−イソロイシン(Ile)により修飾したHA誘導体(HA−IleおよびHA−Ile/FL)の合成
溶媒として無水DMSOを用いたことと、グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−イソロイシンメチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Ileを白色個体、HA−Ile/FLを黄色固体として得た。
溶媒として無水DMSOを用いたことと、グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−イソロイシンメチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Ileを白色個体、HA−Ile/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−7に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、イソロイシン中の2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)CH2CH3、0.9ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるイソロイシンによる修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、イソロイシンの3位の水素のピーク(−CH(CH3)CH2CH3、1.9ppm;1H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から0.9ppmのピークの積分値に1/6を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−8)L−スレオニン(Thr)により修飾したHA誘導体(HA−ThrおよびHA−Thr/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−スレオニンメチルエステルの塩酸塩(Bachem社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Thrを白色個体、HA−Thr/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−スレオニンメチルエステルの塩酸塩(Bachem社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Thrを白色個体、HA−Thr/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−8に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、スレオニン中のメチル由来のピーク(−CH3、1.2ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるスレオニンによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−9)L−アスパラギン酸(Asp)により修飾したHA誘導体(HA−AspおよびHA−Asp/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−アスパラギン酸ジエチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Aspを白色固体、HA−Asp/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−アスパラギン酸ジエチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Aspを白色固体、HA−Asp/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−9に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、アスパラギン酸中のメチレン由来のピーク(−CH2COOH、2.7、2.8ppm;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるアスパラギン酸による修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−10)シス−2−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸(cACHCA)により修飾したHA誘導体(HA−cACHCA/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにcACHCAエチルエステルの塩酸塩(Acros社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−cACHCA/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにcACHCAエチルエステルの塩酸塩(Acros社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−cACHCA/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−10に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、cACHCA中のシクロヘキサン環由来のピーク(−CHCOO−、2.5ppm;1H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるcACHCAによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−11)トランス−2−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸エチルエステル(tACHCA−OEt)により修飾したHA誘導体(HA−tACHCA−OEt/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにtACHCA−OEtの塩酸塩(Acros社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−tACHCA−OEt/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにtACHCA−OEtの塩酸塩(Acros社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−tACHCA−OEt/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−11に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、tACHCA−OEt中のシクロヘキサン環のカルボニルに隣接する炭素上のプロトン由来のピーク(−CH(COOEt)−、2.2ppm;1H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるtACHCA−OEtによる修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、シクロヘキシルおよび保護基のメチルのピーク(11H)が重なっているため、1.2〜2.1ppmのピークの積分値から2.2ppmのピークの積分値に11を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−12)2−アミノイソブタン酸(Aib)により修飾したHA誘導体(HA−Aib/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにAibエチルエステルの塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Aib/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにAibエチルエステルの塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Aib/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−12に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Aib中のジメチル由来のピーク(−C(CH3)2−、1.5ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAibによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−13)1−アミノ−1−シクロブタン酸エチルエステル(ACBuCA−OEt)により修飾したHA誘導体(HA−ACBuCA−OEt/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにACBuCA−OEtの塩酸塩(シグマーアルドリッチ社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−ACBuCA−OEt/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにACBuCA−OEtの塩酸塩(シグマーアルドリッチ社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−ACBuCA−OEt/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−13に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、ACBuCA−OEt中のエステル保護メチル由来のピーク(−CH3、1.3ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるACBuCA−OEtによる修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、ACBuCA−OEtに含まれるシクロブタンのピーク(6H)が重なっているため、1.8〜2.8ppmのピークの積分値から1.3ppmのピークの積分値に2を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−14)L−アスパラギン(Asn)により修飾したHA誘導体(HA−AsnおよびHA−Asn/Rh)の合成
HA−Asnは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩(Bachem社製)をHAユニットに対して5倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3〜6倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液はジエチルエーテルにより再沈殿を行い、沈殿を超純水に溶解させた後、5N NaOH溶液を添加してpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、さらに0.3M NaCl水溶液、蒸留水、超純水の順で透析精製し、凍結乾燥して、HA−Asnを白色固体として得た。 HA−Asn/Rhは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、1−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−アミノ)−3、6−ジオキサ−8−オクタンアミン塩酸塩(Fmoc−EDOBEA、Iris Biotech GmbH社製)をHAユニットに対して0.1倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して0.2倍モル等量を添加し、室温で6時間撹拌した。続いて、L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩およびDMT−MMを順に、HAユニットに対してそれぞれ5倍モル等量、3〜6倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、DMSOに対して透析精製を行った。得られた透析液にピペリジン(和光純薬株式会社製)を20%の濃度になるよう添加し2時間攪拌してFmoc基の除去を行った。その後、DMSO、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析精製した。得られた透析液に5N NaOH溶液を添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、さらに蒸留水、超純水の順で透析精製し、凍結乾燥して、HA−Asn/EDOBEAを得た。
HA−Asnは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩(Bachem社製)をHAユニットに対して5倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3〜6倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液はジエチルエーテルにより再沈殿を行い、沈殿を超純水に溶解させた後、5N NaOH溶液を添加してpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、さらに0.3M NaCl水溶液、蒸留水、超純水の順で透析精製し、凍結乾燥して、HA−Asnを白色固体として得た。 HA−Asn/Rhは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、1−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−アミノ)−3、6−ジオキサ−8−オクタンアミン塩酸塩(Fmoc−EDOBEA、Iris Biotech GmbH社製)をHAユニットに対して0.1倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して0.2倍モル等量を添加し、室温で6時間撹拌した。続いて、L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩およびDMT−MMを順に、HAユニットに対してそれぞれ5倍モル等量、3〜6倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、DMSOに対して透析精製を行った。得られた透析液にピペリジン(和光純薬株式会社製)を20%の濃度になるよう添加し2時間攪拌してFmoc基の除去を行った。その後、DMSO、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析精製した。得られた透析液に5N NaOH溶液を添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、さらに蒸留水、超純水の順で透析精製し、凍結乾燥して、HA−Asn/EDOBEAを得た。
HA−Asn/EDOBEAの水溶液(10mg/mL)を100mM PB(pH7.4)で2倍希釈し、NHS−ローダミン(5/6−カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル、Thermo Fisher Scientific Inc.製)をHAユニットに対して0.05倍モル等量添加し、室温で一晩攪拌した。続いて、HAユニットに対して40倍モル等量の無水酢酸(和光純薬株式会社製)を添加し、1時間攪拌することにより、余分なEDOBEAの末端アミノをアセチル化した。反応溶液に5N NaOH溶液を添加しpH12.5以上として、1時間攪拌した後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、0.3M NaCl水溶液、蒸留水、超純水の順で透析精製し、凍結乾燥して、HA−Asn/Rhを赤色固体として得た。
透析膜は全てスペクトラポア4(分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を用いた。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−14に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、アスパラギンのメチレン由来のピーク(−CH2CONH2、2.8ppm;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるアスパラギンによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−15)L−アラニンアミド(Ala−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Ala−NH2およびHA−Ala−NH2/Rh)の合成
L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩の代わりにL−アラニンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、再沈殿およびカルボキシの脱保護に関わる操作を行わなかったこと以外は、実施例1−4−14と同様の方法で行い、HA−Ala−NH2を白色固体、HA−Ala−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アスパラギンメチルエステル塩酸塩の代わりにL−アラニンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、再沈殿およびカルボキシの脱保護に関わる操作を行わなかったこと以外は、実施例1−4−14と同様の方法で行い、HA−Ala−NH2を白色固体、HA−Ala−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−15に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、アラニンアミドのメチル由来のピーク(−CH3、1.5ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるアラニンアミドによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−16)L−バリンアミド(Val−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Val−NH2およびHA−Val−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−バリンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Val−NH2を白色固体、HA−Val−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−バリンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Val−NH2を白色固体、HA−Val−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−16に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、バリンアミドの2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)2、1.0ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるバリンアミドによる修飾率を算出した(表1)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、バリンアミドの3位の水素のピーク(−CH(CH3)2、2.1ppm;1H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から1.0ppmのピークの積分値に1/6を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(実施例1−4−17)L−アスパラギンアミド(Asn−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Asn−NH2およびHA−Asn−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−アスパラギンアミド塩酸塩(国産化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Asn−NH2を白色固体、HA−Asn−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−アスパラギンアミド塩酸塩(国産化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Asn−NH2を白色固体、HA−Asn−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図3−17に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、アスパラギンアミドのメチレン由来のピーク(−CH2CONH2、2.8ppm;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるアスパラギンアミドによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−18)メチルアミン(Me)により修飾したHA誘導体(HA−MeおよびHA−Me/FL)の合成
HA−Meは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP(和光純薬株式会社製)/メチルアミン(40%メタノール溶液、東京化成工業株式会社製)=1/3/50(mol/mol/mol)の等量比でメチルアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥してHA−Meを白色個体として得た。
HA−Meは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP(和光純薬株式会社製)/メチルアミン(40%メタノール溶液、東京化成工業株式会社製)=1/3/50(mol/mol/mol)の等量比でメチルアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥してHA−Meを白色個体として得た。
HA−Me/FLは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP/メチルアミン/エチレンジアミン(シグマ−アルドリッチ社製)=1/2.5/4.5/0.25(mol/mol/mol/mol)の等量比でメチルアミン、エチレンジアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥して中間体を白色固体として得た。
次に、得られた中間体を超純水で10mg/mLとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/mL溶液を調製した。この溶液にHAユニットに対して0.1倍モル等量のNHS−フルオレセインをDMSO溶液として加えて室温で1時間攪拌した後、HAユニットに対して40倍モル等量の無水酢酸(和光純薬株式会社製)を添加してさらに1時間攪拌することにより、余分なエチレンジアミンの末端アミノをアセチル化した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で遮光下で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を行った後、凍結乾燥してHA−Me/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した各生成物の1H−NMRスペクトルを図3−18に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、メチル由来のピーク(−CH3、2.8ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるメチルによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−4−19)プロピルアミン(Pr)により修飾したHA誘導体(HA−PrおよびHA−Pr/FL)の合成
HA−Prは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP/プロピルアミン(シグマ−アルドリッチ社製)=1/3/50(mol/mol/mol)の等量比でプロピルアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥してHA−Prを白色個体として得た。
HA−Prは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP/プロピルアミン(シグマ−アルドリッチ社製)=1/3/50(mol/mol/mol)の等量比でプロピルアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥してHA−Prを白色個体として得た。
HA−Pr/FLは以下のように合成した。実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP/プロピルアミン/エチレンジアミン=1/2.5/45/2.5(mol/mol/mol/mol)の等量比でプロピルアミン、エチレンジアミン、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥して中間体を白色固体として得た。
次に、得られた中間体を超純水で10mg/mLとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/mL溶液を調製した。この溶液にHAユニットに対して0.06倍モル等量のNHS−フルオレセインをDMSO溶液として加えて室温で1時間攪拌した後、HAユニットに対して40倍モル等量の無水酢酸(和光純薬株式会社製)を添加してさらに1時間攪拌することにより、余分なエチレンジアミンの末端アミノをアセチル化した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で遮光下で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を行った後、凍結乾燥してHA−Pr/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した各生成物の1H−NMRスペクトルを図3−19に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、プロピルに属するメチル由来のピーク(−CH3、0.9ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるメチルによる修飾率を算出した(表1)。
(実施例1−5)HA−TBA(25kDaまたは99kDa)からのHA誘導体の合成
(実施例1−5−1)1−アミノメチル−1−シクロヘキサン酸(AMCHCA)により修飾したHA誘導体(HA−AMCHCA)の合成
実施例1−2で調製したHA−Na(25kDaおよび99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(10mg/mL)を調製した後、1−アミノメチル−1−シクロヘキサン酸メチルエステル塩酸塩(AMCHCA−OMe・HCl、Bionet Research社製)をHA−TBAユニットに対して表2に示す比率で各溶液に添加した。次に、DMT−MMをHA−TBAユニットに対して表2に示す比率で加え、室温で一晩攪拌した。反応溶液は大過剰の0.3M NaCl水溶液に対して透析精製し(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)、得られた透析液を5N NaOH水溶液を加えてpHを13.2にして1時間室温で攪拌し、さらに5N HClを加えて中和を行った。次に蒸留水、超純水の順で透析精製し(スペクトラポア4、MWCO:12k〜14kDa)、得られた透析液を凍結乾燥して目的物(HA−AMCHCA)を白色固体として得た。
(実施例1−5−1)1−アミノメチル−1−シクロヘキサン酸(AMCHCA)により修飾したHA誘導体(HA−AMCHCA)の合成
実施例1−2で調製したHA−Na(25kDaおよび99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(10mg/mL)を調製した後、1−アミノメチル−1−シクロヘキサン酸メチルエステル塩酸塩(AMCHCA−OMe・HCl、Bionet Research社製)をHA−TBAユニットに対して表2に示す比率で各溶液に添加した。次に、DMT−MMをHA−TBAユニットに対して表2に示す比率で加え、室温で一晩攪拌した。反応溶液は大過剰の0.3M NaCl水溶液に対して透析精製し(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)、得られた透析液を5N NaOH水溶液を加えてpHを13.2にして1時間室温で攪拌し、さらに5N HClを加えて中和を行った。次に蒸留水、超純水の順で透析精製し(スペクトラポア4、MWCO:12k〜14kDa)、得られた透析液を凍結乾燥して目的物(HA−AMCHCA)を白色固体として得た。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/AMCHCA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−1に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AMCHCAに属するシクロヘキサン由来のピーク(C6H10、1.2〜1.9ppm;10H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAMCHCAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−2)シス−4−アミノシクロヘキサン酸(pcACHCA)により修飾したHA誘導体(HA−pcACHCA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにシス−4−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸メチルエステル塩酸塩(pcACHCA−OMe・HCl、Iris Biotech社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−pcACHCA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにシス−4−アミノ−1−シクロヘキシルカルボン酸メチルエステル塩酸塩(pcACHCA−OMe・HCl、Iris Biotech社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−pcACHCA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/pcACHCA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−2に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、pcACHCAに属するシクロヘキサンに含まれる2つのエチレン由来のピーク(1.5〜1.8ppm;8H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるpcACHCAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−3)L−2−ナフチルアラニン(Nal)により修飾したHA誘導体(HA−Nal)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−2−ナフチルアラニンベンジルエステルパラトシレート塩(Nal−Obzl・p−Ts、Bachem製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Nal)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−2−ナフチルアラニンベンジルエステルパラトシレート塩(Nal−Obzl・p−Ts、Bachem製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Nal)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Nal−Obzl・p−Ts=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−3に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Nalに属するナフチル由来のピーク(−C10H7、7.4〜7.9ppm;7H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるNalによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−4)2−アミノ−4−フェニルブタン酸(APBA)により修飾したHA誘導体(HA−APBA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに2−アミノ−4−フェニルブタン酸エチルエステル塩酸塩(APBA−OEt・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−APBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに2−アミノ−4−フェニルブタン酸エチルエステル塩酸塩(APBA−OEt・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−APBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/APBA−OEt・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−4に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、APBAに属するフェニル由来のピーク(−C6H5、7.2〜7.4ppm;5H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAPBAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−5)シクロヘキシル−L−アラニン(Cha)により修飾したHA誘導体(HA−Cha)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにシクロヘキシル−L−アラニンメチルエステル塩酸塩(Cha−OMe・HCl、渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Cha)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにシクロヘキシル−L−アラニンメチルエステル塩酸塩(Cha−OMe・HCl、渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Cha)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Cha−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−5に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Chaに属するシクロヘキシルメチル由来のピーク(−CH2C6H11、0.9〜1.8ppm;13H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるChaによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−6)4−アミノメチル安息香酸(AMBA)により修飾したHA誘導体(HA−AMBA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−アミノメチル安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMBA−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。このHA−AMBAの1H−NMRスペクトルを図4−6に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AMBAに属するフェニル由来のピーク(−CH2C6H4COOH、7.4、7.9ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAMBAによる修飾率を算出した(表2)。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−アミノメチル安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMBA−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。このHA−AMBAの1H−NMRスペクトルを図4−6に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AMBAに属するフェニル由来のピーク(−CH2C6H4COOH、7.4、7.9ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAMBAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−7)3−アミノメチル安息香酸(3AMBA)により修飾したHA誘導体(HA−3AMBA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに3−アミノメチル安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMBA−OMe・HCl、Fluorochem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−3AMBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに3−アミノメチル安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMBA−OMe・HCl、Fluorochem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−3AMBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/3AMBA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−7に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、3AMBAに属するフェニル由来のピーク(−C6H4COOH、7.4〜7.9ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおける3AMBAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−8)3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸(APhPA)により修飾したHA誘導体(HA−APhPA)の合成 AMCHCA−OMe・HClの代わりに3−アミノ−2−フェニルプロピオン酸エチルエステル塩酸塩(APhPA−OEt・HCl、Tyger社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−APhPA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/APhPA−OEt・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−8に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、APhPAに属するフェニル由来のピーク(−C6H5、7.4ppm;5H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAPhPAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−9)4−(2−アミノエチル)安息香酸(AEBA)により修飾したHA誘導体(HA−AEBA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−(2−アミノエチル)安息香酸メチルエステル塩酸塩(AEBA−OMe・HCl、Enamine社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AEBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−(2−アミノエチル)安息香酸メチルエステル塩酸塩(AEBA−OMe・HCl、Enamine社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AEBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/APhPA−OEt・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−9に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AEBAに属するフェニル由来のピーク(−C6H4COOH、7.3、7.9ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAEBAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−10)4−アミノメチル−3−クロロ安息香酸(AMClBA)により修飾したHA誘導体(HA−AMClBA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−アミノメチル−3−クロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMClBA−OMe・HCl、Anichem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMClBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに4−アミノメチル−3−クロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩(AMClBA−OMe・HCl、Anichem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMClBA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/AMClBA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−10に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AMClBAに属するフェニル由来のピーク(−C6H3(Cl)COOH、7.5、7.8、7.9ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAMClBAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−11)5−アミノメチルサリチル酸(AMSA)により修飾したHA誘導体(HA−AMSA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに5−アミノメチルサリチル酸メチルエステル塩酸塩(AMSA−OMe・HCl、Oakwood社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMSA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに5−アミノメチルサリチル酸メチルエステル塩酸塩(AMSA−OMe・HCl、Oakwood社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−AMSA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/AMSA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−11に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、AMSAに属するフェニル由来のピーク(−C6H3(OH)COOH、6.9〜7.9ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるAMSAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−12)トランス−4−アミノメチルシクロヘキサン酸(4AMCHCA)により修飾したHA誘導体(HA−4AMCHCA)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにトランス−4−アミノメチルシクロヘキサン酸メチルエステル塩酸塩(4AMCHCA−OMe・HCl、AK scientific社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−4AMCHCA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにトランス−4−アミノメチルシクロヘキサン酸メチルエステル塩酸塩(4AMCHCA−OMe・HCl、AK scientific社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−4AMCHCA)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
HA分子量が25kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/4AMCHCA−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−12に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、4AMCHCAに属するシクロヘキサン由来のピーク(−CH2 CH(CH 2 CH 2 ) 2 CH−、1.2〜1.9ppm;9H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおける4AMCHCAによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−13)L−シクロヘキシルグリシン(Chg)により修飾したHA誘導体(HA−Chg)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−シクロヘキシルグリシンメチルエステル塩酸塩(Chg−OMe・HCl、INDOFINE Chemical Company社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Chg)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−シクロヘキシルグリシンメチルエステル塩酸塩(Chg−OMe・HCl、INDOFINE Chemical Company社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Chg)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が25kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Chg−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−13に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Chgに属するシクロヘキシル由来のピーク(−C6H11、1.0〜1.8ppm;11H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるChgによる修飾率を算出した(表2)。
(実施例1−5−14)(R)−アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸(pHPhg)により修飾したHA誘導体(HA−pHPhg)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに(R)−アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル塩酸塩(pHPhg−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−pHPhg)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに(R)−アミノ−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル塩酸塩(pHPhg−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−pHPhg)を白色固体として得た。試薬の添加量は表2に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/pHPhg−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図4−14に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、pHPhgに属するフェニル由来のピーク(−C6H4OH、6.9、7.3ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるpHPhgによる修飾率を算出した(表2)。
(比較例1−1)HA−TBAもしくはHA−FL/TBAからのFLラベル化HA誘導体の合成
(比較例1−1−1)HAのFLラベル体(HA−FL)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP(和光純薬株株式会社製)/2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(EDOBEA、シグマ−アルドリッチ社製)=1/0.2/50(mol/mol/mol)の等量比でEDOBEA、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥して低修飾率のHA−EDOBEAを得た。
(比較例1−1−1)HAのFLラベル体(HA−FL)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、HAユニット/BOP(和光純薬株株式会社製)/2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(EDOBEA、シグマ−アルドリッチ社製)=1/0.2/50(mol/mol/mol)の等量比でEDOBEA、BOPの順で添加し、室温で一晩攪拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した後、凍結乾燥して低修飾率のHA−EDOBEAを得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した低修飾率のHA−EDOBEAの1H−NMRスペクトルを図5−1に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、EDOBEA末端のメチレン由来のピーク(−CH2NH2、3.2ppm;2H)の積分値より、実施例1−3と同様にしてHAユニットにおけるEDOBEAによる修飾率を算出した(表3)。
次に、得られた低修飾率のHA−EDOBEAを超純水で10mg/mlとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/ml溶液を調製した。この溶液にHAユニットに対して0.1倍モル等量のNHS−フルオレセイン(5/6−カルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル、NHS−FL、PIERCE社製)をDMSO溶液として加えて室温で1時間攪拌した後、HAユニットに対して40倍モル等量の無水コハク酸(和光純薬株式会社製)をDMSO溶液として添加し、さらに1時間攪拌することにより、余分なEDOBEAの末端アミノをコハク酸処理した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で遮光下で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を行った後、凍結乾燥してHA−FL(低修飾率HA)を黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−1に示す。
生成物を0.05mg/mLで50mM炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解し、その491nmにおける吸光度から重量あたりのFL含量を定量し、HAユニットにおけるFLによる修飾率を算出した(表3)。
(比較例1−1−2)EDOBEAにより修飾したHA誘導体(HA−EDOBEA−Ac/FL)の合成
試薬の添加量比をHAユニット/BOP/EDOBEA=1/2.5/50(mol/mol/mol)としたこと以外は比較例1−1−1と同様に行い、高修飾率のHA−EDOBEAを得た。
試薬の添加量比をHAユニット/BOP/EDOBEA=1/2.5/50(mol/mol/mol)としたこと以外は比較例1−1−1と同様に行い、高修飾率のHA−EDOBEAを得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した高修飾率のHA−EDOBEAの1H−NMRスペクトルを図5−2に示す。なお測定溶液に際し、NaODを0.0046Nとなるように加え、アルカリ性となるようにした。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、EDOBEA末端のメチレン由来のピーク(−CH2NH2、2.8ppm;2H)の積分値より、実施例1−3と同様にしてHAユニットにおけるEDOBEAによる修飾率を算出した(表3)。
次に、得られた高修飾率のHA−EDOBEAを超純水で10mg/mlとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/ml溶液を調製した。この溶液にHAユニットに対して0.04倍モル等量のNHS−フルオレセインをDMSO溶液として加えて室温で1時間攪拌した後、HAユニットに対して40倍モル等量の無水酢酸(和光純薬株式会社製)を添加してさらに1時間攪拌することにより、余分なEDOBEAの末端アミノをアセチル化した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、超純水の順で遮光下で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を行った後、凍結乾燥してHA−EDOBEA−Ac/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−2に示す。生成物のHAユニットにおけるFLによる修飾率は比較例1−1−1と同様の方法で求めた(表3)。
(比較例1−1−3)L−フェニルアラニン(Phe)により修飾したHA誘導体(HA−Phe/FL)の合成
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Phe/FLを黄色固体として得た。
L−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−1と同様の方法で行い、HA−Phe/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−3に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、フェニルアラニン中のフェニル由来のピーク(−C6H5、7.2〜7.4ppm;5H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるフェニルアラニンによる修飾率を算出した(表4)。
(比較例1−1−4)L−チロシン(Tyr)により修飾したHA誘導体(HA−Tyr/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−チロシンエチルエステル塩酸塩(和光純薬株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Tyr/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにL−チロシンエチルエステル塩酸塩(和光純薬株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Tyr/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−4に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、チロシン中のヒドロキシフェニル由来のピーク(−C6H4OH、6.8、7.2ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるチロシンによる修飾率を算出した(表4)。
(比較例1−1−5)α−メチル−DL−フェニルアラニン(MePhe)により修飾したHA誘導体(HA−MePhe/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにMePheメチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−MePhe/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにMePheメチルエステル塩酸塩(渡辺化学工業社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−MePhe/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−5に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、MePhe中のメチル由来のピーク(−CH3、1.5ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるMePheによる修飾率を算出した(表4)。
(比較例1−1−6)L−プロリンメチルエステル(Pro−OMe)により修飾したHA誘導体(HA−Pro−OMe/FL)の合成
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにPro−OMeの塩酸塩(シグマ−アルドリッチ社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Pro−OMe/FLを黄色固体として得た。
グリシンエチルエステル塩酸塩の代わりにPro−OMeの塩酸塩(シグマ−アルドリッチ社製)を用い、カルボキシの脱保護を行わなかったこと以外は、実施例1−4−4と同様の方法で行い、HA−Pro−OMe/FLを黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−6に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Pro−OMe中のピロリジン環由来の1H分のピーク(−CHCOO−、2.4ppm;1H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるPro−OMeによる修飾率を算出した(表4)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、ピロリジン環の残りの水素のピーク(3H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から2.4ppmのピークの積分値に3を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(比較例1−1−7)グリシンアミド(Gly−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Gly−NH2およびHA−Gly−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにグリシンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Gly−NH2を白色固体、HA−Gly−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにグリシンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Gly−NH2を白色固体、HA−Gly−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−7に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、グリシンアミドのメチレン由来のピーク(−CH2−;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるグリシンアミドによる修飾率を算出した(表4)。なお、グリシンアミドのメチレン由来のピークには、グルクロン酸の2〜5位のピーク(4H)、グルコサミンの2〜6位のピーク(6H)およびEDOBEA由来のピーク(12H)が重なっているため、3.2〜4.2ppmのピークの積分値から、2.0ppmのピークの積分値に10/3を乗じた値および2.0ppmのピークの積分値に(EDOBEAの導入率)×12/3を乗じた値を差し引いた値をグリシンアミドのメチレン由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。EDOBEAの導入率は比較例1−1−2と同様の方法で算出した。
(比較例1−1−8)L−セリンアミド(Ser−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Ser−NH2およびHA−Ser−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−セリンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Ser−NH2を白色固体、HA−Ser−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−セリンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Ser−NH2を白色固体、HA−Ser−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−8に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、セリンアミドのメチレン由来のピーク(−CH2−;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるセリンアミドによる修飾率を算出した(表4)。なお、セリンアミドのメチレン由来のピークには、グルクロン酸の2〜5位のピーク(4H)、グルコサミンの2〜6位のピーク(6H)およびEDOBEA由来のピーク(12H)が重なっているため、比較例1−1−7と同様の方法でセリンアミドのメチレン由来のピークの積分値を算出した。
(比較例1−1−9)L−ロイシンアミド(Leu−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Leu−NH2およびHA−Leu−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−ロイシンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Leu−NH2を白色固体、HA−Leu−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−ロイシンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Leu−NH2を白色固体、HA−Leu−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−9に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、ロイシンアミドの2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)2、0.9ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるロイシンアミドによる修飾率を算出した(表4)。
(比較例1−1−10)L−イソロイシンアミド(Ile−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Ile−NH2およびHA−Ile−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−イソロイシンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Ile−NH2を白色固体、HA−Ile−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−イソロイシンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Ile−NH2を白色固体、HA−Ile−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−10に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、イソロイシンアミドの2つのメチル由来のピーク(−CH(CH3)CH2CH3、0.9ppm;6H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるイソロイシンアミドによる修飾率を算出した(表4)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、イソロイシンアミドの3位の水素のピーク(−CH(CH3)CH2CH3、1.9ppm;1H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から0.9ppmのピークの積分値に1/6を乗じた値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(比較例1−1−11)L−スレオニンアミド(Thr−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Thr−NH2およびHA−Thr−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−スレオニンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Thr−NH2を白色固体、HA−Thr−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−スレオニンアミド塩酸塩(渡辺化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Thr−NH2を白色固体、HA−Thr−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−11に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、スレオニンアミドのメチル由来のピーク(−CH3、1.2ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるスレオニンアミドによる修飾率を算出した(表4)。
(比較例1−1−12)L−グルタミンアミド(Gln−NH2)により修飾したHA誘導体(HA−Gln−NH2およびHA−Gln−NH2/Rh)の合成
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−グルタミンアミド塩酸塩(国産化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Gln−NH2を白色固体、HA−Gln−NH2/Rhを赤色固体として得た。
L−アラニンアミド塩酸塩の代わりにL−グルタミンアミド塩酸塩(国産化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1−4−15と同様の方法で行い、HA−Gln−NH2を白色固体、HA−Gln−NH2/Rhを赤色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図5−12に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、グルタミンアミドのメチレン由来のピーク(−CH2CH2CONH2、2.4ppm;2H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるグルタミンアミドによる修飾率を算出した(表4)。なお、グルコサミンのアセチル由来のピークには、グルタミンアミドのメチレンのピーク(−CH2CONH2、2.1ppm;2H)が重なっているため、1.8〜2.2ppmのピークの積分値から2.4ppmのピークの積分値を差し引いた値をグルコサミンのアセチル由来のピークとして、修飾率の算出に使用した。
(比較例1−2)HA−TBAからのHA誘導体の合成
(比較例1−2−1)L−ノルロイシン(Nle)により修飾したHA誘導体(HA−Nle)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−ノルロイシンメチルエステル塩酸塩(Nle−OMe・HCl、Bachem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Nle)を白色固体として得た。試薬の添加量は表5に示す。
(比較例1−2−1)L−ノルロイシン(Nle)により修飾したHA誘導体(HA−Nle)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−ノルロイシンメチルエステル塩酸塩(Nle−OMe・HCl、Bachem社製)を用いたこと以外は実施例1−5−1と同様の方法で調製を行い、目的物(HA−Nle)を白色固体として得た。試薬の添加量は表5に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Cha−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図6−1に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Nle中のメチル由来のピーク(−CH3、0.9ppm;3H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるNleによる修飾率を算出した(表5)。
(比較例1−2−2)L−ターシャリーロイシン(tLeu)により修飾したHA誘導体(HA−tLeu)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−ターシャリーロイシンメチルエステル塩酸塩(tLeu−OMe・HCl、Fluka社製)を用いたこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−tLeu)を白色固体として得た。試薬の添加量は表5に示す。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにL−ターシャリーロイシンメチルエステル塩酸塩(tLeu−OMe・HCl、Fluka社製)を用いたこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−tLeu)を白色固体として得た。試薬の添加量は表5に示す。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Cha−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図6−2に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、tLeu中の3つのメチル由来のピーク(−C(CH3)3、1.0ppm;9H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるtLeuによる修飾率を算出した(表5)。
(比較例1−2−3)パラフルオロフェニルアラニン(pF−Phe)により修飾したHA誘導体(HA−pFPhe)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりにパラフルオロフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(pFPhe−OEt・HCl、Bachem社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−pFPhe)を白色固体として得た。
AMCHCA−OMe・HClの代わりにパラフルオロフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(pFPhe−OEt・HCl、Bachem社製)を用い、カルボキシの脱保護を5N NaOHを用いてpH13.2で行ったこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−pFPhe)を白色固体として得た。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Phe−OEt・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図6−3に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、pFPhe中の芳香環由来のピーク(−C6H4F、7.1、7.3ppm;4H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるpFPheによる修飾率を算出した(表5)。
(比較例1−2−4)(s)−(+)−2−フェニルグリシン(Phg)により修飾したHA誘導体(HA−Phg)の合成
AMCHCA−OMe・HClの代わりに(s)−(+)−2−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(Phg−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−Phg)を白色固体として得た。
AMCHCA−OMe・HClの代わりに(s)−(+)−2−フェニルグリシンメチルエステル塩酸塩(Phg−OMe・HCl、シグマ−アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、実施例1−5−1と同様の方法で行い、目的物(HA−Phg)を白色固体として得た。
代表例としてHA分子量が99kDa、試薬の添加比率をHA−TBAユニット/DMT−MM/Phg−OMe・HCl=1/3/5としたときのD2Oを溶媒とした1H−NMRスペクトルを図6−4に示す。グルコサミンのアセチル由来のピーク(−COCH3、2.0ppm;3H)の積分値と、Phg中の芳香環由来のピーク(−C6H5、7.3〜7.5ppm;5H)の積分値より、実施例1−4−1と同様にしてHAユニットにおけるPhgによる修飾率を算出した(表5)。
(比較例1−3)FLラベル化PEG誘導体(PEG−FL)の合成
PEG(MEPA−30T、日油株式会社製)を超純水で10mg/mlとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/ml溶液を調製した。この溶液にPEG末端に対して15倍モル等量のNHS−フルオレセイン(NHS−FL、PIERCE社製)をDMSO溶液として加えて室温で終夜攪拌した。反応溶液は、ジエチルエーテルにより再沈殿を行って、沈殿をろ過により回収し、再度超純水に溶解させた後に大過剰の超純水で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)し、凍結乾燥して目的物質(PEG−FL)を黄色固体として得た。
PEG(MEPA−30T、日油株式会社製)を超純水で10mg/mlとなるように溶解させた後、100mMのリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2倍希釈して5mg/ml溶液を調製した。この溶液にPEG末端に対して15倍モル等量のNHS−フルオレセイン(NHS−FL、PIERCE社製)をDMSO溶液として加えて室温で終夜攪拌した。反応溶液は、ジエチルエーテルにより再沈殿を行って、沈殿をろ過により回収し、再度超純水に溶解させた後に大過剰の超純水で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)し、凍結乾燥して目的物質(PEG−FL)を黄色固体として得た。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した生成物の1H−NMRスペクトルを図7に示す。PEGの片末端由来のピーク(−OCH3、3.4ppm、3H)および、フルオレセインに由来するピーク(7〜8ppm)が認められたことから、PEG末端がFLにより修飾されていることを確認した。
〔実施例2〕in vitroでの生分解性の確認
一定条件でのインキュベート後のHyaluronidase SD(Hyase、生化学工業株式会社製)に対する耐性を確認した。
一定条件でのインキュベート後のHyaluronidase SD(Hyase、生化学工業株式会社製)に対する耐性を確認した。
実施例1−4および比較例1−1で得られた生成物の一部を測定した。生成物の5mg/mLもしくは20mg/mLの水溶液を測定対象試料とし、HA−Naの5mg/mL水溶液を標準試料とした。試料をPBS、もしくはラット血漿で10倍希釈し、PBS希釈試料は0時間、24時間、1週間、血漿希釈試料は24時間、37℃においてインキュベートした。各試料を2分し、一方は、試料:超純水:0.2M リン酸緩衝液(pH6.2):Hyase/0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)(0.5U/mL)を2:1:2:1の混合比で混合し、Hyase処理試料とした。他方は、試料:超純水:0.2M リン酸緩衝液(pH6.2)を2:1:3の混合比で混合し、Hyase未処理試料とした。一晩37℃でインキュベートした後、以下に示すReissig法にて各試料中の還元末端N−アセチルグルコサミンの定量を行った。標準試料由来の試料については、溶媒の組成が変わらないよう1、3、10、30、100、300倍に希釈して検量線試料とした後、同様に呈色を行った。
上記の方法で得られたHyase処理試料、Hyase未処理試料、検量線試料について、試料:0.8M ホウ酸緩衝液(pH9.1):1N KOHを25:5:2の混合比で混合し、沸騰水浴中で3分間加熱し、直ちに氷上に置いた。次にp−ジメチルアミノベンズアルデヒドを10N HCl/酢酸混液(1:70)に溶解した試薬(10mg/mL)を、上記試料:試薬の混合比が32:150となるよう混合し、37℃で20分間インキュベートし、直ちに氷上に置いた。その後室温に戻し、直ちに544nmの吸光度を測定した。Hyase処理試料の吸光度からHyase未処理試料の吸光度を差し引いた値を用いて、検量線作成と各試料中の還元末端N−アセチルグルコサミンの濃度算出を行い、以下の式:
HA−EDOBEA−Ac/FL(比較例1−1−2)は、実施例3−3−2のサイズ排除クロマトグラフィー分析において、低分子化した投与化合物が尿中に観察されず生分解性が確認されなかったが、本試験の結果においても、Hyaseによる分解性が確認されなかった。それに対し、その他のHA誘導体は、いずれも分解性を示した。
特に、実施例1−4−1〜1−4−6、実施例1−4−8〜1−4−11、実施例1−4−14〜1−4−16、実施例1−4−18、実施例1−4−19では、ラット血漿で1日処理したサンプルは、PBSで1日処理したサンプルと比較して分解性が向上したことから、生体環境下でこれらの誘導体から修飾化合物が遊離することにより、Hyase分解をより受けやすい形へと変化したと考えられる。
〔実施例3〕in vivoでの血中滞留性および生分解性の確認
(実施例3−1)HA誘導体投与ラット生体サンプル
実施例1−4および比較例1−1で得られた化合物を20mg/kgの用量で、比較例1−3で得られた化合物を10mg/kgの用量でラット静脈内に単回投与し、投与後5分、2、7、24、48、72、168、240および336時間でヘパリンナトリウム処理したシリンジを用いて頸静脈採血し、遠心分離により血漿を得た。この血漿サンプルは測定まで−20℃以下で凍結保存した。また、投与後0〜24時間、24〜48時間、48〜72時間、72〜96時間、168〜192時間、240〜264時間、および336〜360時間で代謝ケージを用いて採尿し、尿量を量り、その一部を測定まで−20℃以下で凍結保存した。
(実施例3−1)HA誘導体投与ラット生体サンプル
実施例1−4および比較例1−1で得られた化合物を20mg/kgの用量で、比較例1−3で得られた化合物を10mg/kgの用量でラット静脈内に単回投与し、投与後5分、2、7、24、48、72、168、240および336時間でヘパリンナトリウム処理したシリンジを用いて頸静脈採血し、遠心分離により血漿を得た。この血漿サンプルは測定まで−20℃以下で凍結保存した。また、投与後0〜24時間、24〜48時間、48〜72時間、72〜96時間、168〜192時間、240〜264時間、および336〜360時間で代謝ケージを用いて採尿し、尿量を量り、その一部を測定まで−20℃以下で凍結保存した。
(実施例3−2)HA誘導体投与ラット血漿の分析
(実施例3−2−1)測定試料調製
血漿サンプルを融解後、攪拌、遠心分離し、上清を採取した。バッファー(FLラベル体:リン酸バッファー(pH8.0,I=0.15)、Rhラベル体:PBS)を用いて希釈を行った。投与液をバッファーとラットブランク血漿の混合液(3:1)で希釈し、検量線試料を調製した。
(実施例3−2−1)測定試料調製
血漿サンプルを融解後、攪拌、遠心分離し、上清を採取した。バッファー(FLラベル体:リン酸バッファー(pH8.0,I=0.15)、Rhラベル体:PBS)を用いて希釈を行った。投与液をバッファーとラットブランク血漿の混合液(3:1)で希釈し、検量線試料を調製した。
(実施例3−2−2)濃度測定
実施例3−2−1で調製したサンプルについて、プレートリーダー(SPECTRAmax GEMINI、Molecular Devices社製)を用いて蛍光強度を測定した(FLラベル体:励起波長:495nm/蛍光波長:520nm、Rhラベル体:励起波長:552nm/蛍光波長:595nm)。検量線試料の測定値から、化合物ごとに検量線を作成し、各個体の各時点の血漿中濃度を算出し、平均値を図8に、血漿中濃度推移のグラフを図9に示す。
実施例3−2−1で調製したサンプルについて、プレートリーダー(SPECTRAmax GEMINI、Molecular Devices社製)を用いて蛍光強度を測定した(FLラベル体:励起波長:495nm/蛍光波長:520nm、Rhラベル体:励起波長:552nm/蛍光波長:595nm)。検量線試料の測定値から、化合物ごとに検量線を作成し、各個体の各時点の血漿中濃度を算出し、平均値を図8に、血漿中濃度推移のグラフを図9に示す。
(実施例3−2−3)薬物動態パラメーター算出
薬物動態学的パラメーターを、WinNonlin Ver 4.0.1/Ver 6.1(Pharsight社製)を用いて算出した。実施例3−2−2で求めた各群の平均データについてモデル非依存的解析を行い、クリアランス(CL)を算出した(表7)。この結果、実用的な血中滞留性を有するPEGと比較して、実施例1−4−1〜1−4−19のHA誘導体はいずれもCLの値が小さくなり、実用的な血中滞留性を有することが示された。また、比較例の一部のHA誘導体のCLはPEGよりも大きな値を示しており、修飾する化合物の種類によって様々な血中滞留性を示すHA誘導体が合成可能であることを明らかにした。
薬物動態学的パラメーターを、WinNonlin Ver 4.0.1/Ver 6.1(Pharsight社製)を用いて算出した。実施例3−2−2で求めた各群の平均データについてモデル非依存的解析を行い、クリアランス(CL)を算出した(表7)。この結果、実用的な血中滞留性を有するPEGと比較して、実施例1−4−1〜1−4−19のHA誘導体はいずれもCLの値が小さくなり、実用的な血中滞留性を有することが示された。また、比較例の一部のHA誘導体のCLはPEGよりも大きな値を示しており、修飾する化合物の種類によって様々な血中滞留性を示すHA誘導体が合成可能であることを明らかにした。
(実施例3−3)HA誘導体投与ラット尿の分析
(実施例3−3−1)測定試料調製 尿サンプルを融解後、攪拌し、0.22μmのフィルターでろ過し、ろ液を採取した。バッファー(FLラベル体:リン酸バッファー(pH6.5,I=0.15)、Rhラベル体:PBS)を用いて希釈を行った。投与液をバッファーとラットブランク尿の混合液(1:1)で希釈し、標準試料を調製した。
(実施例3−3−1)測定試料調製 尿サンプルを融解後、攪拌し、0.22μmのフィルターでろ過し、ろ液を採取した。バッファー(FLラベル体:リン酸バッファー(pH6.5,I=0.15)、Rhラベル体:PBS)を用いて希釈を行った。投与液をバッファーとラットブランク尿の混合液(1:1)で希釈し、標準試料を調製した。
(実施例3−3−2)サイズ排除クロマトグラフィー分析
実施例3−3−1で調製したサンプルをサイズ排除クロマトグラフィーに供し、分子量分布の変化を観察した。サイズ排除クロマトグラフィー分析は、Alliance HPLCシステム(日本ウォーターズ株式会社製)を用いて行った。分析条件を以下に示す。
サイズ排除クロマトグラフィー分析条件
分析カラム:TSKgel G5000PWXL(東ソー株式会社)
カラム温度:25℃
移動相:リン酸バッファー(pH6.5,I=0.15)(FLラベル体)
PBS(Rhラベル体)
流速:0.5mL/min
検出:Ex 495nm/Em 520nm(FLラベル体)
Ex 552nm/Em 595nm(Rhラベル体)
実施例3−3−1で調製したサンプルをサイズ排除クロマトグラフィーに供し、分子量分布の変化を観察した。サイズ排除クロマトグラフィー分析は、Alliance HPLCシステム(日本ウォーターズ株式会社製)を用いて行った。分析条件を以下に示す。
サイズ排除クロマトグラフィー分析条件
分析カラム:TSKgel G5000PWXL(東ソー株式会社)
カラム温度:25℃
移動相:リン酸バッファー(pH6.5,I=0.15)(FLラベル体)
PBS(Rhラベル体)
流速:0.5mL/min
検出:Ex 495nm/Em 520nm(FLラベル体)
Ex 552nm/Em 595nm(Rhラベル体)
結果を図10に示す。左に各時点のクロマトグラムを同じレンジで示し、右に各時点のクロマトグラムを最強ピークでノーマライズした図を示す。
比較例1−1−2のHA誘導体では、低分子化した投与化合物が尿中に観察されなかったのに対し、実施例のHA誘導体は、いずれも低分子化した投与化合物が尿中に検出された。これは、本発明のHA誘導体が生分解性を有し、投与後体外へ排泄されることを示している。
〔実施例4〕リポソームを用いた、膜障害性の検証
(実施例4−1)蛍光物質および消光物質内包リポソームの調製
8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸トリナトリウム塩(Pyramine)(SIGMA−ALDRICH)を蒸留水に60μmol/mLで溶解させ、またp−キシレン−ビス(N−ピリジニウムブロミド)(DPX)(SIGMA−ALDRICH)を蒸留水に85.7μmol/mLで溶解させた後、溶液を等量で混合させ、Pyramine/DPX水溶液を調製した。
(実施例4−1)蛍光物質および消光物質内包リポソームの調製
8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸トリナトリウム塩(Pyramine)(SIGMA−ALDRICH)を蒸留水に60μmol/mLで溶解させ、またp−キシレン−ビス(N−ピリジニウムブロミド)(DPX)(SIGMA−ALDRICH)を蒸留水に85.7μmol/mLで溶解させた後、溶液を等量で混合させ、Pyramine/DPX水溶液を調製した。
COATSOME EL−11A vial(日油株式会社)へ上記Pyramine/DPX溶液(2mL)を添加し、混合することにより、リポソーム溶液の調製を行った。
その後、未封入PyramineおよびDPXを除去するため、PD−10カラム精製および生理食塩水500mLに対して透析精製(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)を3回行い、リポソーム溶液を得た。
リポソーム溶液はイオン強度0.15、pH6もしくは7.4のリン酸緩衝溶液で5倍希釈し各pHのリポソーム溶液の調製を行った。
(実施例4−2)リポソーム膜障害性評価
実施例1−5および比較例1−2で得られたHA誘導体を、HA−Naとして10mg/mLとなるように生理食塩水に溶解させ、生理食塩水で順次希釈し、10、5、1、0.5、0.1、0.05、0.01mg/mLとなるように調整した。また、陽性対象としてTritonXの10mg/mL生理食塩水溶液の調製を行った。陰性対象としては生理食塩水を用いた。さらに、膜障害性を有する陽性対照物質としてポリ−L−リジン臭化水素塩(PLL、MW15kDa〜30kDa、和光純薬株式会社製)を選択し、10mg/mLとなるように生理食塩水に溶解させた。
実施例1−5および比較例1−2で得られたHA誘導体を、HA−Naとして10mg/mLとなるように生理食塩水に溶解させ、生理食塩水で順次希釈し、10、5、1、0.5、0.1、0.05、0.01mg/mLとなるように調整した。また、陽性対象としてTritonXの10mg/mL生理食塩水溶液の調製を行った。陰性対象としては生理食塩水を用いた。さらに、膜障害性を有する陽性対照物質としてポリ−L−リジン臭化水素塩(PLL、MW15kDa〜30kDa、和光純薬株式会社製)を選択し、10mg/mLとなるように生理食塩水に溶解させた。
pH7.4またはpH6.0のリン酸緩衝液200μLにリポソーム溶液25μLを添加後、サンプル25μLを添加した。37℃で3時間インキュベート後、0.22μmのフィルターでろ過し、ろ液100μLをプレートリーダー(SPECTRAmax GEMINI)を用いて蛍光強度を測定した(励起波長:450nm、蛍光波長:510nm)。PLLについてはpH7.4のみ測定を行った。
膜障害性を示す指標は下記の式に従いリポソーム分解率として算出した。
結果を図11に示す。比較例として用いたHA−Nle、HA−tLeu、HA−pFPheはpHがいずれの時も膜障害性が見られなかったが、実施例で用いたサンプルはpH7.4での膜障害性よりもpH6.0での膜障害性が高いことが示された。特に、HA−pcACHCA、HA−Nal、HA−APBA、HA−Cha、HA−AMBA、HA−3AMBA、HA−APhPA、HA−AEB、HA−AMClBA、HA−AMSA、HA−4AMCHCA、HA−ChgおよびHA−pHPhgは、pH7.4では膜障害性が観察されず、pH6.0において、初めて膜障害性が観察された。また、PLLのpH7.4でのリポソーム分解率は6.6%であったことから、数%のリポソーム分解率を示せば膜障害性を有する物質として充分機能すると判断でき、本発明のHA誘導体はpH6.0において膜障害性を有することが示された。
〔実施例5〕HA−Ala誘導体−PTHアナログ結合体の合成
(実施例5−1)HA−AlaのTBA塩(HA−Ala−TBA)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、L−アラニンエチルエステル塩酸塩をHAユニットに対して3倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に5N NaOH溶液を添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエチルエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、蒸留水、超純水でさらに透析を行った。得られた透析液に、実施例1−1でTBA塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液をHAユニットに対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間撹拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、HA−Ala−TBAを白色固体として得た。生成物の一部をとり、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析を行い、凍結乾燥して、アラニン修飾率算出用サンプルとした。
(実施例5−1)HA−AlaのTBA塩(HA−Ala−TBA)の合成
実施例1−2で合成した、HA−Na(99kDa)を出発原料とするHA−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)を調製した。その後、L−アラニンエチルエステル塩酸塩をHAユニットに対して3倍モル等量添加した。次に、DMT−MMをHAユニットに対して3倍モル等量添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液は、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)した。得られた透析液に5N NaOH溶液を添加しpH12.5以上として、1時間攪拌してエチルエステルを加水分解し、カルボキシの脱保護を行った。その後、5N HCl溶液を用いて中和を行い、蒸留水、超純水でさらに透析を行った。得られた透析液に、実施例1−1でTBA塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液をHAユニットに対し樹脂のイオン交換能換算で5倍モル等量添加した。15分間撹拌した後、0.45μmのフィルターを用いて濾過を行い、濾液を凍結乾燥し、HA−Ala−TBAを白色固体として得た。生成物の一部をとり、0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析を行い、凍結乾燥して、アラニン修飾率算出用サンプルとした。
実施例1−3の記載と同じ条件で測定した、アラニン修飾率算出用サンプルおよび生成物の1H−NMRスペクトルを図12−1に示す。HAユニットにおけるアラニンによる修飾率は、実施例1−4−1と同様にして算出を行ったところ、98%であった。HA−Ala−TBAの重量あたりのHAユニット含量は実施例1−3と同様にして定量した。
(実施例5−2)HA−Ala−EDOBEAの合成
実施例x−1で合成したHA−Ala−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、EDOBEA、BOPの順で、HAユニットに対してそれぞれ50倍モル等量、0.15倍モル等量添加し、室温で6時間攪拌した。反応溶液は0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析精製を行い(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)、凍結乾燥して、HA−Ala−EDOBEAを白色固体として得た。
実施例x−1で合成したHA−Ala−TBAの無水DMSO溶液(5mg/mL)に、EDOBEA、BOPの順で、HAユニットに対してそれぞれ50倍モル等量、0.15倍モル等量添加し、室温で6時間攪拌した。反応溶液は0.3M NaCl水溶液、蒸留水の順で透析精製を行い(スペクトラポア4、分画分子量(MWCO):12k〜14kDa)、凍結乾燥して、HA−Ala−EDOBEAを白色固体として得た。
比較例1−1−2の記載と同様にして、生成物の1H−NMR測定を行ったところ、EDOBEAによる修飾率は9.4%であった。HAユニット含量は実施例1−3と同様にして定量した。生成物の1H−NMRスペクトルを図12−2に示す。
(実施例5−3)HA−Ala−EDOBEA−Rhの合成
実施例5−2で合成したHA−Ala−EDOBEAの水溶液(10mg/mL)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)で2倍希釈し、NHS−ローダミンをHAユニットに対して0.07倍モル等量を5mg/mL DMSO溶液で添加し、室温で2時間攪拌した。反応溶液を超純水で平衡化した脱塩カラム(PD−10、GEヘルスケア社製)に供して精製を行い、HA画分を凍結乾燥してHA−Ala−EDOBEA−Rhを赤色固体として得た。
実施例5−2で合成したHA−Ala−EDOBEAの水溶液(10mg/mL)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)で2倍希釈し、NHS−ローダミンをHAユニットに対して0.07倍モル等量を5mg/mL DMSO溶液で添加し、室温で2時間攪拌した。反応溶液を超純水で平衡化した脱塩カラム(PD−10、GEヘルスケア社製)に供して精製を行い、HA画分を凍結乾燥してHA−Ala−EDOBEA−Rhを赤色固体として得た。
測定溶媒としてD2Oを用いた生成物の1H−NMRスペクトルを図12−3に示す。重量あたりのHAユニット含量は実施例1−3と同様にして定量した。また、生成物を0.042mg/mLで100mM炭酸緩衝液(pH9.0)に溶解し、その552nmにおける吸光度から重量あたりのRh含量を定量し、HAユニットにおけるRhによる修飾率を算出したところ3.1%であった。さらに得られた生成物のモル吸光係数を算出したところ、2690M−1cm−1であった。
(実施例5−4)HAのブロモアセチル誘導体(HA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Ac)の合成
実施例5−3で合成したHA−Ala−EDOBEA−Rhの水溶液(20mg/mL)を出発原料とした。水溶液を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)で2倍希釈し、NHS−ブロモ酢酸(NHS−BA、シグマ−アルドリッチ社製)をHAユニットに対して0.5倍モル等量を50mg/mLアセトニトリル溶液で添加し、室温で2時間攪拌した後、HAユニットに対して20倍モル等量の無水酢酸を添加してさらに1時間攪拌することにより、余分なEDOBEAの末端アミノをアセチル化した。反応溶液を超純水で平衡化した脱塩カラム(PD−10)に供して精製を行い、分取したHA画分を遠心限外濾過(マクロセップ、MWCO3000、ポールライフサイエンス社製)で約2倍に濃縮してHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Acを水溶液として得た。水溶液は次の使用まで−20℃で凍結して保存し、一部の一定容量を凍結乾燥後に重量測定して、溶液中の固形分濃度を算出した。
実施例5−3で合成したHA−Ala−EDOBEA−Rhの水溶液(20mg/mL)を出発原料とした。水溶液を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)で2倍希釈し、NHS−ブロモ酢酸(NHS−BA、シグマ−アルドリッチ社製)をHAユニットに対して0.5倍モル等量を50mg/mLアセトニトリル溶液で添加し、室温で2時間攪拌した後、HAユニットに対して20倍モル等量の無水酢酸を添加してさらに1時間攪拌することにより、余分なEDOBEAの末端アミノをアセチル化した。反応溶液を超純水で平衡化した脱塩カラム(PD−10)に供して精製を行い、分取したHA画分を遠心限外濾過(マクロセップ、MWCO3000、ポールライフサイエンス社製)で約2倍に濃縮してHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Acを水溶液として得た。水溶液は次の使用まで−20℃で凍結して保存し、一部の一定容量を凍結乾燥後に重量測定して、溶液中の固形分濃度を算出した。
(実施例5−5)HA−Ala−PTHアナログコンジュゲート(HA−Ala−PTH/Rh)の合成
実施例5−4で合成したHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Acの水溶液を出発原料とした。PTHアナログはヒトPTH(1−34)のC末端にシステインを導入して得たPTH−Cys(SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFC、American Peptide Company社製)を用いた。HA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Ac溶液に3/10容量のアセトニトリルおよび1/10容量の1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を加えた。PTH−Cysを、10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)に5mg/mLの濃度で溶解後、HAユニットに対して0.03倍モル等量をHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Ac溶液に添加し37℃で終夜インキュベートした。HAユニットに対して1倍モル等量のシステイン塩酸塩一水和物(和光純薬(株)製)を20mg/mL水溶液で加え、更に37℃で3時間インキュベートした後に1N水酸化ナトリウム水溶液でpH4.5とした。なお、重量あたりのHAユニット含量を1.5μmol/mgとしてHAユニットの計算に使用した。
実施例5−4で合成したHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Acの水溶液を出発原料とした。PTHアナログはヒトPTH(1−34)のC末端にシステインを導入して得たPTH−Cys(SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFC、American Peptide Company社製)を用いた。HA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Ac溶液に3/10容量のアセトニトリルおよび1/10容量の1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を加えた。PTH−Cysを、10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)に5mg/mLの濃度で溶解後、HAユニットに対して0.03倍モル等量をHA−Ala−EDOBEA−BA/Rh/Ac溶液に添加し37℃で終夜インキュベートした。HAユニットに対して1倍モル等量のシステイン塩酸塩一水和物(和光純薬(株)製)を20mg/mL水溶液で加え、更に37℃で3時間インキュベートした後に1N水酸化ナトリウム水溶液でpH4.5とした。なお、重量あたりのHAユニット含量を1.5μmol/mgとしてHAユニットの計算に使用した。
次に、反応溶液を遠心限外濾過(マクロセップ、MWCO10000)により、2mMクエン酸緩衝液(pH4.5)での希釈と濃縮を4回繰り返すことで精製を行い、HA−Ala−PTH/Rh濃縮液を調製した。濃縮液を100mM炭酸緩衝液(pH9.0)で100倍に希釈し、552nmにおける吸光度を測定し、実施例5−3で算出したHA−Ala−EDOBEA−Rhの吸光係数を用いてHA濃度を計算したところ、24.3μmol/mLであった。また、AccQ・Tag法(ウォーターズ社製)によりアミノ酸分析を行い、PTH濃度を算出したところ、141.75nmol/mL、PTH修飾率は0.58%であった。アミノ酸分析における加水分解および誘導体化の操作はPico・TagワークステーションおよびAccQ・Tagケミストリーパッケージを用い、パッケージに付随するマニュアルに準じて行った。HPLC分析はWaters2690セパレーションモジュールおよびWaters474蛍光検出器を用い、アミノ酸濃度算出のための解析はリジン残基の濃度を基準とした。
〔実施例6〕HA−Ala誘導体−PTHアナログ結合体のin vivoにおける血中滞留性および生分解性の確認
(実施例6−1)HA誘導体投与ラット生体サンプル
実施例5−5で得られた化合物を10mg/kgの用量でラット静脈内に単回投与し、投与後5分、2、7、24、48、72、168、240および312時間でヘパリンナトリウム処理したシリンジを用いて頸静脈採血し、遠心分離により血漿を得た。この血漿サンプルは測定まで−20℃以下で凍結保存した。また、投与後0〜24時間、24〜48時間、48〜72時間、72〜96時間、144〜168時間、216〜240時間、および288〜312時間で代謝ケージを用いて採尿し、尿量を量り、その一部を測定まで−20℃以下で凍結保存した。
(実施例6−1)HA誘導体投与ラット生体サンプル
実施例5−5で得られた化合物を10mg/kgの用量でラット静脈内に単回投与し、投与後5分、2、7、24、48、72、168、240および312時間でヘパリンナトリウム処理したシリンジを用いて頸静脈採血し、遠心分離により血漿を得た。この血漿サンプルは測定まで−20℃以下で凍結保存した。また、投与後0〜24時間、24〜48時間、48〜72時間、72〜96時間、144〜168時間、216〜240時間、および288〜312時間で代謝ケージを用いて採尿し、尿量を量り、その一部を測定まで−20℃以下で凍結保存した。
(実施例6−2)HA誘導体投与ラット血漿の分析
(実施例6−2−1)測定試料調製
実施例3−2−1に記載の方法で、測定用の試料を調製した。
(実施例6−2−1)測定試料調製
実施例3−2−1に記載の方法で、測定用の試料を調製した。
(実施例6−2−2)濃度測定
実施例6−2−1で調製したサンプルを用いて、実施例3−2−2に記載の方法で各個体の各時点の血漿中濃度を算出した。平均値を図13に、血漿中濃度推移のグラフを図14に示す。
実施例6−2−1で調製したサンプルを用いて、実施例3−2−2に記載の方法で各個体の各時点の血漿中濃度を算出した。平均値を図13に、血漿中濃度推移のグラフを図14に示す。
(実施例6−2−3)薬物動態パラメーター算出
実施例6−2−2で求めた平均データについて、実施例3−2−3に記載の方法でクリアランス(CL)を算出したところ、1.0であった。生分解性を有するヒアルロン酸誘導体の薬物結合体においても実用的な血中滞留性が示された。
実施例6−2−2で求めた平均データについて、実施例3−2−3に記載の方法でクリアランス(CL)を算出したところ、1.0であった。生分解性を有するヒアルロン酸誘導体の薬物結合体においても実用的な血中滞留性が示された。
(実施例6−3)HA誘導体投与ラット尿の分析
(実施例6−3−1)測定試料調製
実施例3−3−1に記載の方法で、測定用の試料を調製した。
(実施例6−3−1)測定試料調製
実施例3−3−1に記載の方法で、測定用の試料を調製した。
(実施例6−3−2)サイズ排除クロマトグラフィー分析
実施例6−3−1で調製したサンプルを実施例3−3−2に記載の方法で分析した結果を図15に示す。左に各時点のクロマトグラムを同じレンジで示し、右に各時点のクロマトグラムを最強ピークでノーマライズした図を示す。
実施例6−3−1で調製したサンプルを実施例3−3−2に記載の方法で分析した結果を図15に示す。左に各時点のクロマトグラムを同じレンジで示し、右に各時点のクロマトグラムを最強ピークでノーマライズした図を示す。
実施例5−5を投与した個体の尿中には、低分子化した投与化合物が検出された。これは、生分解性を有するヒアルロン酸誘導体の薬物結合体が生分解性を維持し、投与後体外へ排泄されることを示している。
Claims (11)
- 式(I):
R8は、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xは、−NHCH3、−NH(CH2)2CH3、−NRx−A−B−COORyまたは−NRx−CHRc−CONRyaRybで表される基であり;
RxおよびRyは、それぞれ独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Aは、−CRaRb−、C3−8シクロアルキレン、2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bは直接結合であり;または
Aは−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bはフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され;
Raは、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Rbは、水素原子およびC1−6アルキル(ここでC1−6アルキルは、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルバモイルから選択される1以上の基で置換されていてもよい)から選択され;
Rcは、カルバモイルで置換されていてもよいC1−6アルキルを表し;
RyaおよびRybは、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、ホルミルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択される]
で表される二糖単位を含み、前記式(I)のAが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンの場合、存在する二糖単位に対する式(I)の二糖単位の割合は70%以上であるヒアルロン酸誘導体。 - Xが−NHCH3、−NH(CH2)2CH3または−NRx−CHRc−CONRyaRybであるか、あるいは、Aが−CRaRb−またはC3−8シクロアルキレンである、請求項1に記載のヒアルロン酸誘導体。
- AがC3−8シクロアルキレンであり、Bが直接結合である;
Aが−CH2−または−CH2−CH2−であり、Bがフェニレン(ここでフェニレンは、ヒドロキシおよびハロゲン原子から選択される1以上の基で置換されていてもよい)、C3−8シクロアルキレンおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択される;または
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイル、3−フェニルプロパン−1,1−ジイル、シクロヘキシルメタン−1,1−ジイルおよび4−ヒドロキシフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され、Bが直接結合である、請求項1に記載のヒアルロン酸誘導体。 - Aが−CH2−であり、Bがシクロヘキサン−1,1−ジイル、ベンゼン−1,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル、2−クロロベンゼン−1,4−ジイルおよびフェニルメタン−1,1−ジイルから選択され;
Aが−CH2CH2−であり、Bがベンゼン−1,4−ジイルであり;
または、
Aが2−シクロヘキシルエタン−1,1−ジイル、2−(2−ナフチル)エタン−1,1−ジイルおよび3−フェニルプロパン−1,1−ジイルから選択され;Bが直接結合である、請求項1または3に記載のヒアルロン酸誘導体。 - 式(II):
R8aは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xaは、ヒドロキシおよび−O−Q+、から選択され;ここで、Q+は、カウンターカチオンを表す]
で表される二糖単位をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体。 - 式(III):
R8bは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルであり;
Xbは、−NRe−Yb−Rdで表される基であり;ここで、 Reは、水素原子またはC1−6アルキルであり;
Rdは、水素原子、C1−6アルキル、−CO−C(R7)=CH2、または−CO−G4−Xcであり;
R7は、水素原子またはメチルであり;
G4は、フェニレン、C3−8シクロアルキレン、または−G5−(C1−10アルキレン)−G6−から選択され、ここでC1−10アルキレン部分は、1〜3のフェニレンまたはC3−8シクロアルキレンが挿入されていてもよく;
G5およびG6は、それぞれ独立に、直接結合、フェニレン、またはC3−8シクロアルキレンから選択され;
Xcは、メルカプト、ハロゲン原子または式:
Ybは、−CH2−(CHR5)l−2−CH2−NH−、−CH2−(CHR6)p−2−CH2−O−、−(CH2)j−S−または−(CH2)a−(Y1−(CH2)b)c−G−であり;
l、p、およびjは、それぞれ独立に2〜10から選択される整数であり、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシであり;
aは、2〜10から選択される整数であり;
bは、それぞれ独立に2〜10から選択される整数であり;
cは、1〜200から選択される整数であり;
Y1は、酸素原子または−NRn−であり;
Gは、酸素原子、硫黄原子または−NH−であり;
Rnは、水素原子、C1−6アルキル、−CO−(CH2)d−Ro、−(CH2)e−Rpまたは−(CH2)f−(Y2−(CH2)g)h−Rqであり;
gは、それぞれ独立に、2〜10から選択される整数であり;
d、e、fおよびhは、それぞれ独立に、2〜10から選択される整数であり;
Ro,RpおよびRqは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ、カルボキシまたは−NHRrであり;
Y2は、酸素原子または−NH−であり;
Rrは、水素原子、ホルミルまたはC1−6アルキルカルボニルである]
で表される二糖単位を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体。 - R1a、R2a、R3a、およびR4aの全てを水素原子とし、R8aをアセチルとし、かつ、Xaを−O−Na+とした場合の重量平均分子量が20〜120キロダルトンとなる、請求項5に定義した式(II)で表される二糖単位のみから構成されるヒアルロン酸を用いて製造される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体。
- 前記ヒアルロン酸誘導体に主鎖構造が対応する誘導体化されていないヒアルロン酸の重量平均分子量が20〜120キロダルトンであり、ここで誘導体化されていないヒアルロン酸は、請求項5に定義した式(II)においてR1a、R2a、R3aおよびR4aが水素原子であり、R8aがアセチルであり、Xaが−O−Na+である繰り返し単位のみからなるヒアルロン酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体を担体として含む、医薬組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体に、1以上の薬物が結合した、ヒアルロン酸誘導体−薬物結合体。
- 請求項1、2および5〜8のいずれか1項に記載のヒアルロン酸誘導体を含む、生分解性の薬物担体。
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