JP2017179171A - 湿気硬化併用光硬化型組成物、コンフォーマルコーティング剤及び硬化物 - Google Patents

湿気硬化併用光硬化型組成物、コンフォーマルコーティング剤及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する硬化物を得ることができる湿気硬化併用光硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の湿気硬化併用光硬化型組成物は、水素添加されたブタジエン系骨格及び/又は水素添加されたイソプレン系骨格を有するウレタン樹脂(A)と、環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含み、ウレタン樹脂(A)は、ポリオール(a1−1)成分とポリイソシアネート(a2)成分を含有する重合体であって、当量比(イソシアネート基/水酸基)が所定範囲にあるモノマーの重合体であり、ポリイソシアネート(a2)は、縮合していない2〜6個の単環の脂環式構造、又は、縮合していない3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートを含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、湿気硬化併用光硬化型組成物、コンフォーマルコーティング剤及び硬化物に関する。
従来から電子材料分野において、電子回路基板を水、湿気及び埃などから保護するために、はんだ付け後の電子回路基板に対し電気絶縁処理が施される場合がある。
絶縁処理を施すために用いられる湿気硬化併用光硬化型組成物が種々提案されている。例えば、特許文献1には、1分子中に平均1.5個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(A)、ホモポリマーのガラス転移温度が50℃以下である(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物であって、イソシアネート反応性基を有しない化合物(B)、2個以上のイソシアネート基を有する化合物(C)及びイソシアネート反応性基を有しない光重合開始剤(D)を含有する組成物であって、(A)〜(D)成分を特定割合で含む電子回路被覆のための湿気硬化併用光硬化型組成物が提案されている。
特許文献2には、はんだ付け部のフラックス残渣を被覆する塗膜を形成する材料として用いられる光硬化性防滴材であって、(A)水素化ポリブタジエンアクリレート、(B)1分子中にイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート、(C)反応性溶媒、(D)光重合開始剤の各成分を含有してなることを特徴とする光硬化性防滴材が提案されている。
特許文献3には、(a)有機ポリイソシアネート化合物と(b)ダイマー酸、ダイマージオール及びそれらを水添したもののうち少なくとも一種以上を共重合成分として含有する数平均分子量が8000以下のポリエステルポリオールとを、(a)/(b)のNCO/OH比が1.8〜2.3となるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーの末端NCO基数の50〜90%を、光重合性の(メタ)アクリロイル基変性した一液型光硬化湿気硬化併用コーティング剤が提案されている。
特開2014−201593号公報 特開2012−121935号公報 特開2008−159437号公報
しかしながら、特許文献1の湿気硬化併用光硬化型組成物は、その硬化物の紫外線照射部及び紫外線非照射部の何れにおいても電気絶縁性及び透明性が不十分であると共に、湿気硬化性が不十分であるという問題点を有する。
特許文献2の光硬化性防滴材においても、その硬化物の紫外線照射部及び紫外線非照射部の何れにおいても電気絶縁性が不十分であるという問題点を有する。
特許文献3の一液型光硬化湿気硬化併用コーティング剤は、その硬化物の紫外線照射部及び紫外線非照射部の何れにおいても電気絶縁性が不十分であると共に、硬化物の紫外線照射部及び紫外線非照射部の何れにおいても気温の変化に起因した膨張及び収縮によって亀裂が生じる(耐亀裂性が低い)という問題点を有する。
本発明は、硬化物において、紫外線などの活性エネルギー線の照射部及び非照射部の何れにおいても優れた電気絶縁性及び耐亀裂性に優れていると共に、硬化物の透明性が高く、活性エネルギー線の照射が不十分であっても十分に硬化する(湿気硬化性に優れた)湿気硬化併用光硬化型組成物、並びに、この湿気硬化併用光硬化型組成物を用いたコンフォーマルコーティング剤及び硬化物を提供する。
本発明の湿気硬化併用光硬化型組成物は、水素添加されたブタジエン系骨格及び/又は水素添加されたイソプレン系骨格を有するウレタン樹脂(A)と、
環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)とを含む湿気硬化併用光硬化型組成物であって、
上記ウレタン樹脂(A)は、水添ポリブタジエンポリオール及び/又は水添ポリイソプレンポリオールを含有するポリオール(a1−1)を含むアルコール(a1)とポリイソシアネート(a2)とをモノマー成分として含有する重合体であって、上記アルコール(a1)及び上記ポリイソシアネート(a2)を含み且つ上記アルコール(a1)中の水酸基に対する上記ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1より大きく且つ8以下であるモノマーの重合体であり、上記ポリイソシアネート(a2)は、一分子中に、2〜6個の単環の脂環式構造、又は、3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートを含むことを特徴とする。
本発明の湿気硬化併用光硬化型組成物は、上述の如き構成を有していることから、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する硬化物を得ることができる。
本発明の湿気硬化併用光硬化型組成物は、水素添加されたブタジエン系骨格及び/又は水素添加されたイソプレン系骨格を有するウレタン樹脂(A)と、環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含む。
〔ウレタン樹脂(A)〕
ウレタン樹脂(A)は、水素添加されたブタジエン系骨格(水添ブタジエン系骨格)及び/又は水素添加されたイソプレン系骨格(水添イソプレン系骨格)を有する。
ウレタン樹脂(A)は、水添ポリブタジエンポリオール及び/又は水添ポリイソプレンポリオールを含有するポリオール(a1−1)を含むアルコール(a1)とポリイソシアネート(a2)をモノマー成分として含有する重合体である。即ち、ウレタン樹脂(A)は、水添ポリブタジエンポリオール及び/又は水添ポリイソプレンポリオールを含有するポリオール(a1−1)を含むアルコール(a1)とポリイソシアネート(a2)を含むモノマーの重合体である。
水添ポリブタジエンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンジオールの水添物が挙げられる。なお、水添ポリブタジエンジオールは、例えば、日本曹達社から商品名「GI−1000」、「GI−2000」及び商品名「GI−3000」、クレイバレー社から商品名「Krasol HLBH−P2000」及び商品名「Krasol HLBH−P3000」にて市販されている。水添ポリブタジエンポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水添ポリブタジエンポリオールは、ポリブタジエンポリオールに含まれている不飽和二重結合の一部又は全てが水添されている。水添ポリブタジエンポリオールの水添の度合いはヨウ素価によって判断することができる。水添ポリブタジエンポリオールのヨウ素価は50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が特に好ましく、25以下が最も好ましい。なお、本発明において、ヨウ素価とは、試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値であり、JIS K0070で規定された方法で測定することができる。
水添ポリイソプレンポリオールとしては、例えば、ポリイソプレンジオールの水添物が挙げられる。なお、水添ポリイソプレンは、例えば、出光興産社から商品名「EPOL」にて市販されている。水添ポリイソプレンポリオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水添ポリイソプレンポリオールは、ポリイソプレンポリオールに含まれている不飽和二重結合の一部又は全てが水添されている。水添ポリイソプレンポリオールの水添の度合いはヨウ素価によって判断することができる。水添ポリイソプレンポリオールのヨウ素価は40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が特に好ましく、10以下が最も好ましい。
湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物が電気絶縁性に優れているので、水添ポリブタジエンポリオールが好ましい。湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物が耐亀裂性に優れているので、水添ポリイソプレンポリオールが好ましい。
ポリオール(a1−1)の数平均分子量は、500〜10000が好ましく、1000〜5000がより好ましく、2100〜4000が更に好ましい。数平均分子量が500以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の耐亀裂性及び電気絶縁性が向上する。数平均分子量が10000以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化直後の硬化物の粘着性が低減され、硬化物に雰囲気中の金属粉や埃が付着することに起因する硬化物の保護性能の低下を抑制することができる。
ポリオール(a1−1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量をポリスチレン換算した値をいう。例えば、下記の測定条件にて測定することができる。
装置:東ソー社製 HLC−8220GPC
カラム:東ソー社製
商品名「TSKgel SuperHZM−H」2本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出:RI
検量線用標準ポリスチレン:東ソー社製 商品名「TSKgel 標準ポリスチレン」
ウレタン樹脂(A)中におけるポリオール(a1−1)成分の含有量は、1〜99質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、30〜85質量%が特に好ましい。
ウレタン樹脂(A)は、モノマー成分として水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)を含有していてもよい。ウレタン樹脂(A)がモノマー成分として水酸基含有(メタ)アクリレートを含有していると、ウレタン樹脂(A)によって形成された架橋構造中に、単官能(メタ)アクリレート及び必要に応じて添加される多官能(メタ)アクリレートが形成する架橋構造を取り込むことができる。そして、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の外観性(透明性)が向上する。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、およびこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)付加物(ランダム付加物、ブロック付加物を含む。)などの水酸基含有多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレートがより好ましい。なお、水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ウレタン樹脂(A)中における水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、0.8〜2質量%が特に好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)成分の含有量が0.1質量%以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の外観性が向上する。水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)成分の含有量が5質量%以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の耐亀裂性が向上する。
ウレタン樹脂(A)中におけるアルコール(a1)成分の含有量は、1〜99質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、30〜85質量%が特に好ましい。
なお、水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)がウレタン樹脂(A)のモノマー成分として含有されている場合、アルコール(a1)成分には、ポリオール(a1−1)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)が含まれる。
アルコール(a1)成分としては、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリオール(a1−1)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)以外に、その他のアルコール成分が更に含まれてもよい。その他のアルコール成分としては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアセタールポリオールなどが挙げられる。又、その他のアルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの低分子量のポリオールを使用することができる。
アルコール(a1)成分中において、ポリオール(a1−1)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)との合計の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
ポリイソシアネート(a2)は、一分子中にイソシアネート基(−NCO)を複数個有し、更に、一分子中に、2〜6個の単環の脂環式構造、又は、3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートを含有している。ポリイソシアネートは、3分子でイソシアヌレート又はビウレット体を形成することができる。トリメチロールプロパンと3分子のポリイソシアネートが反応することで三量体付加物が形成される。
単環とは、構造中に多環化合物構造を含まないことを意味する。多環化合物とは、1個以上の原子を2個以上の環が共有している化合物であり、具体的には、縮合環化合物、橋かけ環化合物及びスピロ環化合物などが挙げられる。縮合環化合物とは、ナフタレン、フェナントレンなどのオルト縮合、ピレン、ペリレンなどのオルトペリ縮合を有する環化合物をいう。橋かけ環化合物とは、ビシクロ[4.3.1]デカン、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタンなどのように、炭素が環状に結合した環構造(炭素が環状に結合した構造中にヘテロ原子が1個以上含まれていてもよい)であって芳香族性を有しない2個以上の環が互いにそれぞれの環の辺を一辺以上且つ2個以上の原子を共有して縮合した脂環炭化水素化合物をいう。スピロ環化合物とは、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.5]デカ−1,6−ジエンなどのように、1個の原子が、炭素が環状に結合した2個の環構造(炭素が環状に結合した構造中にヘテロ原子が1個以上含まれていてもよい)に共有されてできている点結合(スピロ結合)を有する環化合物をいう。
脂環式構造とは、炭素が環状に結合した構造であって芳香族性を有しないものをいう。本発明で用いられるポリイソシアネートは構造中にイソシアヌレート環を含んでいてもよいが、ここで定義する脂環式構造にイソシアヌレート環は含まれない。炭素が環状に結合した構造中にヘテロ原子が1個又は2個含まれていてもよい。脂環式構造としては、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造などシクロアルカン構造(シクロパラフィン構造)、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロプロペン構造などが挙げられ、シクロアルカン構造が好ましく、炭素数が5個以上のシクロアルカン構造が好ましく、炭素数が5〜7個のシクロアルカン構造がより好ましい。
ポリイソシアネート(a2)における一分子中の脂環式構造の数は、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の電気絶縁性が向上するので、2〜6個であり、2個が好ましい。
2〜6個の単環の脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI);
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)のビウレット体及びイソシアヌレート体;
トリメチロールプロパン(TMP)と水素添加MDIとの三量体付加物;
イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素添加m−XDI)などのポリイソシアネートのビウレット体及びイソシアヌレート体;
イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、および1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素添加m−XDI)などのポリイソシアネートのいずれか一種3モルと、トリメチロールプロパン(TMP)1モルとの三量体付加物など;
トリメチロールプロパン(TMP)とイソホロンジイソシアネート2モル及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)1モルの付加物などが挙げられる。
2個の単環の脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、トリメチロールプロパン(TMP)とイソホロンジイソシアネート2モル及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)1モルの付加物が挙げられ、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)が好ましい。
芳香環とは、芳香族性を有する環、即ち、(4n+2)π電子系(nは自然数)を有する環を意味し、ヘテロ原子を含有するものも含まれる。芳香環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環などの5員環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環などの6員環などが挙げられ、6員環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
ポリイソシアネート(a2)における一分子中の芳香環の数は、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の電気絶縁性が向上するので、3〜7個が好ましく、3個がより好ましい。
3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート;
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンなどのポリイソシアネートのビウレット体及びイソシアヌレート体;
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンなどのポリイソシアネートのいずれか一種3モルと、トリメチロールプロパン(TMP)1モルとの三量体付加物などが挙げられる。一般にトリレンジイソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物である。
3個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートとしては、
4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート;
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどのポリイソシアネートのビウレット体及びイソシアヌレート体;
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどのポリイソシアネートのいずれか一種3モルと、トリメチロールプロパン(TMP)1モルとの三量体付加物などが挙げられ、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物が好ましい。
本発明で用いられるポリイソシアネートは、本発明の目的を損なわない範囲で、上記ポリイソシアネートの他に、1個の単環又は多環の脂環式構造を有するポリイソシアネート、2個以下の単環及び/又は多環の芳香環を有するポリイソシアネート、環構造を有しない脂肪族ポリイソシアネートなどを含んでよい。
1個の単環又は多環の脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
2個以下の単環及び/又は多環の芳香環を有するポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
環構造を有しない脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
なお、ポリイソシアネート(a2)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。二種以上を併用する場合は、脂環式構造を有するポリイソシアネート同士、芳香環を有するポリイソシアネート同士、脂環式構造を有するポリイソシアネートと芳香環を有するポリイソシアネートの組み合わせの何れであってもよく、脂環式構造を有するポリイソシアネートと芳香環を有するポリイソシアネートの組み合わせが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)と、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物とを組み合わせて用いることがより好ましい。
脂環式構造を有するポリイソシアネートと芳香環を有するポリイソシアネートを併用する場合は、脂環式構造を有するポリイソシアネートと芳香環を有するポリイソシアネートの総量100質量部に対して脂環式構造を有するポリイソシアネート1〜40質量部が好ましく、1.5〜30質量部がより好ましい。
ポリイソシアネート(a2)は、2〜6個の単環の脂環式構造、又は、3〜7個の単環の芳香環を含んでいるので、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する。
ポリイソシアネート(a2)中において、一分子中に、2〜6個の単環の脂環式構造又は3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートの総含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。一分子中に、2〜6個の単環の脂環式構造又は3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートの総含有量が50質量%以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する。
ウレタン樹脂(A)は、ポリオール(a1−1)を必須成分として含有するアルコール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を含むモノマーの重合体である。ウレタン樹脂(A)の原料となるモノマー中において、上記アルコール(a1)中の水酸基に対する上記ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)は、1より大きく且つ8以下であり、1より大きく且つ7以下が好ましく、1より大きく且つ6以下がより好ましい。当量比(イソシアネート基/水酸基)が8以下であると、ウレタン樹脂(A)が十分な大きさの分子量を有するため、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する。当量比(イソシアネート基/水酸基)は、ウレタン樹脂(A)が湿気硬化性を有するために1より大きいことが必要であり、湿気硬化併用光硬化型組成物の保存安定性が向上するので、2以上が好ましく、2.5以上がより好ましい。
なお、アルコール(a1)中の水酸基に対する上記ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)は、アルコール(a1)中の水酸基数をポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基数で除して求める。
アルコール(a1)中の水酸基数は下記式に基づいて算出される。なお、水酸基価は、JIS K 1557−1:2007(ISO 14900:2001)「プラスチック−ポリウレタン原料ポリオール試験方法−第1部:水酸基価の求め方」の4.2 B法に準拠して測定して得られた値をいう。
アルコール(a1)中の水酸基数
=原料となるモノマー中におけるアルコール(a1)の含有量×水酸基価/56100
ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基数は下記式に基づいて算出される。イソシアネート当量は、ポリイソシアネートの分子量を一分子中のイソシアネート基の数で除した値をいう。具体的には、JIS K1603に準拠して測定された値をいう。
ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基数
=原料となるモノマー中におけるポリイソシアネート(a2)の含有量
/イソシアネート当量
ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は5000〜100000が好ましく、5000〜50000がより好ましく、10000〜25000が特に好ましい。ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が5000以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の電気絶縁性及び耐亀裂性が向上する。ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が100000以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物が低粘度となり取扱性が向上する。
ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量をポリスチレン換算した値をいう。例えば、下記の測定条件にて測定することができる。
装置:東ソー社製 HLC−8220GP
カラム:東ソー社製
商品名「TSKgel SuperHZM−H」2本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出:RI
検量線用標準ポリスチレン:東ソー社製 商品名「TSKgel 標準ポリスチレン」
ウレタン樹脂(A)中におけるポリイソシアネート(a2)成分の含有量は、1〜99質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、15〜70質量%が特に好ましい。
ウレタン樹脂(A)の製造は公知の重合方法を用いればよい。具体的には、ポリオール(a1−1)及び必要に応じて水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)を含むアルコール(a1)及びポリイソシアネート(a2)をアルコール(a1)中の水酸基に対するポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が上述した範囲となるように含有する原料となるモノマーを公知の重合方法にて重合させてウレタン樹脂(A)を製造することができる。なお、ウレタン樹脂(A)の重合は、後述する単官能アルキル(メタ)アクリレート中において行われてもよい。
より具体的には、反応容器中に単官能アルキル(メタ)アクリレートを供給した上で、ポリイソシアネート(a2)を供給した後、水分を除去したアルコール(a1)を反応容器中に一括で又は分割して供給し、アルコール(a1)の有する水酸基が実質的になくなるまでポリイソシアネート(a2)と反応させてウレタン樹脂(A)を製造することができる。
ウレタン樹脂(A)の重合は、10〜120℃にて0.5〜10時間行われることが好ましい。
ウレタン樹脂(A)の重合反応は、必要に応じてウレタン化触媒の存在下にて行われてもよい。ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチル錫オキサイド、2−エチルカプロン酸錫、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレートなどの有機金属化合物などが挙げられる。
湿気硬化併用光硬化型組成物中におけるウレタン樹脂(A)の含有量は、ウレタン樹脂(A)、単官能アルキル(メタ)アクリレート(B)及び光重合開始剤(C)の合計量を100質量%としたとき、15〜60質量%が好ましく、30〜60質量%が好ましく、35〜50質量%がより好ましく、40〜48質量%が特に好ましい。ウレタン樹脂(A)の含有量が15質量%以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有する。ウレタン樹脂(A)の含有量が60質量%以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物が低粘度となり取扱性が向上する。
〔単官能(メタ)アクリレート〕
湿気硬化併用光硬化型組成物は、環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)を含有している。単官能とは、一分子中にラジカル重合性不飽和結合を1個のみ有していることをいう。アルキル基とは、脂肪族飽和炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団であって−Cn2n+1で表され、窒素及び硫黄などのヘテロ原子を含まない。環構造とは、炭素及びその他の原子(窒素、硫黄など)が形成する全ての環状構造を含む。
環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)を含有しているので、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性を有し且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有し、更に、湿気硬化併用光硬化型組成物は優れた湿気硬化性を有する。
単官能(メタ)アクリレート(B)はイソシアネート基と反応する官能基を含まないことが好ましい。イソシアネート基と反応する官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基などが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレート(B)が有するアルキル基の炭素数は、10個以下であり、2〜10個が好ましく、4〜9個がより好ましく、6〜9個が特に好ましい。アルキル基の炭素数が10個以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は優れた電気絶縁性を有し且つ且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有し、更に、湿気硬化併用光硬化型組成物の湿気硬化性が向上する。アルキル基の炭素数が2個以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物からの臭気を抑制することができる。
単官能(メタ)アクリレート(B)としては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキルアクリレートがより好ましい。又、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−オクチルアクリレートがより好ましい。なお、単官能(メタ)アクリレートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
湿気硬化併用光硬化型組成物中における単官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、ウレタン樹脂(A)、単官能アルキル(メタ)アクリレート(B)及び光重合開始剤(C)の合計量を100質量%としたとき、30〜70質量%が好ましく、40〜65質量%がより好ましく、45〜60質量%が特に好ましい。単官能(メタ)アクリレート(B)の含有量が30質量%以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の光硬化性が向上すると共に、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物が優れた耐亀裂性を有する。単官能(メタ)アクリレート(B)の含有量が70質量%以下であると、光硬化が不十分な部分においても優れた電気絶縁性及び耐亀裂性を有する硬化物を得ることができる。
〔多官能(メタ)アクリレート(D)〕
湿気硬化併用光硬化型組成物中には多官能(メタ)アクリレート(D)が含有されていてもよい。多官能(メタ)アクリレート(D)を含有していることによって、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物の電気絶縁性が向上する。多官能とは、一分子中にラジカル重合性不飽和結合を2個以上有していることをいう。
多官能(メタ)アクリレート(D)はイソシアネート基と反応する官能基を含まないことが好ましい。イソシアネート基と反応する官能基としては、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(D)としては、特に限定されず、例えば、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ジアクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又は水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジアクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられ、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、1,3−ブチレングリコールジアクリレートが特に好ましい。多官能(メタ)アクリレートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
湿気硬化併用光硬化型組成物中における多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量は、単官能(メタ)アクリレート(B)及び多官能(メタ)アクリレート(D)の総量に対して15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、6.5質量%以下が特に好ましい。多官能(メタ)アクリレートの含有量が15質量%以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は優れた電気絶縁性を有し且つ且つ光硬化が不十分な部分においても優れた耐亀裂性を有し、更に、湿気硬化併用光硬化型組成物の湿気硬化性が向上する。
〔光重合開始剤(C)〕
湿気硬化併用光硬化型組成物は、光重合開始剤(C)を含有している。光重合開始剤は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することによって分解し、ラジカルを発生させて、湿気硬化併用光硬化型組成物の光硬化反応を開始させることができるものであれば、特に限定されない。
光重合開始剤(C)としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、アシルフォスフィンオキサイド;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのアルキルフェノン化合物;2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンなどのα−アミノアルキルフェノン化合物;ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド化合物;オキシフェニル酢酸;フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステルなどのフェニルグリオキシル酸エステル化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどのチタノセン化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)及びエタノン,1−[9−(エチル)−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル化合物などが挙げられる。
光重合開始剤(C)は、例えば、BASFジャパン社製から商品名「Irgacure 184」、「Irgacure 907」、「Irgacure 819」、「Irgacure TPO」、「Irgacure 651」、「Irgacure 369」、「Irgacure 379」、「Irgacure 379EG」、「Irgacure MBF」、「Irgacure 784」、「Irgacure OXE01」及び「Irgacure OXE02」にて市販されている。なお、光重合開始剤(C)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
湿気硬化併用光硬化型組成物中における光重合開始剤(C)の含有量は、ウレタン樹脂(A)、単官能アルキル(メタ)アクリレート(B)及び光重合開始剤(C)の合計量を100質量%としたとき、1〜15質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%が特に好ましい。光重合開始剤(C)の含有量が1質量%以上であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の光硬化性が向上する。光重合開始剤(C)の含有量が10質量%以下であると、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、優れた電気絶縁性及び耐亀裂性を有している。
〔その他の成分〕
湿気硬化併用光硬化型組成物は、ウレタン樹脂(A)、単官能(メタ)アクリレート(B)及び光重合開始剤(C)を必須の成分とするが、必要に応じて、湿気硬化触媒(F)、重合禁止剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤及び金属不活性化剤などの添加剤、並びに、溶剤が含有されていてもよい。
湿気硬化触媒(F)としては、特に限定されず、例えば、有機金属化合物、3級アミン化合物などを挙げることができる。有機金属化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、有機鉄化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物及び有機ビスマス化合物などが挙げられる。なお、湿気硬化触媒(F)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。湿気硬化触媒(F)の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。湿気効果触媒(F)は、ウレタン化触媒としてウレタン樹脂(A)の合成に用いてもよい。
有機錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ラウリン酸錫及びフェルザチック酸錫などの錫カルボン酸塩、並びにジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物などが挙げられる。
有機鉄化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)鉄、トリス(テトラフルオロアセチルアセトナート)鉄、塩化第二鉄、トリス(2−エチルヘキサン酸)鉄、ナフテン酸鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄などが挙げられる。
有機亜鉛化合物としては、例えば、ビス(アセチルアセトナート)亜鉛、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)亜鉛、ビス(テトラフルオロアセチルアセトナート)亜鉛、ビス(2−エチルヘキサン酸)亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ジエトキシ亜鉛、ジイソプロポキシ亜鉛などが挙げられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトラブチルチタネート及びテトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル、並びにチタンテトラアセチルアセトナートなどのチタンキレート化合物などが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートなどのジルコニウムキレート化合物などが挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、例えば、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)、ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)及びオクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン及びテトラメチルヘキサンジアミンなどのテトラアルキルアルキレンジアミン;ペンタメチルジエチレントリアミンなどのペンタアルキルジアルキレントリアミン;トリメチルアミノエチルピペラジン及びジメチルピペラジンなどのピペラジン;1,2−ジメチルイミダゾールなどのN−アルキルイミダゾール;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル;トリエチレンジアミン〔1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)〕;N−メチルモルホリン;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)並びに2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどが挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。なお、重合禁止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。重合禁止剤の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。なお、酸化防止剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。酸化防止剤の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。フェノール系酸化防止剤は、例えば、アデカ社から商品名「アデカスタブ AO−20」、「アデカスタブ AO−60」及び「アデカスタブ AO−80」、BASFジャパン社から商品名「Irganox 1010」、「Irganox 1076」、「Irganox 1135」及び「Irganox 1520L」にて市販されている。リン系酸化防止剤は、例えば、アデカ社から商品名「アデカスタブ PEP−4C」及び「アデカスタブ 2112」、BASFジャパン社から商品名「Irgafos 168」にて市販されている。硫黄系酸化防止剤は、例えば、アデカ社から商品名「アデカスタブ AO−412S」及び「アデカスタブ AO−503」、BASFジャパン社から商品名「Irganox PS 800 FL」及び「Irganox PS 802 FL」にて市販されている。
消泡剤は、例えば、ビックケミージャパン社から商品名「BYK−054」、「BYK−057」、「BYK−065」、「BYK−066N」、「BYK−067A」及び「BYK−1794」、エボニック社から商品名「TEGO Airex 904W」、「TEGO Airex 910」、「TEGO Airex 920」、「TEGO Airex 931」、「TEGO Airex 945」、「TEGO Foamex 833」及び「TEGO Twin 4000」にて市販されている。なお、消泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。消泡剤の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤などが挙げられる。なお、レベリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。レベリング剤の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、ビックケミージャパン社から商品名「BYK−300」、「BYK−302」、「BYK−307」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−345」、「BYK−370」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−3455」、「BYK−UV3500」及び「BYK−UV3510」、エボニック社から商品名「TEGO Flow 425」、「TEGO Glide 100」、「TEGO Glide 110」及び「TEGO Glide 432」、東レ・ダウコーニング社から商品名「Dow Corning 56 Additive」及び「Dow Corning 57 Additive」にて市販されている。アクリル系レベリング剤は、例えば、ビックケミージャパン社から商品名「BYK−350」、「BYK−354」、「BYK−356」及び「BYK−3441」、エボニック社から商品名「TEGO Flow 370」及び「TEGO Flow ZFS 460」にて市販されている。フッ素系レベリング剤としては、例えば、住友スリーエム社から商品名「Novec FC−4430」及び「Novec FC−4432」、ネオス社から商品名「フタージェント 251」、「フタージェント FTX−218」、「フタージェント 710FL」及び「フタージェント 601AD」にて市販されている。
シランカップリング剤は、例えば、信越シリコーン社から商品名「KBM−1003」、「KBE−1003」、「KBM−503」、「KBM−5103」及び「KBE−9007」にて市販されている。なお、シランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。シランカップリング剤の配合割合は、特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜調整されればよい。
金属不活性化剤は、例えば、アデカ社から商品名「アデカスタブ CDA−1」、「アデカスタブ CDA−1M」、「アデカスタブ CDA−6」及び「アデカスタブ CDA−10」、BASFジャパン社から「Irganox MD1024」、城北化学工業社から商品名「BT−120」、「BT−LX」及び「TT−LX」にて市販されている。
溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などが挙げられる。なお、溶剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
湿気硬化併用光硬化型組成物は、ウレタン樹脂(A)、単官能(メタ)アクリレート(B)及び光重合開始剤(C)並びにその他の添加剤を汎用の攪拌機を用いて攪拌混合することによって製造することができる。
湿気硬化併用光硬化型組成物は、例えば、コンフォーマルコーティング剤として用いることができ、具体的には、電子回路基板を水、湿気及び埃などから保護するために、はんだ付け後の電子回路基板に対し電気絶縁処理を施すために用いられる。
具体的には、基板上に電子部品をはんだ付けすることによって形成された電子回路基板の電子部品上に湿気硬化併用光硬化型組成物を塗布し、電子部品を湿気硬化併用光硬化型組成物によって被覆した状態とする。
湿気硬化併用光硬化型組成物に活性エネルギー線(例えば、紫外線、電子線など)を照射することによって、単官能(メタ)アクリレート、並びに、必要に応じて含まれている多官能(メタ)アクリレート及びウレタン樹脂(A)の水酸基含有(メタ)アクリレート成分がラジカル重合反応を生じて光硬化する。この光硬化と同時に及び活性エネルギー線の照射後、湿気硬化併用光硬化型組成物は、ウレタン樹脂(A)のイソシアネート基が空気中の湿気と反応することによって架橋反応を生じて湿気硬化して硬化物を生成する。
このようにして生成された硬化物は、優れた電気絶縁性を有していると共に、活性エネルギー線が照射されない部分や照射が不十分な部分においても十分な耐亀裂性を有しており、更に、硬化物は、優れた外観性(透明性)を有している。従って、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は、電子部品を電気絶縁状態を保持しながら、水、埃及び金属粉などの汚染物質から長期間に亘って安定的に保護する。そして、湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物は透明性に優れているので、被覆、保護した後においても電子部品の状態を硬化物を透して容易に視認することができ、電子回路基板のメンテナンスを容易に行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本実施例に何ら限定されるものでない。
湿気硬化併用光硬化型組成物を作製するために用いた化合物を下記に示す。製品中に溶剤を含むものについては、溶剤の種類と化合物の固形分を示す。
〔ポリオール(a1−1)〕
・水添ポリブタジエンジオール1(日本曹達株式会社製 商品名「GI-3000」)
数平均分子量:3000、ヨウ素価:21以下
・水添ポリブタジエンジオール2(日本曹達株式会社製 商品名「GI-2000」)
数平均分子量:2100、ヨウ素価:21以下
・水添ポリイソプレンジオール(出光興産社製 商品名「EPOL」)
数平均分子量:2500、ヨウ素価:7.9
・ポリカーボネートジオール1(旭化成ケミカルズ社製 商品名「Duranol T5652」)
・ポリカーボネートジオール2(ダイセル社製 商品名「PLACCEL CD220PL」)
・ポリエステルポリオール(クラレ社製 商品名「Kuraray Polyol P-1010」)
・アクリルポリオール(東亞合成社製 商品名「ARUFON UH-2000」)
〔ポリイソシアネート(a2)〕
・トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物(TMP-TDI)(東ソー社製 商品名「コロネートL」、酢酸エチル、固形分:75質量%)、芳香環:3個
・4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)(住化コベストロウレタン社製 商品名「Desmodur W」)、脂環式構造:2個
・トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(TDI/イソシアヌレート)(住化コベストロウレタン 商品名「Desmodur IL 1451」、酢酸ブチル、固形分:51質量%)、芳香環:3個
・1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添m−XDI)(三井化学 商品名「タケネート 600」)、脂環式構造:1個
・ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(HDI/イソシアヌレート)(旭化成ケミカルズ社製 商品名「Duranate MHG-80B」、酢酸ブチル、固形分:80質量%)、脂環式構造及び芳香環:0個
・ヘキサメチレンジイソシアネートのプレポリマー(HDI/プレポリマー)(旭化成ケミカルズ社製 商品名「Duranate D201」)、脂環式構造及び芳香環:0個
〔水酸基含有アクリレート(a1−2)〕
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(東亞合成社製 商品名「アロニックスM-306」)
〔ウレタンアクリレート〕
・ウレタンアクリレート(日本曹達社製 商品名「TEAI-1000」)、主鎖に水素添加されたブタジエン骨格及びウレタン結合を有し且つ両末端にアクリロイル基を有する、数平均分子量:2000
〔ポリイソシアネート(E)〕
・トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物(TMP-TDI)(東ソー社製 商品名「コロネートL」)、芳香環:3個
・トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物(TMP-TDI)(東ソー社製 商品名「コロネートL」)とペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成社製 商品名「アロニックスM−306」)との反応物
〔単官能アクリレート(B)〕
・n−オクチルアクリレート(大阪有機化学工業社製 商品名「NOAA」)、ガラス転移温度:−65℃
・ラウリルアクリレート(大阪有機化学工業社製 商品名「LA」)、ガラス転移温度:−23℃
・イソボニルアクリレート(大阪有機化学工業社製 商品名「IBXA」)、ガラス転移温度:97℃
〔多官能アクリレート(D)〕
・1,3−ブチレングリコールジアクリレート(サートマー社製 商品名「SR212B」)、ガラス転移温度:101℃
〔光重合開始剤(C)〕
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製 商品名「Irgacure 819」)
〔湿気硬化触媒(F)、ウレタン化触媒〕
・ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(堺化学工業社製 商品名「TN−12」)
(合成例1〜10、比較合成例1〜11)
反応容器中に、ポリオール(a1−1)、ポリイソシアネート(a2)、水酸基含有アクリレート(a1−2)、単官能アクリレート(B)、多官能アクリレート(D)及び重合禁止剤として4−メトキシフェノール(川口化学工業社製 商品名「MQ」)を表1〜4に示した所定量ずつ供給した後、反応容器内を乾燥空気でバブリング及び攪拌をしながら反応容器内を60℃に加温した。なお、アルコール(a1)中の水酸基に対するポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)を「当量比(イソシアネート基/水酸基)」の欄に記載した。なお、表1〜4の数値は、何れも溶剤を除いた固形分換算の数値である。
単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)は反応溶剤として使用するものであり、湿気硬化併用光硬化型組成物に配合する単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)の一部をウレタン樹脂(A)の作製の際に反応系に添加した。
しかる後、ウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートを表1〜4に示した所定量を加えて3時間保持することによってウレタン樹脂(A)を得た。得られたウレタン樹脂(A)の重量平均分子量を表1〜4に記載した。
(比較例13で用いたポリイソシアネート(E)の合成)
ポリイソシアネート〔トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物(TMP−TDI)〕(東ソー社製 商品名「コロネートL」)59.8質量部(固形分換算)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(東亞合成社製 商品名「アロニックス M−306」)40.2質量部、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.01質量部、n−オクチルアクリレート(大阪有機化学工業社製 商品名「NOAA」)80.1質量部及び重合禁止剤として4−メトキシフェノール(川口化学工業製 商品名「MQ」)0.1質量部を攪拌混合して溶解し、60℃で2時間に加温してアクリロイル基含有ポリイソシアネートを得た。
(実施例1〜10、比較例1〜11)
上記ウレタン樹脂(A)、単官能アクリレート(B)、光重合開始剤(C)、多官能アクリレート(D)及び湿気硬化触媒(F)としてジブチル錫ジラウレートを表5〜8に示した所定ずつ遊星式攪拌機に供給し攪拌して均一に混合し、湿気硬化併用光硬化型組成物を得た。なお、使用したウレタン樹脂(A)を表5〜8のウレタン樹脂(A)の種類の欄に記載した。
上述で作製したウレタン樹脂(A)には、単官能アクリレート(B)又は多官能アクリレート(D)が含まれているが、表5〜8に示したウレタン系樹脂(A)の欄の数値は、単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)を除いた量である。表5〜8に示した単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)の欄の数値はそれぞれ、ウレタン樹脂(A)の作製時に加えた単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)のそれぞれの量を含めた値であり、湿気硬化併用光硬化型組成物に含まれている単官能アクリレート(B)及び多官能アクリレート(D)のそれぞれの総量である。表5〜8の数値は何れも溶剤を除いた固形分換算の数値である。
(比較例12、13)
ウレタンアクリレート、ポリイソシアネート(E)、単官能アクリレート(B)、光重合開始剤(C)、多官能アクリレート(D)及び湿気硬化触媒(F)としてジブチル錫ジラウレートを表8に示した所定ずつ遊星式攪拌機に供給し攪拌して均一に混合し、湿気硬化併用光硬化型組成物を得た。
得られた湿気硬化併用光硬化型組成物について、電気絶縁性、耐亀裂性、外観性及び湿気硬化性を下記の要領で測定し、その結果を表5〜8に示した。
(電気絶縁性)
JIS2型くし型基板上に湿気硬化併用光硬化型組成物を膜厚50μmで塗布し、2枚の試験片を作製した。1枚の試験片の湿気硬化併用光硬化型組成物に発光波長365nmの紫外線を照射して湿気硬化併用光硬化型組成物を光硬化させた後、試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に12時間放置して湿気硬化併用光硬化型組成物を湿気硬化させて硬化物を生成した。
もう一枚の試験片には紫外線を照射することなく、試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に12時間放置して湿気硬化併用光硬化型組成物を湿気硬化させて硬化物を生成した。
2枚の試験片を85℃、相対湿度85%に保持された恒湿恒温槽内に入れた後、印加電圧を32Vに設定して96時間後における硬化物の抵抗値を測定した。
紫外線を照射した試験片の硬化物の抵抗値を「UV部」の欄に、紫外線を照射しなかった試験片の硬化物の抵抗値を「暗部」の欄に記載した。
(耐亀裂性)
ガラスエポキシ基板にリフローフラックスを塗布し、チップ抵抗をはんだ付けした。次に、チップ抵抗上に湿気硬化併用光硬化型組成物を塗布し、チップ抵抗を湿気硬化併用光硬化型組成物で被覆して試験片を2枚作製した。
1枚の試験片の湿気硬化併用光硬化型組成物に発光波長365nmの紫外線を照射して湿気硬化併用光硬化型組成物を光硬化させた後、試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に12時間放置して湿気硬化併用光硬化型組成物を湿気硬化させて硬化物を生成した。
もう一枚の試験片には紫外線を照射することなく、試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気に12時間放置して湿気硬化併用光硬化型組成物を湿気硬化させて硬化物を生成した。
試験片を125℃にて30分間保持した後、試験片を−40℃にて30分間保持する工程を1サイクルとする冷熱サイクル試験に供し、硬化物に亀裂が初めて生じた時点において既に完全に行ったサイクル数を数えた。下記基準にしたがって評価した。
紫外線を照射した試験片のサイクル数を「UV部」の欄に、紫外線を照射しなかった試験片のサイクル数を「暗部」の欄に記載した。
A++:サイクル数が2000以上であった。
A+ :サイクル数が1500以上で且つ2000未満であった。
A :サイクル数が1000以上で且つ1500未満であった。
B :サイクル数が720以上で且つ1000未満であった。
C :サイクル数が360以上で且つ720未満であった。
D :サイクル数が360未満であった。
(外観性)
湿気硬化併用光硬化型組成物をガラス板に膜厚50μmで塗布した。湿気硬化併用光硬化型組成物に発光波長365nmの紫外線を照射して湿気硬化併用光硬化型組成物を光硬化させた。湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物のHAZE値をヘーズメーター(日本電色工業株式会社製 商品名「NDH 5000」)を用いて測定した。なお、ガラス板はバックグラウンドとして差し引いた。HAZE値が小さいほど、硬化物の透明性が高いことを示す。下記基準に基づいて評価した。
A+:HAZE値が0以上で且つ0.25未満であった。
A :HAZE値が0.25以上で且つ0.5未満であった。
B :HAZE値が0.5以上で且つ1.0未満であった。
C :HAZE値が1.0以上で且つ2.0未満であった。
D :HAZE値が2.0以上であった。
(湿気硬化性)
湿気硬化併用光硬化型組成物をガラスエポキシ基板上に膜厚50μmで塗布し、23℃、相対湿度50%、遮光の環境下において、湿気硬化併用光硬化型組成物の塗布面が水平となるようにして放置した。塗布が完了してから6時間、12時間及び24時間後のそれぞれの時刻に、ガラスエポキシ基板を湿気硬化併用光硬化型組成物の塗布面が垂直になるように保持し、湿気硬化併用光硬化型組成物の垂れが生じなくなっているか否かを目視観察し、湿気硬化併用光硬化型組成物の垂れが生じなくなるのに要した時間に基づいて下記の通り評価した。
A:6時間未満であった。
B:6時間以上で且つ12時間未満であった。
C:12時間以上で且つ24時間未満であった。
D:24時間経過時点において湿気硬化併用光硬化型組成物に垂れを生じていた。
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Claims (7)

  1. 水素添加されたブタジエン系骨格及び/又は水素添加されたイソプレン系骨格を有するウレタン樹脂(A)と、
    環構造を含まず且つ炭素数が10個以下のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート(B)と、
    光重合開始剤(C)とを含む湿気硬化併用光硬化型組成物であって、
    上記ウレタン樹脂(A)は、水添ポリブタジエンポリオール及び/又は水添ポリイソプレンポリオールを含有するポリオール(a1−1)を含むアルコール(a1)とポリイソシアネート(a2)とをモノマー成分として含有する重合体であって、上記アルコール(a1)及び上記ポリイソシアネート(a2)を含み且つ上記アルコール(a1)中の水酸基に対する上記ポリイソシアネート(a2)中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1より大きく且つ8以下であるモノマーの重合体であり、上記ポリイソシアネート(a2)は、一分子中に、2〜6個の単環の脂環式構造、又は、3〜7個の単環の芳香環を有するポリイソシアネートを含むことを特徴とする湿気硬化併用光硬化型組成物。
  2. ウレタン樹脂(A)が、モノマー成分として水酸基含有(メタ)アクリレート(a1−2)を更に含むことを特徴とする湿気硬化併用光硬化型組成物。
  3. ポリイソシアネート(a2)が、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び/又は、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートの三量体付加物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れか1項に記載の湿気硬化併用光硬化型組成物。
  4. 多官能(メタ)アクリレート(D)を更に含み、単官能アルキル(メタ)アクリレート(B)及び多官能(メタ)アクリレート(D)の総量中、多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が15質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の湿気硬化併用光硬化型組成物。
  5. ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量が5000〜100000であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の湿気硬化併用光硬化型組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の湿気硬化併用光硬化型組成物を含むことを特徴とするコンフォーマルコーティング剤。
  7. 請求項1〜5に記載の湿気硬化併用光硬化型組成物の硬化物であることを特徴とする硬化物。
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