JP2020132783A - ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物 - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020132783A
JP2020132783A JP2019029914A JP2019029914A JP2020132783A JP 2020132783 A JP2020132783 A JP 2020132783A JP 2019029914 A JP2019029914 A JP 2019029914A JP 2019029914 A JP2019029914 A JP 2019029914A JP 2020132783 A JP2020132783 A JP 2020132783A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylate
meth
urethane
polypropylene glycol
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019029914A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7257815B2 (ja
Inventor
徹 大下
Toru Oshita
徹 大下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Allnex Co Ltd
Original Assignee
Daicel Allnex Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Allnex Co Ltd filed Critical Daicel Allnex Co Ltd
Priority to JP2019029914A priority Critical patent/JP7257815B2/ja
Publication of JP2020132783A publication Critical patent/JP2020132783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7257815B2 publication Critical patent/JP7257815B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】硬化物に高い密着性と透明性とを付与しつつ、さらに高い柔軟性と耐熱性とを付与するウレタン(メタ)アクリレート、及びこれを含む活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。また、高い密着性と透明性とを備えつつ、さらに高い柔軟性と耐熱性とを備える硬化物、及び該硬化物を含む積層体を提供する。【解決手段】ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を構成単位として含むウレタン(メタ)アクリレートであって、前記ポリプロピレングリコール(A)が、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であるポリプロピレングリコール(ただし、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物を除く)であることを特徴とするウレタン(メタ)アクリレート。【選択図】図1

Description

本発明は、パソコン、テレビ、携帯電話等のディスプレイ用基材の層間充填剤等として使用可能なウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性組成物(OCR:Optical Clear Resin、光学的透明樹脂)、及び該活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物に関する。
パソコン、カーナビ、テレビ、携帯電話等に用いられているディスプレイは、バックライトからの光で画像を映し出している。ディスプレイにはガラス板等のガラス基材や、プラスチックフィルム等のプラスチック基材等の透明基材が使用されているが、これらの基材による光散乱や吸収の影響により、光源からディスプレイ外部へ出力される光量が減少することがある。この光量の減少幅が大きくなれば画面が暗くなり、視認性が低下することになる。
視認性を上げる方法としては、ディスプレイ表面層における光散乱防止性を高めることや、光源からの光量を強くすること等が挙げられる。その具体的な方法の1つとして、ガラス基材やプラスチック基材等の透明基材間の空気層を樹脂層(樹脂の硬化物層)に置き換える方法がある。空気層を樹脂層に置き換えることで空気と透明基材との界面における光散乱を防止できるため、光源からディスプレイ外部へ出力される光量の減少を防ぐことが可能となり、視認性が向上する。
透明基材の層間に用いられる樹脂に求められる性能としては、基材との高い密着性、耐変形性、及び柔軟性に加え、高い透明性、具体的には400nmにおける光透過率が95%以上であること等がある。また、高い耐熱性、具体的には95℃に付した場合にその形状や色相の変化が小さいことが求められる。この様な性能を硬化物に付与することを目的に様々なウレタン(メタ)アクリレートが提案されている。
特許1041553号公報 特許2582575号公報 特開2002−069138号公報 特開2002−309185号公報 特開2003−155455号公報 特開2010−144000号公報 特開2010−254890号公報 特開2010−254891号公報 特開2010−265402号公報 特開2011−116965号公報 特開2013−129812号公報
例えば、水添ポリオレフィンポリオールを構成成分として含むウレタン(メタ)アクリレートや、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物が報告されている(特許文献1〜10)。ウレタン(メタ)アクリレートの構成成分として水添ポリオレフィンポリオールを用いることは、酸化による硬化物の劣化を防ぐ観点からは非常に有効である。しかしながら、この様なウレタン(メタ)アクリレートは疎水性が高くなることから、組成物に含まれ得る他の成分との相溶性が悪くなる傾向があり、組成物の粘度の調整や、硬化物に目的とする特性(例えば、柔軟性、耐熱性等)を付与することが困難であった。また、上記の水添ポリオレフィンポリオールは高価であることや粘度が高いことから、大スケールではウレタン(メタ)アクリレートの製造が困難であること、取り扱い性(ハンドリング)が悪いこと、といった問題点があった。
この様な欠点を克服するため、ウレタン(メタ)アクリレートの製造時に、相溶化剤又は希釈剤として低粘度の単官能(メタ)アクリレートを配合することで、粘度を調節する手法が知られている(特許文献11)。しかしながら、使用できる単官能(メタ)アクリレートやその配合量が制限されること、その配合量によっては硬化した際にその一部が溶け出した様な形状となること(以下、この様な形状変化を「メルト」と称することがある)等の不具合が生じるという問題が生じていた。さらに、上記のウレタン(メタ)アクリレートは、硬化物の耐熱性が低いこと、具体的には、硬化物を高温に付した場合にその形状や色相が変化し易いこと、といった問題点があった。
また、水添ポリオレフィンポリオール以外にもポリプロピレングリコール等がウレタン(メタ)アクリレートの構成成分として用いられている。ポリプロピレングリコールは、プロピレングリコール等の多価アルコールにプロピレンオキサイド(PO)を付加重合させたものである。この様な重合反応により得られるポリプロピレングリコールは、一般的にその末端水酸基の大部分(約95モル%)が2級水酸基となる。この様なポリプロピレングリコールは反応性に劣ることから、ウレタン化反応に用いる際はエチレンオキサイド(EO)を付加させて末端水酸基を1級化したものを使用することが通常である。しかしながら、エチレンオキサイドは水との親和性が高いため、得られるウレタン樹脂の親水性も高くなる傾向がある。そうすると、この様なポリプロピレングリコールを構成成分として含むウレタン(メタ)アクリレートの硬化物は、長期間の使用によりウレタン結合が分解し、耐水性が大きく低下することとなり、耐熱性も不十分となる傾向がある。
従って、本発明の目的は、硬化物に高い密着性と透明性とを付与しつつ、さらに高い柔軟性と耐熱性とを付与するウレタン(メタ)アクリレート、及びこれを含む活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。また、高い密着性と透明性とを備えつつ、さらに高い柔軟性と耐熱性とを備える硬化物、及び該硬化物を含む積層体を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構成を有するウレタン(メタ)アクリレートの硬化物が高い柔軟性及び耐熱性を示すことから、該ウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性組成物が、ガラス基材やプラスチック基材等の透明基材の層間充填用硬化性組成物として有用であることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を構成単位として含むウレタン(メタ)アクリレートであって、前記ポリプロピレングリコール(A)が、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であるポリプロピレングリコール(ただし、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物を除く)であることを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
前記ポリプロピレングリコール(A)の重量平均分子量は1500以上であることが好ましい。
本発明では、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物についても提供する。
前記活性エネルギー線硬化性組成物は、層間充填用であることが好ましい。
本発明では、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物についても提供する。
本発明では、ガラス及びプラスチックから選ばれる第一の透明基材と、ガラス及びプラスチックから選ばれる第二の透明基材との間に前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層を有する積層体についても提供する。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化性組成物に配合することにより、その硬化物に良好な柔軟性及び耐熱性を付与することができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、その硬化物が良好な柔軟性及び耐熱性を示す。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を透明基材間に充填して硬化することで、空気と透明基材界面における光散乱を防止でき、さらに耐熱性試験中に色相変化や形状変化を起こしにくく、柔軟な積層体を得ることができる。従って、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、パソコン、カーナビ、テレビ、携帯電話(スマートフォン等)、タブレット等に用いられているディスプレイ用の層間充填剤として有用である。
本発明の積層体の一態様を示す概略図である。 本実施例で用いた試験片Aの態様を示す概略図である。 本実施例で用いた試験片Bの態様を示す概略図である。図中の(A)はガラス積層体を上から見た図であり、(B)はガラス積層体を横から見た図である。
<ウレタン(メタ)アクリレート(X)>
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を構成単位として含むウレタン(メタ)アクリレートであって、前記ポリプロピレングリコール(A)が、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であるポリプロピレングリコール(ただし、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物を除く)であることを特徴とする。すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(X)は、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であるポリプロピレングリコールであって、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物には該当しないポリプロピレングリコール(A)(以下、単に「ポリプロピレングリコール(A)」と称することがある)と、ポリイソシアネート(B)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートである。
ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C)以外の構成単位をさらに含んでいてもよく、例えば、後述の1つの水酸基を有するアルコール(D)を構成単位として含んでいてもよい。すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)と、1つの水酸基を有するアルコール(D)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)及びポリイソシアネート(B)を構成単位として含むウレタンプレポリマー、並びに水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を構成単位として含んでいてもよい。すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)との反応によりウレタンプレポリマーを形成した後、該ウレタンプレポリマーと水酸基含有(メタ)アクリレート(C)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
前記のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを「ウレタンプレポリマー」と、前記のポリプロピレングリコール(A)を「(A)」と、前記のポリイソシアネート(B)を「(B)」と、前記の水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を「(メタ)アクリレート(C)」又は「(C)」と、1つの水酸基を有するアルコール(D)を「アルコール(D)」又は「(D)」と称することがある。
ウレタン(メタ)アクリレート(X)の60℃における粘度は特に限定されないが、例えば、100〜300000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは500〜200000mPa・s、さらに好ましくは1000〜100000mPa・sである。ウレタン(メタ)アクリレート(X)の60℃における粘度が上記範囲内にあることにより、取り扱い性が向上する傾向がある。なお、ウレタン(メタ)アクリレート(X)の粘度は、例えば、E型粘度計(東機産業、TV−25型)を使用し、60℃の条件にて測定することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(X)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、例えば、2000〜500000であることが好ましく、より好ましくは5000〜300000、さらに好ましくは8000〜200000である。重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、硬化物が良好な柔軟性を示すと共に樹脂外観が良好である傾向がある。特に、ウレタン(メタ)アクリレート(X)の重量平均分子量(Mw)が2000未満の場合は柔軟性の低下、樹脂外観の悪化が生じ、副生物も増大する傾向がある。また、500000を超えると架橋密度が低下し、硬化性の悪化を引き起こす傾向がある。本発明における「重量平均分子量」はGPCの測定によるポリスチレン換算の値として表すことができ、例えば、後述の実施例にて記載する方法により測定することができる。
[ポリプロピレングリコール(A)]
ポリプロピレングリコール(A)は、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であって、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物に該当しないポリプロピレングリコールであれば特に限定されない。ポリプロピレングリコール(A)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレングリコール(A)からは、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物(ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド変性物)は除かれる。すなわち、ポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを付加重合することにより得られるものではないことを特徴とする。上述の通り、ポリプロピレングリコールは、プロピレングリコール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドを付加重合させて得られるものであり、一般的にその末端水酸基の大部分(95モル%程度)が2級水酸基となるが、この様なポリプロピレングリコールは反応性に劣ることから、エチレンオキサイドを付加させて末端水酸基を1級化したものがウレタン化反応に使用されている。しかしながら、エチレンオキサイドは水との親和性が高いため、上記のポリプロピレングリコールを構成単位として含むウレタン(メタ)アクリレートの硬化物は耐水性が大きく低下する傾向があり、また耐熱性も不十分となる傾向がある。一方、本発明のポリプロピレングリコール(A)は、エチレンオキサイドを付加することなく末端水酸基における1級水酸基の比率を特定値に調節することで、ウレタン化反応における反応性を向上させると共に、得られるウレタン(メタ)アクリレートの硬化物に耐熱性を付与するものである。
ポリプロピレングリコール(A)の末端水酸基における1級水酸基の比率は20モル%以上であれば特に限定されないが、例えば、20〜95モル%であることが好ましく、より好ましくは30〜90モル%、さらに好ましくは40〜80モル%、特に好ましくは50〜70モル%、最も好ましくは60〜65モル%である。比率が上記範囲内にあることにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の耐熱性が向上し、適切な柔軟性を発揮する傾向がある。
ポリプロピレングリコール(A)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、例えば、1500以上であることが好ましく、より好ましくは1600〜3000、さらに好ましくは1700〜2500、特に好ましくは1800〜2000である。重量平均分子量が上記範囲内にあることにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の柔軟性及び耐熱性が向上する傾向がある。特に、ポリプロピレングリコール(A)の重量平均分子量(Mw)が1500未満である場合は、得られるウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の柔軟性の低下、樹脂外観の悪化が生じる傾向がある。
ポリプロピレングリコール(A)は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業(株)製「プライムポールFF2202」等が挙げられる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)以外のポリオールを構成成分として含んでいてもよい。すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリプロピレングリコール(A)とポリプロピレングリコール(A)以外のポリオールと、ポリイソシアネート(B)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(C)との反応物であってもよい。
ポリプロピレングリコール(A)以外のポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール(A)以外のポリアルキレングリコール、ポリオレフィンポリオール、水添ポリオレフィンポリオール、ポリエステルポリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ブチルエチルプロパンジオール、及びこれらの変性物等が挙げられる。
ポリプロピレングリコール(A)以外のポリオールは市販品を用いてもよく、例えば、三菱ガス化学(株)製「トリメチロールプロパン(TMP)」、KHネオケム(株)製「ブチルエチルプロパンジオール(BEPD)」、三洋化成工業(株)製「サンニックスHD−402(ペンタエリスリトールのポリプロピレングリコール変性物)」、「サンニックスHD−250(グリセリンのポリプロピレングリコール変性物)」、出光興産(株)製「エポール」、日本曹達(株)製「GI−2000」、「GI−3000」、「G−3000」等、長瀬産業(株)製「KRASOL HLBH P3000」、「KRASOL LBH−P2000」等が挙げられる。
[ポリイソシアネート(B)]
ポリイソシアネート(B)は特に限定されず、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。この中でも、耐熱性(色相の変化)の観点からは、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。すなわち、芳香族ポリイソシアネートを使用した場合は、脂肪族ポリイソシアネートを使用した場合と比較して、硬化物が高温により黄変する傾向があるため、ポリイソシアネート(B)としては脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂環式ポリイソシアネート、直鎖状又は分岐鎖状脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートや、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートを水添(水素化)して得られる脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の分岐鎖状脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、芳香族テトライソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート(B)は市販品を用いてもよく、例えば、エボニック(株)製「VESTANAT IPDI(イソホロンジイソシアネート)」、「TMDI(2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)」、住化バイエル(株)製「水添MDI(HMDI、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート)」、日本ポリウレタン(株)製「HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)」、「MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)」、エボニック(株)製「TMHDI(2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物)」等が挙げられる。
[(メタ)アクリレート(C)]
(メタ)アクリレート(C)は、水酸基含有(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシノルマルプロピル(メタ)アクリレート)、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の1つの(メタ)アクリロイル基を有し、さらに1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート等の2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、さらに1つの水酸基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレート(C)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート(C)は市販品を用いてもよく、例えば、日本触媒(株)製「β−HEA アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)」、「アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPA)」等が挙げられる。
[アルコール(D)]
アルコール(D)は、1つの水酸基を有するアルコールであれば特に限定されないが、例えば、分子量(重量平均分子量)70〜400であるか又は炭素数3以上であり、且つ脂肪族又は脂環式の1級アルコールであることが好ましい。なお、アルコール(D)には(メタ)アクリレート(C)は含まれない。アルコールの分子量が70未満あるいは炭素数が3未満の場合、ウレタン(メタ)アクリレートの製造中に揮発する恐れがあるため好ましくない。また、分子量が400を超えると、イソシアネート基との反応性が低下し、反応時間が長くなる傾向があるため好ましくない。また、芳香環を有するアルコールは、硬化物が熱によって黄変する傾向があるため好ましくない。アルコール(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール(D)としては、例えば、1−ブタノール、1−ヘプタノール、1−ヘキサノール、ノルマルオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキサンメタノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコールが挙げられる。これらの中でも、沸点、価格、入手容易性の観点から2−エチルヘキシルアルコールが好ましい。
[ウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造方法]
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することがある)は、ポリプロピレングリコール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、(メタ)アクリレート(C)とを反応(ウレタン化反応)させることを特徴とする。
本発明の製造方法は特に限定されないが、ポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応に付すことによりウレタンプレポリマーを形成させた後、前記のウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)とを反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを製造する方法であることが好ましい。なお、ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)とを反応させる際、(メタ)アクリレート(C)と同時にアルコール(D)を使用してもよい。
ウレタンプレポリマーを形成する際(すなわち、ポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応に付す際)、後述の単官能(メタ)アクリレート(Y)(以下、「(メタ)アクリレート(Y)」と称することがある)を相溶化剤又は希釈剤として用いてもよい。(メタ)アクリレート(Y)がポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)との相溶化剤又は希釈剤として働くことにより、前記の成分の反応が円滑に進行する傾向がある。また、(メタ)アクリレート(Y)は、ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)との相溶化剤又は希釈剤として働くこともあり、その場合は、ウレタン(メタ)アクリレート(X)の全反応工程が円滑に進行する傾向がある。
また、ウレタンプレポリマーを形成させる際に反応液の粘度が上昇することがあるが、(メタ)アクリレート(Y)を使用することにより、反応液の粘度上昇を緩和することもできる。さらに、ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)との反応の際も反応液の粘度が上昇することがあるが、この場合も同様に(メタ)アクリレート(Y)を使用することにより、反応液の粘度上昇を緩和することができる。
上記の製造方法、すなわち、「(A)と(B)とを反応させた後、さらに(C)を反応させる方法」は、「(A)、(B)、及び(C)を一括混合して反応させる方法」や「(B)と(C)とを反応させた後、さらに(A)を反応させる方法」に比べて、反応物の粘度上昇の防止、副生物の抑制、硬化物の透明性及び耐熱性の向上の観点から好ましい。
具体的には、「(A)、(B)、及び(C)を一括混合して反応させる方法」により得られるウレタン(メタ)アクリレートは粘度が高い傾向がある。また、反応が不均一に進行するため、部分的にゲル化する傾向がある。さらに、ポリプロピレングリコール(A)を骨格に含まないウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、副産物)が生成し、硬化物の光透過率及び柔軟性の低下を引き起こす傾向がある。そして、種々のウレタン(メタ)アクリレートが得られるため、品質の管理が困難となる傾向がある。
また、「(B)と(C)とを反応させた後、さらに(A)を反応させる方法」では、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基全てが(メタ)アクリレート(C)の水酸基と反応したウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、副産物)が生成する傾向がある。この副生物は、ポリプロピレングリコール(A)骨格を含んでいないことから結晶性を示す傾向があり、400nmにおける光透過率の低下に繋がるだけでなく、ウレタン(メタ)アクリレートのゲル化を引き起こすことがある。
ウレタンプレポリマーを形成する方法としては、次の方法1〜3が挙げられる。
[方法1]ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)を一括混合して反応させる方法。
[方法2]ポリイソシアネート(B)の中にポリプロピレングリコール(A)を滴下しながら反応させる方法。
[方法3]ポリプロピレングリコール(A)の中にポリイソシアネート(B)を滴下しながら反応させる方法。
[方法1]の場合、反応器にポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)とを仕込み、均一になるまで攪拌する。その後、攪拌をしながら必要に応じて昇温後、ウレタン化触媒を投入して反応を開始する方法が望ましい。ウレタン化触媒を投入後に必要に応じて昇温してもよい。
[方法1]では(メタ)アクリレート(Y)を相溶化剤又は希釈剤として用いてもよい。この場合、ポリプロピレングリコール(A)を(メタ)アクリレート(Y)と共に反応器に仕込み、均一になるまで攪拌した後、ポリイソシアネート(B)を仕込んで均一にする。このことにより、反応液の粘度がさらに低く抑えられる。その後、攪拌をしながら必要に応じて昇温後、ウレタン化触媒を投入して反応を開始する方法が望ましい。ウレタン化触媒を投入後に必要に応じて昇温してもよい。
ポリプロピレングリコール(A)及びポリイソシアネート(B)を均一に攪拌する前にウレタン化触媒を投入した場合、反応が不均一に進行することによって、得られるウレタンプレポリマーがゲル化する等の問題が生じる傾向がある。さらに、未反応のポリイソシアネート(B)が系中に残存した状態で反応が終結することがある。この場合、後に反応させる(メタ)アクリレート(C)と、残存したポリイソシアネート(B)とが反応することにより得られる副生物により、400nmでの光透過率が低下するため好ましくない。
副生物の含有量は、目的とするウレタンプレポリマーに対して7重量%未満であることが好ましい。7重量%以上であると400nmでの光透過率が顕著に低下する。
[方法1]は、ポリプロピレングリコール(A)の粘度が高い場合であってもそのまま反応器に仕込める点、ワンポットでウレタンプレポリマーが製造できる点で工業的に優れている。また、ポリプロピレングリコール(A)とポリイソシアネート(B)とが均一に混合された状態から反応が開始されるため、化学量論通りの反応が進行する点で優れている。さらに、均一なウレタンプレポリマーが得られること(例えば、分子量分布が狭いウレタンプレポリマーが得られること)や、製造再現性が高いといった点で有効である。一方、後述の[方法2]、[方法3]の様に、ポリプロピレングリコール(A)やポリイソシアネート(B)の何れか一方を滴下して反応させる方法では、滴下時間によって系中の反応種の比率が異なるため、均一なウレタンプレポリマーが得られないこと、つまり、得られるウレタンプレポリマーの分子量分布が広範になる点で不利である。
[方法2]の場合、反応器にポリイソシアネート(B)及びウレタン化触媒を仕込み、均一になるまで攪拌させ、必要に応じて昇温し、ポリプロピレングリコール(A)を滴下しながら反応させることを特徴とする。
[方法2]では(メタ)アクリレート(Y)を相溶化剤又は希釈剤として用いてもよい。具体的には、ポリイソシアネート(B)、ウレタン化触媒、及び(メタ)アクリレート(Y)を仕込み、均一になるまで攪拌させる。その後、必要に応じて昇温し、ポリプロピレングリコール(A)、又はポリプロピレングリコール(A)及び(メタ)アクリレート(Y)の均一混合液を滴下しながら反応させることを特徴とする。
[方法3]の場合、反応器にポリプロピレングリコール(A)及びウレタン化触媒を仕込み、均一になるまで攪拌させ、必要に応じて昇温し、ポリイソシアネート(B)を滴下しながら反応させることを特徴とする。
[方法3]では(メタ)アクリレート(Y)を相溶化剤又は希釈剤として用いてもよい。具体的には、ポリプロピレングリコール(A)、ウレタン化触媒、及び(メタ)アクリレート(Y)を仕込み、均一になるまで攪拌させる。その後、必要に応じて昇温し、ポリイソシアネート(B)、又はポリイソシアネート(B)及び(メタ)アクリレート(Y)の均一混合液を滴下しながら反応させることを特徴とする。
[方法3]の場合、大量のポリプロピレングリコール(A)の中にポリイソシアネート(B)を滴下しながら反応させるため、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基がポリプロピレングリコール(A)の水酸基とウレタン化する。ポリプロピレングリコール(A)がジオールであり、ポリイソシアネート(B)がジイソシアネートである場合、模式的に書くとA−B−A型の両末端が水酸基のジオールが副生し、さらに、これに2モルのポリイソシアネート(B)(ジイソシアネート)が反応し、模式的に書くと、B−A−B−A−B型の両末端がイソシアネート基の化合物が副生し、さらに同様な反応が繰り返され、模式的に書くと以下の構造の化合物が大量に副生する場合がある。
B−[A−B]n−A−B (n=1以上の整数)
副生物が大量に副生すると、ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートはアクリル密度が低くなるため、硬化物は十分な架橋密度が得られず、硬化物の硬度が低下する。
なお、[方法2]でも[方法3]で述べた副生物が生成することがあるものの、その量は少ない傾向がある。また、[方法2]の場合は、得られるウレタンプレポリマーの粘度が低い傾向がある。
従って、目的とするウレタンプレポリマーを収率よく得るためには、[方法1]、[方法2]が好ましく用いられ、[方法1]が特に好ましく用いられる。
なお、何れの方法でも、ポリプロピレングリコール(A)及びポリイソシアネート(B)との反応によりウレタンプレポリマーを形成する際、反応液中の全ての水酸基がウレタン化するまで反応を行うことが好ましい。
反応の終点は、反応液中のイソシアネート基濃度を測定し、系内に仕込んだ水酸基の全てがウレタン化した時のイソシアネート基濃度以下となったことや、イソシアネート基濃度が変化しなくなったこと等により確認できる。
ポリプロピレングリコール(A)の水酸基とポリイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル比は特に限定されないが、例えば、水酸基1モルに対して、イソシアネート基を1.05〜2.0モル、好ましくは1.1〜1.8モル、より好ましくは1.2〜1.6モル用いることができる。
ウレタンプレポリマーと(メタ)アクリレート(C)とを反応させて、目的とするウレタン(メタ)アクリレート(X)を製造する際、未反応のイソシアネート基が多量に残存すると、ウレタン(メタ)アクリレートのゲル化や塗膜の硬化不良等の不具合が生じる可能性がある。これらの不具合を避けるため、前記反応において(メタ)アクリレート(C)に加え、アルコール(D)を使用してもよい。
また、これらの不具合を避けるため前記反応において、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基のモル数に対して、(メタ)アクリレート(C)の水酸基のモル数が過剰となるように反応させ、且つ反応液中の残存イソシアネート基濃度が0.05重量%以下に達するまで反応を継続する必要がある。なお、前記反応において、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基のモル数1モルに対して、(メタ)アクリレート(C)の水酸基のモル数は、1.0〜1.2モル、好ましくは1.0〜1.1モルとすることができる。なお、アルコール(D)を使用する場合は、(メタ)アクリレート(C)とアルコール(D)との水酸基のモル数の合計量が、上記範囲に含まれることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造方法においては、重合を防止する目的で、ジブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等の重合禁止剤存在下で行うことが好ましい。これらの重合禁止剤の添加量は特に限定されないが、得られるウレタン(メタ)アクリレート(X)に対して、例えば、1〜10000ppm(重量基準)が好ましく、より好ましくは100〜5000ppm、さらに好ましくは200〜1000ppmである。重合禁止剤の添加量がウレタン(メタ)アクリレート(X)に対して1ppm未満であると十分な重合禁止効果が得られないことがあり、10000ppmを超えると反応物の物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の製造方法においては、分子状酸素含有ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素濃度は安全面を考慮して適宜選択される。
本発明の製造方法においては、十分な反応速度を得るために、触媒(ウレタン化触媒)を用いて行ってもよい。触媒としては、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、塩化スズ等を用いることができるが、反応速度面からジブチルスズジラウレートが好ましい。これらの触媒の添加量は特に限定されないが、得られるウレタン(メタ)アクリレート(X)に対して、例えば、1〜3000ppm(重量基準)が好ましく、より好ましくは10〜1000ppmである。触媒添加量が1ppmより少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、3000ppmより多く加えると耐光性の低下等、生成物の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の製造方法では、公知の揮発性有機溶剤の存在下で行うことができる。揮発性有機溶剤はウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造後、減圧により留去することができる。また、活性エネルギー線硬化性組成物中に残った揮発性有機溶剤を透明基材に塗布した後、減圧(乾燥)により除去することもできる。なお、揮発性有機溶剤とは、例えば、1.0気圧における沸点が200℃を超えない有機溶剤が挙げられる。
しかしながら、密閉状態での硬化を必要とする系では、揮発性有機溶剤を使用せずに活性エネルギー線硬化性組成物を調製することが好ましい。つまり、本発明の製造方法においては揮発性有機溶剤を含まないことが好ましい。また、同様の理由から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は揮発性有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、活性エネルギー線硬化性組成物に占める割合が、例えば、1重量%以下であることを意味するが、0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法における反応温度は特に限定されないが、例えば、130℃以下で行うことが好ましく、30〜100℃であることがより好ましい。30℃より低いと実用上十分な反応速度が得られないことがあり、130℃より高いと熱によるラジカル重合によって二重結合部が架橋し、ゲル化物が生じることがある。
本発明の製造方法において、ウレタンプレポリマーを形成する際は、その反応液中のイソシアネート基濃度が、反応に供した水酸基の全てがウレタン化した場合に残存するイソシアネート基濃度以下となるまで反応させてウレタンプレポリマーを形成させることが好ましい。なお、残存イソシアネート基濃度はガスクロマトグラフィー、滴定法等で分析することができる。
ウレタンプレポリマーから、ウレタン(メタ)アクリレート(X)を製造する際の反応液中のイソシアネート基濃度は、通常、残存イソシアネート基が0.5重量%以下になるまで行う。残存イソシアネート基濃度はガスクロマトグラフィー、滴定法等で分析する。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(X)及び光重合開始剤(Z)を含むことを特徴とする。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに、単官能(メタ)アクリレート(Y)を含んでいてもよい。
[光重合開始剤(Z)]
光重合開始剤(Z)は、活性エネルギー線の種類やウレタン(メタ)アクリレート(X)の種類によっても異なることがあり、特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフインオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。なお、光重合開始剤(Z)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(Z)の使用量は特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線硬化性組成物の樹脂分全量100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。光重合開始剤(Z)の使用量が0.1重量部よりも少ないと硬化不良を引き起こす恐れがあり、逆に光重合開始剤(Z)の使用量が20重量部よりも多いと硬化後の塗膜から光重合開始剤由来の臭気が残存することがある。なお、「樹脂分」とは、活性エネルギー線硬化性組成物に含まれる硬化性の樹脂を意味し、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(X)、単官能(メタ)アクリレート(Y)、及び後述の多官能(メタ)アクリレート等を指す。なお、光重合開始剤(Z)や溶剤は樹脂分には該当しない。
[単官能(メタ)アクリレート(Y)]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、単官能(メタ)アクリレート(Y)を含有することにより、ウレタン(メタ)アクリレート(X)を製造する上で粘度の調整及び硬化塗膜のTgの調整が的確に行われ、粘度上昇の防止、樹脂外観、副生物抑制、硬化物の透明性、耐熱性等が向上するという効果を奏する。なお、単官能(メタ)アクリレートとは、分子中に(メタ)アクリロイル基を1つ有する(メタ)アクリレートを指す。
上述の通り、ウレタン(メタ)アクリレート(X)(特に、ウレタンプレポリマー)を形成する際に、(メタ)アクリレート(Y)を相溶化剤として用いてもよい。(メタ)アクリレート(Y)を相溶化剤として用いることで、原料(例えばポリプロピレングリコール(A)及びポリイソシアネート(B)等)を相溶化することができる。また、ウレタン(メタ)アクリレート(X)を形成させる際に反応液の粘度が上昇することがあるが、その際に粘度上昇を緩和する、いわゆる希釈剤として使用してもよい。さらに、ウレタン(メタ)アクリレート(X)の形成の際に用いることで、改めて(メタ)アクリレート(Y)をウレタン(メタ)アクリレート(X)に加えるとする作業を省くことができるため、作業効率が向上する。
(メタ)アクリレート(Y)の配合量は特に限定されないが、ウレタン(メタ)アクリレート(X)と(メタ)アクリレート(Y)との総量(100重量%)に対して、例えば、1〜98重量%が好ましく、より好ましくは4〜96重量%である。
(メタ)アクリレート(Y)は特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレートが好ましく、n−オクチル(メタ)アクリレート(ノルマルオクチル(メタ)アクリレート)が特に好ましい。なお、単官能(メタ)アクリレート(Y)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート(Y)は市販品を用いてもよく、例えば、製品名「β−CEA」(ダイセル・オルネクス(株)製、β−カルボキシエチルアクリレート)、製品名「IBOA」(ダイセル・オルネクス(株)製、イソボルニルアクリレート)、製品名「ODA−N」(ダイセル・オルネクス(株)製、オクチル/デシルアクリレート)、製品名「NOA」(大阪有機化学(株)製、ノルマルオクチルアクリレート)等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに必要に応じてウレタン(メタ)アクリレート(X)及び単官能(メタ)アクリレート(Y)以外の樹脂(例えば、多官能(メタ)アクリレート)や、種々の添加剤、溶剤を配合することができる。
多官能(メタ)アクリレートは2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、ウレタン(メタ)アクリレート(X)以外のものであれば特に限定されないが、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート等の分子中に(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物が挙げられる。2官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性組成物の樹脂分100重量部に対して、例えば、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部である。
添加剤としては、例えば、フィラー、染顔料、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤等が挙げられる。これらの添加物の配合量は、特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性組成物の樹脂分全量100重量部に対して、例えば、0〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部である。
溶剤としては、例えば、本発明の製造方法で説明した揮発性有機溶剤を使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、層間充填剤(層間充填用硬化性組成物)として使用できるが、その他にも粘着剤用組成物やコーティング剤用組成物、特に光学部材又は光学フィルムに使用される粘着剤用組成物やコーティング剤用組成物として用いることができる。
<硬化物>
本発明の硬化物は、JIS K 6253に基づいて、タイプAデュロメータを用いて測定される表面の硬度(A硬度)が70以下であることが好ましく、より好ましくは10〜68、さらに好ましくは20〜65である。なお、硬度を測定する硬化物は特に限定されないが、例えば、実施例に記載される方法にて作製した硬化物を用いて測定してもよい。
<積層体>
本発明の積層体は、ガラス及びプラスチックから選ばれる第一の透明基材と、ガラス及びプラスチックから選ばれる第二の透明基材との間に前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層を有する積層体であればよく、特に限定されない。好ましくは、第一の透明基材の上に前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布して樹脂層を形成し、前記樹脂層上に第二の透明基材を付着させ、この後、透明基材越しに、例えば、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより、極めて短時間で前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて、硬化物層を形成させて積層体を得ることができる。図1に積層体の一態様を示す。
[透明基材]
透明基材としては、透明ガラス板等のガラス基材の他に透明プラスチックフィルム等のプラスチック基材を使用することができる。
プラスチック基材としては、既存の透明素材を用いることが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が例示される。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が特に好ましく用いられる。
[透明基材への塗布・注入・硬化方法]
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を透明基材(例えば、ガラス板等のガラス基材やプラスチックフィルム等のプラスチック基材等)に塗布する場合、塗布方法としては、特に限定されず、吹き付け法、エアレススプレー法、エアスプレー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア法等を用いることが可能である。これらの中でも、ロールコート法が美観性、コスト、作業性等の観点から最も好ましく用いられる。なお、塗布は、プラスチックフィルム等の製造工程中で行う、いわゆるインラインコート法でもよいし、既に製造された透明基材に別工程で塗布を行う、いわゆるオフラインコート法でもよい。生産効率の観点から、オフラインコートが好ましい。また、注入する場合は気泡の発生を防ぐため、カートリッジの使用が好ましい。
本発明の積層体における硬化物層の厚みは特に限定されないが、例えば、30〜300μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。層厚みが300μmを超える場合には、塗布する樹脂組成物の量が多量となるため、コストが高くなったり、膜厚の均一性が低下する傾向がある。また、30μm未満である場合には、硬化性樹脂の柔軟特性を発揮できない傾向がある。
紫外線照射を行う時の光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒であり、通常は数秒である。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。電子線照射の場合は、50〜1000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。活性エネルギー線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の促進を図ってもよい。
以下に、合成例及び実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下に、合成例及び比較合成例について説明する。濃度表記の「ppm」、「重量%」は、特別な記載がない限り、理論的に得られるウレタン(メタ)アクリレートに対する濃度である。また、イソシアネート基濃度の測定方法、粘度の測定方法、重量平均分子量の測定方法について説明する。
以下に合成例、比較合成例で用いたポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートを説明する。また、PPG系ポリオール成分の1級水酸基比率の判定方法についても説明する。
[ポリオール]
(PPG系ポリオール成分)
「FF2202」 製品名:プライムポールFF2202 三洋化成工業(株)製 化合物名:ポリプロピレングリコール、Mw:1992.9、水酸基価:56.3 mgKOH/g 1級水酸基比率:65モル% エチレンオキサイド変性無し
「PP2000」 製品名:サンニックスPP2000 三洋化成工業(株)製 化合物名:ポリプロピレングリコール、Mw 2028.9、水酸基価55.3 mgKOH/g 1級水酸基比率:100モル% エチレンオキサイド変性有り
「PP4000」 製品名:サンニックスPP4000 三洋化成工業(株)製 化合物名:ポリプロピレングリコール、Mw 4155.5、水酸基価27.0 mgKOH/g 1級水酸基比率:100モル% エチレンオキサイド変性有り
「PT2001」 製品名:サンニックスPT2001 三洋化成工業(株)製 化合物名:ポリプロピレングリコール、Mw 1964.9、水酸基価57.1 mgKOH/g 1級水酸基比率:100モル% エチレンオキサイド変性有り
「PN2002」 製品名:サンニックスPN2002 三洋化成工業(株)製 化合物名:ポリプロピレングリコール、Mw 2021.6、水酸基価55.5 mgKOH/g 1級水酸基比率:100モル% エチレンオキサイド変性有り
(PTMG系ポリオール)
「PTMG2000」 製品名:PTMG2000 三菱化学(株)製 化合物名:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、Mw1965、水酸基価57.1mgKOH/g
(PC系ポリオール)
「T−5652」 製品名:DURANOL T−5652 旭化成ケミカル(株)製 化合物名:ポリカーボネートポリオール、Mw:2007、水酸基価55.9 mgKOH/g
(PE系ポリオール)
「Priplast 3199」 製品名:Priplast 3199、クローダジャパン社製 化合物名:ポリエステルポリオール、Mw2000、水酸基価56.1 mgKOH/g
(その他)
「TMP」 製品名:トリメチロールプロパン(TMP) 三菱ガス化学(株)製 Mw 134、白色固体
「BEPD」 製品名:ブチルエチルプロパンジオール KHネオケム(株)製
[ポリイソシアネート]
「IPDI」 製品名「VESTANAT IPDI」 エボニック(株)製 化合物名:イソホロンジイソシアネート
「HDI」 製品名:HDI 日本ポリウレタン(株)製 化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネート
「HMDI」 製品名「HMDI」 住化バイエル(株)製 化合物名:ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート
「TMHDI」 製品名「TMHDI」 エボニック(株)製 化合物名:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物
[水酸基含有(メタ)アクリレート]
「HEA」 製品名「β−HEA アクリル酸2−ヒドロキシエチル」 日本触媒(株)製 化合物名:2−ヒドロキシエチルアクリレート
「HPA」 製品名「アクリル酸2−ヒドロキシプロピル」 日本触媒(株)製 化合物名:ヒドロキシプロピルアクリレート
[モノオール]
「2−EH」 製品名「2−EH」 三協化学(株)製 化合物名:2−エチルヘキシルアルコール
[単官能(メタ)アクリレート]
「NOA」 製品名「NOAA」 大阪有機化学(株)製 化合物名:ノルマルオクチルアクリレート
「IBOA」 製品名「IBOA」 共栄社製 化合物名:イソボニルアクリレート
(合成例1)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、326.3gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、54.5gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
反応が完結したことは、反応液中のイソシアネート基濃度が、反応に供した水酸基の全てがウレタン化した時の残存イソシアネート基濃度(以下、「理論終点イソシアネート基濃度」と称することがある)以下となったことで確認した。本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(1.81重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、19.2gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−1)を得た。本反応に用いたFF2202、IPDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(合成例2)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、345.5gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、45.7gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(0.91重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、8.8gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−2)を得た。本反応に用いたFF2202、IPDI、HEAのモル比は、4.5:5.5:2.02であった。
(合成例3)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、340.3gのFF2202、2.2gのトリメチロールプロパン(TMP)、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、49.7gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(0.81重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、7.8gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−3)を得た。本反応に用いたFF2202、TMP、IPDI、HEAのモル比は、5.0:0.5:6.75:2.02であった。
(合成例4)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、335.5gのFF2202、2.7gのTMP、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、52.2gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(0.88重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、9.6gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−4)を得た。本反応に用いたFF2202、TMP、IPDI、HEAのモル比は、4.0:0.5:5.75:2.02であった。
(合成例5)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、335.5gのFF2202、2.7gのTMP、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、52.2gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(0.88重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、1.6gの2−エチルヘキシルアクリレート(2−EH)を投入した。さらに、内温を70℃にして1時間攪拌した後、8.2gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−5)を得た。本反応に用いたFF2202、TMP、IPDI、2−EH、HEAのモル比は、4.0:0.5:5.75:0.3:1.72であった。
(合成例6)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、253.1gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、32.0gのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(1.87重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、14.9gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−6)を得た。本反応に用いたFF2202、HDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(合成例7)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、238.9gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、47.1gのジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(HMDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(1.76重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、14.0gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−7)を得た。本反応に用いたFF2202、HMDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(合成例8)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、246.5gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、39.0gの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(TMHDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(1.82重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、14.5gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−8)を得た。本反応に用いたFF2202、TMHDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(合成例9)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、243.3gのFF2202、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、40.7gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度(1.81重量%)以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、16.0gの2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)を投入し、イソシアネート基濃度が0.05重量%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(X−9)を得た。本反応に用いたFF2202、IPDI、HPAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(比較合成例1)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、420gのPTMG2000、333.3g(40重量%分)のイソボルニルアクリレート(IBOA)、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、63.3gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度0.73重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、16.7gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−1)を得た。本反応に用いたPTMG2000、IPDI、HEAのモル比は、3.0:4.0:2.02であった。
(比較合成例2)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、289.9gのDURANOL T−5652、46.52gのBEPD、214.29gのブチルアセテート、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、128.3gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度1.8重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、35.19gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−2)を得た。本反応に用いたDURANOL T−5652、BEPD、IPDI、HEAのモル比は、1.0:2.0:4.0:2.02であった。
(比較合成例3)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、421.2gのPriplast 3199、214.3g(30重量%分)のNOA、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、62.3gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度0.85重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、16.4gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−3)を得た。本反応に用いたPriplast 3199、IPDI、HEAのモル比は、3.0:4.0:2.02であった。
(比較合成例4)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、429.1gのPP2000、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、58.6gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度0.91重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、12.4gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−4)を得た。本反応に用いたPP2000、IPDI、HEAのモル比は、4.0:5.0:2.02であった。
(比較合成例5)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、458.8gのPP4000、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、32.6gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度0.63重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、8.6gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−5)を得た。本反応に用いたPP4000、IPDI、HEAのモル比は、3.0:4.0:2.02であった。
(比較合成例6)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、395.1gのPT2001、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、77.6gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度1.83重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、27.3gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−6)を得た。本反応に用いたPT2000、IPDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
(比較合成例7)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、408.1gのPN2002、800ppmのジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を充填した。内温を70℃にし、1時間攪拌して系内を均一化させた後、50℃に冷却し、68.0gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を投入した。系内を均一化させた後、100ppmのジブチルスズジラウレート(DBTDL)を加え1時間攪拌させた(この間、反応温度はわずかに上昇した)。その後攪拌を継続しながら、70℃まで昇温し、70℃で反応を継続した。
本例では、反応液中のイソシアネート基濃度が理論終点イソシアネート基濃度1.80重量%以下であることを確認した後、次の操作へ移行した。
その後、23.9gのHEAを投入し、イソシアネート基濃度が0.05濃度%以下になったことを確認して反応を終了させ、ウレタン(メタ)アクリレート(CX−7)を得た。本反応に用いたPN2002、IPDI、HEAのモル比は、2.0:3.0:2.02であった。
[イソシアネート基濃度の測定]
イソシアネート基濃度は、以下の様に測定した。なお、測定は100mLのガラスフラスコでスターラーによる攪拌の下で行った。
(ブランク値の測定)
15mLのTHFに、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)15mLを加え、さらにブロモフェノールブルー(1%メタノール希釈液)を3滴加えて加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定した。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVb(mL)とした。
(実測イソシアネート基濃度の測定)
サンプルをWs(g)秤量し、15mLのTHFに溶解させ、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)を15mL加えた。溶液化したことを確認した後、ブロモフェノールブルー(1%メタノール希釈液)を3滴加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定した。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVs(mL)とした。
以下の計算式により、サンプル中のイソシアネート基濃度を算出した。
イソシアネート基濃度(重量%)=(Vb−Vs)×1.005×0.42/Ws
[粘度の測定]
ウレタン(メタ)アクリレートの粘度は、E型粘度計(東機産業、TV−25型)を用い、60℃の条件にて測定し、その結果を表1及び2に記載した。
[重量平均分子量の測定]
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーション・ガスクロマトグラフィー)法により、下記の測定条件で、標準ポリスチレンを基準にして求め、その結果を表1及び2に記載した。表1及び2における重量平均分子量は有効数字2桁を記載した。
使用機器 : TOSO HLC−8220GPC
ポンプ : DP−8020
検出器 : RI−8020
カラムの種類: Super HZM−M, Super HZ4000, Super HZ3000, Super HZ2000
溶剤 : テトラヒドロフラン
相流量 : 1mL/分
カラム内圧力: 5.0MPa
カラム温度 : 40℃
試料注入量 : 10μL
試料濃度 : 0.2mg/mL
Figure 2020132783
Figure 2020132783
[ポリプロピレングリコールの1級水酸基比率の算出方法]
(試料の調製)
30mgのポリプロピレングリコールをスクリュー管に入れ、0.5mLの重水素化クロロホルム、0.1mLの無水トリフルオロ酢酸を加えて溶解させた。本処理によりポリプロピレングリコールの末端水酸基は無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1H−NMR測定において、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測されることとなる。得られた溶液を内径5mmのNMR用試験管へ移液して試料を調製した。
1H−NMR測定の装置及び条件)
1H−NMRスペクトルは下記の装置及び条件により測定した。
測定装置:商品名「JNM−ECA500NMR」(日本電子(株)製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
(1級水酸基比率の計算方法)
1級水酸基比率は次の計算式により算出する。
1級水酸基比率(モル%)=[p/(p+2×q)]×100
(p:4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値 q:5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値)
以下に、実施例及び比較例について説明する。
[活性エネルギー線硬化性組成物の調製]
100重量部のウレタン(メタ)アクリレート(X−1)〜(X−9)、(CX−1)〜(CX−7)のそれぞれに、光重合開始剤として3重量部のIrg184(化合物名 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製)を加えて活性エネルギー線硬化性組成物とした。
[硬化物のA硬度測定]
ガラス板(寸法:2×100×200mm)上に、シリコンラバーで方形の枠を作り(内寸:7×40×40mm)、その枠の中に予め加温しておいた活性エネルギー線硬化性組成物をなるべく気泡が発生しないようにゆっくりと投入した。気泡が目立つ時は80℃のオーブンに入れることで、気泡を抜いた。その後、80℃で加温し、表面が平滑になったところで、下記の条件で紫外線照射を行い、さらに塗膜を裏返しにして、同様の条件で紫外線を照射し、試験片Aを得た。図2は試験片Aを上から見た図である。
(紫外線照射条件)
照射強度 : 120W/cm
照射距離 : 10cm
コンベア速度: 3.5m/分
照射回数 : 5回
自動定圧荷重器(GS−610、(株)テクロック社製)を用い、JIS K 6253に準拠し、試験片AのA硬度を測定し、その結果を表3のA硬度の欄に記載した。測定時の荷重は500g、荷重降下速度は9mm/sとした。
[硬化物の耐熱性の評価]
ガラス積層体(試験片B)を以下の耐熱条件下で保管し、試験片Bの形状の変化を観察した。
(試験片Bの作成)
ガラス板(厚さ1mm、5cm四方)の中心に活性エネルギー線硬化性組成物0.2g(±0.005g)を正確に秤量してのせた。さらにその上から同形状のガラス板を被せ、樹脂層を円状(4cm径)に広げ、ガラス積層体を得た。その後、高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製)を用いて、下記の条件でガラス積層体のガラス面から紫外線照射を行い、試験片Bを得た。図3の(A)はガラス積層体を上から見た図であり、同図の(B)はガラス積層体を横から見た図である。
(紫外線照射条件)
照射強度 :120W/cm
照射距離 :10cm
コンベア速度:5m/分
照射回数 :8回(両面各4回)
(高温条件下での保管)
小型環境試験器(製品名SH−641、エスペック(株)製)を用い、温度95℃の条件で1000時間、試験片Bを保管した。
[硬化物の耐熱性の評価(形状変化)]
高温条件下での保管後の試験片Bの形状変化の有無を目視により測定し、以下の基準で評価した。
目視により形状変化(そり、シワの発生、ガラス板のズレ等)が確認できない場合、形状の観点から耐熱性は良好であるとして、表3の耐熱性の欄に「○」を記載した。一方、目視により形状変化が確認できた場合には、形状の観点から耐熱性は不良であるとして、表3の耐熱性の欄に「×」を記載した。
Figure 2020132783
本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、高い耐熱性を備えること、すなわち、上記耐熱性試験中に形状変化しない特性を備えることが明らかになった(実施例1〜9)。これに対し、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリプロピレングリコール以外のポリオールを使用して得られたウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物は、その硬化物の柔軟性や耐熱性が悪いことが明らかになった(比較例1〜3)。さらに、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加を使用して得られたウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物は、その硬化物の耐熱性が悪く、上記耐熱性試験中において形状変化を生じることが明らかになった(比較例4〜7)。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化性組成物に配合することにより、その硬化物に良好な柔軟性及び耐熱性を付与することができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、その硬化物が良好な柔軟性及び耐熱性を示す。従って、本発明のウレタン(メタ)アクリレート及びこれを含む活性エネルギー線硬化性組成物をパソコン、カーナビ、テレビ、携帯電話(スマートフォン等)、タブレット等に用いられているディスプレイの透明基材間に充填して硬化することで、空気と透明基材界面における光散乱を防止でき、さらに耐熱性試験中に色相変化や形状変化を起こしにくい積層体が得られる。特に、求められる使用環境が苛酷な用途においても有用である。
1 活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層
2 透明基材
3 透明基材
4 シリコンラバー
11 樹脂
21 ガラス板
31 樹脂
41 ガラス板

Claims (6)

  1. ポリプロピレングリコール(A)、ポリイソシアネート(B)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C)を構成単位として含むウレタン(メタ)アクリレートであって、
    前記ポリプロピレングリコール(A)が、末端水酸基における1級水酸基の比率が20モル%以上であるポリプロピレングリコール(ただし、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物を除く)であることを特徴とするウレタン(メタ)アクリレート。
  2. ポリプロピレングリコール(A)の重量平均分子量が1500以上である請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
  3. 請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 層間充填用である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項3又は4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
  6. ガラス及びプラスチックから選ばれる第一の透明基材と、ガラス及びプラスチックから選ばれる第二の透明基材との間に請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層を有する積層体。
JP2019029914A 2019-02-21 2019-02-21 ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物 Active JP7257815B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029914A JP7257815B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029914A JP7257815B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020132783A true JP2020132783A (ja) 2020-08-31
JP7257815B2 JP7257815B2 (ja) 2023-04-14

Family

ID=72277743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019029914A Active JP7257815B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7257815B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001047824A1 (en) * 1999-12-24 2001-07-05 Dsm N.V. Optical fiber coating compositions
JP2008090227A (ja) * 2006-10-05 2008-04-17 Bridgestone Corp 導電性弾性ローラ及びそれを具えた画像形成装置
JP2009242736A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Sanyo Chem Ind Ltd 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2012144634A (ja) * 2011-01-12 2012-08-02 Jsr Corp 光学樹脂および光学樹脂層の製造方法、光学樹脂用組成物、ならびに画像表示装置
WO2012124475A1 (ja) * 2011-03-11 2012-09-20 日立化成工業株式会社 液状硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置の製造方法、及び画像表示用装置
JP2012201786A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Nippon Shokubai Co Ltd 光学用紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び表示装置
JP2015221894A (ja) * 2011-10-21 2015-12-10 日本化薬株式会社 光学部材の製造方法及びそのための紫外線硬化型樹脂組成物の使用
JP2018070739A (ja) * 2016-10-28 2018-05-10 三洋化成工業株式会社 硬化性樹脂組成物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001047824A1 (en) * 1999-12-24 2001-07-05 Dsm N.V. Optical fiber coating compositions
JP2008090227A (ja) * 2006-10-05 2008-04-17 Bridgestone Corp 導電性弾性ローラ及びそれを具えた画像形成装置
JP2009242736A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Sanyo Chem Ind Ltd 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
JP2012144634A (ja) * 2011-01-12 2012-08-02 Jsr Corp 光学樹脂および光学樹脂層の製造方法、光学樹脂用組成物、ならびに画像表示装置
WO2012124475A1 (ja) * 2011-03-11 2012-09-20 日立化成工業株式会社 液状硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置の製造方法、及び画像表示用装置
JP2012201786A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Nippon Shokubai Co Ltd 光学用紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び表示装置
JP2015221894A (ja) * 2011-10-21 2015-12-10 日本化薬株式会社 光学部材の製造方法及びそのための紫外線硬化型樹脂組成物の使用
JP2018070739A (ja) * 2016-10-28 2018-05-10 三洋化成工業株式会社 硬化性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7257815B2 (ja) 2023-04-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5859926B2 (ja) 層間充填用活性エネルギー線硬化性組成物
WO2012096111A1 (ja) ラジカル硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、及び光学用成形体
TW201418303A (zh) 紫外線硬化性胺基甲酸酯丙烯酸酯組成物、薄膜成形體、光學薄膜、及薄膜成形體之製造方法
JP5564949B2 (ja) 硬化型組成物
JP4404183B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
WO2016121706A1 (ja) 感光性樹脂組成物及びその硬化物
WO2020054582A1 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物
JP2010215774A (ja) 硬化型組成物及びウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
JP6899225B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性組成物
JP7257815B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート、これを含む活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物
JP2017048301A (ja) ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物
WO2022225041A1 (ja) 硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型組成物及び活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物
JP6527003B2 (ja) 層間充填用硬化性樹脂組成物
JP6425986B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート、並びに活性エネルギー線硬化型ウレタン(メタ)アクリレート組成物及びその硬化物
JP2003137964A (ja) 紫外線吸収性官能基含有ウレタン(メタ)アクリレート及びその組成物
JP7461239B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート組成物、活性エネルギー線硬化性組成物、及びその硬化物
EP3025778B1 (en) Reaction accelerator and method of producing urethane compound, thiourethane compound, amide compound or urea compound using same
JP2023076850A (ja) 硬化性樹脂組成物
WO2023106144A1 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート
WO2023106145A1 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート
JP5553118B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20211210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221018

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230404

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7257815

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150