JP2017173479A - 画像表示装置構成用積層体及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粘着シートを用いて2つの画像表示装置構成部材を一次貼着した後、さらに硬化させて二次貼着させることができ、しかも、紫外線を照射する必要のない新たな画像表示装置構成用積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及び、波長405nmの吸光係数が10以上である光重合開始剤(C)を含有する粘着剤組成物からなる、光硬化前の両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層した後、少なくとも一方の画像表示装置構成用部材の外側から当該画像表示装置構成用部材を通して、少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光を前記両面粘着シートに照射して該両面粘着シートを可視光架橋して硬化させることを特徴とする製造方法を提案する。
【選択図】なし
Description
しかし、画像表示装置構成部材の中には、紫外線劣化しやすい部材があるため、このような場合には、上記のような方法で2つの画像表示装置構成部材を貼着することはできない。また、画像表示装置構成部材が紫外線吸収性をもつ場合は、当該部材を介して紫外線を照射しても粘着シートまで紫外線が十分に到達しないため、このような場合においても、上記のような方法で2つの画像表示装置構成部材を貼着することができないという課題があった。
(1) (メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及び、波長405nmの吸光係数が10以上である光重合開始剤(C)を含有する粘着剤組成物からなる、光硬化前の両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層する工程。
(2) 両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成用部材を積層した後、少なくとも一方の画像表示装置構成用部材の外側から当該画像表示装置構成用部材を通して、少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光を前記両面粘着シートに照射して該両面粘着シートを可視光架橋して硬化させる工程。
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置構成用積層体の製造方法(「本積層体製造方法」と称する)は、必要に応じて、(メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)及び光重合開始剤(C)を含有する粘着剤組成物(「本粘着剤組成物」と称する)をシート状に形成した後(「シート作製工程」)、本粘着剤組成物からなる光硬化前の両面粘着シート(本粘着シート)を介して2つの画像表示装置構成部材を積層し(「一次貼着工程」)、次に、少なくとも一方の画像表示装置構成用部材の外側から当該画像表示装置構成用部材を介して、少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光を本粘着シートに照射して本粘着シートを可視光架橋して硬化させる(「二次貼着工程」)ことにより、画像表示装置構成用積層体を作製することを特徴とする製造方法である。
本工程では、本粘着剤組成物をシート状に成形して本粘着シートを作製する。但し、本工程は、必要に応じて導入すればよい。
この際、本粘着剤樹脂組成物を、離型フィルムの上にシート状に成膜して本粘着シートを作製するようにしてもよい。
また、本粘着剤樹脂組成物を、画像表示装置構成部材の上にシート状に製膜して、当該画像表示装置構成部材上に本粘着シートを積層するようにしてもよい。
本粘着シートが、後述するように自己粘着性(タック性)を備えていれば、本粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を重ねるだけで一次貼着することができる。
この際のカット方法は、トムソン刃による打ち抜き、スーパーカッターやレーザーでのカットが一般的であり、離型フィルムを剥がし易いように表裏どちらか一方の離型フィルムを額縁状に残してハーフカットするのがより好ましい。
この際、本粘着シートの加熱手段としては、例えば各種の恒温槽や、ホットプレート、電磁加熱装置、加熱ロールなどを用いることができる。より効率的に貼合と加熱を行うためには、例えば電熱プレス機や、ダイアフラム方式のラミネータ、ロールラミネータなどが好ましく用いられる。この際、例えば、画像表示装置構成部材の一方又は両方を加熱して本粘着シートを加熱することができる。
よって、本粘着シートの軟化温度は、50〜100℃であるのが好ましく、中でも55℃以上或いは95℃以下、その中でも60℃以上或いは90℃以下であるのがさらに好ましい。
減圧環境下で積層体を加熱することにより、貼合後に本粘着シート内に気泡が混入したり、異物が混入したりするのを防ぐことができる。
二次貼着工程では、本粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材が積層してなる積層体に対して、少なくとも一方の画像表示装置構成用部材の外側から当該画像表示装置構成用部材を通して、少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光、好ましくは、波長380nm以下の波長の光を実質含まない可視光線を本粘着シートに照射し、本粘着シートを光架橋させて硬化させる。
前記フィルターは、本粘着シート積層体を構成する離型フィルムや、本粘着シート積層体の表面に積層して用いる表面保護フィルムであってもよい。
本粘着シートは、(メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及び、光重合開始剤(C)、さらに必要に応じて紫外線吸収剤(D)を含有する本粘着剤組成物からなる透明両面粘着シートである。
本粘着シートのベースポリマーとしての(メタ)アクリル系共重合体は、これを重合するために用いられるアクリルモノマーやメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等によって、ガラス転移温度(Tg)等の特性を適宜調整することが可能である。
本粘着シートの好ましいベースポリマーの一例として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体(A1)を挙げることができる。
よって、本粘着シートのベースポリマーとして(メタ)アクリル系共重合体(A1)を使用すれば、未架橋状態であっても、室温(20℃)において粘着性を示し、且つ、50〜90℃、より好ましくは60℃以上或いは80℃以下の温度に加熱すると軟化乃至流動化する性質すなわちホットメルト性を備えることができる。
この際、幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度とは、(メタ)アクリル系共重合体(A1)の幹成分を組成するモノマー成分のみを共重合して得られるポリマーのガラス転移温度を指す。具体的には、当該共重合体各成分のホモポリマーから得られるポリマーのガラス転移温度と構成比率から、Foxの計算式によって算出される値を意味する。
なお、Foxの計算式とは、以下の式により求められる計算値であり、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されている値を用いて求めることができる。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
[式中、Wiはモノマーiの重量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(℃)を示す。]
但し、当該共重合体成分のガラス転移温度が同じ温度であったとしても、分子量を調整することにより粘弾性を調整することができる。例えば共重合体成分の分子量を小さくすることにより、より柔軟化させることができる。
また、上記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルキルビニルモノマー等の各種ビニルモノマーも適宜用いることができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A1)の幹成分が、疎水性モノマーのみから構成されると、湿熱白化する傾向が認められるため、親水性モノマーも幹成分に導入して湿熱白化を防止するのが好ましい。
また、疎水性のビニルモノマーとしては酢酸ビニル、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルモノマーなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A1)は、グラフト共重合体の枝成分として、マクロモノマーを導入し、マクロモノマー由来の繰り返し単位を含有することが好ましい。
マクロモノマーとは、末端の重合性官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体である。
具体的には、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、本粘着シートの加熱溶融温度(ホットメルト温度)に影響するため、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は30℃〜120℃であるのが好ましく、中でも40℃以上或いは110℃以下、その中でも50℃以上或いは100℃以下であるのがさらに好ましい。
このようなガラス転移温度(Tg)であれば、分子量を調整することにより、優れた加工性や保管安定性を保持できると共に、80℃付近でホットメルトするように調整することができる。
マクロモノマーのガラス転移温度とは、当該マクロモノマー自体のガラス転移温度をさし、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
かかる観点から、マクロモノマーは、(メタ)アクリル系共重合体(A1)中に5質量%〜30質量%の割合で含有することが好ましく、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも8質量%以上或いは20質量%以下であるのが好ましい。
また、マクロモノマーの数平均分子量は500以上8000未満であることが好ましく、中でも800以上或いは7500未満、その中でも1000以上或いは7000未満であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば、東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
前記マクロモノマーの高分子量骨格成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N、N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルニトリル、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーや、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルモノマー、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤(B)としては、例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記架橋性官能基は、脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
湿熱白化を防止する観点からは、前記(メタ)アクリル系共重合体(A1)、すなわちグラフト共重合体の幹成分として、疎水性のアクリレートモノマーと、親水性のアクリレートモノマーとを含有するのが好ましく、さらには、架橋剤(B)として、水酸基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステルを用いるのが好ましい。
また、密着性や耐湿熱性、耐熱性等の効果を調整するために、架橋剤(B)と反応する、単官能又は多官能の(メタ)アクリル酸エステルを、更に加えてもよい。
本粘着シートに用いられる光重合開始剤(C)は、架橋剤(B)の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たすものであり、可視光線、例えば380nm〜700nmの波長領域の光線の照射によって、ラジカルを発生させてベース樹脂の重合反応の起点となるものが好ましい。但し、可視光線の照射のみによってラジカルを発生させるものであってもよいし、また、可視光領域以外の波長領域の光線の照射によってもラジカルを発生させるものであってもよい。
これらは、これらのうちの何れか一種またはその誘導体を用いてもよいし、又、これらのうちの二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、波長405nmのモル吸光係数が10未満の光重合開始剤と併用してもよい。
これらのうちの開裂型光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、可視光線域に吸収波長をもつ光重合開始剤(C)として該分子内開裂型を用いると、水素引抜型を用いる場合に比べて、光線照射によって粘着シートを架橋した後、光線反応性の光重合性開始剤が本粘着剤組成物中に未反応残渣として残り、粘着シートの予期せぬ経時変化や架橋の促進を招く可能性が低いため好ましい。また、光重合性開始剤特有の着色についても、反応分解物となることで、可視光線域の吸収がなくなり、消色するものを適宜選択することができるため好ましい。
他方、水素引抜型の光重合開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光重合開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる。
さらに、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体との相性からは、光重合開始剤(C)として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどを用いるのが好ましい。
紫外線吸収剤(D)は、紫外線を吸収できる物質であればよく、目安としては、紫外線吸収剤(D)の添加によって、両面粘着シートの波長380nmにおける吸光度を0.3以上、中でも0.5以上、その中でも1以上とすることができる物質であるのが好ましい。
A380=−Log(T380/100)
A380:波長380nmにおける吸光度
T380;両面粘着シートの380nmにおける透過率(%)
中でも、紫外線吸収性の観点から、ベンゾトリアゾール構造、トリアジン構造及びベンゾフェノン構造からなる群より選択される1つ又は2つ以上の構造を有するものが好ましい。
また、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体との相性の観点からは、紫外線吸収剤(D)としてベンゾトリアゾール構造又はベンゾフェノン構造などを用いるのが好ましい。
本粘着シートは、上記以外の成分として、通常の粘着組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば、粘着付与樹脂や、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を、必要に応じて適宜含有してもよい。
本粘着剤組成物の特に好ましい組成の一例として、(メタ)アクリル系共重合体(A)として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体を含有し、架橋剤(B)として、2官能、3官能などの多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有し、光重合開始剤(C)として、開裂型光重合開始剤を含有し、紫外線吸収剤(D)として、ベンゾトリアゾール構造又はベンゾフェノン構造を有する紫外線吸収剤を含有する組成例を挙げることができる。但し、このように組成に限定されるものではない。
本粘着シートは、単一層からなるシートであっても、2層以上が積層してなる多層シートであってもよい。
本粘着シートを多層の粘着シートとする場合には、すなわち、中間層と最外層とを備えた積層構成の粘着シートを形成する場合には、その最外層を、本粘着剤組成物から形成することが好ましい。
中間層の厚みが、上記範囲であれば、積層体における粘着材層の厚みの寄与が大きくなりすぎず、柔軟すぎて裁断や取回しに係る作業性が劣るようになることがなく好ましい。
また、最外層が上記範囲であれば、凹凸や屈曲した面への追随性に劣ることがなく、被着体への接着力や濡れ性を維持することができて、好ましい。
本粘着シートの厚みについては、シート厚を薄くすることで、薄肉化要求に応えることができる一方、シート厚を薄くし過ぎると、たとえば被着面に凹凸部あった場合に充分に凹凸に追従できなかったり、十分な接着力を発揮できなかったりする可能性がある。
かかる観点から、本粘着シートの厚みは20〜500μmであるのが好ましく、中でも25μm以上或いは350μm以下、その中でも50μm以上或いは250μm以下であるのが特に好ましい。
本粘着シートの紫外線透過率(JIS K7361−1)は、波長380nmにおいて50%以下であるのが好ましく、中でも30%以下、その中でも10%以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シート、すなわち画像表示装置構成用部材を積層する前の本粘着シートは、そのまま単独で使用することも可能である。また、他の部材と積層して使用することも可能である。
かかる観点から、一方又は両方の離型フィルムが、波長410nm以下の光の光線透過率が40%以下であるのが好ましく、中でも30%以下、その中でも20%以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シート積層体の少なくとも一方の面に、波長410nm以下の光の光線透過率が40%以下の表面保護フィルムを積層することで、本粘着シートが波長405nmのモル吸光係数が10以上である光重合開始剤(C)を含有していても、可視光の照射により光重合が進むのを効果的に防ぐことができるからである。
かかる観点から、本粘着シート積層体の一方又は両方面に積層する表面保護フィルムは、波長410nm以下の光の光線透過率が40%以下であるのが好ましく、中でも30%以下、その中でも20%以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シートを介して積層する画像表示装置構成用積層体(「本画像表示装置構成用積層体」と称する)としては、例えば離型シート、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせを、本粘着シートを介して積層してなるものを挙げることができる。
上記本画像表示装置構成用積層体を用いて、画像表示装置(「本画像表示装置」と称する)を構成することができる。
本画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及び量子ドット方式のディスプレイなどの画像表示装置を構成することができる。
なお、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルムを包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、数平均分子量3000のポリメタクリル酸メチルマクロモノマー(Tg80℃)15質量部、ブチルアクリレート81質量部、及び、アクリル酸4質量部からなる共重合体(A−1、質量平均分子量30万)1kgに対し、架橋剤(B)としてグリセリンジメタクリレート(日油社製、ブレンマーGMR)(B−1)100g、光重合開始剤(C)としてエザキュアKTO46(C−1)(Lanberti社製)を15g添加し、均一混合して、粘着剤組成物1を得た。
光重合開始剤(C−1)の405nmにおける吸光係数は、7.4×101(ml/g・cm)であった。
この評価用ガラス基板に貼合する試験用被着体として、画像表示装置構成部材としての偏光板(日東電工株式会社製「NWF−KDSEGHC−ST22」)を、予めガラス板上(54×82mm×t0.5mm)の片面に全面貼合したものを作製した。
次に、蛍光灯(照度3800Lx)の下で、前記積層体を、印刷段差付きガラス面が上になるよう5時間静置して、粘着シートに蛍光灯の光(可視光)を照射し、評価用積層体1を作成した。
この際、照射した光の、波長380nm以下の積算光量は0J/cm2、波長405nmにおける積算光量は約3.4J/cm2であった。
この際、各波長の積算光量は、積算光量計(UIT-250、ウシオ電機社製)を用いて測定した(以下同様である。)
紫外線吸収剤(D)として2,2‘−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ケミプロ化成社製、Kemisorb111)(D−1)10gを更に加えた以外は、実施例1と同様にして、粘着シート積層体2及び評価用積層体2を作成した。
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホイルMRV、厚さ100μm)の代わりに、紫外線吸収剤入りのPETフィルム(厚さ100μm)にシリコーン離型剤を塗布した離型フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にして、粘着シート積層体3及び評価用積層体3を作成した。
実施例2で作成した粘着シート積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホイルMRV、厚さ100μm)の表面に、微粘着層(5μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(25μm)/紫外線吸収層(3μm)からなる表面保護フィルムの微粘着層面を積層し、離型フィルム/粘着シート/離型フィルム/表面保護フィルムの構成からなる粘着シート積層体4及び評価用積層体4を作成した。
光重合開始剤として、エザキュアKTO46(C−1)の代わりに、エザキュアTZT(C−2)を15g添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート積層体5及び、評価用積層体5を作成した。
光重合開始剤(C−2)の405nmにおける吸光係数は10未満であり、低すぎて測定不能であった。
市販のアクリル系共重合体(A−2、質量平均分子量130万)からなる粘着剤溶液(綜研化学社製、SKダイン1882、固形分濃度約17%)1kgに対し、イソシアネート系架橋剤としてL−45(綜研化学社製)を1.85g及びエポキシ系架橋剤としてE−5XM(綜研化学社製)を0.5g、紫外線吸収剤(D)として2,2‘−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ケミプロ化成社製、Kemisorb111)(D−1)10g添加して均一混合し、粘着剤組成物2を作成した。
剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)上にも同様に、前記粘着剤組成物2を、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布した後、80℃で5分乾燥し、厚さ50μmのシート状の粘着剤組成物を得た。これらを積層して厚さ100μmとした後、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)を被覆した。これを室温(23℃)で7日間養生して架橋剤を反応させ、粘着シート積層体6を作成した。
[光学特性]
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1〜6の両側のPETフィルムを順次剥離し、粘着シートを2枚のソーダライムガラス(厚み0.5mm)で挟み込むように貼着した。UVカットフィルターを介した高圧水銀ランプを用いて、波長380nm以下の積算光量が5mJ/cm2以下で波長405nmの積算光量が3000mJ/cm2となるよう可視光照射し、光学特性評価用サンプルを作成した。
作成した試験片の波長域360〜430nmにおける光線透過率を分光光度計(島津製作所株式会社製;機器名「UV2450」)にて測定した。結果は表1に示す。
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1〜6の、一方の離型フィルムを剥がし、裏打ちフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製;商品名「コスモシャインA4300」、厚み100μm)をハンドローラにてロール圧着した。これを10mm巾×100mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ソーダライムガラスにハンドローラを用いてロール貼着した。オートクレーブ処理(70℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上貼着した後、UVカットフィルターを介した高圧水銀ランプを用いて、波長380nm以下の積算光量が5mJ/cm2以下で波長405nmの積算光量が3000mJ/cm2となるよう可視光を照射し、粘着力測定サンプルを作成した。裏打ちフィルムを180°をなす角度に剥離速度60mm/分にて引っ張りながらガラスから粘着シートを剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、粘着シートのガラスに対する180°剥離強度を測定し、表1に「ガラス接着力」として示した。結果は表1に示す。
実施例及び比較例で作成した粘着シート積層体1〜6の一方の離型フィルムを剥がし、露出した粘着面側から蛍光灯(照度3800Lx)の下5時間静置して、粘着シートに蛍光灯の光(可視光)を照射した。照射した光の波長405nmにおける積算光量は約3400mJ/cm2であった。
1)粘着剤組成物を秤量し(W1)、予め重さを測ったSUSメッシュ(W0)に包む。
2)上記SUSメッシュを100mLの酢酸エチルに24時間浸漬する。
3)SUSメッシュを取り出し、75℃で4時間半乾燥する。
4)乾燥後の重量(W2)を求め、下記式より粘着剤組成物のゲル分率を測定する。
ゲル分率(%)=100×(W2−W0)/W1
実施例及び比較例で作成した評価用積層体1〜6について、印刷段差近傍で気泡等なく貼り合せができたものを凹凸吸収性「○(good)」、印刷段差の近傍で気泡がみられたものを凹凸吸収性「×(poor)」と判定した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で作成した評価用積層体1〜6を85℃で6時間養生し、発泡等なく外観に変化がみられなかったものを耐熱性「○(good)」、発泡や剥離がみられたものを耐熱性「×(poor)」と判定した。結果を表1に示す。
2)上記SUSメッシュを100mLの酢酸エチルに24時間浸漬する。
3)SUSメッシュを取り出し、75℃で4時間半乾燥する。
4)乾燥後の重量(W2)を求め、下記式より粘着剤組成物のゲル分率を測定する。
ゲル分率(%)=100×(W2−W0)/W1
比較例1は波長405nmのモル吸光係数が10未満の光重合開始剤を用いた為、すなわち波長405nmの吸光係数が10以上である光重合開始剤を使用していないため、可視光照射しても粘着材が硬化せず、粘着力や貼合後の信頼性に劣るものであった。
比較例2は熱架橋により粘着材組成物を架橋した粘着シートである。光硬化性を持たない一般的な粘着シートであるため、貼り合せ時の凹凸吸収性と耐久性を両立させ難く、印刷段差近傍で浮きが生じ、貼合品質に劣るものであった。
Claims (10)
- 両面粘着シートを介して画像表示装置構成部材が積層されてなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法であって、少なくとも次の(1)及び(2)の工程を有することを特徴とする画像表示装置構成用積層体の製造方法。
(1) (メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及び、波長405nmの吸光係数が10以上である光重合開始剤(C)を含有する粘着剤組成物からなる、光硬化前の両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成部材を積層する工程。
(2) 両面粘着シートを介して2つの画像表示装置構成用部材を積層した後、少なくとも一方の画像表示装置構成用部材の外側から当該画像表示装置構成用部材を通して、少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光を前記両面粘着シートに照射して該両面粘着シートを可視光架橋させて硬化させる工程。 - 少なくとも波長405nmの光を含み且つ波長380nm以下の波長の光を実質含まない光は、太陽、蛍光灯、LED、有機EL、無機ELおよび画像表示装置用発光モジュールから選択される少なくとも1種又は2種以上の組合せからなる光源から照射される光であることを特徴とする、請求項1に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 前記工程(1)において、両面粘着シートを加熱して2つの画像表示装置構成部材を積層することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 画像表示装置構成部材の一方又は両方を加熱して、両面粘着シートを加熱することを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 画像表示装置構成用部材を積層する前の両面粘着シートは、波長410nm以下の光線透過率が40%以下の離型フィルムを、両面粘着シートの一方又は両方に積層してなる構成を備えたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 画像表示装置構成用部材を積層する前の両面粘着シートは、粘着シートと離型フィルムとを積層してなる構成を備え、かつ、少なくとも一方の離型フィルムの表面に、波長410nm以下の光線透過率が40%以下である表面保護フィルムを積層してなる構成を備えたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- (メタ)アクリル系共重合体(A)が、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 粘着材組成物が、さらに紫外線吸収剤(D)を含むものであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 画像表示装置構成部材が、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルムからなる群のうちの何れか1種又は2種類以上の組み合わせからなる積層体であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
- 請求項1〜8の何れかに記載の製造方法によって製造された画像表示装置構成用積層体を用いて画像表示装置を製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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