WO2020250887A1 - 粘着シート及び積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても優れた段差追従性を発揮し、耐久性にも優れた粘着シートを提供することを課題とする。本発明は、光架橋性を有する粘着シートであって、粘着シートは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃~-40℃であり、重量平均分子量が25万~45万の(メタ)アクリル系共重合体を含み、光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力が0.3N/mm以下であり、光架橋前の引張弾性率が150kPa以上300kPa以下であり、光架橋前の引張弾性率をaとし、光架橋後の引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である粘着シートに関する。

Description

粘着シート及び積層体
 本発明は粘着シート及び積層体に関する。
 近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に透明な両面粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも透明な両面粘着シートが使用されている。
 上記タッチパネルや液晶ディスプレイの中には印刷等で生じる段差を有する構成部材を含んでいるものがある。例えば、携帯電話においては、枠状の印刷が施された部材を有するタッチパネルが用いられている。このような用途では、粘着シートには、部材を貼合固定する性能(粘着性)と同時に印刷段差を埋める性能(段差追従性)が求められる。
 例えば、特許文献1では、粘着シートを加熱することにより段差に追従しやすくなる性能を有するホットメルト型の粘着シートであって、段差に追従した後に活性エネルギー線を照射し、粘着シートを後硬化することで粘着性を向上させたアフターキュア型の粘着シートが提案されている。このように粘着性と段差追従性を両立し得る粘着シートの開発が進められている。
特開2016-222916号公報
 タッチパネルや液晶ディスプレイは、高温高湿といった過酷環境下に曝されることもある。このため、高温高湿といった過酷環境下においても粘着性能等が変化しない粘着シートが求められている。すなわち、粘着シートには過酷環境下における耐久性も要求されるようになってきている。しかしながら、従来のアフターキュア型の粘着シートにおいては、その耐久性を高めた場合に、段差追従性が十分ではなくなるという課題があった。
 また、従来のアフターキュア型の粘着シートにおいては、段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合に、十分な段差追従性が発揮されない場合があり、改善が求められていた。
 そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても優れた段差追従性を発揮し、耐久性にも優れた粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
 上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、アフターキュア型の光架橋性を有する粘着シートにおいて、粘着シートに所定条件を満たすアクリル系共重合体を配合し、さらに、光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力と引張弾性率、並びに、光架橋前の引張弾性率と光架橋後の引張弾性率の比を所定の範囲とすることで、種々の凹凸形状への段差追従性と耐久性を兼ね備える粘着シートが得られることを見出した。
 具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 光架橋性を有する粘着シートであって、
 粘着シートは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃~-40℃であり、重量平均分子量が25万~45万の(メタ)アクリル系共重合体を含み、
 光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力が0.3N/mm以下であり、
 光架橋前の引張弾性率が150kPa以上300kPa以下であり、
 光架橋前の引張弾性率をaとし、光架橋後の引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である粘着シート。
[2] 光架橋前のゲル分率が5.0%以下であり、光架橋後のゲル分率が50%以上となる[1]に記載の粘着シート。
[3] (メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、多官能モノマーを0.1~6質量部、光照射により多官能モノマーの重合反応を開始させる光重合開始剤を0.1~10質量部含有する[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] (メタ)アクリル系共重合体におけるヒドロキシ基含有単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して、5質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 凸部を有する第1の被着体と、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用である、[1]~[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] 第1の被着体の少なくとも一つの凸部の高さは、粘着シートの厚みの30%以上であり、
 第2の被着体の少なくとも一つの凸部の高さもしくは第2の被着体の少なくとも一つの凹部の深さは、粘着シートの厚みの30%以上である、[5]に記載の粘着シート。
[7] 第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、第2の被着体の表面積に対して、10%以下である、[5]又は[6]に記載の粘着シート。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の粘着シートからなる粘着剤層と、粘着剤層の一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、粘着剤層の他方の面側に積層された凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体とを有する積層体であって、
 第1の被着体の少なくとも一つの凸部の高さは、粘着剤層の厚みの30%以上であり、
 第2の被着体の少なくとも一つの凸部の高さもしくは第2の被着体の少なくとも一つの凹部の深さは、粘着剤層の厚みの30%以上であり、
 第1の被着体の凸部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線と、第2の被着体の凸部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線もしくは第2の被着体の凹部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線の最短距離が30mm以下である、積層体。
[9] 第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、第2の被着体の表面積に対して、10%以下である、[8]に記載の積層体。
 本発明によれば、段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても優れた段差追従性を発揮し、耐久性にも優れた粘着シートを得ることができる。
図1は、本発明の剥離シート付き両面粘着シートの構成の一例を表す断面図である。 図2は、積層体の構成の一例を表す断面図である。
 以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を含むことを意味する。
(粘着シート)
 本発明は、光架橋性を有する粘着シートに関する。本発明の粘着シートは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃~-40℃であり、重量平均分子量が25万~45万の(メタ)アクリル系共重合体を含む。また、本発明の粘着シートにおいては、光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力が0.3N/mm以下であり、光架橋前の引張弾性率が150kPa以上300kPa以下であり、光架橋前の引張弾性率をaとし、光架橋後の引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である。
 本発明の粘着シートは、上記構成を有するものであるため、段差追従性と耐久性を兼ね備えている。本発明の粘着シートは、光架橋性を有する粘着シートであり、光架橋前は被着体の段差に隙間なく追従することができる。特に被着体の段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても本発明の粘着シートは、優れた段差追従性を発揮することができる。一方で、本発明の粘着シートは、光架橋後は十分な耐久性を発揮する。このように、本発明においては、粘着シートにおける引張応力や引張弾性率を最適化することにより、段差追従性と耐久性を両立することに成功した。
 本発明の粘着シートは、熱架橋剤を実質的に含有していなくてもよい。粘着シートが熱架橋剤を含まない場合、粘着シートを形成する際にエージング工程を省略することができ、粘着シートの製造にかかる時間を短縮することができる。
 本発明の粘着シートは、被着体の段差間の間隔が狭い場合や、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても、このような被着体に対して優れた段差追従性を発揮する。本発明の粘着シートは、例えば、貼着部分に高さが40μm以上の凸部や深さが40μm以上の凹部があっても、その段差に隙間なく追従することができ、このような場合に、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても段差追従性に優れていると評価できる。また、本発明の粘着シートは、例えば、段差間の間隔が10mm以下の場合であっても、そのような段差部に隙間なく追従することができる。
 また、本発明の粘着シートは耐久性にも優れている。具体的には、本発明の粘着シートを段差部に貼合し、下記条件で紫外線を繰り返し照射した場合であっても変質することがなく、段差部に気泡等の発生が見られない。紫外線の照射条件は、例えば、0.8W/m、80℃で4時間と、0.53W/m、50℃で4時間の1サイクル×12回とする。
 上述したとおり、本発明の粘着シートは様々な形状を有する段差部に対しても優れた段差追従性を発揮する。このため、本発明の粘着シートは、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する被着体貼合用の粘着シートであることが好ましい。中でも、本発明の粘着シートは、2つの被着体へ貼合されるための粘着シートであることが好ましく、具体的には、凸部を有する第1の被着体と、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用であることが好ましい。この場合、第1の被着体の少なくとも一つの凸部の高さは、粘着シートの厚みの30%以上であってもよく、第2の被着体の少なくとも一つの凸部の高さもしくは第2の被着体の少なくとも一つの凹部の深さは、粘着シートの厚みの30%以上であってもよい。なお、第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、第2の被着体の表面積に対して、10%以下であることが好ましい。このように、本発明の粘着シートは段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても、このような被着体に対して優れた段差追従性を発揮することができる。
 本発明の粘着シートの光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力は、0.3N/mm以下であればよく、0.25N/mm以下であることが好ましく、0.2N/mm以下であることがより好ましく、0.15N/mm以下であることがさらに好ましく、0.1N/mm以下であることが特に好ましい。粘着シートの引張応力を上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を兼ね備えた粘着シートが得られやすくなる。
 ここで、粘着シートの光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力は以下のようにして測定される値である。まず、粘着シートを縦50mm、横(幅方向)Ammとなるように切り出す。この際、横(幅方向)のAの値は、粘着シートの厚み(mm)×Amm=6mmとなるように決定する。次いで、粘着シートを幅方向に丸め、円の直径が2.8mm、高さ50mmの円柱状サンプルとし、この円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこむ。そして、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定し、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度300mm/分の条件で引張伸び率が2000%となるまで引っ張り、この際の応力値を引張応力とする。
 なお、本明細書における引張伸び率とは、以下の式で算出される率である。
 引張伸び率(%)=(引張後のチャック間距離-引張前のチャック間距離(30mm))/引張前のチャック間距離(30mm)×100
 上述したように粘着シートの光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力を測定する際には、粘着シートの光架橋前の引張最大伸び率が2000%以上である必要がある。なお、粘着シートの光架橋前の引張伸び率が2000%を下回る場合は、上述した引張応力を測定する際、引張伸び率2000%となる前に粘着シートが破断する。この場合、上記測定で得られる応力値は破断応力となる。
 粘着シートの光架橋後の破断応力は、1.0N/mm以下であることが好ましく、0.9N/mm以下であることがより好ましく、0.8N/mm以下であることがさらに好ましい。なお、粘着シートの光架橋後の破断応力は、粘着シートに積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射し、その後に上述した引張応力の測定を行うことで得られる値である。なお、本明細書においては、光架橋前の粘着シートは、例えば、積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射する前の粘着シートであり、光架橋後の粘着シートは、照度120mW/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後の粘着シートである。紫外線の積算光量は粘着シートが完全に硬化し得る光量を適宜設定することができる。
 本発明の粘着シートの光架橋前の引張弾性率は、150kPa以上300kPa以下であればよく、150kPa以上250kPa以下であることが好ましい。ここで、粘着シートの光架橋前の引張弾性率は、上述した引張応力の測定において得られる応力-ひずみ曲線(SSカーブ)から算出される値である。具体的には、0%と5%の引張伸び率と応力値から傾きを算出し、引張弾性率とする。
 本発明の粘着シートの光架橋後の引張弾性率は、200kPa以上1000kPa以下であることが好ましく、250kPa以上800kPa以下であることがより好ましい。上記引張弾性率は、照度120mW/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後の粘着シートの引張弾性率である。
 粘着シートの光架橋前の引張弾性率をaとし、粘着シートの光架橋後の引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満であればよく、2.8以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。粘着シートの光架橋前の引張弾性率及び、光架橋前後の引張弾性率の比を上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を兼ね備えた粘着シートが得られやすくなる。
 本発明の粘着シートの光架橋前のゲル分率は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることがさらに好ましく、3.5%以下であることが一層好ましく、2.5%以下であることが特に好ましい。なお、粘着シートのゲル分率の下限値は特に限定されるものではなく、例えば0%であってもよい。光架橋前の粘着シートのゲル分率を上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートを得ることができる。
 粘着シートのゲル分率は、以下の方法で測定した値である。
 まず、粘着シート(粘着剤層)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定する。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求める。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着シートの採取重量)×100・・・式1
 本発明の粘着シートのゲル分率は上述したとおりであり、ゲル分率が上記範囲内であれば粘着シートは半硬化状態であると言える。ここで、半硬化状態であることは、粘着シートが光架橋性(光照射による硬化能)を有していることを言う。すなわち、本発明の粘着シートは光照射前(光架橋前)の柔らかい状態のシートである。
 本発明の光架橋後の粘着シートのゲル分率は50%以上になることが好ましく、55%以上になることがより好ましく、60%以上になることがさらに好ましい。なお、光架橋後の粘着シートのゲル分率は、粘着シートに積算光量が2000mJ/cm以上となるように紫外線を照射した後の粘着シートのゲル分率である。なお、本明細書において、光架橋後の粘着シートは、照度120mW/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後の粘着シートである。
 本発明の光架橋前の粘着シートの対ガラス粘着力は、15.0N/25mm以上であることが好ましく、19.0N/25mm以上であることがより好ましく、20.0N/25mm以上であることがさらに好ましい。また、光架橋後の粘着シートの対ガラス粘着力は、20.0N/25mm以上であることが好ましく、24.0N/25mm以上であることがより好ましく、25.0N/25mm以上であることがさらに好ましく、27.0N/25mm以上であることが特に好ましい。ここで、粘着シートの対ガラス粘着力は、JIS Z 0237に準じて引張速度300mm/分で粘着シートをガラスから180度剥離した際の剥離強度である。
 本発明の粘着シートの厚みは、5~500μmであることが好ましく、30~300μmであることがより好ましく、50~200μmであることがさらに好ましい。粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を十分に高めることができる。
 本発明の粘着シートを使用する際には、粘着シートを被着体表面に接触させた後に光照射する工程を含むことが好ましい。また、本発明の粘着シートを使用する際には、粘着シートを被着体表面に接触させる際及び/又は接触させた後に加熱処理工程を含むことが好ましい。このように、本発明の粘着シートはホットメルト型の粘着シートであり、かつアフターキュア型の粘着シートであることが好ましい。
 本発明の粘着シートは、両面粘着シートであることが好ましい。両面粘着シートは、単層の両面粘着シートであってもよく、粘着剤層を複数積層した多層の両面粘着シートであってもよい。また、両面粘着シートは、基材(好ましくは透明基材)の両面に粘着剤層を備えた両面粘着シートであってもよい。この場合、基材としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。
((メタ)アクリル系共重合体)
 本発明の粘着シートはガラス転移温度(Tg)が-50℃~-40℃であり、重量平均分子量が25万~45万の(メタ)アクリル系共重合体を含む。(メタ)アクリル系共重合体は、粘着シートに含まれる主ポリマーであり、このようなポリマーをベースポリマーと呼ぶこともある。
 上記(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を有する。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 また、(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有してもよい。他のアクリル系単量体単位としては、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位を挙げることができ、例えば、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位、グリシジル基含有アクリル系単量体単位を挙げることができる。これら単量体単位は1種でもよいし、2種以上でもよい。
 ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位は、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体に由来するものである。ヒドロキシ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
 グリシジル基含有アクリル系単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有アクリル系単量体に由来するものが挙げられる。
 (メタ)アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有する場合、他のアクリル系単量体単位の含有量は(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましい。中でも、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位の含有量が上記範囲内であることが好ましい。他のアクリル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であれば、凝集力を十分に高めることができ、上記上限値以下であれば、十分な粘着力を確保しやすくなる。
 但し、(メタ)アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有する場合であって、他のアクリル系単量体単位がヒドロキシ基含有単量体単位である場合、ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートの耐久性をより効果的に高めることができる。
 (メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は-50℃以上であればよく、-49℃以上であることが好ましく、-48℃以上であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は-40℃以下であればよく、-41℃以下であることが好ましく、-42℃以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの段差追従性をより効果的に高めることができる。さらに、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの凝集力をより高めることができ、耐久性と粘着性に優れた粘着シートを得ることができる。加えて、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートのハンドリング性を高めることができ、その結果粘着シートの加工がしやすくなる。
 (メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、25万以上であればよく、26万以上であることが好ましく、28万以上であることがより好ましく、30万以上であることがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、45万以下であればよく、43万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を両立させることができる。通常、粘着シートにおいて段差追従性と耐久性はトレードオフの関係にあるが、本発明においては、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性の両立が容易となる。
 なお、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算で求めた値である。
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン 
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2500000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
 (メタ)アクリル系共重合体は、市販のものを用いてもよいし、アクリルモノマーを重合させることによって製造してもよい。市販品としては、例えば、アイカ工業社製のOP-9200-1、OP-9200-23、OP-9200-3、OP-9200-4、OP-9200-5、OP-9200-7等を用いることができる。また、(メタ)アクリル系共重合体を重合により製造する場合は、重合方法は通常用いられる重合方法から適宜選択できる。重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
(多官能モノマー)
 本発明の粘着シートは、多官能モノマーを含むことが好ましい。多官能モノマーは、分子内に反応性二重結合を2つ以上有するモノマーである。
 多官能モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-ノナンジオール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
 多官能モノマーは、市販品を使用できる。市販品の例としては、新中村化学社製のATM-4PLやA-TMM-3L、日本化薬社製のPET-30等を挙げることができる。
 粘着シートは多官能モノマーを(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~6質量部含有することが好ましく、0.5~4質量部含有することがより好ましい。上記多官能モノマーは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(光重合開始剤)
 本発明の粘着シートは、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、光照射により上述した多官能モノマーの重合反応を開始させ得るものであればよく、紫外線照射により上述した多官能モノマーの重合反応を開始させ得るものであることが好ましい。
 光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤等が挙げられる。光重合開始剤としては1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
 ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
 ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
 ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン等が挙げられる。
 チオキサントン系開始剤として具体的には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
 アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4-ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
 光重合開始剤は、市販品を使用できる。市販品の例としては、IGMレジン社製のTZTやBASF社製のIrgacure184等を挙げることができる。
 粘着シートは光重合開始剤を(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~10質量部含有すればよく、0.1~3質量部含有することが好ましい。なお、上記光重合開始剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(溶剤)
 本発明の粘着シートには溶剤が含まれていてもよい。この場合、溶剤は、粘着シートの塗工適性の向上のために用いられる。
 このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
(任意成分)
 本発明の粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
 可塑剤としては、無官能性アクリル重合体を用いることができる。無官能性アクリル重合体とは、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位と官能基を有しない非アクリル系単量体単位とからなる重合体を意味する。
 アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位と同様のものが挙げられる。
 官能基を有しない非アクリル系単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
 酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
 粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
 シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤などが挙げられる。
 紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
 本発明の粘着シートは、熱架橋剤を実質的に含有しないものであることが好ましい。ここで、粘着シート中における熱架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部未満であることが好ましく、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以下であることがさらに好ましく、0.1質量部以下であることが一層好ましく、0質量部であることが特に好ましい。熱架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートの段差追従性をより効果的に高めることができる。また、熱架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートを形成する際にエージング工程を省略することができ、粘着シートの製造にかかる時間を短縮することができる。
 なお、熱架橋剤としては、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の熱架橋剤が挙げられる。
(剥離シート付き両面粘着シート)
 本発明は、上述した粘着シートの両面に剥離シートを備える剥離シート付き両面粘着シートに関するものであってもよい。
 図1は、本発明の剥離シート付き両面粘着シートの一例の断面を表す概略図である。剥離シート付き両面粘着シート1は、両面粘着シート11と、その両面に剥離シート12a及び剥離シート12bを備える。両面粘着シート11は、図1に示されるような単層の両面粘着シートであってもよく、粘着剤層を複数積層した多層の両面粘着シートであってもよい。また、両面粘着シート11は、基材(好ましくは透明基材)の両面に粘着剤層を備えた両面粘着シートであってもよい。
 図1に示されるように両面粘着シート11の表面は剥離シート12a及び剥離シート12bによって覆われていることが好ましい。剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
 剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
 シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
 剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
 本発明の粘着シートは、剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを有することが好ましい。すなわち、剥離シートは、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離性を調整すればよい。
(積層体の製造方法)
 本発明の粘着シートを使用する際には、粘着シートを凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する被着体の表面に接触させる。そして、粘着シートを被着体表面に接触させた後には、光照射を行う工程を含むことが好ましい。すなわち、本発明の積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる貼合工程と、光照射工程と、を含むことが好ましい。
 なお、本発明の積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる際及び/又は接触させた後、には加熱処理工程を含んでもよい。この場合、加熱処理工程の後に、光照射する工程を含む。すなわち、本発明の積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる貼合工程と、光照射工程と、を含み、以下の(a工程)及び(b工程)の少なくともいずれかを含むものであってもよい。
 (a工程)貼合工程において加熱処理を行う。
 (b工程)貼合工程の後工程であって、光照射工程の前工程において脱泡工程を含み、該脱泡工程で加熱処理を行う。
 上記貼合工程では、粘着シートを被着体に貼合する。貼合方法としては、例えば、ロール貼合方法、真空貼合方法等を挙げることができる。
 上記(a工程)及び上記(b工程)における加熱処理では、40~59℃で加熱処理を行うことが好ましい。加熱温度は、50~59℃とすることも好ましい。積層体の製造工程において、このような加熱処理工程を設けることにより、粘着シートまたは両面粘着シートの柔軟性をより高めることができ、段差に追従しやすくすることができる。
 従来、ホットメルト型の粘着シートを使用する際には、60℃以上で加熱処理を行うことが常法とされており、このような高温の加熱処理では被着体を損傷させる危険性があった。本発明の積層体の製造方法においては、貼合工程及び/又は貼合工程の後工程で加熱処理を行う際の処理温度を通常よりも低く抑えることができ、その場合でも十分な段差追従性を得ることができるため、被着体を損傷させる危険性を極めて低く抑えることができる。また、積層体を製造する際の光熱コストを抑制することができ、積層体の製造効率をより効果的に高めることもできる。
 なお、40~59℃の加熱処理は貼合工程で行われるか、脱泡工程で行われることが好ましい。なお、貼合工程と脱泡工程の両工程で加熱処理が行われてもよい。貼合工程としては、例えば、ロール貼合工程や真空貼合工程を挙げることができる。脱泡工程としては、例えば、オートクレーブ処理工程を挙げることができる。すなわち、40~59℃における加熱処理はオートクレーブ処理工程、ロール貼合工程及び真空貼合工程から選択される少なくとも1工程で行われることが好ましい。この場合、オートクレーブ処理工程、ロール貼合工程及び真空貼合工程における加熱設定温度を40~59℃とすることが好ましい。なお、加熱処理は貼合工程及び脱泡工程の両方の工程で行われることも好ましい。
 光照射工程では、粘着シートもしくは両面粘着シートと、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する被着体の貼合物に光を照射する。このように、光照射工程は後硬化工程と呼ぶこともできる。光で粘着シートを後硬化させることで、粘着剤の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。
 光照射工程は、紫外線を照射する工程であることが好ましい。
 紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
 電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
 紫外線の照射出力は、積算光量が100~10000mJ/cmとなるようにすることが好ましく、500~5000mJ/cmとなるようにすることがより好ましい。
(積層体)
 上述した製造方法で製造された積層体は、後硬化した粘着シートからなる粘着剤層及び凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する被着体を備える。本発明の積層体は、後硬化した粘着シートからなる粘着剤層の両方の面に被着体を備えるものであることが好ましい。中でも、本発明の積層体は、後硬化した粘着シートからなる粘着剤層と、粘着剤層の一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、粘着剤層の他方の面側に積層された凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体とを有する積層体であることが好ましい。
 図2は、本発明の粘着シート11の両面に、凸部31aを有する第1の被着体31と、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体32を貼合した積層体30の構成の一例を表す断面図である。なお、図2では、本実施形態の一例として第2の被着体32は複数の凹部32bを有する例を描画している。図2に示されているように、第1の被着体31は複数の凸部31aを有する。少なくとも一つの凸部31aの高さは、粘着剤層11の厚みの30%以上であってもよい。また、第2の被着体32は、凹部32bを有しており、この場合、少なくとも一つの凹部32bの深さは粘着剤層11の厚みの30%以上であってもよい。なお、第2の被着体32が凸部を有する場合、該凸部の高さは粘着剤層11の厚みの30%以上であってもよい。このように、粘着シート11は、段差を構成する凹凸形状の高さもしくは深さが大きい場合であっても優れた段差追従性を発揮することができる。
 積層体30においては、第1の被着体31の凸部31aの端部から厚み方向へ延びる延長仮想線と、第2の被着体32の凸部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線もしくは第2の被着体21の凹部32bの端部から厚み方向へ延びる延長仮想線の最短距離は30mm以下であってもよい。ここで、図2において、第1の被着体31の凸部31aの端部から厚み方向へ延びる延長仮想線は点線Aとして示される線である。また、図2において、第2の被着体21の凹部32bの端部から厚み方向へ延びる延長仮想線は点線Bとして示されている。この場合、凸部31aの端部とは、最短距離を測定する他の対象段差部に対して近接する側の端部であり、凹部32bの端部とは、最短距離を測定する他の対象段差部に対して近接する側の端部である。そして、延長仮想線Aと延長仮想線Bの間の距離はXで示されており、この距離が、延長仮想線Aと延長仮想線Bの最短距離となる。すなわち、積層体30における最短距離Xは30mm以下であってもよい。従来技術においては、段差部間の間隔が狭い場合には、その段差を埋める為に必要な面積(体積)当たりの粘着シートの移動量が多くなるため、段差追従性を発揮することが難しい場合があったが、本発明においては、このように、2つの被着体における段差間の間隔が狭い場合であっても粘着シート11は、優れた段差追従性を発揮することができる。
 なお、第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、第2の被着体の表面積に対して、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。また、第1の被着体における少なくとも一つの凸部の上面面積も第1の被着体の表面積に対して10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。このように、本発明の粘着シートは小さな段差部にも優れた段差追従性を発揮することができる。
 本実施形態において、第1の被着体が複数の凸部を有する場合には、該凸部間の最短距離も30mm以下であってもよい。また、第2の被着体が凸部及び凹部を有する場合、複数の凸部を有する場合、もしくは複数の凹部を有する場合、凸部と凹部間の最短距離、凸部間の最短距離、及び凹部間の最短距離も30mm以下であってもよい。このように一つの被着体における段差間の間隔が狭い場合であっても粘着シート11は、優れた段差追従性を発揮することができる。
 第1被着体及び第2の被着体は、それぞれ光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
 タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本発明の粘着シートは、タッチパネルのセンサー積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルのセンサー積層用であることがより好ましい。この観点から、本発明の粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましい。
 画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
 これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
 中でも、第1の被着体はガラスもしくはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートを使用したタッチパネルであり、第2の被着体は偏光板や有機ELディスプレイ等の画像表示装置であることが好ましい。
 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
(粘着剤組成物の作製)
 (メタ)アクリル系共重合体(アイカ工業社製:OP-9200-3)100質量部、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製:ATM-4PL)2質量部、光重合開始剤(IGMレジン社製:TZT)1.5質量部を混合し、攪拌機(SHASHIN KAGAKU社製:SK-200TVS)を用い大気圧下で3分間攪拌し、粘着剤組成物を作製した。
(粘着シートの作製)
 上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL-07(2))の表面に、乾燥後の塗工膜厚が100μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL-07(L))を貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例2]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例3]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を4質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例4]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、光重合開始剤の配合量を0.7質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例5]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、光重合開始剤の配合量を3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例6]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-1(アイカ工業株式会社製)に変更し、さらに多官能モノマーの配合量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例7]
 実施例6の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を2質量部に変更した以外は実施例6と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例8]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-5(アイカ工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例9]
 実施例8の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を4質量部に変更した以外は実施例8と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例10]
 実施例9の(粘着剤組成物の作製)で、光重合開始剤の配合量を3質量部に変更した以外は実施例9と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例11]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-7(アイカ工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例12]
 実施例11の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を4質量部に変更した以外は実施例11と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例13]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-4(アイカ工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例14]
 (メタ)アクリル系共重合体(アイカ工業社製:OP-9200-3)100質量部、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製:PET-30)1質量部、光重合開始剤(BASF社製:Irgacure184)1質量部を混合し、攪拌機(SHASHIN KAGAKU社製:SK-200TVS)を用い大気圧下で3分間攪拌することで粘着剤組成物を作製した以外は実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例15]
 実施例1と同様にして粘着剤組成物を得て、(粘着シートの作製)で、乾燥後の塗工膜厚が150μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した以外は実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例16]
 実施例7と同様にして粘着剤組成物を得て、(粘着シートの作製)で、乾燥後の塗工膜厚が150μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した以外は実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[実施例17]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-23(アイカ工業株式会社製)に変更し、さらに多官能モノマーの配合量を3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。さらに、実施例1の(粘着シートの作製)で、乾燥後の塗工膜厚が150μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した以外は実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例1]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーの配合量を7質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例2]
 比較例1の(粘着剤組成物の作製)で、多官能モノマーを日本化薬社製のPET-30に変更した以外は比較例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例3]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-9(アイカ工業株式会社製)に変更し、さらに多官能モノマーの配合量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例4]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-9(アイカ工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例5]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-9(アイカ工業株式会社製)に変更し、さらに多官能モノマーの配合量を4質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例6]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-8(アイカ工業株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
[比較例7]
 実施例1の(粘着剤組成物の作製)で、(メタ)アクリル系共重合体をOP-9200-5(アイカ工業株式会社製)に変更し、さらに多官能モノマーの配合量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き両面粘着シートを得た。
(測定)
<引張応力・引張最大伸び率>
 粘着シートの光架橋前の引張応力は以下のようにして測定した。まず、実施例及び比較例で得た剥離シート付き両面粘着シートを縦50mm、横(幅方向)Ammとなるように切り出した。この際、横(幅方向)のAの値は、粘着シートの厚み(mm)×Amm=6mmとなるように決定した。次いで、第1の剥離シートを剥離し、粘着シートのみを幅方向に丸め、円の直径2.8mm、高さ50mmの円柱状サンプルとした。円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこみ、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定した。その後、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度300mm/分の条件で引張伸び率が2000%となるまで引っ張った。この際の応力値を引張応力とした。
 粘着シートの光架橋後の引張応力は、切り出した剥離シート付き両面粘着シートの第1の剥離シート側から照度120mW/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後に、円柱状サンプルを得て、同様の方法で測定した。
 なお、表中において(*)印の付いている値は、円柱状サンプルの引張伸び率が2000%に達する前に破断したものであり、破断時の応力を記録したものである。円柱状サンプルの引張伸び率が2000%に達する前に破断したものについては、表中に引張最大伸び率を記載した。
<引張弾性率>
 粘着シートの引張弾性率は、<引張応力>の測定において得られる応力-ひずみ曲線(SSカーブ)から算出した。具体的には、0%と5%の引張伸び率と応力値から傾きを算出し、引張弾性率とした。
<ゲル分率>
 光架橋前後(紫外線照射前後)における粘着シート約0.1gをそれぞれサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定した。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求めた。なお、光架橋後の粘着シートのゲル分率は、粘着シートに照度120mW/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後に測定した。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着シートの採取重量)×100・・・式1
(評価)
<積層体の作製方法>
 第1の被着体、粘着剤層及び第2の被着体がこの順で積層された積層体を以下の手順で作製した。
 まず、第1の被着体を以下の手順で作製した。ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を所定の回数繰り返し、35μmの厚みの段差部を有する印刷段差ガラス(第1の被着体)を得た。
 次いで、第2の被着体を以下の手順で作製した。23μm厚のPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製A4300)に17μm厚の透明両面粘着シートを貼合した後、縦90mm×横50mmに裁断した。このようにして得た粘着層付フィルムの下端から17.5mm/右端から25mmの位置及び上端から12.5mm/右端から25mmの位置に円の中心が来るように直径5mmの穴を開けることにより、2つの間欠孔を有する粘着層付フィルムを得た。次いで、粘着層付フィルムの粘着層をガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)に貼合することにより深さ40μmの凹部を有する第2の被着体を得た。
 なお、実施例15~17においては、第2の被着体を以下の手順で作製した。50μm厚のPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製A4300)に25μm厚の透明両面粘着シートを貼合した後、上記と同様の位置に直径4mmもしくは直径6mmの穴を開け、上記と同様のガラス板に貼合することにより深さ75μmの凹部を有する被着体を得た。
 実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートを、縦50mm×横
90mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、粘着シート(粘着剤層)が第1の被着体(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の全面を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着シート(粘着剤層)に、真空貼合機(常陽工学社製:真空重ね合せ装置(JE2020B-MVH))を用いて下記表に記載のホール(凹部)を有する第2の被着体のPETフィルム側と貼合した。この際の貼合条件は、40℃、弱加圧力0.6kN、強加圧力1.2kN、真空圧100Pa、加圧保持時間10秒とした。次いで、脱泡処理(オートクレーブ処理:50℃、0.5MPa、30分間)を実施し、その後、第1の被着体側から照度120mW/cmの高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製、ECS-301G1)にて積算光量が2000mJ/cmとなるように紫外線を照射し、積層体を得た。このようにして得られた積層体においては、第1の被着体側から見て、額縁印刷の内側端縁と、各ホールの端部間の距離が5mm及び10mmの距離となっていた。
<段差追従性評価(耐久性試験前)>
 積層体の各々の段差部(額縁印刷部、ホール部)をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で評価した。
○:段差貼合面に気泡が見られず、段差が完全に埋まっている状態である。
×:段差貼合面に気泡が見られ、段差が埋まっていない状態である。
<段差追従性評価(耐久性試験後)>
 積層体をQUV試験機(Q-LAB社製)に仕掛け、0.8W/m、80℃で4時間と、0.53W/m、50℃で4時間のサイクル×12回となるように紫外線(UV-A)を照射し、サンプル全体(額縁印刷部、ホール部)に気泡が生じていないかをマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で評価した。なお、紫外線の照射は、印刷段差ガラス側から行った。
○:気泡の発生がまったく無い。
×:気泡・剥がれが発生している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 実施例で得られた粘着シートは、段差追従性と耐久性に優れていた。特に実施例15~17においては、粘着剤層の厚みを調整することで、より深い凹部に対しても良好な段差追従性を発揮していた。
 なお、比較例3~7では、耐久試験を行う前に段差貼合面に気泡が発生していたため、耐久性評価を行わなかった。
 1          剥離シート付き両面粘着シート
 11        粘着シート(粘着剤層)
 12a      剥離シート
 12b      剥離シート
 30        積層体
 31        第1の被着体
 32        第2の被着体
 31a      段差部(凸部)
 32b      段差部(凹部)

Claims (9)

  1.  光架橋性を有する粘着シートであって、
     前記粘着シートは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃~-40℃であり、重量平均分子量が25万~45万の(メタ)アクリル系共重合体を含み、
     光架橋前の引張伸び率2000%における引張応力が0.3N/mm以下であり、
     光架橋前の引張弾性率が150kPa以上300kPa以下であり、
     光架橋前の引張弾性率をaとし、光架橋後の引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である粘着シート。
  2.  光架橋前のゲル分率が5.0%以下であり、光架橋後のゲル分率が50%以上となる請求項1に記載の粘着シート。
  3.  前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、多官能モノマーを0.1~6質量部、光照射により前記多官能モノマーの重合反応を開始させる光重合開始剤を0.1~10質量部含有する請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4.  前記(メタ)アクリル系共重合体におけるヒドロキシ基含有単量体単位の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して、5質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5.  凸部を有する第1の被着体と、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6.  前記第1の被着体の少なくとも一つの凸部の高さは、前記粘着シートの厚みの30%以上であり、
     前記第2の被着体の少なくとも一つの凸部の高さもしくは前記第2の被着体の少なくとも一つの凹部の深さは、前記粘着シートの厚みの30%以上である、請求項5に記載の粘着シート。
  7.  前記第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、前記第2の被着体の表面積に対して、10%以下である、請求項5又は6に記載の粘着シート。
  8.  請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着シートからなる粘着剤層と、前記粘着剤層の一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、前記粘着剤層の他方の面側に積層された凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体とを有する積層体であって、
     前記第1の被着体の少なくとも一つの凸部の高さは、前記粘着剤層の厚みの30%以上であり、
     前記第2の被着体の少なくとも一つの凸部の高さもしくは前記第2の被着体の少なくとも一つの凹部の深さは、前記粘着剤層の厚みの30%以上であり、
     前記第1の被着体の凸部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線と、前記第2の被着体の凸部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線もしくは前記第2の被着体の凹部の端部から厚み方向へ延びる延長仮想線の最短距離が30mm以下である、積層体。
  9.  前記第2の被着体における、少なくとも一つの凸部の上面面積もしくは少なくとも一つの凹部の底面面積は、前記第2の被着体の表面積に対して、10%以下である、請求項8に記載の積層体。
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