JP6958703B1 - 粘着シート及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、紫外線カット性(紫外線吸収性)及び紫外線硬化性を兼ね備える粘着シートにおいて、着色の抑制と段差追従性が両立した粘着シートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、(メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる粘着シートであって、光重合開始剤の波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満であり、粘着シートのゲル分率は5%以下であり、かつ活性エネルギー線硬化能を有する、粘着シート【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シート及び積層体に関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになってきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に透明な両面粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも透明な両面粘着シートが使用されている。
上記タッチパネルや液晶ディスプレイを製造する工程においては、透明な両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼り合わせた後に、紫外線を照射して粘着シートを硬化させる方法が知られている。例えば、タッチパネルや液晶ディスプレイの中には印刷等で生じる段差を有する構成部材を含んでいるものがある。このような段差形状に粘着シートを追従させるために、紫外線硬化性の粘着シートを段差形状に追従させた後に紫外線を照射して粘着シートを完全硬化させることで、段差追従性と強固な粘着力を両立させる方法も検討されている。
一方で、粘着シートには紫外線をカットする性能が求められる場合もある。粘着シートが紫外線をカットする性能を有する場合、粘着シートの下部に配置される他の光学部材を紫外線から保護することが可能となる。このように、粘着シートには、紫外線硬化性を有することと、紫外線カット性能を有することの両立が求められる場合がある。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上である光重合開始剤(C)及び紫外線吸収剤(D)を含有する粘着剤樹脂組成物からなる透明両面粘着シートが開示されている。また、特許文献2には、紫外線吸収機能を有する粘着剤層を、紫外線照射による重合方法で形成することができる紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物が開示されており、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分及び/又は前記モノマー成分の部分重合物、紫外線吸収剤、並びに波長400nm以上に吸収帯を有する光重合開始剤(A)を含む紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物が具体的に開示されている。特許文献2では、該粘着剤組成物から形成される粘着剤層の波長380nmにおける透過率が40%以下あり、かつ波長400nmにおける透過率が30%以上であるとされている。
特許文献3には、重合性ビニルモノマー、重合性ビニルプレポリマー、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび多官能(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される1種以上の光重合成分と、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が1.0以上である光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、を有する粘着剤が開示されている。この粘着剤は、光重合成分100質量部に対して、紫外線吸収剤の含有量が0.1質量部以上4.0質量部以下である無溶剤型粘着性組成物を硬化してなるものであって、粘着剤のゲル分率は50%以上90%以下であり、波長380nmにおける透過率が30%以下であるとされている。また、特許文献4には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、紫外線硬化性成分(C)と、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3以上である光重合開始剤(D)とを含有する紫外線硬化性の粘着剤からなる粘着シートが開示されている。特許文献4には、この粘着シートのゲル分率は30%以上70%以下であるとの開示がある。
特開2017−155213号公報 特開2016−155981号公報 特開2019−112496号公報 特開2017−149807号公報
上述したとおり、紫外線カット性(紫外線吸収性)を有しつつも、紫外線硬化性を有する粘着シートが知られている。しかしながら、従来の粘着シートにおいては、紫外線照射前の粘着シートが黄色く着色していたり、初期ゲル分率が高いために、被着体の段差への追従性が十分ではない場合があった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、紫外線カット性(紫外線吸収性)及び紫外線硬化性を兼ね備える粘着シートにおいて、着色の抑制と段差追従性が両立した粘着シートを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、(メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる粘着シートにおいて、光重合開始剤の波長405nmの吸光係数を10mL/(g・cm)未満とし、さらに、粘着シートのゲル分率を5%以下とすることにより、紫外線カット性(紫外線吸収性)及び紫外線硬化性を兼ね備えた粘着シートであって、着色の抑制と段差追従性が両立した粘着シートが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] (メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる粘着シートであって、
光重合開始剤の波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満であり、
粘着シートのゲル分率は5%以下であり、かつ活性エネルギー線硬化能を有する、粘着シート。
[2] 引張伸び率2000%における引張応力が0.30N/mm以下であり、
引張弾性率が150〜300kPaであり、
粘着シートの引張弾性率をaとし、粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射し光架橋させた際の光架橋後の粘着シートの引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である、[1]に記載の粘着シート。
[3] 光重合開始剤が、水素引抜型光重合開始剤である、[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 粘着シートの厚みを150μmとした場合のbの絶対値が1未満である、[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射し光架橋させた場合、光架橋後の粘着シートの波長360nmにおける光透過率が5.0%以下となる、[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] (メタ)アクリル系共重合体100質量部に対する、多官能モノマーの含有量が6質量部以下であり、光重合開始剤の含有量が0.1〜10質量部である、[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] 紫外線吸収剤が23℃で油状もしくは液状である化合物を少なくとも1種含有し、紫外線吸収剤の含有量は(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1〜1質量部である、[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] 紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤もしくはベンゾトリアジン系紫外線吸収剤である、[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9] (メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−25℃であり、重量平均分子量が25万〜55万である、[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着シート。
[10] 凸部を有する第1の被着体と、凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用である、[1]〜[9]のいずれかに記載の粘着シート。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の粘着シートからなる粘着剤層と、粘着剤層のいずれか一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、粘着剤層の他方の面側に積層された凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体との積層体。
本発明によれば、紫外線カット性(紫外線吸収性)及び紫外線硬化性を兼ね備えた粘着シートであって、着色の抑制と段差追従性が両立した粘着シートを得ることができる。
図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。 図2は、積層体の構成の一例を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を含むことを意味する。
(粘着シート)
本発明は、(メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる粘着シートに関する。ここで、光重合開始剤の波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満であり、粘着シートのゲル分率は5%以下である。また、本発明の粘着シートは活性エネルギー線硬化能を有するものであり、より具体的には、紫外線硬化能を有するものであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、上記構成を有するものであるため、紫外線カット性(紫外線吸収性)及び紫外線硬化性を兼ね備えている。また、本発明の粘着シートにおいては着色が抑制されている。さらに、本発明の粘着シートは紫外線硬化性(光架橋性)を有する粘着シートであり、紫外線硬化前(光架橋前)は被着体の段差に隙間なく追従することができる。一方で、本発明の粘着シートは、は紫外線硬化性(光架橋性)を有するため、紫外線硬化後(光架橋後)には十分な耐久性を発揮することができる。
粘着シートの紫外線カット性(紫外線吸収性)は、紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートの紫外線透過率によって評価できる。具体的には、粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射し光架橋させた場合、光架橋後の粘着シートの波長360nmにおける光透過率は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることがさらに好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。なお、波長360nmにおける紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートの光透過率は0.0であってもよい。本明細書においては、波長360nmにおける紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートの光透過率が上記範囲内であれば、粘着シートは紫外線カット性(紫外線吸収性)を有すると評価できる。
粘着シートの紫外線硬化性(活性エネルギー線硬化能)の有無は、紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射した際に、粘着シートのゲル分率の上昇率により評価できる。例えば、紫外線硬化前(光架橋前)粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射した際に、粘着シートのゲル分率が5%以上上昇した場合に、粘着シートは紫外線硬化性(活性エネルギー線硬化能)を有していると評価できる。
粘着シートの着色が紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートであって、厚みが150μmの粘着シートのb値を測定することにより評価できる。具体的には、着色が紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートであって、厚みが150μmの粘着シートのbの絶対値は1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましく、0.6以下であることが特に好ましい。本明細書においては、厚みが150μmの粘着シートのbの絶対値が上記範囲内である場合に、粘着シートの着色が抑制されていると評価できる。
粘着シートの段差追従性は、粘着シートを段差部を有する被着体に貼合し、段差部における気泡等の発生の有無によって評価することができる。粘着シートを段差部を有する被着体に貼合した際に、段差貼合面に気泡が見られず、隙間が完全に埋まっている状態であれば、粘着シートの段差追従性が良好であると評価できる。また、本実施形態の粘着シートは、耐久性試験後の段差追従性にも優れている。具体的には、粘着シートを段差部を有する被着体に貼合し、下記条件で紫外線を繰り返し照射した場合であっても、粘着シートが変質することがなく、段差部に気泡等の発生が見られない場合に、粘着シートは、耐久性試験後の段差追従性にも優れていると評価できる。紫外線の照射条件は、0.8W/m、80℃で4時間の処理と、0.53W/m、50℃で4時間の処理を1サイクルとした場合、1サイクル×12回の条件とする。
本実施形態の粘着シートは、実質的に熱架橋剤を含まないものである。粘着シートが熱架橋剤を含まない場合、粘着シートを形成する際にエージング工程を省略することができ、粘着シートの製造にかかる時間を短縮することができる。また、粘着シートのゲル分率を低く抑えることが可能となるため、紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートは被着体の段差に対して優れた追従性を発揮することができる。
本実施形態の粘着シートのゲル分率は、5%以下であればよく、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%未満であることがさらに好ましい。なお、粘着シートのゲル分率の下限値は特に限定されるものではなく、例えば0%であってもよい。ここで、上記の粘着シートのゲル分率は紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートのゲル分率である。紫外線硬化前(光架橋前)の粘着シートのゲル分率を上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートを得ることができる。
粘着シートのゲル分率は、以下の方法で測定した値である。
まず、粘着シート(粘着剤層)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定する。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求める。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着シートの採取重量)×100・・・式1
なお、紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートのゲル分率は10%以上であることが好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。また、紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートのゲル分率は90%以下であることが好ましい。なお、本明細書において、紫外線硬化後(光架橋後)の粘着シートは、例えば、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように照射した後の粘着シートである。
本実施形態の粘着シートの紫外線硬化前(光架橋前)の引張伸び率2000%における引張応力は、0.30N/mm以下であることが好ましく、0.25N/mm以下であることがより好ましい。また、粘着シートの紫外線硬化前(光架橋前)の引張伸び率2000%における引張応力は、0.01N/mm以上であることが好ましく、0.03N/mm以上であることがより好ましく、0.04N/mm以上であることがさらに好ましい。粘着シートの引張応力を上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートであって、さらに耐久性にも優れた粘着シートが得られやすくなる。
ここで、粘着シートの紫外線硬化前(光架橋前)の引張伸び率2000%における引張応力は以下のようにして測定される値である。まず、粘着シートを縦50mm、横(幅方向)Ammとなるように切り出す。この際、横(幅方向)のAの値は、粘着シートの厚み(mm)×Amm=6mmとなるように決定する。次いで、粘着シートを幅方向に丸め、円の直径が2.8mm、高さ50mmの円柱状サンプルとし、この円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこむ。そして、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定し、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度300mm/分の条件で引張伸び率が2000%となるまで引っ張り、この際の応力値を引張応力とする。
なお、本明細書における引張伸び率とは、以下の式で算出される率である。
引張伸び率(%)=(引張後のチャック間距離−引張前のチャック間距離(30mm))/引張前のチャック間距離(30mm)×100
本実施形態の粘着シートの紫外線硬化前(光架橋前)の引張弾性率は、100kPa以上であることが好ましく、120kPa以上であることがより好ましく、150kPa以上であることがさらに好ましい。また、粘着シートの光架橋前の引張弾性率は、550kPa以下であることが好ましく、400kPa以下であることがより好ましく、300kPa以下であることがさらに好ましい。ここで、粘着シートの光架橋前の引張弾性率は、上述した引張応力の測定において得られる応力−ひずみ曲線(SSカーブ)から算出される値である。具体的には、0%と5%の引張伸び率と応力値から傾きを算出し、引張弾性率とする。
本実施形態の粘着シートの紫外線硬化後(光架橋後)の引張弾性率は、100kPa以上であることが好ましく、120kPa以上であることがより好ましく、150kPa以上であることがさらに好ましい。また、粘着シートの紫外線硬化後(光架橋後)の引張弾性率は、1200kPa以下であることが好ましく、800kPa以下であることがより好ましい。上記引張弾性率は、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように照射した後の粘着シートの引張弾性率である。
粘着シートの紫外線硬化前(光架橋前)の引張弾性率をaとし、粘着シートの紫外線硬化後(光架橋後)の引張弾性率をbとした場合、b/aは、5.0未満であることが好ましく、3.0未満であることがより好ましく、2.8未満であることがさらに好ましく、2.5未満であることが特に好ましい。粘着シートの光架橋前の引張弾性率及び光架橋後の引張弾性率の比を上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートであって、さらに耐久性にも優れた粘着シートが得られやすくなる。
本実施形態の粘着シートの厚みは、5〜500μmであることが好ましく、30〜300μmであることがより好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートであって、さらに耐久性にも優れた粘着シートが得られやすくなる。
本実施形態の粘着シートは、凸部を有する第1の被着体と、凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用であることが好ましい。上述したように、本実施形態の粘着シートは優れた段差追従性を発揮することができるため、凸部及び/または凹部を有する被着体の段差に良好に追従し、優れた密着性を発揮することができる。
本実施形態の粘着シートを使用する際には、粘着シートを被着体表面に接触させた後に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。このように、本実施形態の粘着シートは活性エネルギー線によるアフターキュア型の粘着シートであることが好ましい。なお、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられ、粘着剤層に含まれる光重合開始剤に応じて適宜選択できる。中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
本実施形態の粘着シートは、両面粘着シートであることが好ましい。両面粘着シートは、単層の両面粘着シートであってもよく、粘着剤層を複数積層した多層の両面粘着シートであってもよい。また、両面粘着シートは、基材(好ましくは透明基材)の両面に粘着剤層を備えた両面粘着シートであってもよい。この場合、基材としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。
((メタ)アクリル系共重合体)
本実施形態の粘着シートは(メタ)アクリル系共重合体を含む。(メタ)アクリル系共重合体は、粘着シートに含まれる主ポリマーであり、このようなポリマーをベースポリマーと呼ぶこともある。
上記(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を有する。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有してもよい。他のアクリル系単量体単位としては、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位を挙げることができ、例えば、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位、グリシジル基含有アクリル系単量体単位を挙げることができる。これら単量体単位は1種でもよいし、2種以上でもよい。
ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位は、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体に由来するものである。ヒドロキシ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
グリシジル基含有アクリル系単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有アクリル系単量体に由来するものが挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有する場合、他のアクリル系単量体単位の含有量は(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。中でも、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位の含有量が上記範囲内であることが好ましい。他のアクリル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であれば、凝集力を十分に高めることができ、上記上限値以下であれば、十分な粘着力を確保しやすくなる。
但し、(メタ)アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有する場合であって、他のアクリル系単量体単位がヒドロキシ基含有単量体単位である場合、ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。ヒドロキシ基含有単量体単位の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートの耐久性をより効果的に高めることができる。
(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上であることがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は−25℃以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの段差追従性をより効果的に高めることができる。さらに、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの凝集力をより高めることができ、耐久性と粘着性に優れた粘着シートを得ることができる。加えて、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートのハンドリング性を高めることができ、その結果粘着シートの加工がしやすくなる。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、25万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましい。また、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、55万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を向上させることができる。
なお、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算で求めた値である。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2500000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
(メタ)アクリル系共重合体は、市販のものを用いてもよいし、アクリルモノマーを重合させることによって製造してもよい。市販品としては、例えば、アイカ工業社製のOP−9200−23、サイデン化学社製のTPO3232等を用いることができる。また、(メタ)アクリル系共重合体を重合により製造する場合は、重合方法は通常用いられる重合方法から適宜選択できる。重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
(溶剤)
本実施形態の粘着シートを構成する粘着剤組成物は溶剤を含む。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性の向上のために用いられる。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましい。
(光重合開始剤)
本実施形態の粘着シートを構成する粘着剤組成物は光重合開始剤を含む。ここで、光重合開始剤は、380nm〜700nmの波長の光によって、(メタ)アクリル系共重合体の重合反応を促進するものである。但し、本実施形態において用いられる光重合開始剤の波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満である。なお、波長405nmの吸光係数は光重合開始剤を濃度1g/Lのメタノール溶液としたときの、光路長1cmにおける吸光度である。
波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤としては、例えば、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6?トリメチルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチル−1,1’−[メチレンビス(4,1−フェニレン)]ビス(プロパン−1−オン)等を挙げることができる。中でも、波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤は水素引抜型光重合開始剤であることが好ましい。波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤としては、一種のみを用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、光重合開始剤としては、上述した波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤と、波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)以上の光重合開始剤とを組み合わせて用いてもよい。但し、この場合も、二種以上の光重合開始剤を混合して合計濃度1g/Lのメタノール溶液としたときの、光路長1cmにおける吸光係数は10mL/(g・cm)未満であることが好ましい。
波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、IGMレジン社製のTZT、MBF、Ominirad184、Omnirad127、Omnirad369やLambson社製の4MBP等を挙げることができる。
粘着剤組成物は波長405nmの吸光係数が10mL/(g・cm)未満の光重合開始剤を、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部含有することが好ましく、0.1〜5質量部含有することがより好ましい。なお、光重合開始剤を2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の粘着シートを構成する粘着剤組成物は紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤は、紫外領域に極大吸収波長を有するものの中から選択することができる。本実施形態では、特に波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤を用いることが好ましい。波長350nm以上に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤もしくはベンゾトリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。また、紫外線吸収剤としては、下記一般式(1)または(2)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0006958703
上式において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基またはシアノ基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rは、アルキル基系構造体を表す。
Figure 0006958703
上式において、R、RおよびRは、水素原子、水酸基、アルキル基系構造体またはハロゲン原子であって、R、RおよびRのすべてが水素原子であることはない。なお、アルキル基系構造体とは、置換もしくは無置換のアルキル基や、置換もしくは無置換のアルコキシ基などのアルキル基を主とする置換基を含む概念である。
紫外線吸収剤は23℃で油状もしくは液状である化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。中でも、紫外線吸収剤としては、基本骨格の芳香環に分子量の大きなアルキル基を導入することにより相溶性を向上させた、23℃で油状もしくは液状を示す紫外線吸収剤を特に好ましく用いることができる。ここで、23℃で油状もしくは液状を示すとは、希釈溶剤がなくても紫外線吸収剤のみで流動性がある状態を意味する。
紫外線吸収剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、BASFジャパン(株)社製のトリアジン系紫外線吸収剤(チヌビン477)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン109、チヌビン384−2、チヌビンPS)等を挙げることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1〜1質量部であることが好ましく、0.2〜0.8質量部であることがより好ましい。上記紫外線吸収剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(多官能モノマー)
本実施形態の粘着シートは、多官能モノマーを含んでもよい。多官能モノマーは、分子内に反応性二重結合を2つ以上有するモノマーである。
多官能モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9−ノナンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
多官能モノマーは、市販品を使用できる。市販品の例としては、新中村化学社製のATM−4PLや、A−TMM−3L、日本化薬社製のPET−30、大阪有機化学工業社製ビスコート#230等を挙げることができる。
多官能モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して8質量部以下であることが好ましく、6質量部以下であることがより好ましく、4質量部以下であることがさらに好ましく、2質量部以下であることが一層好ましく、1質量部以下であることが特に好ましい。なお、多官能モノマーの含有量は、0質量部であってもよい。すなわち、粘着シートは、多官能モノマーを実質的に含まないものであってもよい。
(単官能モノマー)
本実施形態の粘着シートは、単官能モノマーを含んでもよい。単官能モノマーは、分子内に反応性二重結合を1つ有するモノマーである。
単官能モノマーとしては、例えば、イソボルニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドンなどを挙げることができる。中でも、単官能モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、イソボルニルアクリレート及びイソステアリルアクリレートから選択される少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニルアクリレートであることがより好ましい。単官能モノマーの市販品の例としては、大阪有機化学工業社製のIBXA、大阪有機化学工業社製のISTA等が挙げられる。
(任意成分)
本実施形態の粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
可塑剤としては、無官能性アクリル重合体を用いることができる。無官能性アクリル重合体とは、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位と官能基を有しない非アクリル系単量体単位とからなる重合体を意味する。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル系単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル系単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤などが挙げられる。
本実施形態の粘着シートは、熱架橋剤を実質的に含有しないものである。ここで、粘着シート中における熱架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0質量部であることが特に好ましい。粘着シートに熱架橋剤を配合しないことにより、粘着シートの段差追従性をより効果的に高めることができる。また、粘着シートに熱架橋剤を配合しないことにより、粘着シートを形成する際にエージング工程を省略することができ、粘着シートの製造にかかる時間を短縮することもできる。
なお、熱架橋剤としては、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の熱架橋剤が挙げられる。
(剥離シート付き粘着シート)
本発明は、上述した粘着シートの両面に剥離シートを備える剥離シート付き粘着シートに関するものであってもよい。
図1は、本実施形態の剥離シート付き粘着シートの一例の断面を表す概略図である。剥離シート付き粘着シート1は、両面粘着シート11と、その両面に剥離シート12a及び剥離シート12bを備える。両面粘着シート11は、図1に示されるような単層の両面粘着シートであってもよく、粘着剤層を複数積層した多層の両面粘着シートであってもよい。また、両面粘着シート11は、基材(好ましくは透明基材)の両面に粘着剤層を備えた両面粘着シートであってもよい。
図1に示されるように両面粘着シート11の表面は剥離シート12a及び剥離シート12bによって覆われていることが好ましい。剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
本実施形態の粘着シートは、剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを有することが好ましい。すなわち、剥離シートは、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離性を調整すればよい。
(粘着シートの製造方法)
本発明の粘着シートは、(メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる。すなわち、粘着シートの製造方法は、剥離シート上に(メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成した後に、熱乾燥する工程を含むことが好ましい。
粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
粘着シートの製造方法は、塗膜を加熱する工程を含むことが好ましい。この場合、粘着剤組成物を塗工して形成される塗膜の加熱には、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いることができる。
(積層体の製造方法)
本実施形態の粘着シートを使用する際には、粘着シートを被着体の表面に接触させる。そして、粘着シートを被着体表面に接触させた後には、光照射を行う工程を含むことが好ましい。すなわち、積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる貼合工程と、光照射工程と、を含むことが好ましい。
なお、積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる際及び/又は接触させた後、には加熱処理工程を含んでもよい。この場合、加熱処理工程の後に、光照射する工程を含む。すなわち、積層体の製造方法は、粘着シートを被着体表面に接触させる貼合工程と、光照射工程と、を含み、以下の(a工程)及び(b工程)の少なくともいずれかを含むものであってもよい。
(a工程)貼合工程において加熱処理を行う。
(b工程)貼合工程の後工程であって、光照射工程の前工程において脱泡工程を含み、該脱泡工程で加熱処理を行う。
上記貼合工程では、粘着シートを被着体に貼合する。貼合方法としては、例えば、ロール貼合方法、真空貼合方法等を挙げることができる。
上記(a工程)及び上記(b工程)における加熱処理では、40〜59℃で加熱処理を行うことが好ましい。加熱温度は、50〜59℃とすることも好ましい。積層体の製造工程において、このような加熱処理工程を設けることにより、粘着シートまたは両面粘着シートの柔軟性をより高めることができ、段差に追従しやすくすることができる。
なお、40〜59℃の加熱処理は貼合工程で行われるか、脱泡工程で行われることが好ましい。なお、貼合工程と脱泡工程の両工程で加熱処理が行われてもよい。貼合工程としては、例えば、ロール貼合工程や真空貼合工程を挙げることができる。脱泡工程としては、例えば、オートクレーブ処理工程を挙げることができる。すなわち、40〜59℃における加熱処理はオートクレーブ処理工程、ロール貼合工程及び真空貼合工程から選択される少なくとも1工程で行われることが好ましい。この場合、オートクレーブ処理工程、ロール貼合工程及び真空貼合工程における加熱設定温度を40〜59℃とすることが好ましい。なお、加熱処理は貼合工程及び脱泡工程の両方の工程で行われることも好ましい。
光照射工程では、粘着シートもしくは両面粘着シートと、被着体の貼合物に光を照射する。このように、光照射工程は後硬化工程と呼ぶこともできる。光で粘着シートを後硬化(光架橋)させることで、粘着剤の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。
光照射工程は、紫外線を照射する工程であることが好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV LEDランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100〜10000mJ/cmとなるようにすることが好ましく、500〜5000mJ/cmとなるようにすることがより好ましい。
(積層体)
上述した製造方法で製造された積層体は、後硬化した粘着シートからなる粘着剤層と被着体を備える。ここで、被着体は凸部及び/又は凹部を有していてもよい。例えば、本実施形態の積層体は、後硬化した粘着シートからなる粘着剤層と、粘着剤層のいずれか一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、粘着剤層の他方の面側に積層された凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体との積層体であってもよい。
図2は、粘着シート11の両面に、凸部31aを有する第1の被着体31と、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体32を貼合した積層体30の構成の一例を表す断面図である。なお、図2では、本実施形態の一例として第2の被着体32は複数の凹部32bを有する例を描画している。図2に示されているように、第1の被着体31は複数の凸部31aを有する。また、第2の被着体32は、凹部32bを有している。粘着シート11は、段差を構成する凹凸形状を有する被着体に対しても優れた段差追従性を発揮することができる。
第1の被着体及び第2の被着体は、それぞれ光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本実施形態の粘着シートは、タッチパネルのセンサー積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルのセンサー積層用であることがより好ましい。この観点から、本実施形態の粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましい。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
中でも、第1の被着体はガラスもしくはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートを使用したタッチパネルであり、第2の被着体は偏光板や有機ELディスプレイ等の画像表示装置であることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
(粘着剤組成物の作製)
(メタ)アクリル系共重合体溶液(アイカ工業社製:OP−9200−23(溶剤として酢酸エチルを60質量%含む))250質量部、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製:ATM−4PL)0.3質量部、光重合開始剤(ランブソン社製:4MBP)1.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)0.3質量部を混合し、攪拌機(SHASHIN KAGAKU社製:SK−200TVS)を用い大気圧下で3分間攪拌し、粘着剤組成物を作製した。
(粘着シートの作製)
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工膜厚が150μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで10分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL−07(L))を貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える剥離シート付き粘着シートを得た。
(実施例2)
多官能モノマーを添加せず、さらに紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)の添加量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(実施例3)
光重合開始剤をIGMレジン社製のTZTに変更し、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)の添加量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(実施例4)
多官能モノマーを添加せず、さらに紫外線吸収剤をBASF社製のTinuvin477に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(実施例5)
(メタ)アクリル系共重合体溶液(サイデン化学社製:TPO3232(溶剤として酢酸エチルを65質量%含む))286質量部、光重合開始剤(IGMレジン社製:TZT)1.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)0.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(実施例6)
多官能モノマーの配合量を7質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例1)
(メタ)アクリル系共重合体溶液(アイカ工業社製:OP−9200−23(溶剤として酢酸エチルを60質量%含む))250質量部、熱架橋剤(東ソー社製:コロネートL−55E)0.2質量部、光重合開始剤(ランブソン社製:4MBP)1.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)0.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例2)
(メタ)アクリル系共重合体溶液(サイデン化学社製:TPO3232(溶剤として酢酸エチルを65質量%含む))286質量部、熱架橋剤(東ソー社製:コロネートL−55E)0.2質量部、光重合開始剤(IGMレジン社製:TZT)1.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)0.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例3)
(メタ)アクリル系共重合体溶液(サイデン化学社製:TPO3232(溶剤として酢酸エチルを65質量%含む))286質量部、熱架橋剤(東ソー社製:コロネートL−55E)0.2質量部、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製:ATM−4PL)0.3質量部、光重合開始剤(BASF社製:Omnirad.184)1質量部、紫外線吸収剤(BASF社製:Tinuvin384−2)0.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例4)
光重合開始剤として4MBP 1.5質量部に加えて、BASF社製のOmnirad.819をさらに0.5質量部用いた以外は、実施例2と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例5)
光重合開始剤として4MBPを用いずに、BASF社製のOmnirad.819を0.5質量部用いた以外は、比較例5と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例6)
光重合開始剤としてTZT 1.5質量部に加えて、BASFのOmnirad.819をさらに0.5質量部用いた以外は、実施例3と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(比較例7)
紫外線吸収剤を配合しなかった以外は、実施例2と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付き粘着シートを得た。
(測定及び評価)
(吸光係数)
光重合開始剤をメタノールに溶解させて、0.1g/1Lのメタノール溶液とし、波長405nm、光路長1cmにおける吸光係数を分光色差計(日本分光:SE7700)を用いて測定した。なお、比較例4〜6において、二種以上の光重合開始剤を使用した場合は、配合比を保った状態でメタノールに溶解させて、0.1g/1Lのメタノール溶液とし、同様に吸光係数を測定した。
(ゲル分率)
光架橋前後(紫外線照射前後)における粘着シート約0.1gをそれぞれサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定した。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求めた。なお、紫外線照射後の粘着シートのゲル分率は、粘着シートに波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように照射した後に測定した。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着シートの採取重量)×100・・・式1
(引張応力・引張最大伸び率)
粘着シートの光架橋前(紫外線照射前)の引張応力は以下のようにして測定した。まず、実施例及び比較例で得た剥離シート付き粘着シートを縦50mm、横(幅方向)Ammとなるように切り出した。この際、横(幅方向)のAの値は、粘着シートの厚み(mm)×Amm=6mmとなるように決定した。次いで、第1の剥離シートを剥離し、粘着シートのみを幅方向に丸め、円の直径2.8mm、高さ50mmの円柱状サンプルとした。円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこみ、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定した。その後、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度300mm/分の条件で引張伸び率が2000%となるまで引っ張った。この際の応力値を引張応力とした。
粘着シートの光架橋後の引張応力は、切り出した剥離シート付き粘着シートの第1の剥離シート側から波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように照射した後に、円柱状サンプルを得て、同様の方法で測定した。
なお、表中において(*)印の付いている値は、円柱状サンプルの引張伸び率が2000%に達する前に破断したものであり、破断時の応力を記録したものである。
(引張弾性率)
粘着シートの引張弾性率は、(引張応力・引張最大伸び率)の測定において得られる応力−ひずみ曲線(SSカーブ)から算出した。具体的には、0%と5%の引張伸び率と応力値から傾きを算出し、引張弾性率とした。
(bの測定)
5cm角に裁断した剥離シート付き粘着シートの第2の剥離シートを剥離した後、松浪スライドガラスS9112に貼合し、第1の剥離シートを剥離した。その後、分光色差計(日本分光社製:SE7700)を用いてb値を測定した
(紫外線透過率)
5cm角に裁断した剥離シート付き粘着シートの第2の剥離シートを剥離した後、松浪スライドガラスS9112に貼合し、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように照射した後、第1の剥離シートを剥離した。その後、分光透過率計(島津製作所製:Solid Spec 3700)を用いて波長360nmにおける透過率を測定した。
(段差追従性)
<積層体の作製方法>
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を所定の回数繰り返し、50μmの厚みの段差部を有する印刷段差ガラスを得た。
実施例及び比較例で得られた剥離シート付き粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第2の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO−650EMT)を用いて、粘着シート(粘着剤層)が印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。その後、第1の剥離シートを剥離し、表出した粘着シート(粘着剤層)に、真空貼合機(常陽工学社製:真空重ね合せ装置(JE2020B−MVH))を用いてガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を貼合した。この際の貼合条件は、25℃、弱加圧力0.6kN、強加圧力1.2kN、真空圧100Pa、加圧保持時間10秒とした。次いで、脱泡処理(オートクレーブ処理:60℃、0.5MPa、30分間)を実施し、その後、印刷段差ガラス側から高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製、ECS−301G1)にて波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量が5000mJ/cmとなるように紫外線を照射し、積層体を得た。
<耐久性試験>
上記で得られた積層体をQUV試験機(Q−LAB社製)に仕掛け、0.8W/m、80℃で4時間の処理と、0.53W/m、50℃で4時間の処理を1サイクルとした場合、1サイクル×12回となるように紫外線(UV−A)を照射した。
<段差追従性評価>
耐久性試験前後の積層体の印刷段差部をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で評価した。
○:段差貼合面に気泡が見られない、完全に埋まっている状態である
△:印刷貼合面の額縁の角の部分に限定して気泡が見られるが、他は埋まっている状態である
×:段差貼合面全体に気泡が見られ、段差が埋まっていない状態である
Figure 0006958703
Figure 0006958703
4MBP:4メチルベンゾフェノン
TZT:4MBPと2,4,6−トリメチルベンゾフェノンの20:80共晶物
ATM−4PL:ペンタエリスリトールトリアクリレート
Omnirad.184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
Omnirad.819:フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
比較例に比べて実施例で得られた粘着シートはアフターUV硬化性を有しており、かつ着色が抑制されていた。また、実施例で得られた粘着シートは紫外線カット性を有しており、さらに段差追従性にも優れていた。
1 剥離シート付き粘着シート
11 粘着シート(粘着剤層)
12a 剥離シート
12b 剥離シート
30 積層体
31 第1の被着体
32 第2の被着体
31a 段差部(凸部)
32b 段差部(凹部)

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル系共重合体、溶剤、光重合開始剤及び紫外線吸収剤を含有し、実質的に熱架橋剤を含まない粘着剤組成物を熱乾燥することにより得られる粘着シートであって、
    前記光重合開始剤の波長405nmの吸光係数は10mL/(g・cm)未満であり、
    前記粘着シートのゲル分率は5%以下であり、かつ活性エネルギー線硬化能を有し、
    前記粘着シートの引張伸び率2000%における引張応力が0.30N/mm 以下であり、
    引張弾性率が150〜300kPaであり、
    前記粘着シートの引張弾性率をaとし、前記粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cm の紫外線を積算光量5000mJ/cm となるように照射し光架橋させた際の光架橋後の粘着シートの引張弾性率をbとした場合、b/aが3.0未満である、粘着シート。
  2. 前記光重合開始剤が、水素引抜型光重合開始剤である、請求項に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着シートの厚みを150μmとした場合のbの絶対値が1未満である、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記粘着シートに、波長365nmにおける照度が150mW/cmの紫外線を積算光量5000mJ/cmとなるように照射し光架橋させた場合、光架橋後の粘着シートの波長360nmにおける光透過率が5.0%以下となる、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対する、多官能モノマーの含有量が6質量部以下であり、前記光重合開始剤の含有量が0.1〜10質量部である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 前記紫外線吸収剤が23℃で油状もしくは液状である化合物を少なくとも1種含有し、前記紫外線吸収剤の含有量は前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1〜1質量部である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤もしくはベンゾトリアジン系紫外線吸収剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 前記(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−25℃であり、重量平均分子量が25万〜55万である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  9. 凸部を有する第1の被着体と、凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体への貼合用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着シート。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートからなる粘着剤層と、前記粘着剤層のいずれか一方の面側に積層された凸部を有する第1の被着体と、前記粘着剤層の他方の面側に積層された凸部および凹部から選択される少なくとも1種を有する第2の被着体との積層体。
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