JP2016071161A - 画像表示装置用粘着シート、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被着物上に形成される段差が高い場合であっても、段差への埋め込み性に優れ、貼り合わせ後に紫外線照射等による硬化反応がなくとも接着性及び信頼性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シート及びそれを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供する。【解決手段】 (メタ)アクリロイル基を含む粘着層を少なくとも1層有し、前記粘着層はおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層である、画像表示装置用粘着シート。粘着層をシート状に加工した後、粘着層の一方の面から紫外線を照射し粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なるようにする工程を有する前記の画像表示装置用粘着シートの製造方法。【選択図】 図1
Description
本発明は、画像表示装置用粘着シート、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置に関する。
近年、画像表示装置における、透明保護板若しくは情報入力装置(例えばタッチパネル)と画像表示ユニットの表示面との間の空隙、又は透明保護板と情報入力装置との間の空隙を、空気と比較して、透明保護板、情報入力装置及び画像表示ユニットの表示面に屈折率が近い透明材料で置換することにより、光透過性を向上させ、画像表示装置の輝度及びコントラストの低下を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献1)。画像表示装置の例として液晶表示装置の断面図を図23に示す。タッチパネルを内蔵した液晶表示装置は、透明保護板(ガラス又はプラスチック基板)D1、タッチパネルD2、偏光板D3、液晶表示セルD4で構成されており、液晶表示装置の割れ防止、応力及び衝撃の緩和、並びに、視認性の向上のために、透明保護板とタッチパネルとの間に粘着層(透明樹脂層)D5が設けられ、さらにタッチパネルと偏光板との間に粘着層(透明樹脂層)D6が設けられる場合もある。
ところで、情報入力装置及び画像表示ユニットには、その周縁部分に入出力の配線を設ける必要がある。透明保護板側からこれらの配線が見えないように、一般に、透明保護板の周縁部分に印刷等で枠状の装飾部が設けられる(特許文献1の図1における19(枠パターン)等)。これら装飾部により生じる段差を解消するため、透明保護板を貼り合わせる粘着剤として、例えば、フィルム状の粘着剤が用いられる場合がある。この段差近傍を隙間無く埋め込むためには、フィルム状の粘着剤に優れた段差への埋め込み性が求められる。近年、このような段差への埋め込み性を改善するためのフィルム状の粘着剤が、種々検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
近年、端末の薄型化を目的に、カバーガラス一体型タッチパネルや、One glass solution(OGS)と呼ばれる、透明保護板にタッチパネルの機能を付与する検討が行われている。この場合、タッチパネル機能付透明保護板と、画像表示ユニットが粘着剤によって貼り合わされるため、タッチパネル機能付透明保護板に形成された段差や配線を気泡無く埋め込むだけでなく、双方の被着体に対する粘着力の信頼性が課題となっている。
また、一般的に装飾部は不透明であるため、貼り合わせ後に紫外線を照射して硬化反応を進行させるフィルム状の粘着剤を用いた場合、装飾部とタッチパネル間、又は装飾部と画像表示装置間の粘着剤に紫外線が照射されず、硬化反応を十分に進行させることができない課題があった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、段差への埋め込み性に優れ、貼り合わせ後に紫外線照射等による硬化反応がなくとも接着性及び信頼性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シート及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、その画像表示装置用粘着シートを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意研究した結果、(メタ)アクリロイル基を含む粘着層を少なくとも1層有し、前記粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層とした画像表示装置用粘着シートであれば上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリロイル基を含む粘着層を少なくとも1層有し、前記粘着層はおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層である、画像表示装置用粘着シートを提供する。
このような画像表示装置用粘着シート(以下、単に「粘着シート」という場合がある)は、被着物上に形成される段差への埋め込み性に優れると共に、表面平坦性にも優れ、かつ視認性、信頼性にも優れる。
本発明は、また、粘着層が、(A)アクリル重合体、(B)(メタ)アクリロイル基を含む架橋剤、(C)光重合開始剤、(D)紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収剤の含有量が、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、0.05質量%以上、5質量%以下である上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層のATR-FTIR法で測定した(メタ)アクリロイル基の吸光度が、おもて面と裏面で20%以上異なる上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層が単一な層である、上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。層間での剥離やはがれを防止する目的から、前記粘着層は1層で構成されることが好ましい。
本発明は、また、前記粘着層の365nmにおける光透過率が使用する粘着層の厚みに対し50%以下である上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層の厚さが、10μm〜3.0×102μmである上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。この範囲で使用した場合、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果を発揮する。
本発明は、また、粘着層が、(A)アクリル重合体、(B)(メタ)アクリロイル基を含む架橋剤、(C)光重合開始剤、(D)紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収剤の含有量が、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、0.05質量%以上、5質量%以下である上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層のATR-FTIR法で測定した(メタ)アクリロイル基の吸光度が、おもて面と裏面で20%以上異なる上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層が単一な層である、上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。層間での剥離やはがれを防止する目的から、前記粘着層は1層で構成されることが好ましい。
本発明は、また、前記粘着層の365nmにおける光透過率が使用する粘着層の厚みに対し50%以下である上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明は、また、前記粘着層の厚さが、10μm〜3.0×102μmである上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。この範囲で使用した場合、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果を発揮する。
本発明は、また、前記粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層を更に備える、上記の画像表示装置用粘着シートを提供する。このような粘着シートによれば、粘着層を傷つけることなく、粘着シートの保管及び運搬を容易にすることができる。
上記画像表示装置シートは、第2の基材層に更に積層されたキャリア層を備えていてもよい。この場合、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出していてもよい。
このような粘着シートによれば、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁が、内層をなす粘着層の外縁よりも外側に張り出しているため、粘着シートの保管、運搬等に際し粘着層の外縁部を確実に保護することができる。粘着層を被着物に貼り付ける際には、外側に張り出したキャリア層の外縁部をつまむことで、キャリア層を第2の基材層から容易に剥離させることができる。次に、第1の基材層の外縁部をつまむことで、第1の基材層を容易に剥離することができる。このとき、粘着層の片側には、第2の基材層が残るため、粘着層の一方の面を被着物に貼り付ける際に、この第2の基材層による粘着層の保護が維持される。その後、第2の基材層を剥離させ、粘着層の他方の面を別の被着物に貼り付けることで、一対の被着物の間に粘着層を配置させることができる。
また、本発明は、粘着層をシート状に加工した後、粘着層の一方の面から紫外線を照射し粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なるようにする工程を有する上記の画像表示装置用粘着シートの製造方法を提供する。
本発明は、また、上記画像表示装置用粘着シートが備える粘着層を介して、被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程と、積層体を、20℃〜80℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程とを備える、画像表示装置の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記被着物が、透明保護板、タッチパネル、タッチパネル機能付透明保護板及び画像表示ユニットからなる群から選択される少なくとも2種である、上記の画像表示装置の製造方法を提供する。
本発明は、また、上記画像表示装置用粘着シートが備える粘着層を介して、被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程と、積層体を、20℃〜80℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程とを備える、画像表示装置の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記被着物が、透明保護板、タッチパネル、タッチパネル機能付透明保護板及び画像表示ユニットからなる群から選択される少なくとも2種である、上記の画像表示装置の製造方法を提供する。
このような画像表示装置の製造方法によれば、本発明の一実施形態に係る画像表示装置用粘着シートを用いることで、視認性の低下が抑制された画像表示装置を製造することができる。本発明の一実施形態に係る画像表示装置用粘着シートを用いることにより、例えば、液晶表示ユニット等の画像表示ユニットとタッチパネル機能付透明保護板、同画像表示ユニットとタッチパネル、同画像表示ユニットと透明保護板、タッチパネルと透明保護板のような、画像表示ユニットとその他の画像表示装置に必要とされる部材(光学部材等)同士を貼り合わせることが可能である。本発明の一実施形態に係る製造方法は、被着物が、画像表示ユニットとタッチパネル機能付透明保護板である場合に特に有用である。同様に、本発明の一実施形態に係る画像表示装置用粘着シートを用いることにより、画像表示装置の画像表示ユニットより視認側にある部材同士を貼合することも可能である。その際、例えば、視認側の透明保護板がその外周縁に沿う高い段差を有していても、粘着層が確実に段差を埋め込むことができるため、視認性を低下させることがないと推認される。
本発明は、また、画像表示ユニットと、透明保護板と、画像表示ユニットと透明保護板との間に介在する、上記本発明に係る画像表示装置用粘着シートが備える上記粘着層又はその硬化物である透明樹脂層と、を備える画像表示装置を提供する。
上記粘着層は高い段差への段差埋め込み性に優れるため、画像表示ユニット、タッチパネル又は透明保護板上に高い段差が設けられている場合であっても、優れた耐衝撃性と視認性を兼ね備えた画像表示装置を得ることができる。
本発明によれば、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、段差埋め込み性に優れ、また、接着性及び信頼性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シート及びその製造方法を提供することができる。本発明によれば、また、染み出しが抑制された画像表示装置用粘着シートを提供することができる。また本発明は、このような粘着シートを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)について説明をするが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、両実施形態で重複する記載については、第一実施形態においてのみ説明するものとし、第二実施形態の説明においては適宜記載を省略することがある。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
[第一実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、前記粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えていることが好ましい。また、上記基材層の外縁は、上記粘着層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、前記粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えていることが好ましい。また、上記基材層の外縁は、上記粘着層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。
すなわち、図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る画像表示装置用粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟む重剥離セパレータ3(第2の基材層)及び軽剥離セパレータ4(第1の基材層)とを備えている。重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の外縁は、粘着層2の外縁よりも張り出していてもよい。この粘着層2は、例えば、携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイ等の画像表示装置において、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと画像表示ユニットとの間に配置される透明なフィルム(透明樹脂層)として用いることができる。
本実施形態に係る粘着シート1は、画像表示装置に用いるため、通常、粘着層2のヘーズ(Haze、濁度)は1.5%以下である。視認性の観点から、粘着層2のヘーズは、1.0%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。粘着層2のヘーズの下限値については0%に近いことが好ましいが、通常は0%より大きく、実用的な観点からは0.1%以上であってよい。
粘着層2のヘーズは、後述する(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の相溶性に依存する。(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の成分間の相溶性が良好であると、粘着層2のヘーズをより低減することができる。
ヘーズ(Haze)とは、濁度を表わす値(%)であり、ランプにより照射され、試料中を透過した光の全透過率Ttと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Tdより、(Td/Tt)×100として求められる。これらはJIS K 7136により規定されており、市販の濁度計、例えば、日本電色工業株式会社製NDH−5000を用いて容易に測定可能である。
粘着層2の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、10μm〜3.0×102μm、50μm〜2.0×102μm又は70μm〜1.5×102μmであってもよい。この範囲で使用した場合、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果を発揮する。
画像表示装置に好適な厚さを有する粘着層2の可視光領域(波長:380nm〜780nm)の光線に対する光透過率の最小値は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。特に波長400nm〜780nmの光線に対する光透過率の最小値は、90%以上であることが視認性の観点から好ましい。一方、波長380nm〜399nmの光線に対する光透過率の最小値は、視認性に悪影響を及ぼさない程度に低くとも良く、不要な紫外線を除去する観点から、30%以上が好ましく、40〜95%がより好ましい。
また、不要な紫外線を除去する観点から、画像表示装置に好適な厚さを有する粘着層2の365nmにおける光透過率が使用する粘着層の厚みに対し50%以下であると好ましい。
光透過率は、市販の紫外可視分光光度計、例えば、日本分光株式会社製V−570を用いて容易に測定可能である。
また、不要な紫外線を除去する観点から、画像表示装置に好適な厚さを有する粘着層2の365nmにおける光透過率が使用する粘着層の厚みに対し50%以下であると好ましい。
光透過率は、市販の紫外可視分光光度計、例えば、日本分光株式会社製V−570を用いて容易に測定可能である。
粘着層2は、(メタ)アクリロイル基を含む粘着層を少なくとも1層有し、前記粘着層はおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層である。ここで「おもて面」とは、粘着層2が、どちらか一方の基材層と接する面を指し、「裏面」とは、粘着層2が、もう一方の基材層と接する面を指す。
層間での剥離やはがれを防止する目的から、前記粘着層は1層で構成されることが好ましい。
前記粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量は、ATR−FTIR(Attenuated total reflection Fourier transform infrared spectroscopy、全反射フーリエ変換赤外分光測定法)法によって測定することができる。ATR−FTIR法では、屈折率の大きなダイヤモンド等のプリズムに測定試料を接触させて測定することで、測定試料表面の赤外吸収スペクトルを得ることができる。得られたスペクトルの、(メタ)アクリロイル基の吸光度から、おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量を測定することができる。
前記ATR−FTIR法で(メタ)アクリロイル基の吸光度を測定する方法は、具体的には、例えばPerkinElmer社製FT−IR spectrometer Spectrum Twoに、同社製Universal ATRアクセサリを組み合わせた装置を用い、分解能4cm−1、スキャン回数4回に設定し、測定部に試料を設置せずにバックグラウンドを測定した後、測定する粘着層のおもて面を測定部に貼りつけて密着させ、吸光度の測定を行う。(メタ)アクリロイル基に由来する吸収は810cm−1に現れるが、隣接する吸収を除外するために、得られたIRスペクトルの、798〜818cm−1間に直線を引き、810cm−1における、得られたIRスペクトルと前記直線との差を、おもて面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(おもて面)と表記する)とする。同様にして裏面も測定し、裏面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(裏面)と表記する)を得ることができる。
おもて面と裏面の、(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異は、次式で算出される。なお、(メタ)アクリロイル基の吸光度が大きい方をおもて面とし、小さいほうを裏面とする。
(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異(%)=
(A(おもて面)−A(裏面))/A(おもて面)×100
(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異(%)=
(A(おもて面)−A(裏面))/A(おもて面)×100
この、(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異が大きいことは、おもて面と裏面で(メタ)アクリロイル基の含有量に差異が大きいことを示しており、段差埋め込み性に優れるため好ましい。具体的には、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層とするには、粘着層に後述の(D)紫外線吸収剤を含有させ、粘着層の一方面から紫外線を照射し、照射面側の(メタ)アクリロイル基を架橋等により消費させ、その濃度を減少させ、粘着層の厚み方向で粘着層の紫外線の照射面と反対側の面に向かう方向では、紫外線が紫外線吸収剤に吸収され架橋が少なくなり残存する(メタ)アクリロイル基の濃度が高くなるようにする。紫外線の照射の強さ(照射強度、照射時間)、紫外線吸収剤の種類、配合量を変えることで(メタ)アクリロイル基含有量を変えることができる。
また、(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層A、粘着層Bをそれぞれ形成し、それらを積層することで形成することができる。粘着層に紫外線吸収剤を含有させる方法が簡便であり好ましい。
粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層とするには、粘着層に後述の(D)紫外線吸収剤を含有させ、粘着層の一方面から紫外線を照射し、照射面側の(メタ)アクリロイル基を架橋等により消費させ、その濃度を減少させ、粘着層の厚み方向で粘着層の紫外線の照射面と反対側の面に向かう方向では、紫外線が紫外線吸収剤に吸収され架橋が少なくなり残存する(メタ)アクリロイル基の濃度が高くなるようにする。紫外線の照射の強さ(照射強度、照射時間)、紫外線吸収剤の種類、配合量を変えることで(メタ)アクリロイル基含有量を変えることができる。
また、(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層A、粘着層Bをそれぞれ形成し、それらを積層することで形成することができる。粘着層に紫外線吸収剤を含有させる方法が簡便であり好ましい。
本発明で用いる粘着層2は、特に(A)アクリル重合体、(B)(メタ)アクリロイル基を含む架橋剤、(C)光重合開始剤、(D)紫外線吸収剤を含有する粘着層であることが好ましい。以下、各成分について説明する。
[(A):アクリル重合体]
(A)アクリル重合体とは、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーを1種で重合するか又は2種以上組み合わせて共重合したものをいう。なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、(A)成分は、(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物、又は(メタ)アクリロイル基を有していない重合性化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)を、アクリル重合体と共重合させたものであってもよい。
(A)アクリル重合体とは、(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーを1種で重合するか又は2種以上組み合わせて共重合したものをいう。なお、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば、(A)成分は、(メタ)アクリロイル基を分子内に2個以上有する化合物、又は(メタ)アクリロイル基を有していない重合性化合物(アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン等の重合性不飽和結合を分子内に1個有する化合物、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物)を、アクリル重合体と共重合させたものであってもよい。
(A)成分を形成する(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリロイルモルホリン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(n−ラウリル(メタ)アクリレート)、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート;アルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
粘着層に適度な柔軟性を与え、画像表示装置を貼り合わせた際に外界からの衝撃を吸収して破損を防ぎ、また歪によって画像が乱れるのを防ぐ観点から、(A)成分は、上記化合物の中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが含まれていることが好ましい。
粘着力を高くできる観点から、(A)成分は、上記化合物の中でも、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが含まれていることが好ましい。前記イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドの含有割合は、共重合されたポリマー全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドの含有割合がこの範囲であると、粘着層と透明保護板(ガラス基板、プラスチック基板等)との密着性、及び段差埋め込み性がより向上し、且つ滲み出しをより抑制できる。
粘着層の誘電率を低くする場合、(A)成分は、上記化合物の中でも、ステアリル(メタ)アクリレートが含まれていることが好ましい。前記ステアリル(メタ)アクリレートの含有割合は、共重合されたポリマー全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。ステアリル(メタ)アクリレートの含有割合がこのような範囲であると、粘着層と透明保護板(ガラス基板、プラスチック基板等)との密着性、及び段差埋め込み性がより向上し、且つ滲み出しをより抑制できる。このような共重合割合のポリマーは、一般に、各モノマーを上記共重合割合と同じ割合で配合し、共重合させることで得ることができる。また、重合率は、実質的に100質量%に近づくようにすることがより好ましい。
ステアリル(メタ)アクリレートとしては、n−ステアリル(メタ)アクリレート(オクタデシル(メタ)アクリレートともいう)、イソステアリル(メタ)アクリレート(16−メチルヘプタデシル(メタ)アクリレートともいう)等が挙げられるが、その中でもイソステアリル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのステアリル(メタ)アクリレートは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、(A)成分を形成する(メタ)アクリロイル基を分子内に1つ有するモノマーとして、下記一般式(1)で示されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートを併用することもできる。
一般式(1)で表されるアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘプタプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。また、これらのアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。また、これらのアルキレングリコール鎖含有(メタ)アクリレートは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
粘着層が高温恒湿条件下に曝された場合に、吸収した水分により白化(曇り)するのを抑制できる観点から、(A)成分は、上記化合物の中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有割合は、共重合されたポリマー全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの含有割合がこの範囲であると、粘着層が高温恒湿条件下に曝された場合でも白化せず、且つ誘電率を適切な値とすることができる。
(A)成分の重量平均分子量は、1.5×104以上であることが好ましく、2.0×104以上であることがより好ましく、2.5×104以上であることが更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量が1.5×104以上であると、透明保護板等に対してより剥がれの発生しにくい粘着力を有する粘着層を得ることができる。一方、(A)成分の重量平均分子量は、9.0×105以下であることが好ましく、8.0×105以下であることがより好ましく、6.0×105以下であることが更に好ましい。(A)成分の重量平均分子量が9.0×105以下であると、粘着性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、シート状の粘着層にする際の加工性がより良好になる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。重量平均分子量の測定条件は、本明細書の実施例と同一の測定条件とする。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。重量平均分子量の測定条件は、本明細書の実施例と同一の測定条件とする。
(A)成分のアクリル重合体を得るための重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の既知の重合方法を用いることができる。
(A)成分を重合する際の重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物を用いることができる。具体的には、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のような有機過酸化物;2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のようなアゾ系化合物が挙げられる。
(A)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。また、99.9質量%以下であることが好ましく、99.8質量%以下であることがより好ましく、99.5質量%以下であることが更に好ましい。(A)成分の含有量がこの範囲であると、得られた粘着層は、ガラス基板、プラスチック基板等の透明保護板への粘着性、及び段差埋め込み性がより良好となる。
[(B)成分:(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤]
(B)成分の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート等の2官能又は多官能(メタ)アクリレート類が、フィルムの形状安定性や粘着力に優れることから好適に用いることができる。
このような多官能(メタ)アクリレート類の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%であることがより好ましい。含有量をこの範囲とすると、段差埋め込み性と、高温での接着力を高めることができる。
(B)成分の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート等の2官能又は多官能(メタ)アクリレート類が、フィルムの形状安定性や粘着力に優れることから好適に用いることができる。
このような多官能(メタ)アクリレート類の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%であることがより好ましい。含有量をこの範囲とすると、段差埋め込み性と、高温での接着力を高めることができる。
また、(B)成分として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(EOはエチレンオキサイドを示す)、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の、ジ(メタ)アクリレート類を用いることができ、具体的には、下記一般式(2)〜(7)で示した化合物等が好適に用いることができる。一般式(2)、(3)及び(4)中、sは1から20の整数を示し、一般式(5)及び(6)中、m及びnはそれぞれ独立に、1から10の整数を示す。このようなジ(メタ)アクリレート類の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.2質量%〜5質量%であることがより好ましい。含有量をこの範囲とすると、段差埋め込み性と、高温での接着力を高めることができる。特に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等、ポリエチレングリコール骨格を有する化合物が、粘着層が高温恒湿条件下に曝された場合でも白化せず、且つ誘電率を適切な値とすることができ好ましい。
また、(B)成分として、ウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマー等も好適に用いることができる。
上記ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有することが好ましい。また、透明性を確保する観点から脂環式構造を有することが好ましい。(A)成分と、(B)成分及び(C)成分との相溶性が低い場合、硬化物が白濁する可能性がある。
前記側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーは、側鎖を(メタ)アクリロイル基により変性した(メタ)アクリレートポリマーであればよいが、下記一般式(8)で示される構造単位、及び下記一般式(9)で示される構造単位を有することが好ましく、変性前の(メタ)アクリレートポリマーは(A)成分であることがより好ましい。(A)成分の側鎖を(メタ)アクリル変性して(B)成分とすることにより、(A)成分と(B)成分の構造がほぼ等しくなるため、相溶性に優れ、濁り(ヘーズ)の少ない透明性の高い粘着シートを得ることができる。
側鎖を(メタ)アクリル変性する方法としては、(A)成分に、例えば下記一般式(10)で示される水酸基を有する構造単位、或いはカルボキシル基を有する構造単位を、ポリマーの主鎖中に持たせておいて、下記一般式(11)で示される2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法がある。また、別の方法として、例えば、下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基を有する構造単位をポリマーの主鎖中に持たせておき、これに(メタ)アクリル酸を付加する方法が挙げられる。さらに、グラフト重合により(メタ)アクリル側鎖を形成する方法も挙げられるが、下記一般式(10)で示されるような水酸基に2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法、又は下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する方法がより好ましい。
下記一般式(10)で示されるような水酸基にイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する場合、水酸基1当量に対して、イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを0.01当量〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。同様に下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する場合、グリシジル基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.01当量〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。
これらの方法によれば、側鎖の(メタ)アクリロイル基が、ウレタン結合やエステル結合を介して主鎖に結合した構造が得られる。これらの構造を有すると衝撃吸収性、低誘電率化等の観点で好ましい。
上記ウレタン結合を有するウレタンジ(メタ)アクリレートは、他の成分との相溶性が良好である観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有することが好ましい。また、透明性を確保する観点から脂環式構造を有することが好ましい。(A)成分と、(B)成分及び(C)成分との相溶性が低い場合、硬化物が白濁する可能性がある。
前記側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーは、側鎖を(メタ)アクリロイル基により変性した(メタ)アクリレートポリマーであればよいが、下記一般式(8)で示される構造単位、及び下記一般式(9)で示される構造単位を有することが好ましく、変性前の(メタ)アクリレートポリマーは(A)成分であることがより好ましい。(A)成分の側鎖を(メタ)アクリル変性して(B)成分とすることにより、(A)成分と(B)成分の構造がほぼ等しくなるため、相溶性に優れ、濁り(ヘーズ)の少ない透明性の高い粘着シートを得ることができる。
側鎖を(メタ)アクリル変性する方法としては、(A)成分に、例えば下記一般式(10)で示される水酸基を有する構造単位、或いはカルボキシル基を有する構造単位を、ポリマーの主鎖中に持たせておいて、下記一般式(11)で示される2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法がある。また、別の方法として、例えば、下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基を有する構造単位をポリマーの主鎖中に持たせておき、これに(メタ)アクリル酸を付加する方法が挙げられる。さらに、グラフト重合により(メタ)アクリル側鎖を形成する方法も挙げられるが、下記一般式(10)で示されるような水酸基に2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する方法、又は下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する方法がより好ましい。
下記一般式(10)で示されるような水酸基にイソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを付加する場合、水酸基1当量に対して、イソシアナート基を有する(メタ)アクリレートを0.01当量〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。同様に下記一般式(12)で示されるようなグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加する場合、グリシジル基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.01当量〜0.9当量の比率になるように付加するのが好ましい。
これらの方法によれば、側鎖の(メタ)アクリロイル基が、ウレタン結合やエステル結合を介して主鎖に結合した構造が得られる。これらの構造を有すると衝撃吸収性、低誘電率化等の観点で好ましい。
また、(B)成分として側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマーを用いる場合の重量平均分子量は、(B)成分と同程度が好ましいが、側鎖変性するため多少重量平均分子量が低くても使用することができる。具体的には、1.0×104以上が好ましく、1.5×104以上がより好ましく、2.0×104以上が更に好ましく、2.5×104以上が特に好ましい。同様の観点から、3.0×105以下であることが好ましく、1.0×105以下であることがより好ましく、8.0×104以下であることが更に好ましく、7.0×104以下であることが特に好ましい。
(B)成分にウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマー等を用いる場合、最適な含有量は、側鎖の変性割合によって変化するが、含有量が多すぎると粘着層が固くなり、段差部に気泡が入りやすくなるなどの問題が発生しやすく、一方少なすぎると高温での保持力が低くなり信頼性が低下する傾向にある。
(B)成分にウレタン結合を有するウレタン(メタ)アクリレート、側鎖(メタ)アクリル変性(メタ)アクリレートポリマー等を用いる場合、含有量の下限については特に制限はないが、フィルムの寸法安定性をより良好にする観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。(B)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の全質量に対して、15質量%以下であることが好ましい。該含有量が15質量%以下であると架橋密度が高くなり過ぎないため、より十分な粘着性を有し、かつ弾性が高く、脆さのない粘着層を得ることができる。段差埋め込み性をより向上できる観点から、(B)成分の含有量は、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましい。
[(C)成分:光重合開始剤]
(C)成分の光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させる成分である。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。製造が容易である観点から、紫外線が好ましく、360nm〜410nmの紫外線が、粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量の差異を大きくすることができ、特に好ましい。
(C)成分の光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させる成分である。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。製造が容易である観点から、紫外線が好ましく、360nm〜410nmの紫外線が、粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量の差異を大きくすることができ、特に好ましい。
(C)成分は、特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の材料を使用することが可能である。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、N,N,N´,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N´,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。これらの化合物は複数を組み合わせて使用してもよい。
特に、(C)成分として、高温での接着力を高めることができる観点から、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
(C)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。同様の観点から、(C)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。(C)成分の含有量がこれらの範囲内であると、染み出し性及び高温高湿下における信頼性に優れるという効果がより顕著に得られる。更に、(C)成分の含有量を5質量%以下とすることで、光透過率がより高く、また色相も黄味を帯びることがなく、且つ段差埋め込み性にもより優れる粘着層を得ることができる。
[(D)成分:紫外線吸収剤]
(D)成分は、照射された紫外線の一部を吸収し、光重合開始剤の反応を制御することで、おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量に差異をつけるために重要である。このような紫外線吸収剤としては、光重合開始剤または照射する紫外線と同じ波長領域に吸収を持つ化合物であれば使用可能である。具体的には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−29、LA−31、LA−32、LA−36、「アデカスタブ」は登録商標)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブ1413)、トリアジン系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−46、LA−F70)等を用いることができる。
(D)成分は、照射された紫外線の一部を吸収し、光重合開始剤の反応を制御することで、おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量に差異をつけるために重要である。このような紫外線吸収剤としては、光重合開始剤または照射する紫外線と同じ波長領域に吸収を持つ化合物であれば使用可能である。具体的には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−29、LA−31、LA−32、LA−36、「アデカスタブ」は登録商標)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブ1413)、トリアジン系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製アデカスタブLA−46、LA−F70)等を用いることができる。
(D)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、0.05質量%以上であり、0.1質量%以上がより好ましい。同様の観点から、(D)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、5質量%以下であり、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましい。(D)成分の含有量がこれらの範囲内であると、粘着層2の365nmにおける光透過率を50%以下とすることができ、その結果おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量の差異を大きくでき、段差埋め込み性に優れる粘着層を作製することができる。
[その他の成分]
粘着性樹脂組成物には、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)、(D)成分とは別に、アクリルモノマー及び各種添加剤等を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するp−メトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
粘着性樹脂組成物には、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)、(D)成分とは別に、アクリルモノマー及び各種添加剤等を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するp−メトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
特に、シランカップリング剤を添加すると、高温高湿下に暴露されても接着力の低下が抑制され、好ましい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランを好適に用いることができる。
前記シランカップリング剤の添加量は、0.03質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。また、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。シランカップリング剤の含有量がこの範囲であると、得られた粘着層は、高温高湿暴露後の粘着性がより良好となる。
[粘着シート又は粘着フィルムの加工方法]
粘着性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に加工する方法としては、公知の技術を使用することができる。例えば、上述の粘着性樹脂組成物を、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤で希釈して塗液を調製し、次いで、該塗液を、重合体フィルム等の基材上にフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、ワイヤバー法、リップダイコート法等により塗工する。次いで、溶剤を除去することにより、任意の膜厚を有するシート状又はフィルム状に加工することが出来る。
粘着性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に加工する方法としては、公知の技術を使用することができる。例えば、上述の粘着性樹脂組成物を、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤で希釈して塗液を調製し、次いで、該塗液を、重合体フィルム等の基材上にフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、ワイヤバー法、リップダイコート法等により塗工する。次いで、溶剤を除去することにより、任意の膜厚を有するシート状又はフィルム状に加工することが出来る。
塗液の調製に際しては、各成分の配合後に溶剤で希釈することもできるし、又は各成分の配合前に予め溶剤で希釈しておくこともできる。
塗工性の観点から、塗液の固形分濃度は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。同様の観点から、塗液の固形分濃度は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。
塗工性の観点から、塗液の粘度(25℃)は、1Pa・s以上であることが好ましく、2Pa・s以上であることがより好ましい。同様の観点から、30Pa・s以下であることが好ましく、25Pa・s以下であることがより好ましく、2Pa・s〜15Pa・sであることが更に好ましい。
前記粘着層の厚さは、10μm〜3.0×102μmとすることができ、装置を薄型化できる観点から、10μm〜2.0×102μmが好ましく、10μm〜1.5×102μmであることがより好ましい。
粘着層2は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合もある)等の重合体フィルムである基材層(重剥離セパレータ、第2の基材層3)と、これと同種の素材のカバーフィルムである基材層(軽剥離セパレータ、第1の基材層4)によって挟まれることがある。このとき、粘着層2と、それら基材層との剥離性を制御するために、粘着性樹脂組成物は、ポリジメチルシロキサン系、フッ素系等の界面活性剤を含有してもよい。
これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの添加剤の含有量は、通常、上記の(A)、(B)、(C)、(D)の含有量の合計と比較すると少量であり、一般に粘着性樹脂組成物の全質量に対して0.01質量〜5質量%である。
重剥離セパレータ3(第2の基材層)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の重合体フィルムであってもよい。重剥離セパレータ3は、PETフィルムであることができる。重剥離セパレータ3の厚さは、作業性の観点から、50μm〜2.0×102μm、60μm〜1.5×102μm又は70μm〜1.3×102μmであってもよい。
重剥離セパレータ3の主面は、粘着層2の主面よりも大きく、重剥離セパレータ3の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していてもよい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm〜20mm又は4mm〜10mmであってもよい。粘着層2及び重剥離セパレータ3の主面が略長方形等の略矩形である場合、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、少なくとも1つの辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよく、又は全ての辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよい。
軽剥離セパレータ4(第1の基材層)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の重合体フィルムが挙げられる。軽剥離セパレータ4は、PETフィルムであることができる。軽剥離セパレータ4の厚さは、作業性の観点から、25μm〜1.5×102μm、30μm〜1.0×102μm又は40μm〜75μmであってもよい。軽剥離セパレータ4の主面は、粘着層2の主面よりも大きいことが好ましく、軽剥離セパレータ4の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していることがより好ましい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm〜20mm又は4mm〜10mmとすることができる。粘着層2及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形状である場合には、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、少なくとも1つの辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよく、又は全ての辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよい。
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くてもよい。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも粘着層2から剥離し難くなる。また、後述するように、粘着層2に重剥離セパレータ3側に向かってブレードBが通される際、粘着層2の外縁部が重剥離セパレータ3に押し付けられることとなる。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも更に粘着層2から剥離し難くなり、重剥離セパレータ3に剥離が生じる前に軽剥離セパレータ4を剥離させることがより容易となる。従って、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4を片方ずつ剥離させることができ、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4を剥離して粘着層2を別々の被着物に貼り付ける作業を、片方ずつ確実に行うことができる。なお、重剥離セパレータ3と粘着層2、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度は、例えば、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4に表面処理を施すことによって調整することができる。表面処理の方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。
上記で得られた基材層付の粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量を異なるものとするため粘着層の一方面から紫外線を照射する。照射面側の(メタ)アクリロイル基を架橋等により消費させ、その濃度を減少させ、粘着層の厚み方向で粘着層の紫外線の照射面と反対側の面に向かう方向では、紫外線が紫外線吸収剤に吸収され架橋が少なくなり残存する(メタ)アクリロイル基の濃度が高くなるようにする。照射は、粘着層の両面から照射量を変えて行うこともできる。その場合、粘着層の被着面と接する粘着層の表面の光反応が進み、粘着層に高い強度を付与することで信頼性を高めることができ、粘着層の剥離が必要とされる場合、粘着層が断裂するのを抑制し、簡単に剥離できるようになる。紫外線の照射量は、粘着性樹脂組成物の配合量や埋め込み性、信頼性、剥離性を考慮して決める。一般的には片面で2×102mJ/cm2〜1×104mJ/cm2である。
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
以上に説明した粘着シート1は、例えば、次のような方法により製造することができる。まず、図3に示されるように、重剥離セパレータ3と、重剥離セパレータ3上に設けられた粘着層2と、粘着層2上に設けられた仮セパレータ6とを有する母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
以上に説明した粘着シート1は、例えば、次のような方法により製造することができる。まず、図3に示されるように、重剥離セパレータ3と、重剥離セパレータ3上に設けられた粘着層2と、粘着層2上に設けられた仮セパレータ6とを有する母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
続いて、図4に示されるように、打抜装置(不図示)に備えられたブレードBにより、仮セパレータ6及び粘着層2を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、レシプロ式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。各基材の剥離性の観点からは、ロータリー式の打抜装置を用いることが好ましい。また、上記切断にはレーザーカッターを用いることもできる。この工程では、重剥離セパレータ3に到達する深さまでブレードBを仮セパレータ6及び粘着層2に通し、仮セパレータ6及び粘着層2を切断することができる。これにより、重剥離セパレータ3には切込部3cが形成され、粘着層2からの重剥離セパレータ3の剥離が容易になる。
続いて、図5に示されるように仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分を除去し、図6に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図7に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を積層する。以上の工程で粘着シート1が完成する。
<画像表示装置>
次に、粘着シート1を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1が備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板などを組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
次に、粘着シート1を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1が備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板などを組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよい。透明なプラスチックフィルム等の透明な基材に既知の反射防止方法で処理された層を反射防止層として用いることができる。
防汚層は、表面に汚れがつきにくくするためのものであり、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂等で構成される既知の層を防汚層として用いることができる。
色素層は、色純度を高めるために使用されるもので、液晶表示ユニット等の画像表示ユニットから発する光の色純度が低い場合に不要な波長の光成分を低減するために使用される。色素層は、不要な波長の光成分を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層して得ることができる。
ハードコート層は、表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂などをポリエチレンフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高くするために、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明保護板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
粘着層2は、偏光板に積層して使用することができる。このとき、粘着層2は、偏光板の視認面側に積層することもでき、その反対側に積層することもできる。
偏光板の視認面側に積層された粘着層2のさらに視認面側に反射防止層、防汚層又はハードコート層等を積層することができる。偏光板と液晶セルの間に粘着層2を設ける場合には、偏光板の視認面側に機能性を有する層を積層することができる。
このような積層体は、粘着層2をロールラミネート、真空貼合機又は枚葉貼合機等を用いて積層することで得られる。
粘着層2は、画像表示装置の画像表示ユニットと画像表示ユニットよりも視認側に設けられた透明保護板との間における、適切な位置に配置されてもよい。具体的には、画像表示ユニットと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用(use)されてもよい。
タッチパネルと画像表示ユニットとの組み合わせを含む画像表示装置においては、タッチパネルと画像表示ユニットの間及び/又はタッチパネルと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用(use)されてもよい。ただし、画像表示装置の構成上、本実施形態の粘着層2が適用可能であれば、粘着層2が設けられる位置は限られない。
以下、画像表示装置の一つである液晶表示装置を例として、図8及び図9を用いて詳細に説明する。
図8は、液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。図8に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んで画像表示ユニット7と対向する透明保護板(保護パネル)40とから構成される。透明保護板40の透明樹脂層32側の面の周縁部上には、段差部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層32の一部によって埋め込まれている。
透明樹脂層32は、上述の実施形態に係る粘着層2に相当する。装飾部による段差部60は、画像表示装置の大きさ等により異なるが、この高さが20μm〜1.0×102μm、特に35μm〜65μmである場合、本実施形態の粘着層を用いることが特に有用である。段差部60の高さが上記範囲の場合、段差埋め込み性の観点から粘着層2の厚さは厚い方が好ましいが、本実施形態の粘着層2は、膜厚が薄くても段差埋め込み性に優れる。上記段差部の高さがh、上記透明樹脂層の厚さがtであるとき、0.25<(h/t)<1であっても優れた段差埋め込み性を奏する。
図9は、画像表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。図9に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んでタッチパネル30と対向する透明保護板40とから構成される。装飾部の段差部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層31の一部により埋め込まれている。透明樹脂層31及び透明樹脂層32が、上述の実施形態に係る粘着層又はその硬化物に相当し得る。
図9の液晶表示装置においては、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護板40との間の両方に透明樹脂層が介在している。しかしながら、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよく、特に本実施形態の粘着層2を透明樹脂層として用いる場合、タッチパネル30と、段差を形成している透明保護板40との間に透明樹脂層が介在させることが好ましい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと画像表示セルが一体化される。その具体例としては、図8の液晶表示装置の液晶表示セル12が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
近年、インセル型タッチパネルと呼ばれる、タッチパネル機能が組み込まれた液晶表示セルの開発が進んでいる。このような液晶表示セルを備えた液晶表示装置は、例えば、透明保護板、偏光板、及び液晶表示セル(タッチパネル機能付き液晶表示セル)から構成される。本実施形態に係る粘着シートの粘着層2は、このようなインセル型タッチパネルを採用している画像表示装置にも用いることができる。
図8及び図9に示す液晶表示装置は、本実施形態の粘着層を透明樹脂層31又は32として備えるので、耐衝撃性を有し、二重映りがなく鮮明でコントラストの高い画像を得ることが可能である。
液晶表示セル12としては、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。液晶表示セルは、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本実施形態に係る画像表示装置では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。
タッチパネル30としては、表面に指や物体が触れた圧力で電極が接触する抵抗膜方式、表面に指や物体が触れた時の静電容量の変化を感知する静電容量方式、電磁誘導方式等があるが、本発明の粘着層2は、静電容量方式のタッチパネルを採用している液晶表示装置に用いることが特に好適である。上記タッチパネル30は、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができるが、上記静電容量方式のタッチパネルとしては、例えば、基板上に透明電極を形成した構造を有するものが挙げられる。上記基板としては、例えば、ガラス基板、PETフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等が挙げられる。また透明電極としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物が挙げられる。上記基板の厚さは、20μm〜1.0×103μmである。また、上記透明電極の厚さは、10nm〜5.0×102nmである。
透明樹脂層31又は32の厚さは、例えば0.01mm〜3mm又は50μm〜2.0×102μmであってもよい。特に、透明樹脂層31又は32に本実施形態の粘着層2を用いる場合、透明樹脂層が薄くても十分な段差埋め込み性を発揮するが、透明樹脂層が厚いときにはより一層優れた効果を発揮させることができる。
透明保護板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス基板、石英板等の無機物の板;アクリル樹脂基板、ポリカーボネート板、シクロオレフィンポリマー板等のプラスチック基板;厚手のポリエステルシート等の樹脂シートなどが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合には、透明保護板はガラス基板又はアクリル樹脂基板であってもよく、ガラス基板であってもよい。これらの透明保護板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等のための処理がなされていてもよい。透明保護板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
<画像表示装置の製造方法>
粘着シート1は、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、図10に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1から剥離して、粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、図11に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で粘着層2を被着物A1に対して押し付ける。この際、被着物A1の表面の段差部60により形成された段差は、粘着層2が流動することにより埋め込まれる。被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程では、前記積層体を、20℃〜80℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程とを備える。粘着層2を被着物A1に対して押し付ける際、粘着層2を例えば40℃〜80℃に加熱してもよい。粘着層2を40℃〜80℃に加熱することで、粘着層2がより流動し易くなり、段差部60への段差埋め込み性に優れるという効果がより顕著に得られる。この温度は、さらに段差近傍の気泡をより効率的に除去できることから、50℃〜70℃であってもよい。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板、タッチパネル機能付透明保護板、液晶表示セル又はタッチパネルである。
粘着シート1は、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、図10に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1から剥離して、粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、図11に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で粘着層2を被着物A1に対して押し付ける。この際、被着物A1の表面の段差部60により形成された段差は、粘着層2が流動することにより埋め込まれる。被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程では、前記積層体を、20℃〜80℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程とを備える。粘着層2を被着物A1に対して押し付ける際、粘着層2を例えば40℃〜80℃に加熱してもよい。粘着層2を40℃〜80℃に加熱することで、粘着層2がより流動し易くなり、段差部60への段差埋め込み性に優れるという効果がより顕著に得られる。この温度は、さらに段差近傍の気泡をより効率的に除去できることから、50℃〜70℃であってもよい。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板、タッチパネル機能付透明保護板、液晶表示セル又はタッチパネルである。
続いて、図12に示されるように、重剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して、粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、図13に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、得られた積層体を加熱及び加圧する(例えば、オートクレーブによる処理)。被着物A2は、例えば画像表示ユニット、透明保護板、タッチパネル機能付透明保護板又はタッチパネルである。このようにして、粘着層2を介して被着物同士を貼り合わせることができる。積層体を加熱及び加圧する条件は、例えば、温度が20℃〜80℃であり、圧力が0.1MPa〜0.6MPaである。被着物表面の段差が40μm〜1.0×102μmである場合は、段差近傍の気泡をより効率的に除去できることから、温度が50℃〜70℃であり、圧力が0.2MPa〜0.5MPaであってもよい。加熱及び加圧の時間は5分〜60分、又は10分〜50分であってもよい。
上記製造方法は、積層体の加熱及び加圧の前又は後に、粘着層2に対して、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から紫外線を照射する工程を含んでもよい。これにより、高温高湿下における信頼性(気泡の発生低減及び剥がれの抑制)及び接着力をより向上できる。高温高湿下における信頼性を更に向上できる観点からは、段差部を有しない被着物(例えば、タッチパネル)側から粘着層2に対して紫外線を照射することができる。
ここで、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から粘着層2に対して、粘着性樹脂組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射する場合、段差部60が遮光性であると、図13で示されるように、段差部60と被着物A2(例えば、透明保護板、タッチパネル)に挟まれる位置にある領域(遮光部)には、活性エネルギー線が届きにくく、硬化が進行しにくい傾向がある。
本発明は、貼り合わせ後に紫外線照射等による硬化反応がなくとも接着性及び信頼性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供するものであり、必要ではないが、下記のように対応することができる。
本発明は、貼り合わせ後に紫外線照射等による硬化反応がなくとも接着性及び信頼性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供するものであり、必要ではないが、下記のように対応することができる。
段差部60が遮光性である場合には、本発明では上述の紫外線の照射に加えて、図13で示される積層体の側面から、段差部60と被着物A2(例えば、透明保護板、タッチパネル)に挟まれる位置にある領域の粘着層2の粘着性樹脂組成物に向けて、紫外線を照射することが好ましい。紫外線の照射角度は、特に限定されることはなく、水平方向に対して0°以上90°未満とすることができる。
紫外線の照射量は、特に制限されないが、5.0×102mJ/cm2〜5.0×103mJ/cm2であってもよい。紫外線を照射する工程は、高温高湿下における信頼性が向上する観点から、積層体の加熱及び加圧の後に行うことができる。
加熱及び加圧と、必要により粘着層に対する紫外線照射とを経て得られた構造体において、例えば被着物がガラス基板(ソーダライムガラス)又はアクリル樹脂基板である場合、粘着層2とこれらの基板との間の85℃における引っ張りせん断強さは、0.10MPa以上であることが好ましく、0.16MPa以上であることがさらに好ましく、0.24MPa以上であることが最も好ましい。85℃における引っ張りせん断強さがこの範囲にあると、高温試験での基板間のずれや、気泡といった不具合を抑制することができる。なお、引っ張りせん断強さは、縦25mm、横25mmの粘着層で2枚の基板を貼り合わせた後、前記加熱及び加圧と、必要により粘着層に対する紫外線照射とを経たサンプルを、引張試験機(株式会社オリエンテック製「テンシロン RTC−1210」、「テンシロン」は登録商標)を用いて、引っ張り速度30mm/分、測定温度85℃として測定し、破断するときの最大荷重を粘着面積で割ることで求めることができる。
以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に、粘着層2又はその硬化物が透明樹脂層として配置される。粘着層2(透明樹脂層)は、特に、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと画像表示ユニットとの間に配置することができる。
図8の液晶表示装置は、画像表示ユニット7と透明保護板40との間に粘着層2を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。すなわち、図8に記載の画像表示装置において、偏光板20の上面に本実施形態の粘着層2をラミネート法によって積層することができる。
図9の液晶表示装置は、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、又は、タッチパネル30と透明保護板40との間に本実施形態の粘着層2を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。
[第二実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シート1は、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シート1は、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
すなわち、図14及び図15に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ4(第1の基材層)及び重剥離セパレータ3(第2の基材層)と、重剥離セパレータ3に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。
キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出していてもよい。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から容易に剥離させることができる。キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも外側に張り出している。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、0.5mm〜10mm又は1mm〜5mmであってもよい。キャリアフィルム5、粘着層2、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形である場合には、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、少なくとも1つの辺において0.5mm〜10mm若しくは1mm〜5mmであってもよく、又は全ての辺において0.5mm〜10mm若しくは1mm〜5mmであってもよい。
重剥離セパレータ3は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されているため、重剥離セパレータ3の表面の傷が少なくなる。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
キャリアフィルム5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の重合体フィルムが挙げられる。重合体フィルムは、PETフィルムであってもよい。キャリアフィルム5の厚さは、作業性の観点から、15μm〜100μm、20μm〜80μm又は20μm〜50μmであってもよい。
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くてもよい。
キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に接着剤層等を設けることにより調節してもよい。形成させる接着剤層の種類及び接着剤層の厚さによって、上記の剥離強度を調整することができる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤の種類としては、例えば、アクリル系接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤層の厚さは、0.1μm〜10μm又は1μm〜5μmであってもよい。
このように、本実施形態の粘着シート1によれば、粘着層2を保護しつつ、重剥離セパレータ3、軽剥離セパレータ4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で、剥離不良がなく、容易に剥離させることができる。
<画像表示装置用粘着シートの製造方法>
本実施形態の粘着シート1は、例えば次のように製造される。まず、図16に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。重剥離セパレータ3は、必要に応じて上記接着剤層を介してキャリアフィルム5に接着される。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
本実施形態の粘着シート1は、例えば次のように製造される。まず、図16に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。重剥離セパレータ3は、必要に応じて上記接着剤層を介してキャリアフィルム5に接着される。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
続いて、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3を所望の形状に切断する。この工程では、図17に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3に、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通すことができる。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ3を完全に切断することができる。
続いて、図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去する。この時、キャリアフィルム5の外縁が重剥離セパレータ3の外縁よりも外側に張り出さないよう、図19に示されるように重剥離セパレータ3の外縁は、キャリアフィルム5の外縁と略面一となっていてもよい。すなわち、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ3の外側部分は除去せずにキャリアフィルム5上に残し、切断後の重剥離セパレータ3はそのままキャリアフィルム5に付いた状態であってもよい。これにより、表面露出したキャリアフィルム5が他の部分へ接着することを効果的に防ぐことができる。
図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去した後、続いて図20に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図21に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を貼付する。以上の工程で本実施形態の粘着シート1が完成する。このように、重剥離セパレータ3の外縁を、粘着層2の外縁と略面一とするように切断されたフィルムであれば、軽剥離セパレータ4と重剥離セパレータ3との剥離し易さの差がより顕著となるため、重剥離セパレータ3を剥離する前に、軽剥離セパレータ4をより容易に剥離することができる。さらに、重剥離セパレータ3の外縁と粘着層2の外縁とが揃うことで、粘着層2の外縁の位置が明確になるため、粘着層2と被着物との位置合わせが容易となる。
このようにして得られた基材層付の粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量を異なるものとするため前記のように粘着層の一方面から紫外線を照射し画像表示装置用粘着シートを得る。
このようにして得られた基材層付の粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量を異なるものとするため前記のように粘着層の一方面から紫外線を照射し画像表示装置用粘着シートを得る。
<画像表示装置の製造方法>
本実施形態の粘着シート1は、最初に、図22に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
本実施形態の粘着シート1は、最初に、図22に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
以下、実施例を示して、本発明をより具体的に説明する。本実施例では、第一実施形態及び第二実施形態に係る粘着シートを作製しているが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(A)成分:(アクリル重合体)
アクリル重合体(A−1)の合成
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート36g、イソボルニルアクリレート12g、2−ヒドロキシエチルアクリレート9g、メチルメタクリレート3g、酢酸エチル100g、トルエン20gをとり、100ml/minの風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、温度を80℃に維持しながら、2−エチルヘキシルアクリレート24g、イソボルニルアクリレート8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート6g、メチルメタクリレート2g、ラウロイルパーオキシド1gを溶解した溶液を、60分かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。続いて酢酸エチル13g、トルエン20gを加え、アクリル樹脂A−1(重量平均分子量450,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
なお、重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定し、下記の装置及び測定条件を用いて標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した値である。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(PStQuick MP−H, PStQuick B[東ソー株式会社製、商品名、「PStQuick」は登録商標])を用いた。
装置:株式会社日立製作所製
RI検出器 L−3550
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+GL−R430+GL−R440
カラム温度:40℃
流量:2mL/分
アクリル重合体(A−1)の合成
冷却管、温度計、撹拌装置、滴下漏斗及び窒素導入管を取り付けた反応容器に初期モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート36g、イソボルニルアクリレート12g、2−ヒドロキシエチルアクリレート9g、メチルメタクリレート3g、酢酸エチル100g、トルエン20gをとり、100ml/minの風量で窒素置換しながら、15分間で常温(25℃)から80℃まで加熱した。その後、温度を80℃に維持しながら、2−エチルヘキシルアクリレート24g、イソボルニルアクリレート8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート6g、メチルメタクリレート2g、ラウロイルパーオキシド1gを溶解した溶液を、60分かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間反応させた。続いて酢酸エチル13g、トルエン20gを加え、アクリル樹脂A−1(重量平均分子量450,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
なお、重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定し、下記の装置及び測定条件を用いて標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した値である。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(PStQuick MP−H, PStQuick B[東ソー株式会社製、商品名、「PStQuick」は登録商標])を用いた。
装置:株式会社日立製作所製
RI検出器 L−3550
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:日立化成株式会社製 Gelpac GL−R420+GL−R430+GL−R440
カラム温度:40℃
流量:2mL/分
アクリル重合体(A−2)の合成
モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート65g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15g、酢酸ビニル30gを用い、アクリル重合体A−1と同様の方法で合成を行い、アクリル樹脂A−2(重量平均分子量496,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート65g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15g、酢酸ビニル30gを用い、アクリル重合体A−1と同様の方法で合成を行い、アクリル樹脂A−2(重量平均分子量496,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
アクリル重合体(A−3)の合成
モノマーとして、アクリル酸ブチル64.9g、アクリル酸メチル10g、ジメチルアクリルアミド10g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15g、アクリル酸0.2gを用い、アクリル重合体(A−1)と同様の方法で合成を行い、アクリル樹脂A−3(重量平均分子量356,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
モノマーとして、アクリル酸ブチル64.9g、アクリル酸メチル10g、ジメチルアクリルアミド10g、2−ヒドロキシエチルアクリレート15g、アクリル酸0.2gを用い、アクリル重合体(A−1)と同様の方法で合成を行い、アクリル樹脂A−3(重量平均分子量356,000)の溶液(固形分濃度40質量%)を得た。
(B)成分:((メタ)アクリロイル基を含む架橋剤)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製ライトアクリレートPE−3A)
ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(日立化成株式会社製ファンクリルFA−240A)
(C)成分:(光重合開始剤)
4−メチルベンゾフェノン(双邦實業股分有限公司製SB−PI712)
(D)成分:(紫外線吸収剤)
株式会社ADEKA製アデカスタブ1413(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学株式会社製ライトアクリレートPE−3A)
ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(日立化成株式会社製ファンクリルFA−240A)
(C)成分:(光重合開始剤)
4−メチルベンゾフェノン(双邦實業股分有限公司製SB−PI712)
(D)成分:(紫外線吸収剤)
株式会社ADEKA製アデカスタブ1413(2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン)
<実施例1>
[粘着層の作製]
重剥離セパレータ3として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業株式会社製)、並びに仮セパレータ6として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業株式会社製)を用いて、以下の(I)〜(II)の手順で粘着シートを作製した。
[粘着層の作製]
重剥離セパレータ3として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業株式会社製)、並びに仮セパレータ6として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業株式会社製)を用いて、以下の(I)〜(II)の手順で粘着シートを作製した。
(I)アクリル樹脂A−1の溶液(固形分濃度40質量%)243g(アクリル樹脂A-1として97g)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PE−3A)3.0g、4−メチルベンゾフェノン1.0g、紫外線吸収剤(アデカスタブ1413)2.0g、メチルエチルケトン40gを攪拌混合し、塗布溶液を得た。
(II)この塗布溶液を重剥離セパレータ3上に塗工して塗膜を形成した後、100℃の乾燥機で15分間乾燥させた。室温(25℃)まで冷却後、仮セパレータ6を積層し、紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、重セパレータ側から紫外線を照射(5.0×102mJ/cm2)することで重剥離セパレータ3と仮セパレータ6とで粘着層2を挟んだ粘着シートを得た。なお、粘着層2の厚みは1.5×102μmとなるように調整して塗工した。
<実施例2〜6>及び<比較例1>
実施例1と同様にして、表1の配合にしたがって実施例2〜6及び比較例1の塗布溶液を作製し、粘着シートを得た。
実施例1と同様にして、表1の配合にしたがって実施例2〜6及び比較例1の塗布溶液を作製し、粘着シートを得た。
<比較例2>
(ポリカーボネートウレタンアクリレートの合成)
温度計、攪拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01g、イソホロンジイソシアネート6.26g、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ株式会社製)47.02g、4−メトキシフェノール0.03g及びジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間保温した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.63gを添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了とし、ポリカーボネートウレタン(重量平均分子量は50,000)を得た。
前記ポリカーボネートウレタンアクリレート75g、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学製YP−70)24g、光開始剤(BASF社製Irgacur184、「Irgacur」は登録商標、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)1gのメチルエチルケトン溶液(固形分濃度50質量%)を調製し、重剥離セパレータ3上に塗工して塗膜を形成した後、100℃の乾燥機で15分間乾燥させた。室温まで冷却後、仮セパレータ6を積層し、比較例2の粘着シートを得た。なお、粘着層の厚みは150μmとなるように調整して塗工した。
(ポリカーボネートウレタンアクリレートの合成)
温度計、攪拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01g、イソホロンジイソシアネート6.26g、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ株式会社製)47.02g、4−メトキシフェノール0.03g及びジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間保温した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.63gを添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了とし、ポリカーボネートウレタン(重量平均分子量は50,000)を得た。
前記ポリカーボネートウレタンアクリレート75g、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学製YP−70)24g、光開始剤(BASF社製Irgacur184、「Irgacur」は登録商標、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)1gのメチルエチルケトン溶液(固形分濃度50質量%)を調製し、重剥離セパレータ3上に塗工して塗膜を形成した後、100℃の乾燥機で15分間乾燥させた。室温まで冷却後、仮セパレータ6を積層し、比較例2の粘着シートを得た。なお、粘着層の厚みは150μmとなるように調整して塗工した。
[各種評価]
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の(1)〜(4)の評価を行い、その結果を表1に示した。
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、以下の(1)〜(4)の評価を行い、その結果を表1に示した。
(1)濁度(ヘーズ)
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅50mm、長さ100mm、厚さ0.5mmの寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として濁度計(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH−5000」)を用いて、JIS K 7136(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に準じて測定した。
濁度(ヘーズ)(%)=(Td/Tt)×100
Td:散乱光(拡散透過率)、Tt:全光線透過率
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅50mm、長さ100mm、厚さ0.5mmの寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として濁度計(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH−5000」)を用いて、JIS K 7136(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に準じて測定した。
濁度(ヘーズ)(%)=(Td/Tt)×100
Td:散乱光(拡散透過率)、Tt:全光線透過率
(2)光透過率
前記濁度を測定したサンプルを、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−570)を用い、同一のガラス基板を参照側として300〜800nmの範囲で吸収スペクトルを測定した。表1には、365nm、380nmにおける光透過率をそれぞれ示した。
前記濁度を測定したサンプルを、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−570)を用い、同一のガラス基板を参照側として300〜800nmの範囲で吸収スペクトルを測定した。表1には、365nm、380nmにおける光透過率をそれぞれ示した。
(3)おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基の吸光度とその差異
測定には、PerkinElmer社製FT−IR spectrometer Spectrum Twoに、同社製Universal ATRアクセサリを組み合わせた装置を用いた。分解能4cm−1、スキャン回数4回に設定し、測定部に試料を設置せずにバックグラウンドを測定した。次いで、作製した粘着シートを幅10mm、長さ10mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、ATRアクセサリの測定部に貼りつけ、IRスペクトルを測定した。得られたIRスペクトルの、798〜818cm−1間に直線を引き、810cm−1における、得られたIRスペクトルと前記直線との差を、おもて面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(おもて面)と表記する)とする。同様にして裏面も測定し、裏面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(裏面)と表記する)を得た。おもて面と裏面の、(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異は、次式で算出した。なお、(メタ)アクリロイル基の吸光度が大きい方をおもて面とし、小さいほうを裏面とする。
(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異(%)=
(A(おもて面)−A(裏面))/A(おもて面)×100
測定には、PerkinElmer社製FT−IR spectrometer Spectrum Twoに、同社製Universal ATRアクセサリを組み合わせた装置を用いた。分解能4cm−1、スキャン回数4回に設定し、測定部に試料を設置せずにバックグラウンドを測定した。次いで、作製した粘着シートを幅10mm、長さ10mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、ATRアクセサリの測定部に貼りつけ、IRスペクトルを測定した。得られたIRスペクトルの、798〜818cm−1間に直線を引き、810cm−1における、得られたIRスペクトルと前記直線との差を、おもて面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(おもて面)と表記する)とする。同様にして裏面も測定し、裏面の(メタ)アクリロイル基の吸光度(以下、A(裏面)と表記する)を得た。おもて面と裏面の、(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異は、次式で算出した。なお、(メタ)アクリロイル基の吸光度が大きい方をおもて面とし、小さいほうを裏面とする。
(メタ)アクリロイル基の吸光度の差異(%)=
(A(おもて面)−A(裏面))/A(おもて面)×100
(4)段差埋め込み性及び貼り合わせ信頼性
作製した粘着シートを幅50mm、長さ80mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、外周部に幅9mm、厚さ40μmの寸法の段差部を設けた幅56mm、長さ86mm、厚み0.7mmの寸法のガラス基板にハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの段差部を設けたガラス基板を貼合せていないもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、幅56mm、長さ86mm、厚み0.5mmの寸法のガラス基板に、偏光板(住友化学製)を貼りつけた基板の偏光板面に、真空貼合装置(株式会社タカトリ製、商品名「TPL−0512MH」)を用いて25℃、0.2MPa、真空度1000Paの条件で3秒間貼合せた。その後、オートクレーブによる処理(30℃、0.3MPa)を10分間行って評価サンプルとした。
段差埋め込み性は、残存する気泡形状と数を計測し、以下の基準で評価した。なお、実施例1〜6、比較例1では、オートクレーブ処理の後に紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、2000mJ/cm2の紫外線を照射して評価サンプルとした。
次に、評価サンプルを、85℃のオーブンで16時間加熱した後、気泡の発生数を計測し、以下の基準で貼り合わせ信頼性を評価した。
段差埋め込み性の評価基準
A:残存気泡なし
B:直径1mm以下の気泡が10個以下残存
C:長さ1cm以上の線状気泡が残存
D:長さ3cm以上の線状気泡が残存
貼り合わせ信頼性の評価基準
A:気泡発生なし
B:直径1mm以下の気泡が10個以下発生
C:長さ5mm以上の線状気泡が発生
D:粘着層の外寸が変化
作製した粘着シートを幅50mm、長さ80mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、外周部に幅9mm、厚さ40μmの寸法の段差部を設けた幅56mm、長さ86mm、厚み0.7mmの寸法のガラス基板にハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの段差部を設けたガラス基板を貼合せていないもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、幅56mm、長さ86mm、厚み0.5mmの寸法のガラス基板に、偏光板(住友化学製)を貼りつけた基板の偏光板面に、真空貼合装置(株式会社タカトリ製、商品名「TPL−0512MH」)を用いて25℃、0.2MPa、真空度1000Paの条件で3秒間貼合せた。その後、オートクレーブによる処理(30℃、0.3MPa)を10分間行って評価サンプルとした。
段差埋め込み性は、残存する気泡形状と数を計測し、以下の基準で評価した。なお、実施例1〜6、比較例1では、オートクレーブ処理の後に紫外線照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、2000mJ/cm2の紫外線を照射して評価サンプルとした。
次に、評価サンプルを、85℃のオーブンで16時間加熱した後、気泡の発生数を計測し、以下の基準で貼り合わせ信頼性を評価した。
段差埋め込み性の評価基準
A:残存気泡なし
B:直径1mm以下の気泡が10個以下残存
C:長さ1cm以上の線状気泡が残存
D:長さ3cm以上の線状気泡が残存
貼り合わせ信頼性の評価基準
A:気泡発生なし
B:直径1mm以下の気泡が10個以下発生
C:長さ5mm以上の線状気泡が発生
D:粘着層の外寸が変化
紫外線吸収剤を含有し、一方の面から紫外線を照射することにより、おもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層とした実施例1〜6は、被着物上に形成された段差部の高さが高い場合であっても、段差埋め込み性や貼り合せ信頼性に優れ、接着性及び視認性にも優れる。これに対し、紫外線吸収剤を含有せずおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量の差がない比較例1では、段差埋め込み性に劣る。また、末端にアクリレート基を有するポリカーボネートウレタンアクリレートを用い紫外線照射しない比較例2では、段差埋め込み性は良好であるが、貼り合せ信頼性に著しく劣った。
本発明によれば、透明性、取り扱い性、高い段差への段差埋め込み性、及び表面平坦性に優れ、誘電率が適度な値であり、かつ視認性にも優れる粘着層を備える、画像表示装置用粘着シートを提供することができる。また、被着物を貼り合わせた後に、粘着層の架橋反応を促進することで、粘着層自体の密着力及び保持力を向上させることができる。このような粘着層が組み込まれたデバイスは高い信頼性を示すため、本発明の粘着シートは画像表示装置の用途に適している。特にタッチパネル等の情報入力装置と透明保護板との間を充填する際に用いられるシート材料として極めて有用である。
1…粘着シート、2…粘着層、2a,3a,4a,5a…外縁、2b,2c,…粘着面、3…重剥離セパレータ(第2の基材層)、3c,5c…切込部、4…軽剥離セパレータ(第1の基材層)、5…キャリアフィルム(キャリア層)、5b…粘着層側の面、6…仮セパレータ、7…画像表示ユニット、10…母材フィルム、12…液晶表示セル、20、22…偏光板、30…タッチパネル、31、32…透明樹脂層、40…透明保護板(ガラス又はプラスチック基板)、50…バックライトシステム、60…段差部、100…治具、A1,A2…被着物、B…ブレード。
Claims (12)
- (メタ)アクリロイル基を含む粘着層を少なくとも1層有し、前記粘着層はおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なる粘着層である、画像表示装置用粘着シート。
- 粘着層が、(A)アクリル重合体、(B)(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤、(C)光重合開始剤、(D)紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収剤の含有量が、粘着性樹脂組成物(粘着層)の全質量に対して、0.05質量%以上、5質量%以下である請求項1に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層のATR-FTIR法で測定した(メタ)アクリロイル基の吸光度が、おもて面と裏面で20%以上異なる、請求項1又は2に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層が単一な層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層の365nmにおける光透過率が使用する粘着層の厚みに対し50%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層の厚さが、10〜3.0×102μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記第2の基材層に更に積層されたキャリア層を更に備え、前記第1の基材層及び前記キャリア層の外縁が、前記粘着層の外縁よりも外側に張り出している、請求項7に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 粘着層をシート状に加工した後、粘着層の一方の面から紫外線を照射し粘着層のおもて面と裏面の(メタ)アクリロイル基含有量が異なるようにする工程を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートが備える前記粘着層を介して、被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程と、
前記積層体を、20℃〜80℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程とを備える、画像表示装置の製造方法。 - 前記被着物が、透明保護板、タッチパネル、タッチパネル機能付透明保護板及び画像表示ユニットからなる群から選択される少なくとも2種である、請求項10に記載の画像表示装置の製造方法。
- 画像表示ユニットと、
透明保護板と、
前記画像表示ユニットと前記透明保護板との間に介在する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートが備える前記粘着層又はその硬化物である透明樹脂層と、
を備える、画像表示装置。
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