JP2016035027A - 画像表示装置用粘着シート、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被着物上に形成される段差が高い場合であっても、45℃以下の低温プロセスで十分に段差を埋め込むことができ、かつ接着性及び視認性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供する。【解決手段】(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する粘着層を備える画像表示装置用粘着シート。【選択図】図1
Description
本発明は、画像表示装置用粘着シート、画像表示装置の製造方法及び画像表示装置に関する。
近年、画像表示装置における、透明保護板若しくは情報入力装置(例えばタッチパネル)と画像表示ユニットの表示面との間の空隙、又は透明保護板と情報入力装置との間の空隙を、空気と比較して、透明保護板、情報入力装置及び画像表示ユニットの表示面に屈折率が近い透明材料で置換することにより、光透過性を向上させ、画像表示装置の輝度及びコントラストの低下を抑える方法が提案されている(例えば、特許文献1)。画像表示装置の例として液晶表示装置の断面図を図23に示す。タッチパネルを内蔵した液晶表示装置は、透明保護板(ガラス又はプラスチック基板)D1、タッチパネルD2、偏光板D3、液晶表示セルD4で構成されており、液晶表示装置の割れ防止、応力及び衝撃の緩和、並びに、表示画像の視認性の向上のために、透明保護板D1とタッチパネルD2との間に粘着層(透明樹脂層)D5が設けられ、さらにタッチパネルD2と偏光板D3との間に粘着層(透明樹脂層)D6が設けられる場合もある。
ところで、情報入力装置及び画像表示ユニットには、その周縁部分に入出力の配線を設ける必要がある。透明保護板側からこれらの配線が見えないように、一般に、透明保護板の周縁部分に印刷等で枠状の装飾部が設けられる(特許文献1の図1における19(枠パターン)等)。これら装飾部により生じる段差を解消するため、透明保護板を貼り合わせる粘着剤として、例えば、フィルム状の粘着剤が用いられる場合がある。この段差近傍を隙間無く埋め込むためには、フィルム状の粘着剤に優れた段差への埋め込み性が求められる。近年、このような段差への埋め込み性を改善するためのフィルム状の粘着剤が、種々検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
しかしながら、特許文献2に記載されているようなフィルム状の粘着剤は、装飾部により生じる段差が高くなった場合、段差埋め込み性が十分でないことが、本発明者らの検討の結果明らかとなった。同様に、特許文献3に記載されているようなフィルム状の粘着剤は、十分な段差埋め込み性を発現するには80℃程度に加温する必要があることが明らかとなった。特に最近では、フィルム状の粘着剤の厚さが薄くなってきており、上記段差が高い被着物に対して、薄いフィルム状の粘着剤を用いると、段差を十分に埋め込むことが更に困難となる傾向にある。また、フィルム状の粘着剤は、該粘着剤と被着物の剥離による視認性低下が起こらないように、被着物に対する高い接着性も必要である。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、45℃以下の低温プロセスで十分に段差を埋め込むことができ、かつ接着性及び視認性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供することを目的とする。また本発明は、その画像表示装置用粘着シートを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供する。
本発明の画像表示装置用粘着シート(以下、単に「粘着シート」という場合がある)は、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、45℃以下の低温プロセスで十分に段差を埋め込むことができ、かつ接着性及び視認性にも優れる。
上記粘着層は、(D)オイルゲル化剤を更に含有してもよい。これにより、オイルゲル化剤が互いに分子間力ネットワークを形成することで、粘着層の弾性率に温度応答性及び圧力応答性が付与され、段差埋め込み性をより向上することができる。
上記ビニル系化合物は、スチレン、ベンジルアクリレート及びベンジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であるとよい。これにより、ビニル系化合物のπ−πスタッキング相互作用により粘着層の結晶性が高まり、粘着層の弾性率の温度依存性が増大して段差埋め込み性をより向上することができるとともに、誘電率をより低減することができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ラウリルアクリレート及びイソステアリルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であるとよい。これにより、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの疎水的相互作用により粘着層の結晶性が高まり、粘着層の弾性率の温度依存性が増大して段差埋め込み性をより向上することができるとともに、誘電率をより低減することができる。
上記(A)成分の含有量は、上記粘着層の総量を基準として5質量%〜95質量%であるとよい。これにより、段差埋め込み性をより向上することができるとともに、誘電率をより低減することができる。
上記画像表示装置用粘着シートは、上記粘着層を挟むように積層された第1の基材層及び第2の基材層を更に備えていてもよい。このような粘着シートによれば、粘着層を傷つけることなく、粘着シートの保管及び運搬を容易に行うことができる。
上記画像表示装置用粘着シートは、上記第2の基材層に積層されたキャリア層を更に備えていてもよい。この場合、上記第1の基材層及び上記キャリア層の外縁は、上記粘着層の外縁よりも外側に張り出していてもよい。
このような粘着シートによれば、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁が、内層をなす粘着層の外縁よりも外側に張り出しているため、粘着シートの保管、運搬等に際し粘着層の外縁部を確実に保護することができる。粘着層を被着物に貼り付ける際には、外側に張り出したキャリア層の外縁部をつまむことで、キャリア層を第2の基材層から容易に剥離させることができる。次に、第1の基材層の外縁部をつまむことで、第1の基材層を容易に剥離することができる。このとき、粘着層の片側には、第2の基材層が残るため、粘着層の一方の面を被着物に貼り付ける際に、この第2の基材層による粘着層の保護が維持される。その後、第2の基材層を剥離させ、粘着層の他方の面を別の被着物に貼り付けることで、一対の被着物の間に粘着層を配置させることができる。
本発明はまた、上記画像表示装置用粘着シートが備える上記粘着層を介して、被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程と、上記積層体を、20℃〜45℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程と、上記積層体中の上記粘着層に対して紫外線を照射する工程と、を備える、画像表示装置の製造方法を提供する。
このような画像表示装置の製造方法によれば、本発明の一実施形態に係る粘着シートを用いることで、視認性の低下が抑制された画像表示装置を製造することができる。本発明の一実施形態に係る粘着シートを用いることにより、例えば、液晶表示ユニット等の画像表示ユニットとタッチパネル、同画像表示ユニットと透明保護板、タッチパネルと透明保護板のような、画像表示ユニットとその他の画像表示装置に必要とされる部材(光学部材等)同士を貼り合わせることが可能である。本発明の一実施形態に係る製造方法は、被着物が、透明保護板及びタッチパネル、又は透明保護板及び画像表示ユニットである場合に特に有用である。同様に、本発明の一実施形態に係る粘着シートを用いることにより、画像表示装置の画像表示ユニットより視認側にある部材同士を貼合することも可能である。その際、例えば、視認側の透明保護板がその外周縁に沿う高い段差を有していても、粘着層が確実に段差を埋め込むことができるため、視認性を低下させることがないと推認される。
本発明はまた、上記画像表示装置の製造方法によって製造される画像表示装置を提供する。
本発明はまた、画像表示ユニットと、透明保護板と、画像表示ユニットと透明保護板との間に配置された、上記画像表示装置用粘着シートが備える上記粘着層又はその硬化物からなる透明樹脂層と、を備える画像表示装置を提供する。
本発明はまた、画像表示ユニットと、透明保護板と、画像表示ユニットと透明保護板との間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと透明保護板との間に配置された、上記画像表示装置用粘着シートが備える上記粘着層又はその硬化物からなる透明樹脂層と、を備える画像表示装置を提供する。
上記画像表示装置は、上記画像表示ユニット又は上記透明保護板上に、上記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備えていてもよい。
上記画像表示装置は、上記画像表示ユニット、上記タッチパネル又は上記透明保護板上に、上記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備えていてもよい。
本発明によれば、被着物上の段差の高さが上記透明樹脂層の厚さと比較して大きい場合であっても、段差を埋め込むことができる。すなわち、従来と同じ高さの段差を埋め込む場合に、従来の粘着層よりも薄い粘着層を用いた場合であっても、被着物上の段差を埋め込むことができる傾向にある。
上記粘着層は高い段差への段差埋め込み性に優れるため、画像表示ユニット、タッチパネル又は透明保護板上に高い段差が設けられている場合であっても、優れた耐衝撃性と視認性を兼ね備えた画像表示装置を得ることができる。
本発明によれば、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、45℃以下の低温プロセスで十分に段差を埋め込むことができ、かつ接着性及び視認性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供することができる。本発明によれば、また、染み出しが抑制された画像表示装置用粘着シートを提供することができる。また本発明は、このような画像表示装置用粘着シートを用いた画像表示装置の製造方法及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)について説明をするが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、両実施形態で重複する記載については、第一実施形態においてのみ説明するものとし、第二実施形態の説明においては適宜記載を省略することがある。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
[第一実施形態]
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えている。上記基材層の外縁は、上記粘着層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。
<画像表示装置用粘着シート>
本実施形態の画像表示装置用粘着シートは、粘着層と、粘着層を挟むように積層された一対の基材層と、を備えている。上記基材層の外縁は、上記粘着層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。
すなわち、図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1Aは、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟む重剥離セパレータ3(第2の基材層)及び軽剥離セパレータ4(第1の基材層)とを備えている。重剥離セパレータ3の外縁3a及び軽剥離セパレータ4の外縁4aは、粘着層2の外縁2aよりも張り出している。この粘着層2は、例えば、携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイ等の画像表示装置において、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと液晶表示ユニットとの間に配置される透明なフィルム(透明樹脂層)として用いることができる。
本実施形態に係る粘着シート1Aは、画像表示装置に用いるため、粘着層2のヘーズ(Haze)は1.5%以下であることが好ましい。視認性の観点から、粘着層2のヘーズは、1.0%以下、0.8%以下又は0.5%以下であってもよい。粘着層2のヘーズの下限値については0%に近いことが好ましいが、通常は0%より大きく、実用的な観点からは0.1%以上であってよい。
粘着層2のヘーズは、後述する(A)、(B)及び(C)成分の相溶性に依存する。(A)、(B)及び(C)成分の成分間の相溶性が良好であれば、粘着層2のヘーズをより低減することができる。
ヘーズ(Haze)とは、濁度を表わす値(%)であり、ランプにより照射され、試料中を透過した光の全透過率Ttと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Tdより、(Td/Tt)×100として求められる。これらはJIS K 7136により規定されており、市販の濁度計、例えば、日本電色工業(株)製NDH−5000を用いて容易に測定可能である。
粘着層2の厚さは、使用用途及び方法により適宜調整されるため特に限定されないが、50μm〜200μm、60μm〜180μm又は80μm〜150μmであってもよい。この範囲で使用した場合、ディスプレイ上に光学部材を貼合せるための透明な粘着シートとして特に優れた効果を発揮する。
粘着層2の可視光領域(波長:380nm〜780nm)の光線に対する光透過率の最小値は、80%以上、90%以上又は95%以上であってもよい。粘着層2の光透過率が高いと、より均一に硬化を進行させることができる。
粘着層2は、(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する。このような粘着層2は、被着物上に形成される段差が高い場合であっても、45℃以下の低温プロセスで十分に段差を埋め込むことができ、かつ接着性及び視認性にも優れる。
粘着層2は、例えば、重剥離セパレータ3上に、(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する粘着性樹脂組成物を任意の厚さで塗工することにより形成される。
以下、粘着性樹脂組成物について説明する。
[(A)成分:芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体]
(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体としては、例えば、下記一般式(I)及び(II)で表される構造単位を有する共重合体が好ましい。なお、(A)成分の共重合体は、一般式(I)及び(II)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。
(A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体としては、例えば、下記一般式(I)及び(II)で表される構造単位を有する共重合体が好ましい。なお、(A)成分の共重合体は、一般式(I)及び(II)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。
(A)成分中、一般式(I)で表される、芳香族基を有するビニル系化合物由来の構造単位の総数をxで示し、一般式(II)で表される、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位の総数をyで示す。一般式(I)において、Xは芳香族基を有する1価の基を示し、Xは、フェニル基又はベンジル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。一般式(II)において、R11はアルキル基を示し、その炭素数は、4〜18であることが好ましく、5〜18であることがより好ましく、12〜18であることが更に好ましい。(A)成分中、xは、10〜90であるが、好ましくは15〜85、より好ましくは20〜80である。yは、10〜90であるが、好ましくは15〜85、より好ましくは20〜80である。
上記一般式(II)中、R11が示すアルキル基として、例えば、ラウリル基、トリデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、イソデシル基、イソノニル基、エチルヘキシル基、ブチル基等が挙げられる。これらの中でも好適なものとして、ラウリル基又はイソステアリル基が挙げられ、イソステアリル基が特に好ましい。
上記一般式(I)及び(II)で表される構造単位を有する共重合体は、芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを既知の方法で共重合して得ることが出来る。
芳香族基を有するビニル系化合物としては、例えば、スチレン、4−ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ナフタレノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのビニル系化合物の中で好適なものとして、スチレン(和光純薬工業(株)製)、FA−BzA(日立化成(株)製、商品名)、FA−BzM(日立化成(株)製、商品名)等が挙げられる。芳香族基を有することで、π-π相互作用に起因して結晶性が高くなりシートとして十分な貯蔵弾性率を確保することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は、4〜18であることが好ましく、5〜18であることがより好ましく、12〜18であることが特に好ましい。炭素数を12以上とすることで、疎水的相互作用に起因して結晶性が高くなりシートとして十分な貯蔵弾性率を確保することができる。さらに、結晶性が高いほど貯蔵弾性率の温度依存性が大きくなり、加温による貯蔵弾性率の変化幅が増大し、優れた段差埋め込み性を発現する。さらに、π-π相互作用又は疎水的相互作用といった化学結合に比べて弱い結合で貯蔵弾性率をかさ上げしているため、貯蔵弾性率の圧力依存性も高く、加温せずとも常温で圧力を制御することで優れた段差埋め込み性を発現する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも好適なものとして、ラウリル(メタ)アクリレート又はイソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられ、イソステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(A)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。さらに、(A)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。(A)成分の含有量がこのような範囲であると、粘着性樹脂組成物を硬化物としたときのピール強度をより向上することができるとともに、誘電率をより低減することができる。
[(B)成分:エチレン性不飽和結合を有する化合物]
(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する化合物は、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることがより好ましい。(B)成分は、粘着層2のヘーズが小さくなるように、(A)成分及び(C)成分との相溶性を考慮して選択される。
(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する化合物は、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることがより好ましい。(B)成分は、粘着層2のヘーズが小さくなるように、(A)成分及び(C)成分との相溶性を考慮して選択される。
(B)成分の具体例としては、炭素数が6〜18であるアルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート(エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる樹脂)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体、(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも透明性、及び種々の特性のバランスの観点から、(メタ)アクリロイル基を有するブタジエン重合体が好ましい。
(B)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。(B)成分の含有量が5質量%以上であれば、適度な粘度を有する樹脂組成物とすることができ、塗布時の作業性をより良好とすることができると共に、硬化収縮率をより低くすることができる傾向がある。さらに、(B)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の総量を基準として、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。(B)成分の含有量が95質量%以下であれば、粘着性樹脂組成物の硬化収縮率、弾性率が高くなりすぎることをより抑えることができ、画像表示用装置に用いた場合に、表示ムラの発生をより抑制することができる傾向がある。
[(C)成分:光重合開始剤]
(C)成分の光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させる成分である。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
(C)成分の光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化反応を促進させる成分である。ここで活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
(C)成分は、特に限定されるものではなく、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイル系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の材料を使用することが可能である。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等の芳香族ケトン化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;β−(アクリジン−9−イル)(メタ)アクリル酸等のエステル化合物;9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)などが挙げられる。これらの化合物は複数を組み合わせて使用してもよい。
特に、(C)成分として、粘着性樹脂組成物を実質的に着色させない光重合開始剤を用いることができる。その具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。これらを組み合わせたものであってもよい。
特に厚いシート(粘着層)を作製する場合、(C)成分は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含んでいてもよい。
(C)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物(粘着層)の総量を基準として、0.05質量%〜5質量%、0.1質量%〜3質量%又は0.1質量%〜2質量%であってもよい。(C)成分の含有量を5質量%以下とすることで、光透過率がより高く、また色相も黄味を帯びることがなく、且つ段差埋め込み性にもより優れる粘着層を得ることができる。(C)成分の含有量が0.05質量%以上であると、光重合をより良好に開始することができる傾向にある。さらに、(C)成分の含有量がこれらの範囲内であると、接着性及び高温高湿下における信頼性に優れるという効果がより顕著に得られる。
<(D)成分:オイルゲル化剤>
粘着性樹脂組成物は、(D)成分としてオイルゲル化剤を含んでもよい。
粘着性樹脂組成物は、(D)成分としてオイルゲル化剤を含んでもよい。
(D)成分としては、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸アマイド、n−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,β−ジブチルアミド、ジ−p−メチルベンジリデンソルビトールグルシトール、1,3:2,4−ビス−0−ベンジリデン−D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−0−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、ビス(2−エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム、及び下記一般式(1)〜(12)で表わされる化合物等が挙げられる。
一般式(1)中、(−CF2−)で表される構造単位(以下、「構造単位(1−1)」ともいう。)の総数をpで示し、(−CH2−)で表される構造単位(以下、「構造単位(1−2)」ともいう。)の総数をqで示す。一般式(1)において、p個の構造単位(1−1)及びq個の構造単位(1−2)の重合形態は、ブロック共重合又はランダム共重合のいずれであってもよい。pは3〜10の整数、qは2〜6の整数、R1は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Xは硫黄又は酸素である。
一般式(2)中、R2は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y1は結合手又はベンゼン環である。
一般式(3)中、R3は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y2は結合手又はベンゼン環である。
一般式(4)中、R4は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(6)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(7)中、R7は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(8)中、R8は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(10)中、R9及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(2)中、R2は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y1は結合手又はベンゼン環である。
一般式(3)中、R3は炭素数1〜20の飽和炭化水素基、Y2は結合手又はベンゼン環である。
一般式(4)中、R4は炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(6)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(7)中、R7は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(8)中、R8は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
一般式(10)中、R9及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和炭化水素基である。
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのオイルゲル化剤は、水素結合、静電相互作用、π―π相互作用、ファンデルワールス力等の非共有結合的分子間相互作用を発現して互いに連結し、繊維状結合体を形成する。これにより、粘着性樹脂組成物の少なくとも一部が、おおよそ50℃未満の温度範囲で物理ゲル状物質(以下、ゲル化又はゲル状ということがある)となる。ゲル化することによりパネル貼りあわせ時の段差埋め込み性を改善でき、かつ、貼りあわせ時の端部の染み出しを抑制することができる。オイルゲル化剤として、透明性、作業性、相溶性の観点から、ヒドロキシ脂肪酸が好ましい。
(D)成分の含有量は、粘着性樹脂組成物の総量を基準として、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%以上であると、十分にゲル化することができる。同様の観点から、(D)成分の含有量は、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましい。さらに、(D)成分の含有量が20質量%以下であると、相対的に(B)成分の含有量が多くなり、十分に光硬化することができる。同様の観点から、(D)成分の含有量は15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の成分>
粘着性樹脂組成物には、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)及び(D)成分とは別に、アクリルモノマー及び各種添加剤等を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するp−メトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
粘着性樹脂組成物には、必要に応じて上記の(A)、(B)、(C)及び(D)成分とは別に、アクリルモノマー及び各種添加剤等を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、粘着性樹脂組成物の保存安定性を高める目的で添加するp−メトキシフェノール等の重合禁止剤、粘着性樹脂組成物を光硬化させて得られる粘着層の耐熱性を高める目的で添加するトリフェニルホスファイト等の酸化防止剤、紫外線等の光に対する粘着性樹脂組成物の耐性を高める目的で添加するHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等の光安定化剤、ガラス等に対する粘着性樹脂組成物の密着性を高めるために添加するシランカップリング剤が挙げられる。
粘着性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に加工する方法としては、公知の技術を使用することができる。例えば、上述の粘着性樹脂組成物を、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤で希釈して塗液を調製し、次いで、該塗液を、重合体フィルム等の基材上にフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、ワイヤバー法、リップダイコート法等により塗工する。次いで、溶剤を除去することにより、任意の膜厚を有するシート状又はフィルム状に加工することが出来る。
粘着層2は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という場合もある)等の重合体フィルムである基材層(重剥離セパレータ3)と、これと同種の素材のカバーフィルムである基材層(軽剥離セパレータ4)によって挟まれることがある。このとき、粘着層2と、それら基材層との剥離性を制御するために、粘着性樹脂組成物は、ポリジメチルシロキサン系、フッ素系等の界面活性剤を含有してもよい。
これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの添加剤の含有量は、通常、上記の(A)、(B)及び(C)成分の含有量の合計と比較すると少量であり、一般に粘着性樹脂組成物の総量を基準として、0.01質量%〜5質量%である。
重剥離セパレータ3(第2の基材層)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであってもよい。重剥離セパレータ3は、PETフィルムであることができる。重剥離セパレータ3の厚さは、作業性の観点から、50μm〜200μm、60μm〜150μm又は70μm〜130μmであってもよい。
重剥離セパレータ3の主面は、粘着層2の主面よりも大きく、重剥離セパレータ3の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していてもよい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm〜20mm又は4mm〜10mmであってもよい。粘着層2及び重剥離セパレータ3の主面が略長方形等の略矩形である場合、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の重剥離セパレータ3の幅は、少なくとも1つの辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよく、又は全ての辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよい。
軽剥離セパレータ4(第1の基材層)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが挙げられる。軽剥離セパレータ4は、PETフィルムであることができる。軽剥離セパレータ4の厚さは、作業性の観点から、25μm〜150μm、30μm〜100μm又は40μm〜75μmであってもよい。軽剥離セパレータ4の主面は、粘着層2の主面よりも大きいことが好ましく、軽剥離セパレータ4の外縁は粘着層2の外縁よりも外側に張り出していることがより好ましい。粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、2mm〜20mm又は4mm〜10mmとすることができる。粘着層2及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形状である場合には、粘着層2の外縁よりも張り出している部分の軽剥離セパレータ4の幅は、少なくとも1つの辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよく、又は全ての辺において2mm〜20mm若しくは4mm〜10mmであってもよい。
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くてもよい。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも粘着層2から剥離し難くなる。また、後述するように、粘着層2に重剥離セパレータ3側に向かってブレードBが通される際、粘着層2の外縁部が重剥離セパレータ3に押し付けられることとなる。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも更に粘着層2から剥離し難くなり、重剥離セパレータ3に剥離が生じる前に軽剥離セパレータ4を剥離させることがより容易となる。従って、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4を片方ずつ剥離させることができ、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4を剥離して粘着層2を別々の被着物に貼り付ける作業を、片方ずつ確実に行うことができる。なお、重剥離セパレータ3と粘着層2、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度は、例えば、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4に表面処理を施すことによって調整することができる。表面処理の方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。
<画像表示装置用粘着シートの製造方法I(3層品)>
以上に説明した粘着シート1Aは、例えば、次のような方法により製造することができる。まず、図3に示されるように、重剥離セパレータ3と、重剥離セパレータ3上に設けられた粘着層2と、粘着層2上に設けられた仮セパレータ6とを有する母材フィルム10Aを準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
以上に説明した粘着シート1Aは、例えば、次のような方法により製造することができる。まず、図3に示されるように、重剥離セパレータ3と、重剥離セパレータ3上に設けられた粘着層2と、粘着層2上に設けられた仮セパレータ6とを有する母材フィルム10Aを準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
続いて、図4に示されるように、打抜装置(不図示)に備えられたブレードBにより、仮セパレータ6及び粘着層2を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、レシプロ式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。各基材の剥離性の観点からは、ロータリー式の打抜装置を用いることが好ましい。また、上記切断にはレーザーカッターを用いることもできる。この工程では、重剥離セパレータ3に到達する深さまでブレードBを仮セパレータ6及び粘着層2に通し、仮セパレータ6及び粘着層2を切断することができる。これにより、重剥離セパレータ3には切込部3cが形成され、粘着層2からの重剥離セパレータ3の剥離が容易になる。
続いて、図5に示されるように仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分を除去し、図6に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図7に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を積層する。以上の工程で粘着シート1Aが完成する。
<画像表示装置>
次に、粘着シート1A又は後述する粘着シート1B(4層品)を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1A又は1Bが備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板などを組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
次に、粘着シート1A又は後述する粘着シート1B(4層品)を用いて作製される画像表示装置について説明する。粘着シート1A又は1Bが備える粘着層2は、各種画像表示装置に適用することができる。画像表示装置としては、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OELD)、3Dディスプレイ、電子ペーパー(EP)等が挙げられる。本実施形態の粘着層2は、画像表示装置の反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層等の機能性を有する機能層、透明保護板などを組み合わせて貼り合わせるために使用することもできる。
反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよい。透明なプラスチックフィルム等の透明な基材に既知の反射防止方法で処理された層を反射防止層として用いることができる。
防汚層は、表面に汚れがつきにくくするためのものであり、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂等で構成される既知の層を防汚層として用いることができる。
色素層は、色純度を高めるために使用されるもので、液晶表示ユニット等の画像表示ユニットから発する光の色純度が低い場合に不要な波長の光成分を低減するために使用される。色素層は、不要な波長の光成分を吸収する色素を樹脂に溶解させ、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層して得ることができる。
ハードコート層は、表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル樹脂;エポキシ樹脂などをポリエチレンフィルム等の基材フィルムに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高くするために、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の透明保護板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
粘着層2は、偏光板に積層して使用することができる。このとき、粘着層2は、偏光板の視認面側に積層することもでき、その反対側に積層することもできる。
偏光板の視認面側に積層された粘着層2のさらに視認面側に反射防止層、防汚層又はハードコート層等を積層することができる。偏光板と液晶セルの間に粘着層2を設ける場合には、偏光板の視認面側に機能性を有する層を積層することができる。
このような積層体は、粘着層2をロールラミネート、真空貼合機又は枚葉貼合機等を用いて積層することで得られる。
粘着層2は、画像表示装置の画像表示ユニットと画像表示ユニットよりも視認側に設けられた透明保護板との間における、適切な位置に配置されてもよい。具体的には、画像表示ユニットと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用(use)されてもよい。
タッチパネルと画像表示ユニットとの組み合わせを含む画像表示装置においては、タッチパネルと画像表示ユニットの間、又は、タッチパネルと透明保護板の間に設けられる透明樹脂層として粘着層2が応用(use)されてもよい。ただし、画像表示装置の構成上、本実施形態の粘着層2が適用可能であれば、粘着層2が設けられる位置は限られない。
以下、画像表示装置の一つである液晶表示装置を例として、図8及び図9を用いて詳細に説明する。
図8は、液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。図8に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んで画像表示ユニット7と対向する透明保護板(保護パネル)40とから構成される。透明保護板40の透明樹脂層32側の面の周縁部上には、段差部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層32の一部によって埋め込まれている。
透明樹脂層32は、上述の実施形態に係る粘着層2又はその硬化物に相当する。段差部60による段差は、液晶表示装置の大きさ等により異なるが、この高さが40μm〜100μm、特に60μm〜100μmである場合、本実施形態の粘着層を用いることが特に有用である。段差部60の高さが上記範囲の場合、段差埋め込み性の観点から粘着層2の厚さは厚い方が好ましいが、本実施形態の粘着層2は、膜厚が薄くても段差埋め込み性に優れる。上記段差部の高さがh、上記透明樹脂層の厚さがtであるとき、0.4<(h/t)<1であっても優れた段差埋め込み性を奏する。また、本実施形態の粘着層2は、(h/t)>0.5でも優れた段差埋め込み性を奏する。実用的な観点からは、(h/t)<0.9であってもよい。
図9は、画像表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。図9に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル12及び偏光板20を有し、これらが液晶表示装置の視認側に向けてこの順で積層されている画像表示ユニット7と、偏光板20の視認側の面上に設けられた透明樹脂層32と、透明樹脂層32を間に挟んでタッチパネル30と対向する透明保護板40とから構成される。段差部60と透明保護板40とで段差が形成されており、この段差は、透明樹脂層31の一部により埋め込まれている。透明樹脂層31及び透明樹脂層32が、上述の実施形態に係る粘着層又はその硬化物に相当し得る。
図9の液晶表示装置においては、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護板40との間の両方に透明樹脂層が介在している。しかしながら、透明樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよく、特に本実施形態の粘着層2を透明樹脂層として用いる場合、タッチパネル30と、段差を形成している透明保護板40との間に透明樹脂層が介在させることが好ましい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、図8の液晶表示装置の液晶表示セル12が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
近年、インセル型タッチパネルと呼ばれる、タッチパネル機能が組み込まれた液晶表示セルの開発が進んでいる。このような液晶表示セルを備えた液晶表示装置は、例えば、透明保護板、偏光板、及び液晶表示セル(タッチパネル機能付き液晶表示セル)から構成される。本実施形態に係る粘着シートの粘着層2は、このようなインセル型タッチパネルを採用している液晶表示装置にも用いることができる。
図8及び図9に示す液晶表示装置は、本実施形態の粘着層を透明樹脂層31又は32として備えるので、耐衝撃性を有し、二重映りがなく鮮明でコントラストの高い画像を得ることが可能である。
液晶表示セル12としては、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。液晶表示セルは、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、本実施形態に係る液晶表示装置では、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。
タッチパネル30としては、表面に指又は物体が触れた圧力で電極が接触する抵抗膜方式、表面に指又は物体が触れた時の静電容量の変化を感知する静電容量方式、電磁誘導方式等があるが、本実施形態に係る粘着層2は、静電容量方式のタッチパネルを採用している液晶表示装置に用いることが特に好適である。上記タッチパネル30は、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができるが、上記静電容量方式のタッチパネルとしては、例えば、基板上に透明電極を形成した構造を有するものが挙げられる。上記基板としては、例えば、ガラス基板、PETフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム等が挙げられる。また透明電極としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物が挙げられる。上記基板の厚さは、20μm〜1000μmである。また、上記透明電極の厚さは、10nm〜500nmである。
なお、本実施形態に係る粘着層2を静電容量方式のタッチパネルに用いる場合は、粘着層2の誘電率が適切な範囲であることが好ましい。粘着層2の室温(25℃)における100kHzでの誘電率は、例えば粘着層2をタッチパネルと透明保護板の間に用いる場合、2.0〜4.5、2.0〜4.0又は3.5〜4.0であってもよい。誘電率が2.0以上であればタッチパネルの応答性を充分に確保できる傾向にあり、4.0以下であれば応答性が高すぎることによる誤作動を充分に低減できる傾向にある。
透明樹脂層31又は32の厚さは、例えば0.02mm〜3mm又は50μm〜200μmであってもよい。特に、透明樹脂層31又は32に本実施形態の粘着層2を用いる場合、透明樹脂層が薄くても十分な段差埋め込み性を発揮するが、透明樹脂層が厚いときにはより一層優れた効果を発揮させることができる。
透明保護板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス基板、石英板等の無機物の板;アクリル樹脂基板、ポリカーボネート板、シクロオレフィンポリマー板等のプラスチック基板;厚手のポリエステルシート等の樹脂シートなどが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合には、透明保護板はガラス基板又はアクリル樹脂基板であってもよく、ガラス基板であってもよい。これらの透明保護板の片面又は両面に対して、反射防止、防汚、ハードコート等のための処理がなされていてもよい。透明保護板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
<画像表示装置の製造方法I(3層品使用)>
粘着シート1Aは、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、図10に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1Aから剥離して、粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、図11に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で粘着層2を被着物A1に対して押し付ける。この際、被着物A1の表面の段差部60により形成された段差は、粘着層2が流動することにより埋め込まれる。粘着層2を被着物A1に対して押し付ける際、粘着層2を例えば20〜45℃に加熱してもよい。粘着層2を20℃〜45℃に加熱することで、粘着層2がより流動し易くなり、段差部60への段差埋め込み性に優れるという効果が得られる。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。
粘着シート1Aは、画像表示装置の組み立て等において次のように使用される。まず、図10に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着シート1Aから剥離して、粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、図11に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラーR等で粘着層2を被着物A1に対して押し付ける。この際、被着物A1の表面の段差部60により形成された段差は、粘着層2が流動することにより埋め込まれる。粘着層2を被着物A1に対して押し付ける際、粘着層2を例えば20〜45℃に加熱してもよい。粘着層2を20℃〜45℃に加熱することで、粘着層2がより流動し易くなり、段差部60への段差埋め込み性に優れるという効果が得られる。被着物A1は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。
続いて、図12に示されるように、重剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して、粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、図13に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、得られた積層体を加熱及び加圧する(例えば、オートクレーブによる処理)。被着物A2は、例えば画像表示ユニット、透明保護板又はタッチパネルである。このようにして、粘着層2を介して被着物同士を貼り合わせることができる。積層体を加熱及び加圧する条件は、例えば、温度が20℃〜45℃であり、圧力が0.1MPa〜0.6MPaである。加熱及び加圧の時間は3分〜60分、又は10分〜50分であってもよい。
上記製造方法は、積層体の加熱及び加圧の前又は後に、粘着層2に対して、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から紫外線を照射する工程を含んでもよい。これにより、高温高湿下における信頼性(気泡の発生低減及び剥がれの抑制)及び接着力をより向上できる。高温高湿下における信頼性を更に向上できる観点からは、段差部を有しない被着物(例えば、タッチパネル)側から粘着層2に対して紫外線を照射することができる。
ここで、両被着物(例えば、透明保護板、タッチパネル)のいずれか一方の側から粘着層2に対して、粘着性樹脂組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射する場合、段差部60が遮光性であると、図13で示されるように、段差部60と被着物A2(例えば、透明保護板、タッチパネル)に挟まれる位置にある領域(遮光部)には、活性エネルギー線が届きにくく、硬化が進行しにくい傾向がある。
段差部60が遮光性である場合には、上記製造方法では上述の紫外線の照射に加えて、図13で示される積層体の側面から、段差部60と被着物A2(例えば、透明保護板、タッチパネル)に挟まれる位置にある領域の粘着層2の粘着性樹脂組成物に向けて、紫外線を照射することが好ましい。紫外線の照射角度は、特に限定されることはなく、水平方向に対して0°以上90°未満とすることができる。
紫外線の照射量は、特に制限されないが、5.0×102mJ/cm2〜5.0×103mJ/cm2であってもよい。紫外線を照射する工程は、高温高湿下における信頼性が向上する観点から、積層体の加熱及び加圧の後に行うことができる。
加熱及び加圧と、必要により粘着層に対する紫外線照射とを経て得られた構造体において、例えば被着物がガラス基板(ソーダライムガラス)又はアクリル樹脂基板である場合、粘着層2とこれらの基板との間の剥離強度(以下、ピール強度という場合もある)は、5N/10mm〜30N/10mm、7N/10mm〜30N/10mm又は10N/10mm〜30N/10mmであってもよい。ピール強度は、引張試験機((株)オリエンテック製「テンシロン RTC−1210」)を用いて、180度ピール(剥離速度300mm/分で3秒間、測定温度25℃)として測定することができる。
以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に、粘着層2又はその硬化物が透明樹脂層として配置される。粘着層2(透明樹脂層)は、特に、透明保護板とタッチパネルとの間、又はタッチパネルと画像表示ユニットとの間に配置することができる。
図8の液晶表示装置は、画像表示ユニット7と透明保護板40との間に粘着層2を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。すなわち、図8に記載の画像表示装置において、偏光板20の上面に本実施形態の粘着層2をラミネート法によって積層することができる。
図9の液晶表示装置は、画像表示ユニット7とタッチパネル30との間、又は、タッチパネル30と透明保護板40との間に本実施形態の粘着層2を介在させて積層体を得ることにより製造することができる。
[第二実施形態]
<画像表示装置用粘着シートII(4層品)>
本実施形態の画像表示装置用粘着シート1B(4層品)は、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
<画像表示装置用粘着シートII(4層品)>
本実施形態の画像表示装置用粘着シート1B(4層品)は、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層と、を備えており、第1の基材層及びキャリア層の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出している。
すなわち、図14及び図15に示されるように、本実施形態に係る粘着シート1Bは、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ4(第1の基材層)及び重剥離セパレータ3(第2の基材層)と、重剥離セパレータ3に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。
キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から容易に剥離させることができる。キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも外側に張り出している。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、取り扱い易さ、剥がし易さ、埃等の付着をより低減できる観点から、0.5mm〜10mm又は1mm〜5mmであってもよい。キャリアフィルム5、粘着層2、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の平面形状が略長方形等の略矩形である場合には、軽剥離セパレータ4の外縁4aよりも張り出している部分のキャリアフィルム5の幅は、少なくとも1つの辺において0.5mm〜10mm若しくは1mm〜5mmであってもよく、又は全ての辺において0.5mm〜10mm若しくは1mm〜5mmであってもよい。
重剥離セパレータ3は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されているため、重剥離セパレータ3の表面の傷が少なくなる。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
キャリアフィルム5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが挙げられる。重合体フィルムは、PETフィルムであってもよい。キャリアフィルム5の厚さは、作業性の観点から、15μm〜100μm、20μm〜80μm又は20μm〜50μmであってもよい。
軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くてもよい。
キャリアフィルム5と重剥離セパレータ3との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に接着剤層等を設けることにより調節してもよい。形成させる接着剤層の種類及び接着剤層の厚さによって、上記の剥離強度を調整することができる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤の種類としては、例えば、アクリル系接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ3の間に形成させる接着剤層の厚さは、0.1μm〜10μm又は1μm〜5μmであってもよい。
このように、本実施形態の粘着シート1Bによれば、粘着層2を保護しつつ、重剥離セパレータ3、軽剥離セパレータ4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で、剥離不良がなく、容易に剥離させることができる。
<画像表示装置用粘着シートの製造方法II(4層品)>
本実施形態の粘着シート1Bは、例えば次のように製造される。まず、図16に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10Bを準備する。重剥離セパレータ3は、必要に応じて上記接着剤層を介してキャリアフィルム5に接着される。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
本実施形態の粘着シート1Bは、例えば次のように製造される。まず、図16に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ3、粘着層2及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10Bを準備する。重剥離セパレータ3は、必要に応じて上記接着剤層を介してキャリアフィルム5に接着される。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
続いて、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3を所望の形状に切断する。この工程では、図17に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3に、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通すことができる。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ3を完全に切断することができる。
続いて、図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去する。この時、キャリアフィルム5の外縁が重剥離セパレータ3の外縁よりも外側に張り出さないよう、図19に示されるように重剥離セパレータ3の外縁は、キャリアフィルム5の外縁と略面一となっていてもよい。すなわち、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ3の外側部分は除去せずにキャリアフィルム5上に残し、切断後の重剥離セパレータ3はそのままキャリアフィルム5に付いた状態であってもよい。これにより、表面露出したキャリアフィルム5が他の部分へ接着することを効果的に防ぐことができる。
図18に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ3の外側部分を除去した後、続いて図20に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図21に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ4を貼付する。以上の工程で本実施形態の粘着シート1Bが完成する。このように、重剥離セパレータ3の外縁を、粘着層2の外縁と略面一とするように切断されたフィルムであれば、軽剥離セパレータ4と重剥離セパレータ3との剥離し易さの差がより顕著となるため、重剥離セパレータ3を剥離する前に、軽剥離セパレータ4をより容易に剥離することができる。さらに、重剥離セパレータ3の外縁と粘着層2の外縁とが揃うことで、粘着層2の外縁の位置が明確になるため、粘着層2と被着物との位置合わせが容易となる。
<画像表示装置の製造方法II(4層品使用)>
本実施形態の粘着シート1Bは、最初に、図22に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
本実施形態の粘着シート1Bは、最初に、図22に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ3から剥離してから用いることを除いては、第一実施形態の粘着シートと同様にして使用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
以下、実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。本実施例では、第一実施形態及び第二実施形態に係る粘着シートを作製しているが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<(A)成分:芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体の合成>
(製造例1)
2L反応容器中に(I)成分としてメチルイソブチルケトン700gを仕込み、窒素ガス雰囲気、ゲージ圧0.30MPaの加圧下で1段目の合成温度(125℃)まで加熱した。125℃で(II)成分としてスチレン(日本オキシラン株式会社製)280g、アクリル酸イソステアリル(大阪有機化学工業社製、商品名「ISTA」)420g、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日本油脂社製、商品名)42g、及びメチルイソブチルケトン(三菱化学株式会社製、商品名「MIBK」)70gの混合液を反応容器内に2時間に亘って滴下した。滴下終了後、更に1時間同一温度で反応を行い、その後、(IV)成分としてパーブチルO7gとメチルイソブチルケトン140gとの混合液を反応容器内に1時間に亘って滴下した。滴下終了後に(V)成分としてメチルイソブチルケトン105gを投入し、2段目の合成温度(135℃)に加熱して更に2時間反応を続けた。得られた溶液を冷却した後、90℃、ゲージ圧−0.099MPaの減圧下でメチルイソブチルケトンを脱溶させ、スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。なお、各材料の仕込み時に秤量容器の洗い流し用として、合計105gのメチルイソブチルケトン((III)成分)を用いた。
(製造例1)
2L反応容器中に(I)成分としてメチルイソブチルケトン700gを仕込み、窒素ガス雰囲気、ゲージ圧0.30MPaの加圧下で1段目の合成温度(125℃)まで加熱した。125℃で(II)成分としてスチレン(日本オキシラン株式会社製)280g、アクリル酸イソステアリル(大阪有機化学工業社製、商品名「ISTA」)420g、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、日本油脂社製、商品名)42g、及びメチルイソブチルケトン(三菱化学株式会社製、商品名「MIBK」)70gの混合液を反応容器内に2時間に亘って滴下した。滴下終了後、更に1時間同一温度で反応を行い、その後、(IV)成分としてパーブチルO7gとメチルイソブチルケトン140gとの混合液を反応容器内に1時間に亘って滴下した。滴下終了後に(V)成分としてメチルイソブチルケトン105gを投入し、2段目の合成温度(135℃)に加熱して更に2時間反応を続けた。得られた溶液を冷却した後、90℃、ゲージ圧−0.099MPaの減圧下でメチルイソブチルケトンを脱溶させ、スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。なお、各材料の仕込み時に秤量容器の洗い流し用として、合計105gのメチルイソブチルケトン((III)成分)を用いた。
(製造例2〜4)
製造例2〜4においては、含有する各成分の配合量(単位:g)、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。
製造例2〜4においては、含有する各成分の配合量(単位:g)、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、スチレン−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。
(製造例5)
製造例1のアクリル酸イソステアリルをラウリルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−112A」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、スチレン−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
製造例1のアクリル酸イソステアリルをラウリルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−112A」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、スチレン−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
(製造例6)
製造例1のスチレンをベンジルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−BzA」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、ベンジルアクリレート−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。
製造例1のスチレンをベンジルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−BzA」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、ベンジルアクリレート−イソステアリルアクリレート共重合体を合成した。
(製造例7)
製造例1のスチレンをベンジルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−BzA」)に変更し、アクリル酸イソステアリルをラウリルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−112A」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、ベンジルアクリレート−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
製造例1のスチレンをベンジルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−BzA」)に変更し、アクリル酸イソステアリルをラウリルアクリレート(日立化成株式会社製、商品名「FA−112A」)に変更し、含有する各成分の配合量、及び合成温度を表1に示すとおりに変更した以外は製造例1と同様にして、ベンジルアクリレート−ラウリルアクリレート共重合体を合成した。
製造例1〜7で得られた共重合体の特性を表1に示す。なお、各特性値は以下に記す手法で評価した。
<メチルイソブチルケトンの残存量の測定>
以下の機器測定条件で測定し、合成樹脂中の残存メチルイソブチルケトン質量を求めた。
使用機器:ガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製)
カラム:キャピラリーカラムInert Cap WAX(内径:0.32mm、長さ:60m)
キャリアガス:ヘリウム(95kPa)
注入口温度:200℃
試料注入量:0.6μL
検出器:FID(280℃)
カラム温度条件:保温(50℃、5分)→昇温(15℃/分)→保温(120℃、10分)→昇温(10℃/分)→200℃→昇温(5℃/分)→210℃→昇温(1℃/分)→220℃(完了)の温度条件にて測定した。
試料の調製:測定試料(0.5g)及び内部標準物質としてヘキサン(0.1g)を20mLガラス製サンプル瓶に秤量後、アセトン(和光純薬工業社製試薬特級)を約9.4g加えて溶解し測定サンプルを調製した。
以下の機器測定条件で測定し、合成樹脂中の残存メチルイソブチルケトン質量を求めた。
使用機器:ガスクロマトグラフィー(GLサイエンス社製)
カラム:キャピラリーカラムInert Cap WAX(内径:0.32mm、長さ:60m)
キャリアガス:ヘリウム(95kPa)
注入口温度:200℃
試料注入量:0.6μL
検出器:FID(280℃)
カラム温度条件:保温(50℃、5分)→昇温(15℃/分)→保温(120℃、10分)→昇温(10℃/分)→200℃→昇温(5℃/分)→210℃→昇温(1℃/分)→220℃(完了)の温度条件にて測定した。
試料の調製:測定試料(0.5g)及び内部標準物質としてヘキサン(0.1g)を20mLガラス製サンプル瓶に秤量後、アセトン(和光純薬工業社製試薬特級)を約9.4g加えて溶解し測定サンプルを調製した。
<重量平均分子量及び数平均分子量の測定>
以下の機器測定条件で測定し、標準ポリスチレン換算した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。
使用機器:日立L6000型高速液体クロマトグラフィー(日立製作所社製、商品名)
カラム:ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラハイドロフラン
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1g/5ml
流量:2ml/min
検出器:日立L3350型示差屈折率計(日立製作所社製、商品名)
上記測定条件で、製造例1〜7で得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
以下の機器測定条件で測定し、標準ポリスチレン換算した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。
使用機器:日立L6000型高速液体クロマトグラフィー(日立製作所社製、商品名)
カラム:ゲルパックR400、R450及びR400M(日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラハイドロフラン
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1g/5ml
流量:2ml/min
検出器:日立L3350型示差屈折率計(日立製作所社製、商品名)
上記測定条件で、製造例1〜7で得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
<軟化温度の測定>
軟化温度は、JIS K 7196(熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法)に準じて、熱機械分析(TMA:Thermo Mechanical Analysis)での針入モード方式により測定した。測定機器条件及び測定方法を以下に示す。
使用機器:EXSTAR TMA/SS6100(ヤマト科学(株)製、商品名)
プローブ形状:針入モード用の石英プローブ(圧子の先端は、直径1.0mm、長さ2mmの円柱)
吹き込みガス:乾燥窒素を50ml/minで吹き込む
圧子荷重:50mN
測定温度:−50〜120℃
昇温スピード:5℃/min
軟化温度は、JIS K 7196(熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法)に準じて、熱機械分析(TMA:Thermo Mechanical Analysis)での針入モード方式により測定した。測定機器条件及び測定方法を以下に示す。
使用機器:EXSTAR TMA/SS6100(ヤマト科学(株)製、商品名)
プローブ形状:針入モード用の石英プローブ(圧子の先端は、直径1.0mm、長さ2mmの円柱)
吹き込みガス:乾燥窒素を50ml/minで吹き込む
圧子荷重:50mN
測定温度:−50〜120℃
昇温スピード:5℃/min
試料をアルミニウム製の試料容器(φ:5mm、高さ:2.5mm)に入れ、120℃まで加熱溶解した後に−50℃まで冷却した。その後、石英プローブの圧子の先端を荷重50mNで試料中央部に静かに押し当て、試料容器中に窒素ガスを50ml/minで吹き込んだ。その後、温度を5℃/minで−50℃から120℃まで上昇させ、試料の軟化に伴って圧子が試料中に侵入する深さ(針入量、単位:mm)の変化を記録し、TMA曲線(温度−針入量線図)を求めた。図25に製造例1のTMA曲線を示す。図25に示すように、圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点Pの温度を軟化温度として求めた。
[実施例1]
<粘着シート1A(3層品)の作製>
重剥離セパレータ3として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)製)、並びに軽剥離セパレータ4及び仮セパレータ6として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)製)を用いて、以下の(1)〜(5)の手順で粘着シート1Aを作製した。
<粘着シート1A(3層品)の作製>
重剥離セパレータ3として厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)製)、並びに軽剥離セパレータ4及び仮セパレータ6として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)製)を用いて、以下の(1)〜(5)の手順で粘着シート1Aを作製した。
(1)製造例1のスチレン−イソステアリルアクリレート共重合体95質量部、HGNR024(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート変性ポリブタジエングリコール、根上工業(株)製、商品名「アートレジンHGNR024」)5質量部、及びI−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)0.5質量部を秤量し、これらを密封して熱風循環乾燥機で90℃に加温した。その後、自公転攪拌機を用いて攪拌混合することで、常温で固体状の粘着性樹脂組成物を得た。
(2)この粘着性樹脂組成物を、85℃に熱した金属板あるいはロール上に設置した重剥離セパレータ3上に、乾燥後の膜厚が120μmとなるように塗工し、塗膜を形成した。次いで、上記塗膜上に仮セパレータ6を積層することで、重剥離セパレータ3と仮セパレータ6とで粘着層2を挟んだ積層体を得た。
(3)220mm×180mmの大きさになるように、上記積層体を直径72mmのロータリーブレードにより切断した。
(4)切断した積層体における粘着層2及び仮セパレータ6を205mm×160mmの大きさになるように直径72mmのロータリーブレードにより切断した。この時、重剥離セパレータ3の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出し、重剥離セパレータ3の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より10mm張り出すように切断した。(3)及び(4)における切断では、直径72mmのロータリーブレードを備えるロータリー式打抜装置を用いた。
(5)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの大きさの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層した。このようにして、粘着シート1Aを得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出し、軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
[実施例2〜6]
<粘着シート1A(3層品)の作製>
実施例2〜6においては、粘着性樹脂組成物に含有する成分の組成及び配合量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シート1Aを得た。なお、表2中、配合量を表す数値の単位は、質量部である。また、表2中の各材料は下記のとおりである。
(B)成分:
TMPA(トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学(株)製、商品名「ライトアクリレートTMPA」)
HGNR024(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート変性ポリブタジエングリコール、根上工業(株)製、商品名「アートレジンHGNR024」)
(C)成分:
I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)
TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「LUCIRIN TPO」)
<粘着シート1A(3層品)の作製>
実施例2〜6においては、粘着性樹脂組成物に含有する成分の組成及び配合量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シート1Aを得た。なお、表2中、配合量を表す数値の単位は、質量部である。また、表2中の各材料は下記のとおりである。
(B)成分:
TMPA(トリメチロールプロパントリアクリレート、共栄社化学(株)製、商品名「ライトアクリレートTMPA」)
HGNR024(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート変性ポリブタジエングリコール、根上工業(株)製、商品名「アートレジンHGNR024」)
(C)成分:
I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)
TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「LUCIRIN TPO」)
[比較例1]
<粘着シート1A(3層品)の作製>
まず、下記手順により粘着性樹脂組成物に用いるポリカーボネートウレタン、及びポリカーボネートウレタンアクリレートを合成した。
<粘着シート1A(3層品)の作製>
まず、下記手順により粘着性樹脂組成物に用いるポリカーボネートウレタン、及びポリカーボネートウレタンアクリレートを合成した。
(ポリカーボネートウレタンの合成)
温度計、撹拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01質量部、イソホロンジイソシアネート6.98質量部、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)47.21質量部、p−メトキシフェノール0.03質量部及びジブチル錫ジラウレート0.02質量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間撹拌した後、メタノール0.75質量部を添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了し、ポリカーボネートウレタン(重量平均分子量2.0×104)を得た。
温度計、撹拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01質量部、イソホロンジイソシアネート6.98質量部、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)47.21質量部、p−メトキシフェノール0.03質量部及びジブチル錫ジラウレート0.02質量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間撹拌した後、メタノール0.75質量部を添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了し、ポリカーボネートウレタン(重量平均分子量2.0×104)を得た。
(ポリカーボネートウレタンアクリレートの合成)
温度計、撹拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01質量部、イソホロンジイソシアネート6.74質量部、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)45.56質量部、p−メトキシフェノール0.03質量部及びジブチル錫ジラウレート0.02質量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間撹拌した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.63質量部を添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了し、ポリカーボネートウレタンアクリレート(重量平均分子量2.0×104)を得た。
温度計、撹拌機及び還流管を備えたガラス製反応容器に、メチルエチルケトン45.01質量部、イソホロンジイソシアネート6.74質量部、ポリカーボネートジオール(T−5652(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製)45.56質量部、p−メトキシフェノール0.03質量部及びジブチル錫ジラウレート0.02質量部を入れ、撹拌しながら70℃に加温した。70℃で3時間撹拌した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.63質量部を添加し、さらに3時間撹拌して反応させた。赤外分光スペクトルを測定することにより、イソシアネート基が消失するのを確認した。その時点で反応を終了し、ポリカーボネートウレタンアクリレート(重量平均分子量2.0×104)を得た。
次いで、(1)及び(2)の工程を以下のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シート1Aを得た。
(1)ポリカーボネートウレタン40質量部、ポリカーボネートウレタンアクリレート30質量部、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(InChem製、商品名「PKHC」)30質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(TPO)1質量部を秤量し、これらをメチルエチルケトン100質量部で希釈後に撹拌混合することで、常温で液状の粘着性樹脂組成物を得た。
(2)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3上に乾燥後の膜厚が120μmとなるように塗工した。次いで、100℃の熱風循環式乾燥機内で溶剤を乾燥させて塗膜を形成した後、上記塗膜上に仮セパレータ6を積層することで,重剥離セパレータ3と仮セパレータ6とで粘着層2を挟んだ積層体を得た。
[比較例2]
<粘着シート1A(3層品)の作製>
粘着性樹脂組成物に含有する成分の組成及び配合量を表3に示すとおりに変更したこと以外は比較例1と同様にして、粘着シート1Aを得た。なお、表3中、配合量を表す数値の単位は質量部である。また、表3中の各材料は下記のとおりである。
PKHC(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、重量平均分子量45000、InChem製、商品名「PKHC」)
YP−70(ビスフェノールA型とF型共重合フェノキシ樹脂、重量平均分子量50000、新日鉄住金化学(株)製、商品名「フェノトートYP−70」)
I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)
TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「LUCIRIN TPO」)
<粘着シート1A(3層品)の作製>
粘着性樹脂組成物に含有する成分の組成及び配合量を表3に示すとおりに変更したこと以外は比較例1と同様にして、粘着シート1Aを得た。なお、表3中、配合量を表す数値の単位は質量部である。また、表3中の各材料は下記のとおりである。
PKHC(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、重量平均分子量45000、InChem製、商品名「PKHC」)
YP−70(ビスフェノールA型とF型共重合フェノキシ樹脂、重量平均分子量50000、新日鉄住金化学(株)製、商品名「フェノトートYP−70」)
I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン(株)製、商品名「Irgacure−184」)
TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製、商品名「LUCIRIN TPO」)
<各種評価>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、下記の段差埋め込み性、濁度(ヘーズ)、接着性、及び誘電率の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、下記の段差埋め込み性、濁度(ヘーズ)、接着性、及び誘電率の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
(段差埋め込み性)
段差埋め込み性は、以下の手順により評価用サンプルを作製して測定を行った。図24は、段差埋め込み性の評価用サンプルを示す模式図である。まず、作製した粘着シートを幅50mm、長さ80mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、56mm×86mm×0.1mmの寸法のシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノアフィルムZF16」)にハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートのシクロオレフィンポリマーフィルムを貼合せていないもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、外周部に幅9mm、厚さ80μmの寸法の段差部D7を設けた56mm×86mm×0.7mmの寸法のガラス基板D8を、粘着層D9を挟み込むように、真空貼合装置((株)タカトリ製、商品名「TPL−0512MH」)を用いて30℃、0.5MPa、真空度50Paの条件で60秒間貼合せた。その後、オートクレーブによる処理(30℃、0.5MPa)を30分間行い、次いで、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製)を用いてシクロオレフィンポリマーフィルム面側から、粘着層D9に対して紫外線を2.0×103mJ/cm2照射して評価用サンプルとした。なお、図24において、シクロオレフィンポリマーフィルムは図示を省略してある。
段差埋め込み性は、以下の手順により評価用サンプルを作製して測定を行った。図24は、段差埋め込み性の評価用サンプルを示す模式図である。まず、作製した粘着シートを幅50mm、長さ80mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、56mm×86mm×0.1mmの寸法のシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノアフィルムZF16」)にハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートのシクロオレフィンポリマーフィルムを貼合せていないもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、外周部に幅9mm、厚さ80μmの寸法の段差部D7を設けた56mm×86mm×0.7mmの寸法のガラス基板D8を、粘着層D9を挟み込むように、真空貼合装置((株)タカトリ製、商品名「TPL−0512MH」)を用いて30℃、0.5MPa、真空度50Paの条件で60秒間貼合せた。その後、オートクレーブによる処理(30℃、0.5MPa)を30分間行い、次いで、紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製)を用いてシクロオレフィンポリマーフィルム面側から、粘着層D9に対して紫外線を2.0×103mJ/cm2照射して評価用サンプルとした。なお、図24において、シクロオレフィンポリマーフィルムは図示を省略してある。
この評価用サンプルを用いて、25℃において、レーザー測定器(キーエンス社製、商品名「LT−9500」)、ポジションコントローラ(コムス社製、商品名「CP−500」)、自動ステージ(コムス社製)、コンピュータからなる3次元形状測定装置により、シクロオレフィンポリマーフィルム側の表面形状を測定した。段差部が設けられた部分と、設けられていない部分の高さの差(Δt、図24を参照)を測定し、以下の評価基準にて段差埋め込み性を評価した。
A:20μm未満
B:20μm以上40μm未満
C:40μm以上
A:20μm未満
B:20μm以上40μm未満
C:40μm以上
(濁度(ヘーズ))
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、50mm×100mm×3mmの寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として濁度計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)を用いて、JIS K 7136に準じて測定した。
ヘーズ(%)=(Td/Tt)×100
Td:拡散透過率 Tt:全光線透過率
作製した粘着シートを幅40mm、長さ100mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、50mm×100mm×3mmの寸法のガラス基板(ソーダライムガラス)に、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)貼合せた。次いで、粘着シートの反対面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、粘着層面を光源側として濁度計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)を用いて、JIS K 7136に準じて測定した。
ヘーズ(%)=(Td/Tt)×100
Td:拡散透過率 Tt:全光線透過率
(接着性)
作製した粘着シートを幅25mm、長さ25mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅30mm、長さ105mmの寸法のソーダライムガラスに、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)、貼合せた。次いで、該粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅30mm、長さ105mmの寸法のソーダライムガラスを該粘着シートに貼合せた。引張試験機((株)オリエンテック製、商品名「RTC−1210」)を用いて、25℃の温度環境下、引き剥がし速度30mm/分でシェア強度を測定し、以下の評価基準にて接着性を評価した。数値が大きい程、接着性に優れる。
A:500N/25mm□以上
B:250N/25mm□以上500N/25mm□未満
C:100N/25mm□以上250N/25mm□未満
D:100N/25mm□未満
作製した粘着シートを幅25mm、長さ25mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅30mm、長さ105mmの寸法のソーダライムガラスに、ハンドローラーを用いて(25℃、荷重:500gf)、貼合せた。次いで、該粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、幅30mm、長さ105mmの寸法のソーダライムガラスを該粘着シートに貼合せた。引張試験機((株)オリエンテック製、商品名「RTC−1210」)を用いて、25℃の温度環境下、引き剥がし速度30mm/分でシェア強度を測定し、以下の評価基準にて接着性を評価した。数値が大きい程、接着性に優れる。
A:500N/25mm□以上
B:250N/25mm□以上500N/25mm□未満
C:100N/25mm□以上250N/25mm□未満
D:100N/25mm□未満
(誘電率)
作製した粘着シートに紫外線照射装置を用いて紫外線を2.0×103mJ/cm2照射した後、幅50mm、長さ50mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、100mm×100mm×18μmの寸法の銅箔(日本電解(株)製、商品名「SLP−18」)の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。次いで、粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、20mm×20mm×18μmの寸法の銅箔(日本電解(株)製、商品名「SLP−18」)の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。100mm×100mmの寸法の銅箔及び20mm×20mmの寸法の銅箔のそれぞれのほぼ中央部に端子を接触させて、誘電率測定装置(Agilent Technologies製、商品名「LCR meter E4980」)により、温度25℃、周波数100kHzの条件で静電容量(C)を測定し、以下の式により誘電率εrを算出した。なお、ε0は真空の誘電率、dは粘着層の厚さである。
C=ε0×εr×(20mm×20mm)/d
作製した粘着シートに紫外線照射装置を用いて紫外線を2.0×103mJ/cm2照射した後、幅50mm、長さ50mmの寸法に切り出し、該粘着シートの片側面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、100mm×100mm×18μmの寸法の銅箔(日本電解(株)製、商品名「SLP−18」)の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。次いで、粘着シートのもう一方の面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、20mm×20mm×18μmの寸法の銅箔(日本電解(株)製、商品名「SLP−18」)の光沢面側を粘着シートがはみ出さないように貼合せた。100mm×100mmの寸法の銅箔及び20mm×20mmの寸法の銅箔のそれぞれのほぼ中央部に端子を接触させて、誘電率測定装置(Agilent Technologies製、商品名「LCR meter E4980」)により、温度25℃、周波数100kHzの条件で静電容量(C)を測定し、以下の式により誘電率εrを算出した。なお、ε0は真空の誘電率、dは粘着層の厚さである。
C=ε0×εr×(20mm×20mm)/d
[実施例7]
<粘着シート1B(4層品)の作製>
実施例7の粘着シート1Bは、以下の(1)〜(5)の手順で作製した。
(1)実施例1と同様にして、常温で固体状の粘着性樹脂組成物を得た。
(2)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3の一方の面上に塗工、乾燥して塗膜を形成した後、上記塗膜上に仮セパレータ6を積層し、その後、重剥離セパレータ3の他方の面に、アクリル系接着剤(日立化成(株)製、商品名「ヒタレックスK−6040」)をラミネートし、その上にキャリアフィルム5を積層した。
(3)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、仮セパレータ6及びキャリアフィルム5を切断した。
(4)粘着層2、重剥離セパレータ3及び仮セパレータ6を205mm×160mmの大きさになるように、直径72mmのロータリーブレードにより切断した。切断には、直径72mmのロータリーブレードを備えるロータリー式打抜装置を用いた。この時、キャリアフィルム5の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出し、キャリアフィルム5の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より10mm張り出すように切断した。
(5)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの大きさの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層して、粘着シート1Bを得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出し、軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
<粘着シート1B(4層品)の作製>
実施例7の粘着シート1Bは、以下の(1)〜(5)の手順で作製した。
(1)実施例1と同様にして、常温で固体状の粘着性樹脂組成物を得た。
(2)この粘着性樹脂組成物を重剥離セパレータ3の一方の面上に塗工、乾燥して塗膜を形成した後、上記塗膜上に仮セパレータ6を積層し、その後、重剥離セパレータ3の他方の面に、アクリル系接着剤(日立化成(株)製、商品名「ヒタレックスK−6040」)をラミネートし、その上にキャリアフィルム5を積層した。
(3)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、仮セパレータ6及びキャリアフィルム5を切断した。
(4)粘着層2、重剥離セパレータ3及び仮セパレータ6を205mm×160mmの大きさになるように、直径72mmのロータリーブレードにより切断した。切断には、直径72mmのロータリーブレードを備えるロータリー式打抜装置を用いた。この時、キャリアフィルム5の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より7.5mm張り出し、キャリアフィルム5の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より10mm張り出すように切断した。
(5)仮セパレータ6を剥離し、215mm×170mmの大きさの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層して、粘着シート1Bを得た。この時、軽剥離セパレータ4の長辺側の両辺が、粘着層2の長辺側の両辺より5mm張り出し、軽剥離セパレータ4の短辺側の両辺が、粘着層2の短辺側の両辺より5mm張り出すように積層した。
粘着シート1B(4層品)について、上記粘着シート1A(3層品)と同様の評価を行ったところ、所望の形状を備える粘着シートを作製することができ、かつ実施例1と同様に段差埋め込み性、濁度(ヘーズ)、接着性、誘電率、及び外観のいずれにも優れる結果となった。
また、上記段差埋め込み試験で用いた実施例1〜7の粘着シートは、高温高湿(温度85℃、相対湿度85%)の条件下、24時間静置した後においても、剥離及び気泡の発生が観察されず、高温高湿下における信頼性に優れることを確認した。
本発明によれば、透明性、取り扱い性、45℃以下の低温プロセスにおける高い段差への段差埋め込み性、及び接着性に優れ、かつ視認性にも優れる粘着層を備える画像表示装置用粘着シートを提供することができる。また、被着物を貼り合わせた後に、粘着層の架橋反応を促進することで、粘着層自体の密着力及び保持力を向上させることができる。このような粘着層が組み込まれたデバイスは高い信頼性を示すため、本発明の画像表示用粘着シートは画像表示装置の用途に適している。特にタッチパネル等の情報入力装置と透明保護板との間を充填する際に用いられるシート材料として極めて有用である。
1A…粘着シート(3層品)、1B…粘着シート(4層品)、2…粘着層、3…重剥離セパレータ(第2の基材層)、4…軽剥離セパレータ(第1の基材層)、5…キャリアフィルム(キャリア層)、6…仮セパレータ、2a,3a,4a…外縁、3b,5b…粘着層側の面、3c,5c…切込部、10A…母材フィルム(3層品)、10B…母材フィルム(4層品)、B…ブレード、40…透明保護板(ガラス又はプラスチック基板)、7…画像表示ユニット、12…液晶表示セル、20,22…偏光板、30…タッチパネル、31,32…透明樹脂層、50…バックライトシステム、60…段差部。
Claims (14)
- (A)芳香族基を有するビニル系化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いてなる共重合体、
(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び
(C)光重合開始剤、
を含有する粘着層を備える、画像表示装置用粘着シート。 - 前記粘着層が、(D)オイルゲル化剤を更に含有する、請求項1に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記ビニル系化合物が、スチレン、ベンジルアクリレート及びベンジルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、ラウリルアクリレート及びイソステアリルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記(A)成分の含有量が、前記粘着層の総量を基準として5質量%〜95質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記粘着層を挟むように積層された第1の基材層及び第2の基材層を更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シート。
- 前記第2の基材層に積層されたキャリア層を更に備え、
前記第1の基材層及び前記キャリア層の外縁が、前記粘着層の外縁よりも外側に張り出している、請求項6に記載の画像表示装置用粘着シート。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートが備える前記粘着層を介して、被着物同士を貼り合わせて積層体を得る工程と、
前記積層体を、20℃〜45℃及び0.1MPa〜0.6MPaの条件で加熱及び加圧する工程と、
前記積層体中の前記粘着層に対して紫外線を照射する工程と、
を備える、画像表示装置の製造方法。 - 前記被着物が、透明保護板、タッチパネル及び液晶表示セルからなる群より選択される少なくとも2種である、請求項8に記載の画像表示装置の製造方法。
- 請求項8又は9に記載の画像表示装置の製造方法によって製造される画像表示装置。
- 画像表示ユニットと、透明保護板と、画像表示ユニットと透明保護板との間に配置された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートが備える前記粘着層又はその硬化物からなる透明樹脂層と、を備える、画像表示装置。
- 画像表示ユニットと、透明保護板と、画像表示ユニットと透明保護板との間に配置されたタッチパネルと、画像表示ユニットとタッチパネルとの間、又は、タッチパネルと透明保護板との間に配置された、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置用粘着シートが備える前記粘着層又はその硬化物からなる透明樹脂層と、を備える、画像表示装置。
- 前記画像表示ユニット又は前記透明保護板上に、前記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備える、請求項11に記載の画像表示装置。
- 前記画像表示ユニット、前記タッチパネル又は前記透明保護板上に、前記透明樹脂層と接する段差を形成する段差部を更に備える、請求項12に記載の画像表示装置。
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JP2018115084A (ja) * | 2017-01-17 | 2018-07-26 | 日立化成株式会社 | 合わせガラス中間膜用光硬化性樹脂組成物、カバーフィルム付合わせガラス用中間膜、合わせガラス及び合わせガラスの製造方法 |
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-
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