JP2017173370A - 波長変換素子、照明装置およびプロジェクター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波長変換素子43は、蛍光体を含む無機蛍光体46と、無機蛍光体46の屈折率とは異なる屈折率を有するとともに無機蛍光体46の内部に分散された複数の気泡48と、を有する蛍光体層42を備え、複数の気泡48のうち、少なくとも一部の気泡48の形状は、長手方向を有し、複数の気泡48の配向は、全体として異方性を有する。
【選択図】図2
Description
この構成によれば、副相の光軸と平行に進行する光の散乱を弱め、光軸と平行な方向以外の方向に進行する光の散乱をより高められる。
この構成によれば、複数の副相の光軸を略同一方向に揃えることが比較的容易になる。
この構成によれば、蛍光光に対する散乱性が高く、かつ、耐熱性の高い蛍光体層を構成しやすい。
この構成によれば、複数の副相の各々を気泡以外の材料で構成する場合に比べ、主相と副相との界面への光の入射前後の進行方向をより大きく変えることができる。
この構成によれば、蛍光体層に入射した励起光は散乱しにくく、蛍光体層の内部で発生した蛍光光は散乱しやすくなる。これにより、励起光の利用効率に優れ、エテンデューが小さい照明装置を実現することができる。
この構成によれば、光の利用効率が高いプロジェクターを実現することができる。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
本実施形態のプロジェクターは、スクリーン(被投射面)上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクターは、赤色光、緑色光、青色光の各色光に対応した3つの液晶光変調装置を備えている。プロジェクターは、照明装置の光源として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザーを備えている。
図1に示すように、プロジェクター1は、第1照明装置100と、第2照明装置102と、色分離導光光学系200と、液晶光変調装置400Rと、液晶光変調装置400Gと、液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投射光学系600と、を備える。
本実施形態の第1照明装置100は、特許請求の範囲の照明装置に対応する。
なお、第1光源10は、445nm以外の波長、例えば460nmの青色レーザー光を射出する半導体レーザーを用いることもできる。
本実施形態の第1光源10は、特許請求の範囲の光源に対応する。
コリメート光学系70は、第1レンズ72と、第2レンズ74と、を備える。コリメート光学系70は、第1光源10から射出された光を略平行化する。第1レンズ72および第2レンズ74は、凸レンズで構成されている。
集光光学系760は、第1レンズ762と、第2レンズ764と、を備えている。集光光学系760は、第2光源710から射出された青色光Bを散乱板732上もしくは散乱板732の近傍に集光させる。第1レンズ762および第2レンズ764は、凸レンズで構成されている。
図2に示すように、波長変換素子43は、蛍光体層42と、反射層41と、を備えている。蛍光体層42は、励起光Eが入射する光入射面42aと、光入射面42aと反対側の対向面42bと、を有する。反射防止層44は、蛍光体層42の光入射面42aに設けられている。反射層41は、蛍光体層42の対向面42bに設けられている。波長変換素子43は、反射層41に設けられた接着材層45によって基材40に貼り付けられている。接着材層45としては、例えばシリコーン樹脂が用いられる。
本実施形態の無機蛍光体46は、特許請求の範囲の主相に対応する。本実施形態の気泡48は、特許請求の範囲の副相に対応する。
この方法では、例えばペースト状の無機蛍光体に、各々が細長い形状を有する樹脂製の複数の気泡形成材を混合する。この混合物を押し出し成型することにより、複数の気泡形成材が一方向に配向したグリーンシートを作成する。その後、グリーンシートを焼結し、気泡形成材を気泡に変化させる。これにより、複数の気泡が所定の方向に配向した無機蛍光体が形成される。
この方法では、蛍光体セラミックスの粉体を水溶性高分子の水溶液に分散させたスラリーを作製し、このスラリーをゲル化、凍結、解凍、乾燥、焼結することにより、多数の気泡を有する無機蛍光体が形成される。
比較例として、球状の気泡を含む波長変換素子1001を想定する。
図3に示すように、励起光Eは、蛍光体層1002の光入射面1002aの法線方向から入射した後、蛍光体層1002と気泡1003との界面Kに入射する。このとき、励起光Eの一部は界面Kで反射し、反射光Erが蛍光体層1002の内部を進む。また、励起光Eの他の一部は気泡1003を透過した後、透過光Etが蛍光体層1002の内部を進む。透過光Etは、入射側の界面K、射出側の界面Kの双方で屈折する。このように、励起光Eは、蛍光体層1002と気泡1003との界面Kに入射することにより、進行方向が大きく変わる。
図4に示すように、本実施形態の波長変換素子43においても、比較例の場合と同様、励起光Eの一部は無機蛍光体46と気泡48との界面Kで反射し、励起光Eの他の一部は気泡48を透過し、反射光Er、透過光Etのそれぞれが蛍光体層42の内部を進む。しかしながら、本実施形態の波長変換素子43は、楕円球状の気泡48の長手方向が光入射面42aの法線方向に略一致しているため、反射光Er、透過光Etともに、光の進行方向がそれ程大きく変わらない。
図5は、比較例の波長変換素子1001において複数の気泡の励起光に対する作用を説明するための図であり、蛍光体層の光入射面の法線方向から見た平面図である。
図6は、本実施形態の波長変換素子43において複数の気泡の励起光に対する作用を説明するための図であり、蛍光体層の光入射面の法線方向から見た平面図である。
図8は、本実施形態の波長変換素子43において複数の気泡の蛍光光に対する作用を説明するための図であり、蛍光体層の光入射面に垂直な任意の平面で切断した断面図である。
以下の検討において、比較例の波長変換素子における一つの気泡の体積と、本実施形態の波長変換素子における一つの気泡の体積と、が等しいと仮定する。
以下、その結果について説明する。
蛍光光は蛍光体層の内部を横方向に伝播し、蛍光体層から射出される。そのため、励起光の入射領域の中心位置で蛍光光の強度は最大値となり、入射領域の周辺に向けて強度は低下する。したがって、励起光の入射領域R0の一辺の長さが1.0mmであるとき、蛍光光の射出領域の一辺の長さは1.0mmよりも大きくなる。ここでは、蛍光光の相対強度の最大値を1としたとき、相対強度が最大値の1/2以上になる射出領域R1の一辺の長さを1/2値と称し、相対強度が最大値の1/5以上になる射出領域R2の一辺の長さを1/5値と称する。
以下、本発明の第2実施形態について、図11を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図11は、第2実施形態の波長変換素子の断面図である。図11は、第1実施形態における図2に対応している。
図11において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第3実施形態について、図12および図13を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図12は、第3実施形態の波長変換素子の断面図である。図12は、第1実施形態における図2に対応している。
図12において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図13は、シミュレーション結果を示すグラフである。グラフの横軸は、球形状気泡(長手方向を有していない気泡48c)の含有割合[%]を示している。グラフの縦軸は、後方散乱割合(蛍光体層に入射した励起光の光量に対する後方散乱した励起光の量の割合)[%]を示している。
以下、本発明の第4実施形態について、図14を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図14は、第4実施形態の波長変換素子の断面図である。図14は、第1実施形態における図2に対応している。
図14において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第5実施形態について、図15を用いて説明する。
第5実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
以下の第5〜第7実施形態では、散乱体(副相)が屈折率異方性を有する例を挙げる。
図15は、第5実施形態の波長変換素子の断面図である。図15は、第1実施形態における図2に対応している。
図15において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の結晶性粒子64は、特許請求の範囲の副相に対応する。
以下、本発明の第6実施形態について、図16を用いて説明する。
第6実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図16は、第6実施形態の波長変換素子の断面図である。図16は、第1実施形態における図2に対応している。
図16において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第7実施形態について、図17を用いて説明する。
第7実施形態のプロジェクターおよび照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置全体の説明は省略し、波長変換素子についてのみ説明する。
図17は、第7実施形態の波長変換素子の断面図である。図17は、第1実施形態における図2に対応している。
図17において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図18において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図18に示すように、波長変換素子76は、蛍光体層42と、選択反射層77と、を備えている。波長変換素子76は、選択反射層77に設けられた接着材層45により光透過性を有する基材78に貼り付けられている。この波長変換素子76の場合、励起光Eは基材78の側から入射させる。そのため、蛍光体層42の選択反射層77に接する側の面が光入射面42aとなり、光入射面42aと反対側の面が光射出面42bとなる。選択反射層77は、励起光Eを選択的に透過させ、蛍光光Yを選択的に反射させる。
図19において、図2と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図19に示すように、波長変換素子82は、固定型の基材83の一面に接着材層45により貼り付けられている。波長変換素子82の要部の構成は、第1実施形態と同様であり、反射型の例である。なお、透過型の波長変換素子を光透過性を有する基材の一面に貼り付けた構成としてもよい。
例えば上記第5〜第7実施形態では、複数の結晶性粒子(副相)の各々の形状が長手方向を有し、さらに結晶性粒子の長手方向に屈折率異方性の光軸を有する例を挙げた。この構成に代えて、複数の副相の各々の形状が長手方向を有しておらず、さらに複数の副相の屈折率異方性の光軸が略一方向に揃って配向している構成であってもよい。例えば複数の結晶性粒子の各々の形状は球状であってもよい。結晶性粒子の形状が球状であったとしても、複数の結晶性粒子の光軸が光入射面に概ね垂直な方向に配向していれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では本発明による照明装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による照明装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
Claims (7)
- 蛍光体を含む主相と、前記主相の屈折率とは異なる屈折率を有するとともに前記主相の内部に分散された複数の副相と、を有する蛍光体層を備え、
前記複数の副相のうち、少なくとも一部の前記副相の形状は、長手方向を有し、
前記複数の副相の配向は、全体として異方性を有する、波長変換素子。 - 前記複数の副相の各々は、屈折率異方性を有し、
前記蛍光体層は、全体として屈折率異方性を有する、請求項1に記載の波長変換素子。 - 前記複数の副相の各々は、前記副相の長手方向に光軸を有する、請求項2に記載の波長変換素子。
- 前記複数の副相の各々は、結晶性粒子から構成されている、請求項2または請求項3に記載の波長変換素子。
- 前記複数の副相の各々は、気泡から構成されている、請求項1に記載の波長変換素子。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の波長変換素子と、
前記蛍光体を励起させる励起光を射出する光源と、を備え、
前記蛍光体層は、前記励起光が入射する光入射面を有し、
前記複数の副相の配向方向は、前記光入射面と交差している、照明装置。 - 請求項6に記載の照明装置と、
前記照明装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えた、プロジェクター。
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