JP5659794B2 - 光源装置及びプロジェクター - Google Patents

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本発明は、光源装置及びプロジェクターに関するものである。
従来、プロジェクターにおいては、光源として超高圧水銀ランプなどの放電ランプが用いられるのが一般的であった。ところが、この種の放電ランプは、寿命が比較的短い、瞬時点灯が難しい、ランプから放射される紫外線が液晶ライトバルブを劣化させる、等の課題がある。そこで、放電ランプに代わる方式の光源を用いたプロジェクターが提案されている。
例えば、特許文献1で提案されているプロジェクターでは、蛍光体を含む蛍光体層に外部から励起光を入射させ、得られる発光光(蛍光)を射出させる光源が用いられている。特許文献1の光源では、蛍光体層の可視光放射方向端面の面積総和が、励起光発光端面の面積総和より小さく設定されており、励起光の光源を直接用いるよりも、さらに小さな面積から強い光を放つことができる光源として提案されている。また、蛍光体層の基板とは反対側から励起光が蛍光体層に照射される。
特開2004−327361号公報
特許文献1に記載された光源では、励起光は蛍光体層のうち主に基板とは反対側(励起光が照射される側)の領域に分散されている蛍光体によって吸収され、蛍光に変換される。強い発光を得ようとして蛍光体層上での励起光の強度を高くしても、励起光のエネルギーは蛍光体層のうち主に基板とは反対側の領域で消費される。つまり、蛍光体層のうち主に基板とは反対側の領域における光エネルギー密度が大きくなる。そのため、蛍光体層上での励起光の強度を高くしすぎると、次のような理由により発光量が低下してしまう。
まず、蛍光体は発光するときに一部のエネルギーが熱に変わり自己発熱を起こす。一方で、蛍光体の発光効率(励起光の入射光量に対する蛍光体の発光量の割合)は温度に依存しており、温度が高いほど変換効率が低下することが知られている。そのため、蛍光体層上での励起光の強度を高くしすぎると、自己発熱により温度が上昇し、発光効率が低下しやすくなる。
また、蛍光体層上での励起光の強度(光エネルギー密度)が大きいと、蛍光体分子の中で励起される電子の割合が増え、励起できる電子(基底状態の電子)が減少するため、励起光の強度に応じた発光ができなくなる、いわゆる光飽和現象が発生する。これによっても、発光効率が低下してしまう。
このように、上記特許文献1のような光源において強い発光を得ようとして蛍光体層上での励起光の強度を強くしたとしても、上記理由により発光効率が低下することから、所望の光量を得ることが難しかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、発光効率の低下を抑制し、強い(光量の多い)蛍光を射出することが可能な光源装置を提供することを目的とする。また、このような光源装置を有し、高品質な画像表示が可能なプロジェクターを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の光源装置は、第1の光と第2の光とを含む励起光を発光する励起光発光手段と、少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過する基板と、前記基板上に設けられ、前記励起光によって励起されて前記励起光とは異なる波長の蛍光を発する蛍光体層と、を有し、前記励起光発光手段は、前記蛍光体層の前記基板側から前記第1の光を前記蛍光体層に照射するとともに、前記蛍光体層の前記基板とは反対側から前記第2の光を前記蛍光体層に照射し、前記蛍光体層の前記第1の光が照射される領域は、前記蛍光体層の前記第2の光が照射される領域の少なくとも一部と平面視で重なり、前記蛍光体層上での前記第1の光の強度は前記蛍光体層上での前記第2の光の強度よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、蛍光体層の基板側から第1の光が蛍光体層に照射され、さらに蛍光体層の基板とは反対側から第2の光が蛍光体層に照射される。すなわち、第1の光は蛍光体層のうち主に基板に比較的近い領域で吸収されて、蛍光に変換される。また、第2の光は蛍光体層のうち主に基板から比較的遠い領域で吸収されて、蛍光に変換される。なお、本明細書において、蛍光体層のうち基板に比較的近い領域を第1の領域と呼び、蛍光体層のうち基板から比較的遠い領域を第2の領域と呼ぶことにする。蛍光体層から発せられる蛍光は、第1の領域から発せられる蛍光と第2の領域から発せられる蛍光との和である。
そのため、従来の光源のように蛍光体層の一方の側からのみ励起光を蛍光体層に照射する場合と比較して、蛍光体層上での第1の光の強度と蛍光体層上での第2の光の強度各々を小さくしても、従来の光源によって得られる発光と同等の強さの発光を得ることができる。言い換えれば、第1の領域に与えられる光エネルギー密度と第2の領域に与えられる光エネルギー密度各々を小さくしても、従来の光源によって得られる発光と同等の強さの発光を得ることができる。したがって、本発明によれば、発熱や光飽和現象による発光効率の低下を抑制することができる。
また、蛍光体層上での第1の光の強度が蛍光体層上での第2の光の強度よりも大きいため、蛍光体層の第1の領域における発熱量は蛍光体層の第2の領域における発熱量よりも多い。蛍光体層で生じた熱は、基板を介して放熱させることができるため、基板から近い領域(第1の領域)で発熱量が多い状態の方が、基板から遠い領域(第2の領域)で発熱量が多い状態よりも、蛍光体層に熱が籠もりにくく、発熱による発光効率低下をさらに抑制することができる。
これらの効果が合わさることにより、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
本発明においては、前記基板と前記蛍光体層との間に、少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過させ、前記蛍光のピーク波長の光を反射する第1波長選択膜が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、蛍光体層にて等方的に発せられる蛍光を、基板とは反対側に反射させることができるため、有効に蛍光を取り出すことができる。
本発明においては、前記励起光発光手段は、前記第1の光を射出する第1光源と、前記第2の光を射出する第2光源と、を有することが望ましい。
この構成によれば、蛍光体層上での第1の光の強度と蛍光体層上での第2の光の強度とを独立に制御することができるため、蛍光体層上での第1の光の強度を蛍光体層上での第2の光の強度よりも大きくすることが容易となる。
本発明においては、前記第1の光の波長は前記第2の光の波長と異なることが望ましい。
この構成によれば、第1の光と第2の光とを合わせて、広い波長帯域の励起光を射出することが可能となるため、蛍光体層の吸収波長帯と励起光の波長帯域とが広い範囲で重なり、蛍光体層にて有効に蛍光に変換される励起光の割合を増加させることができる。そのため、効率的に蛍光体層で蛍光を生じさせることができる。
本発明においては、前記基板と前記蛍光体層との間に、少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過させ、前記蛍光のピーク波長の光および前記第2の光のピーク波長の光を反射する第1波長選択膜が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第2の光のうち蛍光体層で吸収されなかった残部が、第1波長選択膜で反射して再度蛍光体層内を透過する。その際、残部が蛍光体層にて蛍光に変換されるため、効率的に励起光を蛍光に変換することが可能となる。
本発明においては、前記蛍光体層の前記基板とは反対側の面に、前記第1の光のピーク波長の光を反射し、前記第2の光のピーク波長の光、および前記蛍光のピーク波長の光を透過させる第2波長選択膜が設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第1の光のうち蛍光体層で吸収されなかった残部が、第2波長選択膜で反射して再度蛍光体層内を透過する。その際、残部が蛍光体層にて蛍光に変換されるため、効率的に励起光を蛍光に変換することが可能となる。
本発明においては、前記蛍光体層に対向して、前記第1の光のピーク波長の光、および前記蛍光のピーク波長の光を透過し、前記第2の光のピーク波長の光を反射させる波長選択ミラーが設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第1の光も外部に取り出し、照明光として利用することが可能となる。
本発明においては、前記第1の光が可視光であり、前記蛍光が、前記第1の光の補色の色光であることが望ましい。
この構成によれば、第1の光と蛍光とを混色させて、白色光を射出可能な光源装置とすることができる。
本発明においては、前記励起光を前記蛍光体層に集光する集光手段を有することが望ましい。
この構成によれば、二次光源としての蛍光体層上の発光領域を小さくして、点光源に近づけることができるため、エテンデューが小さい光源装置とすることが可能となる。
本発明においては、前記光源は、複数のレーザー光源が配列したレーザー光源アレイであることが望ましい。
この構成によれば、励起光の強度を大きくすることで、大きな光量の蛍光を取り出すことが可能となる。
また、本発明のプロジェクターは、上述の光源装置と、前記光源装置から射出される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、上述の光源装置を有するため、光飽和現象の発生が抑制されることにより光量が安定し、明るさムラが抑制されて高品質な画像表示が可能なプロジェクターを提供することができる。
第1実施形態の光源装置およびプロジェクターを示す模式図である。 光源装置に含まれる光源の正面図である。 光源装置に含まれる光源の側面図である。 光源装置および蛍光体層の発光特性を示すグラフである。 偏光変換素子の説明図である。 第1実施形態の光源装置に用いられる発光素子を示す説明図である。 励起光の光エネルギー密度に対する蛍光体の発光効率を示したグラフである。 比較例の構造を示す模式図である。 第1実施形態の光源装置に用いられる発光素子の構成を示す模式図である。 第1実施形態の光源装置に用いられる発光素子の構成を示す模式図である。 第2実施形態の光源装置に用いられる発光素子を示す説明図である。 第3実施形態の光源装置に用いられる発光素子を示す説明図である。 第4実施形態の光源装置に用いられる発光素子を示す説明図である。
[第1実施形態]
以下、図1〜図9を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る光源装置およびプロジェクターについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本実施形態の光源装置100AおよびプロジェクターPJを示す模式図である。図に示すようにプロジェクターPJは、光源装置100、ダイクロイックミラー200、液晶ライトバルブ(光変調素子)300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300B、色合成素子400、投写光学系500を含んでいる。
プロジェクターPJは、概略すると以下のように動作する。光源装置100からは、赤色光Rおよび緑色光Gを含む光L1と、青色の光L2とが射出される。光源装置100から射出された光L1は、ダイクロイックミラー200により赤色光Rおよび緑色光Gに分離される。また、光L2は、光源装置100から青色光Bとして射出される。これら赤色光R、緑色光G、青色光Bは、それぞれ対応する液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bに入射して変調される。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bにより変調された各色光は、色合成素子400に入射して合成される。色合成素子400により合成された光は、投写光学系500により壁やスクリーン等の被投射面600に拡大投写され、フルカラーの投写画像が表示される。以下、プロジェクターPJの各構成要素について説明する。
光源装置100は、励起光発光手段として、第1光源10と第2光源11とを有している。また、第1光源10の構成は第2光源11の構成と同じである。第1光源10からは、第1の光として励起光LB1が射出され、第2光源11からは、第2の光として励起光LB2が射出される。
励起光LB1の光路上には、コリメーターレンズアレイ21、集光レンズ22、発光素子50A、がこの順に配置されている。また、励起光LB2の光路上には、コリメート光学系20A、ダイクロイックミラー30、ピックアップ光学系(集光手段)40、発光素子50A、がこの順に配置されている。
発光素子50Aには蛍光体層52が設けられている。蛍光体層52には、第1光源10から射出される励起光LB1、および第2光源11から射出される励起光LB2が照射されて蛍光を生じ、当該蛍光を液晶ライトバルブの照明光として射出させる構成となっている。
ここで、第1光源10および第2光源11は、蛍光体層52上での励起光LB1の強度が蛍光体層52上での励起光LB2の強度よりも大きくなるように制御されている。また、蛍光体層52の励起光LB1が照射される領域(照射領域)は、蛍光体層52上の励起光LB2が照射される領域(照射領域)と、平面視で少なくとも一部が重なるように設けられている。もちろん、励起光LB1の照射領域と励起光LB2の照射領域とが、ちょうど重なるように設けられていてもよい。
発光素子50Aから射出される蛍光は、光路上に配置されたピックアップ光学系(集光手段)40、ダイクロイックミラー30、集光光学系60、偏光変換素子70、ロッドインテグレーター80、平行化レンズ90、をこの順に透過し、光源装置100Aの外部に射出される。
図2は、第1光源10および第2光源11の正面図である。図に示すように、第1光源10および第2光源11は、基台15上にレーザー光源16が5個×5個の正方形状に2次元配列(合計25個)で並べられているレーザー光源アレイである。
第1光源10は、後述する発光素子50Aが備える蛍光物質を励起させる励起光として、波長450nm付近の青色(発光強度のピーク:約445nm、図4(a)参照)の励起光LB1(レーザー光)を射出する。また、第2光源11も、蛍光物質を励起させる励起光として、波長450nm付近の青色の励起光LB2(レーザー光)を射出する。図4(a)において、符号LB1,LB2で示すのは、第1光源10および第2光源11が射出する色光(青色光)成分である。
なお、第1光源10,第2光源11は、図2に示すようなレーザー光源アレイではなく、1つだけレーザー光源を用いることとしても良い。また、後述する蛍光物質を励起させることができる波長の光であれば、445nm以外のピーク波長を有する色光を射出する光源であっても構わない。
このような第1光源10から射出された励起光LB1は、コリメーターレンズアレイ21で平行化された後、集光レンズ22を介することにより、発光素子50Aの蛍光体層52に集光する。
一方、第2光源11から射出された励起光LB2は、図3に示すように、コリメート光学系20Aに含まれるコリメーターレンズアレイ23で平行化され、集光レンズ24で集光された後に平行化レンズ25を透過することにより、励起光LB2全体として光線束が細められる。
コリメート光学系20Aを透過した励起光LB2は、ダイクロイックミラー30で反射される。ダイクロイックミラー30は、ガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー30は、励起光LB2(および励起光LB1)の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる波長選択性を有している。具体的には、ダイクロイックミラー30は青色光を反射させ、青色光よりも長波長の光(例えば、480nmよりも長波長の光)を透過させる。そして、励起光LB2はピックアップ光学系40に入射する。
ピックアップ光学系40は、凸レンズである第1レンズ41と、第1レンズ41を介した励起光が入射する片凸レンズである第2レンズ42と、を備えている。ピックアップ光学系40は、ダイクロイックミラー30で反射される励起光LB2の光線軸上に配置され、励起光LB2を発光素子50Aに集光する。
ピックアップ光学系40の集光角度は、例えば最大25度である。また、発光素子50A上において、第2光源11に含まれるレーザー光源16の個々のスポットは、集光位置が完全には重畳しないように設定されており、例えば、各レーザー光源16のスポットが全体で1mm角の略正方形状を描くように構成されている。これにより、二次光源としての蛍光体層上の発光部分を縮め、点光源に近づけることができるため、エテンデューが小さい光源装置とすることが可能となる。
発光素子50Aは、板状の基板51と、ピックアップ光学系40に面して基板51上に形成された蛍光体層52と、基板51と蛍光体層52との間に設けられた波長選択膜(第1波長選択膜)56と、を有している。第1波長選択膜56は、励起光LB1および励起光LB2を透過し、蛍光体層52で発せられる蛍光を反射する性質を有している。
蛍光体層52は、蛍光を発する蛍光体粒子を有しており、励起光LB1および励起光LB2(青色光)を吸収し黄色(発光強度のピーク:約550nm、図4(b)参照)の蛍光に変換する機能を有する。図4(b)において符号Rで示した成分は、蛍光体層52が射出する黄色光のうち赤色光として利用可能な色光成分であり、符号Gで示した成分は、同様に緑色光として利用可能な色光成分である。図1では、赤色光を符号R、緑色光を符号Gで示し、赤色光Rと緑色光Gとを含む蛍光を符号RGで示している。発光素子50の構成については、後に詳述する。
発光素子50Aにて発せられる蛍光RGは、ピックアップ光学系40に入射する。ピックアップ光学系40は、発光素子50Aにて等方的に発せられる蛍光RGを集光し(ピックアップ)、平行化する機能も有している。
発光素子50Aから射出される蛍光RGは、ピックアップ光学系40で平行化された後、ダイクロイックミラー30を透過して、集光光学系60に入射する。集光光学系60は、蛍光を集光し偏光変換素子70に入射させる。
偏光変換素子70は、入射する蛍光をp偏光とs偏光とに分離し、p偏光およびs偏光のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光の偏光方向に変換して出射する機能を有している。
図5は、偏光変換素子70の説明図である。図に示す様に、偏光変換素子70は、蛍光RGのうち例えばp偏光成分を透過させ、s偏光成分を反射させる偏光ビームスプリッター膜(以下、PBS膜)71と、反射膜72と、s偏光をp偏光に変換するλ/2位相差膜73と、を有している。
偏光変換素子70に入射した蛍光RGは、まず、蛍光RGの光軸に対して約45度の傾きをなして設けられたPBS膜71によってs偏光とp偏光とに分離される。PBS膜71は、p偏光(図5中、符号P2で示す)を透過させると共に、s偏光をPBS膜71の表面に対して約45度の方向に反射させる。
反射されたs偏光の向かう先には、当該s偏光の光軸に対して約45度の傾きをなして設けられた反射膜72が設けられており、s偏光は、PBS膜71で分離されたp偏光の進行方向と同方向に向きを変え、λ/2位相差膜73を透過することにより、p偏光(図5中、符号P1で示す)に揃えた略平行光として射出される。もちろん、PBS膜71の構成により、上述したs偏光とp偏光との関係がすべて入れ替わり、蛍光RGをs偏光に揃えて射出する構成も可能である。
偏光変換素子70で偏光方向が揃えられた蛍光RGは、ロッドインテグレーター80の一端側に入射する。ロッドインテグレーター80は、光路方向に延在する角柱状の光学部材であり、内部を透過する光に多重反射を生じさせることにより、偏光変換素子70から射出された光を混合し、輝度分布を均一化するものである。ロッドインテグレーター80の光路方向に直交する断面形状は、液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bの画像形成領域の外形形状と略相似形となっている。
ロッドインテグレーター80の他端側から射出された蛍光RGは、平行化レンズ90により平行化され、光源装置100Aから射出される。
一方、光源装置100は、青色光Bを射出するLED(Light Emitting Diode)光源である第3光源12、青色光Bが入射する第1レンズ27と第1レンズ27を透過したレーザー光を平行化する第2レンズ29とを有し第3光源12から射出された青色光Bを平行化するコリメート光学系20B、および光源装置100Aと同様の集光光学系60、偏光変換素子70、ロッドインテグレーター80、平行化レンズ90が、光路上にこの順に配置された構成になっている。すなわち、光源装置100は、液晶ライトバルブの照明光として用いる青色光を射出する構成となっている。ただし、光源装置100が青色光Bを射出する構成を備えていることは必須ではない。青色光Bを得るために、光源装置100とは別の光源装置を備えてもよい。
光源装置100Aから射出された蛍光RGは、ダイクロイックミラー200に入射する。ダイクロイックミラー200は、上述のダイクロイックミラー30と同様に、ガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー200は、緑色光Gを反射させ、赤色光Rを透過させる波長選択性を有している。
蛍光RGに含まれる赤色光Rは、ダイクロイックミラー200を透過し、ミラー210にて反射して、液晶ライトバルブ300Rに入射する。また、蛍光RGに含まれる緑色光Gは、ダイクロイックミラー200で反射し、ミラー220にて反射して、液晶ライトバルブ300Gに入射する。
さらに光源装置100から射出された光L2(青色光B)は、ミラー230にて反射し、液晶ライトバルブ300Bに入射する。
液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、通常知られたものを用いることができ、例えば、液晶素子310と液晶素子310を挟持する偏光素子320、330とを有した、透過型の液晶ライトバルブ等の光変調装置により構成される。偏光素子320,330は、例えば透過軸が互いに直交する構成(クロスニコル配置)となっている。
液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、画像情報を含んだ画像信号を供給するPC等の信号源(図示略)と電気的に接続されている。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、供給された画像信号に基づいて、入射光を画素ごとに空間変調して画像を形成する。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、それぞれ赤色画像、緑色画像、青色画像を形成する。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bにより変調された光(形成された画像)は、色合成素子400に入射する。
色合成素子400は、ダイクロイックプリズム等により構成される。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光Rが反射し緑色光Gが透過するミラー面と、青色光Bが反射し緑色光Gが透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光Gは、ミラー面を通ってそのまま射出される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光R、青色光Bは、ミラー面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光Gの射出方向と同じ方向に射出される。このようにして3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投写光学系500によって被投射面600に拡大投写される。
本実施形態のプロジェクターPJでは、以上のようにして画像表示を行う。
次に、図6〜図10を参照しながら、本実施形態の光源装置100Aが有する発光素子50Aについて、詳細に説明する。
図6は、発光素子50Aを示す説明図であり、図6(a)は概略断面図、図6(b)は発光の様子を示す説明図である。
図6(a)に示す基板51は、青色光である励起光LB1および青色光である励起光LB2を透過する性質を有している。形成材料としては、例えば、石英ガラス、水晶、サファイア(単結晶コランダム)などの無機材料や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明樹脂、と言った光透過性を有する形成材料を用いることができる。中でも、後述する放熱性を考慮して、樹脂材料よりも相対的に伝熱性が高い無機材料を用いる方が好ましい。本実施形態の基板51は、石英ガラスを用いて形成されているものとする。
蛍光体層52は、複数の蛍光体粒子53と、蛍光体粒子53を包埋する基材54とを有している。
蛍光体粒子53は、図1に示す第1光源10から射出される励起光LB1および第2光源11から射出される励起光LB2を吸収し、蛍光RGを発する粒子状の蛍光物質である。例えば、蛍光体粒子53には、波長が約445nmの青色光によって励起されて蛍光を発する物質が含まれており、励起光LB1および励起光LB2の一部を、赤色の波長帯域から緑色の波長帯域までを含む光に変換して射出する。このような蛍光体粒子53として、平均粒径が1μmから数十μm程度のものが高い発光効率を示すことが知られている。
蛍光体粒子53としては、通常知られたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体(屈折率:約1.8)を用いることができる。
なお、蛍光体粒子53の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子53として用いることとしても良い。
ここで、蛍光体粒子53の平均粒径は、レーザー回折散乱方式を測定原理とした粒度分布測定装置(例えば、SALD2200(島津製作所社製))を用いて測定することができる。本実施形態では、平均粒径としてメジアン粒径(Median Size:粒径分布の中央値)を採用した。
基材54の形成材料としては、光透過性を有する樹脂材料を用いることができる。成型のし易さから硬化性樹脂を好適に用いることができ、中でも高い耐熱性を有するシリコーン樹脂(屈折率:1.42)を好適に用いることができる。
波長選択膜56は、基材51の表面に、例えば2種の誘電体層を交互に複数層積層して形成した誘電体多層膜で構成される。このような波長選択膜56は、励起光LB1および励起光LB2の波長帯域の色光を選択的に透過させ、それ以外の波長帯域の色光を反射させる波長選択性を有している。具体的には、波長選択膜56は青色光を透過させ、青色光よりも長波長の光(例えば、480nmよりも長波長の光)を反射させる。
図6(b)に示すように、上述のような構成の発光素子50Aに励起光LB1,励起光LB2が入射すると、蛍光体層52内に含まれる蛍光体粒子が蛍光RGを発する。すなわち、発光素子50Aの第1面S1から波長選択膜56を介して蛍光体層52に入射する励起光LB1は、一部が蛍光体層52に吸収されて蛍光RGに変換され、残部LB1xが透過して外部に射出される。
また、発光素子50Aの第2面S2から蛍光体層52に入射する励起光LB2は、一部が蛍光体層52に吸収されて蛍光RGに変換され、残部LB2xが波長選択膜56および基板51を介して外部に射出される。もちろん、残部LB1x、残部LB2xが生じないように、蛍光体層52上での励起光LB1の強度と蛍光体層52上での励起光LB2の強度とを制御することは可能である。
蛍光体層52に含まれる蛍光体粒子から等方的に射出される蛍光RGのうち、第2面S2方向に射出される成分は、そのまま外部に射出され、波長選択膜56方向に射出される成分は、波長選択膜56で第2面S2方向に反射され、外部に射出される。このようにして、発光素子50Aでは蛍光RGを射出する。
ここで、蛍光体層52上での励起光の強度(励起光の光エネルギー密度)は、高いほど良いというものではない。図7は、励起光の光エネルギー密度に対する、蛍光体層52の蛍光体(蛍光体粒子)の発光効率を示したグラフである。図では、横軸に励起光の光エネルギー密度を示し、縦軸に蛍光体の発光効率(蛍光体に照射する励起光の光量に対する、蛍光体が発する蛍光の光量の比)を示している。また、縦軸および横軸の値は、いずれも相対値となっている。
図7において、横軸である光エネルギー密度が「0」とは、励起光を照射していない状態である。すなわち、図7では、蛍光体は、励起光の光エネルギー密度が0に近づくにつれて、発光効率が限りなく100%に近づくという関係にあることを示している。換言すれば、蛍光体層52に用いられる蛍光体は、励起光の光エネルギー密度が増加すると発光効率が低下するという特性を持っている。これは、励起光が集中することにより、蛍光体の温度が上昇すること、および蛍光体に照射される励起光の光エネルギー密度が大きすぎるため光飽和現象を生じること、による。
本実施形態の光源装置100Aでは、第1光源10から必要量の励起光LB1を照射し、第2光源11から必要量の励起光LB2を照射することにより、蛍光体の温度上昇や光飽和現象による発光効率の低下を抑制している。
図8〜10は、本実施形態の光源装置100Aの効果を説明する図である。図8〜10において、励起光LBx,LB1,LB2を示す矢印の数は、蛍光体層52上における励起光の強度と対応させて図示しており、矢印の数が多いほど励起光の強度が大きいことを示している。また、図8〜10では、簡略化のため、蛍光体層52のうち基板51に近い領域を第1の領域AR1と呼び、蛍光体層52のうち基板51から遠い領域を第2の領域AR2と呼ぶ。
(両面から照射することによる効果)
まず、図8,9を用いて、発光素子50Aの両側から励起光LB1,励起光LB2を照射することによる効果を説明する。
比較例として、図8に示すように、発光素子50Aに形成された蛍光体層52に対し、一方の面(例えば、基板51において蛍光体層52が形成されていない側の面である第1面S1)から励起光LBxを照射することとした場合を考える。この場合、照射される励起光LBxは、基板51および波長選択膜56を透過して蛍光体層52に照射される。
このとき蛍光体層52では、波長選択膜56に近い側(第1の領域AR1)に分散する蛍光体粒子53が、第2の領域AR2に分散する蛍光体粒子53よりも多くの励起光LBxを吸収し、多くの蛍光を発することとなる。これに伴い、第1の領域AR1に分散する蛍光体粒子53は、第2の領域AR2に分散する蛍光体粒子53よりも多く発熱する。すると、第1の領域AR1に分散する蛍光体粒子53では、第2の領域AR2に分散する蛍光体粒子53よりも発光効率が低下してしまう。
また、強い発光を得るために励起光LBxの強度を強くすると、第1の領域AR1における励起光LBxの光エネルギー密度が上昇するため、第1の領域AR1の蛍光体粒子53では光飽和現象を生じやすい。
したがって、図8に示した比較例では、多くの励起光LBxを受光可能な第1の領域AR1に分散する蛍光体粒子53ほど発光効率が低下していることとなり、発光素子50A全体として効率的に蛍光を発することができない。
対して、図9に示すように、本実施形態の光源装置100Aでは、蛍光体層52の基板51側から、すなわち発光素子50Aの第1面S1から励起光LB1を蛍光体層52に照射するとともに、蛍光体層52の基板51とは反対側から、すなわち発光素子50Aの第2面S2から励起光LB2を蛍光体層52に照射する。ここで、図8との関係において、蛍光体層52上における励起光LB1の強度と蛍光体層52上における励起光LB2の強度との合計が、図8に示す励起光LBxの蛍光体層52上における強度と等しいこととする。また、図9では、蛍光体層52上における励起光LB1の強度と蛍光体層52上における励起光LB2の強度とは互いに同じであることとして図示している。
本実施形態の光源装置100では、第1の領域AR1に照射される励起光LB1の強度と第2の領域AR2に照射される励起光LB2の強度の双方を、比較例における第1の領域AR1に照射される励起光LBxよりも小さくしても、図8に示した比較例で得られる蛍光の強度と同程度の強度の蛍光が得られる。
そのため、第1の領域AR1に供給される励起光の光エネルギー密度および第2の領域AR2に供給される励起光の光エネルギー密度の双方を、比較例において第1の領域AR1に供給される励起光の光エネルギー密度よりも低くすることができる。したがって、本実施形態にかかる発光素子50Aでは、比較例よりも光飽和現象を生じにくくなる。
また、第1の領域AR1に照射される励起光LB1の強度が弱くなると、第1の領域AR1で生じる蛍光の光量が低減するため、同時に発生する発熱量も低減する。そのため、第1の領域AR1に分散する蛍光体粒子53では、図8に示した比較例よりも発熱量が少なくなり、熱による発光効率の低下が生じにくくなる。
加えて、本実施形態においては、図8に示した比較例では、有効に励起光が照射されていなかった第2の領域AR2の蛍光体粒子53にも励起光LB2を照射し、蛍光を生じさせることができる。
したがって、図8に示す比較例のように、発光素子の一面側からのみ励起光を照射するよりも、本実施形態のように、発光素子50Aの両側から励起光を照射する方が、発熱や光飽和現象による発光効率の低下を生じにくくなる。
次に、図10を用いて、蛍光体層52における励起光LB1の強度が蛍光体層52における励起光LB2の強度よりも大きくなるように制御されていることによる効果を説明する。
図10に示すように、第1の領域AR1は、波長選択膜56に接して設けられている一方、第2の領域AR2は、第2面S2において構造物には接しておらず、空気と接している。このような構成の場合、第1の領域AR1で発生した熱H1は、波長選択膜56を介して基板51に伝えられる。対して、第2の領域AR2で発生した熱H2は、空気中に放熱されるか、または第1の領域AR1を介して基板51に伝えられる。構造物である波長選択膜56や基板51の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも大きいため、第1の領域AR1と第2の領域AR2とを比べると、第1の領域AR1で発生する熱の方が放熱しやすいことが分かる。
ここで、本実施形態の光源装置100Aでは、第1面S1から蛍光体層52に入射する励起光LB1の強度の方が、第2面S2から蛍光体層52に入射する励起光LB2の強度よりも大きいこととしている。そのため、蛍光体層52では、照射される励起光の強度に応じて、第1の領域AR1の方が第2の領域AR2よりも発熱量が大きくなる。しかし、上述のように第1の領域AR1の方が第2の領域AR2よりも放熱しやすい構造であるため、例えば、励起光LB2の方が励起光LB1よりも光量が大きい場合と比べると、蛍光体層52に熱が籠もりにくく、発熱による発光効率の低下を生じにくくなる。
以上のような本実施形態のプロジェクターPJが有する光源装置100Aについて性能を概算すると、次のようになる。
液晶ライトバルブ300Rが、対角0.6インチ(12.2×9.1mm)の大きさで開口率60%であることとし、投写光学系500のFナンバーがF2.0であることとすると、液晶ライトバルブ300Rと投写光学系500から計算されるエテンデューは12.5(mmsrad)となる。対して光源側は、光源面積(ピックアップ光学系40で集光された励起光LBの面積)が1mm、ピックアップ光学系40の取り込み角が片側80度とした場合、偏光変換素子70で2倍になることを考慮するとエテンデューは10.4(mmsrad)となり、液晶ライトバルブと投写光学系500とから計算されるエテンデューより小さく設定することができる。そのため、光源装置100Aから下流での光利用効率を損なうことがない。
以上のような構成の光源装置100Aによれば、発光効率の低下の原因となる蛍光体の温度上昇や、蛍光体の光飽和現象の発生を抑制することにより、光量が安定し、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
また、以上のような構成のプロジェクターPJによれば、光飽和現象の発生が抑制されることにより光量が安定し、明るさムラが抑制されて高品質な画像表示が可能となる。
なお、本実施形態においては、発光素子50Aが波長選択膜56を有することとしたが、波長選択膜56を設けないこととしても、発光効率の低下の原因となる蛍光体の温度上昇や、蛍光体の光飽和現象の発生を抑制することは可能であり、発光効率の高い光源とすることができる。
また、本実施形態においては、第1光源10,第2光源11を用いることとしたが、例えば、第1光源10のみ用い、第1光源10から射出される励起光の光路上で、励起光を2つに分割して、発光素子50Aの第1面S1,第2面S2から入射させる構成とすることとしても構わない。
[第2実施形態]
図11は、本発明の第2実施形態に係る光源装置に用いられる発光素子50Bの概略断面図である。本実施形態の発光素子50Bは、第1実施形態の光源装置が備える発光素子50Aと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図に示すように、発光素子50Bは、基板51と蛍光体層52との間に、励起光LB1の波長帯域の色光を選択的に透過させ、それ以外の波長帯域の色光を反射させる波長選択性を有する波長選択膜57を有している。具体的には、波長選択膜57は、紫外光(例えば、405nmの波長の光)を透過させ、紫外光よりも長波長の光(例えば、425nmよりも長波長の光)を反射させる。このような構成の波長選択膜57は、誘電体多層膜の形成時において、形成する各誘電体層の層厚や、誘電体層の形成材料の屈折率を適宜選択することにより形成することができる。
また、発光素子50Bの蛍光体層52は、紫外光領域に吸収帯域を有する蛍光体粒子を分散させて形成する。例えば、第1実施形態で示したYAG系蛍光体は、紫外光領域にも吸収帯域を有するため、好適に用いることができる。
このような発光素子50Bを有する光源装置では、第1実施形態の光源装置100Aが有する第1光源10の変わりに、励起光LB1を射出する光源として、紫外光(例えば、405nmの波長の光)を射出するレーザー光源アレイを用いる。このような光源から、蛍光体層52における励起光LB1の強度が蛍光体層52における励起光LB2の強度よりも大きくなるように制御して励起光LB1を射出する。
このような構成の発光素子50Bを有する光源装置では、第1実施形態の発光素子50Aと同様に、発光効率の低下の原因となる蛍光体の温度上昇や、蛍光体の光飽和現象の発生を抑制することができ、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
加えて、紫外光である励起光LB1は、蛍光体層52で吸収されない残部LB1xが生じたとしても、紫外線は人間の目では感知しないため、蛍光RGと混色することがなく、蛍光RGの色をより忠実に再現することができる光源装置となる。
また、青色光である励起光LB2は、波長選択膜57で反射される。そのため、蛍光体層52で吸収されない残部LB2xは、反射して再度蛍光体層52内を透過し、蛍光体層52内の蛍光体粒子に照射され、効率的に蛍光RGに変換される。
これらの効果が合わさることにより、上述の発光素子50Bを有する光源装置では、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
[第3実施形態]
図12は、本発明の第3実施形態に係る光源装置に用いられる発光素子50Cの概略断面図である。本実施形態の発光素子50Cは、第2実施形態の光源装置が備える発光素子50Bと一部共通している。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図に示すように、発光素子50Cは、蛍光体層52の表面に、励起光LB1の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる波長選択性を有する第2波長選択膜58を有している。具体的には、波長選択膜58は、紫外光(例えば、405nmの波長の光)を反射させ、紫外光よりも長波長の光(例えば、425nmよりも長波長の光)を透過させる。
このような構成の発光素子50Cを有する光源装置では、第1実施形態の発光素子50Aと同様に、発光効率の低下の原因となる蛍光体の温度上昇や、蛍光体の光飽和現象の発生を抑制することができ、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
加えて、紫外光である励起光LB1は、蛍光体層52で吸収されない残部LB1xが生じたとしても、波長選択膜58で反射される。そのため、蛍光体層52で吸収されない残部LB1xは、反射して再度蛍光体層52内を透過し、蛍光体層52内の蛍光体粒子に照射され、効率的に蛍光RGに変換される。
また、青色光である励起光LB2は、波長選択膜57で反射される。そのため、蛍光体層52で吸収されない残部LB2xは、反射して再度蛍光体層52内を透過し、蛍光体層52内の蛍光体粒子に照射され、効率的に蛍光RGに変換される。
これらの効果が合わさることにより、上述の発光素子50Bを有する光源装置では、照射される励起光LB1,LB2を効率的に蛍光RGに変換することができ、従来に比べてより発光効率の高い光源とすることができる。
[第4実施形態]
図13は、本発明の第4実施形態に係る光源装置に用いられる発光素子50D近傍の構成を示す概略断面図である。本実施形態の発光素子50Dは、第1実施形態の光源装置が備える発光素子50Aと一部共通している。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図に示すように、発光素子50Dは、基板51と蛍光体層52との間に、励起光LB1の波長帯域の色光を選択的に透過させ、それ以外の波長帯域の色光を反射させる波長選択性を有する波長選択膜59を有している。具体的には、波長選択膜59は、青色光(例えば、450nmの波長の光)を透過させ、紫外光(例えば、405nmの波長の光)および青色光よりも長波長の光(例えば、480nmよりも長波長の光)を反射させる。このような構成の波長選択膜59は、誘電体多層膜の形成時において、形成する各誘電体層の層厚や、誘電体層の形成材料の屈折率を適宜選択することにより形成することができる。
このような発光素子50Dを有する光源装置では、第1実施形態の光源装置100Aが有する第2光源11の変わりに、励起光LB2を射出する光源として、紫外光(例えば、405nmの波長の光)を射出するレーザー光源アレイを用いる。このような光源から、蛍光体層52における励起光LB1の強度が蛍光体層52における励起光LB2の強度よりも大きくなるように制御して励起光LB2を射出する。
さらに、第1実施形態のダイクロイックミラー30に代えて、ダイクロイックミラー(波長選択ミラー)31が設けられている。ダイクロイックミラー31は、ガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー31は、励起光LB2の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる波長選択性を有している。具体的には、ダイクロイックミラー31は紫外光を反射させ、紫外光よりも長波長の光(例えば、425nmよりも長波長の光)を透過させる紫外光反射ミラーを用いる。
このような構成の発光素子50Dを有する光源装置では、第1実施形態の発光素子50Aと同様に、発光効率の低下の原因となる蛍光体の温度上昇や、蛍光体の光飽和現象の発生を抑制することができ、従来に比べて発光効率の高い光源とすることができる。
また、紫外光である励起光LB2は、波長選択膜59で反射される。そのため、蛍光体層52で吸収されない残部LB2xは、反射して再度蛍光体層52内を透過し、蛍光体層52内の蛍光体粒子に照射され、効率的に蛍光RGに変換される。
これらの効果が合わさることにより、上述の発光素子50Dを有する光源装置では、従来に比べてより発光効率の高い光源とすることができる。
加えて、青色光である励起光LB1は、蛍光体層52で吸収されない残部LB1xが蛍光体層52を透過して漏れ出るため、残部LB1xを照明光として利用することが可能となる。このとき、励起光LB1の光量を制御することにより、青色光である励起光LB1と、励起光LB1の補色の黄色光である蛍光RGとを混色させ、白色光WLとして射出させることができる。したがって、別途青色光源を準備することなく、フルカラー表示を行わせることが可能な光源装置とすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
10…第1光源(励起光発光手段)、11…第2光源(励起光発光手段)、31…波長選択ミラー、40…ピックアップ光学系(集光手段)、51…基板、52…蛍光体層、53…蛍光体粒子、54…基材、56,57,59…第1波長選択膜、58…第2波長選択膜、100A…光源装置、300B…液晶ライトバルブ(光変調素子)、300G…液晶ライトバルブ(光変調素子)、300R…液晶ライトバルブ(光変調素子)、500…投写光学系、501…円板(回転基板)、513…凹部、514…傾斜面、LB1,LB2…励起光、PJ…プロジェクター、RG…蛍光、

Claims (14)

  1. 第1の光と第2の光とを含む励起光を発光する励起光発光手段と、
    少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過する基板と、
    前記基板上に設けられ、前記励起光によって励起されて前記励起光とは異なる波長の蛍光を発する蛍光体層と、を有し、
    前記励起光発光手段は、前記蛍光体層の前記基板側から前記第1の光を前記蛍光体層に照射するとともに、前記蛍光体層の前記基板とは反対側から前記第2の光を前記蛍光体層に照射し、
    前記蛍光体層の前記第1の光が照射される領域は、前記蛍光体層の前記第2の光が照射される領域の少なくとも一部と平面視で重なり、
    前記蛍光体層上での前記第1の光の強度は前記蛍光体層上での前記第2の光の強度よりも大きいことを特徴とする光源装置。
  2. 前記基板と前記蛍光体層との間に、少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過させ、前記蛍光のピーク波長の光を反射する第1波長選択膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記励起光発光手段は、前記第1の光を射出する第1光源と、前記第2の光を射出する第2光源と、を有することを特徴とする請求項に記載の光源装置。
  4. 前記励起光発光手段は、前記第1の光を射出する第1光源と、前記第2の光を射出する第2光源と、を有することを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
  5. 前記第1の光の波長は前記第2の光の波長と異なることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
  6. 前記第1の光の波長は前記第2の光の波長と異なることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
  7. 前記基板と前記蛍光体層との間に、少なくとも前記第1の光のピーク波長の光を透過させ、前記蛍光のピーク波長の光および前記第2の光のピーク波長の光を反射する第1波長選択膜が設けられていることを特徴とする請求項に記載の光源装置。
  8. 前記第1波長選択膜は前記第2の光のピーク波長の光を反射することを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
  9. 前記蛍光体層の前記基板とは反対側の面に、前記第1の光のピーク波長の光を反射し、前記第2の光のピーク波長の光、および前記蛍光のピーク波長の光を透過させる第2波長選択膜が設けられていることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の光源装置。
  10. 前記蛍光体層に対向して、前記第1の光のピーク波長の光、および前記蛍光のピーク波長の光を透過し、前記第2の光のピーク波長の光を反射させる波長選択ミラーが設けられていることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の光源装置。
  11. 前記第1の光が可視光であり、
    前記蛍光が、前記第1の光の補色の色光であることを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
  12. 前記励起光を前記蛍光体層に集光する集光手段を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光源装置。
  13. 前記励起光発光手段は、複数のレーザー光源が配列したレーザー光源アレイであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光源装置。
  14. 請求項1から13のいずれか1項の光源装置と、前記光源装置から射出される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子によって変調された光を投写する投写光学系と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
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