以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の光源装置100A及びプロジェクターPJを示す模式図である。
図1に示すようにプロジェクターPJは、第1の光源装置100A、第2の光源装置100B、ダイクロイックミラー200、液晶ライトバルブ(光変調素子)300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300B、色合成素子400、投写光学系500を含んでいる。なお、第1の光源装置100Aに含まれる構成が、本発明の光源装置に該当する。
プロジェクターPJは、概略すると以下のように動作する。第1の光源装置100Aから射出された光は、ダイクロイックミラー200により赤色光Rおよび緑色光Gに分離される。また、第2の光源装置100Bからは、青色光Bが射出される。これら赤色光R、緑色光G、青色光Bは、それぞれ対応する液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bに入射して変調される。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bにより変調された各色光は、色合成素子400に入射して合成される。色合成素子400により合成された光は、投写光学系500により壁やスクリーン等の被投射面600に拡大投写され、フルカラーの投写画像が表示される。以下、プロジェクターPJの各構成要素について説明する。
光源装置100Aは、光源部(励起光源)10A、コリメート光学系20、ダイクロイックミラー30、ピックアップ光学系40、発光素子50、集光光学系60、偏光変換素子70、ロッドインテグレーター80、平行化レンズ90が、光路上にこの順に配置された構成になっている。光源装置100Aでは、光源部10Aから射出される励起光を発光素子50に照射することにより、発光素子50が備える蛍光体層52から、液晶ライトバルブの照明光として用いる蛍光を射出させる構成となっている。なお、蛍光体層52の表面(入射面)には波長選択反射層53が形成されている。
図2に示すように、光源部10Aは、基台11上に複数(合計24個)のレーザー光源12が配置されたレーザー光源アレイである。光源部10Aは、複数のレーザー光を集光レンズ23の外周部に入射させる。光源部10Aには、複数のレーザー光源12がリング状に(基台11の中央部を除いた外周部に)配置されている。
図3は、光源装置100Aの側面図である。なお、図3においては、便宜上、集光光学系60、偏光変換素子70、ロッドインテグレーター80、及び平行化レンズ90の図示を省略している。
図3に示すように、光源部10Aから射出された励起光は、光源部10Aに含まれるコリメーターレンズアレイ21で平行化され、集光レンズ23で集光された後に平行化レンズ25を透過することにより、励起光全体として光線束が細められる。集光レンズ23は、当該集光レンズ23の外周部に入射した複数のレーザー光の光路を曲げて波長選択反射層53へ励起光を入射させる。励起光は、波長選択反射層53に相対的に大きい入射角で集光される。
光源部10Aは、発光素子50が備える蛍光物質を励起させる励起光として、青色(発光強度のピーク:約450nm、図4(a)参照)のレーザー光を射出する。図4(a)において、符号LBで示すのは、光源部10Aが励起光として射出する色光成分である。
なお、光源部10Aは、図2,3に示すようなレーザー光源アレイではなく、1つだけレーザー光源を用いることとしても良い。また、後述する蛍光物質を励起させることができる波長の光であれば、450nm以外のピーク波長を有する色光を射出する光源であっても構わない。図1では、光源部10Aから射出される励起光を、符号LBで示している。
コリメート光学系20を透過した励起光は、ダイクロイックミラー30で反射される。ダイクロイックミラー30は、ガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー30は、励起光の波長帯域の色光を選択的に反射させ、それ以外の波長帯域の色光を透過させる波長選択性を有している。具体的には、ダイクロイックミラー30は青色光を反射させ、青色光よりも長波長の光(例えば、490nmよりも長波長の光)を透過させる。そして、励起光はピックアップ光学系40に入射する
ピックアップ光学系40は、凸レンズである第1レンズ41と、第1レンズ41を介した励起光が入射する片凸レンズである第2レンズ42と、を備えている。ピックアップ光学系40は、ダイクロイックミラー30で反射される励起光LBの光線軸上に配置され、励起光LBを発光素子50に集光する。
ピックアップ光学系40の集光角度は、例えば最小45度である。また、発光素子50上において、光源部10Aに含まれるレーザー光源12の個々のスポットは、集光位置が完全には重畳しないように設定されており、例えば、各レーザー光源12のスポットが全体で1mm角の略正方形状を描くように構成されている。以下の説明において、励起光の「スポット」または「ビームスポット」とは、光源部10Aに含まれるレーザー光源12のスポット全体(上述の例では、略正方形状のスポット全体)を示す。
また、ピックアップ光学系40は、発光素子50にて等方的に発せられる蛍光を集光し、平行化する機能をも有している。
発光素子50は、板状の反射体51と、反射体51の励起光入射側の面に形成された蛍光体層52と、蛍光体層52の反射体51とは反対側の面に配置された波長選択反射層53と、を有している。蛍光体層52は、蛍光を発する蛍光体粒子を有しており、励起光(青色光)を吸収し黄色(発光強度のピーク:約550nm、図4(b)参照)の蛍光に変換する機能を有する。図4(b)において符号Rで示した成分は、蛍光体層52が射出する黄色光のうち赤色光として利用可能な色光成分であり、符号Gで示した成分は、同様に緑色光として利用可能な色光成分である。図1では、赤色光を符号R、緑色光を符号Gで示し、赤色光Rと緑色光Gとを含む蛍光を符号RGで示している。
発光素子50から射出される蛍光RGは、ピックアップ光学系40で平行化された後、ダイクロイックミラー30を透過して、集光光学系60に入射する。集光光学系60は、蛍光を集光し偏光変換素子70に入射させる。
偏光変換素子70は、入射する蛍光をP偏光とS偏光とに分離し、P偏光およびS偏光のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光の偏光方向と揃えて出射する機能を有している。
偏光変換素子70で偏光方向が揃えられた蛍光RGは、ロッドインテグレーター80の一端側に入射する。ロッドインテグレーター80は、光路方向に延在する角柱状の光学部材であり、内部を透過する光に多重反射を生じさせることにより、偏光変換素子70から射出された光を混合し、輝度分布を均一化するものである。ロッドインテグレーター80の光路方向に直交する断面形状は、液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bの画像形成領域の外形形状と略相似形となっている。
ロッドインテグレーター80の他端側から射出された蛍光RGは、平行化レンズ90により平行化され、光源装置100Aから射出される。
一方、第2の光源装置100Bは、青色光Bを射出するLED(Light Emitting Diode)光源である光源部10B、青色光Bが入射する第1レンズ27と当該第1レンズ27を透過したレーザー光を平行化する第2レンズ29とを有し光源部10Bから射出された青色光Bを平行化するコリメート光学系20B、光源装置100Aと同様の集光光学系60、ロッドインテグレーター80、平行化レンズ90が、光路上にこの順に配置された構成になっている。すなわち、光源装置100Bは、液晶ライトバルブ300Bの照明光として用いる青色光を射出する構成となっている。
光源装置100Aから射出された蛍光RGは、ダイクロイックミラー200に入射する。ダイクロイックミラー200は、上述のダイクロイックミラー30と同様に、ガラス表面に誘電体多層膜を積層したものである。ダイクロイックミラー200は、緑色光Gを反射させ、赤色光Rを透過させる波長選択性を有している。
蛍光RGに含まれる赤色光Rは、ダイクロイックミラー200を透過し、ミラー210にて反射して、液晶ライトバルブ300Rに入射する。また、蛍光RGに含まれる緑色光Gは、ダイクロイックミラー200で反射し、ミラー220にて反射して、液晶ライトバルブ300Gに入射する。
光源装置100Bから射出された青色光Bは、ミラー230にて反射し、液晶ライトバルブ300Bに入射する。
液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、通常知られたものを用いることができ、例えば、液晶素子310と液晶素子310を挟持する偏光素子320、330とを有した、透過型の液晶ライトバルブ等の光変調装置により構成される。偏光素子320,330は、例えば透過軸が互いに直交する構成(クロスニコル配置)となっている。
液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、画像情報を含んだ画像信号を供給するPC等の信号源(図示略)と電気的に接続されている。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、供給された画像信号に基づいて、入射光を画素ごとに空間変調して画像を形成する。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bは、それぞれ赤色画像、緑色画像、青色画像を形成する。液晶ライトバルブ300R、液晶ライトバルブ300G、液晶ライトバルブ300Bにより変調された光(形成された画像)は、色合成素子400に入射する。
色合成素子400は、ダイクロイックプリズム等により構成される。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光Rが反射し緑色光Gが透過するミラー面と、青色光Bが反射し緑色光Gが透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光Gは、ミラー面を通ってそのまま射出される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光R、青色光Bは、ミラー面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光Gの射出方向と同じ方向に射出される。このようにして3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投写光学系500によって被投射面600に拡大投写される。
本実施形態のプロジェクターPJでは、以上のようにして画像表示を行う。
図5は、蛍光体層52へ入射する励起光と蛍光体層52で散乱する蛍光及び励起光を示す模式図である。なお、図5において、符号L1は励起光であり、符号L2は蛍光である。
図5に示すように、発光素子50は、板状の反射体51と、反射体51の励起光入射側の面に形成された蛍光体層52と、蛍光体層52の反射体51とは反対側の面に配置された波長選択反射層53と、を有している。
反射体51は、光(励起光である青色光及び蛍光である黄色光)を反射する表面を有しており、形成材料としては例えば、アルミニウム基板などの光反射性を有する金属材料の板材や、石英ガラス、水晶、サファイア(単結晶コランダム)、透明樹脂などの光透過性を有する形成材料の板材の表面に反射膜を形成したものを用いることができる。本実施形態の反射体51は、アルミニウム基板を用いて形成されているものとする。
蛍光体層52は、ガラス粉末と蛍光体粉末との焼結体である。蛍光体層52は、反射体51の上面に貼り付けられている。蛍光体層52を構成する蛍光体としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。
蛍光体は、570nm付近を中心として、概ね490nm〜750nmの波長領域の蛍光を放射する(図4(b)中実線参照)。この蛍光には、530nm付近を中心とする波長領域のG光(図4(b)中一点鎖線参照)、630nm付近を中心とする波長領域のR光(図4(b)中波線参照)が含まれている。光源装置100Aは、G光及びR光を含む蛍光L2を射出する。
波長選択反射層53は、例えば、誘電体多層膜である。波長選択反射層53は、例えば、TiO2を高屈折率材、SiO2を低屈折率材、BK7などの光学ガラスを基板とする、40層から50層の層構造をなしている。
波長選択反射層53は、蛍光体層52から放射された蛍光L2を透過させる。また、波長選択反射層53は、光源部10Aから射出された励起光L1のうち所定の入射角で波長選択反射層53に入射した光を透過させる。
波長選択反射層53の蛍光体層52とは反対側の光入射面53aの法線と、光入射面53aに入射する励起光の光束の主光線とがなす角度を入射角θ1、入射角θ1のうち最小の入射角をθminとする。ここで、「励起光の光束の主光線」とは、所定の励起光の光束の中心を通る光線である。「最小の入射角」とは、光入射面53aに入射する複数の励起光のうち最も光入射面53aの法線寄りに入射する励起光の入射角(光入射面53aに入射する励起光の光束を構成する複数の光線のうち最も光入射面53aの法線寄りに入射する光線の入射角)である。
波長選択反射層53は、入射角θ1がθmin≦θ1となる入射角で波長選択反射層53に入射した励起光を透過させる。また、波長選択反射層53は、蛍光体層52の内部に入射し蛍光体層52で散乱され光入射面53aとは反対側の面に入射した励起光のうち入射角θ2がθ2<θminとなる入射角で蛍光体層52から波長選択反射層53に入射した励起光を反射させる。
なお、波長選択反射層53は、入射角θ1がθ1<θminとなる入射角で波長選択反射層53に入射した励起光を反射させる機能を有する。本実施形態では、波長選択反射層53へ入射角θ1がθmin≦θ1となる入射角で励起光を入射させる構成を採用している。このため、波長選択反射層53の光入射面53aに入射する励起光は、光入射面53aで反射されることはほとんどなく、波長選択反射層53を透過して蛍光体層52の内部に入射する。
ピックアップ光学系40を経て波長選択反射層53に入射する励起光の最小の入射角θminは、例えば45度である。波長選択反射層53は、例えば、450nm付近の波長の光について、最小の入射角θminよりも大きい入射角で進行する成分を透過させ、最小の入射角θminよりも小さい入射角で進行する成分を反射させるように設計されている。
図6は、入射角を異ならせた場合の入射光の波長と透過率との関係の例を示した図である。図7は、カットオフ波長について説明する図である。
カットオフ波長は、波長選択反射層53の波長特性及び入射角が決められている場合において、波長選択反射層53に入射する光の透過率が当該光の波長の変化に対して減少しはじめる波長である。本実施形態では、450nm付近の、波長選択反射層53に入射する光の透過率が当該光の波長の減少に対して減少しはじめる波長である。図7に示すように、カットオフ波長λcは、ある入射角で波長選択反射層53に入射する光についての波長と透過率との関係を表した場合に、波長の減少に対して透過率が所定の傾きで減少する部分S1を当該傾きに沿って延伸させて、透過率が仮想的に100%となるときの波長である。このような入射角で入射する光については、カットオフ波長λcよりも長い波長である場合に100%近く、例えば95%程度の透過率を確保する。一方、波長がカットオフ波長λcよりも短くなるに従い、透過率が低下するとともに反射率が増大することとなる。
波長選択反射層53は、入射角が大きくなるに従い、カットオフ波長λcが短波長となる波長特性を備える。波長選択反射層53は、最小の入射角θminで入射する光についてのカットオフ波長λcが、励起光が持つ波長である450nm付近に設定されている。この条件の場合、最小の入射角θminよりも大きい入射角で波長選択反射層53に入射する光についてのカットオフ波長λcは、励起光の波長よりも短波長となる。波長選択反射層53のカットオフ波長λcは、例えば、入射角が0度(垂直入射)のとき490nm、入射角が30度のとき460nm、入射角が45度のとき450nm、と設定されている。
波長選択反射層53は、450nmの励起光については、カットオフ角度θcが、最小の入射角θminよりも若干小さくなるように設定されている。ここで、「カットオフ角度θc」とは、波長選択反射層53の波長特性及び入射光の波長が決められている場合において、入射角の減少に対して透過率が減少し始める入射角である。つまり、カットオフ角度θcは、波長選択反射層53に入射する励起光の透過及び反射の境界となる入射角である。例えば、最小の入射角θminが45度である場合、カットオフ角度は40度付近に設定される。波長選択反射層53は、カットオフ角度θcよりも大きい入射角で入射する励起光のうち、最小の入射角θminよりも大きい入射角θ1で入射する成分を透過する。なお、波長選択反射層53は、蛍光が持つ490nm以上の波長に対しては、広い入射角で透過するよう設計されている。
ピックアップ光学系40を経て波長選択反射層53に入射する波長450nm付近の励起光L1は、最小の入射角θminである45度よりも大きい入射角で波長選択反射層53に入射することにより、ほぼ全てが波長選択反射層53を透過する。波長選択反射層53を透過し、蛍光体層52に入射した励起光L1の一部は蛍光L2に変換される。蛍光体層52で発生した蛍光L2は、発光位置を中心として散乱する。
蛍光L2のうち、蛍光体層52で散乱し、波長選択反射層53に向かって進行した成分は、波長選択反射層53を透過し、外部へ射出される。また、反射体51に向かって進行した成分は、反射体51の表面で反射する。反射体51の表面で反射した蛍光L2は、波長選択反射層53に向かって進行し、外部へ射出される。
蛍光体層52に入射した励起光L1のうち蛍光L2に変換されなかった成分は、蛍光体層52で散乱する。励起光L1のうち、蛍光体層52で散乱し、波長選択反射層53に向かって進行し、入射角θ2がθ2<θminとなる入射角で波長選択反射層53に入射した成分は、波長選択反射層53で反射する。波長選択反射層53で反射した励起光L1は、蛍光体層52の内部を反射体51に向かって進行する。蛍光体層52の内部を進行する励起光L1の一部は、蛍光L2に変換される。蛍光L2に変換された成分及び励起光L1として残存した成分は、それぞれ蛍光体層52で散乱する。
散乱した蛍光L2のうち、波長選択反射層53に向かって進行した成分は、外部へ射出される。また、反射体51に向かって進行した成分は、反射体51の表面で反射されて波長選択反射層53に向かって進行し、外部へ射出される。一方、散乱された励起光L1のうち、波長選択反射層53に向かって進行し、入射角θ2がθ2<θminとなる入射角で波長選択反射層53に入射した成分は、波長選択反射層53で反射し、蛍光体層52の内部を反射体51に向かって進行する。
なお、励起光L1のうち、蛍光体層52で散乱し、波長選択反射層53に向かって進行し、入射角θ2がθmin≦θ2となる入射角で波長選択反射層53に入射した成分は、波長選択反射層53を透過する。波長選択反射層53を透過した励起光L1のほぼ全ては、ピックアップ光学系40に取り込まれることなく外部に射出される。
本実施形態の光源装置100Aによれば、蛍光体層52で蛍光に変換されずに散乱した励起光L1(反射体51で反射した励起光L1)が波長選択反射層53に入射する。蛍光体層52から波長選択反射層53へ所定の入射角の範囲外の入射角(θ2<θminとなる入射角)で入射した励起光L1は、波長選択反射層53で反射し、蛍光体層52の内部で蛍光L2の励起に利用される。すなわち、蛍光体層52から波長選択反射層53へ戻る方向へ進行した励起光L1の少なくとも一部を、蛍光L2の励起に有効利用することができる。よって、蛍光体の発光効率の向上を図ることが可能となる。
また、この構成によれば、蛍光体層52に対して複数のレーザー光が集光して照射されるため、高効率な光源を実現することができる。また、集光レンズ23の外周部に入射した複数のレーザー光の光路が曲げられるので、広角で入射した励起光を透過する波長選択反射層53を用いる場合に好適である
また、この構成によれば、レーザー光源アレイに複数のレーザー光源12がリング状に配置されているので、複数のレーザー光が集光レンズ23の外周部のみに入射する。このため、励起光L1が波長選択反射層53を透過する入射角の条件をより満足させることができる。
また、この構成によれば、波長選択反射層53が蛍光体層52と離間して配置された構成に比べて、波長選択反射層53で反射して蛍光体層52へ戻る励起光L1の拡がりを抑えることができる。よって、蛍光体層52へ戻る方向に進行する励起光L1を蛍光体層52に入射させ、蛍光体の発光効率を向上させることができる。
本実施形態のプロジェクターPJによれば、上述した光源装置100Aを備えているので、効率よく明るい画像を得ることが可能な高品質のプロジェクターPJを提供することができる。
なお、本実施形態では、波長選択反射層53が蛍光体層52の表面(蛍光体層52の反射体51とは反対側の面)に形成されているが、これに限らない。例えば、波長選択反射層53は、光源部10Aと蛍光体層52との間の光路上(具体的には、ピックアップ光学系40と蛍光体層52との間の光路上)に配置されていてもよい。
(第1実施形態の第1変形例)
図8は、第1実施形態に係る光源装置が備える励起光源の第1変形例を示す正面図である。
図9は、第1実施形態に係る光源装置の第1変形例を示す側面図である。
本変形例に係る光源装置100A1は、上述の光源部10Aに替えて光源部10A1を備えている点で上述の第1実施形態に係る光源装置100Aと異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1〜図3と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、光源部10A1は、基台11上にレーザー光源12が6個×6個の正方形状に2次元配列(合計36個)で並べられているレーザー光源アレイである。
図9に示すように、光源部10A1の複数のレーザー光源12のうち、基台11の中央部に配置されたレーザー光源12は、複数のレーザー光源12が配置された平面の法線に対して斜め方向に励起光を射出する。例えば、基台11上に配置された36個のレーザー光源12のうち、基台11の中央部に配置された12個のレーザー光源12は、当該レーザー光源12から射出されるレーザー光の光束の主光線が集光レンズ23の外周部を通るよう基台11の上面に対して傾斜している。一方、基台11の外周部に配置された24個のレーザー光源12は、上述した第1実施形態の配置状態と同様である。光源部10A1から出射された励起光は、光源部10A1に含まれるコリメーターレンズアレイ21で平行化され、集光レンズ23で集光された後に平行化レンズ25を透過することにより、励起光全体として光線束が細められる。
本変形例の光源装置100A1によれば、レーザー光源アレイに配置された複数のレーザー光源12から射出されるレーザー光のほぼ全てを集光レンズ23の外周部のみに入射させることができる。よって、複数のレーザー光を蛍光の励起に有効利用しつつ高効率な光源を実現することが可能となる。
(第1実施形態の第2変形例)
本変形例に係る光源装置は、上述の光源部10Aにおいて、相対的に短波長のレーザー光を励起光として射出するレーザー光源12と、相対的に長波長のレーザー光を励起光として射出するレーザー光源12とを備える。本変形例の光源部は、短波長のレーザー光を波長選択反射層53に対して長波長の光よりも大きい入射角で入射させる。例えば、相対的に基台11の外側に配置されたレーザー光源12(例えば4隅に配置されたレーザー光源12)は、基準波長の光(例えば450nmの光)よりも短波長のレーザー光(例えば445nmの光)を励起光として射出する。一方、相対的に基台11の内側に配置されたレーザー光源12は、基準波長の光よりも長波長の光(例えば455nmの光)を励起光として射出する。
波長選択反射層53は、透過と反射の特性が切り換わる周辺では、同じ入射角で入射する光に対して、短波長の光よりも長波長の光を透過しやすい波長特性を有する。また、同じ波長の光に対して、入射角が小さい光よりも入射角が大きい光を透過しやすい特性を有する。すなわち、ある入射角では透過しない波長の光であっても、入射角を大きくすれば透過する場合がある。よって、短波長の光を射出するレーザー光源12を基台11の外側に配置し、長波長の光を射出するレーザー光源12を基台11の内側に配置すれば、両方のレーザー光を共に波長選択反射層53を透過させることができ、蛍光体層52に入射させることができる。よって、複数のレーザー光を蛍光の励起に有効利用することができる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る光源装置100A2が備える励起光源10A2を示す正面図である。
図11は、第2実施形態に係る光源装置100A2を示す側面図である。
本実施形態に係る光源装置100A2は、上述の光源部10Aに替えて光源部10A2を備えている点、上述の発光素子50に替えて赤色光を発する発光素子50Aを備えている点で上述の第1実施形態に係る光源装置100Aと異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1〜図7と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図示はしないが、緑色光の蛍光を放射する蛍光体層を有する発光素子は、赤色光の蛍光を放射する発光素子50Aとは別に配置されている。緑色光の蛍光を放射する発光素子は、液晶ライトバルブ300Gを照射している。
図10に示すように、光源部10A2は、基台11上に複数(合計12個)のレーザー光源12が配置されたレーザー光源アレイである。光源部10A2には、複数のレーザー光源12が基台11の4隅を除いた中央部に配置されている。
図11は、光源装置100A2の側面図である。なお、図11においては、便宜上、集光光学系60、偏光変換素子70、ロッドインテグレーター80、及び平行化レンズ90の図示を省略している。
図11に示すように、光源部10A2から射出された励起光は、光源部10A2に含まれるコリメーターレンズアレイ21で平行化され、集光レンズ23で集光された後に平行化レンズ25を透過することにより、励起光全体として光線束が細められる。集光レンズ23は、当該集光レンズ23の中央部に入射した複数のレーザー光を波長選択反射層53へ入射させる。励起光は、波長選択反射層53に相対的に小さい入射角で集光される。
図13は、蛍光体層52Aへ入射する励起光と蛍光体層52Aで散乱する蛍光及び励起光を示す模式図である。
図13に示すように、発光素子50Aは、板状の反射体51と、反射体51の励起光入射側の面に形成された蛍光体層52Aと、蛍光体層52Aの反射体51とは反対側の面に配置された波長選択反射層53Aと、を有している。
蛍光体層52Aは、ガラス粉末と蛍光体粉末との焼結体である。蛍光体層52Aは、反射体51の上面に貼り付けられている。蛍光体層52Aを構成する蛍光体としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。
蛍光体は、620nm付近を中心として、概ね550nm〜750nmの波長領域の蛍光を放射する(図12参照)。この蛍光には、630nm付近を中心とする波長領域のR光が含まれている。光源装置100A2は、R光を含む蛍光L2を射出する。
波長選択反射層53Aは、例えば、誘電体多層膜である。波長選択反射層53Aは、例えば、TiO2を高屈折率材、SiO2を低屈折率材、BK7などの光学ガラスを基板とする、40層から50層の層構造をなしている。
波長選択反射層53Aは、蛍光体層52から放射された蛍光L2を透過させる。また、波長選択反射層53Aは、光源部10Aから射出された励起光L1のうち所定の入射角で波長選択反射層53Aに入射した光を透過させる。
波長選択反射層53Aの蛍光体層52とは反対側の光入射面53Aaの法線と、光入射面53Aaに入射する励起光の光束の主光線とがなす角度を入射角θ1、入射角θ1のうち最大の入射角をθmaxとする。ここで、「最大の入射角」とは、光入射面53Aaに入射する複数の励起光のうち最も光入射面53Aaの法線と離間して入射する励起光の入射角(光入射面53aに入射する励起光の光束を構成する複数の光線のうち最も光入射面53aの法線と離間して入射する光線の入射角)である。
波長選択反射層53Aは、入射角θ1がθ1≦θmaxとなる入射角で波長選択反射層53Aに入射した励起光を透過させる。また、波長選択反射層53Aは、蛍光体層52Aの内部に入射し蛍光体層52Aで散乱され光入射面53Aaとは反対側の面に入射した励起光のうち入射角θ2がθ2>θmaxとなる入射角で蛍光体層52Aから波長選択反射層53Aに入射した励起光を反射させる。
なお、波長選択反射層53Aは、入射角θ1がθ1>θmaxとなる入射角で波長選択反射層53Aに入射した励起光を反射させる機能を有する。本実施形態では、波長選択反射層53Aへ入射角θ1がθ1≦θmaxとなる入射角で励起光を入射させる構成を採用している。このため、波長選択反射層53Aの光入射面53Aaに入射する励起光は、光入射面53Aaで反射されることはほとんどなく、波長選択反射層53Aを透過して蛍光体層52Aの内部に入射する。
ピックアップ光学系40を経て波長選択反射層53Aに入射する励起光の最大の入射角θmaxは、例えば10度である。波長選択反射層53Aは、例えば、450nm付近の波長の光について、最大の入射角θmaxよりも小さい入射角で進行する成分を透過させ、最大の入射角θmaxよりも大きい入射角で進行する成分を反射させるように設計されている。
図14は、入射角を異ならせた場合の入射光の波長と透過率との関係の例を示した図である。
波長選択反射層53Aは、入射角が小さくなるに従い、カットオフ波長λcが長波長となる波長特性を備える。本実施形態でのカットオフ波長は、450nm付近の、波長選択反射層53Aに入射する光の透過率が当該光の波長の増加に対して減少しはじめる波長である。波長選択反射層53Aは、最大の入射角θmaxで入射する光についてのカットオフ波長λcが、励起光が持つ波長である450nm付近に設定されている。この条件の場合、最大の入射角θmaxよりも小さい入射角で波長選択反射層53Aに入射する光についてのカットオフ波長λcは、励起光の波長よりも長波長となる。波長選択反射層53Aのカットオフ波長λcは、例えば、入射角が0度(垂直入射)のとき470nm、入射角が13度のとき450nm、入射角が45度のとき425nm、と設定されている。
波長選択反射層53Aは、450nmの励起光については、カットオフ角度θcが、最大の入射角θmaxよりも若干大きくなるように設定されている。ここで、「カットオフ角度θc」とは、波長選択反射層53Aの波長特性及び入射光の波長が決められている場合において、入射角の増大に対して透過率が減少し始める入射角である。つまり、カットオフ角度θcは、波長選択反射層53Aに入射する励起光の透過及び反射の境界となる入射角である。例えば、最大の入射角θmaxが10度である場合、カットオフ角度θcは13度付近に設定される。波長選択反射層53Aは、カットオフ角度θcよりも小さい入射角で入射する励起光のうち、最大の入射角θmaxよりも小さい入射角θ1で入射する成分を透過する。なお、波長選択反射層53Aは、蛍光が持つ550nm以上の波長に対しては、広い入射角で反射するよう設計されている。
ピックアップ光学系40を経て波長選択反射層53Aに入射する波長450nm付近の励起光L1は、最大の入射角θmaxである10度よりも小さい入射角で波長選択反射層53Aに入射することにより、ほぼ全てが波長選択反射層53Aを透過する。波長選択反射層53Aを透過し、蛍光体層52Aに入射した励起光L1の一部は蛍光L2に変換される。蛍光体層52Aで発生した蛍光L2は、発光位置を中心として散乱する。
蛍光L2のうち、蛍光体層52Aで散乱し、波長選択反射層53Aに向かって進行した成分は、波長選択反射層53Aを透過し、外部へ射出される。また、反射体51に向かって進行した成分は、反射体51の表面で反射する。反射体51の表面で反射した蛍光L2は、波長選択反射層53Aに向かって進行し、外部へ射出される。
蛍光体層52Aに入射した励起光L1のうち蛍光L2に変換されなかった成分は、蛍光体層52Aで散乱する。励起光L1のうち、蛍光体層52Aで散乱し、波長選択反射層53Aに向かって進行し、入射角θ2がθ2>θmaxとなる入射角で波長選択反射層53Aに入射した成分は、波長選択反射層53Aで反射する。波長選択反射層53Aで反射した励起光L1は、蛍光体層52Aの内部を反射体51に向かって進行する。蛍光体層52Aの内部を進行する励起光L1の一部は、蛍光L2に変換される。蛍光L2に変換された成分及び励起光L1として残存した成分は、それぞれ蛍光体層52Aで散乱する。
散乱した蛍光L2のうち、波長選択反射層53Aに向かって進行した成分は、外部へ射出される。また、反射体51に向かって進行した成分は、反射体51の表面で反射されて波長選択反射層53Aに向かって進行し、外部へ射出される。一方、散乱された励起光L1のうち、波長選択反射層53Aに向かって進行し、入射角θ2がθ2>θmaxとなる入射角で波長選択反射層53Aに入射した成分は、波長選択反射層53Aで反射し、蛍光体層52Aの内部を反射体51に向かって進行する。
本実施形態の光源装置100A2によれば、蛍光体層52Aで蛍光に変換されずに散乱した励起光L1(反射体51で反射した励起光L1)が波長選択反射層53Aに入射する。蛍光体層52Aから波長選択反射層53Aへ所定の入射角の範囲外の入射角(θ2>θmaxとなる入射角)で入射した励起光L1は、波長選択反射層53Aで反射し、蛍光体層52Aの内部で蛍光L2の励起に利用される。すなわち、蛍光体層52Aから波長選択反射層53Aへ戻る方向へ進行した励起光L1の少なくとも一部を、蛍光L2の励起に有効利用することができる。よって、蛍光体の発光効率の向上を図ることが可能となる。
また、この構成によれば、蛍光体層52Aに対して複数のレーザー光が集光して照射されるため、高効率な光源を実現することができる。また、集光レンズ23の中央部に入射した複数のレーザー光を波長選択反射層53Aに入射させるので、垂直に近い角度で入射した励起光を透過する波長選択反射層53Aを用いる場合に好適である。
また、この構成によれば、励起光が青色光であり蛍光が赤色光であるので、蛍光が緑色光である場合に比べて、励起光のピーク波長と蛍光のピーク波長との差が大きくなる。このため、励起光とは異なる波長の蛍光を透過するとともに所定の入射角の範囲外の入射角(θ2>θmaxとなる入射角)で入射した励起光を反射する波長選択反射層53Aの構成を実現することができる。
また、この構成によれば、レーザー光源12をレーザー光源アレイの中央部に集めることができるので、光源部10A2の小型化を図ることができる。
(第2実施形態の第1変形例)
図15は、第2実施形態に係る光源装置が備える励起光源の第1変形例を示す正面図である。
図16は、第2実施形態に係る光源装置の第1変形例を示す側面図である。
本変形例に係る光源装置100A3は、上述の光源部10A2に替えて光源部10A3を備えている点で上述の第2実施形態に係る光源装置100A2と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図10、図11と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図15に示すように、光源部10A3は、基台11上にレーザー光源12が6個×6個の正方形状に2次元配列(合計36個)で並べられているレーザー光源アレイである。
図16に示すように、光源部10A3の複数のレーザー光源12のうち、基台11の外周部に配置されたレーザー光源12は、複数のレーザー光源12が配置された平面の法線に対して斜め方向に励起光を射出する。例えば、基台11上に配置された36個のレーザー光源12のうち、基台11の外周部に配置された24個のレーザー光源12は、当該レーザー光源12から射出されるレーザー光の光束の主光線が集光レンズ23の中央部を通るよう基台11の上面に対して傾斜している。一方、基台11の中央部に配置された12個のレーザー光源12は、上述した第2実施形態の配置状態と同様である。光源部10A3から出射された励起光は、光源部10A3に含まれるコリメーターレンズアレイ21で平行化され、集光レンズ23で集光された後に平行化レンズ25を透過することにより、励起光全体として光線束が細められる。
本変形例の光源装置100A3によれば、レーザー光源アレイに配置された複数のレーザー光源12から射出されるレーザー光のほぼ全てを集光レンズ23の中央部に入射させることができる。よって、複数のレーザー光を蛍光の励起に有効利用しつつ高効率な光源を実現することが可能となる。
(第2実施形態の第2変形例)
本変形例に係る光源装置は、上述の光源部10A2において、相対的に短波長のレーザー光を励起光として射出するレーザー光源12と、相対的に長波長のレーザー光を励起光として射出するレーザー光源12とを備える。本変形例の光源部は、相対的に基台11の外側に配置されたレーザー光源12は、基準波長の光(例えば450nmの光)よりも短波長の光(例えば445nmの光)を励起光として射出する。一方、相対的に基台11の内側に配置されたレーザー光源12(例えば中央部に4つ配置されたレーザー光源12)は、基準波長の光よりも長波長のレーザー光(例えば455nmの光)を励起光として射出する。
波長選択反射層53Aは、透過と反射の特性が切り換わる周辺では、同じ入射角で入射する光に対して、長波長の光よりも短波長の光を透過しやすい波長特性を有する。また、同じ波長の光に対して、入射角が大きい光よりも入射角が小さい光を透過しやすい波長特性を有する。すなわち、ある入射角では透過しない波長の光であっても、入射角を小さくすれば透過する場合がある。よって、短波長の光を射出するレーザー光源12を基台11の外側に配置し、長波長の光を射出するレーザー光源12を基台11の内側に配置すれば、両方のレーザー光を共に波長選択反射層53Aを透過させることができ、蛍光体層52Aに入射させることができる。よって、複数のレーザー光を蛍光の励起に有効利用することができる。
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る光源装置が備える励起光源を示す正面図である。
本実施形態に係る光源装置は、上述の光源部10Aに替えて光源部10A4を備えている点で上述の第1実施形態に係る光源装置100Aと異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図17に示すように、光源部10A4は、基台11上に複数(合計24個)のレーザー光源12A4が配置されたレーザー光源アレイである。各レーザー光源12A4は、基台11の上面に対して偏光面が放射状に揃えられている。各レーザー光源12A4は、波長選択反射層の入射面へP偏光で入射する光を射出する。なお、図17中の両矢印は、光源部10A4から射出される光の偏光方向を表すものとする。
図18は、P偏光及びS偏光について透過率と入射光の波長との関係の例を表した図である。ここでは、波長選択反射層の入射面へ所定の入射角(例えば45度)で入射するP偏光Lp及びS偏光Lsを示している。
波長選択反射層は、P偏光に比べてS偏光のほうが反射しやすい特性を有する。波長選択反射層のカットオフ波長θcは、S偏光に比べてP偏光のほうが長波長となる。本変形例の波長選択反射層は、P偏光に特化する波長特性で設計されている。
本実施形態の光源装置によれば、励起光としてP編光を波長選択反射層に入射させることで、励起光が波長選択反射層において広い入射角で透過されやすくなる。一方、蛍光体層の内部の散乱により生じたS偏光は、P偏光よりもカットオフ波長が短波長となるため、P偏光に比べて波長選択反射層で反射されやすくなる。このため、蛍光体層の内部で散乱し、波長選択反射層を透過する励起光を少なくすることができる。よって、蛍光体の発光効率を向上させることができる。
なお、光源部10A4は、複数のレーザー光源の全てがP偏光を射出するものである場合に限られない。複数のレーザー光源の一部には、P偏光以外の光を射出するものが混在していてもよい。
また、光源部10A4は、第1実施形態と同様の構成(複数のレーザー光源が基台の外周部に配置される構成)に限らず、第2実施形態と同様の構成(複数のレーザー光源が基台の中央部に配置される構成)においても適用可能である。
プロジェクターは、光変調装置に透過型の液晶ライトバルブを用いるものに限られない。また、プロジェクターは、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)やDMD(Digital Micromirror Device)を低起用してもよい。また、プロジェクターは、画像信号に応じて変調された光を被照射面上にて走査させる走査光学系、例えばMEMSミラー等を適用してもよい。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
上記各実施形態においては、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の光源装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。