JP2016018010A - 波長変換装置、照明装置およびプロジェクター - Google Patents
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Abstract
【課題】光利用効率に優れた波長変換装置を提供する。
【解決手段】本発明の波長変換装置27は、第1の面34aと、第1の面34aに対向する第2の面34bと、を備える蛍光体層34と、誘電体多層膜で構成され、蛍光体層34の第1の面34a側に設けられた偏光分離膜39と、蛍光体層34の第2の面34b側に設けられ、蛍光体層34で生成された光を反射する反射部材37と、蛍光体層34で生成され、偏光分離膜39で反射した光を散乱させる光散乱部(凹凸構造43)と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】本発明の波長変換装置27は、第1の面34aと、第1の面34aに対向する第2の面34bと、を備える蛍光体層34と、誘電体多層膜で構成され、蛍光体層34の第1の面34a側に設けられた偏光分離膜39と、蛍光体層34の第2の面34b側に設けられ、蛍光体層34で生成された光を反射する反射部材37と、蛍光体層34で生成され、偏光分離膜39で反射した光を散乱させる光散乱部(凹凸構造43)と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、波長変換装置、照明装置およびプロジェクターに関する。
半導体レーザー、発光ダイオード等の固体光源と、固体光源から射出される光を励起光として蛍光発光を生じる蛍光体層と、を備えた照明装置が知られている。発光ダイオード(Light Emitting Diode)を以下、LEDと略記する。例えば下記の非特許文献1には、青色LEDチップと、黄色YAG蛍光体と、ワイヤーグリッド偏光子と、を備えた白色LEDが開示されている。この白色LEDでは、青色LEDチップから射出された青色光の一部と、青色光で励起された黄色YAG蛍光体が発する黄色光と、が合成され、白色光が得られる。さらに、蛍光体から射出された光は、ワイヤーグリッド偏光子を透過することにより、偏光方向が制御された光となる。
Jung-Chieh Su and Tong-Mao Lin, "Polarized white lightemitting diodes with a nano-wire grid Polarizer", OPTICS EXPRESS, Vol.21, No.1, 2013, p.840-845
ところが、ワイヤーグリッド偏光子は、本来透過すべき偏光成分の一部、例えば透過すべき偏光成分の10%程度を吸収するため、発熱が大きくなるという問題を有している。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、発熱が少ない波長変換装置を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の波長変換装置を備えたことで、発熱の少ない照明装置を提供することを目的とする。また、本発明は、上記の照明装置を備えたことで、表示品位に優れたプロジェクターを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の波長変換装置は、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を備える蛍光体層と、誘電体多層膜で構成され、前記蛍光体層の前記第1の面側に設けられた偏光分離膜と、前記蛍光体層の前記第2の面側に設けられ、前記蛍光体層で生成された光を反射する反射部材と、前記蛍光体層で生成され、前記偏光分離膜で反射した光を散乱させる光散乱部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、蛍光体層で生成された光は、非偏光である。蛍光体層の内部を進む光のうち、偏光分離膜に対してP偏光として入射した偏光成分は偏光分離膜を透過し、偏光分離膜に対してS偏光として入射した偏光成分は偏光分離膜で反射する。偏光分離膜で反射したS偏光成分は、光散乱部によって散乱する。蛍光体層の第1の面の法線方向から見たとき、光の進行方向は、光の散乱によって変化する。このように、光の進行方向の変化に伴って偏光状態を定義する入射面が変わるため、光の振動方向(偏光方向)が変わらなかったとしても、光を構成するP偏光成分とS偏光成分との比は変化する。これにより、偏光分離膜で反射したS偏光成分のうち一部の成分は、反射部材等で反射した後、偏光分離膜に対してP偏光として入射するため、偏光分離膜を透過できる。この過程を繰り返すことにより、偏光分離膜にP偏光成分として到達した光が順次射出される。また、偏光分離膜は誘電体多層膜で構成されているため、ワイヤーグリッド偏光子に比べて光の吸収が少ない。そのため、発熱が少ない波長変換装置が得られる。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、前記蛍光体層は、前記光散乱部としての複数の蛍光体粒子と、バインダーと、を含んでいてもよい。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光が蛍光体粒子によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、光散乱部としての凹凸構造などを別途設けなくてもよい。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光が蛍光体粒子によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、光散乱部としての凹凸構造などを別途設けなくてもよい。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、前記蛍光体層は、前記光散乱部としての複数のフィラーを含んでいてもよい。本発明の一つの態様におけるフィラーは、蛍光体層内に混入され、周囲の物質の屈折率と異なる屈折率を有する任意の粒状体を意味する。フィラーの構成材料、形状、寸法等は特に限定されず、フィラーには、例えば無機材料、有機材料等からなる微粒子の他、気泡も含まれる。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光がフィラーによって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、光散乱部としての凹凸構造などを別途設けなくてもよい。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光がフィラーによって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、光散乱部としての凹凸構造などを別途設けなくてもよい。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、前記反射部材は、前記光散乱部としての凹凸構造を有していてもよい。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光が反射部材の凹凸構造によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、凹凸構造の形状、寸法、密度等を調整することにより光の散乱の度合いを適宜調整することができる。
この構成によれば、蛍光体層の内部を進む光が反射部材の凹凸構造によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、凹凸構造の形状、寸法、密度等を調整することにより光の散乱の度合いを適宜調整することができる。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、前記第1の面は、前記光散乱部としての凹凸構造を有していてもよい。
この構成によれば、第1の面に入射した光が第1の面によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、凹凸構造の形状、寸法、密度等を調整することにより光の散乱の度合いを適宜調整することができる。
この構成によれば、第1の面に入射した光が第1の面によって散乱され、光の進行方向が変わる。この場合、凹凸構造の形状、寸法、密度等を調整することにより光の散乱の度合いを適宜調整することができる。
本発明の一つの態様の波長変換装置において、前記第1の面と前記偏光分離膜との間に、前記蛍光体層で生成された光を透過させる層が設けられていてもよい。
前記第1の面が凹凸構造を有する場合、上記構成によれば、凹凸構造に沿って偏光分離膜を設ける必要がない。そのため、偏光分離膜の形成が容易になるとともに、偏光分離膜の性能低下が生じることがない。
前記第1の面が凹凸構造を有する場合、上記構成によれば、凹凸構造に沿って偏光分離膜を設ける必要がない。そのため、偏光分離膜の形成が容易になるとともに、偏光分離膜の性能低下が生じることがない。
本発明の一つの態様の照明装置は、励起光を射出する光源装置と、前記励起光が入射する波長変換装置と、前記波長変換装置から射出された蛍光光束の光路上に設けられ、光学軸の方向が互いに異なる複数の領域を有する位相差素子と、を備え、前記波長変換装置が、本発明の一つの態様の波長変換装置であることを特徴とする。
本発明の一つの態様の照明装置においては、光源装置から波長変換装置に向けて励起光が射出され、波長変換装置から蛍光光束が射出される。蛍光光束の偏光状態は、光学軸の方向が互いに異なる複数の領域を有する位相差素子によって調整される。本発明の一つの態様の照明装置は本発明の一つの態様の波長変換装置を備えているため、光の利用効率に優れ、発熱の少ない照明装置を実現できる。
本発明の一つの態様の照明装置において、前記複数の領域は第1の領域を含み、前記蛍光光束は、前記第1の領域に入射する光束を含み、前記第1の領域の光学軸の方向は、前記第1の領域に入射する前記光束が前記波長変換装置から射出されたときの方位角に応じて設定されていてもよい。
この構成によれば、波長変換装置から射出されたときの光束の方位角に応じて、偏光方向の調整を適切に行うことができる。
この構成によれば、波長変換装置から射出されたときの光束の方位角に応じて、偏光方向の調整を適切に行うことができる。
本発明の一つの態様の照明装置は、前記波長変換装置から射出された蛍光光束を略平行化するコリメート光学系と、複数のレンズを備え、前記コリメート光学系の後段に設けられた第1のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイの後段に設けられた第2のレンズアレイと、前記第2のレンズアレイの後段に設けられた集光レンズと、をさらに備えていてもよい。この場合、前記複数の領域が前記複数のレンズに対応するように設けられていてもよい。
この構成によれば、例えばプロジェクターの光変調装置を照明する照明装置として好適なものとなる。
この構成によれば、例えばプロジェクターの光変調装置を照明する照明装置として好適なものとなる。
本発明の一つの態様の照明装置において、前記蛍光光束は、偏光方向が互いに異なる複数の光束を含み、前記蛍光光束全体における偏光方向の分布が前記位相差素子によって小さくなるように、前記位相差素子が構成されていてもよい。
この構成によれば、例えばプロジェクターの光変調装置を照明する照明装置として好適なものとなる。
この構成によれば、例えばプロジェクターの光変調装置を照明する照明装置として好適なものとなる。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、照明光を射出する照明装置と、前記照明光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学系と、を備え、前記照明装置が、本発明の一つの態様の照明装置であることを特徴とする。
本発明の一つの態様によれば、上記本発明の一つの態様の照明装置を備えたことにより、表示品位に優れたプロジェクターを提供することができる。
本発明の一つの態様によれば、上記本発明の一つの態様の照明装置を備えたことにより、表示品位に優れたプロジェクターを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図8を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、半導体レーザーを用いた照明装置を備えた液晶プロジェクターの一例である。
以下の説明で用いる図面は、特徴を見やすくするために、一部を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図8を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、半導体レーザーを用いた照明装置を備えた液晶プロジェクターの一例である。
以下の説明で用いる図面は、特徴を見やすくするために、一部を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
[プロジェクター]
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す平面図である。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン(被投射面)SCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備えている。プロジェクター1は、照明装置の光源として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザーを備えている。
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す平面図である。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン(被投射面)SCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備えている。プロジェクター1は、照明装置の光源として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザーを備えている。
図1に示すように、プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学系6と、を概略備えている。
照明装置2は、照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。照明装置2には、後述する本発明の一つの態様を適用した照明装置が用いられている。照明装置2は、光源装置20と、均一照明光学系40と、を備えている。
照明装置2は、照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。照明装置2には、後述する本発明の一つの態様を適用した照明装置が用いられている。照明装置2は、光源装置20と、均一照明光学系40と、を備えている。
色分離光学系3は、白色の照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離するためのものである。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7aおよび第2のダイクロイックミラー7bと、第1の反射ミラー8a、第2の反射ミラー8bおよび第3の反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9aおよび第2のリレーレンズ9bと、を概略備えている。
第1のダイクロイックミラー7aは、照明装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光(緑色光LGおよび青色光LB)とに分離する機能を有する。第1のダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過し、その他の光(緑色光LGおよび青色光LB)を反射する。一方、第2のダイクロイックミラー7bは、第1のダイクロイックミラー7aで反射した光を緑色光LGと青色光LBとに分離する機能を有する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射し、青色光LBを透過する。
第1の反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されて、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2の反射ミラー8bおよび第3の反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置されて、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4Bに導く。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bにより光変調装置4Gに向けて反射される。
第1のリレーレンズ9aおよび第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの光射出側に配置されている。第1のリレーレンズ9aおよび第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることに起因した青色光LBの光損失を補償する機能を有する。
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルがそれぞれ用いられている。液晶パネルの入射側および射出側には、一対の偏光板(図示せず)が配置されている。入射側に設けられた偏光板により、特定の方向の直線偏光光のみが光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bを透過する。
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bは、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bそれぞれに入射する赤色光LR,緑色光LG,青色光LBそれぞれを平行化するためのものである。
合成光学系5には、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bからの画像光が入射する。合成光学系5は、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学系6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
投射光学系6は、投射レンズ群から構成されている。投射光学系6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像が表示される。
[照明装置]
以下、本実施形態の照明装置2について説明する。
図2は、照明装置2の概略構成を示す平面図である。
図2に示すように、照明装置2は、光源装置20と、均一照明光学系40と、を備えている。光源装置20は、アレイ光源21Aと、コリメート光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザー光学系24と、偏光分離素子50Aを含む光学素子25Aと、位相差素子45と、第1のピックアップ光学系26と、波長変換装置27と、位相差板28と、第2のピックアップ光学系29と、拡散反射素子30と、を概略備えている。
以下、本実施形態の照明装置2について説明する。
図2は、照明装置2の概略構成を示す平面図である。
図2に示すように、照明装置2は、光源装置20と、均一照明光学系40と、を備えている。光源装置20は、アレイ光源21Aと、コリメート光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザー光学系24と、偏光分離素子50Aを含む光学素子25Aと、位相差素子45と、第1のピックアップ光学系26と、波長変換装置27と、位相差板28と、第2のピックアップ光学系29と、拡散反射素子30と、を概略備えている。
上記の構成要素のうち、アレイ光源21Aと、コリメート光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザー光学系24と、光学素子25Aと、位相差板28と、第2のピックアップ光学系29と、拡散反射素子30とは、それぞれの光学中心を図2中に示す光軸ax1に一致させた状態で、光軸ax1上に順次並んで配置されている。一方、波長変換装置27と、第1のピックアップ光学系26と、位相差素子45と、光学素子25Aとは、それぞれの光学中心を図2中に示す光軸ax2に一致させた状態で、光軸ax2上に順次並んで配置されている。光軸ax1と光軸ax2とは、同一面内にあり、互いに直交する位置関係にある。
アレイ光源21Aは、第1の半導体レーザー211と第2の半導体レーザー212とを含む複数の半導体レーザーを備えている。複数の第1の半導体レーザー211および複数の第2の半導体レーザー212は、光軸ax1と直交する面内において、アレイ状に並んで配置されている。
第1の半導体レーザー211は、青色光BL’を射出する照明光用のレーザー光源である。第1の半導体レーザー211は、青色光BL’として、例えばピーク波長が460nmのレーザー光を射出する。第2の半導体レーザー212は、励起光BLを射出する励起光用のレーザー光源である。第2の半導体レーザー212は、励起光BLとして、例えばピーク波長が446nmのレーザー光を射出する。このように、本実施形態では、第1の半導体レーザー211から射出される光の波長と、第2の半導体レーザー212から射出される光の波長と、は互いに異なる。
アレイ光源21Aから射出された励起光BLおよび青色光BL’は、コリメート光学系22に入射する。コリメート光学系22は、アレイ光源21Aから射出された励起光BLおよび青色光BL’を平行光束に変換する。コリメート光学系22は、例えばアレイ状に並んで配置された複数のコリメーターレンズ22aから構成されている。複数のコリメーターレンズ22aは、複数の第1の半導体レーザー211および複数の第2の半導体レーザー212にそれぞれ対応して配置されている。
コリメート光学系22を通過することにより平行光束に変換された励起光BLおよび青色光BL’は、アフォーカル光学系23に入射する。アフォーカル光学系23は、励起光BLおよび青色光BL’の光束径を調整する。アフォーカル光学系23は、例えば凸レンズ23a,凹レンズ23bから構成されている。
アフォーカル光学系23を通過することにより光束径が調整された励起光BLおよび青色光BL’は、ホモジナイザー光学系24に入射する。ホモジナイザー光学系24は、例えばマルチレンズアレイ24a,マルチレンズアレイ24bから構成されている。
ホモジナイザー光学系24を透過した励起光BLおよび青色光BL’は、光学素子25Aに入射する。光学素子25Aは、例えば波長選択性を有するダイクロイックプリズムから構成されている。ダイクロイックプリズムは、光軸ax1、光軸ax2の双方に対して45°の角度をなす傾斜面Kを有している。光学素子25Aは、互いに直交する光軸ax1、光軸ax2の交点と傾斜面Kの光学中心とが一致するように配置されている。
傾斜面Kには、波長選択性を有する偏光分離素子50Aが設けられている。偏光分離素子50Aは、励起光BLおよび青色光BL’を、偏光分離素子50Aに対するS偏光成分とP偏光成分とに分離する偏光分離機能を有している。また、偏光分離素子50Aは、励起光BLおよび青色光BL’とは波長帯が異なる蛍光光YLを、その偏光状態にかかわらず透過させる色分離機能を有している。
ここで、励起光BLおよび青色光BL’は、コヒーレントな直線偏光光である。また、励起光BLと青色光BL’とは、偏光分離素子50Aに入射する際の互いの偏光方向が異なっている。
具体的に、励起光BLの偏光方向は、偏光分離素子50Aで反射されるS偏光成分の偏光方向と一致している。一方、青色光BL’の偏光方向は、偏光分離素子50Aで透過されるP偏光成分の偏光方向と一致している。
具体的に、励起光BLの偏光方向は、偏光分離素子50Aで反射されるS偏光成分の偏光方向と一致している。一方、青色光BL’の偏光方向は、偏光分離素子50Aで透過されるP偏光成分の偏光方向と一致している。
したがって、偏光分離素子50Aに入射した励起光BLは、S偏光の励起光BLsとして、波長変換装置27に向けて反射する。一方、偏光分離素子50Aに入射した青色光BL’は、P偏光の青色光BLp’として、拡散反射素子30に向けて透過する。
偏光分離素子50Aから射出されたS偏光の励起光BLsは、位相差素子45を透過して、さらに第1のピックアップ光学系26に入射する。第1のピックアップ光学系26は、励起光BLsを波長変換装置27の蛍光体層34に向けて集光させるものである。第1のピックアップ光学系26は、例えばピックアップレンズ26a,ピックアップレンズ26bから構成されている。第1のピックアップ光学系26から射出された励起光BLsは、波長変換装置27に入射する。
波長変換装置27は、蛍光体層34と、反射部材37と、偏光分離膜39と、基板35と、固定部材36と、を有している。蛍光体層34は、蛍光体層34の側面と基板35との間に設けられた固定部材36により、基板35に固定されている。蛍光体層34の励起光BLsが入射する面と反対側の面は基板35に接触している。基板35の材料は特に限定されないが、熱伝導率に優れたものが好ましい。
蛍光体層34は、波長446nmの励起光BLsを吸収して励起される蛍光体を含む。励起光BLsにより励起された蛍光体は、例えば500〜700nmの波長域にピーク波長を有する黄色の蛍光光束(蛍光光YL)を生成する。蛍光体層34には、耐熱性および表面加工性に優れたものを用いることが好ましい。このような蛍光体層34としては、例えば、アルミナ等の無機バインダー中に蛍光体粒子を分散させた蛍光体層、バインダーを用いずに蛍光体材料を焼結した蛍光体層などを好適に用いることができる。本実施形態では、蛍光体材料を焼結した蛍光体層34を用いる。偏光分離膜39および反射部材37の詳細については後述する。
基板35の蛍光体層34を支持する面とは反対側の面に、ヒートシンク38が配置されている。
以下の説明では、蛍光体層34の2つの主面のうち、励起光BLsが入射する面を第1の面と称し、励起光BLsが入射する面と反対側の面を第2の面と称する。
以下の説明では、蛍光体層34の2つの主面のうち、励起光BLsが入射する面を第1の面と称し、励起光BLsが入射する面と反対側の面を第2の面と称する。
図3は波長変換装置27の要部を示す拡大断面図であり、蛍光体層34、偏光分離膜39および反射部材37を示している。
図3に示すように、蛍光体層34の第1の面34aに、偏光分離膜39が設けられている。偏光分離膜39は、誘電体多層膜で構成されている。誘電体多層膜は、屈折率が互いに異なる誘電体、例えば五酸化タンタル(Ta2O5)あるいは酸化ニオブ(Nb2O5)と、二酸化ケイ素(SiO2)と、が交互に積層された構成を有する。
図3に示すように、蛍光体層34の第1の面34aに、偏光分離膜39が設けられている。偏光分離膜39は、誘電体多層膜で構成されている。誘電体多層膜は、屈折率が互いに異なる誘電体、例えば五酸化タンタル(Ta2O5)あるいは酸化ニオブ(Nb2O5)と、二酸化ケイ素(SiO2)と、が交互に積層された構成を有する。
図4は、偏光分離膜39の分光特性を示す図である。図4の横軸は波長(nm)を示し、図4の縦軸は透過率(%)を示す。S偏光の分光特性を実線Sで示し、P偏光の特性を1点鎖線Pで示す。
図4に示すように、偏光分離膜39は、蛍光体層34から発せられる波長域が500〜700nmの蛍光光YLに対して偏光分離特性を持つ。偏光分離膜39は、波長が446nmの励起光BLsに対しては、その偏光状態によらず透過させる。
図4に示すように、偏光分離膜39は、蛍光体層34から発せられる波長域が500〜700nmの蛍光光YLに対して偏光分離特性を持つ。偏光分離膜39は、波長が446nmの励起光BLsに対しては、その偏光状態によらず透過させる。
一方、蛍光体層34の第2の面34bには、反射部材37が設けられている。すなわち、反射部材37は、蛍光体層34と基板35との間に設けられている。反射部材37は、蛍光体層34で生成された蛍光光YLを反射する機能を有する。反射部材37は、例えば銀、アルミニウム等の光反射率の高い金属で形成された金属反射膜で構成されている。反射部材37は、光散乱部としての凹凸構造43を有する。光散乱部としての凹凸構造43は、偏光分離膜39で反射した光を散乱させる機能を有する。蛍光体層34の内部を進む光は、反射部材37の凹凸構造43によって散乱され、進行方向が変わる。凹凸構造43の形状、寸法、密度等を調整することにより、光の散乱の度合いを適宜調整することができる。
以下、本実施形態の照明装置2により偏光方向が調整された光が得られる原理について、図5〜図7を用いて説明する。
図5(A)は、波長変換装置27の平面図である。便宜上、図5(A)の水平方向をX軸方向とし、X軸と垂直な方向をY軸方向とする。図5(B)は、図5(A)のA−A’線に沿う断面図である。図5(C)は、図5(A)のB−B’線に沿う断面図である。図5(A)のA−A’線に沿う断面はX軸方向と平行であり、図5(A)のB−B’線に沿う断面はY軸方向と平行であるものとする。
基板35の法線方向から見た蛍光体層34の平面形状は特に限定されないが、図5(A)では蛍光体層34の平面形状を円形としている。蛍光体層34の任意の点から発せられた光は、あらゆる方向に向けて進む。図5(A)〜(C)では、A−A’線に沿う断面上にある点P0から発せられた光のうち、平面視において+X方向、かつ断面視において点P0から偏光分離膜39に向かって進む光L0を用いて説明する。
図5(A)は、波長変換装置27の平面図である。便宜上、図5(A)の水平方向をX軸方向とし、X軸と垂直な方向をY軸方向とする。図5(B)は、図5(A)のA−A’線に沿う断面図である。図5(C)は、図5(A)のB−B’線に沿う断面図である。図5(A)のA−A’線に沿う断面はX軸方向と平行であり、図5(A)のB−B’線に沿う断面はY軸方向と平行であるものとする。
基板35の法線方向から見た蛍光体層34の平面形状は特に限定されないが、図5(A)では蛍光体層34の平面形状を円形としている。蛍光体層34の任意の点から発せられた光は、あらゆる方向に向けて進む。図5(A)〜(C)では、A−A’線に沿う断面上にある点P0から発せられた光のうち、平面視において+X方向、かつ断面視において点P0から偏光分離膜39に向かって進む光L0を用いて説明する。
図5(B)に示すように、光L0は、点P0から発せられた後、蛍光体層34の内部を進み、偏光分離膜39に入射する。光L0が偏光分離膜39に入射した点を点P1とする。点P1はA−A’線に沿う断面上にある。蛍光体層34の内部で生成された光L0は、あらゆる偏光成分が混ざった非偏光である。偏光分離膜39に対する光L0の入射面はA−A’線に沿う断面である。図5(B)に示すように、光L0のS偏光成分L0sは偏光分離膜39で反射し、光L0のP偏光成分L0pは偏光分離膜39を透過する。偏光分離膜39で反射したS偏光成分L0sは、蛍光体層34の内部をさらに進み、反射部材37に入射する。S偏光成分L0sが反射部材37に入射した点を点P2とする。点P2はA−A’線に沿う断面とB−B’線に沿う断面との交点にあるものとする。
反射部材37には凹凸構造43が設けられているため、点P2に入射したS偏光成分L0sは、散乱反射して点P2からあらゆる方向に向けて進む散乱光となる。これらの散乱光のうち、図5(A)に示すように、平面視において点P2から+Y方向に進む散乱光L1について説明する。
光L1は、反射部材37上の点P2で反射した後、蛍光体層34の内部を進み、偏光分離膜39に再度入射する。光L1が偏光分離膜39に入射した点を点P3とする。点P3はB−B’線に沿う断面上にある。光の進行方向を方位角で表現すると、図5(A)に示すように、光L1の進行方向はS偏光成分L0sの進行方向とは90°異なる。偏光分離膜39に対する光L1の入射面はB−B’線に沿う断面である。このように、偏光分離膜39に対する光L1の入射面は、偏光分離膜39に対する光L0の入射面とは異なる。
P偏光、S偏光で表される偏光状態は、光が反射面に入射したときの入射面を基準として定義される。したがって、同じ振動方向の光であっても、入射面が変われば、P偏光、S偏光で表される偏光状態も変わることになる。そのため、反射部材37の点P2で反射して+Y方向に進む光L1は、光の振動方向が点P2に入射する前から全く変化しなければ、P偏光として偏光分離膜39に入射する。
実際には、光の振動方向は散乱反射によっていくらか乱されるため、光L1は、S偏光成分とP偏光成分とを含んでいる。点P3に入射した光L1のうち、S偏光成分L1sは偏光分離膜39で反射し、P偏光成分L1pは偏光分離膜39を透過する。したがって、1回目に偏光分離膜39に入射したときに偏光分離膜39で反射した光L0sの一部は、2回目に偏光分離膜39に入射したときには偏光分離膜39を透過する。以降、この過程が繰り返される。
以上説明したように、本実施形態の波長変換装置27においては、あらゆる方位角において、対応する入射面によって定義されるP偏光成分が偏光分離膜39を透過する。したがって、図5(A)に示すように、方位角で表現した光の進行方向と偏光分離膜39を透過する光の偏光方向Tとは一致する。その結果、波長変換装置27から射出される光(蛍光光束)は、偏光方向が互いに異なる複数の光束を含む。波長変換装置27の全体で見ると、図6に示すように、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tは、蛍光体層34の領域によって異なる。具体的には、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tは、蛍光体層34の中心から放射状に分布する。このように、蛍光体層34から射出された光の偏光方向は制御されるが、一方向には揃っていない。
図7(A)は、照明装置2の要部の側面図である。図7(B)は、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tを示す図である。図7(C)は、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tと位相差素子45の遅相軸Cとの関係を示す図である。図7(D)は、位相差素子45から射出される光の偏光方向Tを示す図である。
光の偏光方向Tを調整するためには、図7(A)に示すように、照明装置2において、波長変換装置27の後段にレンズ26cを配置し、レンズ26cの後段に位相差素子45を配置すればよい。
光の偏光方向Tを調整するためには、図7(A)に示すように、照明装置2において、波長変換装置27の後段にレンズ26cを配置し、レンズ26cの後段に位相差素子45を配置すればよい。
図7(B)に示すように、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tは、放射状に分布している。したがって、位相差素子45は、遅相軸Cの方向が、光の偏光方向Tに応じて位相差素子45の領域によって異なるように構成されている。具体的には、位相差素子45の各領域の遅相軸Cの方向は、図7(C)に示すように、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tに応じて放射状に設定されている。言い換えると、位相差素子45の複数の領域のうち、第1の領域の遅相軸Cの方向は、第1の領域に入射する光束が波長変換装置27から射出されたときの方位角に応じて設定されている。
以下の説明では、図7(C)のx軸の正方向を基準として反時計回りに方位角を定義する。また、位相差素子45として、位相差値が透過光(黄色光)の波長λの1/2であるものを用いる。
より具体的には、図7(C)に示すように、光の偏光方向Tが0°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、45°方向または−45°方向に設定されている。光の偏光方向Tが45°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、67.5°方向に設定されている。光の偏光方向Tが−45°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、−67.5°方向に設定されている。光の偏光方向Tが90°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、90°方向に設定されている。
より具体的には、図7(C)に示すように、光の偏光方向Tが0°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、45°方向または−45°方向に設定されている。光の偏光方向Tが45°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、67.5°方向に設定されている。光の偏光方向Tが−45°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、−67.5°方向に設定されている。光の偏光方向Tが90°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、90°方向に設定されている。
領域によって遅相軸Cが異なる位相差素子45を光が透過すると、光の偏光方向Tが領域によって異なる角度だけ回転する。すなわち、光の偏光方向Tは、偏光方向Tと遅相軸Cとのなす角度の2倍分だけ回転する。例えば光の偏光方向Tが45°となる領域において、位相差素子45の遅相軸Cの方向は、67.5°方向に設定されている。この場合、偏光方向Tと遅相軸Cとのなす角度は22.5°であるから、光の偏光方向Tは、22.5°の2倍である45°回転する。
その結果、図7(D)に示すように、光の偏光方向Tは、領域にかかわらず90°方向に揃った状態となる。このように、領域毎に遅相軸Cの方向が異なる位相差素子45を用いることにより、放射状に均一に分布していた偏光方向Tを所望の分布に調整することができる。位相差素子45の遅相軸Cに連続的な分布を持たせれば、偏光方向Tを一方向に揃えることができる。このように、波長変換装置27から射出される光(蛍光光束)の偏光方向の分布を位相差素子45によって小さくすることができる。
以上、光の偏光方向Tを調整する手段の原理を説明したが、本実施形態の照明装置2における位相差素子の具体例については、後述する。
以上、光の偏光方向Tを調整する手段の原理を説明したが、本実施形態の照明装置2における位相差素子の具体例については、後述する。
図2に戻って、偏光分離膜39から射出された蛍光光YLは、第1のピックアップ光学系26および前述した位相差素子45を透過し、さらに偏光分離素子50Aに入射する。蛍光光YLは、偏光分離素子50Aを透過した後、インテグレーター光学系31に向けて進む。
一方、偏光分離素子50Aから射出されたP偏光の青色光BLp’は、位相差板28に入射する。位相差板28は、偏光分離素子50Aと拡散反射素子30との間の光路中に配置された1/4波長板(λ/4板)から構成されている。したがって、偏光分離素子50Aから射出されたP偏光の青色光BLp’は、位相差板28を透過することによって、円偏光の青色光BLc’に変換された後、第2のピックアップ光学系29に入射する。第2のピックアップ光学系29は、青色光BLc’を拡散反射素子30に向けて集光させる。第2のピックアップ光学系29は、例えばピックアップレンズ29a、ピックアップレンズ29bから構成されている。
拡散反射素子30は、第2のピックアップ光学系29から射出された青色光BLc’を偏光分離素子50Aに向けて拡散反射させる。その中でも、拡散反射素子30としては、拡散反射素子30に入射した青色光BLc’をランバート反射させるものを用いることが好ましい。拡散反射素子30は、拡散反射板30Aと、拡散反射板30Aを回転させるためのモーター等の駆動源30Mと、を備えている。駆動源30Mの回転軸は、光軸ax1と略平行に配置されている。これにより、拡散反射板30Aは、拡散反射板30Aに入射する青色光BLc’の中心軸に交差する面内で回転可能に構成されている。拡散反射板30Aは、回転軸の方向から見て例えば円形に形成されている。
拡散反射素子30で拡散反射された青色光BLc’は、再び第2のピックアップ光学系29を通り、位相差板28に入射し、S偏光を主成分とする青色光BLs’に変換される。青色光BLs’は、偏光分離素子50Aに入射する。青色光BLs’のS偏光成分は、偏光分離素子50Aによって反射される。
これにより、青色光BLs’は、偏光分離素子50Aを透過した蛍光光YLとともに、照明光WLとして光源装置20から射出される。すなわち、青色光BLs’および蛍光光YLは、偏光分離素子50Aから互いに同一方向に向けて射出される。これにより、青色光BLs’と蛍光光(黄色光)YLとが合成された照明光(白色光)WLが得られる。
均一照明光学系40は、インテグレーター光学系31と、集光レンズ33と、を備える。均一照明光学系40は、光源装置20から射出された照明光WLの強度分布を被照明領域である液晶パネル上で均一化する。均一照明光学系40から射出された照明光WLは、色分離光学系3へ入射する。
光源装置20から射出された照明光WLは、インテグレーター光学系31に入射する。インテグレーター光学系31は、例えば、第1のレンズアレイ31a,第2のレンズアレイ31bから構成されている。第1のレンズアレイ31aおよび第2のレンズアレイ31bは、複数のレンズがアレイ状に配列された構成を有する。第1のレンズアレイ31aは、4行4列に配列された複数のレンズ311を備えている。同様に、第2のレンズアレイ31bは、4行4列に配列された複数のレンズ312を備えている。
ここで、本実施形態の原理の説明で挙げた位相差素子45の具体例を示す。
図8(A)は、波長変換装置27から集光レンズ33までの概略構成図である。ただし、光学素子25Aは省略してある。図8(B)は、位相差素子45に入射する前の光の偏光方向Tを示す図である。図8(C)は、位相差素子45の遅相軸Cを示す図である。図8(D)は、位相差素子45から射出される光の偏光方向Tを示す図である。
図8(A)は、波長変換装置27から集光レンズ33までの概略構成図である。ただし、光学素子25Aは省略してある。図8(B)は、位相差素子45に入射する前の光の偏光方向Tを示す図である。図8(C)は、位相差素子45の遅相軸Cを示す図である。図8(D)は、位相差素子45から射出される光の偏光方向Tを示す図である。
図8(C)に示すように、位相差素子45は、第1のレンズアレイ31aの複数のレンズ311に対応する複数の領域Rを有している。複数の領域R各々の遅相軸Cの方向は互いに異なる。具体的には、第1のレンズアレイ31aの複数のレンズ311は4行4列に配置されているため、これに対応して、位相差素子45の複数の領域Rも4行4列に配置されている。位相差素子45の位相差値は、透過光(黄色光)の波長λの1/2である。
図6を用いて先に説明したように、波長変換装置27から射出される光の偏光方向Tは、蛍光体層34の中心から放射状に分布している。したがって、位相差素子45に入射する光の偏光方向Tの分布は、概略図8(B)に示すようになる。厳密には、一つの領域Rの中でも場所によって光の偏光方向Tが異なるが、図8(B)に示す偏光方向Tを示す矢印は当該領域Rにおける平均的な偏光方向を示している。
これに対して、位相差素子45の各領域Rの遅相軸Cは、各領域Rに入射する光の偏光方向Tに応じて設定されている。具体的には、例えば、図8(B)に示す最上段右端の領域Rに入射する光の偏光方向Tが、45°方向であったとする。この場合、図8(C)に示すように、最上段右端の領域Rの遅相軸Cの方向は、67.5°方向に設定されている。また、図8(B)に示す最上段右から2番目の領域Rに入射する光の偏光方向Tが、67.5°方向であったとする。この場合、図8(C)に示すように、最上段右から2番目の領域Rの遅相軸Cの方向は、78.75°方向に設定されている。
領域Rによって遅相軸Cが異なる位相差素子45を光が透過すると、領域Rにおいて、光の偏光方向Tは、偏光方向Tと遅相軸Cとのなす角度の2倍分だけ回転する。その結果、図8(D)に示すように、光の偏光方向Tは、領域Rにかかわらず90°方向に揃った状態となる。このように、領域R毎に遅相軸Cの方向が異なる位相差素子45を用いることにより、放射状に分布していた偏光方向Tを所望の分布に調整することができる。
図2に戻って、インテグレーター光学系31を通過した照明光WLは、集光レンズ33に入射する。集光レンズ33は、インテグレーター光学系31から射出された照明光WLを被照明領域上で重畳させる。インテグレーター光学系31と集光レンズ33とによって、被照明領域である液晶パネル上での照度分布が均一化される。
本実施形態の波長変換装置27によれば、偏光分離膜39で反射した光は、反射部材37で反射する際に凹凸構造43で散乱するため、次に偏光分離膜39に入射した時点では一部の偏光成分が偏光分離膜39を透過できるようになる。この過程を繰り返すことにより蛍光体層34から光が順次取り出されるため、光利用効率を大きく低下させることなく、偏光方向が制御された光が得られる。また、誘電体多層膜で構成された偏光分離膜39が用いられるため、ワイヤーグリッド偏光子に比べて光の吸収が少なく、発熱を抑制することができる。したがって、この種の波長変換装置27を備えた照明装置2は、光利用効率に優れ、発熱の少ない照明装置となる。さらに、この種の照明装置2を備えたプロジェクター1は、表示品位に優れたプロジェクターとなる。
また、照明装置2においては、励起光BLsにより蛍光体層34を励起することによって生成された蛍光光YLと、青色光BLp’を拡散反射素子30で拡散反射することにより得られた青色光BLs’とを用いて、色純度や色再現性に優れた照明光WLを得ることができる。すなわち、ピーク波長が460nmの青色光BL’は、ピーク波長が446nmの励起光BLよりも視感度が高い青色光である。また、ピーク波長が460nmの光を用いると、ピーク波長が446nmの光を用いるよりも広い色域を得ることができる。すなわち、ピーク波長が460nmの光は、ピーク波長が446nmの光よりもカラー画像の形成に適している。したがって、ピーク波長が460nmの青色光BL’と蛍光光YLとによる照明光は、ピーク波長が446nmの励起光BLと蛍光光YLとによる照明光よりも、色域を向上させることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図9を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図9は、第2実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図9において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第2実施形態について、図9を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図9は、第2実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図9において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態では、蛍光体層がバインダーを含まず、蛍光体材料を焼結した蛍光体層が用いられていた。これに対して、図9に示すように、本実施形態の波長変換装置57においては、蛍光体層54は、複数の蛍光体粒子55とバインダー56とを含んでいる。また、反射部材53は、蛍光体層54の第2の面54bに設けられている。第1実施形態の反射部材が光散乱部としての凹凸構造を有していたのに対し、本実施形態の反射部材53は光散乱部としての凹凸構造を有していない。
本実施形態の場合、偏光分離膜39で反射した光は、蛍光体粒子55によって散乱される。すなわち、本実施形態では、蛍光体粒子55が光散乱部として機能する。したがって、反射部材53が光散乱部としての凹凸構造を有していなくてもよい。光の散乱に伴って、蛍光体層54の第1の面54aの法線方向から見た光の進行方向(方位角)が変化する。これにより、蛍光体粒子55により散乱した後に偏光分離膜39に再度入射した光の一部が偏光分離膜39を透過できるようになる。
本実施形態においても、光利用効率の低下や発熱が抑えられた波長変換装置を実現できる、という第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図10は、第3実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図10において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第3実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図10は、第3実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図10において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の波長変換装置67は、図10に示すように、第2実施形態の波長変換装置57の蛍光体層54にさらに気泡69が含有されたものである。反射部材53は、蛍光体層68の第2の面68bに設けられている。本実施形態の気泡69は特許請求の範囲のフィラーに対応する。フィラーは、蛍光体層内に混入され、バインダーの屈折率と異なる屈折率を有する任意の粒状体である。フィラーは、気泡69に限定されず、例えば無機材料、有機材料等からなる微粒子であってもよい。
第2実施形態で述べたように、偏光分離膜39で反射した光は、蛍光体粒子55により散乱するが、本実施形態の場合はさらに気泡69によっても散乱する。すなわち、本実施形態では、気泡69が光散乱部として機能する。光の散乱に伴って、蛍光体層68の第1の面68aの法線方向から見た光の進行方向(方位角)が変化する。これにより、蛍光体粒子55もしくは気泡69により散乱した後に偏光分離膜39に再入射した光の一部が偏光分離膜39を透過できるようになる。
本実施形態においても、光利用効率の低下や発熱が抑えられた波長変換装置を実現できる、という第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図11を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図11は、第4実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図11において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、本発明の第4実施形態について、図11を用いて説明する。
本実施形態の照明装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、波長変換装置の構成が第1実施形態と異なる。
図11は、第4実施形態の波長変換装置を示す断面図である。
図11において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態では、反射部材が光散乱部としての凹凸構造を有していた。これに対して、図11に示すように、本実施形態の波長変換装置77においては、反射部材53は凹凸構造を有しておらず、蛍光体層78の第1の面78aが、光散乱部としての凹凸構造79を有している。凹凸構造79が設けられた蛍光体層78の第1の面78aと偏光分離膜39との間には、蛍光光YLを透過させる光透過層80が設けられている。光透過層80の蛍光体層78とは反対側の面80aは平坦であり、偏光分離膜39は平坦な面80aに設けられている。
蛍光体層78の第1の面78aに入射した光は、凹凸構造79により散乱し、蛍光体層78の第1の面78aの法線方向から見た光の進行方向(方位角)が変化する。本実施形態では、第1の面78aの凹凸構造79が光散乱部として機能する。これにより、偏光分離膜39で一旦反射し、偏光分離膜39に再度入射した光の一部が偏光分離膜39を透過できるようになる。
本実施形態においても、光利用効率の低下や発熱が抑えられた波長変換装置を実現できる、という第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
さらに本実施形態の場合、蛍光体層78の第1の面78aの凹凸構造79に沿って偏光分離膜39を設ける必要がなく、平坦な偏光分離膜39を設けることができる。そのため、偏光分離膜39の形成が容易になるとともに、偏光分離膜39の性能低下が生じることがない。
さらに本実施形態の場合、蛍光体層78の第1の面78aの凹凸構造79に沿って偏光分離膜39を設ける必要がなく、平坦な偏光分離膜39を設けることができる。そのため、偏光分離膜39の形成が容易になるとともに、偏光分離膜39の性能低下が生じることがない。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記第2,第3実施形態では、蛍光体粒子やフィラーが光散乱部として機能するため、反射部材に凹凸構造が設けられていないが、反射部材に凹凸構造が設けられていてもよい。
例えば上記第2,第3実施形態では、蛍光体粒子やフィラーが光散乱部として機能するため、反射部材に凹凸構造が設けられていないが、反射部材に凹凸構造が設けられていてもよい。
第4実施形態では、蛍光体層の第1の面の凹凸構造が光散乱部として機能するため、反射部材に凹凸構造が設けられていないが、反射部材に凹凸構造が設けられていてもよい。また、光透過層80は空気層でもよい。
上記実施形態では、蛍光体層の第1の面側から励起光が入射し、第1の面側から蛍光が射出される方式の波長変換装置、いわゆる反射型の波長変換装置の例を挙げた。この構成に代えて、いわゆる透過型の波長変換装置に本発明を適用してもよい。透過型の波長変換装置においては、励起光が透過可能な波長分離膜が反射部材として用いられ、蛍光体層の第2の面側から励起光が入射し、第1の面側から蛍光が射出される。
上記実施形態では、第1の半導体レーザーから射出される光の波長と第2の半導体レーザーから射出される光の波長とが互いに異なる例を挙げたが、第1の半導体レーザーから射出される光の波長と第2の半導体レーザーから射出される光の波長とは一致していてもよい。その他、波長変換装置、照明装置およびプロジェクターの各種構成要素の形状、数、配置、材料等については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
上記実施形態では本発明による照明装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による照明装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
1…プロジェクター、2…照明装置、4R,4G,4B…光変調装置、6…投射光学系、20…光源装置、22…コリメート光学系、27,57,67,77…波長変換装置、31a…第1のレンズアレイ、31b…第2のレンズアレイ、33…集光レンズ、34,54,68,78…蛍光体層、37…反射部材、39…偏光分離膜、43,79…凹凸構造(光散乱部)、45…位相差素子、55…蛍光体粒子(光散乱部)、69…気泡(光散乱部)、80…光透過層。
Claims (11)
- 第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を備える蛍光体層と、
誘電体多層膜で構成され、前記蛍光体層の前記第1の面側に設けられた偏光分離膜と、
前記蛍光体層の前記第2の面側に設けられ、前記蛍光体層で生成された光を反射する反射部材と、
前記蛍光体層で生成され、前記偏光分離膜で反射した光を散乱させる光散乱部と、
を備えたことを特徴とする波長変換装置。 - 前記蛍光体層が、前記光散乱部としての複数の蛍光体粒子と、バインダーと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
- 前記蛍光体層が、前記光散乱部としての複数のフィラーを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の波長変換装置。
- 前記反射部材が、前記光散乱部としての凹凸構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の波長変換装置。
- 前記第1の面が、前記光散乱部としての凹凸構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の波長変換装置。
- 前記第1の面と前記偏光分離膜との間に、前記蛍光体層で生成された光を透過させる層が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
- 励起光を射出する光源装置と、
前記励起光が入射する波長変換装置と、
前記波長変換装置から射出された蛍光光束の光路上に設けられ、光学軸の方向が互いに異なる複数の領域を有する位相差素子と、を備え、
前記波長変換装置が、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の波長変換装置であることを特徴とする照明装置。 - 前記複数の領域は第1の領域を含み、
前記蛍光光束は、前記第1の領域に入射する光束を含み、
前記第1の領域の光学軸の方向は、前記第1の領域に入射する前記光束が前記波長変換装置から射出されたときの方位角に応じて設定されていることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。 - 前記波長変換装置から射出された蛍光光束を略平行化するコリメート光学系と、
複数のレンズを備え、前記コリメート光学系の後段に設けられた第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイの後段に設けられた第2のレンズアレイと、
前記第2のレンズアレイの後段に設けられた集光レンズと、をさらに備え、
前記複数の領域が前記複数のレンズに対応するように設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の照明装置。 - 前記蛍光光束は、偏光方向が互いに異なる複数の光束を含み、
前記蛍光光束の偏光方向の分布が前記位相差素子によって小さくなるように、前記位相差素子が構成されていることを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の照明装置。 - 照明光を射出する照明装置と、
前記照明光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、
前記画像光を投射する投射光学系と、を備え、
前記照明装置が、請求項7から請求項10までのいずれか一項に記載の照明装置であることを特徴とするプロジェクター。
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