JP2015087423A - 発光素子、照明装置およびプロジェクター - Google Patents

発光素子、照明装置およびプロジェクター Download PDF

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Abstract

【課題】光の取り出し効率に優れた発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の発光素子は、第1の面と、第1の面とは反対側の面である第2の面と、を備えた蛍光体層と、第1の面の上に設けられた第1の反射部材と、を備えている。第1の面と第1の反射部材との第1の界面は第1の凹凸構造を有している。蛍光体層で生成された光は第2の面から蛍光体層の外部に射出される。
【選択図】図4

Description

本発明は、発光素子、照明装置およびプロジェクターに関する。
基体と、基体の一面に実装された発光素子と、発光素子からの励起光を波長変換する蛍光体と、発光素子からの光を反射する反射部材と、を備えた照明装置が、下記の特許文献1に開示されている。この照明装置では、枠状の反射部材が発光素子を囲んで基体の一面に設けられ、蛍光体を含む透光性部材が反射部材の内部に充填されて発光素子を覆っている。発光素子の側面から射出された光は、反射部材の内周面で上方に向けて反射する。特許文献1には、反射部材の内周面の算術平均粗さを小さく抑えることにより発光素子からの光を均一に反射できる、と記載されている。
特開2005−277331号公報
特許文献1の照明装置において、発光素子から射出された励起光が蛍光体に照射されると、蛍光体から光が発せられ、その光は蛍光体の表面から等方的に射出される。すなわち、光は、蛍光体から基体の一面、反射部材の内周面、透光性部材の上面などのあらゆる方向に向かって進む。ところが、多くの光は透光性部材の内部に閉じ込められ、光の取り出し効率が充分でない、という問題があった。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、光の取り出し効率に優れた発光素子を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、この種の発光素子を備えた照明装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、この種の照明装置を備えたプロジェクターを提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の発光素子は、第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面と、を備えた蛍光体層と、前記第1の面の上に設けられた第1の反射部材と、を備え、前記第1の面と前記第1の反射部材との第1の界面が第1の凹凸構造を有し、前記蛍光体層で生成された光が前記第2の面から前記蛍光体層の外部に射出されることを特徴とする。
蛍光体層と蛍光体層の外部との界面が仮に鏡面であったとすると、蛍光体層の内部で生成された光が界面で全反射した場合、その光の界面への入射角は反射を何回繰り返しても変わらない。そのため、界面で一旦全反射した光は、蛍光体層の内部に閉じ込められ、蛍光体層の外部に取り出されることはない。これに対し、本発明の一つの態様の発光素子においては、蛍光体層の第1の面と第1の反射部材との第1の界面が第1の凹凸構造を有しているため、光が第1の界面で反射する毎に蛍光体層の各面への光の入射角が変化する。そのため、蛍光体層の各面に臨界角以上で入射して一旦反射した光は、第1の界面での反射により第2の面に対する入射角が臨界角よりも小さくなった時点で第2の面を透過し、蛍光体層の外部に射出される。このように、本発明の一つの態様の発光素子によれば、第1の凹凸構造を持たない発光素子に比べて、光の取り出し効率を高めることができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記第1の凹凸構造は周期構造であってもよい。
第1の凹凸構造が周期構造である場合、周期構造のピッチなどを調整することにより界面における光の拡散角を制御することができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記蛍光体層が第3の面をさらに備え、第2の反射部材が前記第3の面の上に設けられていてもよい。
この構成によれば、蛍光体層で生成された光は、第3の面に到達した際に第2の反射部材で反射し、第3の面から蛍光体層の外部に透過することはない。すなわち、第3の面に到達した光は、第2の面から射出される光として利用される。これにより、光の取り出し効率を高めることができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記第3の面と前記第2の反射部材との第2の界面が第2の凹凸構造を有していてもよい。
この構成によれば、蛍光体層の第3の面と第2の反射部材との第2の界面が第2の凹凸構造を有しているため、光が第2の界面で反射する毎に蛍光体層の各面への光の入射角が変化する。そのため、蛍光体層の各面に臨界角以上で入射して一旦反射した光は、第2の界面での反射により第2の面に対する入射角が臨界角よりも小さくなった時点で第2の面を透過し、蛍光体層の外部に射出される。このように、本発明の一つの態様の発光素子によれば、第2の凹凸構造を持たない発光素子に比べて、光の取り出し効率を高めることができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記蛍光体層が第3の面をさらに備え、前記第3の面が第2の凹凸構造を有していてもよい。
この構成においても、第2の反射部材の有無に係わらず、光が第3の面で反射する毎に蛍光体層の各面への光の入射角が変化するため、第3の面での反射により第2の面に対する入射角が臨界角よりも小さくなった光は第2の面を透過し、蛍光体層の外部に射出される。これにより、光の取り出し効率を高めることができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記第2の凹凸構造は周期構造であってもよい。
第2の凹凸構造が周期構造であれば、周期構造のピッチなどを調整することにより界面における光の拡散角を制御することができる。
本発明の一つの態様の発光素子において、前記第2の凹凸構造の第1の方向の周期が、前記第2の凹凸構造の第2の方向の周期と異なっていてもよい。
本発明の一つの態様の発光素子は、光が第2の面から射出される構成を備えているため、光の取り出し効率を向上させるためには、第2の面に対する入射角を小さくする必要がある。そこで、例えば第1の方向を第2の面に交差する方向、第2の方向を第2の面に平行な方向とした場合、第1の方向の周期を第2の方向の周期よりも大きくすることにより、第1の方向における拡散角の拡がりを第2の方向における拡散角の拡がりよりも大きくすることができる。その結果、光が進む方向を、第2の面に平行な方向よりも第2の面に交差する方向に大きく変化させることができる。したがって、光の取り出し効率向上効果の高い凹凸構造を実現できる。
本発明の一つの態様の照明装置は、本発明の一つの態様の発光素子と、前記発光素子の前記蛍光体層に光を照射する光源装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様の照明装置は、本発明の一つの態様の発光素子を備えているため、高効率で明るい照明装置を実現できる。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の照明装置と、前記照明装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えたことを特徴とする。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の照明装置を備えているため、高効率で明るい画像が得られるプロジェクターを実現できる。
本発明の第1実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態の照明装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態の発光素子を示す平面図である。 図3のA−A’線に沿う断面図である。 (A)凹凸構造を持たない蛍光体層を用いた場合の問題点を示す図、(B)凹凸構造を有する蛍光体層を用いた場合の作用を説明するための図、(C)凹凸構造とミラーとを有する蛍光体層を用いた場合の作用を説明するための図、である。 本発明の第2実施形態の発光素子を示す断面図である。 第1の反射層の凹凸構造を示す斜視図である。 (A)第2の反射層の凹凸構造を示す斜視図、(B)である。 変形例の発光素子を示す断面図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
第1実施形態のプロジェクターは、本発明の一実施形態である照明装置と、3つの光変調装置と、を備えた液晶プロジェクターの例である。
以下、図面を用いて具体的に説明するが、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー画像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を用いている。プロジェクター1は、照明装置2の光源として、高輝度・高出力の光が得られる半導体レーザーを用いている。プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、赤色光用光変調装置4Rと、緑色光用光変調装置4Gと、青色光用光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学系6と、を概略備えている。
照明装置2は、均一な照度分布を有する照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。照明装置2には、後述する本発明の一つの実施形態である照明装置が用いられている。
色分離光学系3は、照明装置から射出された照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7aと、第2のダイクロイックミラー7bと、第1の反射ミラー8aと、第2の反射ミラー8bと、第3の反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9aと、第2のリレーレンズ9bと、を備えている。
第1のダイクロイックミラー7aは、照明装置2から射出された照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGおよび青色光LBと、に分離する機能を有する。第1のダイクロイックミラー7aは、赤色光LRを透過し、緑色光LGおよび青色光LBを反射する。第2のダイクロイックミラー7bは、第1のダイクロイックミラー7aで反射した光を緑色光LGと青色光LBとに分離する機能を有する。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射し、青色光LBを透過する。
第1の反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1の反射ミラー8aは、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを赤色光用光変調装置4Rに向けて反射する。第2の反射ミラー8bと第3の反射ミラー8cとは、青色光LBの光路中に配置されている。第2の反射ミラー8bと第3の反射ミラー8cとは、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを青色光用光変調装置4Bに向けて反射させる。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bで反射し、緑色光用光変調装置4Gに向けて進む。
第1のリレーレンズ9aと第2のリレーレンズ9bとは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの光射出側に配置されている。第1のリレーレンズ9aと第2のリレーレンズ9bとは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることに起因した青色光LBの光損失を補償する機能を有している。
赤色光用光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。緑色光用光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。青色光用光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LRに対応した画像光を形成する。
赤色光用光変調装置4R、緑色光用光変調装置4G、および青色光用光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、図示しない一対の偏光板が配置されている。一対の偏光板は、特定の方向の直線偏光光を透過させる。
赤色光用光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。緑色光用光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。青色光用光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、赤色光用光変調装置4Rに入射する赤色光LRを平行化する。フィールドレンズ10Gは、緑色光用光変調装置4Gに入射する緑色光LGを平行化する。フィールドレンズ10Bは、青色光用光変調装置4Bに入射する赤色光LBを平行化する。
合成光学系5は、赤色光用光変調装置4R、緑色光用光変調装置4G、および青色光用光変調装置4Bからの画像光が入射することによって、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBのそれぞれに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学系6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
投射光学系6は、複数の投射レンズを含む投射レンズ群から構成されている。投射光学系6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー画像が表示される。
以下、照明装置2について説明する。
図2に示すように、照明装置2は、アレイ光源21Aと、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザー光学系24と、偏光分離素子50Aを含む光学素子25Aと、第1のピックアップ光学系26と、発光素子27と、位相差板28と、第2のピックアップ光学系29と、拡散反射素子30と、インテグレータ光学系31と、偏光変換素子32と、重畳光学系33と、を概略備えている。
上記の構成要件のうち、アレイ光源21Aと、コリメーター光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザー光学系24と、光学素子25Aと、位相差板28と、第2のピックアップ光学系29と、拡散反射素子30とは、それぞれの光学中心を図2中に示す光軸ax1に一致させた状態で、光軸ax1上に順次並んで配置されている。一方、発光素子27と、第1のピックアップ光学系26と、光学素子25Aと、インテグレータ光学系31と、偏光変換素子32と、重畳光学系33とは、それぞれの光学中心を図2中に示す光軸ax2に一致させた状態で、光軸ax2上に順次並んで配置されている。光軸ax1と光軸ax2とは、同一面内にあり、互いに直交する位置関係にある。
アレイ光源21Aは、複数の第1の半導体レーザー211と、複数の第2の半導体レーザー212と、を備える。複数の第1の半導体レーザー211と複数の第2の半導体レーザー212とは、光軸ax1と直交する同一面21c内において、アレイ状に並んで配置されている。第1の半導体レーザー211、第2の半導体レーザー212のそれぞれの個数は特に限定されない。アレイ光源21Aは、特許請求の範囲における光源装置に相当する。
第1の半導体レーザー211は、照明光として利用される第1の光である青色光BL’を射出する。第1の半導体レーザー211は、青色光BL’として、例えばピーク波長が460nmのレーザー光を射出する。第2の半導体レーザー212は、後述する蛍光体を励起する第2の光である励起光BLを射出する。第2の半導体レーザー212は、励起光BLとして、例えばピーク波長が446nmのレーザー光を射出する。励起光BLと青色光BL’とは、アレイ光源21Aから偏光分離素子50Aに向けて射出される。
アレイ光源21Aから射出された励起光BLと青色光BL’とは、コリメーター光学系22に入射する。コリメーター光学系22は、アレイ光源21Aから射出された励起光BLおよび青色光BL’を平行光束に変換する。コリメーター光学系22は、例えばアレイ状に並んで配置された複数のコリメーターレンズ22aで構成されている。複数のコリメーターレンズ22aは、複数の第1の半導体レーザー211と複数の第2の半導体レーザー212とにそれぞれ対応して配置されている。
コリメーター光学系22を透過することにより平行光束に変換された励起光BLおよび青色光BL’は、アフォーカル光学系23に入射する。アフォーカル光学系23は、励起光BLおよび青色光BL’の光束径を調整する。アフォーカル光学系23は、例えばアフォーカルレンズ23a,アフォーカルレンズ23bから構成されている。
アフォーカル光学系23を透過することにより光束径が調整された励起光BLおよび青色光BL’は、ホモジナイザー光学系24に入射する。ホモジナイザー光学系24は、励起光BLおよび青色光BL’の光強度分布を、例えばトップハット型分布と呼ばれる均一な光強度分布に変換する。ホモジナイザー光学系24は、例えばマルチレンズアレイ24a,マルチレンズアレイ24bから構成されている。
ホモジナイザー光学系24から射出された励起光BLおよび青色光BL’は、光学素子25Aに入射する。光学素子25Aは、例えば波長選択性を有するダイクロイックプリズムで構成されている。ダイクロイックプリズムは、光軸ax1に対して45°の角度をなす傾斜面Kを有している。傾斜面Kは、光軸ax2に対しても45°の角度をなしている。光学素子25Aは、互いに直交する光軸ax1,ax2の交点と傾斜面Kの光学中心とが一致するように配置されている。光学素子25Aとしては、ダイクロイックプリズムのようなプリズム形状のものに限らず、平行平板状のダイクロイックミラーを用いてもよい。
傾斜面Kには、波長選択性を有する偏光分離素子50Aが設けられている。偏光分離素子50Aは、励起光BL及び青色光BL’を、偏光分離素子50Aに対するS偏光成分とP偏光成分とに分離する偏光分離機能を有している。具体的に、偏光分離素子50Aは、励起光BLのS偏光成分および青色光BL’のS偏光成分を反射させ、励起光BLのP偏光成分および青色光BL’のP偏光成分を透過させる。
また、偏光分離素子50Aは、後述する励起光BLと青色光BL’とは波長帯が異なる第3の光である蛍光光YLを、蛍光光YLの偏光状態に依らずに透過させる色分離機能を有している。
励起光BLと青色光BL’とは、コヒーレントな直線偏光光である。また、励起光BLと青色光BL’とは、偏光分離素子50Aに入射するときの互いの偏光方向が異なっている。
具体的に、励起光BLの偏光方向は、偏光分離素子50Aで反射する一方の偏光成分、例えばS偏光成分の偏光方向と一致している。一方、青色光BL’の偏光方向は、偏光分離素子50Aで透過する他方の偏光成分、例えばP偏光成分の偏光方向と一致している。このように、偏光分離素子50Aに入射するときの励起光BLの偏光方向と青色光BL’の偏光方向とは互いに直交する。この構成を実現するためには、青色光BL’が第1の半導体レーザー211から射出されたときの偏光方向と、励起光BLが第2の半導体レーザー212から射出されたときの偏光方向と、が直交するように、第1の半導体レーザー211と第2の半導体レーザー212とを配置すればよい。
偏光分離素子50Aに入射した励起光BLは、偏光方向がS偏光成分と一致していることから、S偏光の励起光BLsとして、発光素子27に向けて反射する。一方、偏光分離素子50Aに入射した青色光BL’は、偏光方向がP偏光成分と一致していることから、P偏光の青色光BLp’として、拡散反射素子30に向けて透過する。
ここで、偏光分離素子50Aに入射するときの励起光BLの偏光方向が青色光BL’の偏光方向と同じであった場合について考察する。この場合、青色光BL’はP偏光であるため、励起光BLもP偏光である。偏光分離素子50AがP偏光の励起光BLを反射させるためには、偏光分離素子50Aはピーク波長460nmの青色光BL’に対しては偏光分離機能を持ちながら、ピーク波長446nmの励起光BLに対しては偏光分離機能を持ってはいけない。しかし、このような特性の偏光分離素子を製造することは困難である。
一方、本実施形態では、励起光BLはS偏光であり、青色光BL’はP偏光である。この場合、偏光分離素子50Aは、ピーク波長460nmの青色光BL’に対してだけでなく、ピーク波長446nmの励起光BLに対しても偏光分離機能を持っていてよい。そのため、偏光分離素子の製造は容易である。
偏光分離素子50Aから射出されたS偏光の励起光BLsは、第1のピックアップ光学系26に入射する。第1のピックアップ光学系26は、励起光BLsを発光素子27の蛍光体層34に向けて集光させる。第1のピックアップ光学系26は、例えばピックアップレンズ26a,ピックアップレンズ26bから構成されている。
第1のピックアップ光学系26から射出された励起光BLsは、発光素子27に入射する。発光素子27は、蛍光体層34と、蛍光体層34を支持する基板35と、を有している。励起光BLsが蛍光体層34に入射することにより蛍光体層34に含まれる蛍光体が励起され、励起光BLsとは波長が異なる蛍光光YLが生成される。
発光素子27では、蛍光体層34の励起光BLsが入射する側とは反対側の面を基板35に接触させた状態で、蛍光体層34の側面と基板35との間に設けられた接着剤(図示略)によって、蛍光体層34が基板35に固定されている。発光素子の詳細な構成については後で説明する。
蛍光体層34から射出された蛍光光YLは、偏光方向が揃っていない非偏光光のため、第1のピックアップ光学系26を通過した後、非偏光の状態のまま偏光分離素子50Aに入射する。蛍光光YLは、偏光分離素子50Aを透過し、インテグレータ光学系31に向けて進む。
偏光分離素子50Aから射出されたP偏光の青色光BLp’は、位相差板28に入射する。位相差板28は、偏光分離素子50Aと拡散反射素子30との間の光路中に配置された1/4波長板から構成されている。したがって、偏光分離素子50Aから射出されたP偏光の青色光BLp’は、位相差板28により円偏光の青色光BLc’に変換された後、第2のピックアップ光学系29に入射する。
第2のピックアップ光学系29は、青色光BLc’を拡散反射素子30に向けて集光させる。第2のピックアップ光学系29は、例えばピックアップレンズ29aとピックアップレンズ29bとから構成されている。
拡散反射素子30は、第2のピックアップ光学系29から射出された青色光BLc’を偏光分離素子50Aに向けて拡散反射させる。特に拡散反射素子30としては、拡散反射素子30に入射した青色光BLc’をランバート反射させるものを用いることが好ましい。照明装置2においては、この種の拡散反射素子30を用いることにより、青色光BLc’を拡散反射させつつ、均一な照度分布を有する青色光BLc’を得ることができる。
図2に示すように、拡散反射素子30で拡散反射された青色光BLc’は、再び位相差板28に入射することによって、円偏光の青色光BLc’からS偏光の青色光BLs’に変換された後、偏光分離素子50Aに入射する。S偏光の青色光BLs’は、偏光分離素子50Aからインテグレータ光学系31に向けて反射される。
このようにして、青色光BLs’は、偏光分離素子50Aを透過した蛍光光YLとともに、照明光WLとして利用される。すなわち、青色光BLs’と蛍光光YLとは、偏光分離素子50Aから互いに同一方向に向けて射出される。これにより、青色光BLs’と蛍光光(黄色光)YLとが合成された白色の照明光WLが得られる。
偏光分離素子50Aから射出された照明光WLは、インテグレータ光学系31に入射する。インテグレータ光学系31は、照明光WLの照度分布を均一化する。インテグレータ光学系31は、例えば、レンズアレイ31a,レンズアレイ31bから構成されている。レンズアレイ31a,31bは、複数のマイクロレンズがアレイ状に配列されたものからなる。
インテグレータ光学系31を透過した照明光WLは、偏光変換素子32に入射する。偏光変換素子32は、照明光WLの偏光方向を揃えるものである。偏光変換素子32は、例えば、偏光分離膜と位相差板とミラーとから構成されている。偏光変換素子32は、偏光方向が揃っていない蛍光光YLと、S偏光の青色光BLs’の偏光方向との偏光方向を揃えるため、他方の偏光成分を一方の偏光成分に、例えばP偏光成分をS偏光成分に変換する。
偏光変換素子32を通過することにより偏光方向が揃えられた照明光WLは、重畳光学系33に入射する。重畳光学系33は、偏光変換素子32から射出された照明光WLを重畳させる。重畳光学系33は、例えば、重畳レンズから構成されている。重畳光学系33を通過することにより重畳された照明光WLは、その輝度分布が均一化された状態で照明装置2から射出される。
以下、発光素子27について説明する。
図3、図4に示すように、発光素子27は、基板35と、蛍光体層34と、第1の反射層41と、第2の反射層42と、ヒートシンク38と、を備えている。基板35の第1の面35aに蛍光体層34が設けられている。蛍光体層34は、接着剤(図示略)により基板35に固定されている。基板35および接着剤の材質は特に限定されないが、熱伝導率に優れたものを用いることが好ましい。これにより、蛍光体層34で生じた熱が基板35や接着剤を介して放散しやすくなる。基板35の法線方向から見て、基板35の平面形状と蛍光体層34の平面形状はともに矩形である。また、蛍光体層34の平面寸法は基板35の平面寸法よりも小さい。
蛍光体層34は、波長446nmの励起光BLsを吸収して励起される蛍光体43と、蛍光体43を含有するバインダー44を含んでいる。蛍光体43は、励起光BLsにより励起された際に、例えば500〜700nmの波長域にピーク波長を有する黄色の蛍光光YLを生成する。蛍光体層34には、耐熱性及び表面加工性に優れたものを用いることが好ましい。このような蛍光体層34としては、例えばアルミナ等の無機のバインダー44中に蛍光体43を分散させた蛍光体層34が好適に用いられる。もしくは、バインダー44を用いずに蛍光体を焼結した蛍光体層を用いることもできる。
以下の説明では、蛍光体層34の6つの面のうち、基板35と接する面を裏面34aと称し、基板35と接する面と反対側の面を表面34bと称し、裏面34aおよび表面34bと垂直な4つの面を側面34cと称する。本実施形態の裏面34aは特許請求の範囲の第1の面に対応し、表面34bは特許請求の範囲の第2の面に対応し、側面34cは特許請求の範囲の第3の面に対応する。
蛍光体層34の裏面34aと基板35との間に、第1の反射層41が設けられている。第1の反射層41は、例えば銀、アルミニウム、もしくは銀とアルミニウムとを主体とする合金等の反射率が高い金属で形成されている。第1の反射層41は、例えば蛍光体層34の裏面34aに蒸着法、スパッタ法等の成膜法を用いて形成されたものであり、蛍光体層34の裏面34aに密着している。蛍光体層34の裏面34aと第1の反射層41との第1の界面は、第1の凹凸構造45を有している。本実施形態における第1の凹凸構造45は、形状、サイズ、ピッチ、および配置の全てが不規則な複数の凹凸で構成されている。第1の凹凸構造45は、例えば蛍光体層34を製造する際の焼結工程でできた蛍光体層裏面の凹凸構造をそのまま利用し、凹凸構造の上に反射性を有する金属を成膜することで形成されたものである。蛍光体層34の裏面34aの凹凸形状が第1の反射層41の凹凸形状に反映されている。
蛍光体層34の側面34cに、第2の反射層42が設けられている。第2の反射層42は、第1の反射層41と同様、例えば銀、アルミニウム、もしくは銀とアルミニウムとを主体とする合金等の反射率が高い金属で形成されている。第2の反射層42は、例えば蛍光体層34の側面34cに蒸着法、スパッタ法等の成膜法を用いて形成されたものであり、蛍光体層34の側面34cに密着している。蛍光体層34の側面34cと第2の反射層42との第2の界面は、第2の凹凸構造46を有している。本実施形態における第2の凹凸構造46は、形状、サイズ、ピッチ、および配置の全てが不規則な複数の凹凸で構成されている。第2の凹凸構造46は、例えば蛍光体層34を製造する際のダイシング工程でできた蛍光体層側面の凹凸構造をそのまま利用し、凹凸構造の上に反射性を有する金属を成膜することで形成されたものである。蛍光体層34の側面34cの凹凸形状が第2の反射層42の凹凸形状に反映されている。
本実施形態の第1の反射層41は、特許請求の範囲の第1の反射部材に対応する。本実施形態の第2の反射層42は特許請求の範囲の第2の反射部材に対応する。説明の都合上、第1の反射層41と第2の反射層42とを区別するが、実際の第1の反射層41と第2の反射層42とは、別体の反射層であってもよいし、一体の反射層であってもよい。
このように、蛍光体層34の裏面34aは第1の反射層41で覆われ、蛍光体層34の側面34cは第2の反射層42で覆われている。そのため、蛍光体層34の表面34bから励起光BLsが入射し、励起された蛍光体43から生成された蛍光光YLの一部は、第1の反射層41もしくは第2の反射層42で反射することなく、蛍光体層34の表面34bから外部に直接射出される。また、蛍光体34から生成された蛍光光YLの残りは、第1の反射層41もしくは第2の反射層42で反射した後、蛍光体層34の表面34bから外部に射出される。
基板35の第2の面35bには、ヒートシンク38が配置されている。蛍光体層34で生じた熱は、基板35を介してヒートシンク38から外部に放散される。これにより、蛍光体層34の熱劣化を防ぐことができる。
以下、第1の凹凸構造45、第2の凹凸構造46、および第2の反射層42が奏する効果について説明する。
図5(A)は、裏面および側面が凹凸構造を持たない蛍光体層の断面図である。
蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cが凹凸構造を持たない場合、言い換えると、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cが鏡面である場合、蛍光体43で生成された蛍光光のうち、蛍光体層34の表面34bに向かって進み、臨界角よりも小さい入射角で表面に入射した蛍光光YL1は、反射することなく外部に射出される。
一方、蛍光体層34のいずれの面に対しても、臨界角よりも大きい入射角で入射した光YL2は全反射する。このとき、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cが鏡面であると、各面での反射が常に全反射となるため、反射を何回繰り返しても光の表面34bに対する入射角は変わらない。そのため、界面で一旦全反射した光は、蛍光体層34の内部に閉じ込められ、蛍光体層34の外部に取り出されることはない。
図5(B)は、裏面34aに第1の凹凸構造45および第1の反射層41が設けられ、側面34cに第2の凹凸構造46が設けられ、第2の反射層42が設けられていない蛍光体層34の断面図である。
この場合、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cにそれぞれ凹凸構造が設けられているため、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cにおける光の反射は正反射ではない。すなわち、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cで光が反射するとき、光の入射角と反射角とが異なる。したがって、光が蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cで反射するたびに蛍光体層34の各面への光の入射角が変化する。そのため、蛍光体層34の各面で一旦全反射した光であっても、表面34bに対する入射角が臨界角よりも小さく変化した光YL5は蛍光体層34の表面34bを透過し、蛍光体層34の外部に射出される。
ただし、図5(B)の例では、蛍光体層34の側面34cに第2の反射層42が設けられていないため、臨界角よりも小さい入射角で蛍光体層34の側面34cに入射した光YL3の一部は、蛍光体層34の側面34cから外部に射出されてしまう。このような光YL3は、蛍光体層34の表面34bから射出された光とともに照明光として利用することは難しい。
図5(C)は、裏面34aに第1の凹凸構造45および第1の反射層41が設けられ、側面34cに第2の凹凸構造46および第2の反射層42が設けられた、本実施形態の蛍光体層34の断面図である。
蛍光体層34の側面34cに第2の反射層42が設けられていない図5(B)の例では、蛍光体層34の側面34cから外部に射出される光YL3がある。これに対して、蛍光体層34の側面34cに第2の反射層42が設けられた図5(C)の例では、蛍光体層34の側面34cに達した光YL4は、第2の反射層42で反射するため、外部に射出されることがない。第2の反射層42で反射した光YL4は、その後、表面34bに対する入射角が臨界角よりも小さく変化した時点で蛍光体層34の表面34bを透過し、蛍光体層34の外部に射出される。
以上説明したように、本実施形態の発光素子27によれば、蛍光体層34の裏面34aおよび側面34cに凹凸構造を持たない発光素子に比べて、蛍光体層34の内部に閉じ込められる光の量を減らすことができ、光の取り出し効率を高めることができる。特に本実施形態の場合、蛍光体層34の製造プロセス中にできる凹凸構造を利用して第1の凹凸構造45、第2の凹凸構造46を形成できるため、製造コストを増やすことなく光の取り出し効率を高めることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図6〜図8を用いて説明する。
第2実施形態は、プロジェクターおよび照明装置の基本構成が第1実施形態と同様であり、発光素子の構成が第1実施形態と異なる。
図6は、第2実施形態の発光素子を示す断面図である。
図6において、第1実施形態で用いた図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1実施形態の発光素子27において、第1の凹凸構造45および第2の凹凸構造46は、形状、サイズ、ピッチ、および配置の全てが不規則な複数の凹凸で構成されている。これに対して、図6に示すように、第2実施形態の発光素子60において、第1の凹凸構造61および第2の凹凸構造62は、形状、サイズ、ピッチ、および配置が規則的な複数の凹凸で構成されている。第2実施形態の説明において、蛍光体層63の裏面63aおよび表面63bと平行な面内で互いに直交する2つの方向をx方向、y方向と称し、蛍光体層63の裏面63aおよび表面63bと垂直な方向、いわゆる蛍光体層63の厚さ方向をz方向と称する。
図7は、蛍光体層63の裏面63aに設けられた第1の反射層65を示す斜視図である。
第1実施形態と同様、蛍光体層63の裏面63aは第1の反射層65と密着しているため、蛍光体層63の裏面63aの凹凸形状が第1の反射層の凹凸形状に反映されている。したがって、図7に示す第1の反射層65の凹凸形状は、蛍光体層63の裏面63aと第1の反射層65との界面の第1の凹凸構造61と一致する。
以下の第1の凹凸構造61の説明では、第1の反射層65が凹になっている箇所を凹部、第1の反射層65が凸になっている箇所を凸部と称する。
図7に示すように、第1の凹凸構造61は、複数の凹部68がx方向とy方向とにアレイ状に規則的に配列された構成を有している。よって、第1の凹凸構造61は周期構造である。また、全ての凹部68の内側に窪んだ湾曲面は、同じ曲率を有する球面である。したがって、凹部68の内面のx方向の曲率とy方向の曲率とは等しい。また、第1の凹凸構造61のx方向の周期P1xとy方向の周期P1yとは等しい。
図8(A)は、蛍光体層63の4つの側面63cのうち、x方向に垂直な側面63cに設けられた第2の反射層66を示す斜視図である。図8(B)は、図8(A)のb−b’線に沿う断面図である。図8(C)は、図8(A)のc−c’線に沿う断面図である。なお、説明を省略するが、y方向に垂直な側面に設けられた第2の反射層も同一の構成を有している。
蛍光体層63の側面63cと第2の反射層66とは密着しているため、蛍光体層63の側面63cの凹凸形状が第2の反射層66の凹凸形状に反映されている。したがって、図8(A)に示す第2の反射層66の凹凸形状は、蛍光体層63の側面63cと第2の反射層66との界面の第2の凹凸構造62と一致する。
以下の第2の凹凸構造62の説明では、第2の反射層66が凹になっている箇所を凹部、第2の反射層66が凸になっている箇所を凸部と称する。
図8(A)に示すように、第2の凹凸構造62は、複数の凹部69がy方向とz方向にアレイ状に規則的に配列された構成を有している。よって、第2の凹凸構造62は周期構造である。また、全ての凹部69の内側に窪んだ湾曲面は、同じ曲率を有する球面である。したがって、凹部69の内面のy方向の曲率とz方向の曲率とは等しい。ただし、第2の凹凸構造62のy方向の周期P2yとz方向の周期P2zとは異なる。第2の凹凸構造62のz方向の周期P2zは、y方向の周期P2yよりも長い。その他の発光素子60の構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態の発光素子60においても、蛍光体層の裏面および側面に凹凸構造を持たない発光素子に比べて、光の取り出し効率を高めることができる、という第1実施形態と同様の効果が得られる。
本実施形態の場合、図7に示す第1の凹凸構造61については、x方向の周期P1xとy方向の周期P1yとが等しいため、光が凹部で反射する際のx方向の拡散角とy方向の拡散角とは等しい。これに対し、図8(A)〜(C)に示す第2の凹凸構造62については、z方向の周期P2zがy方向の周期P2yよりも長いため、光が凹部69で反射する際のz方向の拡散角θzはy方向の拡散角θyよりも大きくなる。蛍光体層63の内部を進む光は、蛍光体層63の表面63bから射出されるため、光が第2の反射層66で反射する際に表面63bに平行な方向については、例えば拡散角θyがいくら大きくても、蛍光体層63の表面63bからの取り出し効率には影響がない。一方、表面63bに垂直な方向(z方向)については、拡散角θzが大きければ、蛍光体層63の表面63bに対する光の入射角が大きく変化するため、光はより少ない反射回数で蛍光体層63の表面63bから射出される。したがって、第2の凹凸構造62のz方向の周期P2zがy方向の周期P2yよりも長いことは、光の取り出し効率の向上にとって有利である。
上記のことから、y方向の拡散角θyの大きさが蛍光体層63の表面63bからの取り出し効率に影響しないということは、y方向の拡散角θyは0、すなわち正反射でもよいことを意味する。したがって、図8に示した凹部69は、y方向には必ずしも曲率を持たなくてもよい。すなわち、第2の凹凸構造62は、図8(A)に示すように、複数の凹部69が必ずしもy方向とz方向にアレイ状に配列されていなくてもよく、y方向に長く延びる溝状の凹部がz方向に配列された凹凸構造であってもよい。
なお、第1の凹凸構造および第2の凹凸構造を構成する凹部の内面は必ずしも湾曲面でなくてもよい。例えば図9に示す発光素子75のように、蛍光体層6は、断面形状が三角形状の凹部からなる第1の凹凸構造71もしくは第2の凹凸構造72であってもよい。図9の構成の場合も、上記実施形態と同様、個々の凹部が多角錐状の凹部であってもよいし、長手方向と直交する断面形状が三角形の溝状の凹部であってもよい。
本発明者らは、本発明の効果を実証するためのシミュレーションを行った。
第1の凹凸構造、第2の反射層、第2の凹凸構造の3つの構成要件の有無によって、蛍光体層の表面から取り出される光の量がどのように変わるかを調べた。
シミュレーションのモデルとして、蛍光体層に含まれる1個の蛍光体粒子の体積を0.064mm、蛍光体粒子の個数を252個、蛍光体層中に占める蛍光体粒子の体積濃度を13.2%、蛍光体層を構成するバインダーを屈折率1.76の透光性セラミック、とした。第1の凹凸構造と第2の凹凸構造の双方に共通する凹凸構造として、凹部の曲率半径が0.01mm、凹部の縦ピッチおよび横ピッチがいずれも0.01mmのアレイ状凹凸構造を採用した。つまり、凹凸構造が規則的な複数の凹凸で構成されている。また、第1の反射層および第2の反射層の反射率を95%とした。また、蛍光体層内部に4個の光源を配置し、4個の光源の合計光量を100lmとした。
本発明者らは、4種類の実施例と4種類の比較例とを含む、以下の8種類のモデルを想定した。なお、8種類全てのモデルが蛍光体層裏面の第1の反射層を有するものとした。
第1の凹凸構造を有し、第2の反射層を有し、第2の凹凸構造を有するモデルを実施例1とした。
第1の凹凸構造を有し、第2の反射層を有し、第2の凹凸構造を有していないモデルを実施例2とした。
第1の凹凸構造を有し、第2の反射層を有しておらず、第2の凹凸構造を有するモデルを実施例3とした。
第1の凹凸構造を有し、第2の反射層を有しておらず、第2の凹凸構造を有していないモデルを実施例4とした。
第1の凹凸構造を有しておらず、第2の反射層を有し、第2の凹凸構造を有するモデルを比較例1とした。
第1の凹凸構造を有しておらず、第2の反射層を有し、第2の凹凸構造を有していないモデルを比較例2とした。
第1の凹凸構造を有しておらず、第2の反射層を有しておらず、第2の凹凸構造を有するモデルを比較例3とした。
第1の凹凸構造を有しておらず、第2の反射層を有しておらず、第2の凹凸構造を有していないモデルを実施例4とした。
8種類のモデルについて、蛍光体層の表面から取り出される光の量[lm]、および、最も取り出し光量が少ない比較例4を100%としたときの取り出し光量の相対比[%]を算出した。その結果を[表1]に示す。
Figure 2015087423
表1に示す通り、実施例1〜4のモデルの取り出し光量は、比較例1〜4のモデルの取り出し光量を全て上回り、特に比較例4のモデルの取り出し光量と比べて、約2倍以上となった。このことから、蛍光体層裏面の第1の凹凸構造が取り出し光量の増大に寄与していることが判った。特に、第1の凹凸構造、第2の反射層および第2の凹凸構造の全てを有する実施例1のモデル、第1の凹凸構造および第2の反射層を有する実施例2のモデルについては、3つの構成要件全てを有していない比較例4のモデルの約3倍の取り出し光量が得られた。このことから、蛍光体層裏面の第1の凹凸構造と蛍光体層側面の第2の反射層とが取り出し光量の増大に大きく寄与していることが判った。
なお、第1実施形態のように、凹凸構造が、形状、サイズ、ピッチ、および配置の全てが不規則な複数の凹凸で構成されている場合も、凹凸構造が規則的な複数の凹凸で構成されている場合と同様な傾向が得られる。すなわち、第1の反射層および第1の凹凸構造を備える場合の光取り出し効率は、第1の反射層は備えるけれども第1の凹凸構造を備えない場合の光取り出し効率よりも高い。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、蛍光体層側面の第2の反射層、第2の凹凸構造の双方を備えた例を挙げたが、第2の反射層、第2の凹凸構造のいずれか一方のみを備えていてもよいし、第2の反射層、第2の凹凸構造の双方を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、励起光用のレーザー光源にピーク波長が446nmのレーザー光を射出する第2の半導体レーザーを用い、青色光用のレーザー光源にピーク波長が460nmのレーザー光を射出する第1の半導体レーザーを用いる構成を例示したが、励起光BL及び青色光BL’のピーク波長については、このような例に必ずしも限定されるものではない。
また、上記実施形態では、3つの光変調装置を備えるプロジェクターを例示したが、1つの光変調装置でカラー映像(画像)を表示するプロジェクターに適用することも可能である。その他、上記実施形態で開示した発光素子、照明装置、プロジェクターの各種構成要件の数、寸法、配置等については適宜変更が可能である。
2…照明装置、4R…赤色光用光変調装置、4G…緑色光用光変調装置、4B…青色光用光変調装置、6…投射光学系、21A…アレイ光源(光源装置)、27,60,75…発光素子、34,63…蛍光体層、41,65,73…第1の反射層(第1の反射部材)、42,66,74…第2の反射層(第2の反射部材)、45,61,71…第1の凹凸構造、46,62,72…第2の凹凸構造。

Claims (9)

  1. 第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面と、を備えた蛍光体層と、
    前記第1の面の上に設けられた第1の反射部材と、を備え、
    前記第1の面と前記第1の反射部材との第1の界面が第1の凹凸構造を有し、
    前記蛍光体層で生成された光が前記第2の面から前記蛍光体層の外部に射出されることを特徴とする発光素子。
  2. 前記第1の凹凸構造は周期構造であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記蛍光体層が第3の面をさらに備え、
    第2の反射部材が前記第3の面の上に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記第3の面と前記第2の反射部材との第2の界面が第2の凹凸構造を有することを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
  5. 前記蛍光体層が第3の面をさらに備え、
    前記第3の面が第2の凹凸構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  6. 前記第2の凹凸構造は周期構造であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の発光素子。
  7. 前記第2の凹凸構造の第1の方向の周期が、前記第2の凹凸構造の第2の方向の周期と異なることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の発光素子と、
    前記発光素子の前記蛍光体層に光を照射する光源装置と、を備えたことを特徴とする照明装置。
  9. 請求項8に記載の照明装置と、
    前記照明装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
    前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えたことを特徴とするプロジェクター。
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