以下、本発明の光源装置及びプロジェクターの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(第1実施形態)
本実施形態に係るプロジェクターの構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す平面図である。
プロジェクター1は、図1に示すように、スクリーンSCR上にカラー映像(画像)を表示する投射型画像表示装置であり、照明装置として本発明の光源装置の一実施形態に係るものを備えている。また、プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を用いている。さらに、プロジェクター1は、照明装置の光源として、高輝度・高出力な光が得られる半導体レーザー(レーザー光源)を用いている。
プロジェクター1は、図1に示すように、照明光(白色光)WLを射出する照明装置(光源装置)2と、照明装置2からの照明光WLを赤色光LR、緑色光LG、青色光LBに分離する色分離光学系3と、各色光LR,LG,LBを画像情報に応じて変調し、各色光LR,LG,LBに対応した画像光を形成する光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、各光変調装置4R,4G,4Bからの画像光を合成する合成光学系5と、合成光学系5からの画像光をスクリーンSCRに向かって投射する投射光学系6とを概略備えている。
色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bとを概略備えている。
このうち、第1のダイクロイックミラー7aは、照明装置2からの照明光WLを赤色光LRとその他の色光LG,LBとに分離する機能を有し、分離された赤色光LRを透過すると共に、その他の色光LG,LBを反射する。一方、第2のダイクロイックミラー7bは、その他の色光LG,LBを緑色光LGと青色光LBとに分離する機能を有し、分離された緑色光LGを反射すると共に、青色光LBを透過する。
第1の全反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されて、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置されて、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4Bに導く。なお、緑色光LGについては、第2のダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路の、第2のダイクロイックミラー7bの下流に配置されている。第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることによる青色光LBの光損失を補償する機能を有している。
光変調装置4R,4G,4B各々は、液晶パネルからなり、入射側及び射出側それぞれに図示しない偏光板を備えている。光変調装置4R,4G,4B各々は、各色光LR,LG,LBを画像情報に応じて変調することによって画像光を形成する。
また、各光変調装置4R,4G,4Bの入射面側には、各光変調装置4R,4G,4Bに入射する各色光LR,LG,LBを平行化するフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。
合成光学系5は、クロスダイクロイックプリズムからなり、各光変調装置4R,4G,4Bから入射した画像光を合成し、この合成された画像光を投射光学系6に向かって射出する。
投射光学系6は、投射レンズ群からなり、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向かって拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像(画像)が表示される。
(照明装置)
続いて、上記プロジェクター1に用いられる照明装置2の構成について説明する。図2は、照明装置2の概略構成を示す平面図である。
照明装置2は、図2に示すように、アレイ光源21と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム(合成手段)25と、ピックアップ光学系27と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子127と、蛍光発光素子128と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31とを概略備えている。
アレイ光源21は、複数の半導体レーザー(第1励起光源)21aをアレイ状に配置した第1アレイ光源21Aと、複数の半導体レーザー(第2励起光源)21bをアレイ状に配置した第2アレイ光源21Bと、を含む。本実施形態において、アレイ光源21から後述する蛍光発光素子127に向けて射出される光の光軸を光軸ax1とする。また、後述する蛍光発光素子128から重畳光学系31側に向けて射出される光の光軸を光軸ax2とする。なお、図2では、簡略化のため、1個の半導体レーザー21aと1個の半導体レーザー21bを描いてある。
光軸ax1と光軸ax2とは同一平面内にあり、且つ互いに直交している。光軸ax1上においては、アレイ光源21と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム25と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子(第2の蛍光発光素子)127とが、この順に並んで配置されている。
一方、光軸ax2上においては、蛍光発光素子(第1の蛍光発光素子)128と、ピックアップ光学系27と、ダイクロイックプリズム25と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31とが、この順に並んで配置されている。
半導体レーザー21aは、第1の波長域の光として、400〜410nmの波長域にピーク波長(例えば、405nm)を有する紫色の励起光PLを射出する。また、各半導体レーザー21aから射出される励起光PLは、コヒーレントな直線偏光の光であり、ダイクロイックプリズム25に向かって光軸ax1と平行に射出される。
半導体レーザー21bは、第3の波長帯の励起光として、440〜460nmの波長域にピーク波長(例えば、440nm)を有する青色の励起光BLを射出する。また、各半導体レーザー21bから射出される励起光BLは、コヒーレントな直線偏光の光であり、ダイクロイックプリズム25に向かって光軸ax1と平行に射出される。
このようにして、アレイ光源21から射出された励起光BLおよび励起光PLは、それぞれコリメータ光学系22に入射する。
コリメータ光学系22は、各半導体レーザー21a、21bに対応してアレイ状に並んで配置された複数のコリメータレンズ22aを有する。コリメータ光学系22は、アレイ光源21から射出された励起光BLおよびPLを平行光に変換する。コリメータ光学系22により平行光に変換された励起光BLおよびPLは、アフォーカル光学系23に入射する。
アフォーカル光学系23は、励起光BLおよびPLのサイズ(スポット径)を調整する。アフォーカル光学系23は、例えば2枚のアフォーカルレンズ23a,アフォーカルレンズ23bから構成されている。アフォーカル光学系23を通過することによりサイズが調整された励起光BLおよびPLは、ホモジナイザ光学系24に入射する。
ホモジナイザ光学系24は、例えば一対のマルチレンズアレイ24a,マルチレンズアレイ24bからなる。ホモジナイザ光学系24とピックアップ光学系41とを用いることによって、蛍光発光素子127を励起光BLで均一に照射することができる。また、ホモジナイザ光学系24とピックアップ光学系27とを用いることによって、蛍光発光素子128を励起光PLで均一に照射することができる。
ダイクロイックプリズム25は、プリズム52と、プリズム53と、これらプリズム52およびプリズム53間に設けられた誘電体多層膜51と、を有する。ダイクロイックプリズム25は、光軸ax1、ax2に対して誘電体多層膜51がそれぞれ45°の角度をなすように配置されている。ダイクロイックプリズム25は、互いに直交する光軸ax1,ax2の交点と誘電体多層膜51の光学中心とが一致するように配置されている。誘電体多層膜51は、第3の波長帯の励起光BL(青色光)を主として透過させ、第1の波長帯の励起光PL(紫色光)を主として反射する。また、誘電体多層膜51は、後述のように励起光BLの照射によって蛍光発光素子127から射出される第4の波長帯の蛍光光(黄色光)YLを主として反射させ、励起光PLの照射によって蛍光発光素子128から射出される第2の波長帯の蛍光光(青色光)BL1を主として透過させる。
ここで、誘電体多層膜51が励起光BLを主として透過させるとは、励起光BLの透過率が励起光BLの反射率よりも高いことを意味する。好ましくは、励起光BLの透過率が少なくとも90%である。
また、誘電体多層膜51が励起光PLを主として反射させるとは、励起光PLの反射率が励起光PLの透過率よりも高いことを意味する。好ましくは、励起光PLの反射率が少なくとも90%である。
また、誘電体多層膜51が蛍光光BL1を主として透過させるとは、蛍光光BL1の透過率が蛍光光BL1の反射率よりも高いことを意味する。好ましくは、蛍光光BL1の透過率が少なくとも90%であることを意味する。また、誘電体多層膜51が蛍光光YLを主として反射させるとは、蛍光光YLの反射率が蛍光光YLの透過率よりも高いことを意味する。好ましくは、蛍光光YLの反射率が少なくとも90%であることを意味する。
ダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51を透過した励起光BLは、ピックアップ光学系41に入射する。このピックアップ光学系41は、励起光BLを蛍光発光素子127に向かって集光させるものであり、例えばピックアップレンズ41a,ピックアップレンズ41bから構成されている。ピックアップ光学系41により集光された励起光BLは、蛍光発光素子127に入射する。
ダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51で反射された励起光PLは、ピックアップ光学系27に入射する。このピックアップ光学系27は、励起光PLを蛍光発光素子128に向かって集光させるものであり、例えばピックアップレンズ27a,ピックアップレンズ27bから構成されている。ピックアップ光学系27により集光された励起光PLは、蛍光発光素子128に入射する。
蛍光発光素子127は、蛍光体層122と、この蛍光体層122を支持する反射基板123とを有している。蛍光発光素子127では、蛍光体層122の励起光BLが入射する側とは反対側の面を反射基板123に接触させた状態で、蛍光体層122が反射基板123に固定支持されている。反射基板123は、蛍光体層122の支持面側が鏡面反射面から構成されている。鏡面反射面は、蛍光体層122で生成された蛍光光を反射する。
蛍光体層122は、第3の波長帯の励起光BLを吸収して励起される蛍光体を含み、この励起光BLにより励起された蛍光体は、第3の波長帯とは異なる第4の波長帯の光として、例えば500〜680nmの波長帯にピーク波長を有する蛍光光(黄色光)YLを生成する。
蛍光体層122で生成された蛍光光YLのうち、一部の蛍光光は、反射基板123によって反射され、蛍光体層122の外部へと射出される。また、蛍光体層122で生成された蛍光光YLのうち、他の一部の蛍光光は、反射基板123を介さずに蛍光体層122の外部へと直接射出される。このようにして、蛍光体層122からピックアップ光学系41に向かって蛍光光YLが射出される。
蛍光発光素子128は、蛍光体層132と、この蛍光体層132を支持する反射基板133とを有している。蛍光発光素子128では、蛍光体層132の励起光PLが入射する側とは反対側の面を反射基板133に接触させた状態で、蛍光体層132が反射基板133に固定支持されている。反射基板133は、蛍光体層132の支持面側が鏡面反射面から構成されている。鏡面反射面は、蛍光体層132で生成された蛍光光を反射する。
なお、反射素子として反射基板133に代えて、例えば、熱伝導性が比較的高い銅などの基板と蛍光体層132との間に設けた反射膜を反射素子として用いても良い。反射膜としてはアルミニウムなどの高反射率材料を用いることができる。
蛍光体層132は、第1の波長帯の光である励起光PLを吸収して励起される蛍光体を含み、この励起光PLにより励起された蛍光体は、第1の波長帯とは異なる第2の波長帯の光として、例えば440〜460nmの波長域にピーク波長を有する蛍光光(青色光)BL1を生成する。
蛍光体層132で生成された蛍光光BL1のうち、一部の蛍光光は、反射基板133によって反射され、蛍光体層132の外部へと射出される。また、蛍光体層132で生成された蛍光光BL1のうち、他の一部の蛍光光は、反射基板133を介さずに蛍光体層132の外部へと直接射出される。このようにして、蛍光体層132からピックアップ光学系27に向かって蛍光光BL1が射出される。
上記蛍光体層122および132には、耐熱性及び表面加工性に優れたものを用いることが好ましい。例えば、蛍光体層122および132としては、アルミナ等の無機バインダー中に蛍光体粒子を分散させた蛍光体層や、バインダーを用いずに蛍光体粒子を焼結した蛍光体層などを好適に用いることができる。
本実施形態において、蛍光体層122および132は、側面に設けられた光反射特性を有する無機接着剤Sによって反射基板123および133に固定されている。これにより、蛍光発光素子128および127は、光反射特性を有する無機接着剤Sによって蛍光体層122および132の側面から漏れ出す光を蛍光体層122および132内へと反射させることが可能である。よって、蛍光体層122および132で生成された蛍光光の光取り出し効率を高めることができる。
反射基板123および133の蛍光体層122および132を支持する面とは反対側の面には、それぞれヒートシンク124および134が配置されている。ヒートシンク124および134は、蛍光体層の熱を放熱する。これにより、蛍光発光素子127および128は、蛍光体層122および132の熱劣化を防ぐことができる。
ピックアップ光学系41を透過した蛍光光YLは、ダイクロイックプリズム25に入射する。蛍光光YLは、誘電体多層膜51で反射されてインテグレータ光学系29に入射する。
また、ピックアップ光学系27を透過した蛍光光BL1は、ダイクロイックプリズム25に入射する。蛍光光BL1は、誘電体多層膜51を透過してインテグレータ光学系29に入射する。
このようにして、ダイクロイックプリズム25によって黄色である蛍光光YLと青色である蛍光光BL1とが混ざることによって、照明光(白色光)WLが得られる。この照明光WLは、インテグレータ光学系29に入射する。
インテグレータ光学系29は、一対のレンズアレイ29a,レンズアレイ29bからなる。これら一対のレンズアレイ29a,29bは、複数のレンズがアレイ状に配列されたものからなる。そして、このインテグレータ光学系29を通過した照明光WLは、偏光変換素子30に入射する。
偏光変換素子30は、照明光WLの偏光方向を揃えるものであり、例えば偏光分離膜と位相差板とを組み合わせたものからなる。特に、この偏光変換素子30は、偏光方向が揃っていない照明光WLの偏光方向を所定の偏光方向(例えば、S偏光)と一致させるように変換する。そして、この偏光変換素子30を通過することにより偏光方向が揃えられた照明光WLは、重畳光学系31に入射する。なお、照明光WLの偏光方向が揃っている場合、偏光変換素子30を設けなくても良い。
重畳光学系31は、重畳レンズ31aからなり、照明光WLは、この重畳光学系31を通過することにより光変調装置上で重畳される。インテグレータ光学系29と重畳光学系31とを用いることによって、光変調装置上での照度分布が均一化される。
以上のような構成を有する照明装置2では、蛍光発光素子127で生成された蛍光光YLおよび蛍光発光素子128で生成された蛍光光BL1を合成することで照明光(白色光)WLを生成することができる。よって、非コヒーレンス光のみから構成された照明光WLはスペックルノイズの無い光となる。
したがって、このような照明装置2をプロジェクター1の照明装置に適用することで、プロジェクター1自体はスペックルフリーで明るい画像を投射することができる。よって、プロジェクター1は、画像品質に優れた表示を行うことが可能となる。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係るプロジェクターに用いられる照明装置の構成について説明する。図3は、第2実施形態に係る照明装置2Aの概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と共通の部材および構成について同じ符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
本実施形態において、照明装置2Aは、図3に示すように、アレイ光源21と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム(合成手段)125と、ピックアップ光学系27と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子127と、蛍光発光素子128と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31と、を概略備えている。
本実施形態では、アレイ光源21から蛍光発光素子128に向けて射出される光の光軸を光軸ax1とする。また、蛍光発光素子127から重畳光学系31側に向けて射出される光の光軸を光軸ax2とする。なお、図3では、簡略化のため、1個の半導体レーザー21aと1個の半導体レーザー21bを描いてある。
本実施形態において、光軸ax1と光軸ax2とは同一平面内にあり、且つ互いに直交している。光軸ax1上においては、アレイ光源21と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム125と、ピックアップ光学系27と、蛍光発光素子128とが、この順に並んで配置されている。
一方、光軸ax2上においては、蛍光発光素子127と、ピックアップ光学系41と、ダイクロイックプリズム125と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31とが、この順に並んで配置されている。
本実施形態において、ダイクロイックプリズム125は、プリズム52と、プリズム53と、これらプリズム52およびプリズム53間に設けられた誘電体多層膜54と、を有する光学素子である。本実施形態に係る誘電体多層膜54は、第3の波長帯の励起光BL(青色光:黄色蛍光体用励起光)を主として反射させ、第1の波長帯の励起光PL(紫色光)を主として透過する。また、誘電体多層膜54は、後述のように第3の波長帯の励起光BLの照射によって蛍光発光素子127から射出される第4の波長帯の蛍光光(黄色光)YLを主として透過させ、第1の波長帯の励起光PLの照射によって蛍光発光素子128から射出される第2の波長帯の蛍光光(青色光:画像形成用青色光)BL1を主として反射させる。すなわち、本実施形態において、ダイクロイックプリズム125は、励起光PLおよびBLに対する反射特性および透過特性が第1実施形態に係るダイクロイックプリズム25とは反対となっている。
ダイクロイックプリズム125の誘電体多層膜54を透過した励起光PLは、ピックアップ光学系27に入射し、ピックアップ光学系27により集光されて蛍光発光素子128に入射する。蛍光発光素子128は、蛍光体層132で生成した蛍光光BL1をピックアップ光学系27に向けて射出する。
一方、ダイクロイックプリズム125の誘電体多層膜54で反射された励起光BLは、ピックアップ光学系41に入射し、ピックアップ光学系41により集光されて蛍光発光素子127に入射する。蛍光発光素子127は、蛍光体層122で生成した蛍光光YLをピックアップ光学系41に向けて射出する。
ピックアップ光学系27を透過した蛍光光BL1は、ダイクロイックプリズム125に入射する。蛍光光BL1は、誘電体多層膜54で反射されてインテグレータ光学系29に入射する。
一方、ピックアップ光学系41を透過した蛍光光YLは、ダイクロイックプリズム125に入射する。蛍光光YLは、誘電体多層膜54を透過してインテグレータ光学系29に入射する。
このようにダイクロイックプリズム125の下流側の光路上において黄色である蛍光光YLと青色である蛍光光BL1とが混ざることによって、照明光(白色光)WLが得られる。
本実施形態に係る照明装置2Aにおいても、非コヒーレンス光のみから構成された照明光(白色光)WLを生成することができる。したがって、このような照明装置2Aを備えたプロジェクターは、スペックルフリーで明るい画像品質に優れた表示を行うことができる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係るプロジェクターに用いられる照明装置の構成について説明する。図4は、第3実施形態に係る照明装置2Bの概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と共通の部材および構成について同じ符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
本実施形態において、照明装置2Bは、図4に示すように、第1アレイ光源121Aと、第2アレイ光源121Bと、コリメータ光学系22と、偏光ビームスプリッター140と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム125と、ピックアップ光学系27と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子127と、蛍光発光素子128と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31と、を概略備えている。
本実施形態では、第1アレイ光源121Aから偏光ビームスプリッター140に向けて射出される光の光軸を光軸ax3とする。また、蛍光発光素子127から重畳光学系31側に向けて射出される光の光軸を光軸ax2とする。また、第2アレイ光源121Bから偏光ビームスプリッター140に向けて射出される光の光軸を光軸ax1とする。
本実施形態において、第1アレイ光源121Aは、アレイ状に配置した複数の半導体レーザー(第1励起光源)121aを有し、第2アレイ光源121Bは、アレイ状に配置した複数の半導体レーザー(第2励起光源)121bを有する。なお、図4では、簡略化のため、2個の半導体レーザー121aと2個の半導体レーザー121bとを描いてある。
本実施形態において、光軸ax1、光軸ax2および光軸ax3はそれぞれ同一平面内にある。光軸ax1および光軸ax2は互いに直交し、光軸ax1および光軸ax3は互いに直交している。光軸ax1上においては、第2アレイ光源121Bと、コリメータ光学系22と、偏光ビームスプリッター140と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム125と、ピックアップ光学系27と、蛍光発光素子128とが、この順に並んで配置されている。
また、光軸ax2上においては、蛍光発光素子127と、ピックアップ光学系41と、ダイクロイックプリズム125と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31とが、この順に並んで配置されている。
また、光軸ax3上においては、第1アレイ光源121Aと、コリメータ光学系22と、偏光ビームスプリッター140とが、この順に並んで配置されている。
半導体レーザー121aは、第1の波長域の光として、400〜410nmの波長域にピーク波長(例えば、405nm)を有する紫色の励起光PLを射出する。また、各半導体レーザー121aから射出される励起光PLは、コヒーレントな直線偏光の光であり、偏光ビームスプリッター140に向かって光軸ax3と平行に射出される。本実施形態において、励起光PLはS偏光の光である。
半導体レーザー121bは、第3の波長帯の励起光として、440〜460nmの波長域にピーク波長(例えば、440nm)を有する青色の励起光BLを射出する。また、各半導体レーザー121bから射出される励起光BLは、コヒーレントな直線偏光の光であり、偏光ビームスプリッター140に向かって光軸ax1と平行に射出される。本実施形態において、励起光BLはP偏光の光である。
本実施形態において、偏光ビームスプリッター140は、半導体レーザー121bから射出されたP偏光の励起光BLを透過させるとともに、半導体レーザー121aから射出されたS偏光の励起光PLを反射させる特性を有する。図4においては、図を見易くするため、偏光ビームスプリッター140よりも下流側の光路において、偏光ビームスプリッター140を透過した励起光BLおよび偏光ビームスプリッター140で反射された励起光PLの光を1個づつ図示している。
偏光ビームスプリッター140を透過した励起光BLと偏光ビームスプリッター140で反射された励起光PLとは、それぞれアフォーカル光学系23およびホモジナイザ光学系24を経てダイクロイックプリズム125に入射する。
励起光PLはダイクロイックプリズム125の誘電体多層膜54を透過し、ピックアップ光学系27に入射し、ピックアップ光学系27により集光されて蛍光発光素子128に入射する。蛍光発光素子128は、蛍光体層132で生成した蛍光光BL1をピックアップ光学系27に向けて射出する。
一方、励起光BLはダイクロイックプリズム125の誘電体多層膜54で反射され、ピックアップ光学系41に入射し、ピックアップ光学系41により集光されて蛍光発光素子127に入射する。蛍光発光素子127は、蛍光体層122で生成した蛍光光YLをピックアップ光学系41に向けて射出する。
ピックアップ光学系27を透過した蛍光光BL1は、ダイクロイックプリズム125に入射する。蛍光光BL1は、誘電体多層膜54で反射されてインテグレータ光学系29に入射する。また、ピックアップ光学系41を透過した蛍光光YLは、ダイクロイックプリズム125に入射する。蛍光光YLは、誘電体多層膜54を透過してインテグレータ光学系29に入射する。このようにダイクロイックプリズム125の下流側の光路上において黄色である蛍光光YLと青色である蛍光光BL1とが混ざることによって、照明光(白色光)WLが得られる。
本実施形態に係る照明装置2Bにおいても、非コヒーレンス光のみから構成された照明光(白色光)WLを生成することができる。したがって、このような照明装置2Bを備えたプロジェクターは、スペックルフリーで明るい画像品質に優れた表示を行うことができる。
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係るプロジェクターに用いられる照明装置の構成について説明する。図5は、第4実施形態に係る照明装置2Cの概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と共通の部材および構成について同じ符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
本実施形態において、照明装置2Cは、図5に示すように、アレイ光源221と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、偏光ビームスプリッター(合成手段)141と、ピックアップ光学系27と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子227と、蛍光発光素子128と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31と、を概略備えている。
本実施形態において、アレイ光源221は、アレイ状に配置した複数の半導体レーザー(第1励起光源)221aを有する第1アレイ光源221Aと、アレイ状に配置した複数の半導体レーザー(第2励起光源)221bを有する第2アレイ光源221Bと、を有する。本実施形態において、アレイ光源221から蛍光発光素子227に向けて射出される光の光軸を光軸ax1とする。また、蛍光発光素子128から色分離光学系3側に向けて射出される光の光軸を光軸ax2とする。なお、図5では、簡略化のため、1個の半導体レーザー221aと1個の半導体レーザー221bとを描いてある。
光軸ax1と光軸ax2とは同一平面内にあり、且つ互いに直交している。光軸ax1上においては、アレイ光源221と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、偏光ビームスプリッター141と、ピックアップ光学系41と、蛍光発光素子227とが、この順に並んで配置されている。
一方、光軸ax2上においては、蛍光発光素子128と、ピックアップ光学系27と、偏光ビームスプリッター141と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31とが、この順に並んで配置されている。
半導体レーザー221aは、第1の波長域の光として、410nmの波長域にピーク波長を有する紫色のS偏光である励起光PLsを射出する。また、各半導体レーザー221aから射出される励起光PLsは、偏光ビームスプリッター141に向かって光軸ax1と平行に射出される。
半導体レーザー221bは、第3の波長帯の励起光として、400nmの波長域にピーク波長を有する紫色のP偏光である励起光PLpを射出する。各半導体レーザー221bから射出される励起光PLpは、偏光ビームスプリッター141に向かって光軸ax1と平行に射出される。
本実施形態において、偏光ビームスプリッター141は、半導体レーザー221bから射出されたP偏光の励起光PLpを透過させるとともに、半導体レーザー221aから射出されたS偏光の励起光PLsを反射させる特性を有する光学素子である。また、偏光ビームスプリッター141は、後述のように第3の波長帯の励起光PLpの照射によって蛍光発光素子227から射出される第4の波長帯の蛍光光(黄色光)YLを反射させ、第1の波長帯の励起光PLsの照射によって蛍光発光素子128から射出される第2の波長帯の蛍光光(青色光)BL1を透過させる特性を有する。
本実施形態において、蛍光発光素子227は、蛍光体層222と、反射基板123と、を有する。蛍光体層222は、第3の波長帯の励起光PLpを吸収して励起される蛍光体を含み、この励起光PLpにより励起された蛍光体は、例えば500〜680nmの第4の波長帯にピーク波長を有する蛍光光(黄色光)YLを生成する。
偏光ビームスプリッター141を透過した励起光PLpは、ピックアップ光学系41に入射し、ピックアップ光学系41により集光されて蛍光発光素子227に入射する。蛍光発光素子227は、蛍光体層222で生成した蛍光光YLをピックアップ光学系41に向けて射出する。ピックアップ光学系41を透過した蛍光光YLは、偏光ビームスプリッター141で反射されてインテグレータ光学系29に入射する。
一方、偏光ビームスプリッター141で反射された励起光PLsは、ピックアップ光学系27に入射し、ピックアップ光学系27により集光されて蛍光発光素子128に入射する。蛍光発光素子128は、蛍光体層132で生成した蛍光光BL1をピックアップ光学系27に向けて射出する。ピックアップ光学系27を透過した蛍光光BL1は、偏光ビームスプリッター141を透過してインテグレータ光学系29に入射する。
このように偏光ビームスプリッター141の下流側の光路上において黄色である蛍光光YLと青色である蛍光光BL1とが混ざることによって、照明光(白色光)WLが得られる。
本実施形態に係る照明装置2Cにおいても、非コヒーレンス光のみから構成された照明光(白色光)WLを生成することができる。したがって、このような照明装置2Cを備えたプロジェクターは、スペックルフリーで明るい画像品質に優れた表示を行うことができる。
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係るプロジェクターに用いられる照明装置の構成について説明する。図6は、第5実施形態に係る照明装置2Dの概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、上記実施形態と共通の部材および構成について同じ符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化するものとする。
本実施形態において、照明装置2Dは、図6に示すように、アレイ光源21と、コリメータ光学系22と、アフォーカル光学系23と、ホモジナイザ光学系24と、ダイクロイックプリズム25と、ピックアップ光学系27と、ピックアップ光学系341と、ピックアップ光学系441と、蛍光発光素子128と、蛍光発光素子(第2の蛍光発光素子)150と、偏光ビームスプリッター145と、インテグレータ光学系29と、偏光変換素子30と、重畳光学系31と、を概略備えている。
本実施形態において、蛍光発光素子150は、緑色蛍光発光素子327と、赤色蛍光発光素子427と、を含む。
本実施形態において、半導体レーザー21bから射出された励起光BLは、偏光ビームスプリッター145に対するP偏光とS偏光の成分を含んでいる。誘電体多層膜51は、第3の波長帯の励起光BL(青色光)を主として透過させ、第1の波長帯の励起光PL(紫色光)を主として反射する。偏光ビームスプリッター145は、ダイクロイックプリズム25を透過した励起光BLを偏光成分に基づいて分離する。具体的に、偏光ビームスプリッター145は、励起光BLのうちS偏光の成分で構成された一部の励起光BLsを反射し、励起光BLのうちP偏光の成分で構成された一部の励起光BLpを透過する特性を有する。また、偏光ビームスプリッター145は、後述のように緑色蛍光発光素子327で生成された蛍光光GLを、その偏光状態によらず透過させ、後述のように赤色蛍光発光素子427で生成された蛍光光RLを、その偏光状態によらず反射させる。
偏光ビームスプリッター145を透過した励起光BLpは、ピックアップレンズ341a,ピックアップレンズ341bから構成されたピックアップ光学系341により集光されて緑色蛍光発光素子327に入射する。
偏光ビームスプリッター145で反射された励起光BLsは、ピックアップレンズ441a,ピックアップレンズ441bから構成されたピックアップ光学系441により集光されて赤色蛍光発光素子427に入射する。
緑色蛍光発光素子327は、蛍光体層(第1の蛍光体層)322と、この蛍光体層322を支持する反射基板323とを有している。反射基板323は、蛍光体層322の支持面側が鏡面反射面から構成されている。鏡面反射面は、蛍光体層322で生成された蛍光光を反射する。蛍光体層322は、青色の励起光BLpを吸収して励起される蛍光体を含み、この励起光BLpにより励起された蛍光体は、緑色の蛍光光GLを生成する。
赤色蛍光発光素子427は、蛍光体層(第2の蛍光体層)422と、この蛍光体層422を支持する反射基板423とを有している。反射基板423は、蛍光体層422の支持面側が鏡面反射面から構成されている。鏡面反射面は、蛍光体層422で生成された蛍光光を反射する。蛍光体層422は、青色の励起光BLsを吸収して励起される蛍光体を含み、この励起光BLsにより励起された蛍光体は、赤色の蛍光光RLを生成する。
本実施形態において、ダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51で反射された励起光PLは、ピックアップ光学系27に入射し、ピックアップ光学系27により集光されて蛍光発光素子128に入射する。蛍光発光素子128は、蛍光体層132で生成した蛍光光BL1をピックアップ光学系27に向けて射出する。
一方、ダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51を透過した励起光BLは、偏光ビームスプリッター145で励起光BLpと励起光BLsとに分離される。励起光BLpがピックアップ光学系341により集光されて緑色蛍光発光素子327に入射するとともに第2の波長帯の励起光BLsがピックアップ光学系441により集光されて赤色蛍光発光素子427に入射する。
緑色蛍光発光素子327は、蛍光体層322で生成した蛍光光GLをピックアップ光学系341に向けて射出する。ピックアップ光学系341を透過した蛍光光GLは、偏光ビームスプリッター145に入射する。
また、赤色蛍光発光素子427は、蛍光体層422で生成した蛍光光RLをピックアップ光学系441に向けて射出する。ピックアップ光学系441を透過した蛍光光RLは、偏光ビームスプリッター145に入射する。
このようにして、偏光ビームスプリッター145によって赤色である蛍光光RLと緑色である蛍光光GLとが混ざることによって、第4の波長帯である黄色の蛍光光YLが得られる。この蛍光光YLは、ダイクロイックプリズム25に入射する。
ピックアップ光学系27を透過した蛍光光BL1は、ダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51を透過してインテグレータ光学系29に入射する。また、蛍光光YLはダイクロイックプリズム25の誘電体多層膜51で反射されてインテグレータ光学系29に入射する。このようにダイクロイックプリズム25の下流側の光路上において黄色である蛍光光YLと青色である蛍光光BL1とが混ざることによって、照明光(白色光)WLが得られる。
本実施形態に係る照明装置2Dにおいても、非コヒーレンス光のみから構成された照明光(白色光)WLを生成することができる。したがって、このような照明装置2Dを備えたプロジェクターは、スペックルフリーで明るい画像品質に優れた表示を行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ダイクロイックプリズム25としてはプリズム形状のものに限らず、平板状のダイクロイックミラーを用いてもよい。
また、上記実施形態では、照明装置2,2A,2B,2C,2Dが備える光源としては、半導体レーザーを用いる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、例えば発光ダイオード(LED)などの固体発光素子を用いてもよい。
また、上記実施形態では、3つの光変調装置4R,4G,4Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの光変調装置でカラー映像(画像)を表示するプロジェクターに適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイス(DMD:米国テキサスインツルメンツ社の登録商標)などを用いることもできる。