JP5530171B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光源装置および照明装置に関する。
LEDや半導体レーザー等の半導体発光素子を励起源として蛍光体を励起して光源とする照明装置が実用化されている。LEDは、点光源であるので、従来の電球や蛍光灯の様な拡散光を得るためには専用に設計した光学系が必要である。例えば特許文献1には、LEDを基板に多数個配置して面状の光源として用いることや、それらに光学レンズを組み合わせ配光制御する技術が提案されている。
また、低消費電力の自動車用前照灯の光源としてLED照明装置が実用化されている。LED照明装置を用いた自動車用前照灯では、例えば特許文献2のように、自動車の運転状況に応じてLED照明装置全体を機械的に駆動し照射領域の制御を行う技術が提案されている。
特開2004−022257号公報 特開2006−117164号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、配光を可変にする照明装置を実現するには、光学系を含めた照明装置全体を機械的に駆動する装置が必要であり、照明装置の大型化、重量の増加、また、製造コストが高くなるなどの問題があった。
本発明は、配光を可変にする機能を備えている場合にも、装置の大型化、重量の増加を防止し、製造コストが高くなるのを阻止することの可能な光源装置および照明装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、紫外光から緑色光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1つの蛍光体領域を有する蛍光体部と、該蛍光体部で反射した蛍光が入射されるレンズと、該蛍光体部への励起光の照射範囲を変化させる光制御手段とを備えていることを特徴とする照明装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の照明装置において、前記蛍光体部は、背面に冷却機構を有していることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の照明装置において、前記光制御手段は、該固体光源からの励起光を前記蛍光体部に向けて反射する反射手段と、該反射手段の向きを制御することで該反射手段によって反射される励起光の方向を変化させる向き制御手段とを有していることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の照明装置において、前記反射手段は、多数の微小鏡面を有するデジタルマイクロミラーデバイスであることを特徴としている。
請求項1乃至請求項4記載の発明によれば、紫外光から緑色光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1つの蛍光体領域を有する蛍光体部と、該蛍光体部で反射した蛍光が入射されるレンズと、該蛍光体部への励起光の照射範囲を変化させる光制御手段とを備えているので、光学系を含めた装置全体を機械的に駆動する機構を用いることなく、配光を可変にすることができ、従って、配光を可変にする機能を備えている場合にも、装置の大型化、重量の増加を防止し、製造コストが高くなるのを阻止することができる。
本発明の光源装置および照明装置の第1の構成例を示す図である。 本発明の光源装置および照明装置の第2の構成例を示す図である。 互いに異なる蛍光体からなる複数の蛍光体層が積層された構成例を示す図である。 本発明の光源装置および照明装置の第1の構成例において、蛍光体層を回転軸の周りに回転させる反射型蛍光回転体として構成した例を示す図である。 本発明の光源装置および照明装置の第2の構成例において、蛍光体層を回転軸の周りに回転させる反射型蛍光回転体として構成した例を示す図である。 反射型蛍光回転体の蛍光体層についての構成例を示す図である。 反射型蛍光回転体の蛍光体層についての他の構成例を示す図である。 反射型蛍光回転体の蛍光体層についての他の構成例を示す図である。 反射型蛍光回転体の蛍光体層についての他の構成例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の光源装置は、紫外光から緑色光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1つの蛍光体領域を有する蛍光体部と、該蛍光体部への励起光の照射範囲および/または強度分布を変化させる光制御手段とを備えていることを特徴としている。なお、蛍光体領域とは、蛍光体層を有する領域であって、蛍光体層に対応させて、光の透過率や反射率を調整する調整層などが設けられる場合には、蛍光体層とともに、これらをも含めたものを指すものとする。以下では、便宜上、蛍光体層とこれに対応する蛍光体領域には、同じ符号を付している。
図1は、本発明の光源装置および照明装置の第1の構成例を示す図である。図1の構成例では、光源装置は、紫外光から緑色光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、固体光源5からの励起光が入射する蛍光体部12とを備えており、蛍光体部12(より正確には、後述の蛍光体層2)への励起光の照射範囲および強度分布のうち少なくとも一方を変化させる光制御手段として、固体光源5の向き(固体光源5からの光の出射方向)を変化させる(固体光源5を例えば機械的に駆動して固体光源5の向きを制御する)向き制御手段(図示せず)を有している。
ここで、蛍光体部12は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層2と、蛍光体層2の前記励起光が入射する側の面とは反対の面側に設けられている基板6とを有している。
図1の構成例では、蛍光体層2は基板6上(例えば、基板6の凹部)に設けられている。また、基板6の少なくとも蛍光体層2側の面は、固体光源5からの励起光および蛍光体層2からの蛍光を反射する反射面となっている。すなわち、図1の構成例では、蛍光体層2の面のうち固体光源5からの励起光が入射する側の面とは反対側に設けられた反射面による反射を用いて蛍光などの光を取り出す方式(以下、反射方式と称す)が採用されている。
また、蛍光体層2には、樹脂成分を実質的に含まないもの(具体的には、蛍光体層の形成に通常使用される樹脂成分が蛍光体層の5wt%以下であるもの)が用いられるのが良く、このような蛍光体層を実現するものとして、蛍光体粉末をガラス中に分散させたもの、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体の単結晶や蛍光体の多結晶体(以下、蛍光体セラミックスと称す)などが挙げられる。蛍光体セラミックスは、蛍光体の製造過程において、焼成前に材料を任意の形状に成形し、焼成した蛍光体の塊である。蛍光体セラミックスは、その製造工程のうち、成形工程においてバインダーとして有機物を使用する場合があるが、成形後に脱脂工程を設けて有機成分を焼き飛ばすため、焼成後の蛍光体セラミックスには有機樹脂成分は5wt%以下しか残留しない。したがって、ここに挙げた蛍光体層は、実質的に樹脂成分を含まず、無機物質のみから構成されているため、熱による変色が発生することがなく、高輝度化を図ることが可能である。また、無機物質のみからなるガラスやセラミックスは、一般に、樹脂よりも熱伝導率が高いため、蛍光体層2から基板6への熱放散においても有利である。特に蛍光体セラミックスは、一般的に、ガラスよりもさらに熱伝導率が高く、単結晶より製造コストが安いため、これを蛍光体層2に用いるのが好適である。
また、蛍光体層2は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、青、緑、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が例えば青色光を発光するものである場合、蛍光体層2は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が例えば青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が例えば青色光を発光するものである場合、蛍光体層2が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層2に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
また、基板6は、光(固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層2からの発光(蛍光)と、蛍光体層2で吸収されなかった固体光源5からの光)に対する反射面の役割と、蛍光体層2から放散してきた熱を外部へ放散させる役割と、蛍光体層2の支持基板の役割も担うものである。このため、高い光反射特性、伝熱特性、加工性が求められる。この基板6には、金属基板やアルミナなどの酸化物セラミックス、窒化アルミニウムなどの非酸化セラミックスなどが使用可能であるが、特に高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板が使用されるのが望ましい。
次に、図1の光源装置をより詳細に説明する。
図1の光源装置において、固体光源5には、紫外光から緑色光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
より具体的に、固体光源5には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2の蛍光体としては、波長が約380nmないし約400nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、LaS:Eu3+、KSiF:Mn4+、 KTiF:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、(Si,Al)(O,N):Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+等を用いることができ、青色蛍光体には、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POl2:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、LaAl(Si,Al)(N,O)10:Ce3+等を用いることができる。
また、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nmの青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2の蛍光体としては、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、KSiF:Mn4+、KTiF:Mn4+等を用いることができ、緑色蛍光体には、Y(Ga,Al)12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、BaSi12:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+等を用いることができる。また、波長が約440nmないし約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、YAl12:Ce3+ (YAG)、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+等の黄色蛍光体を用いることができる。
蛍光体層2としては、これらの蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、樹脂などの結合部材を含まない蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、上に列挙した組成の蛍光体粉末をP、SiO、B、Alなどの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce3+やEu2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスとしては、上に列挙した組成の蛍光体組成からなり、樹脂成分を実質的に含まない焼結体が挙げられる。これらの中でも透光性を有する蛍光体セラミックスを使用することが望ましい。これは、焼結体中に光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスである。ポアや不純物は熱拡散を妨げる原因にもなるため、透光性セラミックスは高い熱伝導率を示す。このため蛍光体層として利用した場合には励起光や蛍光を拡散により失うことなく蛍光体層から取り出して利用でき、さらに蛍光体層で発生した熱を効率良く放散することができる。透光性を示さない焼結体でも出来るだけポアや不純物の少ないものが望ましい。ポアの残存量を評価する指標としては蛍光体セラミックスの比重の値を用いることができ、その値が計算される理論値に対して95%以上のものが望ましい。
ここで、青色励起の黄色発光蛍光体であるYAl12:Ce3+蛍光体を例に、透光性を有する蛍光体セラミックスの製造方法を説明する。蛍光体セラミックスは出発原料の混合工程、成形工程、焼成工程、加工工程を経て製造される。出発原料には、酸化イットリウムや酸化セリウムやアルミナ等、YAl12:Ce3+蛍光体の構成元素の酸化物や、焼成後に酸化物となる炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を用いる。出発原料の粒径はサブミクロンサイズのものが望ましい。これらの原料を化学量論比となるように秤量する。このとき焼成後のセラミックスの透過率向上を目的として、カルシウムやシリコンなどの化合物を添加することも可能である。秤量した原料は、水もしくは有機溶剤を用い、湿式ボールミルにより十分に分散、混合を行う。次に混合物を所定の形状に成形する。成形方法としては、一軸加圧法、冷間静水圧法、スリップキャスティング法や射出成形法等を用いることができる。得られた成形体を1600〜1800℃で焼成する。これにより、透光性のYAl12:Ce3+蛍光体セラミックスを得ることができる。
以上のようにして作製した蛍光体セラミックスは、自動研磨装置などを用いて、厚さ数十〜数百μmの厚みに研磨し、さらに、ダイアモンドカッターやレーザーを用いたダイシングやスクライブにより、円形や四角形や扇形、リング形など任意の形状の板に切り出して使用する。
ここで、蛍光体セラミックスは、屈折率が約1.8と空気に対して屈折率が高く、さらに、内部にポアなどの散乱の原因となるものが少なく、光がセラミックス内部を導波するため、板状に成形した場合には側面から出射される発光成分が増加し、正面方向へ出射される発光成分が減少してしまう。この問題を解決するために、セラミックスの表面にエッチングにより凹凸の光取出し構造を設けたり、レンズを実装したり、側面に反射層を設けることで、正面方向へ出射される発光成分を増加させることも可能である。
また、基板6には、金属基板や酸化物セラミックス、非酸化セラミックスなどを使用可能であるが、特に高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板を使用するのが望ましい。金属としては、Al、Cu、Ti、Si、Ag、Au、Ni、Mo、W、Fe、Pdなどの単体や、それらを含む合金が使用可能である。また、基板6の表面に増反射や腐食防止を目的としたコーティングを施しても良い。また、蛍光体は光を変換する場合に発熱し、蛍光体は周囲温度が上昇すると変換効率が低下する温度消光という特性を持っている。蛍光体層2の発光効率低下を防ぐには、より積極的に蛍光体層2を冷却する必要があり、このため、蛍光体層2の背面に冷却機構が設けられるのが良い。具体的に、冷却機構として、基板6には、図1のように、基板6の背面に放熱フィン10を設けても良いし、ファン等を用いて空冷しても良いし、ペルチェ素子の様な熱電素子を用いて冷却しても良い。このように、冷却機構を設けて基板6の放熱性を高め、蛍光体層2からの発熱を背面から放熱することで蛍光体層2の変換効率低下を防止することが出来る。すなわち、高輝度化を図ることができる。
また、蛍光体層2を基板6に接着するには(蛍光体層2と基板6とを接合するには)、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属ろう付けなどを用いることができる。これらの中でも、高い反射率と伝熱特性を両立可能な金属ろう付けを用いるのが望ましい。セラミックス(蛍光体層2)と金属基板(基板6)との接合は、まず、セラミックス側に金属膜を形成し、その金属膜と金属基板を金属ろう付けすることで可能である。セラミックスへの金属膜の形成は、真空中での蒸着法やスパッタ法、もしくは高融点金属法などが使用可能である。なお、高融点金属法とは、セラミックスの表面に金属微粒子を含む有機バインダーを塗布し、水蒸気と水素を含む還元雰囲気下で1000〜1700℃に加熱する方法である。このとき形成される金属膜には、Si、Nb、Ti、Zr、Mo、Ni、Mn、W、Fe、Pt、Al、Au、Pd、Ta、Cuなどを含む単体や合金が用いられる。また、金属ろう材には、Ag、Cu、Zn、Ni、Sn、Ti、Mn、In、Biなどを含むろう材が使用可能である。必要であれば金属膜と金属の接合面の酸化被膜をフラックスで除去し、接合面に金属ろう材を配置し、200〜800℃に加熱し、冷却することで、接合することができる。また、接合後にセラミックスと金属の膨張係数の差による接合面の破壊を防ぐために、セラミックスと金属の中間の膨張係数を有する物質を介在させて接合を行っても良い。
図1の例では、蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射範囲および強度分布のうち少なくとも一方を変化させる光制御手段として、固体光源5の向き(固体光源5からの光の出射方向)を変化させる向き制御部(図示せず)を用いており、これにより、後述のような光学系(レンズ系)を含めた装置全体を機械的に駆動する機構を用いることなく(光学系(レンズ系)の駆動機構を用いることなく)、配光を可変にすることができ、装置の大型化、重量の増加を防止し、製造コストが高くなるのを阻止することができる。
また、図1に示すように、上記光源装置と光学系(レンズ系)20とを組み合わせることで(上記光源装置からの出射光を光学系(レンズ系)20に通して照明光とすることで)、照明装置を構成することができ、この照明装置では、固体光源5の向き(固体光源5からの光の出射方向)を変化させることで、照明光の配光を可変にすることができる。
図2は、本発明の光源装置および照明装置の第2の構成例を示す図である。図2において、図1と同様の箇所には同じ符号を付し、同様の箇所については、説明を省略する。
図1の例では、蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射範囲および/または強度分布を変化させる光制御手段として、固体光源5の向き(固体光源5からの光の出射方向)を変化させる(固体光源5を例えば機械的に駆動して固体光源5の向きを制御する)向き制御手段(図示せず)を用いたが、図2の例では、蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射範囲および強度分布のうち少なくとも一方を変化させる光制御手段として、固体光源5からの励起光を蛍光体部12に向けて反射する反射手段16と、該反射手段16の向き(角度)を制御することで(反射手段16を例えば機械的に駆動して反射手段16の向き(角度)を制御することで)該反射手段16によって反射される励起光の方向を変化させる向き制御手段(図示せず)とが用いられている。
ここで、反射手段16には、単純な凸面鏡もしくは凹面鏡を用いることができる。この場合、反射手段16を駆動する手段(向き制御手段)としては、アクチュエーターやモーター等を用いることができる。更に精密な駆動を行うには、反射手段16および向き制御手段として、アレイ状の多数の微小鏡面を有するデジタルマイクロミラーデバイス等を用いることができる。
図2の例では、蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射範囲および強度分布のうち少なくとも一方を変化させる光制御手段として、固体光源5からの励起光を蛍光体部12に向けて反射する反射手段16と、該反射手段16の向きを制御することで(反射手段16を例えば機械的に駆動して反射手段16の向きを制御することで)該反射手段16によって反射される励起光の方向を変化させる向き制御手段(図示せず)とを用いており、これにより、図2の例と同様に、光学系(レンズ系)を含めた装置全体を機械的に駆動する機構を用いることなく(光学系(レンズ系)の駆動機構を用いることなく)、配光を可変にすることができ、装置の大型化、重量の増加を防止し、製造コストが高くなるのを阻止することができるが、図2の例では、固体光源5の向きを変化させる必要がなく、反射手段16の向き(角度)を変えるだけであるので、より精度良くかつ簡単に蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射範囲および強度分布のうち少なくとも一方を変化させることができる(すなわち、より精度良くかつ簡単に蛍光体部12(より正確には、蛍光体層2)への励起光の照射面積、輝度分布を変化させることができる)。すなわち、より精度良くかつ簡単に配光を可変にすることができる。
また、上記光源装置とレンズ系20とを組み合わせた照明装置では、反射手段16の向きを変えるだけで、照明光の配光を可変にすることができる。
上記のように、図1、図2の光源装置および照明装置では、光学系(レンズ系)の駆動機構を用いないため、部品点数の削減による小型化およびコスト削減が見込める。また、蛍光体領域(蛍光体層)2に焦点を持っていることから、固体光源5により励起された発光範囲によって、その配光角を狭角または広角にするなどの可変配光が可能となる。
例えば、図1、図2の光源装置および照明装置を自動車用照明装置(具体的には、例えば自動車用前照灯)に適用する場合、トンネル内、カーブなどの特異なロケーションにおいても最適な配光をもたらす事ができる。また、図1、図2の光源装置および照明装置を一般照明用に用いる場合、展示用照明を朝から夜までを外の明るさに応じて自動的に配光を変化させて最適な照度を得ることなどができる。
また、図1、図2の光源装置および照明装置では、蛍光体領域(蛍光体層)2の背面に反射率の高い部材(基板6)を配置する事で、励起光と蛍光を有効に光学系(レンズ系)20へ案内する事ができる。また、蛍光体領域(蛍光体層)2の表面には光取り出し構造を設けることにより、屈折率差により蛍光体領域(蛍光体層)2の内部に閉じ込められる光を効率的に取り出すことができる。光取り出し構造としては、アレイ状の突起を表面に形成する方法が考えられる。特に形成円錐状、四角推状のマイクロオーダーの微小構造体を用いると、正面方向への光取出しが改善される。
なお、図1、図2の光源装置では、1つの蛍光体層2だけが設けられている構成となっているが、例えば図3に示すように、複数の蛍光体層(図3の例では、2つの蛍光体層2j,2k)が積層された構成にすることもできる。この場合、例えば、固体光源5が青色光を発光するものであるとき、蛍光体層2jには、緑色の蛍光体からなるものを用い、蛍光体層2kには、赤色の蛍光体からなるものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。なお、図3において、符号7は蛍光体層と基板6との接合部である。
また、図1、図2の光源装置では、蛍光体層2は、固定されたものとなっているが、蛍光体層2を移動可能に構成することもできる。例えば、図4、図5に示すように(図4、図5は、それぞれ、図1、図2に対応した図であり、図1、図2と同様の箇所には同じ符号を付し、説明を省略する)、蛍光体層2を回転軸Xの周りに回転させる(モーター等の回転駆動源によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成することもできる。すなわち、反射型蛍光回転体1は、蛍光体層2と基板6を接合したものをモーター等の回転駆動源と連結することで実現できる。また、この反射型蛍光回転体1において、基板6や、蛍光体層2と基板6との接合部が、励起光および蛍光の反射面として機能している。なお、基板6の形状は、円盤状や四角形などが考えられる。また回転の安定性を確保するために、円盤の一部を切り欠いたり、逆におもりをつけた形状とすることも可能である。
このように、蛍光体層2を回転軸Xの周りに回転させる(モーター4等によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成することにより、すなわち、固体光源5に対して蛍光体層2を回転させることにより、固体光源5からの励起光が当たる場所を分散させ、光照射部での発熱を抑えることができ(この蛍光回転体1を用いることで、そもそも蛍光体の発熱を抑えることができ)、これにより、より一層の高輝度化が可能となる。なお、反射型蛍光回転体1を用いる構成の場合、反射型蛍光回転体1の回転軸Xを中心としてある半径で描いた円弧上の各領域に、固体光源5からの励起光が照射され、固体光源5の向き、または、反射手段16の向き(角度)を変化させることで、蛍光体領域(蛍光体層)2の照射部分の面積、励起光密度を変化させることができ、これにより、光学系(レンズ系)を含めた装置全体を機械的に駆動する機構を用いることなく(光学系(レンズ系)の駆動機構を用いることなく)、配光を可変にすることができて、装置の大型化、重量の増加を防止し、製造コストが高くなるのを阻止することができる。
なお、図4、図5の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2としては、1種類の蛍光体層だけが用いられている。すなわち、蛍光体層2としては、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む1種類の蛍光体層だけが用いられている。具体的に、図4、図5の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、例えば黄色蛍光体からなる蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。あるいは、図4、図5の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、例えば青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっている蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。ただし、本発明は、これに限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2としては、青、緑、黄、赤色などの蛍光体層を少なくとも1つ配置した構成にすることができる。図6(a),(b)、図7(a),(b)、図8(a),(b)、図9(a),(b)には、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2についての種々の構成例が示されている。なお、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)はそれぞれ平面図、図6(b)、図7(b)、図8(b)、図9(b)は、それぞれ、図6(a)、図7(a)、図8(a)、図9(a)のA−A線における断面図である。図6(a),(b)の例は、蛍光体層2としては、1種類の蛍光体層(例えば黄色蛍光体からなる蛍光体層)だけが用いられる場合であり、図4、図5の例に相当している。また、図7(a),(b)の例は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、2種類の蛍光体層2a,2b(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b)が2等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図8(a),(b)の例は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、3種類の蛍光体層2a,2b,2c(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2bと青色蛍光体からなる青色の蛍光体層2c)が3等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、図9(a),(b)の例は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、2種類の蛍光体層2a,2b(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層2aと緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層2b)が蛍光体領域として設けられ、蛍光体層が設けられていない領域が非蛍光体領域42cとして設けられており、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。この他にも、種々の変形が可能であるが、図7(a),(b)、図8(a),(b)、図9(a),(b)などのように、反射型蛍光回転体1の蛍光体層2として、複数種類の蛍光体層が用いられることで(すなわち、長波長蛍光体と短波長蛍光体を別の領域に配置することで)、長波長蛍光体が短波長蛍光体の発光を再吸収することを防止して変換効率の低下を抑制できる。すなわち、より一層の高輝度化が可能となる。
なお、図3、図6乃至図9の例では、平坦な基板6上に蛍光体層が設けられているが、基板6の凹部に蛍光体層を設ける構成にすることもできる。
本発明は、自動車用照明装置や一般照明などに利用可能である。
1 蛍光回転体
2 蛍光体層
5 固体光源
6 基板
16 反射手段
20 光学系(レンズ系)

Claims (4)

  1. 紫外光から緑色光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源と、該固体光源からの励起光により励起され該固体光源の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1つの蛍光体領域を有する蛍光体部と、該蛍光体部で反射した蛍光が入射されるレンズと、該蛍光体部への励起光の照射範囲を変化させる光制御手段とを備えていることを特徴とする照明装置。
  2. 請求項1記載の照明装置において、前記蛍光体部は、背面に冷却機構を有していることを特徴とする照明装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の照明装置において、前記光制御手段は、該固体光源からの励起光を前記蛍光体部に向けて反射する反射手段と、該反射手段の向きを制御することで該反射手段によって反射される励起光の方向を変化させる向き制御手段とを有していることを特徴とする照明装置。
  4. 請求項3記載の照明装置において、前記反射手段は、多数の微小鏡面を有するデジタルマイクロミラーデバイスであることを特徴とする照明装置。
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