以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1000の光学系を示す模式図である。なお、図1において、符号100axは照明光軸(光源装置100から色分離導光光学系200に向けて射出される光の光軸)である。なお、光軸とは、光学系において、系全体を透過する光束の代表となる仮想的な光線を指すものとする。また、照明光軸と平行な方向をY軸とする。
図1に示すように、プロジェクター1000は、光源装置100と、色分離導光光学系200と、光変調装置としての液晶光変調装置400R,液晶光変調装置400G, 液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500及び投写光学系600と、を具備して構成されている。
光源装置100は、励起光源30、集光光学系40、発光素子1、コリメート光学系60、インテグレーター光学系110、偏光変換素子120、重畳レンズ130がこの順に配置された構成になっている。
励起光源30は、後述する発光素子1が備える蛍光物質を励起させる励起光として、青色(発光強度のピーク:約445nm)のレーザー光を射出する。なお、励起光源30は、複数(図では3つ)備えることとしても良く、1つだけ励起光源を用いることとしても良い。また、後述する蛍光物質を励起させることができる波長の光であれば、445nm以外のピーク波長を有する色光を射出する励起光源であっても構わない。
集光光学系40は、複数の凸レンズである第1レンズ42と、複数の第1レンズ42を介した光が共通して入射する凸レンズである第2レンズ44と、を備えている。集光光学系40は、励起光源30から射出されるレーザー光の光線軸上に配置され、複数の励起光源30から射出された励起光を集光する。
発光素子1は、励起光源30から射出される励起光(青色光)Lbの一部を透過させるとともに、残部を吸収し黄色(発光強度のピーク:約550nm)の蛍光(赤色光及び緑色光を含む光)に変換する機能を有する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る発光素子1を示す断面図である。なお、図2においては、媒体10において励起光が入射する方向(Y軸方向)と平行な面(XY平面)で切断した断面を示している。
図2に示すように、発光素子1は、媒体10と、蛍光体11と、反射膜12と、波長選択反射膜13と、反射防止膜14,16と、光透過部材15と、を備えている。
媒体10は、光入射面10f1と光射出面10f2とを含む複数の面を有する。光入射面10f1は、集光光学系40により集光された光が入射する面であり、光射出面10f2は、光(蛍光)を射出する面である。光入射面10f1は励起光を透過し、光射出面10f2は蛍光体11から放射された蛍光を透過する。側面10f3(複数の面のうち光入射面10f1及び光射出面10f2とは異なる面)には、反射面12frが設けられている。光射出面10f2の面積は、光入射面10f1の面積よりも小さくなっている。
なお、集光光学系40により集光された光は、光入射面10f1の全面に入射する(集光光学系40により集光された光が光入射面10f1に入射する部分の面積が光入射面10f1の面積と等しい)ものとする。
励起光の入射光軸(Y軸)と直交する媒体10の断面の面積は、光入射面10f1から遠ざかるに従って徐々に小さくなっている。具体的には、媒体10は、光入射面10f1を下底面、光射出面10f2を上底面、反射面12fr(反射膜12が媒体10と接する面)を側面とする錐台の形状を有する。媒体10は四角錐台の形状を有しており、例えば光入射面10f1(下底面)の大きさは縦2mm×横2mm、光射出面10f2(上底面)の大きさは縦1mm×横1mmとなっている。
媒体10としては、光透過性を有する物質であれば、樹脂材料や無機材料など広範な種類の材料を用いることができる。なかでも、高い耐熱性を有する無機材料を好適に用いることができる。本実施形態では、媒体10として無機物であるガラスを用いる。
蛍光体11は、蛍光体粒子として媒体10の内部に分散されている。蛍光体11は、光入射面10f1に入射した励起光を受けて蛍光を放射する。蛍光体11は、光入射面10f1に入射した青色光によって励起され、青色光を黄色光に変換して放射する。
具体的には、蛍光体11は、励起光源30からの青色光を黄色光に変換して射出する。
蛍光体11は、波長が約445nmの青色光によって効率的に励起され、黄色光(蛍光)に変換して射出する。蛍光体粒子としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体(屈折率:約1.8)を用いることができる。
なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いることとしてもよい。例えば、赤色の蛍光を発する(Sr,Ca)AlSiN3:Euで示される組成の蛍光体等の材料と、緑色の蛍光を発する(YGd)3Al5O12:Ceで示される組成の蛍光体等の材料と、を混合して、用いることで、黄色光の蛍光が得られる蛍光体粒子を調整することとしてもかまわない。
ここで、蛍光体粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱方式を測定原理とした粒度分布測定装置(例えば、SALD2200(島津製作所社製))を用いて測定することができる。本実施形態では、平均粒径としてメジアン粒径(Median Size:粒径分布の中央値)を採用した。
反射膜12は、媒体10の側面10f3(複数の面のうち光入射面10f1及び光入射面10f1とは異なる面)に設けられている。反射膜12は、蛍光体11から放射された蛍光を反射して光射出面10f2に導く反射面12frを有する。反射膜12の形成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)を用いることができる。
波長選択反射膜13は、媒体10の光入射面10f1に設けられている。波長選択反射膜13は、集光光学系40により集光された光(励起光)を透過するとともに、蛍光体11から放射された蛍光を反射する。
反射防止膜14は、媒体10の光射出面10f2に設けられている。これにより、媒体10から射出される蛍光の反射を抑制することができる。なお、蛍光のみを取り出す場合には、反射防止膜14に替えて、蛍光を透過するとともに励起光を反射する波長選択反射膜を設けてもよい。
光透過部材15は、波長選択反射膜13の外側(媒体10と対向する面とは反対側)の面に接して配置されている。光透過部材15は、励起光を透過する。また、光透過部材15の熱伝導率は、波長選択反射膜13の熱伝導率よりも大きくなっている。光透過部材15の形成材料としては、例えばサファイアを用いることができる。
反射防止膜16は、光透過部材15の外側(波長選択反射膜13と対向する面とは反対側)の面に設けられている。これにより、光透過部材15に入射する励起光の反射を抑制することができる。
(発光素子の製造方法)
図3は、本発明の第1実施形態に係る発光素子の製造工程を示す図である。
先ず、図3(a)に示すように、光透過性の媒体10の内部に蛍光体11(複数の蛍光体粒子)が分散された、錐台(四角錐台など)の形状を有する部材を用意する。
次に、図3(b)に示すように、媒体10の側面10f3に、例えば蒸着により反射膜12を形成する。
次に、図3(c)に示すように、波長選択反射膜13が形成された光透過部材15を用意し、媒体10を、光入射面10f1が波長選択反射膜13の上面に接するように光透過部材15に取り付ける。なお、本実施形態のように光透過部材15としてサファイアを使用する場合、光透過部材15の上面(光射出面)に、波長選択反射膜13を周知の薄膜形成法によって形成してもよい。
次に、図3(d)に示すように、媒体10の光射出面10f2に反射防止膜14を形成する。同様に、光透過部材15の下面(光入射面)に反射防止膜16を形成する。なお、媒体10を光透過部材15に取り付ける前に、媒体10の光射出面10f2に反射防止膜14を形成したり光透過部材15の下面(光入射面)に反射防止膜16を形成したりしてもよい。
以上の工程を経ることにより、本発明の第1実施形態に係る発光素子1が得られる。
図1に戻り、コリメート光学系60は、発光素子1とインテグレーター光学系110との間の光(励起光及び蛍光)の光路上に配置されている。コリメート光学系60は、発光素子1からの光の広がりを抑える第1レンズ62と、第1レンズ62から入射される光を略平行化する第2レンズ64とを備えている。第1レンズ62と第2レンズ64とは凸レンズで構成されている。コリメート光学系60は、発光素子1から射出される光を略平行化した状態でインテグレーター光学系110に入射させる。
インテグレーター光学系110は、第1フライアイレンズ111及び第2フライアイレンズ112を備えている。第1フライアイレンズ111及び第2フライアイレンズ112は、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなる。第1フライアイレンズ111は、第1フライアイレンズ111を構成する複数の要素レンズによってコリメート光学系60からの光を分割して個別に集光する機能を有する。第2フライアイレンズ112は、第2フライアイレンズ112を構成する複数の要素レンズによって第1フライアイレンズ111からの分割光束を適当な発散角にして射出する機能を有する。インテグレーター光学系110は、コリメート光学系60により合成された光の光強度分布を均一化する。
偏光変換素子120は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の要素とするアレイで形成されている。偏光変換素子120は、第1フライアイレンズ111により分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える機能を有する。
重畳レンズ130は、偏光変換素子120を経た照明光を全体として適宜収束させて、液晶光変調装置400R、 液晶光変調装置400G、 液晶光変調装置400Bの被照明領域に対する重畳照明を可能にする。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220、反射ミラー230、 反射ミラー240、 反射ミラー250及びリレーレンズ260、 リレーレンズ270を備えている。色分離導光光学系200は、光源装置100からの光(第1の光、第2の光及び第3の光)を赤色光、緑色光及び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光変調装置400R、 液晶光変調装置400G、 液晶光変調装置400Bに導光する機能を有する。色分離導光光学系200と、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bとの間には、集光レンズ300R、集光レンズ300G、集光レンズ300Bが配置されている。
ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220は、基板上に、所定の波長領域の光を反射して、他の波長領域の光を透過させる波長選択透過膜が形成されたミラーである。具体的には、ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を透過させ、緑色光成分及び青色光成分を反射する。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、青色光成分を透過させる。
反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250は、入射した光を反射するミラーである。具体的には、反射ミラー230は、ダイクロイックミラー210を透過した赤色光成分を反射する。反射ミラー240、反射ミラー250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を反射する。
ダイクロイックミラー210を透過した赤色光は、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Rを透過して赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー210で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射され、集光レンズ300Gを透過して緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー220を透過した青色光は、リレーレンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、集光レンズ300Bを経て青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。
リレーレンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240、反射ミラー250は、ダイクロイックミラー220を透過した青色光成分を液晶光変調装置400Bまで導く機能を有する。これにより、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長い場合であっても、青色光の発散等による青色光の利用効率の低下を抑制することができる。なお、他の色光(例えば赤色光)の光路の長さが青色光の光路の長さよりも長い場合は、リレーレンズ260、リレーレンズ270及び反射ミラー240、反射ミラー250を赤色光の光路に配置する構成も考えられる。
液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、入射された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、光源装置100の照明対象となる。なお、図示を省略したが、集光レンズ300R、集光レンズ300G、集光レンズ300Bと各液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置されている。また、各液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置されている。これら入射側偏光板、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400B及び射出側偏光板によって、入射された各色光の光変調が行われる。
例えば、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、一対の透明基板に液晶を密閉封入した透過型の液晶光変調装置であり、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板(図示略)から射出された1種類の直線偏光の偏向方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板(図示略)から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなしている。直角プリズムを貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
本実施形態の発光素子1によれば、蛍光体11から放射された光を反射面12frで反射して光入射面10f1よりも面積の小さい光射出面10f2に導いているので、励起光が入射する光入射面10f1の面積を大きくして、蛍光体11に入射する光の密度を小さくすることができる。よって、発光効率の低下を抑制しつつエテンデューを低減して光利用効率を高めることができる。
また、この構成によれば、光入射面10f1に波長選択反射膜13が配置されているので、反射面12frで反射されて光入射面10f1に向かう蛍光を光射出面10f2側に反射することができる。よって、蛍光として取り出される光の量を多くすることができる。
また、この構成によれば、蛍光体11が蛍光体粒子として媒体10の内部に分散されているので、蛍光体が媒体の内部に偏って配置されている場合に比べて、励起光を各蛍光体粒子に均一に入射させることができる。
また、この構成によれば、光入射面10f1に入射した励起光を受けて蛍光体11が発熱した場合でも、蛍光体11が発する熱は、媒体10、波長選択反射膜13及び光透過部材15を介して外部に放熱される。よって、蛍光体11が高温になることを抑制し、発光効率の低下を抑制することができる。
また、この構成によれば、励起光の入射光軸と直交する媒体10の断面の面積が光入射面10f1から遠ざかるに従って徐々に小さくなっている。よって、蛍光体11から放射された蛍光が反射面12frを介して光射出面10f2に導かれやすくなる。
また、この構成によれば、媒体10が四角錐台の形状を有する。よって、蛍光体11から放射された蛍光が反射面12frを介して光射出面10f2に導かれやすくなる。
また、この構成によれば、媒体10がガラスであり、高い耐熱性を有するので、光入射面10f1に入射した光の熱によって媒体10が劣化しにくい。よって、信頼性の向上を図ることができる。
本実施形態の光源装置100によれば、上述した発光素子1を備えているので、発光効率の低下を抑制しつつ光利用効率を高めることが可能な光源装置100を提供することができる。
本実施形態のプロジェクター1000によれば、上述した光源装置100を備えているので、表示品質に優れたプロジェクター1000を提供することができる。
なお、本実施形態の光源装置100では、コリメート光学系における第1レンズ及び第2レンズとして凸レンズを用いたが、これに限らない。要するに、コリメート光学系が、発光素子により射出された光を略平行化した状態でインテグレーター光学系に入射させるようになっていればよい。また、コリメート光学系を構成するレンズの枚数は、1枚であってもよく、3枚以上であってもよい。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、液晶光変調装置として3つの液晶光変調装置を用いたが、これに限らない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、透過型のプロジェクターを用いたが、これに限らない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過するタイプであることを意味している。「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態のプロジェクター1000では、光変調装置として液晶光変調装置を用いたが、これに限らない。例えば、DMD(Digital Micromirror Device :TI 社の登録商標)を用いても良い。
(第2実施形態)
図4は、図1に対応した、本発明の第2実施形態に係るプロジェクター2000の光学系を示す模式図である。なお、図4において、符号101axは照明光軸(光源装置101から色分離導光光学系201に向けて射出される光の光軸)、符号700axは照明光軸(光源装置700から色分離導光光学系201に向けて射出される光の光軸)である。
図4に示すように、本実施形態に係るプロジェクター2000は、上述の光源装置100に替えて光源装置101を備えている点、光源装置700をさらに備えている点、上述の色分離導光光学系200に替えて色分離導光光学系201を備えている点、で上述の第1実施形態に係るプロジェクター2000と異なっている。すなわち、本実施形態に係るプロジェクター2000は、光源装置101が照明光として赤色光及び緑色光を含む光(黄色光)を射出し、光源装置700が青色光を射出する構成となっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示すように、プロジェクター1000は、光源装置101と、光源装置700と、色分離導光光学系201と、光変調装置としての3つの液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500及び投写光学系600と、を具備して構成されている。
光源装置101は、励起光源30と、コリメート光学系70と、ダイクロイックミラー50と、コリメート集光光学系80と、発光素子2と、コリメート光学系60と、インテグレーター光学系110と、偏光変換素子120と、重畳レンズ130と、を具備して構成されている。
励起光源30は、光軸が照明光軸101axと直交するように配置されている。後述する発光素子2が備える蛍光物質を励起させる励起光として、青色(発光強度のピーク:約445nm)のレーザー光を射出する。
コリメート光学系70は、励起光源30とダイクロイックミラー50との間の励起光の光路上に配置されている。コリメート光学系70は、第1レンズ72及び第2レンズ74を備えている。第1レンズ72及び第2レンズ74は凸レンズからなっている。コリメート光学系70は、励起光を略平行化した状態でダイクロイックミラー50に入射させる。
ダイクロイックミラー50は、コリメート光学系70と発光素子2(コリメート集光光学系80)との間の光路上に、励起光源30の光軸及び照明光軸101axのそれぞれに対して45°の角度で交わるように配置されている。ダイクロイックミラー50は、青色光を透過し、赤色光及び緑色光を反射させる。
コリメート集光光学系80は、第1レンズ82及び第2レンズ84を備えている。第1レンズ82及び第2レンズ84は凸レンズからなっている。コリメート集光光学系80は、ダイクロイックミラー50からの青色光を略集光した状態で発光素子2に入射させるとともに、発光素子2から射出される蛍光を略平行化した状態でダイクロイックミラー50に入射させる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る発光素子2を示す断面図である。なお、図5においては、媒体20において励起光が入射する方向(X軸方向)と平行な面(XY平面)で切断した断面を示している。
図5に示すように、発光素子2は、光透過性の媒体20と、蛍光体21と、反射膜22と、波長選択反射膜23と、反射防止膜24と、保持部材27と、を備えている。
媒体20は、光入射面を側面20f1、光射出面を上底面20f2、反射面22frを下底面20f3とする錐台の形状を有しており、上底面20f2が、励起光と蛍光の双方を透過し、光入射面としても機能する。光入射面20f1,20f2は、コリメート集光光学系80により集光された光が入射する面であり、光射出面20f2は、光(蛍光)を射出する面である。光入射面20f1は励起光を透過し、光射出面20f2は蛍光体21から放射された蛍光を透過する。下底面20f3には、反射面22frが設けられている。光射出面20f2の面積は、光入射面20f1,20f2の面積(光入射面20f1,20f2をYZ平面に投影した部分の面積)よりも小さくなっている。
なお、コリメート集光光学系80により集光された光は、光入射面20f1,20f2の全面に入射する(コリメート集光光学系80により集光された光が光入射面20f1,20f2に入射する部分の面積が光入射面20f1,20f2の面積と等しい)ものとする。
媒体20としては、光透過性を有する物質であれば、樹脂材料や無機材料など広範な種類の材料を用いることができる。なかでも、高い耐熱性を有する無機材料を好適に用いることができる。本実施形態では、媒体20として無機物であるガラスを用いる。
蛍光体21は、蛍光体粒子として媒体20の内部に分散されている。蛍光体21は、光入射面20f1,20f2に入射した励起光を受けて蛍光を放射する。蛍光体21は、光入射面20f1,20f2に入射した青色光によって励起され、青色光を黄色光に変換して放射する。
反射膜22は、媒体20の底面20f3に設けられている。反射膜22は、蛍光体21から放射された蛍光を反射して光射出面20f2に導く反射面22frを有する。反射膜22の形成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)を用いることができる。
波長選択反射膜23は、媒体20の側面20f1(光入射面20f1及び光入射面20f2のうち光入射面20f1のみ)に設けられている。波長選択反射膜23は、コリメート集光光学系80により集光された光(励起光)を透過するとともに、蛍光体21から放射された蛍光を反射する。
反射防止膜24は、媒体20の上底面20f2に設けられている。媒体20の上底面20f2には、上底面20f2の媒体20とは反対側から励起光が入射し、かつ、上底面20f2の媒体20側から蛍光が入射する。そこで、励起光の波長と蛍光の波長に対応した反射防止膜24を設けることが好ましい。これによれば、励起光を上底面20f2から効率的に媒体20に導入することができ、蛍光を上底面20f2から効率的に取り出すことができるため、光源装置の効率を高めることができる。
保持部材27は、反射膜22の外側(媒体20と対向する面とは反対側)の面に接して配置されている。保持部材27の熱伝導率は、媒体20の熱伝導率よりも大きくなっている。保持部材27の形成材料としては、例えばAlを用いることができる。
図4に戻り、発光素子2から射出された蛍光はダイクロイックミラー50により反射されてコリメート光学系60に入射する。コリメート光学系60は、ダイクロイックミラー50により反射された光を略平行化した状態でインテグレーター光学系110に入射させる。
インテグレーター光学系110は、第1フライアイレンズ111及び第2フライアイレンズ112を備えている。第1フライアイレンズ111及び第2フライアイレンズ112は、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなる。第1フライアイレンズ111は、第1フライアイレンズ111を構成する複数の要素レンズによってコリメート光学系60からの光を分割して個別に集光する機能を有する。第2フライアイレンズ112は、第2フライアイレンズ112を構成する複数の要素レンズによって第1フライアイレンズ111からの分割光束を適当な発散角にして射出する機能を有する。インテグレーター光学系110は、コリメート光学系60により合成された光の光強度分布を均一化する。
偏光変換素子120は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の要素とするアレイで形成されている。偏光変換素子120は、第1フライアイレンズ111により分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える機能を有する。
重畳レンズ130は、偏光変換素子120を経た照明光を全体として適宜収束させて、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bの被照明領域に対する重畳照明を可能にする。
光源装置700は、光源ユニット710と、集光光学系720と、散乱板730と、偏光変換インテグレーターロッド740と、集光レンズ750と、を具備して構成されている。
光源ユニット710は、色光としてレーザー光からなる青色光(発光強度のピーク:約445nm)を射出するレーザー光源である。
集光光学系720は、第1レンズ721及び第2レンズ722を備えている。第1レンズ721及び第2レンズ722は凸レンズからなっている。集光光学系720は、青色光Bを略集光した状態で散乱板730に入射させる。
散乱板730は、光源ユニット710からの青色光を所定の散乱度で散乱し、蛍光に似た配光分布を有する青色光とする。散乱板730としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
偏光変換インテグレーターロッド740は、光源ユニット710からの青色光の面内強度分布を均一にし、かつ、当該青色光の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光とする。偏光変換インテグレーターロッド740は、例えば、インテグレーターロッドと、当該インテグレーターロッドの入射面側に配置され、青色光が入射する小孔を有する反射板と、射出面側に配置される反射型偏光板と、を具備して構成されている。
集光レンズ750は、偏光変換インテグレーターロッド740からの光を集光して液晶光変調装置400Bの画像形成領域近傍に入射させる。
色分離導光光学系201は、ダイクロイックミラー210及び反射ミラー222,230,250を備えている。色分離導光光学系201は、光源装置101からの光を赤色光及び緑色光に分離し、光源装置101からの赤色光及び緑色光並びに光源装置700からの青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bに導光する機能を有する。
ダイクロイックミラー210を透過した赤色光は、反射ミラー230で反射され、集光レンズ300Rを通過して赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210で反射された緑色光は、反射ミラー222でさらに反射され、集光レンズ300Gを通過して緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。
光源装置700からの青色光は、反射ミラー250で反射され、集光レンズ300Bを通過して青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。
本実施形態の発光素子2によれば、反射型の発光素子2を実現することができる。
(変形例1)
図6は、本発明に係る発光素子の第1変形例を示す断面図である。
図6に示すように、本変形例に係る発光素子2Aは、光透過性の媒体20Aと、蛍光体21Aと、反射膜22Aと、波長選択反射膜23Aと、反射防止膜24Aと、保持部材27Aと、を備えている。
媒体20Aは、光入射面を第1の側面20Af1、光射出面を第2の側面20Af2、反射面22Afrを第3の側面20Af3とする三角柱の形状を有している。光入射面20Af1は、励起光が入射する面であり、光射出面20Af2は、光(蛍光)を射出する面である。光入射面20Af1は励起光を透過し、光射出面20Af2は蛍光体21Aから放射された蛍光を透過する。第3の側面20Af3には、反射面22Afrが設けられている。光射出面20Af2の面積は、光入射面20Af1の面積よりも小さくなっている。
媒体20Aは、直角三角柱の形状を有している。例えば、第1の側面20Af1と第2の側面20Af2とのなす角度θA1は90度、第1の側面20Af1と第3の側面20Af3とのなす角度θA2は30度、第2の側面20Af2と第3の側面20Af3とのなす角度θA3は60度になっている。
本変形例の発光素子2Aによれば、三角形の各頂角の角度を自由に調整することで、所望の方向に光を取り出すことができる。よって、光学部材の配置設計の自由度が高まる。
(変形例2)
図7は、図2に対応した、本発明に係る発光素子の第2変形例を示す断面図である。図7に示すように、本変形例に係る発光素子1Aは、媒体10を保持する保持部材17が配置されている点で、上述の発光素子1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、発光素子1Aは、媒体10と、蛍光体11と、波長選択反射膜13と、反射防止膜14,16と、光透過部材15と、保持部材17と、を備えている。なお、本変形例では、媒体10としてシリコン樹脂を用いる。
保持部材17は、媒体10の側面10f3に接して配置されている。保持部材17は金属材料からなる。保持部材17の形成材料としては、例えばAlを用いることができる。
保持部材17の媒体10側の面は、反射面17frとなっている。保持部材17の熱伝導率は、媒体10の熱伝導率よりも大きくなっている。
本変形例の発光素子1Aによれば、媒体10が軟らかい材料(樹脂など)からなる場合であっても、媒体10が変形しないよう媒体10を保持することができる。
また、この構成によれば、媒体10の側面10f3に反射膜などを蒸着させる必要がない。よって、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、この構成によれば、光入射面10f1に入射した励起光を受けて蛍光体11が発熱した場合でも、蛍光体11が発する熱は、媒体10、保持部材17を介して外部に放熱される。よって、蛍光体11が高温になることを抑制し、発光効率の低下を抑制することができる。
(変形例3)
図8は、図7に対応した、本発明に係る発光素子の第3変形例を示す断面図である。図8に示すように、本変形例に係る発光素子1Bは、蛍光体11Bが層構造である点、光拡散板18が設けられている点、上述の発光素子1Aと異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図7と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、発光素子1Bは、媒体10Bと、蛍光体11Bと、波長選択反射膜13と、反射防止膜14,16と、光透過部材15と、保持部材17と、光拡散板18と、を備えている。なお、本変形例では、媒体10Bとしてシリコン樹脂を用い、媒体10Bの内部に蛍光体粒子が分散された構成とはなっていない。
蛍光体11Bは、媒体10Bの側面10Bf3に設けられている。蛍光体11Bは、光拡散板18によって拡散されて蛍光体11Bに入射した青色光によって励起され、青色光を黄色光に変換して放射する。蛍光体11Bは、例えば、YAG系蛍光体である(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを含有する層からなる。なお、蛍光体11として、黄色光を射出する他の蛍光体を用いてもよい。
光拡散板18は、波長選択反射膜13の外側(媒体10Bと対向する面とは反対側)の面に設けられている。光拡散板18は、光入射面10Bf1に向けて入射した光を拡散して蛍光体11Bに入射させる機能を有する。
本変形例の発光素子1Bにおいても、発光効率の低下を抑制しつつ光利用効率を高めることができる。
なお、本変形例の発光素子1Bでは、媒体10Bがシリコン樹脂である構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、媒体が空気層であってもよい。これにより、発光素子の構成の簡略化を図ることができる。媒体が空気層の場合、保持部材17の開口部の側壁面に蛍光体11Bを形成し、その後、保持部材17の上側の開口部と重なる部分に反射防止膜14を設け、保持部材17の下側の開口部と重なる部分に波長選択反射膜13、光拡散板18及び反射防止膜16が形成された光透過部材15を取り付けることによって、媒体が空気層からなる発光素子を製造することができる。
(変形例4)
図9は、本発明に係る発光素子の第4変形例を示す断面図である。
図9に示すように、本変形例に係る発光素子2Bは、光透過性の媒体20Bと、蛍光体21Bと、反射膜22Bと、波長選択反射膜23Bと、反射防止膜24Bと、保持部材27Bと、を備えている。
媒体20Bは、光入射面を第1の側面20Bf1、光射出面を第2の側面20Bf2、反射面22Bfrを第3の側面20Bf3及び第4の側面20Bf4とする四角柱の形状を有している。光入射面20Bf1は、励起光が入射する面であり、光射出面20Bf2は、光(蛍光)を射出する面である。光入射面20Bf1は励起光を透過し、光射出面20Bf2は蛍光体21Bから放射された蛍光を透過する。第3の側面20Bf3及び第4の側面20Bf4には、反射面22Bfrが設けられている。光射出面20Bf2の面積は、光入射面20Bf1の面積よりも小さくなっている。
媒体20Bは、四角柱の形状を有している。例えば、第1の側面20Bf1と第2の側面20Bf2とのなす角度θB1は145度、第1の側面20Bf1と第3の側面20Bf3とのなす角度θB2は90度、第3の側面20Bf3と第4の側面20Bf4とのなす角度θB3は90度、第4の側面20Bf4と第2の側面20Bf2とのなす角度θB4は45度になっている。
本変形例の発光素子2Bによれば、四角形の各頂角の角度を自由に調整することで、所望の方向に光を取り出すことができる。よって、光学部材の配置設計の自由度が高まる。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
上記各実施形態においては、本発明の照明装置をプロジェクターに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の照明装置を他の光学機器(例えば、光ディスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。