JP2017173301A - 金属酸化物の粉体中の異物の分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全自動鉱物分析装置を用いて、前記金属酸化物の粉体の試料の反射電子像を取得する工程と、前記反射電子像を画像解析して、前記金属酸化物の粒子と、前記異物の粒子とを判別し、前記判別された異物の粒子の位置情報を取得する工程と、前記異物の粒子の位置情報に対応する位置におけるエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、前記取得したエネルギー分散X線スペクトル(EDS)から、前記異物を分析する工程と、を有する金属酸化物に含まれた異物の分析方法を提供する。
【選択図】図1
Description
MLAは、鉱物粒子等の無機化合物粒子の同定を行う分析装置であって、エネルギー分散型X線分析器(本発明において「EDX」と記載する場合がある。)が備えられた走査電子顕微鏡(本発明において「SEM」と記載する場合がある。)がプラットフォームとなっている。そして、当該SEM・EDXを自動制御し、画像処理やスペクトルマッチングを行い、鉱物粒子等の無機化合物粒子の同定操作を実施する制御PCを備えた分析装置である。
MLAでは、測定対象の粒子と樹脂とが混合して固結した試料へ研磨を施し、得られた研磨面に対して測定を行う。MLAの測定では、まず研磨面へ電子線を照射して反射電子像(本発明において「BSE像」と記載する場合がある。)を取得し、当該研磨面に現れた鉱物粒子等の無機化合物粒子の位置、大きさ、研磨面形状のデータを取得する。次に、当該粒子のエネルギー分散X線スペクトル(本発明において「EDS」と記載する場合がある。)を取得する。そして、研磨面に現れた各粒子に対して、これらのデータ取得を自動測定で順番に行うものである。
MLAでは、100万個あるいは10億個といった極めて多数の粒子を対象に、これらの作業を自動で分析作業を実行させることが可能な為、作業が開始されれば、人的な工数は殆ど不要となり、金属酸化物粒子試料中にある異物金属粒子の分析を完了してしまうことが可能となった。
金属酸化物の粉体中に含まれた異物を、分析する方法であって、
全自動鉱物分析装置(MLA)を用いて、
前記金属酸化物の粉体の試料の反射電子(BSE)像を取得する工程と、
前記反射電子(BSE)像を画像解析して、前記金属酸化物の粒子と、前記異物の粒子とを判別し、前記判別された異物の粒子の位置情報を取得する工程と、
前記異物の粒子の位置情報に対応する位置におけるエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、
前記取得したエネルギー分散X線スペクトル(EDS)から、前記異物を分析する工程と、を有することを特徴とする金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法である。
第2の発明は、
前記反射電子(BSE)像を諧調処理して前記画像解析結果を得、得られた画像解析結果へ前記金属酸化物の粒子と前記異物の粒子とのグレイレベルの閾値を当て嵌めて、前記金属酸化物の粒子と前記異物の粒子とを判別することを特徴とする金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法である。
第3の発明は、
前記異物は、金属であることを特徴とする金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法である。
異物の粒子を含んでいる可能性のある金属酸化物の粉体を適宜な樹脂と混合し、当該金属酸化物の粉体を包埋固結し、包埋固結体を得る。次に、当該包埋固結体へ、粗研磨、中間研、さらに鏡面研磨を行い、固結した金属酸化物粉体試料を得る。当該鏡面研磨を行った固結した金属酸化物粉体試料をMLA内に設置し、研磨面に露出している粒子に対し、SEMを用いてBSE像を取得する。
上述した(1)にて取得されたBSE像を画像解析し、金属酸化物と前記異物とを判別する。尚、この判別には、金属酸化物の粒子と、異物である金属粒子との間に、BSE像における明確な輝度差があることを利用している。即ち、当該BSE像において、金属酸化物の粒子は暗く写り、異物である金属粒子は明るく写る。
具体的には、BSE像の画像解析において、諧調処理を行う。例えば、256階調の諧調処理されたBSE像の画像解析結果において、金属酸化物の粒子と異物である金属粒子との諧調レベルを比較すると、金属酸化物の粒子は金属粒子より0階調に近い値となり、金属粒子は金属粒子酸化物粒子より256階調に近い値となる。ここで、金属酸化物粒子と金属粒子とを切り分けるグレイレベルの閾値を適宜に設定する。
ここで、BSE像の画像解析例として、閾値を設定して金属酸化物と異物金属とを判別可能とした、後述する実施例1に係る画像を図1に示す。図1で示されたBSE像の画像解析結果において、灰色で示される領域が金属酸化物であり、白色で示される領域が金属、即ち異物である。従って、金属酸化物微粒子と金属である異物微粒子とが判別できることがわかる。
上述した画像解析においては、ピクセルに対応した異物金属粒子の位置情報が得られることから、閾値の設定により判別された異物金属粒子について位置情報が得られる。また、画像解析結果としては粒子の大きさ、形状および個数の情報も得られる。
上述した異物金属に係る位置情報に対応するピクセルから、EDSを取得する。
当該取得されたEDSから、当該異物粒子を分析する。具体的には、取得されたEDSスペクトルは、予め作成されMLAに搭載されたデータリスト中のEDSと照合される。そして、取得されたEDSのピークに対応する元素が特定される。当該EDSのピークは、実質上、異物金属に含有されている重金属の種類に対応して出現する。従って、各ピクセルに対応して、存在している重金属元素が特定され、ピーク強度から重金属の種類を同定することが可能となる。
(実施例1)
異物である金属粒子が混入している金属酸化物粒子の粉体試料を準備した。
当該粉体試料とベークライト樹脂とを、体積比で1:3.5の割合で混合し混合粉体を得た。得られた混合粉体へ万力を用いて圧縮成型を行い、直径20mm、高さ3mmの円柱状の成形体を得た。得られた成形体を、フェノール樹脂2gと供に、熱間埋め込み機に封入し、180℃、75bar、5分間の条件で熱間固結し、直径25mm高さ6mmの円柱状の固結片を得た。
得られた固結片へ、バフ研磨機を用いて断面研磨を施し、研磨面に粒子の断面を露出させた研磨片を得た。同一の金属酸化物粒子の粉体試料から、当該研磨片を7個作製した。
具体的には、当該BSE像を256諧調で表示させた。そして、100諧調から200諧調の間に閾値を設定し、当該閾値以上の諧調を有する粒子を異物金属粒子として扱い、閾値未満の諧調を有する粒子を金属酸化物粒子として扱った。尚、当該閾値は、前記金属酸化物の粒子と異物金属粒子とのBSE像を予め測定しておき、両粒子の判別を行うために適宜設定した値である。尚、参考の為、上述した図1において、異物金属粒子をドットにて、金属酸化物の粒子を斜線にてハッチングした模式図を図2に示す。
このようにして、7個の研磨片の全体において、凡そ1千万個の粒子に対してMLAにより分析した。
分析された異物金属粒子の種類毎(含有する金属の種類毎)に、その検出個数を合計した結果を表1に示す。
一方、実施例1に係る金属酸化物材料を、従来の技術に係る臭素メタノール溶液法により定量分析した結果を表2に示す。
Claims (3)
- 金属酸化物の粉体中に含まれた異物を、分析する方法であって、
全自動鉱物分析装置(MLA)を用いて、
前記金属酸化物の粉体の試料の反射電子(BSE)像を取得する工程と、
前記反射電子(BSE)像を画像解析して、前記金属酸化物の粒子と、前記異物の粒子とを判別し、前記判別された異物の粒子の位置情報を取得する工程と、
前記異物の粒子の位置情報に対応する位置におけるエネルギー分散X線スペクトル(EDS)を取得する工程と、
前記取得したエネルギー分散X線スペクトル(EDS)から、前記異物を分析する工程と、を有することを特徴とする金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法。 - 前記反射電子(BSE)像を諧調処理して前記画像解析結果を得、得られた画像解析結果へ前記金属酸化物の粒子と前記異物の粒子とのグレイレベルの閾値を当て嵌めて、前記金属酸化物の粒子と前記異物の粒子とを判別することを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法。
- 前記異物は、金属であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物の粉体中に含まれた異物の分析方法。
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