JP2020024188A - 粉体形状の分析方法、粉体の流動性評価方法、および粉体が分散された樹脂の流動性評価方法 - Google Patents
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Description
粉体の形状を分析する方法であって、
粉体を樹脂に埋め込み樹脂包埋試料を形成する樹脂包埋工程と、
前記樹脂包埋試料に対して前記粉体が露出する断面を形成する断面形成工程と、
前記断面に電子線を照射し、複数の階調を有するグレイレベルで表示される反射電子像を取得する取得工程と、
前記反射電子像について、前記粉体に対応する画素と前記樹脂に対応する画素とを区別するための所定の階調を設定し、画素毎に前記所定の階調を閾値として二値化することで、前記粉体が単一分散して表示されるモノクロ2階調の粉体粒子像を得る画像処理工程と、
前記粉体粒子像に表示される前記粉体のうち、大きさが0.5μm以上である粒子について画像解析をすることで、前記粉体の形状を解析する解析工程と、を有する、
粉体形状の分析方法が提供される。
前記反射電子像は、256階調のグレイレベルで表示され、
前記画像処理工程では、前記反射電子像における各画素について、その階調が前記所定の階調よりも小さければ、黒を示す0の階調または白を示す255の階調に変換し、前記所定の階調以上であれば、前記所定の階調よりも小さい場合とは反対の色を示す階調に変換することで二値化する。
前記画像処理工程では、前記所定の階調を20から250の範囲内で設定する。
前記取得工程では、前記反射電子像において、前記樹脂に対応する画素の階調が黒を示す0の階調、前記粉体に対応する画素の階調が白を示す255の階調となるように、輝度およびコントラストを調整する。
前記取得工程では、加速電圧を0.5kV以上10kV以下の範囲に設定して前記電子線を照射する。
前記取得工程では、加速電圧を3kV以上7kV以下の範囲に設定して前記電子線を照射する。
前記解析工程では、前記粉体の円形度および角張度を算出して形状を解析する。
前記取得工程、前記画像処理工程および前記解析工程を全自動鉱物分析装置で行う。
第7の態様に記載の粉体形状の分析方法で算出された前記円形度および前記角張度に基づき、前記粉体の流動性を評価する、
粉体の流動性評価方法が提供される。
第7の態様に記載の粉体形状の分析方法で算出された前記円形度および前記角張度に基づき、前記粉体が分散された樹脂の流動性を評価する、
粉体が分散された樹脂の流動性評価方法が提供される。
本発明の一実施形態にかかる粉体形状の分析方法について、全自動鉱物分析装置(Mineral Liberation Analyzer、以下、単に「MLA」ともいう)を用いて分析する場合を例に説明する。
MLAでは、測定対象の粉体と樹脂とを混合して固結した樹脂包埋試料の表面を研磨し、得られた断面に対して測定を行う。MLAの測定では、まず断面へ電子線を照射して反射電子像(以下、単に「BSE像」ともいう)を取得して、画像処理によって樹脂部分を除去し、断面に現れた鉱物粒子等の粉体の位置、大きさ、断面形状のデータを取得する。そして、異なる場所の断面の反射電子像を取得して画像処理を行うことを繰り返して、自動で測定を行うものである。例えば、MLAでは、100万個といった極めて多数の粉体粒子を対象に、これらの作業を全自動で実行させることが可能なため、作業が開始されれば、人的な工数は殆ど不要となり、粉体の形状のデータ測定を完了してしまうことが可能である。
まず、形状分析の対象となる粉体を準備する。粉体としては、例えば、金属粉、金属酸化物粉、複合酸化物粉がある。
続いて、樹脂包埋試料の断面出しを行う。例えばバフ研磨機を用いて樹脂包埋試料に粗研磨、中間研磨および鏡面研磨を行い、粉体が露出する平滑な断面を形成する。バフ研磨の他にクロスセクションポリッシャーや集束イオンビーム加工等のイオン研磨を行ってもよい。この断面は後述の取得工程S3にて電子線を照射して観察する観察面となる。なお、断面には電子線照射によるチャージアップを抑制するために必要に応じてカーボン等の導電性物質を蒸着させて導電膜を設けてもよい。
続いて、樹脂包埋試料をMLAに導入し、MLAにて樹脂包埋試料の断面に電子線を照射することで、断面の反射電子像(以下、BSE像ともいう)を取得する。BSE像では、断面における組成分布が、複数の階調を有するグレイレベル(白黒の濃淡)で表示される。樹脂包埋試料の断面のBSE像では、例えば図2に示すように、樹脂に対応する画素はグレイレベルの階調が比較的小さな暗部(黒色)として、粉体に対応する画素はグレイレベルの階調が比較的大きな明部(白色)として、それぞれ表示される。このBSE像では、粉体を構成する複数の粒子が密集して表示され、各粒子から形状を正確に分析しにくい。
続いて、得られたBSE像について、粉体に対応する画素と樹脂に対応する画素とを区別するための階調を閾値として設定し、画素毎に所定の階調を閾値として二値化する。閾値としては、粉体粒子像において粉体を単一分散して表示できるような階調を選択する。この二値化により、粉体が単一分散するとともに、粉体と粒子とが白黒で反対に表示されるモノクロ2階調の粉体粒子像を得る。例えば図2に示すBSE像を画像処理することにより、図3に示すような粉体粒子像を得ることができる。粉体粒子像によれば、粉体の形状を正確かつ鮮明に反映することができる。なお、本実施形態において、単一分散とは、粉体粒子像において各粒子を個別に判別できる程度に粒子が分散していることを示す。
続いて、画像処理工程S4で得られた粉体粒子像を画像解析する。これにより粉体における粒子の大きさや形状のデータを得る。具体的には、MLAを用いて、樹脂包埋試料の断面における異なる領域について形状のデータを繰り返し取得し、複数の粒子の形状データに基づいて、粉体の平均的な形状のデータを得る。
(粉体の流動性、粉体が分散された樹脂の流動性を表す指標)=係数A×(円形度)+係数B×(角張度)・・・(3)
上記式(3)中の係数A値は、粉体の流動性に対応する場合と、粉体が分散された樹脂の流動性に対応する場合とにおいて必ずしも同じ値ではない。係数Bについても同様に、粉体の流動性に対応する場合と、粉体が分散された樹脂の流動性に対応する場合とにおいて必ずしも同じ値ではない。
なお、粉体、樹脂の流動性はこれらの製造過程における加工性にも相関するものと考えられることから、上記式(3)で求めた流動性を表す指標は、粉体もしくは粉体が分散された樹脂の製造過程における加工性を表す指標としも使用することが可能である。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
まず、流動性が異なる粉体を3種類準備した。この粉体をNo.1〜No.3の粉体とする。なお、粉体に含まれる粉体粒子の粒子径はおおよそ2〜3μmであった。
続いて、粉体を0.5cc、2液混合の常温硬化型のエポキシ樹脂を3cc計り取って、直径25mmの円筒状の型の中で混合し、静置して硬化させた。そして、硬化物の上におよそ7ccのエポキシ樹脂を追加して硬化させ、直径25mm、高さがおよそ15mmの円柱状の樹脂包埋試料を得た。No.1〜No.3の粉体を用いてNo.1〜No.3の樹脂包埋試料(以下、単に試料ともいう)をそれぞれ作製した。
Claims (10)
- 粉体の形状を分析する方法であって、
粉体を樹脂に埋め込み樹脂包埋試料を形成する樹脂包埋工程と、
前記樹脂包埋試料に対して前記粉体が露出する断面を形成する断面形成工程と、
前記断面に電子線を照射し、複数の階調を有するグレイレベルで表示される反射電子像を取得する取得工程と、
前記反射電子像について、前記粉体に対応する画素と前記樹脂に対応する画素とを区別するための所定の階調を設定し、画素毎に前記所定の階調を閾値として二値化することで、前記粉体が単一分散して表示されるモノクロ2階調の粉体粒子像を得る画像処理工程と、
前記粉体粒子像に表示される前記粉体のうち、大きさが0.5μm以上である粒子について画像解析をすることで、前記粉体の形状を解析する解析工程と、を有する、
粉体形状の分析方法。 - 前記反射電子像は、256階調のグレイレベルで表示され、
前記画像処理工程では、前記反射電子像における各画素について、その階調が前記所定の階調よりも小さければ、黒を示す0の階調または白を示す255の階調に変換し、前記所定の階調以上であれば、前記所定の階調よりも小さい場合とは反対の色を示す階調に変換することで二値化する、
請求項1に記載の粉体形状の分析方法。 - 前記画像処理工程では、前記所定の階調を20から250の範囲内で設定する、
請求項2に記載の粉体形状の分析方法。 - 前記取得工程では、前記反射電子像において、前記樹脂に対応する画素の階調が黒を示す0の階調、前記粉体に対応する画素の階調が白を示す255の階調となるように、輝度およびコントラストを調整する、
請求項1〜3のいずれかに記載の粉体形状の分析方法。 - 前記取得工程では、加速電圧を0.5kV以上10kV以下の範囲に設定して前記電子線を照射する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体形状の分析方法。 - 前記取得工程では、加速電圧を3kV以上7kV以下の範囲に設定して前記電子線を照射する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体形状の分析方法。 - 前記解析工程では、前記粉体の円形度および角張度を算出して形状を解析する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体形状の分析方法。 - 前記取得工程、前記画像処理工程および前記解析工程を全自動鉱物分析装置で行う、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉体形状の分析方法。 - 請求項7に記載の粉体形状の分析方法で算出された前記円形度および前記角張度に基づき、前記粉体の流動性を評価する、
粉体の流動性評価方法。 - 請求項7に記載の粉体形状の分析方法で算出された前記円形度および前記角張度に基づき、前記粉体が分散された樹脂の流動性を評価する、
粉体が分散された樹脂の流動性評価方法。
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