JP7163878B2 - 焼結鉱の鉱物種判別方法及び焼結鉱の組織分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種判別方法、及びこれを用いた焼結鉱の組織分析方法に関する。
焼結鉱は、高炉に装入する鉄源の大多数を占める重要な材料である。また、近年の鉱石資源の劣質化により、焼結鉱の品質への影響が懸念されている。そのため、焼結鉱の組織を定量的に解析できる評価技術が求められており、これまでにもいくつか検討されている。
例えば、光学顕微鏡を用いて取得した焼結鉱の画像について、輝度の分布から焼結鉱を構成する構成相の存在領域を確定して、複数の構成相からなる焼結鉱の組織観察を行う方法がある(特許文献1、2参照)。
しかしながら、このような方法では、組織のコントラストの差異から焼結鉱の構成相を評価することになるため、観察者の主観に依存してしまう。また、多成分系カルシウムフェライトのようにコントラストでの判別がそもそも難しいものがある。
一方で、X線回折法により回折パターンを得て、これにリートベルト解析法を適用して、Fe及びOを含むFe-O相と、Fe、O及びCaを含むCa-Fe-O相とを決定して、これらの構成相の相分率を定量する方法が知られている(特許文献3、非特許文献1参照)。
また、このようにX線回折法を利用する場合、粉末の焼結鉱に対してX線を照射するため、発生するX線量が焼結鉱を形成する各結晶相の粒径分布等に応じて変化する、いわゆる微小吸収効果の影響で相分率を正しく定量できないことがある。そこで、この点を改善するものとして、SEM-EDS(Scanning Electron Microscopy - Energy Dispersive Spectroscopy:走査型電子顕微鏡-エネルギー分散分光法)を用いて、X線回折法により回折パターンを得た焼結鉱の粉末試料の観察画像から結晶相の平均粒径を求めて、結晶相の構成比率(質量比率)を補正する方法が知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4のような補正方法を含めて、X線回折により焼結鉱の構成相(結晶相)を決定するにあたっては、焼結鉱の粉末試料を用いることから、焼結鉱を構成する状態(粉砕する前の状態)での鉱物の形状に関する情報を得ることはできない。
ちなみに、特許文献4の方法においては、SEM-EDSにより各結晶相の観察像上における元素マッピング分析を行い、得られた結果を画像解析することにより、各結晶相の平均粒径を算出することができるとするが、あくまでこれはX線回折法で用いた焼結鉱の粉末試料におけるものであり、結晶相の相分率を定量するにあたり、微小吸収効果を補正するために粉末試料中での結晶相の平均粒径を求めているに過ぎない(特許文献4の段落0055参照)。また、この特許文献4の方法でのSEM-EDSによる観察像の元素マッピング分析は、検出された元素がFeのみであれば結晶相はFe又はFeであると判断するなど、結晶相(構成相)を同定するまでには至っていない(同段落0056参照)。
特開2014-215987号公報 特開2014-137344号公報 特開2013-122403号公報 特開2018-44855号公報
高山透,村尾玲子,木村正雄,リートベルト解析による高炉原料用焼結鉱の鉱物相評価,鉄と鋼 vol.103(2017)No.6,p161-170
焼結鉱の組織を解析するにあたり、上述した従来の方法では、焼結鉱を構成する鉱物種(結晶相又は構成相と同義である)の同定と、焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報の取得とを同時に達成することはできない。
そこで、本発明者らは、焼結鉱を形成した状態で鉱物種を同定すると共に、その鉱物の形状に関する情報の取得を可能にするための手段について鋭意検討した結果、電子線やX線のような一次線を照射して得られる特性X線に基づいた元素分析を利用して、焼結鉱中の鉱物が有する金属元素に対応した金属酸化物の質量割合を求めることで、焼結鉱を形成した状態での鉱物種の判別が可能になることを見出した。そして、焼結鉱の組織画像を予め取得しておき、これに対応させて鉱物種の判別を行うことで、鉱物種の同定と焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報取得とを共に可能にできることから、本発明を完成させた。
したがって、本発明の目的は、焼結鉱を形成した状態で鉱物種を同定することができる鉱物種の判別方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、焼結鉱を構成する鉱物種の同定と、焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報の取得とを可能にする焼結鉱の組織分析方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種を判別する方法であって、一次線を照射して得られる特性X線に基づく元素分析により、少なくともFe、Ca、Si、Al及びOからなる分析元素群の一次線照射スポットにおける各元素の質量割合を求めて、この元素分析で得られた結果について、下記式(1)~(4)の変換式に基づき、前記分析元素群のなかの金属元素に対応した所定の金属酸化物の質量割合を求めて、得られた金属酸化物の質量割合の結果を利用した下記式(6)~(13)の判別式に基づき、一次線照射スポットに対応する鉱物の鉱物種を判別する、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種判別方法である。
なお、本発明においては、鉱物種に気孔を含める。
〔金属酸化物の質量割合変換式〕
(1)Al=(<Al>/MAl)×(MAl×2+M×3)/2
(2)SiO=(<Si>/MSi)×(MSi+M×2)
(3)Fe=(<Fe>/MFe)×(MFe×2+M×3)/2
(4)CaO=(<Ca>/MCa)×(MCa+M)
(式中、<Al>、<Si>、<Fe>及び<Ca>は、前記元素分析によるAl、Si、Fe及びCaのそれぞれの質量割合を表す。また、MAl、MSi、Fe、Ca及びMは、Al、Si、Fe、Ca及びOのそれぞれの分子量を表す。)
〔鉱物種判別式〕
(6)Fe、CaO、SiO及びAlの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
(7)Alの質量割合が38%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はアルミナである。
(8)SiOの質量割合が50%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物は石英である。
(9)SiOの質量割合が20%以上50%未満の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はラーナイト、又はシリケートスラグである。
(10)CaO及びAlの質量割合の合計が3%以上10%以下であり、かつ、1.3≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はマグネタイトである。
(11)1.4≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はヘマタイトである。
(12)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
(13)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
(式中、Al、SiO、Fe及びCaOは、前記式(1)~(4)の変換式で求めた各金属酸化物の質量割合を表す。また、<Fe>及び<O>は、前記元素分析によるFe及びOのそれぞれの質量割合を表す。更に、MFe及びMは、Fe及びOのそれぞれの分子量を表す。)
本発明においては、前記分析元素群が更にMgを含むようにすると共に、金属酸化物の質量割合変換式として下記式(5)を含めるようにしてもよい。その際、鉱物種の判別式における前記式(6)としては下記式(6’)が対応し、前記式(12)としては下記式(12’)が対応し、前記式(13)としては下記式(13’)が対応する。
(5)MgO=(<Mg>/MMg)×(MMg+M)
(式中、<Mg>は、前記元素分析によるMgの質量割合を表す。また、MMg及びMは、Mg及びOのそれぞれの分子量を表す。)
(6’)Fe、CaO、SiO、Al及びMgOの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
(12’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
(13’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
(式中、Al、SiO、Fe、CaO及びMgOは、前記式(1)~(5)の変換式で求めた各金属酸化物の質量割合を表す。)
また、本発明は、電子顕微鏡により焼結鉱の組織画像を取得して、該組織画像を輝度が概ね同一の領域に区分処理し、すなわち、該組織画像を形成する画素の輝度範囲が等しい領域で組織画像を複数に区分処理して、区分けされた領域ごとに、それぞれの領域のなかから少なくとも1点について、対応する焼結鉱の箇所に一次線を照射して、上記方法により焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種を判別することで、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングする、焼結鉱の組織分析方法である。
この焼結鉱の組織分析方法では、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングした結果に基づき、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの構成比率を評価するか、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの鉱物の粒径を評価するか、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの鉱物の形状を評価するか、又は、これらを組み合わせて評価することができる。
その際、鉱物の粒径の評価として、下記式(I)で表される円相当径Rを用いるようにしてもよく、また、鉱物の形状の評価において、下記式(II)で表される形状係数αを用いるようにしてもよい。
R=(A/π)1/2 ・・・(I)
α(-)=P/A/4π ・・・(II)
ここで、Aは鉱物の面積、Pは鉱物の外周囲長、πは円周率を表す。
そして、例えば、鉱物種がSFCA又はSFCA-Iであるとき、式(II)で表される形状係数が10以上であれば当該鉱物を針状に分類し、形状係数が10未満であれば当該鉱物を柱状に類別することができる。
また、鉱物種がヘマタイト又はマグネタイトであるときは、式(I)で表される円相当径Rが100μm以上であり、かつ、当該鉱物粒子の外縁が50μm以上の直線部分を少なくとも2つ有する場合には、そのヘマタイト又はマグネタイトの形態を二次に類別し、それ以外は一次に類別することができる。
本発明の鉱物種判別方法によれば、焼結鉱を形成した状態のまま、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種を同定することができる。
また、この判別方法を利用した焼結鉱の組織分析方法によれば、焼結鉱を構成する鉱物種の同定と共に、焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報を取得することができる。つまり、焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報を取得しながら、その鉱物種が同定されるため、鉱物種でマッピングされた焼結鉱の組織分析画像が得られて、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの構成比率をはじめ、鉱物種ごとの鉱物の粒径や鉱物の形状等を評価することができるようになる。
図1(a)は、x=SiO、y=CaO(又はCaO+MgO)、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図であり、図1(b)は、判別式(12)又は(12’)と(13)又は(13’)が示す位置での質量比を表にまとめたものである。 図2は、組織画像の全体で元素分析を行う場合について、組織画像を鉱物種でマッピングする際の手順を示すフローチャートである。 図3は、組織画像を予め多値化処理した上で、組織画像を鉱物種でマッピングする際の手順を示すフローチャートである。 図4(a)は領域区分処理したものであり、図4(b)は本発明の方法により鉱物種でマッピングした組織分析画像〔図4(a)中で白線で囲んだ領域の拡大図〕である。 図5(a)は、実施例で得られた組織画像のひとつである。また、図5(b)は、組織画像を多値化処理した後の拡大画像である。 図6は、実施例で得られた組織分析画像をもとに、各焼結鉱試料を構成する鉱物種の構成比率を面積比で表したグラフである。 図7は、実施例で得られた組織分析画像をもとに、4つの鉱物種の鉱物粒径を求めた結果である。 図8は、本発明によって求められた鉱物種の構成比率と従来法であるリートベルト解析での結果とを比較したものである(ヘマタイトの場合)。 図9は、本発明によって求められた鉱物種の構成比率と従来法であるリートベルト解析での結果とを比較したものである(SFCA-Iの場合)。 図10は、本発明によって求められた鉱物種の構成比率と従来法であるリートベルト解析での結果とを比較したものである(SFCAの場合)。
以下、図面を参照しながら、本発明についてより詳しく説明する。
<鉱物種判別方法>
先ず、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種判別方法について、本発明では、焼結鉱に電子線又はX線のような一次線を照射して得られる特性X線に基づく元素分析により、少なくともFe、Ca、Si、Al及びOからなる分析元素群の一次線照射スポットにおける各元素の質量割合を求めるようにする。その際、後述するような焼結鉱の組織分析を行うことを考慮すると、好ましくは、試料である焼結鉱を樹脂に埋め込み研磨して(樹脂埋め研磨して)、その焼結鉱の研磨面に一次線を照射するようにするのがよい。
ここで、分析元素群として、Fe、Ca、Si、Al及びOを選択する理由は、焼結鉱を構成する主要な鉱物であるヘマタイト(Fe2O3)、マグネタイト(Fe3O4)、カルシウムフェライト(SFCA、SFCA-I)、ラーナイト又はシリケートスラグ(Ca2SiO4)に加えて、脈石由来のアルミナ(Al2O3)や石英(SiO2)の判別を行うためである。このうち、カルシウムフェライトは、Fe、Ca、Si及びAlを含む連続固溶型の複合酸化物であり、SFCAは、例えばCa2.8Fe8.7Al1.2Si0.820で表され、SFCA-Iは、例えばCa3.14Fe15.48Al1.3428で表される(非特許文献1のTable 2-1)。また、このSFCAには微量のMgが固溶する場合(SFCAM)があることから、分析元素群としてMgを含めるようにしてもよい。なお、これら以外にも焼結鉱にはPやS等の微量元素が含まれるが、これらは鉱物種を判別する上で特に必要とならないことから、分析元素群には含めていない。また、測定試料の準備で樹脂埋めを行った場合には樹脂由来のCが検出されるが、これについても分析元素群には含めないようにする。参考までに、非特許文献1のTable 2-1、2-2に記載された焼結鉱の鉱物種(鉱物相)を下記表1にまとめて示す。
Figure 0007163878000001
この元素分析により、一次線照射スポットにおける分析元素群の各元素の質量割合を求めた上で、すなわち、分析元素群の各元素の総和を100質量%とした場合にはそれぞれの元素の質量%を求めた上で、下記式(1)~(4)の金属酸化物の質量割合変換式に基づき、分析元素群における各金属元素に対応した金属酸化物の質量割合を求めるようにする。なお、分析元素群としてMgを含める場合には、下記式(5)を追加する。
〔金属酸化物の質量割合変換式〕
(1)Al=(<Al>/MAl)×(MAl×2+M×3)/2
(2)SiO=(<Si>/MSi)×(MSi+M×2)
(3)Fe=(<Fe>/MFe)×(MFe×2+M×3)/2
(4)CaO=(<Ca>/MCa)×(MCa+M)
(5)MgO=(<Mg>/MMg)×(MMg+M)
(式中、<Al>、<Si>、<Fe>、<Ca>及び<Mg>は、上記元素分析によるAl、Si、Fe、Ca及びMgのそれぞれの質量割合を表す。また、MAl、MSi、MFe、MCa、MMg及びMは、Al、Si、Fe、Ca、Mg及びOのそれぞれの分子量を表す。)
上記で求めた金属酸化物の質量割合は、一次線を照射した照射スポット(一次線照射スポット)における分析元素群の各金属元素の質量割合を反映したものであることから、この結果に基づき、下記式(6)~(13)の鉱物種判別式を利用することで、一次線照射スポットに対応する焼結鉱の鉱物種を判別することができる。なお、分析元素群としてMgを含めた場合には、式(6)のかわりに式(6’)を使用し、式(12)のかわりに式(12’)を使用し、式(13)のかわりに式(13’)を使用して、それぞれの判別を行う。なお、これらの判別式における金属酸化物の質量割合に関する値は、既知の金属酸化物の化学式を基に設定したが、焼結鉱中に含まれる金属酸化物は複数の元素を固溶するため、その成分範囲は種々の実験結果に基づき特定したものである。
〔鉱物種判別式〕
(6)Fe、CaO、SiO及びAlの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
(6’)Fe、CaO、SiO、Al及びMgOの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
(7)Alの質量割合が38%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はアルミナである。
(8)SiOの質量割合が50%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物は石英である。
(9)SiOの質量割合が20%以上50%未満の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はラーナイト、又はシリケートスラグである。
(10)CaO及びAlの質量割合の合計が3%以上10%以下であり、かつ、1.3≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はマグネタイトである。
(11)1.4≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はヘマタイトである。
(12)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
(12’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
(13)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
(13’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
(式中、Al、SiO、Fe、CaO及びMgOは、上記式(1)~(5)の変換式で求めた各金属酸化物の質量割合を表す。また、<Fe>及び<O>は、先の元素分析によるFe及びOのそれぞれの質量割合を表す。更に、MFe及びMは、Fe及びOのそれぞれの分子量を表す。)
ここで、判別式(6)と(6’)については、分析元素群の金属元素に対応した金属酸化物の存在割合がかなり少ないことを意味するものとして、すなわち、焼結鉱を構成する主要な鉱物が存在しないと考えられることから、気孔と判別する。
また、判別式(7)及び(8)について、それぞれの金属酸化物の存在割合が高い場合には、焼結鉱を得る上で焼結反応に利用されなかった脈石成分由来のアルミナ(Al2O3)及び石英(SiO2)と判別する。一方で、判別式(9)に該当する場合には、鉱物種としてラーナイト(Ca2SiO4)であると判別できるが、非晶質のシリケートスラグはラーナイトと同じ化学組成を有するため、判別式(9)での判別対象には、シリケートスラグの場合も含めるものとする。
また、判別式(10)及び(11)について、マグネタイトはスラグ成分を含み、ヘマタイトはスラグ成分を含まないことから、CaO及びAlの質量割合の合計が3%以上10%以下であり、かつ、酸化物中の鉄(Fe)と酸素(O)のモル比が1.3以上の場合にはマグネタイトと判別し、CaO及びAlの質量割合の合計がこれを満たさずに、酸化物中の鉄(Fe)と酸素(O)のモル比が1.4以上の場合にはヘマタイトと判別する。
更に、判別式(12)と(12’)、及び、(13)と(13’)について、カルシウムフェライトは、Al23やSiO2のような脈石成分を固溶する多成分系の複合酸化物であることから、図1(a)に示したようなx-y-zの擬三元系状態図を利用して判別する。ここで、上述したように、Mgが含まれる場合でも、その量は微量であることから、判別式(12)と(12’)は共通のものを用いても差し支えない。判別式(13)と(13’)についても同様である。なお、図1(a)では、これらの判別式で特定する範囲を図示しており、図1(b)では各点が示す位置の質量比を表にしてまとめている。また、図1の擬三元系状態図ではy=CaO+MgOとしているが、分析元素群としてMgを含めない場合にはy=CaOとなる。
これら鉱物種判別式による(6)~(13)の適用順序について特に制限はなく、例えば、式の番号順に従って鉱物種を判別していくようにすればよいが、後述する図2、3のフローチャートに示されるように、鉱物種の主要な化学成分によって関連する判別式をいくつかのグループにまとめて、順次、鉱物種を判別していくようにしてもよい。
本発明における元素分析を行うにあたっては、特性X線を検出することができる分析方法であれば特に制限はないが、好ましくは、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)や波長分散型X線分析装置(WDS)等の元素分析装置を用いるようにするのがよい。このうち、EDSは走査型電子顕微鏡(SEM)に取り付けられることから、SEMからの画像情報と併せて分析元素の情報を得ることができる。また、WDSは電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)に取り付けられることから、同様に、EPMAからの画像情報と併せて分析元素の情報が得られて、後述する焼結鉱の組織分析を行う上で好都合である。
<焼結鉱組織画像の鉱物種に分けたマッピング>
次に、本発明における焼結鉱の組織分析方法について、本発明では、SEMやEPMA等の電子顕微鏡を用いて、焼結鉱の組織画像を取得する。このとき、好ましくは、樹脂に埋め込み研磨した焼結鉱の研磨面について組織画像を得るようにするのがよい。得られた組織画像について、上述した本発明の鉱物種判別方法に従い、SEMに取り付けられたEDSやEPMAに取り付けられたWDS等により組織画像に対応させて分析元素群の元素分析を行うことで、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングすることができる。利用する組織画像については、反射電子像であってもよく、二次電子像であってもよいが、鉱物種ごとの違いがより鮮明に表されることから、好ましくは反射電子像を用いるのがよい。
また、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングする際には、組織画像内を所定の間隔で上下左右にスキャンするようにして一次線を照射し、特性X線から照射箇所の鉱物種を特定することでマッピングできる。好ましくは、先ず、組織画像を輝度が概ね同一の領域に区分処理し、次に、区分された領域の鉱物種を特性X線から特定することで、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングするのがよい。
すなわち、焼結鉱を構成する鉱物は、鉱物種に応じた輝度を有する。例えば、ヘマタイト、マグネタイト、カルシウムフェライトの順に輝度が低下し、組織画像内のヘマタイトの輝度が最も高く白色であり、マグネタイト、カルシウムフェライトの順に淡い灰色から濃い灰色に変わり、気孔が最も輝度が低く黒色となる。
そのため、先ずは、組織画像を、画素の輝度が概ね同一の領域に区分けする(領域区分処理)。すなわち、組織画像を形成する画素の輝度範囲が等しい領域で組織画像を複数に区分処理する。例えば、組織画像の画素の輝度が非連続的に変化する画素を特定し、それを境界線とすることで、この領域区分処理を実施することができる。また、前述したように、焼結鉱を構成する鉱物は鉱物種に応じた輝度を有することから、既知の情報を基に輝度範囲を設定した上で、領域区分処理を実施するようにしてもよい。これによって区分された輝度が概ね同一の領域(輝度領域)は、ひとつの鉱物種に対応した領域に分割される。
次いで、区分けされた輝度領域ごとに、それぞれの輝度領域のなかから少なくとも1点を選択する。そして、その点に対応する箇所の焼結鉱に一次線を照射して、上述した本発明の鉱物種判別方法に従って鉱物種の判別を行う。これにより、それぞれの輝度領域の鉱物種を特定する。これら一連の手順によって、焼結鉱の鉱物種でマッピングされた組織分析画像(マッピング像)を得ることができる。その際、輝度領域ごとに色を変えてカラー表示するなどして、鉱物種を判別する箇所の区別が付き易くなるようにしてもよい。
このような輝度に基づく領域区分処理やマッピングは、SEMやEPMA等の電子顕微鏡やEDSやWDS等に付属の分析ソフトウェアであったり、計算機や計算ソフトウェアを用いて行うことができる。市販されているものとして、具体的には、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のQEMSCAN、FEI社のMLA、Burker社のAMICS、TESCANのTIMA、ZeissのMineralogic等を挙げることができる。
ここで、図2及び図3には、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングする際の手順がフローチャートで示されている。このうち、図2は、電子顕微鏡による焼結鉱の組織画像の全体で元素分析を行う場合の例を示している。例えば、樹脂埋め研磨した焼結鉱の研磨面のうち10mm×10mmの範囲を一次線のビーム径に相当する20μmピッチで上下左右にスキャンしながら元素分析を行う場合、測定点は500×500点(合計250,000点)になることから、全ての分析が終わるまでにかなりの時間を要してしまう。一方で、図3は、得られた組織画像を領域区分処理した上で、元素分析を行う場合の例である。この場合には、区分けされた輝度領域の数に応じて元素分析を行うことができることから、図2の場合に比べて実用的であるとも言える。このように、組織画像を領域区分処理した上で、本発明の方法により鉱物種の判別を行うことで、組織画像をスキャンしながら鉱物種の判別を行う場合に比べて、短時間で効率良く組織分析画像を得ることができるようになる。
<鉱物の各種評価>
本発明においては、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングした結果に基づき、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの構成比率、鉱物種ごとの鉱物の粒径、及び、鉱物種ごとの鉱物の形状を評価することができ、これらを組み合わせて評価することもできる。すなわち、鉱物種でマッピングされた組織分析画像(マッピング像)において、輝度の高低で区画された各輝度領域の面積は、組織画像中の鉱物種の存在比を反映するため、組織画像を領域区分処理して鉱物種の判別を行うことで、鉱物種の構成比率を定量することもできる。また、このようにして得られた組織分析画像は、粉砕されたものではなく、焼結鉱を構成する状態のものであることから、鉱物種ごとの鉱物の粒径や形状等に関する情報を取得することもできる。
例えば、下記式(I)で表される円相当径(面積が等しい円の直径)Rを用いて、鉱物の粒径を評価するようにしてもよい。また、鉱物の形状は、下記式(II)で表される形状係数αを用いて評価するようにしてもよい。
R=(A/π)1/2 ・・・(I)
α=P/A/4π ・・・(II)
ここで、Aは組織分析画像における鉱物の面積を表し、Pは鉱物の外周囲長を表し、πは円周率を表す。なお、鉱物粒子の円形度が1の時、式(II)の形状係数αは1となる。
上記式(II)の形状係数αを利用した鉱物の形状評価について、例えば、カルシウムフェライト(SFCA、SFCA-I)はその形態から針状と柱状に大別される。従来より、両者は幅の太さの違いから、観察者の目視により判定されてきた。なかでも、針状組織は比表面積が大きく、高炉内での被還元性に優れた組織であることが知られている。
そこで、針状と柱状の比表面積の違いに着目して、形状係数αを用いて両者を分類する。詳しくは、鉱物種がカルシウムフェライト(SFCA又はSFCA-I)である場合、形状係数αが10以上であれば針状カルシウムフェライトであるとし、10未満のであれば柱状カルシウムフェライトとして類別する。本発明によって、従来、熟練者の目視により判定されていた針状と柱状のカルシウムフェライトが自動的に類別判定することができるようになる。ちなみに、図4には、上記式(II)の形状係数αによる類別の例が示されている。これによれば、針状に判別されたカルシウムフェライトがSFCA-1に対応し、柱状に判別されたカルシウムフェライトがSFCAに対応していることが分かる。なお、図4(a)は、SEMに付属のソフトウェアを用いて領域区分処理したものであり、図4(b)は本発明の方法により鉱物種でマッピングした組織分析画像(マッピング像)である。図4(b)の実物はカラー画像であり、緑:ヘマタイト、白:針状SFCA-I、青:柱状SFCA、黒:気孔、赤:石英、をそれぞれ示している。
また、ヘマタイトやマグネタイトはその形態から一次と二次に大別される。カルシウムフェライトと同様、従来より、両者は粒子の形状の違いから、観察者の目視により判定されてきた。このうち、一次ヘマタイトには骸晶状と呼ばれる直角の頂点が存在し、その粒径も100~500μmと二次ヘマタイトよりも大きい。一方、二次ヘマタイトは低温還元過程でき裂が生じやすく、高炉内での耐還元粉化性に劣る組織であることが知られている。これらの特徴はマグネタイトの場合でも同様である。
そこで、上記式(I)を利用して鉱物の粒径Rを評価すると共に、鉱物が直線的な形状を有するかどうかを判断することで、ヘマタイト及びマグネタイトをそれぞれ分類することができる。すなわち、鉱物の粒径Rが100μm以上であり、かつ、鉱物粒子の外縁が50μm以上の直線部分を少なくとも2つ有する場合には、二次ヘマタイトであるか又は二次マグネタイトであると判断することができ、それ以外の場合には、一次ヘマタイト又は一次マグネタイトに類別できる。なお、鉱物粒子外縁の直線の解析は、境界の1点から境界を追跡する場合に次の境界の方向により符号化する方法(チェーン符号化処理)により、次々に境界を追跡した方向が一定している、すなわち直線であると判定を行うことができる。詳しくは、参考文献1〔釜三夫、宮崎武志、伊藤薫、肥田行博、佐々木稔:CAMP-ISIJ,(1984)S80〕に記載の方法で実施することができる。
以下、図3のフローチャートで示す方法の実施例に基づいて、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの内容に制限されるものではない。
石灰石等の副原料や鉄含有原料が異なって製造された焼結鉱のなかから、それぞれ縮分して、12の焼結鉱試料(Case 1~12)を用意し、次のようにして組織分析を行った。
先ず、焼結鉱試料について、常法に従ってそれぞれ樹脂埋め研磨した上で、走査型電子顕微鏡(SEM)により研磨面の組織画像を得た。その際、測定装置としては、日本電子社製JXA-8230のSEMと日本電子社製XM-86010(XCE)及びXM-86030(H)の分光器を使用し、測定条件としては、加速電圧:15.0kV、照射電流:4.979×10-8A、ビーム径:20.0μm(ビーム形状:円)、時間:50.0msで連続スキャンを実施した。図5(a)には、得られた組織画像(反射電子像)のひとつが示されている。
次いで、得られた組織画像について、SEMに付属のソフトウェアを用いて領域区分処理を行った。図5(b)は、上記焼結鉱試料のひとつの組織画像を領域区分処理した後の拡大画像である。なお、この図5(b)は、実際には各輝度領域をカラーで表示したものである。
次に、上記のようにして区分けされた輝度領域ごとに、それぞれの輝度領域のなかから1点を選んで、その点に対応する焼結鉱試料の研磨面の箇所に電子線を照射し、得られる特性X線に基づく元素分析により、Fe、Ca、Si、Al、Mg及びOからなる分析元素群の一次線照射スポットにおける各元素の質量割合を求めた。測定点は、領域区分された画像からソフトウェアにより決定した。その情報を上記SEMに送り、元素分析の情報を自動的に取得した。測定条件としては、ビーム径:20.0μm(ビーム形状:円)、時間:50.0msとした。表2には、上記焼結鉱試料のひとつについて、3箇所の一次線照射スポット(スポット1~3)での分析元素群の各元素の質量割合が例として示されている。ここでは、分析元素群である各元素の総和を100質量%として、それぞれの元素の質量割合を質量%で表している。
Figure 0007163878000002
この元素分析で得られた結果について、先の式(1)~(5)の変換式に基づいて、分析元素群のなかの金属元素に対応した金属酸化物の質量割合を求めた。表3には、表2で示したスポット1~3の結果をもとにして金属酸化物の質量割合を求めた結果を示す。また、x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときの質量比(x,y,z)を併せて示す。
Figure 0007163878000003
そして、得られた金属酸化物の質量割合の結果を利用して、先の式(6)~(13)の判別式に基づき、一次線照射スポットに対応する鉱物の鉱物種を判別した。具体的には、図3に示したフローチャートに従い、鉱物種を判別した。ここで、表2~3に示したスポットの例で言えば、スポット1に対応する鉱物はヘマタイトであり、スポット2に対応する鉱物はSFCA-Iであり、スポット3に対応する鉱物はラーナイト又はシリケートスラグであると判別される。このようにして、焼結鉱の鉱物種でマッピングされた組織分析画像を得ることができる。なお、表3中に記された各スポットの(x,y,z)については、対応する座標の位置が図1の擬三元系状態図に示されており、三角の点(△)がスポット1の場合を表し、菱形の点(◇)がスポット2の場合を表し、四角の点(□)がスポット3の場合を表す。
また、図6には、上記で得られた組織分析画像をもとに、各焼結鉱試料を構成する鉱物種の構成比率を面積比で表したグラフが示されている。更に、図7には、同じく、上記で得られた組織分析画像をもとに、4つの鉱物種の鉱物粒径を求めた結果が示されている。ここで、図7の鉱物粒径を算出するにあたっては、画像解析で各鉱物相の面積を導出し、先の式(I)を利用して面積相当の粒子径(粒径R)にして求めており、観察倍率を上げることで焼結鉱中の微細な鉱物の形状やサイズの特定が可能になる。
この実施例によって求められた鉱物種の構成比率の結果について、従来法であるリートベルト解析での結果との比較を行った。図8~10には、これらを比較した結果が示されており、図8がヘマタイトの場合、図9がSFCA-Iの場合、図10がSFCAの場合の比較結果である。それぞれについて、縦軸は、上記の実施例で求めた鉱物種の構成比率であって、図6で示した組織分析画像をもとに、各焼結鉱試料での該当鉱物種の面積比(area%)をプロットしたものである。但し、リートベルト解析による結果と比較するために、上記で求めた図6の気孔率(pore)は差し引いて、残りの鉱物種での面積比を求めるようにした。一方の縦軸は、非特許文献1に記載の方法によって求めた焼結鉱試料中での該当鉱物種の質量割合(mass%)をプロットしたものである。すなわち、上記焼結鉱試料の一部をそれぞれ平均粒度が約10μm程度になるまで粉砕し、X線回折(XRD)測定と化学組成分析を行った。そして、リートベルト解析により得られる各鉱物種の質量割合を求めた。
これら図8~10から分かるように、両者で求めた結果は概ね一致する。特に、本発明によれば、従来法のX線回折を用いた場合には求めることができない気孔の構成比率についても評価が可能である。これは、本発明による方法が、焼結鉱を構成する鉱物種の同定と共に、焼結鉱を形成した状態での鉱物形状に関する情報を取得することができるためである。

Claims (7)

  1. 焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種を判別する方法であって、
    一次線を照射して得られる特性X線に基づく元素分析により、少なくともFe、Ca、Si、Al及びOからなる分析元素群の一次線照射スポットにおける各元素の質量割合を求めて、この元素分析で得られた結果について、下記式(1)~(4)の変換式に基づき、前記分析元素群のなかの金属元素に対応した所定の金属酸化物の質量割合を求めて、得られた金属酸化物の質量割合の結果を利用した下記式(6)~(13)の判別式に基づき、一次線照射スポットに対応する鉱物の鉱物種を判別することを特徴とする、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種判別方法。
    〔金属酸化物の質量割合変換式〕
    (1)Al=(<Al>/MAl)×(MAl×2+M×3)/2
    (2)SiO=(<Si>/MSi)×(MSi+M×2)
    (3)Fe=(<Fe>/MFe)×(MFe×2+M×3)/2
    (4)CaO=(<Ca>/MCa)×(MCa+M)
    (式中、<Al>、<Si>、<Fe>及び<Ca>は、前記元素分析によるAl、Si、Fe及びCaのそれぞれの質量割合を表す。また、MAl、MSi、Fe、Ca及びMは、Al、Si、Fe、Ca及びOのそれぞれの分子量を表す。)
    〔鉱物種判別式〕
    (6)Fe、CaO、SiO及びAlの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
    (7)Alの質量割合が38%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はアルミナである。
    (8)SiOの質量割合が50%以上の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物は石英である。
    (9)SiOの質量割合が20%以上50%未満の場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はラーナイト、又はシリケートスラグである。
    (10)CaO及びAlの質量割合の合計が3%以上10%以下であり、かつ、1.3≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はマグネタイトである。
    (11)1.4≧(<O>/M)/(<Fe>/MFe)であれば、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はヘマタイトである。
    (12)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
    (13)x=SiO、y=CaO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
    (式中、Al、SiO、Fe及びCaOは、前記式(1)~(4)の変換式で求めた各金属酸化物の質量割合を表す。また、<Fe>及び<O>は、前記元素分析によるFe及びOのそれぞれの質量割合を表す。更に、MFe及びMは、Fe及びOのそれぞれの分子量を表す。)
  2. 前記分析元素群が更にMgを含むと共に、金属酸化物の質量割合変換式が下記式(5)を含み、また、鉱物種の判別式における前記式(6)として下記式(6’)が対応し、前記式(12)として下記式(12’)が対応し、前記式(13)として下記式(13’)が対応する、請求項1に記載の焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種判別方法。
    (5)MgO=(<Mg>/MMg)×(MMg+M)
    (式中、<Mg>は、前記元素分析によるMgの質量割合を表す。また、MMg及びMは、Mg及びOのそれぞれの分子量を表す。)
    (6’)Fe、CaO、SiO、Al及びMgOの質量割合の合計が20%以下の場合、当該一次線照射スポットに対応する箇所は気孔である。
    (12’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(20,30,50)、(0,20,80)、(0,10,90)、(10,0,90)及び(35,15,50)の5点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCAである。
    (13’)x=SiO、y=CaO+MgO、z=Fe+Alとしたときのx-y-zの擬三元系状態図において、質量比(x,y,z)=(0,30,70)、(10,35,55)、(15,29,56)及び(0,20,80)の4点で囲まれる範囲に含まれる場合、当該一次線照射スポットに対応する鉱物はSFCA-Iである。
    (式中、Al、SiO、Fe、CaO及びMgOは、前記式(1)~(5)の変換式で求めた各金属酸化物の質量割合を表す。)
  3. 電子顕微鏡により焼結鉱の組織画像を取得し、該組織画像を形成する画素の輝度範囲が等しい領域で組織画像を複数に区分処理して、区分けされた領域ごとに、それぞれの領域のなかから少なくとも1点について、対応する焼結鉱の箇所に一次線を照射して、前記請求項1又は2に記載の方法により焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種を判別し、焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングすることを特徴とする、焼結鉱の組織分析方法。
  4. 焼結鉱の組織画像を鉱物種でマッピングした結果に基づき、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの構成比率を評価するか、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの鉱物の粒径を評価するか、焼結鉱を構成する鉱物の鉱物種ごとの鉱物の形状を評価するか、又は、これらを組み合わせて評価する、請求項3に記載の焼結鉱の組織分析方法。
  5. 前記鉱物の粒径の評価として、下記式(I)で表される円相当径Rを用い、また、前記鉱物の形状の評価として、下記式(II)で表される形状係数αを用いる、請求項4に記載の焼結鉱の組織分析方法。
    R=(A/π)1/2 ・・・(I)
    α(-)=P/A/4π ・・・(II)
    ここで、Aは鉱物の面積、Pは鉱物の外周囲長、πは円周率を表す。
  6. 前記鉱物種がSFCA又はSFCA-Iであるとき、前記式(II)で表される形状係数が10以上であれば当該鉱物を針状に分類し、形状係数が10未満であれば当該鉱物を柱状に類別する、請求項5に記載の焼結鉱の組織分析方法。
  7. 前記鉱物種がヘマタイト又はマグネタイトであるとき、前記式(I)で表される円相当径Rが100μm以上であり、かつ、当該鉱物粒子の外縁が50μm以上の直線部分を少なくとも2つ有する場合には、ヘマタイト又はマグネタイトの形態を二次に類別し、それ以外は一次に類別する、請求項5に記載の焼結鉱の組織分析方法。
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