JP2017170620A - フィルター装置およびこれを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流入口と流出口を有するハウジング内に2つ以上のフィルターエレメントを配置したフィルター装置であって、
各フィルターエレメントは合流流路を介して前記流出口に接続されており、
前記合流流路は、
各フィルターエレメントとの接続部と、
直柱または錐台形状の筒状流路と、
1つの合流部と、
前記流出口との接続部と、をこの順で備え、
任意の1つの前記筒状流路の中心線と、前記流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度が、20°以上75°未満である、
フィルター装置。
【選択図】図1
Description
溶融押出法での熱可塑性樹脂組成物中の異物除去に関し、様々な提案がされている。例えば、押出機からダイまでの工程中にろ過精度が25μm以下であるフィルター装置を配置し、樹脂を通過させて異物を除去する方法(特許文献2)、ろ過精度3〜25μmのリーフディスクタイプのフィルター装置を用いてろ過する方法(特許文献3)などが挙げられる。
すなわち本発明の課題は、異物欠点および密集欠点が共に少なく、外観品質に優れる熱可塑性樹脂フィルムを、溶融押出法で製造するためのフィルター装置、および該フィルター装置を用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することにある。
[1]流入口と流出口を有するハウジング内に2つ以上のフィルターエレメントを配置したフィルター装置であって、
各フィルターエレメントは合流流路を介して前記流出口に接続されており、
前記合流流路は、
各フィルターエレメントとの接続部と、
直柱または錐台形状の筒状流路と、
1つの合流部と、
前記流出口との接続部と、をこの順で備え、
任意の1つの前記筒状流路の中心線と、前記流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度が、20°以上75°未満である、
フィルター装置。
[2]前記フィルターエレメントのろ過精度が5μm以上50μm以下である、[1]のフィルター装置。
[3]前記フィルターエレメントが筒型である、[1]または[2]のフィルター装置。
[4]溶融押出法による熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、
押出機とダイとの間に[1]〜[3]のいずれかのフィルター装置を配置し、押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を前記フィルター装置に通過させる工程を有する、
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[5]前記フィルター装置内における、前記熱可塑性樹脂組成物の滞留時間が50秒以上600秒以下である、[4]の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[6]前記フィルター装置内の温度が230〜300℃である、[4]または[5]の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[7]前記フィルター装置の前記流入口および前記流出口における差圧が1〜10MPaである、[4]〜[6]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[8]前記熱可塑性樹脂組成物の270℃、せん断速度120秒−1における溶融粘度が100〜1500Pa・sの範囲である、[4]〜[7]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[9]前記熱可塑性樹脂組成物が(メタ)アクリル系樹脂を含有する、[4]〜[8]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[10]前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、
[9]の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[11]
前記熱可塑性樹脂組成物がゴム粒子を含有する、[4]〜[10]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[12]前記ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である、[11]の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[13]前記熱可塑性樹脂フィルムが光学フィルムである、[4]〜[12]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
[14]前記熱可塑性樹脂フィルムが加飾フィルムである、[4]〜[12]のいずれかの熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
図1に本発明のフィルター装置の一例の略断面図を示す。
本発明のフィルター装置は、流入口2−1−1と流出口2−1−2を有するハウジング2−1内に2つ以上のフィルターエレメント2−2が配置されてなり、各フィルターエレメント2−2は合流流路2−3を介して流出口2−1−2に接続されている。
合流流路2−3は各フィルターエレメント2−2との接続部2−3−1と、筒状流路2−3−2と、1つの合流部2−3−3と、流出口2−1−2との接続部2−3−4とをこの順で備え、任意の1つの筒状流路2−3−2の中心線と、流出口2−1−2における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度θが20°以上75°未満である。なおここでいう角度θは、上記2本の直線のなす角度のうちの鋭角を指す。
被ろ過体である流体は流入口2−1−1よりハウジング2−1内に流入し、各フィルターエレメント2−2のろ材を通過して各フィルターエレメント2−2内に流入する。その後、各フィルターエレメント2−2に分かれた流体は合流流路2−3において合流し、流出口2−1−2よりハウジング2−1から流出する。
本発明のフィルター装置は温度調節手段を備えていてもよい。前記温度調節手段に特に制限はなく、オイル温調機や電熱ヒーターなど公知の手段を用いることができる。
フィルターエレメントとしては筒型のものを用いるのが好ましい。
筒型のフィルターエレメントは通常、外周面から流体をろ過するろ過部、ろ過された流体が流れる中空部、この中空部から流体を排出する端部の排出部、フィルターエレメントの先端部を備える。筒型のフィルターエレメントとしては、例えばチューブタイプ、キャンドルタイプなどが挙げられる。中でも、キャンドルタイプのフィルターエレメントが好ましい。
キャンドルタイプのフィルターエレメントのタイプに特に制限はなく、波型またはプリーツ型など公知のものが使用できる。前記プリーツ型におけるプリーツは、フィルターエレメントの半径方向に延びたものでもよいし、半径方向に対して斜めに延び、湾曲した断面形状またはアーチ型の断面形状を有するいわゆるスパイラルプリーツであってもよい。
本発明のフィルター装置の性能をより効果的に発揮するためには、後述する押出機の吐出量をQ(kg/h)、フィルター装置の総ろ過面積をS(m2)、フィルターエレメント1本の直径をDE(mm)、フィルターエレメントの長さをLE(mm)としたとき、これらが下記の関係を満たすことが好ましい。なお、総ろ過面積は各フィルターエレメントの直径、長さおよび本数により調節可能である。
50≦Q/S≦200 かつ 5≦LE/DE≦10
またLE/DEが10を超える場合、フィルターエレメントが過剰に長くなり、溶融樹脂組成物の滞留時間が増えて熱劣化につながる恐れがある。一方、LE/DEが5を下回る場合、フィルターエレメントが過剰に太くなり、ハウジングの設計が困難となる。
本発明のフィルター装置では、各フィルターエレメントは合流流路を介してハウジングの流出口に接続されている。
前記合流流路は各フィルターエレメントとの接続部、筒状流路、1つの合流部およびハウジングの流出口との接続部をこの順で備える。前記各フィルターエレメントとの接続部および前記筒状流路は、フィルターエレメントの数と同じ数だけ存在する。
各筒状流路は全て同一形状、同一サイズであることが好ましい。
各フィルターエレメントとの接続部、合流部およびハウジングの流出口との接続部の形状に特に制限はない。
前記角度を20°以上とすることで、ハウジングをコンパクトに設計でき、長時間の滞留による熱可塑性樹脂の劣化を防止し、さらには得られる熱可塑性樹脂フィルムの異物欠点を低減できる。一方、前記角度を75°未満とすることで、合流部での熱可塑性樹脂組成物の滞留を抑制でき、得られる熱可塑性樹脂フィルムの密集欠点を低減できる。
同様の観点から、前記角度は20°以上65°以下であることが好ましく、25°以上60°以下であることがより好ましく、30°以上50°以下であることがさらに好ましく、35°以上50°以下であることが最も好ましい。
なお、各筒状流路の中心線とハウジングの流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度が全て前記範囲であることが好ましく、前記角度が全て等しいことがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、溶融押出法による熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、押出機とダイとの間に本発明のフィルター装置を配置し、押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を前記フィルター装置に通過させる工程を有する。
まず、熱可塑性樹脂組成物は押出機1にて溶融混練されて吐出され、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物はギアポンプ4を経て、本発明のフィルター装置2にてろ過され、スタティックミキサー5を経て、ダイ3からシート状に吐出され、ロール(1)6とロール(2)7に挟圧されて所望の厚みに成形される。その後熱可塑性樹脂フィルムは例えばロール状に巻き取られる。
前記押出機としては特に限定されず、例えば単軸押出機、二軸押出機または多軸押出機などを用いることができる。熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬する際に発生する揮発分を除去するため、押出機はベント機構を備えることが好ましい。
押出機のスクリューとしてはバリアフライトやミキシングセクション付きスクリューなどを用いることができる。スクリューのL/D(Lは押出機のシリンダー長さ、Dはシリンダー内径を表す)は特に限定されないが、充分な可塑化や混練状態を得る観点から10以上100以下であることが好ましく、20以上50以下であることがより好ましく、25以上40以下であることがさらに好ましい。L/Dが10未満の場合は十分な可塑化や混練状態が得られにくく、100を超える場合は過度の剪断発熱により熱可塑性樹脂が分解する可能性がある。
280℃以下がより好ましい。180℃未満では、熱可塑性樹脂組成物の溶融が不十分となり好ましくない。一方、310℃を超えると熱可塑性樹脂が熱劣化して分解による低沸点の分解物、ヤケ、ゲル化の発生につながり好ましくない。
本発明のフィルター装置は、押出機からダイに至る間に配置する。フィルター装置内における熱可塑性樹脂組成物の滞留時間tは50秒以上600秒以下であることが好ましく、100秒以上400秒以下であることがより好ましい。前記滞留時間tを50秒以上とすることで十分な異物ろ過効果を得ることができ、600秒以下とすることで熱可塑性樹脂の熱分解による異物の発生を抑制できる。
なお、前記滞留時間tは溶融熱可塑性樹脂組成物がフィルター装置の流入口から流出口まで達するまでに要する時間である。
前記滞留時間tは、フィルター装置が備え付けられた場合と、フィルター装置が備え付けられていない場合のそれぞれについて、押出機ホッパーへ原料を投入してからダイから熱可塑性樹脂組成物が吐出されるまでの時間を測定し、その時間の差分により求めることができる。
前記ダイとしては特に限定されず、公知のものを用いることができる。中でも、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどのTダイを用いることが好ましい。なお、厚みを安定化させるため、製膜したフィルムの厚みを測定して、リップ開度のボルトを自動で調整する機構を備える自動調整ダイを用いることが好ましい。
なお、押出機から本発明のフィルター装置との間に、ブレーカープレートやスクリーンチェンジャー、ギアポンプ、スタティックミキサーを設置してもよい。また、本発明のフィルターとダイとの間にスタティックミキサーを設置してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法においては、得られる熱可塑性樹脂フィルムの表面平滑性が良好となり、かつヘイズが抑制される観点から、Tダイから溶融状態で押し出された熱可塑性樹脂組成物の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形する工程を含むことが好ましい。ロールの構成としては、剛体ロールと金属弾性ロールとの組み合わせが好ましい。
溶融状態で押し出された熱可塑性樹脂組成物の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて製膜する場合には、鏡面ロール若しくは鏡面ベルトにより線圧10N/mm以上50N/mm以下で加圧することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に用いる熱可塑性樹脂組成物は、270℃、せん断速度120秒−1における溶融粘度が100Pa・s〜1500Pa・sであることが好ましく、300Pa・s〜1000Pa・sであることがより好ましい。前記溶融粘度が100Pa・s以上であることで、フィルター装置通過の際、背圧が十分に大きく、効果的に異物をろ過することができる。また前記溶融粘度が1500Pa・s以下であることで、フィルター装置へ過剰な圧力がかかることによるフィルター装置の破損を防ぐことができる。
なお前記溶融粘度はキャピログラフィ等により測定することができる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂またはアクリル系樹脂を指す。
実使用を考えた場合、得られるフィルムの全光線透過率が好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上となるように熱可塑性樹脂組成物を選定することが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
前記ゴム粒子としては、アクリル酸エステルに由来する単位を有する重合体からなる粒子(以下、「アクリル系ゴム粒子」と称する。)、共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子、アクリル酸エステルに由来する単位および共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子などが挙げられる。なお、これらの重合体は必要に応じて架橋性単量体に由来する単位を有していてもよい。中でも熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、前記ゴム粒子はアクリル系ゴム粒子であることが好ましい。
前記内層は、少なくとも1層がアクリル酸エステルに由来する単位および/または共役ジエンに由来する単位を有する層(以下、「層(I)」と称する。)であることが好ましい。
前記アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アクリル酸n−ブチルであることがさらに好ましい。
前記共役ジエンとしては、例えばブタジエンやイソプレンなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステルおよび共役ジエンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸n−ブチルからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(II)における前記架橋性単量体に由来する単位の含有量は5質量%以下であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましく、0.02〜2質量%であることがさらに好ましい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸n−ブチルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
最外層における前記その他のビニル系単量体に由来する単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
[層(I)−最外層]の2層構造、
[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造、
[層(I)−層(II)−層(I)−最外層]の4層構造
などが挙げられる。中でも、[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造が好ましく、層(II)がメタクリル酸メチル80〜99.95質量%、アクリル酸エステル0〜19.95質量%および架橋性単量体0.05〜2質量%を重合してなる層であり、層(I)がアクリル酸エステル80〜98質量%、芳香族ビニル1〜19質量%および架橋性単量体1〜5質量%を重合してなる層であり、最外層がメタクリル酸メチル80〜100質量%およびアクリル酸エステル0〜20質量%を重合してなる層である[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造がより好ましい。
なお、粒子の透明性の観点から、隣り合う層の屈折率の差が、好ましくは0.005未満、より好ましくは0.004未満、さらに好ましくは0.003未満となるように各層に含有される重合体を選択することが好ましい。
内層において層(I)が占める割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
上記範囲において、平均粒子径の異なる2種以上のゴム粒子を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱法によって測定される、体積基準の粒径分布における算術平均値である。
前記アニオン系乳化剤としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩などが挙げられる。
前記ノニオン系乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。
前記ノニオン・アニオン系乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、凝固工程前にポリマーラテックスに混入した異物を除去するため、目開き50μm以下の金網などでポリマーラテックスをろ過することが好ましい。アクリル系熱可塑性樹脂成分との溶融混練において均一に分散させ易いという観点から、架橋ゴム粒子成分を1000μm以下の凝集粒子として取り出すことが好ましく、500μm以下の凝集粒子として取り出すことがより好ましい。凝集粒子の形態は特に限定されず、例えば、最外層部分で相互に融着した状態のペレット状でもよいし、パウダー状やグラニュー状の粉体でもよい。
ゴム粒子の含有量が30質量%を超えると得られる熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性が低下する傾向にあり、5質量%未満であると得られる熱可塑性樹脂フィルムが脆くなる傾向にある。
前記添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換することで紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。
中でも、紫外線被照による着色などの、熱可塑性樹脂フィルムの光学特性低下を抑制する観点からはベンゾトリアゾール類やトリアジン類が好ましく、ベンゾトリアゾール類がより好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルムの黄色味を抑制する観点からは蓚酸アニリド類が好ましい。
これらの添加剤は、熱可塑性樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造された熱可塑性樹脂に添加してもよい。
ここで「異物欠点」とは、フィルム表面の垂直面から蛍光灯の反射光を利用して見た際に表面凹凸の違いにより検出される異物で、幅(W)×長さ(L)の値が0.03mm2を超える異物を指す。
また「密集欠点」とは、幅(W)×長さ(L)の値が0.003mm2以上0.03mm2未満の異物が1cm2あたりに15個以上存在している箇所を指す。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムの用途は特に制限されない。例えば、車両外装、車両内装、壁材、窓、浴室壁、食器、玩具、掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング、船舶外装、タッチパネル表装材、パソコンハウジング、携帯電話ハウジングなどに用いられる加飾フィルム;液晶保護板、導光板、導光フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、各種ディスプレイの前面板および表装材、拡散板、太陽電池、太陽光発電用パネル表装材等に用いられる光学フィルムなどが挙げられる。
後述の方法により24時間連続で熱可塑性樹脂フィルムを製造した後、評価用にフィルムを300m巻き取った。巻き終わりから1m抜き出し、蛍光灯下(200ルクス)で黒色ネル布上にフィルムを載せ、反射光を観察した。目視で表面凹凸が観察される部分に印をつけ、当該部分をルーペ(東海産業社製 PEAK 30×)により観察し、幅(W)×長さ(L)のサイズが0.03mm2以上の異物の個数を計測した。
前記方法により観測した異物欠点の内、欠点が集中している箇所についてレーザー顕微鏡(OLYMPUS社製 OLS4100 対物レンズ MPlanFLN10×(倍率216×−1728×))を用いて当該部位を観察した。幅(W)×長さ(L)のサイズが0.003mm2以上0.03mm2未満の異物が1cm2あたりに15個以上存在している箇所を1つの密集欠点とし、その個数を計測した。
熱可塑性樹脂組成物の270℃、せん断速度120秒−1における溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機製作所社製 型式1D)を用いて270℃で、直径1mmΦ、長さ10mmのキャピラリーより、ピストンスピード10mm/分の速度で熱可塑性樹脂組成物を押出し、その際に生じるせん断応力から評価される数値とした。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した後に内温を80℃にした。続けて過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間攪拌した。さらにメタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間攪拌した。続けて、アクリル酸n−ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%およびメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
その後、同反応器内に過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した。続けて、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。
以上の操作によって得たゴム粒子(A1)を含むラテックスを凍結して凝固させ、次いで水洗・乾燥して3層構造からなるゴム粒子(A1)を得た。ゴム粒子(A1)の平均粒子径は0.23μmであった。
メタクリル酸メチル100質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量80000の熱可塑性樹脂(B1)を製造した。
メタクリル酸メチル90質量%およびアクリル酸メチル10質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量60000の熱可塑性樹脂(B2)を製造した。
ゴム粒子(A1)16質量部、熱可塑性樹脂(B1)84質量部および紫外線吸収剤(アデカスタブLA−31)2質量部をヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径75mmのベント付き二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを260℃に設定されたスクリュー径75mmのベント付き単軸押出機を用いて溶融した。溶融状態で押出機から吐出された熱可塑性樹脂組成物をギアポンプ、フィルター装置、スタティックミキサーの順に通過させ、リップ幅1850mm、リップ開度1mmのTダイより120kg/hの吐出速度でフィルム状にして押出した。押し出されたフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を2本の金属ロールにて挟圧・冷却して厚さ75μmのフィルムとし、巻き取り機によりロール状に巻き取った。
なおフィルター装置としては、流入口と流出口を有するハウジング内にろ過精度10μm、長さ350mm、材質がSUS316Lのキャンドルタイプのフィルターエレメントを4本並列に配置したものを用いた。ここで各フィルターエレメントは合流流路を介して前記流出口に接続されており、前記合流流路は、各フィルターエレメントとの接続部と、円柱形状の4つの筒状流路と、1つの合流部と、前記流出口との接続部とをこの順で備え、各筒状流路の中心線と、前記流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度がいずれも45°である。
フィルター装置の流入口および流出口における熱可塑性樹脂組成物の差圧は7MPaであり、フィルター装置内及び流出口付近の熱可塑性樹脂組成物の温度は260℃であり、フィルター装置内における熱可塑性樹脂組成物の滞留時間は300秒であった。
製造したフィルムについて前述の方法により異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルター装置における各筒状流路の中心線と、流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度をいずれも30°に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂組成物の組成を、ゴム粒子(A1)20質量部、熱可塑性樹脂(B2)80質量部、紫外線吸収剤(アデカスタブLA−31)2質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルター装置における各筒状流路の中心線と、流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度をいずれも60°に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルターエレメントの長さを500mmとし、当該フィルターエレメントを設置可能なサイズのハウジングに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂組成物の組成を、熱可塑性樹脂(B2)100質量部、紫外線吸収剤(アデカスタブLA−31)2質量部に変更し、フィルターエレメントのろ過精度を80μmに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルター装置における各筒状流路の中心線と、流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度をいずれも75°に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルター装置における各筒状流路の中心線と、流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度をいずれも15°に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
フィルター装置における各筒状流路の中心線と、流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度をいずれも75°に変更した以外は実施例6と同じ方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
使用するフィルター装置をろ過精度10μm、ディスク径8インチ、枚数50枚のリーフディスクタイプとした以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得、異物欠点および密集欠点を評価した。結果を表1に示す。
2 本発明のフィルター装置
3 ダイ
4 ギアポンプ
5 スタティックミキサー
6 ロール(1)
7 ロール(2)
2−1 ハウジング
2−1−1 流入口
2−1−2 流出口
2−2 筒型フィルターエレメント
2−3 合流流路
2−3−1 フィルターエレメントとの接続部
2−3−2 筒状流路
2−3−3 合流部
2−3−4 流出口との接続部
Claims (14)
- 流入口と流出口を有するハウジング内に2つ以上のフィルターエレメントを配置したフィルター装置であって、
各フィルターエレメントは合流流路を介して前記流出口に接続されており、
前記合流流路は、
各フィルターエレメントとの接続部と、
直柱または錐台形状の筒状流路と、
1つの合流部と、
前記流出口との接続部と、をこの順で備え、
任意の1つの前記筒状流路の中心線と、前記流出口における流体の流れ方向に平行な直線とのなす角度が、20°以上75°未満である、
フィルター装置。 - 前記フィルターエレメントのろ過精度が5μm以上50μm以下である、請求項1に記載のフィルター装置。
- 前記フィルターエレメントが筒型である、請求項1または2に記載のフィルター装置。
- 溶融押出法による熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、
押出機とダイとの間に請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルター装置を配置し、押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を前記フィルター装置に通過させる工程を有する、
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 - 前記フィルター装置内における、前記熱可塑性樹脂組成物の滞留時間が50秒以上600秒以下である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記フィルター装置内の温度が230〜300℃である、請求項4または5に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記フィルター装置の前記流入口および前記流出口における差圧が1〜10MPaである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物の270℃、せん断速度120秒−1における溶融粘度が100〜1500Pa・sの範囲である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物が(メタ)アクリル系樹脂を含有する、請求項4〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、
請求項9に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 - 前記熱可塑性樹脂組成物がゴム粒子を含有する、請求項4〜10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記ゴム粒子がアクリル系ゴム粒子である、請求項11に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムが光学フィルムである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムが加飾フィルムである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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