JP2017185760A - (メタ)アクリル系フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
アクリル系フィルムの最も一般的な成形方法の一つに、プラスチックを熱で溶融して、その後T型ダイスから押出してフラットなフィルムを成形する方法がある。すなわち、原料をホッパーから押出機に供給し、加熱され溶融された原料は、ダイから押出されてフィルムに成形される。
溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、押出機とダイとの間にギアポンプ、ポリマーフィルター、静止型混合器の順に配置され、静止型混合器がポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離をL1、ポリマーフィルター出口から静止型混合器出口までの距離をL2とした場合に、
0.10<L2/L1<0.50
を満たす位置に配置された成形装置を用いて(メタ)アクリル系樹脂を溶融押出成形することを特徴とする(メタ)アクリル系フィルムの製造方法である。
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、
上記の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法である。
本発明における(メタ)アクリル系フィルムとは、メタクリル酸メチルを主体とするメタクリル系樹脂およびメタクリル系樹脂組成物からなるメタクリル系フィルムと、後述する架橋ゴム粒子を50質量%以上含む、アクリル系フィルムを含んだ総称である。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法は、溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、押出機から吐出される溶融状態のアクリル系樹脂を静止型混合器に通過させる工程を有するように、押出機とダイとの間に静止型混合器を配置し成形装置を用いて行われる。
前記押出機としては特に限定されず、例えば単軸押出機、二軸押出機または多軸押出機などを用いることができる。(メタ)アクリル系樹脂を溶融混錬する際に発生する揮発分を除去するため、押出機はベント機構を備えることが好ましい。
押出機のスクリューとしてはバリアフライトやミキシングセクション付きスクリューなどを用いることができる。スクリューのL/D(Lは押出機のシリンダー長さ、Dはシリンダー内径を表す)は特に限定されないが、充分な可塑化や混練状態を得る観点から10以上100以下であることが好ましく、20以上50以下であることがより好ましく、25以上40以下であることがさらに好ましい。L/Dが10未満の場合は十分な可塑化や混練状態が得られにくく、100を超える場合は過度の剪断発熱により(メタ)アクリル系樹脂が分解する可能性がある。
280℃以下がより好ましい。180℃未満では、(メタ)アクリル樹脂組成物の溶融が不十分となり好ましくない。一方、310℃を超えると熱可塑性樹脂が熱劣化して分解による低沸点の分解物、ヤケ、ゲル化の発生につながり好ましくない。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法に用いる成形装置においては、後述するポリマーフィルターや静止型混合器での圧力損失を補うため押出機の後にギアポンプが設置されている。特に、インバータ制御のギアポンプを用いるのが、押出機より吐出される溶融樹脂流量の脈動を抑制することができるため好ましい。
本発明に使用されるポリマーフィルターユニットは樹脂をろ過するフィルターエレメント部と溶融樹脂が導入、排出されるハウジング部からなる。
筒型のフィルターエレメントは通常、外周面から流体をろ過するろ過部、ろ過された流体が流れる中空部、この中空部から流体を排出する端部の排出部、フィルターエレメントの先端部を備える。筒型のフィルターエレメントとしては、例えばチューブタイプ、キャンドルタイプなどが挙げられる。中でも、キャンドルタイプのフィルターエレメントが好ましい。
キャンドルタイプのフィルターエレメントのタイプに特に制限はなく、波型またはプリーツ型など公知のものが使用できる。前記プリーツ型におけるプリーツは、フィルターエレメントの半径方向に延びたものでもよいし、半径方向に対して斜めに延び、湾曲した断面形状またはアーチ型の断面形状を有するいわゆるスパイラルプリーツであってもよい。
樹脂を均一に混合する装置には、配管内に配置したインペラやスクリュー等を管内あるいは管外に設けた動力原を用いて強制的に回転させる形式の動的混合器(管路型撹拌装置等)のほか、可動部を持たないフローミキサー(モーションレスミキサー)である、オリフィスミキサー,ラモンドミキサー,スタティックミキサー(ケニックス型,SMX型,ベンチュリ型,分散板型,ひねり板型,噴流型)等のインライン形の静止型混合器、あるいは、これら強制型と静止型を併用したもの等が知られているが、本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法で用いられる成形装置においては、圧力損失が小さく、メンテナンスフリーで、内部に生じる層流により高粘度の流体(ペースト)を効率的に撹拌混合することのできる静止型混合器を採用する。
更には、スタティックミキサー出口に整流機構を組み込むことで、スタティックミキサーで生じた溶融樹脂の流れを整流化させることがより好ましい。整流部は、エレメント1ユニットの長さ以下であることが好ましく、整流部の長さLfと径Dfとの比Lf/Dfは0.3〜0.7が好ましい。
従って、本発明において、静止型混合器の長さをLm(mm)、径をDm(mm)としたときのLm/Dmは4〜18であり、好ましくは5〜13、更に好ましくは6〜11である。個の範囲であれば、上記の熱劣化を抑制するとともに、効果的に偏流を抑制することができる。
0.10<L2/L1<0.50
を満たす位置に配置することが重要である。ポリマーフィルター出口部では、フィルターエレメントを抜け出した微小欠点が中央に集中し密集欠点として観察されやすいが、スタティックミキサーを上記範囲に設置することで、欠点の偏在を防ぎ密集欠点を低減することができる。L2/L1が0.10未満であると、欠点の分散効果が小さく密集欠点の低減効果が充分に得られない。一方、L2/L1が0.50を超えると、黒いスジ状の外観欠点が顕在化する。これは、溶融樹脂がダイ近傍でスタティックミキサーを通過することとなり、スタティックミキサーのエレメント末端を通過した際の流速差が充分緩和されないままダイへと樹脂が投入されるため、フィルム表面にわずかな厚みムラとなるためである。
上記は配置を、図2を例に説明する。
すなわち、本発明では、静止型混合器出口の断面Aにおける溶融樹脂合流線Bが製膜したフィルムの断面A’においてフィルム厚みの方向での中心線C’の位置となるように静止型混合器を設置する。この条件が満足される限りにおいて、静止型混合器出口の断面Aにおける水平面中心線Cと溶融樹脂合流線Bとのなす角度θは任意に設定できる。
静止型混合器出口の断面Aにおける溶融樹脂合流線Bが製膜したフィルムの断面A’においてフィルム厚みの方向での中心線C’からかけ離れると、溶融樹脂合流部Bがフィルム表面に出る。これを図3に示す。この場合、フィルム表面に合流部由来のスジ欠点が発生することがあり、好ましくない。
前記ダイとしては特に限定されず、公知のものを用いることができる。中でも、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどのTダイを用いることが好ましい。なお、厚みを安定化させるため、製膜したフィルムの厚みを測定して、リップ開度のボルトを自動で調整する機構を備える自動調整ダイを用いることが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法においては、得られるフィルムの表面平滑性が良好となり、かつヘイズが抑制される観点から、Tダイから溶融状態で押し出された(メタ)アクリル系樹脂の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形する工程を含むことが好ましい。ロールの構成としては、剛体ロールと金属弾性ロールとの組み合わせが好ましい。
溶融状態で押し出された(メタ)アクリル系樹脂の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて製膜する場合には、鏡面ロール若しくは鏡面ベルトにより線圧10N/mm以上50N/mm以下で加圧することが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの原料樹脂について説明する。本発明では以下に説明される前記原料樹脂および樹脂組成物を総称して(メタ)アクリル系樹脂と称する。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
前記架橋ゴム粒子としては、アクリル酸エステルに由来する単位を有する重合体からなる粒子(以下、「アクリル系ゴム粒子」と称する。)、共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子、アクリル酸エステルに由来する単位および共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子などが挙げられる。なお、これらの重合体は必要に応じて架橋性単量体に由来する単位を有していてもよい。中でも熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、前記ゴム粒子はアクリル系ゴム粒子であることが好ましい。
前記内層は、少なくとも1層がアクリル酸エステルに由来する単位および/または共役ジエンに由来する単位を有する層(以下、「層(I)」と称する。)であることが好ましい。
前記アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アクリル酸n−ブチルであることがさらに好ましい。
前記共役ジエンとしては、例えばブタジエンやイソプレンなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステルおよび共役ジエンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸n−ブチルからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(II)における前記架橋性単量体に由来する単位の含有量は5質量%以下であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましく、0.02〜2質量%であることがさらに好ましい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸n−ブチルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
最外層における前記その他のビニル系単量体に由来する単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
[層(I)−最外層]の2層構造、
[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造、
[層(I)−層(II)−層(I)−最外層]の4層構造
などが挙げられる。中でも、[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造が好ましく、層(II)がメタクリル酸メチル80〜99.95質量%、アクリル酸エステル0〜19.95質量%および架橋性単量体0.05〜2質量%を重合してなる層であり、層(I)がアクリル酸エステル80〜98質量%、芳香族ビニル1〜19質量%および架橋性単量体1〜5質量%を重合してなる層であり、最外層がメタクリル酸メチル80〜100質量%およびアクリル酸エステル0〜20質量%を重合してなる層である[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造がより好ましい。
なお、粒子の透明性の観点から、隣り合う層の屈折率の差が、好ましくは0.005未満、より好ましくは0.004未満、さらに好ましくは0.003未満となるように各層に含有される重合体を選択することが好ましい。
内層において層(I)が占める割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
上記範囲において、平均粒子径の異なる2種以上のアクリル系ゴム粒子を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱法によって測定される、体積基準の粒径分布における算術平均値である。
また、本発明のアクリル樹脂組成物におけるアクリル系ゴム粒子の含有量は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。50質量%未満では、室温における曲げ加工においてクラックが入りやすく好ましくない。
前記添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換することで紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。
中でも、紫外線被照による着色などの、(メタ)アクリル系フィルムの光学特性低下を抑制する観点からはベンゾトリアゾール類やトリアジン類が好ましく、ベンゾトリアゾール類がより好ましい。また、(メタ)アクリル系フィルムの黄色味を抑制する観点からは蓚酸アニリド類が好ましい。
これらの添加剤は、(メタ)アクリル系樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造された(メタ)アクリル系樹脂に添加してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムは、用途は特に制限されない。例えば、車両外装、車両内装等の車両加飾部品;壁材、ウィンドウフィルム、浴室壁材等の建材部品;食器、玩具等の日用雑貨;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電加飾部品;キッチンドア表装材等のインテリア部材;船舶部材;タッチパネル表装材、パソコンハウジング、携帯電話ハウジング等の電子通信機;液晶保護板、導光板、導光フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、各種ディスプレイの前面板および表装材、拡散板などの光学関係部品;太陽電池若しくは太陽光発電用パネル表装材などの太陽光発電部材などが挙げられる。
後述の方法により24時間連続で(メタ)アクリル系フィルムを製造した後、評価用にフィルムを300m巻き取った。巻き終わりから1m抜き出し、蛍光灯下(200ルクス)で黒色ネル布上にフィルムを載せ、反射光を観察した。目視で表面凹凸が観察される部分に印をつけ、当該部分をルーペ(東海産業社製 PEAK 30×)により観察し、幅(W)×長さ(L)のサイズが0.03mm2以上の異物の個数を計測した。
前記方法により観測した異物欠点の内、欠点が集中している箇所についてレーザー顕微鏡(OLYMPUS社製 OLS4100 対物レンズ MPlanFLN10×(倍率216×−1728×))を用いて当該部位を観察した。幅(W)×長さ(L)のサイズが0.003mm2以上0.03mm2未満の異物が1cm2あたりに15個以上存在している箇所を1つの密集欠点とし、その個数を計測した。
後述の方法で製造した300m巻のフィルムを巻き終わりから1m抜出し、暗室内に黒色ネル布を裏面にして吊るし、ポラリオンライト(ポラリオン社製、PS−NP1:HID光源、35W)の間接反射光により黒スジの有無を観察した。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した後に内温を80℃にした。続けて過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間攪拌した。さらにメタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
その後、同反応器内に過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した。続けて、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。
以上の操作によって得た架橋ゴム粒子(A1)を含むラテックスを凍結して凝固させ、次いで水洗・乾燥して3層構造からなるゴム粒子(A1)を得た。架橋ゴム粒子(A1)の平均粒子径は0.23μmであった。
攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水200質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム質量1部および炭酸ナトリウム0.05質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、過硫酸カリウム0.01質量部を投入し、5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル9.48質量部、アクリル酸n−ブチル0.5質量部およびメタクリル酸アリル0.02質量部からなる単量体混合物を20分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.06質量部を投入して5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル53.73質量部、アクリル酸n−ブチル5.97質量部およびn−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.3質量部を含む単量体混合物を100分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、架橋ゴム粒子(A2)を含むラテックスを得た。粒子径は0.09μmであった。
続いて、アクリル系ゴム粒子(A2)を含むエマルジョンを−30℃で4時間かけて凍結させた。凍結したエマルジョンの2倍量の80℃温水に凍結エマルジョンを投入、溶解してスラリーとした後、20分間80℃に保持した後、脱水し、70℃で乾燥して粉体状に凝固した架橋ゴム粒子(A2)を得た
単量体比率として100質量%のメタクリル酸メチル単量体を塊状重合することによって重量平均分子量80000のメタクリル重合体(B1)を製造した。
単量体比率としてメタクリル酸メチル90質量%およびアクリル酸メチル10質量%の単量体混合物を塊状重合することによって重量平均分子量60000のメタクリル重合体(B2)を製造した。
アクリル系ゴム粒子(A1)16質量部とメタクリル重合体(B1)84質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径75mm、ベント付きの二軸押出機を用いて溶融ペレット化を行って(メタ)アクリル系樹脂を得た。
この(メタ)アクリル系樹脂260℃に設定されたスクリュー径75mm、ベント付きの単軸押出機を用いて溶融状態とし、120kg/hの吐出速度でリップ幅1850mm、リップ開度1mmのTダイよりフィルム状にして押出し、2本のロールにより挟圧して厚さ75μmの(メタ)アクリル系フィルムを得た。ギアポンプは、平歯の外接ギアポンプ(東芝機械製)を使用し,出口圧力10MPaで送り出した。ポリマーフィルターはろ過精度10μmのキャンドルフィルターを4本並列に設置した。スタティックミキサーは、Le/De=1.5の捻り羽根型エレメント4ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=6.75のものを使用し、L2/L1=0.30となる位置にエレメント出口における溶融樹脂合流線(B’)がフィルム厚み方向での中心線(C’)と一致するように配置した。スタティックミキサー前後の樹脂温度が250℃、となる条件にてフィルム(1)を製造した。製造したフィルムについて前記方法により異物欠点、黒スジを評価した。
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)15質量部、メタクリル重合体(B1)85質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=1.2の捻り羽根型エレメント5ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=6.6のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(2)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
スタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.40となる位置に変更し、エレメント出口における溶融樹脂合流線(B’)がフィルム厚み方向での中心線(C’)と直交するように配置した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(3)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)30質量部、メタクリル重合体(B2)70質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=3の捻り羽根型エレメント4ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=13.5のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(4)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)20質量部、メタクリル重合体(B2)80質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=1.5の捻り羽根型エレメント7ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=11.25のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(5)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
(メタ)アクリル系樹脂の配合をアクリル系ゴム粒子(A2)70質量部とメタクリル重合体(B1)30質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とした以外、実施例1と同じ方法でフィルム(6)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
(メタ)アクリル系樹脂の配合をアクリル系ゴム粒子(A2)70質量部とメタクリル重合体(B1)30質量部、マイカ(片倉コープアグリ社製ミクロマイカMK-100)を3質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とした以外、実施例1と同じ方法でフィルム(7)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
成形装置にスタティックミキサーを設置しない以外は実施例1と同じ方法でフィルム(8)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.70に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(9)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.08に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(10)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.08に変更した以外は実施例6と同じ方法でフィルム(11)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
2 ギアポンプ
3 ポリマーフィルターユニット
4 スタティックミキサー
5 ダイ
6 ロール(1)
7 ロール(2)
A : 静止型混合器出口の断面
A’ : フィルムの幅方向の断面
B : 静止型混合器出口における溶融樹脂合流線
B’ : フィルムの幅方向断面における静止型混合器出口の溶融樹脂合流線
C : 静止型混合器出口の水平面中心線
C’ : フィルム厚みの方向での中心線
θ : BとCとのなす角度
Claims (9)
- 溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、
押出機とダイとの間にギアポンプ、ポリマーフィルター、静止型混合器の順に配置され、
静止型混合器がポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離をL1、ポリマーフィルター出口から静止型混合器出口までの距離をL2とした場合に、
0.10<L2/L1<0.50
を満たす位置に配置された成形装置を用いて(メタ)アクリル系樹脂を溶融押出成形すること
を特徴とする(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。 - 前記静止型混合器の入り口断面の面積を100%としたときの静止型混合器内での任意の断面における溶融樹脂が通過できる面積が、70%以上であり、
静止型混合器が、複数のエレメントからなり、エレメント数が3以上10以下であること
を特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。 - 静止型混合器出口の断面における溶融樹脂合流線が、フィルム厚み方向中心線と一致するように静止型混合器を配置することを特徴とする請求項1または2に記載のメタクリル系フィルムの製造方法。
- 前記、静止型混合器の長さをLm(mm)、径をDm(mm)としたときのLm/Dmは4以上、18以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂が架橋ゴム粒子を含有したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
- 前記架橋ゴム粒子がアクリル酸エステル系ゴム重合体であることを特徴とする請求項6に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
- 前記(メタ)アクリル系フィルムが光学フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
- (メタ)アクリル系フィルムが加飾フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
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