JP2017185760A - (メタ)アクリル系フィルムの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、スジが低減した外観品質良好な(メタ)アクリル系フィルムを得ることを課題とする。【解決手段】押出機とダイとの間にギアポンプ、ポリマーフィルター、静止型混合器の順に配置され、静止型混合器をポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離をL1、ポリマーフィルター出口から静止型混合器出口までの距離をL2とした場合に、0.10<L2/L1<0.50を満たす位置に配置した成形装置を用いることで上記課題が解決できる。また、前記静止型混合器が、入り口断面の面積を100%としたときの静止型混合器内での任意の断面における溶融樹脂が通過できる面積が、70%以上であり、エレメント数が3以上10以下の複数のエレメントからなるものであるのが好ましい。【選択図】 図1

Description

本発明は(メタ)アクリル系フィルムの製造方法に関する。詳細には、本発明は溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造に好適に用いられる静止型混合装置を用いた(メタ)アクリル系フィルムの製造方法に関する。
アクリル系樹脂は、高い透明性や低複屈折率などの光学特性に優れ、溶融成形によるフィルム製膜も容易なことから上記特徴を活かしたアクリル系フィルムとして光学用途や加飾加飾に使用されている。
アクリル系フィルムの最も一般的な成形方法の一つに、プラスチックを熱で溶融して、その後T型ダイスから押出してフラットなフィルムを成形する方法がある。すなわち、原料をホッパーから押出機に供給し、加熱され溶融された原料は、ダイから押出されてフィルムに成形される。
特許文献1に、特に高品質が要求される光学用途向けのフィルムの製造設備として、押出機の脈動を抑制するためのギアポンプや微細な異物除去のためのポリマーフィルターなどを備えたフィルム製造設備が開示されている。
また、静止型混合器は、例えば、熱可塑性樹脂と添加剤との混合(特許文献2)、スタティックミキサーの前にバルブを設置して剪断を加えることにより粘度差の大きい高粘性流体と低粘性流体との均一混合(特許文献4)、ダイの直前にスタティックミキサーを入れ、樹脂温度の均一性向上(特許文献3)、分散粒子の粒子径の制御(特許文献5)に用いられることが知られている。
特開2009−039992号公報 特開平7−100825号公報 特開2010−058411号公報 特開2004−314011号公報 国際公開WO2014/136788公報
押出からダイ出口に至るまでに滞留箇所が存在すると、わずかな偏流ができ、この偏流によりフィルム表面にミクロン〜サブミクロン程度のスジ状の表面凹凸が生じることがある。ディスプレイの高精細化や高意匠化の進展により、こうした僅かなスジ状表面凹凸が新たな欠点として顕在化してきており、その改善が求められてきた。
溶融成形法による高品質なフィルム成形方法について、上記欠点の低減に関し検討を重ねた結果、成形工程中におけるポリマーフィルターからダイの間の静止型混合器を特定の位置に配置することで、溶融した原料樹脂が押出機からダイに至るまでの間に設置されたそれぞれのユニットで発生する溶融樹脂の僅かな偏流やこれに伴う滞留樹脂の劣化、配管内の層流を改善し、スジ状で現れる欠点を改善できるとともに、特定の静止型混合器を用いることで、静止型混合器の設置に伴う欠点の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、押出機とダイとの間にギアポンプ、ポリマーフィルター、静止型混合器の順に配置され、静止型混合器がポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離をL1、ポリマーフィルター出口から静止型混合器出口までの距離をL2とした場合に、
0.10<L2/L1<0.50
を満たす位置に配置された成形装置を用いて(メタ)アクリル系樹脂を溶融押出成形することを特徴とする(メタ)アクリル系フィルムの製造方法である。
前記静止型混合器の入り口断面の面積を100%としたときの静止型混合器内での任意の断面における溶融樹脂が通過できる面積が、70%以上であり、静止型混合器が、複数のエレメントからなり、エレメント数が3以上10以下であることが望ましい。
また、静止型混合器出口の断面における溶融樹脂合流線が、フィルム厚み方向中心線と一致するように静止型混合器を配置することが望ましい。
前記静止型混合器の長さをLm(mm)、径をDm(mm)としたときのLm/Dmは4以上、18以下であることが好ましい。
さらに本発明は、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、
上記の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法である。
前記(メタ)アクリル系樹脂は架橋ゴム粒子を含有したものであることが望ましく、前記架橋ゴム粒子がアクリル酸エステル系ゴム重合体であることがさらに望ましい。
前記(メタ)アクリル系フィルムが光学フィルムまたは加飾フィルムであってもよい。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムは、スジが低減した外観品質良好なフィルムである。そのため本発明の(メタ)アクリル系フィルムは、光学用途や種々の製品の加飾用途に好ましく用いることができる。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法における成形装置の一例を示す図である。 静止型混合器(スタティックミキサー)の出口断面における溶融樹脂合流線とフィルムの厚さ方向の中心線との関係を示す図である。 溶融樹脂混合線が、フィルムの表面に現われた状態を示す図である。
[(メタ)アクリル系フィルムの製造方法]
本発明における(メタ)アクリル系フィルムとは、メタクリル酸メチルを主体とするメタクリル系樹脂およびメタクリル系樹脂組成物からなるメタクリル系フィルムと、後述する架橋ゴム粒子を50質量%以上含む、アクリル系フィルムを含んだ総称である。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法は、溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、押出機から吐出される溶融状態のアクリル系樹脂を静止型混合器に通過させる工程を有するように、押出機とダイとの間に静止型混合器を配置し成形装置を用いて行われる。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造における成形装置の構成の一例を図1にて説明する。先ず、原料樹脂である(メタ)アクリル系樹脂は押出機1にて溶融され、溶融樹脂はギアポンプ2を経て、ポリマーフィルターユニット1−3にてろ過され、静止型混合器4を経て、ダイ5からシート状に吐出さる。吐出された溶融樹脂は、ロール(1)6とロール(2)7に挟圧されて所望の厚みに成形される。その後フィルムは例えばロール状に巻き取られる。
[押出機]
前記押出機としては特に限定されず、例えば単軸押出機、二軸押出機または多軸押出機などを用いることができる。(メタ)アクリル系樹脂を溶融混錬する際に発生する揮発分を除去するため、押出機はベント機構を備えることが好ましい。
押出機のスクリューとしてはバリアフライトやミキシングセクション付きスクリューなどを用いることができる。スクリューのL/D(Lは押出機のシリンダー長さ、Dはシリンダー内径を表す)は特に限定されないが、充分な可塑化や混練状態を得る観点から10以上100以下であることが好ましく、20以上50以下であることがより好ましく、25以上40以下であることがさらに好ましい。L/Dが10未満の場合は十分な可塑化や混練状態が得られにくく、100を超える場合は過度の剪断発熱により(メタ)アクリル系樹脂が分解する可能性がある。
前記押出機のシリンダー温度は、150℃以上310℃以下が好ましく、180℃以上
280℃以下がより好ましい。180℃未満では、(メタ)アクリル樹脂組成物の溶融が不十分となり好ましくない。一方、310℃を超えると熱可塑性樹脂が熱劣化して分解による低沸点の分解物、ヤケ、ゲル化の発生につながり好ましくない。
[ギアポンプ]
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法に用いる成形装置においては、後述するポリマーフィルターや静止型混合器での圧力損失を補うため押出機の後にギアポンプが設置されている。特に、インバータ制御のギアポンプを用いるのが、押出機より吐出される溶融樹脂流量の脈動を抑制することができるため好ましい。
[ポリマーフィルター]
本発明に使用されるポリマーフィルターユニットは樹脂をろ過するフィルターエレメント部と溶融樹脂が導入、排出されるハウジング部からなる。
フィルターエレメントとしてはディスク型や筒型のものが挙げられるが、ろ過面積を大きく取れることから筒型のものを用いるのが好ましい。
筒型のフィルターエレメントは通常、外周面から流体をろ過するろ過部、ろ過された流体が流れる中空部、この中空部から流体を排出する端部の排出部、フィルターエレメントの先端部を備える。筒型のフィルターエレメントとしては、例えばチューブタイプ、キャンドルタイプなどが挙げられる。中でも、キャンドルタイプのフィルターエレメントが好ましい。
キャンドルタイプのフィルターエレメントのタイプに特に制限はなく、波型またはプリーツ型など公知のものが使用できる。前記プリーツ型におけるプリーツは、フィルターエレメントの半径方向に延びたものでもよいし、半径方向に対して斜めに延び、湾曲した断面形状またはアーチ型の断面形状を有するいわゆるスパイラルプリーツであってもよい。
フィルターエレメントのろ過精度は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、生産性や異物サイズなどのバランスの観点からは10μm以上30μm以下であることがより好ましい。ろ過精度を5μm以上とすることで、溶融状態の樹脂を通過させる際の剪断発熱による熱劣化を抑制できる傾向にあり、ろ過精度を50μm以下とすることで、異物の効果的な除去が可能となる。
[静止型混合器]
樹脂を均一に混合する装置には、配管内に配置したインペラやスクリュー等を管内あるいは管外に設けた動力原を用いて強制的に回転させる形式の動的混合器(管路型撹拌装置等)のほか、可動部を持たないフローミキサー(モーションレスミキサー)である、オリフィスミキサー,ラモンドミキサー,スタティックミキサー(ケニックス型,SMX型,ベンチュリ型,分散板型,ひねり板型,噴流型)等のインライン形の静止型混合器、あるいは、これら強制型と静止型を併用したもの等が知られているが、本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法で用いられる成形装置においては、圧力損失が小さく、メンテナンスフリーで、内部に生じる層流により高粘度の流体(ペースト)を効率的に撹拌混合することのできる静止型混合器を採用する。
樹脂劣化抑制の観点から、静止型混合器での剪断は極力抑制することが好ましい。このため、静止型混合器の入り口断面の面積を100%としたときの静止型混合器内での任意の断面における溶融樹脂が通過できる面積が、70%以上であることが好ましく、更に好ましくは80%以上である。
上記の静止型混合器はエレメントと呼ばれる単位混合要素を単独または複数組み合わせて用いられる。中でも、パイプ内に四角状の板を右方向に180゜ねじり曲げて単位混合要素を構成する右エレメントと左方向に180゜ねじり曲げて単位混合要素を構成する左エレメントを交互に多数配設した構造であるスタティックミキサーを用いることが好ましい。スタティックミキサーの各エレメントを通過することで剪断を極力抑制しつつ効果的に偏流が解消できる。
更には、スタティックミキサー出口に整流機構を組み込むことで、スタティックミキサーで生じた溶融樹脂の流れを整流化させることがより好ましい。整流部は、エレメント1ユニットの長さ以下であることが好ましく、整流部の長さLfと径Dfとの比Lf/Dfは0.3〜0.7が好ましい。
また、本発明の静止型混合器のエレメント一つあたりの長さLeと径Deとの比Le/Deは、樹脂の滞留による熱劣化抑制の観点から1.2以上、1.8以下が好ましく、より好ましくは1.4以上、1.6以下が望ましい。静止型混合器を構成するエレメント数は、偏流を低減する観点から、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜7である。エレメント数が3未満では、上記効果が少なく好ましくなく、エレメント数が10を超えると圧力損失が大きくなり、押出不良が発生する危険がある。
従って、本発明において、静止型混合器の長さをLm(mm)、径をDm(mm)としたときのLm/Dmは4〜18であり、好ましくは5〜13、更に好ましくは6〜11である。個の範囲であれば、上記の熱劣化を抑制するとともに、効果的に偏流を抑制することができる。
本発明の静止型混合器は、前記ポリマーフィルターと後述するダイの間に取り付けられる。本発明において設置場所が重要であり、ポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離L1(mm)に対するポリマーフィルター出口からスタティックミキサー出口末端までの距離L2(mm)の比L2/L1が
0.10<L2/L1<0.50
を満たす位置に配置することが重要である。ポリマーフィルター出口部では、フィルターエレメントを抜け出した微小欠点が中央に集中し密集欠点として観察されやすいが、スタティックミキサーを上記範囲に設置することで、欠点の偏在を防ぎ密集欠点を低減することができる。L2/L1が0.10未満であると、欠点の分散効果が小さく密集欠点の低減効果が充分に得られない。一方、L2/L1が0.50を超えると、黒いスジ状の外観欠点が顕在化する。これは、溶融樹脂がダイ近傍でスタティックミキサーを通過することとなり、スタティックミキサーのエレメント末端を通過した際の流速差が充分緩和されないままダイへと樹脂が投入されるため、フィルム表面にわずかな厚みムラとなるためである。
また、静止型混合器の出口においては、最終的に混合された溶融樹脂が合流する。本発明において、この合流線がフィルムの厚み方向の中央となるよう、静止型混合器を配置する。
上記は配置を、図2を例に説明する。
すなわち、本発明では、静止型混合器出口の断面Aにおける溶融樹脂合流線Bが製膜したフィルムの断面A’においてフィルム厚みの方向での中心線C’の位置となるように静止型混合器を設置する。この条件が満足される限りにおいて、静止型混合器出口の断面Aにおける水平面中心線Cと溶融樹脂合流線Bとのなす角度θは任意に設定できる。
静止型混合器出口の断面Aにおける溶融樹脂合流線Bが製膜したフィルムの断面A’においてフィルム厚みの方向での中心線C’からかけ離れると、溶融樹脂合流部Bがフィルム表面に出る。これを図3に示す。この場合、フィルム表面に合流部由来のスジ欠点が発生することがあり、好ましくない。
静止型混合器前後の樹脂温度は230℃以上、300℃以下が好ましく、250℃以上280℃以下がより好ましい。樹脂温度が230℃より低くなると樹脂粘度が大きくなり圧力損失が大きくなる。一方で樹脂温度が300℃より高くなるとせん断発熱により樹脂の分解温度以上の温度になるため好ましくない。
[ダイ]
前記ダイとしては特に限定されず、公知のものを用いることができる。中でも、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどのTダイを用いることが好ましい。なお、厚みを安定化させるため、製膜したフィルムの厚みを測定して、リップ開度のボルトを自動で調整する機構を備える自動調整ダイを用いることが好ましい。
[ロール]
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法においては、得られるフィルムの表面平滑性が良好となり、かつヘイズが抑制される観点から、Tダイから溶融状態で押し出された(メタ)アクリル系樹脂の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて成形する工程を含むことが好ましい。ロールの構成としては、剛体ロールと金属弾性ロールとの組み合わせが好ましい。
溶融状態で押し出された(メタ)アクリル系樹脂の両面を鏡面ロール表面または鏡面ベルト表面に接触させて製膜する場合には、鏡面ロール若しくは鏡面ベルトにより線圧10N/mm以上50N/mm以下で加圧することが好ましい。
[(メタ)アクリル系樹脂]
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの原料樹脂について説明する。本発明では以下に説明される前記原料樹脂および樹脂組成物を総称して(メタ)アクリル系樹脂と称する。
本発明におけるメタクリル系樹脂は、メタクリル酸メチル単位を主体とするメタクリル系樹脂であり、メタクリル酸メチル単位のみの重合体であってもよいし、アクリル酸エステル単位を含有していてもよい。後者の場合、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸エステル単位が一種類の重合体に含まれていてもよいし、二種類以上の重合体に別々に含まれていてもよい。(メタ)アクリル系樹脂全体におけるメタクリル酸メチル単位の含有量は60〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましい。
すなわち、メタクリル系樹脂としては例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物などが挙げられる。
前記アクリル酸エステルとしては特に限定されず、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5万以上15万以下であることが好ましく、6万以上15万以下であることがより好ましく、7万以上10万以下であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル系樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.7〜2.6であることが好ましく、1.7〜2.3であることがより好ましく、1.7〜2.0であることがさらに好ましい。分子量分布を1.7以上とすることで、熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が良好となる。また分子量分布を2.6以下とすることで、得られる熱可塑性樹脂フィルムの耐衝撃性良好となる。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
メタクリル系樹脂としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の方法により製造されたものを用いることができる。中でも、塊状重合法または溶液重合法により得られたものを用いることが好ましく、不純物の少ない熱可塑性樹脂フィルムを得られる観点からは、塊状重合法により得られたものを用いることがより好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法は、特に架橋ゴム粒子などの有機微粒子やマイカ、コロイダルシリカなどの無機微粒子を含有する(メタ)アクリル系フィルムの製造に好適に用いることができる。
前記架橋ゴム粒子としては、アクリル酸エステルに由来する単位を有する重合体からなる粒子(以下、「アクリル系ゴム粒子」と称する。)、共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子、アクリル酸エステルに由来する単位および共役ジエンに由来する単位を有する重合体からなる粒子などが挙げられる。なお、これらの重合体は必要に応じて架橋性単量体に由来する単位を有していてもよい。中でも熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、前記ゴム粒子はアクリル系ゴム粒子であることが好ましい。
前記ゴム粒子は多層構造を有するアクリル系ゴム粒子であることが好ましく、粒子の芯から外殻に向かって略同心円状に複数の層が積層され、層間がグラフト結合により結合しているゴム粒子であることがより好ましい。以下、多層構造を有するゴム粒子について詳述する。
多層構造を有するアクリル系ゴム粒子は、最外層および内層を有する。ここで「内層」とは、最外層以外の全ての層を指す。
前記内層は、少なくとも1層がアクリル酸エステルに由来する単位および/または共役ジエンに由来する単位を有する層(以下、「層(I)」と称する。)であることが好ましい。
前記アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アクリル酸n−ブチルであることがさらに好ましい。
前記共役ジエンとしては、例えばブタジエンやイソプレンなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステルおよび共役ジエンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(I)におけるアクリル酸エステルに由来する単位および共役ジエンに由来する単位の合計含有量は60質量%以上であることが好ましく、70〜99質量%であることがより好ましく、80〜98質量%であることがさらに好ましい。
層(I)は、さらに架橋性単量体に由来する単位を有することが好ましい。前記架橋性単量体としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、メタクリル酸アリル、トリアリルイソシアネートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(I)における架橋性単量体に由来する単位の含有量は0.05〜10質量%であることが好ましく、0.5〜7質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
層(I)は、さらにその他のビニル系単量体に由来する単位を有していてもよい。前記その他のビニル系単量体は前記アクリル酸エステルおよび前記架橋性単量体に共重合可能なものであれば特に限定されず、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレンなどの芳香族ビニル;およびN−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(I)における前記その他のビニル系単量体に由来する単位の含有量は40質量%以下であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
内層は、層(I)の他にメタクリル酸エステルに由来する単位を有する層(以下、「層(II)」と称する。)を有していてもよい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸n−ブチルからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(II)におけるメタクリル酸エステルに由来する単位の含有量は80質量%以上であることが好ましく、85〜99質量%であることがより好ましく、90〜98質量%であることがさらに好ましい。
層(II)は、さらに架橋性単量体に由来する単位を有していてもよい。前記架橋性単量体としては、例えば層(I)において用いられるものと同じものが挙げられる。
層(II)における前記架橋性単量体に由来する単位の含有量は5質量%以下であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましく、0.02〜2質量%であることがさらに好ましい。
層(II)は、さらにその他のビニル系単量体に由来する単位を有していてもよい。前記その他のビニル系単量体は、前記メタクリル酸エステルおよび前記架橋性単量体と共重合可能なものであれば特に限定されず、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−不飽和カルボン酸;およびN−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
層(II)における前記その他のビニル系単量体に由来する単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。
多層構造を有するアクリル系ゴム粒子の最外層は、メタクリル酸エステルに由来する単位を有することが好ましい。
前記メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸n−ブチルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
最外層におけるメタクリル酸エステルに由来する単位の含有量は80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
最外層は、その他のビニル系単量体に由来する単位を有していてもよい。前記その他のビニル系単量体は前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば層(II)において用いられるものと同じものが挙げられる。
最外層における前記その他のビニル系単量体に由来する単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
多層構造を有するアクリル系ゴム粒子の積層構造は特に限定されない。例えば、
[層(I)−最外層]の2層構造、
[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造、
[層(I)−層(II)−層(I)−最外層]の4層構造
などが挙げられる。中でも、[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造が好ましく、層(II)がメタクリル酸メチル80〜99.95質量%、アクリル酸エステル0〜19.95質量%および架橋性単量体0.05〜2質量%を重合してなる層であり、層(I)がアクリル酸エステル80〜98質量%、芳香族ビニル1〜19質量%および架橋性単量体1〜5質量%を重合してなる層であり、最外層がメタクリル酸メチル80〜100質量%およびアクリル酸エステル0〜20質量%を重合してなる層である[層(II)−層(I)−最外層]の3層構造がより好ましい。
なお、粒子の透明性の観点から、隣り合う層の屈折率の差が、好ましくは0.005未満、より好ましくは0.004未満、さらに好ましくは0.003未満となるように各層に含有される重合体を選択することが好ましい。
多層構造を有するアクリル系ゴム粒子における内層と最外層との質量比(内層/最外層)は、好ましくは60/40〜95/5、より好ましくは70/30〜90/10である。
内層において層(I)が占める割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
アクリル系ゴム粒子の平均粒子径は、得られる(メタ)アクリル系フィルムの外観上の欠点を著しく低減できる観点から、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。
上記範囲において、平均粒子径の異なる2種以上のアクリル系ゴム粒子を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱法によって測定される、体積基準の粒径分布における算術平均値である。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂におけるアクリル系ゴム粒子の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましい。アクリル系ゴム粒子の含有量が50質量%を超えると得られるフィルムの耐熱性が低下する傾向にあり、5質量%未満であると得られるフィルムが脆くなる傾向にある。
また、本発明のアクリル樹脂組成物におけるアクリル系ゴム粒子の含有量は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。50質量%未満では、室温における曲げ加工においてクラックが入りやすく好ましくない。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂における無機微粒子の配合量としては、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法に用いる(メタ)アクリル系樹脂には、その他必要に応じて各種の添加剤を好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下含有してもよい。
前記添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
前記添加剤の中でも、紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換することで紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。
中でも、紫外線被照による着色などの、(メタ)アクリル系フィルムの光学特性低下を抑制する観点からはベンゾトリアゾール類やトリアジン類が好ましく、ベンゾトリアゾール類がより好ましい。また、(メタ)アクリル系フィルムの黄色味を抑制する観点からは蓚酸アニリド類が好ましい。
前記ベンゾトリアゾール類としては、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕(ADEKA社製;商品名:アデカスタブLA−31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN234)などが好ましい。
前記トリアジン類としては、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製;商品名チヌビン460)、2−(4−(2−ヒドロキシ−3−2エチル)ヘキシル)オキシ)−2―ヒドロキシフェニル)−4、6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5トリアジン(BASF社製;商品名チヌビン405)、BASF社製チヌビン479、BASF社製チヌビン1477、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ]フェノール(ADEKA社製;商品名アデカスタブLA−46)、2,4,6トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;商品名アデカスタブLA−F70)などが挙げられる。
前記蓚酸アニリド類としては、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εMAXが1200dm・mol−1cm−1以下であるものが好ましく、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などがより好ましい。
これらの添加剤は、(メタ)アクリル系樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造された(メタ)アクリル系樹脂に添加してもよい。
[用途]
本発明の(メタ)アクリル系フィルムは、用途は特に制限されない。例えば、車両外装、車両内装等の車両加飾部品;壁材、ウィンドウフィルム、浴室壁材等の建材部品;食器、玩具等の日用雑貨;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電加飾部品;キッチンドア表装材等のインテリア部材;船舶部材;タッチパネル表装材、パソコンハウジング、携帯電話ハウジング等の電子通信機;液晶保護板、導光板、導光フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、各種ディスプレイの前面板および表装材、拡散板などの光学関係部品;太陽電池若しくは太陽光発電用パネル表装材などの太陽光発電部材などが挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例および比較例における物性値の測定または評価は、以下の方法により行った。
〔異物欠点〕
後述の方法により24時間連続で(メタ)アクリル系フィルムを製造した後、評価用にフィルムを300m巻き取った。巻き終わりから1m抜き出し、蛍光灯下(200ルクス)で黒色ネル布上にフィルムを載せ、反射光を観察した。目視で表面凹凸が観察される部分に印をつけ、当該部分をルーペ(東海産業社製 PEAK 30×)により観察し、幅(W)×長さ(L)のサイズが0.03mm以上の異物の個数を計測した。
〔密集欠点〕
前記方法により観測した異物欠点の内、欠点が集中している箇所についてレーザー顕微鏡(OLYMPUS社製 OLS4100 対物レンズ MPlanFLN10×(倍率216×−1728×))を用いて当該部位を観察した。幅(W)×長さ(L)のサイズが0.003mm以上0.03mm未満の異物が1cmあたりに15個以上存在している箇所を1つの密集欠点とし、その個数を計測した。
〔黒スジ〕
後述の方法で製造した300m巻のフィルムを巻き終わりから1m抜出し、暗室内に黒色ネル布を裏面にして吊るし、ポラリオンライト(ポラリオン社製、PS−NP1:HID光源、35W)の間接反射光により黒スジの有無を観察した。
製造例1[アクリル系ゴム粒子(A1)の製造]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した後に内温を80℃にした。続けて過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間攪拌した。さらにメタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間攪拌した。続けて、アクリル酸n−ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%およびメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
その後、同反応器内に過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した。続けて、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。
以上の操作によって得た架橋ゴム粒子(A1)を含むラテックスを凍結して凝固させ、次いで水洗・乾燥して3層構造からなるゴム粒子(A1)を得た。架橋ゴム粒子(A1)の平均粒子径は0.23μmであった。
製造例2[架橋ゴム粒子(A2)の製造]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水200質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム質量1部および炭酸ナトリウム0.05質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、過硫酸カリウム0.01質量部を投入し、5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル9.48質量部、アクリル酸n−ブチル0.5質量部およびメタクリル酸アリル0.02質量部からなる単量体混合物を20分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.03質量部を投入して5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル1.45質量部、アクリル酸n−ブチル27.67質量部およびメタクリル酸アリル0.88質量部からなる単量体混合物を40分間かけて連続的に滴下供給した。添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.06質量部を投入して5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル53.73質量部、アクリル酸n−ブチル5.97質量部およびn−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.3質量部を含む単量体混合物を100分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、架橋ゴム粒子(A2)を含むラテックスを得た。粒子径は0.09μmであった。
続いて、アクリル系ゴム粒子(A2)を含むエマルジョンを−30℃で4時間かけて凍結させた。凍結したエマルジョンの2倍量の80℃温水に凍結エマルジョンを投入、溶解してスラリーとした後、20分間80℃に保持した後、脱水し、70℃で乾燥して粉体状に凝固した架橋ゴム粒子(A2)を得た
製造例3[メタクリル重合体(B1)の製造]
単量体比率として100質量%のメタクリル酸メチル単量体を塊状重合することによって重量平均分子量80000のメタクリル重合体(B1)を製造した。
製造例4[メタクリル重合体(B2)の製造]
単量体比率としてメタクリル酸メチル90質量%およびアクリル酸メチル10質量%の単量体混合物を塊状重合することによって重量平均分子量60000のメタクリル重合体(B2)を製造した。
<実施例1>
アクリル系ゴム粒子(A1)16質量部とメタクリル重合体(B1)84質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径75mm、ベント付きの二軸押出機を用いて溶融ペレット化を行って(メタ)アクリル系樹脂を得た。
この(メタ)アクリル系樹脂260℃に設定されたスクリュー径75mm、ベント付きの単軸押出機を用いて溶融状態とし、120kg/hの吐出速度でリップ幅1850mm、リップ開度1mmのTダイよりフィルム状にして押出し、2本のロールにより挟圧して厚さ75μmの(メタ)アクリル系フィルムを得た。ギアポンプは、平歯の外接ギアポンプ(東芝機械製)を使用し,出口圧力10MPaで送り出した。ポリマーフィルターはろ過精度10μmのキャンドルフィルターを4本並列に設置した。スタティックミキサーは、Le/De=1.5の捻り羽根型エレメント4ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=6.75のものを使用し、L2/L1=0.30となる位置にエレメント出口における溶融樹脂合流線(B’)がフィルム厚み方向での中心線(C’)と一致するように配置した。スタティックミキサー前後の樹脂温度が250℃、となる条件にてフィルム(1)を製造した。製造したフィルムについて前記方法により異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例2>
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)15質量部、メタクリル重合体(B1)85質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=1.2の捻り羽根型エレメント5ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=6.6のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(2)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例3>
スタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.40となる位置に変更し、エレメント出口における溶融樹脂合流線(B’)がフィルム厚み方向での中心線(C’)と直交するように配置した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(3)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例4>
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)30質量部、メタクリル重合体(B2)70質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=3の捻り羽根型エレメント4ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=13.5のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(4)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例5>
(メタ)アクリル系樹脂の配合を、アクリル系ゴム粒子(A1)20質量部、メタクリル重合体(B2)80質量部に変更し、スタティックミキサーをLe/De=1.5の捻り羽根型エレメント7ユニットと整流器部とを有するLm/Dm=11.25のものに変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(5)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例6>
(メタ)アクリル系樹脂の配合をアクリル系ゴム粒子(A2)70質量部とメタクリル重合体(B1)30質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とした以外、実施例1と同じ方法でフィルム(6)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<実施例7>
(メタ)アクリル系樹脂の配合をアクリル系ゴム粒子(A2)70質量部とメタクリル重合体(B1)30質量部、マイカ(片倉コープアグリ社製ミクロマイカMK-100)を3質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(アデカ製)を2質量部とした以外、実施例1と同じ方法でフィルム(7)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<比較例1>
成形装置にスタティックミキサーを設置しない以外は実施例1と同じ方法でフィルム(8)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<比較例2>
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.70に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(9)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<比較例3>
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.08に変更した以外は実施例1と同じ方法でフィルム(10)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
<比較例4>
成形装置におけるスタティックミキサーの設置位置をL2/L1=0.08に変更した以外は実施例6と同じ方法でフィルム(11)を得、異物欠点、黒スジを評価した。
Figure 2017185760
以上の結果から、本発明の製造方法により、密集欠点などの異物欠点が少なく、黒スジが少ない外観良好な(メタ)アクリル系フィルムを得ることができる。
1 押出機
2 ギアポンプ
3 ポリマーフィルターユニット
4 スタティックミキサー
5 ダイ
6 ロール(1)
7 ロール(2)
A : 静止型混合器出口の断面
A’ : フィルムの幅方向の断面
B : 静止型混合器出口における溶融樹脂合流線
B’ : フィルムの幅方向断面における静止型混合器出口の溶融樹脂合流線
C : 静止型混合器出口の水平面中心線
C’ : フィルム厚みの方向での中心線
θ : BとCとのなす角度

Claims (9)

  1. 溶融押出法による(メタ)アクリル系フィルムの製造方法であって、
    押出機とダイとの間にギアポンプ、ポリマーフィルター、静止型混合器の順に配置され、
    静止型混合器がポリマーフィルター出口からダイ入口までの距離をL1、ポリマーフィルター出口から静止型混合器出口までの距離をL2とした場合に、
    0.10<L2/L1<0.50
    を満たす位置に配置された成形装置を用いて(メタ)アクリル系樹脂を溶融押出成形すること
    を特徴とする(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  2. 前記静止型混合器の入り口断面の面積を100%としたときの静止型混合器内での任意の断面における溶融樹脂が通過できる面積が、70%以上であり、
    静止型混合器が、複数のエレメントからなり、エレメント数が3以上10以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  3. 静止型混合器出口の断面における溶融樹脂合流線が、フィルム厚み方向中心線と一致するように静止型混合器を配置することを特徴とする請求項1または2に記載のメタクリル系フィルムの製造方法。
  4. 前記、静止型混合器の長さをLm(mm)、径をDm(mm)としたときのLm/Dmは4以上、18以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  5. 前記(メタ)アクリル系樹脂が、
    メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
    メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
    メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
    メタクリル酸メチルの単独重合体(A)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
    からなる群から選択される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  6. 前記(メタ)アクリル系樹脂が架橋ゴム粒子を含有したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  7. 前記架橋ゴム粒子がアクリル酸エステル系ゴム重合体であることを特徴とする請求項6に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  8. 前記(メタ)アクリル系フィルムが光学フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
  9. (メタ)アクリル系フィルムが加飾フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系フィルムの製造方法。
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