JP7008575B2 - フィルムの製造方法 - Google Patents

フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7008575B2
JP7008575B2 JP2018099339A JP2018099339A JP7008575B2 JP 7008575 B2 JP7008575 B2 JP 7008575B2 JP 2018099339 A JP2018099339 A JP 2018099339A JP 2018099339 A JP2018099339 A JP 2018099339A JP 7008575 B2 JP7008575 B2 JP 7008575B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
raw material
forming raw
rubber particles
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018099339A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019202482A (ja
Inventor
純平 小寺
英明 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2018099339A priority Critical patent/JP7008575B2/ja
Publication of JP2019202482A publication Critical patent/JP2019202482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7008575B2 publication Critical patent/JP7008575B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することのできるフィルムの製造方法に関する。
自動車や家電の加飾用途、光学用途、建材用途などに熱可塑性樹脂製のフィルムを使用する場合、当該フィルム中に微小な異物が混入すると、最終製品の外観や品質が損なわれる。
微小な異物としては、フィルムを製造する際に、溶融状態の熱可塑性樹脂の押出工程で混入または発生する異物が挙げられる。このような異物を除去する方法として、例えば、アクリル系樹脂の押出工程において200~600メッシュのスクリーンメッシュを用いてろ過を行う方法が知られている(特許文献1参照)。
スクリーンメッシュを用いる方法では、ろ過面積が小さくメッシュ自体の強度も小さいことから、ろ過精度を上げるためにメッシュの目開きを細かくしようとすると昇圧してしまい、押出吐出量や連続生産性に制限が生じる。そのため、フィルター装置として、リーフディスク型のフィルターエレメントをハウジング内のセンターポールに複数枚組み付けて積層したツリー状の組立体(以下、リーフディスクフィルターともいう)を用いて溶融樹脂のろ過を行う方法が知られている(特許文献2~4参照)。これらのリーフディスクフィルターは、ろ過面積が広くなり、高粘度の溶融樹脂をろ過した場合でも圧力上昇が少ないという特徴を有する。
ところで、得られるフィルムの耐衝撃性を改善するなどの目的のため、ゴム粒子を配合したフィルムが知られている。このようなゴム粒子を含むフィルムを押出機およびフィルター装置を備えた製膜装置を用いて製造する場合には、押出機の稼働開始初期において、ゴム粒子の凝集体に基づく異物(欠点)が生じやすい。この問題を解決するため、押出機の稼働開始時にはゴム粒子を含有しない熱可塑性樹脂組成物を用い、フィルター内の滞留時間が特定範囲となった時点でゴム粒子を含む熱可塑性樹脂組成物に切り替える方法が知られている(特許文献5参照)。
特開平9-263614号公報 特開2006-088081号公報 特開2007-254727号公報 特開2007-262399号公報 特開2016-203384号公報
しかしながら、上記特許文献5に記載された技術を採用したとしても、フィルムの製造を長時間(例えば1日以上)連続して行うと、ある時点からフィルム中の異物(欠点)が増加する問題があった。また、このような異物増加が一旦生じると、連続運転を中断して製膜装置を分解および清掃してから再度立ち上げる必要があり、異物の少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することが困難であった。そこで本発明は、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することのできるフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料を用いてゴム粒子を含むフィルムを連続的に製造する過程で、得られるフィルム中における異物の数が増加する傾向が見られたり、あるいは、フィルター装置前後の差圧が特定値以上になったりするなどした際に、熱可塑性樹脂を含みゴム粒子を含まない製膜原料に切り替え、その後、異物の数が減少したり、差圧が特定値以下になったりするなどした時点で再度、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料に切り替えることにより、連続運転を中断して製膜装置を分解および清掃することなく、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[13]に関する。
[1] 押出機とダイとの間にフィルター装置を備える製膜装置を用いて熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含むフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(I)と、熱可塑性樹脂を含みゴム粒子を含まない製膜原料Bを押出機に供給する工程(II)と、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(III)とをこの順に含む、製造方法。
[2] 工程(II)の直前において、工程(I)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が30個/m以下である、[1]に記載の製造方法。
[3] 工程(II)の直前において、フィルター装置前後の差圧が、工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して1MPa以上大きい、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 工程(III)の直前において、工程(II)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が15個/m以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 工程(III)の直前において、製膜原料Bのフィルター通過流量(=押出量/フィルター装置のフィルターろ過面積)が400kg/m以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 工程(III)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が30個/m以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] フィルター装置がリーフディスク型のフィルターエレメントを有する、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である、[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] ゴム粒子がアクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 温度250℃、せん断速度120s-1における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料Bの溶融粘度の比が0.85以下または1.1以上である、[1]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 製膜原料Aおよび製膜原料Bがいずれもペレット状またはビーズ状である、[1]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 光学用フィルムの製造方法である、[1]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 加飾用フィルムの製造方法である、[1]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することのできるフィルムの製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含むフィルムを製造するための本発明の方法は、押出機とダイとの間にフィルター装置を備える製膜装置を用い、そして、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(I)と、熱可塑性樹脂を含みゴム粒子を含まない製膜原料Bを押出機に供給する工程(II)と、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(III)とをこの順に含む。
上記構成とすることにより、得られるフィルムに異物増加が生じたとしても、連続運転を中断して製膜装置を分解および清掃してから再度立ち上げる必要がなく、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができる。本発明を何ら限定するものではないが、当該優れた効果が奏される理由としては、以下のようなことが考えられる。
すなわち、押出機およびフィルター装置を備える製膜装置を使用してゴム粒子を含むフィルムを長時間(例えば1日以上)連続して製造すると、フィルター装置に捕集・蓄積された異物がフィルター装置内で劣化し、フィルター装置前の樹脂圧力が増大することで、ある時点から異物がフィルターをすり抜けてしまい、得られるフィルムにおいて、異物の数が増加すると考えられる。このような状態のときに、製膜原料をゴム粒子を含まないものに切り替えるとフィルター装置に蓄積された異物が洗い流され、その後、再びゴム粒子を含む製膜原料に戻した場合に、得られるフィルムにおける異物の数を所望の低い水準に抑えることができると考えられる。ゴム粒子を含まない製膜原料を用いている間は得られるフィルムに所望とする量のゴム粒子が含まれにくく、その過程では目的とするフィルムが得られにくいものの、上記構成によれば、生産性を著しく低下させるような連続運転を中断して製膜装置を分解および清掃してから再度立ち上げる操作が不要となるため、必要に応じて所望とするフィルムから目的外のフィルムを除外するだけで、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができる。
・熱可塑性樹脂
製膜原料Aおよび製膜原料Bに含まれる熱可塑性樹脂、ひいては、本発明において製造されるフィルムに含まれる熱可塑性樹脂の種類に特に制限はない。当該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリノルボルネン等のポリオレフィン樹脂;エチレン系アイオノマー;アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、MS樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、ポリビニルフェノール等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミドエラストマー等のポリアミド樹脂;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂;ポリアセタール;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;アクリル系熱可塑性エラストマー;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」および「アクリル」のどちらでもよいことを示す。
熱可塑性樹脂は、光学特性、耐熱性、成形加工性などに優れる点から、(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体(I)、アクリル酸エステルの単独重合体(II)、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(III)、メタクリル酸メチルの単独重合体(I)およびアクリル酸エステルの単独重合体(II)の混合物、メタクリル酸メチルの単独重合体(I)およびメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(III)の混合物などが挙げられる。メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(III)が含有するメタクリル酸メチル単位の割合は、60~99質量%であることが好ましく、70~98質量%であることがより好ましく、80~97質量%であることがさらに好ましい。
アクリル酸エステルは特に限定されない。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5万以上15万以下であることが好ましく、6万以上15万以下であることがより好ましく、7万以上12万以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.7~2.6であることが好ましく、1.7~2.3であることがより好ましく、1.7~2.0であることがさらに好ましい。分子量分布を1.7以上とすることで、成形加工性が良好となる。また、分子量分布を2.6以下とすることで、得られるフィルムの耐衝撃性が良好となる。
なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
(メタ)アクリル系樹脂としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造されたものを用いることができる。中でも、塊状重合法または溶液重合法により得られたものを用いることが好ましく、不純物のより少ないフィルムが得られやすい観点から、塊状重合法により得られたものを用いることがより好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂における当該(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であってもよい。なお、当該含有量は、95質量%以下、90質量%以下、さらには85質量%以下であってもよい。
なお、製膜原料Aに含まれる熱可塑性樹脂と製膜原料Bに含まれる熱可塑性樹脂は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、工程(I)において用いられる製膜原料Aに含まれる熱可塑性樹脂と工程(III)において用いられる製膜原料Aに含まれる熱可塑性樹脂とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
・ゴム粒子
製膜原料Aに含まれるゴム粒子、ひいては、本発明において製造されるフィルムに含まれるゴム粒子の種類に特に制限はない。当該ゴム粒子としては、例えば、アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体を含有する粒子(以下、「アクリル系弾性体粒子」と称する場合がある);共役ジエンに由来する構造単位を含む重合体を含有する粒子;アクリル酸エステルに由来する構造単位および共役ジエンに由来する構造単位を共に含む重合体を含有する粒子などが挙げられる。なお、これらの重合体は必要に応じて架橋性単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。中でも、熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合などにおいて、ゴム粒子はアクリル系弾性体粒子であることが相溶性の点などから好ましい。
ゴム粒子は多層構造を有するゴム粒子であることが好ましく、粒子の芯から外殻に向かって略同心円状に複数の層が積層され、層間がグラフト結合により結合しているゴム粒子であることがより好ましい。
ゴム粒子の好ましい一態様であるアクリル系弾性体粒子は、単一重合体からなる粒子であってもよいし、異なる弾性率の重合体が少なくとも2つ層を形成した粒子であってもよい。アクリル系弾性体粒子は、得られるフィルムの耐衝撃性の観点から、共役ジエンに由来する構造単位および/またはアクリル系弾性重合体(例えば、アクリル酸非環状アルキルエステルに由来する構造単位を主成分として含む重合体など)を含有する層と他の重合体を含有する層とからなる多層構造のコアシェル粒子であることが好ましく、アクリル系弾性重合体を含有する層とその外側を覆うメタクリル系重合体を含有する層とからなる2層構造のコアシェル粒子、または、メタクリル系重合体を含有する層と、その外側を覆うアクリル系弾性重合体を含有する層と、そのさらに外側を覆うメタクリル系重合体を含有する層とからなる3層構造のコアシェル粒子であることがより好ましく、耐熱性の観点から、3層構造のコアシェル粒子であることがさらに好ましい。
コアシェル粒子を構成するメタクリル系重合体は、メタクリル酸非環状アルキルエステルに由来する構造単位を主成分として含む重合体であることが好ましい。メタクリル系重合体において、メタクリル酸非環状アルキルエステルに由来する構造単位の含有量は、流動性および耐熱性の観点から、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは80~100質量%である。
メタクリル酸非環状アルキルエステルは、流動性および耐熱性の観点から、メタクリル酸メチルであることが好ましく、コアシェル粒子を構成するメタクリル系重合体は、メタクリル酸メチル単位を80~100質量%を含有することが最も好ましい。
アクリル系弾性体粒子の製造方法に特に制限はなく、公知の手法(例えば、国際公開第2016/121868号や国際公開第2016/157908号などに記載された方法)に準じた方法により製造することができる。
ゴム粒子の平均粒子径は、得られるフィルムの外観上の欠点を著しく低減できる観点から、好ましくは0.05~1μm、より好ましくは0.1~0.5μm、さらに好ましくは0.1~0.3μmである。なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱法によって測定される、体積基準の粒径分布における算術平均値である。
ゴム粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、例えば、平均粒子径の異なる2種以上のゴム粒子を併用してもよい。また、工程(I)において用いられる製膜原料Aに含まれるゴム粒子と工程(III)において用いられる製膜原料Aに含まれるゴム粒子とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
製膜原料Aおよび本発明において製造されるフィルムにおけるゴム粒子の含有量は、それぞれ、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがさらに好ましい。ゴム粒子の含有量が50質量%以下であることにより、得られるフィルムの耐熱性が向上し、また、5質量%以上であることにより得られるフィルムの耐衝撃性が向上する。
製膜原料Aおよび本発明において製造されるフィルムにおける熱可塑性樹脂およびゴム粒子の合計の含有量、ならびに、製膜原料Bにおける熱可塑性樹脂の含有量に特に制限はないが、フィルムが本来有する物性を十分に維持したフィルムが得られやすいことや本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、それぞれ、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
・添加剤
製膜原料Aおよび製膜原料B、ひいては、本発明において製造されるフィルムは、それぞれ、上記した成分以外に添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤の種類は特に限定されず、例えば、紫外線吸収剤、高分子加工助剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、艶消し剤、充填剤、耐衝撃助剤、可塑剤などが挙げられる。添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤は、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよいが、最終的に得られるフィルム中での分散性などの観点から、有機化合物が好ましい。
添加剤の含有量は特に限定されないが、製膜原料A、製膜原料Bまたはフィルムにおいて、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、同含有量は、製膜原料A、製膜原料Bまたはフィルムにおいて、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。添加剤の含有量が0.01質量%以上であることで添加剤の効果を十分に発現することができ、また、10質量%以下であることでフィルムが本来有する物性を十分に維持することができる。
・製膜原料AおよびB
本発明に用いられる製膜原料AおよびBは、温度250℃、せん断速度120s-1における溶融粘度が、それぞれ、500~3,000Pa・sであることが好ましく、700~2,500Pa・sであることがより好ましい。当該溶融粘度が500Pa・s以上であることで、フィルター装置通過の際、背圧が十分に大きく、より効果的に異物をろ過することができる。また当該溶融粘度が3,000Pa・s以下であることで、フィルター装置へ過剰な圧力がかかることによるフィルター装置の破損をより効果的に防ぐことができる。なお溶融粘度はキャピログラフなどにより測定することができる。
また、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、温度250℃、せん断速度120s-1における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料Bの溶融粘度の比([製膜原料Bの溶融粘度]/[製膜原料Aの溶融粘度])は、0.85以下であるか、または、1.1以上であることが好ましい。当該溶融粘度の比が上記範囲にあることにより製膜原料Bによる洗浄効果がより向上する。特に、上記溶融粘度の比が0.85以下であると、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料Bの溶融粘度の比が適度に低いため、フィルター装置内部の滞留箇所での製膜原料Bの流量が増え、残留した異物をより効果的に追い出すことができ、さらに、製膜原料Aに切り替えた後に得られるフィルムにおけるスジ状の欠点の発生を効果的に抑制することができる。また、上記溶融粘度の比が1.1以上であると、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料Bの溶融粘度の比が適度に高いため、流路壁面でのせん断応力が大きくなり、やはり残留した異物をより効果的に追い出すことができる。上記のような観点から、上記溶融粘度の比は、0.8以下であるか、または、1.2以上であることがより好ましく、0.75以下であるか、または、1.3以上であることがさらに好ましい。なお上記溶融粘度の比は、例えば、0.1以上とすればよく、また10以下とすればよい。
製膜原料AおよびBの形態に特に制限はなく、例えば、粉体状、ペレット状、ビーズ状、不定形状などが挙げられるが、取り扱い性に優れ、より品質のよいフィルムが得られることなどから、ペレット状またはビーズ状であることが好ましい。
・製膜装置
本発明の製造方法では、押出機とダイとの間にフィルター装置を備える製膜装置を用いて目的とする熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含むフィルムを製造する。
本発明において使用される押出機の種類に特に制限はなく、製膜原料Aおよび製膜原料Bを溶融させることのできるものを用いることができる。当該押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機などが挙げられ、また、押出機は1台のみ用いてもよいし、2台以上用いてもよい。押出機は、各製膜原料が含み得る水分や熱可塑性樹脂が分解したモノマー等の揮発性成分を除去し、得られるフィルムにおける異物を低減することができることなどから、ベントを有することが好ましい。このようなベント付押出機を用いる場合には、減圧にして、あるいは、窒素を流通させて運転することが好ましい。ベント付押出機を用いる場合、ベントアップを抑制し、生産性を高める観点から、押出機と後述するフィルター装置の間にギアポンプを配することが好ましい。
本発明において使用されるフィルター装置の種類に特に制限はなく、ポリマーフィルターとして知られているものを用いることができる。フィルター装置は、典型的には、溶融樹脂が流入する入口および流出する出口を備えるハウジングと、当該ハウジング内の所定の位置に配置されたフィルターエレメントとを有する。より具体的な例としては、例えば、ハウジングと当該ハウジング内に設けたセンターポールと、当該センターポールを外囲するように、前記センターポールの長手方向に間隔を空けて並設された複数枚のフィルターエレメントとを有するものなどが挙げられる。センターポールはその内面に沿って溶融樹脂が流れる溶融樹脂流路を有する内流型のものであってもよいし、その外面に沿って溶融樹脂が流れる溶融樹脂流路を有する外流型のものであってもよい。フィルターエレメントの種類に特に制限はないが、ろ過面積の観点や、また、本発明の効果がより顕著に奏されることなどからリーフディスク型のフィルターエレメントであることが好ましい。フィルター装置はヒーターを有してもよく、例えば、センターポールの内部にヒーターを配置してもよい。
フィルターエレメントのろ過精度に特に制限はないが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることがさらに好ましく、また、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。なお、ろ過精度とは、95%以上を捕集可能な粒子サイズのうちの最小値を意味する。
フィルター装置のろ過面積に特に制限はないが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、0.5m以上であることが好ましく、1.0m以上であることがより好ましく、また、15m以下であることが好ましく、10m以下であることがより好ましく、8m以下であることがさらに好ましい。ろ過面積が上記下限以上であることにより、フィルター装置に過度の圧力がかかることなどに起因してフィルターの目が大きくなるのをより効果的に抑制することができ、ろ過効率が向上する。一方、ろ過面積が上記上限以下であることにより、フィルターエレメント部分での溶融樹脂の通過速度が過度に低下するのを抑制することができ、溶融樹脂の長期滞留が抑制され、異物のより少ないフィルムが得られやすくなる。なお、フィルター装置のろ過面積は、通常、当該フィルター装置に含まれる各フィルターエレメントの面積の合計に相当する。
本発明において使用される製膜装置では、必要に応じて、フィルター装置の前および/または後にギアポンプ、スタティックミキサーなどを配してもよい。
本発明において使用されるダイの種類に特に制限はなく、各製膜原料が溶融した溶融樹脂を膜状に賦型することのできるものを用いることができる。ダイとしては、例えば、フィッシュテールダイ、T型マニホールドダイ、T型コートハンガーダイなどが挙げられ、中でもフィルムの厚さ精度の観点などから、T型ダイ(Tダイ)が好ましく、T型コートハンガーダイがより好ましい。
・フィルムの製膜
上記の製膜装置を用いてフィルムを製膜する際の温度に特に制限はなく、使用する熱可塑性樹脂の種類などに応じて適宜設定することができるが、本発明の効果がより顕著に奏されることなどから、押出機、ギアポンプ、フィルター装置のハウジングの各設定温度として、それぞれ、230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましく、また、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、270℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、上記製膜装置を用いて目的とする熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含むフィルムを製造するにあたり、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(I)と、熱可塑性樹脂を含みゴム粒子を含まない製膜原料Bを押出機に供給する工程(II)と、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(III)とをこの順に含む。
工程(I)から工程(II)に切り替える際のタイミングとしては、例えば、得られるフィルム中における欠点の数が規定値以上になったときや、フィルター装置前後の差圧が工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して特定値分増加したときなどが挙げられる。
工程(I)から工程(II)に切り替える際の指標とすることのできる、上記フィルム中における欠点の数としては、目的とするフィルムの品質などによっても異なるが、切り替える直前(工程(II)の直前)での、工程(I)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数として、30個/m以下であることが好ましく、28個/m以下であることがより好ましい。なお、当該数があまりに低いと生産性が低下する傾向があることから、当該数は例えば5個/m以上とすることができ、10個/m以上、さらには20個/m以上としてもよい。
また、工程(I)から工程(II)に切り替える際の指標とすることのできる、上記フィルター装置前後の差圧としては、目的とするフィルムの品質などによっても異なるが、切り替える直前(工程(II)の直前)でのフィルター装置前後の差圧として、工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して、1MPa以上大きいことが好ましく、1.5MPa以上大きいことがより好ましい。なお、当該差圧があまりに大きくなってから上記切り替えを行うと得られるフィルムの品質が低下する傾向があり、また、フィルター装置の破損にもつながる可能性があることなどから、切り替える直前(工程(II)の直前)でのフィルター装置前後の差圧は、工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して、5MPaを超えて大きくないことが好ましく、3MPaを超えて大きくないことがより好ましい。
工程(II)から工程(III)に切り替える際のタイミングとしては、例えば、得られるフィルム中における欠点の数が規定値以下に減少したとき、フィルター装置前後の差圧が工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して特定の範囲になったとき、製膜原料Bに対する[押出量]/[フィルター装置のフィルターろ過面積]で表されるフィルター通過流量が特定値以上になったときなどが挙げられる。
工程(II)から工程(III)に切り替える際の指標とすることのできる、上記フィルム中における欠点の数としては、目的とするフィルムの品質などによっても異なるが、切り替える直前(工程(III)の直前)での、工程(II)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数として、15個/m以下であることが好ましく、10個/m以下であることがより好ましく、5個/m以下であることがさらに好ましく、3個/m以下であることが特に好ましい。なお、当該数があまりに低いと生産性が低下する傾向があることから、当該数は例えば0.1個/m以上とすることができる。
また、工程(II)から工程(III)に切り替える際の指標とすることのできる、切り替える直前(工程(III)の直前)での製膜原料Bのフィルター通過流量(切り替える直前までにフィルター装置を通過した製膜原料Bの、単位フィルターろ過面積当たりの総重量に概ね相当)としては、目的とするフィルムの品質、使用する製膜原料の種類、使用する製膜装置などによっても異なるが、400kg/m以上であることが好ましく、500kg/m以上であることがより好ましい。なお、当該フィルター通過流量があまりに大きいと生産性が低下する傾向があることなどから、当該フィルター通過流量は、1,000kg/m以下であることが好ましい。
本発明によれば、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができる。当該フィルムにおける異物の数としては、目的とするフィルムの品質などによっても異なるが、工程(III)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数として、30個/m以下であることが好ましく、20個/m以下であることがより好ましく、10個/m以下であることがさらに好ましく、5個/m以下であることがさらに好ましい。なお、当該数があまりに低いと生産性が低下する傾向があることから、当該数は例えば0.1個/m以上とすることができる。
上記のようにしてダイにより膜状に賦型された溶融樹脂を冷却することにより目的のフィルムを得ることができ、例えば、冷却ロールまたは冷却ベルト上で冷却することにより目的のフィルムを得ることができる。特に、フィルムの表面平滑性および厚さ均一性の観点から、上記膜状の溶融樹脂を、鏡面ロールまたは鏡面ベルトの間に引き取り挟圧することが好ましい。鏡面ロールまたは鏡面ベルトは、いずれも金属製であることが好ましい。鏡面ロールは、表面平滑性および厚さ均一性の観点から、金属剛体ロールおよび金属弾性ロールの組み合わせであることが好ましい。鏡面ロールまたは鏡面ベルト間の線圧は、表面平滑性の観点から、好ましくは10N/mm以上であり、より好ましく30N/mm以上である。鏡面ロールまたは鏡面ベルトの表面温度は、表面平滑性、ヘーズ、外観などの観点から、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上である。また、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは100℃以下である。
このようにして得られたフィルムの厚さとしては、所望とする用途などにもよるが、例えば、1~200μm、10~150μm、さらには40~120μmの範囲内とすることができる。
なお得られたフィルムは、必要に応じ、延伸して延伸フィルムとしてもよい。使用される延伸装置としては、例えば、縦延伸装置、横延伸装置、同時二軸延伸装置などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
・フィルムの用途
本発明によれば、ゴム粒子を含み異物が少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができる。そのため、得られたフィルムは、例えば、自動車や家電等の加飾用途;偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、液晶基板、光拡散シート、プリズムシート等の光学用途;壁材、ウィンドウフィルム、窓枠、浴室壁材等の建材用途などの用途に好適に用いることができる。すなわち、当該フィルムは、加飾用フィルム、光学用フィルム、建材用フィルムなどとして、そのまま、あるいは適宜加工等を施して好適に用いることができる。当該フィルムが光学用フィルムである場合、光学用フィルムの全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、92%以上であることがさらに好ましい。
以下、実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)およびフィルムにおける欠点の数の測定方法を以下に記す。
(重量平均分子量(Mw))
測定対象樹脂4mgをテトラヒドロフラン(THF)5mLに溶解させ、孔径0.1μmのフィルターでろ過したものを試料溶液とした。GPC装置として、示差屈折率検出器(RI検出器)を備えた東ソー(株)製「HLC-8320」を使用した。カラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel Super Multipore HZM-M」2本と「Super HZ4000」とを直列に繋いだものを用いた。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムオーブンの温度を40℃に設定し、溶離液流量0.35mL/分で、試料溶液20μLを装置内に注入して、クロマトグラムを測定した。クロマトグラムは、試料溶液と参照溶液との屈折率差に由来する電気信号値(強度Y)を保持時間Xに対してプロットしたチャートである。
分子量が400~5,000,000の範囲の標準ポリスチレン10点を用いてGPC測定し、保持時間と分子量との関係を示す検量線を作成した。この検量線に基づいて、測定対象樹脂の重量平均分子量(Mw)を決定した。なお、クロマトグラムのベースラインは、GPCチャートの高分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てマイナスからゼロに変化する点とを結んだ線とした。クロマトグラムが複数のピークを示す場合は、最も高分子量側のピークの傾きがゼロからプラスに変化する点と、最も低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点とを結んだ線をベースラインとした。
(フィルムにおける欠点の数)
艶消しの黒色布(川島織物セルコン社製)の上に、各実施例または比較例で得られたフィルムを0.5m×2mのサイズに切り出して置き、フィルム表面の垂直面から蛍光灯の反射光を利用して目視で見た際に表面凹凸の違いにより検出される欠点の数を数え、1m当りの欠点の数として算出した。ここでの欠点とは、幅×長さの値が0.03mmを超える欠点を指す。
なお、検出された欠点がゴム粒子の凝集物を含むか否かを確認するため、ウルトラミクロトーム(日本電子社製;Leica EM UC7rt)を用いて、フィルムの欠点部分から押出方向に垂直な方向(TD方向)の断面切片(厚さ50nm)を切り出し、これを四酸化ルテニウム(0.5%)で染色して試験片を作成した。当該試験片における欠点の断面について、レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製;OLS4100)を用いて観察し、ゴム粒子の凝集物の有無を確認した。ここで、ゴム粒子の凝集物とは5μm以上の長さを有する染色部を指す。
(製造例1)製膜原料Aの製造
国際公開第2016/157908号の参考例1を参照して得たメタクリル系重合体70質量部と、同参考例7を参照して得た3層構造の(メタ)アクリル系弾性重合体粒子(平均粒子径=0.2μm)30質量部をヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径41mmのベント付き二軸押出機を用いてペレットにした。
(製造例2)製膜原料B1の製造
国際公開第2016/157908号の参考例2を参照してビーズ状のメタクリル系重合体を得た。これを製膜原料B1とした。温度250℃、せん断速度120s-1における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料B1の溶融粘度の比(キャピログラフにより測定)は表1のとおり1.5であった。
(製造例3)製膜原料B2の製造
国際公開第2016/157908号の参考例2を参照して得たメタクリル系重合体80質量部と、同参考例4を参照して得たブロック共重合体20質量部をヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径41mmのベント付き二軸押出機を用いてペレットにした。これを製膜原料B2とした。温度250℃、せん断速度120s-1における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料B2の溶融粘度の比(キャピログラフにより測定)は表1のとおり0.75であった。
(製造例4)製膜原料B3の製造
国際公開第2016/157908号の参考例1を参照してビーズ状のメタクリル系重合体を得た。これを製膜原料B3とした。温度250℃、せん断速度120s-1における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料B3の溶融粘度の比(キャピログラフにより測定)は表1のとおり1.1であった。
Figure 0007008575000001
(実施例1)
65mmφベント付き単軸押出機、ギアポンプ、フィルター装置、スタティックミキサー、Tダイをこの順番に備えた製膜装置を用い、押出機、ギアポンプ、フィルター装置のハウジングの各設定温度をそれぞれ260℃とし、吐出量70kg/hの条件で、上述の製造例で得た製膜原料Aを押出機に供給し、90℃に設定した鏡面金属剛体ロールおよび鏡面金属弾性ロールで挟持して、厚さ100μmのフィルムを連続的に製造した。
ここでフィルター装置としては、溶融樹脂が流入する入口および流出する出口を備えるハウジングと、前記ハウジング内に設けられた外流型センターポールと、前記外流型センターポールを外囲するように、前記外流型センターポールの長手方向に間隔を空けて並設されたリーフディスク型でろ過精度5μmのフィルターエレメント50枚と、前記センターポールの外面に沿って溶融樹脂が流れる溶融樹脂流路とを有するもの(フィルターろ過面積は2.2m)を用いた。
製膜原料Aを供給し始めてから5日後にフィルムにおける欠点の個数が25個/mになり、且つ、フィルター装置前後の差圧が製膜原料Aを供給し始めた直後に対して2MPa増加した。このときに、製膜原料Aに代えて、上述の製造例で得た製膜原料B1を供給し始めた。
製膜原料B1を供給し始めてから1日後にフィルムにおける欠点の個数が1個/mに減少し、且つ、製膜原料B1のフィルター通過流量が500kg/mを超えた。このときに、製膜原料B1に代えて、再び製膜原料Aを供給し始めた。
再び製膜原料Aを供給し始めてから2日後のフィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例2)
実施例1において、製膜原料B1を製膜原料B2に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でフィルムを連続的に製造した。
当該実施例2では、製膜原料Aを供給し始めてから5日後にフィルムにおける欠点の個数が30個/mになり、且つ、フィルター装置前後の差圧が製膜原料Aを供給し始めた直後に対して2.5MPa増加した。このときに、製膜原料Aに代えて、上述の製造例で得た製膜原料B2を供給し始めた。
製膜原料B2を供給し始めてから1日後にフィルムにおける欠点の個数が1個/mに減少し、且つ、製膜原料B2のフィルター通過流量が500kg/mを超えた。このときに、製膜原料B2に代えて、再び製膜原料Aを供給し始めた。
再び製膜原料Aを供給し始めてから2日後のフィルムの評価結果を表2に示した。
(実施例3)
実施例1において、製膜原料B1を製膜原料B3に変更したこと以外は実施例1と同様の方法でフィルムを連続的に製造した。
当該実施例3では、製膜原料Aを供給し始めてから5日後にフィルムにおける欠点の個数が25個/mになり、且つ、フィルター装置前後の差圧が製膜原料Aを供給し始めた直後に対して2MPa増加した。このときに、製膜原料Aに代えて、上述の製造例で得た製膜原料B3を供給し始めた。
製膜原料B3を供給し始めてから1日後にフィルムにおける欠点の個数が5個/mに減少し、且つ、製膜原料B3のフィルター通過流量が500kg/mを超えた。このときに、製膜原料B3に代えて、再び製膜原料Aを供給し始めた。
再び製膜原料Aを供給し始めてから2日後のフィルムの評価結果を表2に示した。
(比較例1)
実施例1において、製膜原料B1への切り替えを行わずに、製膜原料Aを7日間供給し続けたこと以外は実施例1と同様の方法でフィルムを連続的に製造した。得られた7日目のフィルムの評価結果を表2に示した。
Figure 0007008575000002
ゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(I)と、ゴム粒子を含まない製膜原料Bを押出機に供給する工程(II)と、ゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(III)とをこの順に含む製造方法で製造した実施例1~3のフィルムでは、ゴム粒子の凝集物に基づく欠点が見られず、生産性を著しく低下させるような連続運転を中断して製膜装置を分解および清掃してから再度立ち上げる操作をせずに、ゴム粒子を含み異物(欠点)の少ないフィルムを生産性よく長時間安定して製造することができた。

Claims (12)

  1. 押出機とダイとの間にフィルター装置を備える製膜装置を用いて熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含むフィルムを製造するフィルムの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(I)と、熱可塑性樹脂を含みゴム粒子を含まない製膜原料Bを押出機に供給する工程(II)と、熱可塑性樹脂およびゴム粒子を含む製膜原料Aを押出機に供給する工程(III)とをこの順に含み、
    温度250℃、せん断速度120s -1 における、製膜原料Aの溶融粘度に対する製膜原料Bの溶融粘度の比が0.85以下または1.2以上である、製造方法。
  2. 工程(II)の直前において、工程(I)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が30個/m以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(II)の直前において、フィルター装置前後の差圧が、工程(I)を開始した際のフィルター装置前後の差圧に対して1MPa以上大きい、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 工程(III)の直前において、工程(II)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が15個/m以下である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(III)の直前において、製膜原料Bのフィルター通過流量(=押出量/フィルター装置のフィルターろ過面積)が400kg/m以上である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程(III)により得られるフィルムにおける0.03mmを超えるサイズの欠点の数が30個/m以下である、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
  7. フィルター装置がリーフディスク型のフィルターエレメントを有する、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
  9. ゴム粒子がアクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体を含有する、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 製膜原料Aおよび製膜原料Bがいずれもペレット状またはビーズ状である、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  11. 光学用フィルムの製造方法である、請求項1~1のいずれかに記載の製造方法。
  12. 加飾用フィルムの製造方法である、請求項1~1のいずれかに記載の製造方法。
JP2018099339A 2018-05-24 2018-05-24 フィルムの製造方法 Active JP7008575B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018099339A JP7008575B2 (ja) 2018-05-24 2018-05-24 フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018099339A JP7008575B2 (ja) 2018-05-24 2018-05-24 フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019202482A JP2019202482A (ja) 2019-11-28
JP7008575B2 true JP7008575B2 (ja) 2022-02-10

Family

ID=68725833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018099339A Active JP7008575B2 (ja) 2018-05-24 2018-05-24 フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7008575B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5858223B2 (ja) 2011-10-18 2016-02-10 センカ株式会社 貴金属の回収剤及び貴金属含有液中からの貴金属の回収方法
JP2017177723A (ja) 2016-03-31 2017-10-05 株式会社カネカ 熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物からなる光学フィルムの製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3776774A (en) * 1972-05-01 1973-12-04 Eastman Kodak Co Process for internal cleaning of extruders

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5858223B2 (ja) 2011-10-18 2016-02-10 センカ株式会社 貴金属の回収剤及び貴金属含有液中からの貴金属の回収方法
JP2017177723A (ja) 2016-03-31 2017-10-05 株式会社カネカ 熱可塑性樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物からなる光学フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019202482A (ja) 2019-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102381502B1 (ko) 아크릴계 필름
KR101346872B1 (ko) 불소 수지 필름 및 불소 수지 적층 아크릴계 수지 필름
JP4307737B2 (ja) フルオロポリマーとポリアクリレートとからなる混合物を含有する層を有するシートの製造法
JP5220500B2 (ja) 外観意匠性を改善したアクリル系樹脂フィルムおよびその製造方法
JP7008575B2 (ja) フィルムの製造方法
WO2016010051A1 (ja) 艶消し用熱可塑性樹脂組成物、フッ素系艶消しフィルム及びフッ素系艶消し積層フィルム
JP5534650B2 (ja) 外観意匠性を改善したアクリル系樹脂フィルム
WO2014038679A1 (ja) アクリルフィルム、その製造方法、積層フィルム、積層射出成形品及びゴム含有重合体の製造方法
JP7140947B2 (ja) フィルター装置及びそれを用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JPWO2019194210A1 (ja) (メタ)アクリル樹脂組成物、フィルムおよびその製造方法
JP7245082B2 (ja) フィルム用アクリル樹脂組成物、及びアクリル樹脂フィルム
JP6703411B2 (ja) アクリル系樹脂フィルム
JP6502734B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP7232729B2 (ja) 熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP2011046186A (ja) 多層延伸フィルム
JP2018187783A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP7140948B2 (ja) フィルター装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP2022066090A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP2019034432A (ja) フィルター装置及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法
KR101018981B1 (ko) 다양한 두께에서 광학 특성이 일정한 표면손상 저항성의 무반사 투명 아크릴 시트
JP2020147697A (ja) アクリル系樹脂フィルム及びその製造方法
JP2018079591A (ja) フッ素系樹脂成形体及びその製造方法
JP2020179598A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP7241088B2 (ja) 熱可塑性樹脂多層フィルムとその製造方法および積層体
JP2022048765A (ja) アクリル樹脂フィルムの製造方法およびアクリル樹脂フィルムの製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210922

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7008575

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150