JP7140947B2 - フィルター装置及びそれを用いた熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]被処理流体の流路と、該流路の一端に設けられた流入口と、該流路の他端に設けられた壁面と、該壁面に設けられた流出口とを有するハウジングと、前記流出口を覆い、前記流路に向かって突出したフィルターエレメントとを備え、前記壁面は、前記流出口側に近づくに従って、連続又は不連続に、前記流入口と離れる方向に傾斜しており、且つ流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°を超えるテーパ部を有しており、前記壁面の流出口を除く部分の前記流路方向への投影面積Aに対する、前記テーパ部の前記流路方向への投影面積Bの比率{B/A}が0.7以上である、フィルター装置。
[2]前記フィルターエレメントのろ過精度が1μm以上50μm以下である、上記[1]に記載のフィルター装置。
[3]溶融押出法による熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、押出機とダイとの間に[1]又は[2]に記載のフィルター装置を配置し、前記押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂を前記フィルター装置に通過させる工程を有する、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[4]前記フィルター装置内における前記熱可塑性樹脂の滞留時間が50秒以上1,800秒以下である、上記[3]に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[5]前記フィルター装置のハウジングの設定温度が230℃以上300℃以下である、上記[3]又は[4]に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[6]前記フィルター装置の前記流入口及び流出口における初期差圧が0.1MPa以上10MPa以下である、上記[3]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[7]前記熱可塑性樹脂の、温度270℃、せん断速度122秒-1における溶融粘度が100Pa・s以上1,500Pa・s以下である、上記[3]~[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[8]前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂を含有する、上記[3]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[9]前記(メタ)アクリル系樹脂が、メタクリル酸メチルの単独重合体(A);メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;からなる群から選択される、上記[8]に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[10]前記熱可塑性樹脂がゴム粒子を含有する、上記[3]~[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[11]前記熱可塑性樹脂成形体がフィルムである、上記[3]~[10]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[12]前記熱可塑性樹脂成形体が光学用成形体である、上記[3]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
[13]前記熱可塑性樹脂成形体が加飾用成形体である、上記[3]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
本発明のフィルター装置は、被処理流体の流路と、該流路の一端に設けられた流入口と、該流路の他端に設けられた壁面と、該壁面に設けられた流出口とを有するハウジングと、
前記流出口を覆い、前記流路に向かって突出したフィルターエレメントとを備え、
前記壁面は、前記流出口側に近づくに従って、連続又は不連続に、前記流入口と離れる方向に傾斜しており、且つ流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°を超えるテーパ部を有しており、
前記壁面の流出口を除く部分の前記流路方向への投影面積Aに対する、前記テーパ部の前記流路方向への投影面積Bの比率{B/A}が0.7以上であることを特徴とする。
ここで、前記壁面が不連続に傾斜するとは、傾斜した部分が傾斜していない部分によって隔てられていることを示す。
前記壁面は、角を有してもよいが、角を有さない滑らかな面であることが好ましい。
フィルター装置10は、被処理流体(溶融樹脂)の流路1と、該流路1の一端に設けられた流入口2と、該流路1の他端に設けられた壁面3と、該壁面3に設けられた流出口4とを有するハウジング8(典型的には円筒状等の筒状)と、前記流出口4を覆い、前記流路1に向かって突出したフィルターエレメント5とを備える。前記ハウジング8の内面の一部を構成する前記壁面3は、前記流出口側に近づくに従って、連続又は不連続に、前記流入口2と離れる方向に傾斜しており、且つ流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°を超えるテーパ部を有する。
なお、前記フィルターエレメント5の内部には、該フィルターエレメント5を支持する支柱部材6が設けられていてもよい。
ここで、フィルター装置10内の溶融樹脂の流れを矢印で示す。流入口2から流入した溶融樹脂がハウジング8内部を移動し、フィルターエレメント5を通り、ろ過された溶融樹脂が流出口4へ流出する。
なお、壁面には傾斜していない部分が含まれていてもよいが、傾斜していない部分が含まれないことが好ましい。
前記壁面13は4本のフィルターエレメントの周りに傾斜部17を有する。該傾斜部17の形状は、該傾斜部17が流出口14に向かって連続又は不連続に傾斜するとともにそのうちの少なくとも一部が前記テーパ部であれば特に限定されず、該傾斜部17の全ての領域の傾斜(例えば、一例として傾斜部17を領域17a、領域17b、領域17cと区切った場合、領域17aの傾斜と領域17bの傾斜と領域17cの傾斜)が同じであってもよく、異なっていてもよい。また、任意の場所に、流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°以下の部分を一箇所または複数箇所有していてもよいが、傾斜部の全てがテーパ部であることが好ましい。なお、壁面には傾斜していない部分が含まれていてもよいが、傾斜していない部分が含まれないことが好ましい。
図4では、フィルターエレメント15の傾斜面15aと壁面13が有する傾斜部17との間に隙間が設けられている。前記傾斜部17は、図3に示す領域17aと領域17bと領域17cとが連続的に流出口14に向かって傾斜している。
また、図5(b)に示すようにフィルターエレメント15の傾斜面15aと壁面13の傾斜部17とは、一部接していてもよく、図5(c)に示すようにフィルターエレメント15の傾斜面15aの全面において壁面13の傾斜部17が接触していてもよい。
ハウジングとしては筒型のものを用いるのが好ましい。筒型のハウジングの形状としては、円柱、正四角柱等の直柱などが挙げられる。中でも、円柱が好ましい。
フィルターエレメントとしては筒型のものを用いるのが好ましい。
筒型のフィルターエレメントは通常、外周面から流体をろ過するろ過部、ろ過された流体が流れる中空部、この中空部から流体を排出する端部の排出部、フィルターエレメントの先端部を備える。筒型のフィルターエレメントとしては、例えばチューブ型、キャンドル型などが挙げられる。中でも、キャンドル型のフィルターエレメントが好ましい。
キャンドル型のフィルターエレメントのろ過部の形状に特に制限はなく、波型又はプリーツ型など公知のものが使用できる。前記プリーツ型におけるプリーツは、フィルターエレメントの半径方向に延びたものでもよいし、半径方向に対して斜めに延び、湾曲した断面形状又はアーチ型の断面形状を有するいわゆるスパイラルプリーツであってもよい。
本発明のフィルター装置の性能をより効果的に発揮するためには、後述する押出機の吐出量をQ(kg/h)、フィルター装置の総ろ過面積をS(m2)、フィルターエレメントの直径をDE(mm)、フィルターエレメントの長さをLE(mm)としたとき、これらが下記の関係を満たすことが好ましい。なお、総ろ過面積は各フィルターエレメントの直径、長さ及び本数により調節可能である。
50≦Q/S(kg/m2・h)≦200 かつ 5≦LE/DE≦10
溶融状態の熱可塑性樹脂の滞留時間(s)は、(ハウジングの空間容積(L))÷(熱可塑性樹脂の吐出量(kg/h)/3600/比重)で求めることができる。
筒型のフィルターエレメントを2本以上備える場合、各筒型のフィルターエレメントは全て同一形状、同一サイズであることが好ましい。
フィルターエレメントとハウジング(壁面)との接続部、フィルターエレメント流出後の合流部の形状に特に制限はない。
本発明のフィルター装置は、押出機及びダイを用いた溶融押出法による熱可塑性樹脂成形体の製造に好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、押出機とダイとの間に本発明のフィルター装置を配置し、前記押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂を前記フィルター装置に通過させる工程を有する。
フィルター装置のハウジングの設定温度を230℃以上とすることによって、溶融粘度を低くすることができ、樹脂圧の上昇を抑え、熱可塑性樹脂成形体の連続生産性が向上する。一方、フィルター装置のハウジングの設定温度を300℃以下とすることによって、熱による樹脂の劣化をさらに抑制することができる。
熱可塑性樹脂の滞留時間を50秒以上とすることによって、樹脂温度のむらが小さくなり、樹脂の劣化をさらに抑制することができる。一方、熱可塑性樹脂の滞留時間を1,800秒以下とすることによって、樹脂の劣化をさらに抑制することができる。
フィルター装置の流入口及び流出口における初期差圧を0.1MPa以上とすることによって、溶融樹脂の偏流を抑制し、樹脂の劣化をさらに抑制することができる。一方、フィルター装置の流入口及び流出口における初期差圧を10MPa以下とすることによって、熱可塑性樹脂成形体の連続生産性が向上し、更には、フィルターエレメントが捕集した異物がフィルターエレメントをすり抜けることを低減し、熱可塑性樹脂成形体中の異物をさらに低減できる。
本発明の熱可塑性樹脂成形体の製造方法では、溶融状態の熱可塑性樹脂(溶融樹脂)をフィルター装置に通過させて、異物等を除去する工程を有する。ここで熱可塑性樹脂は、1種の熱可塑性樹脂のみからなるものであってもよいし、2種以上の熱可塑性樹脂を含む混合物であってもよい。熱可塑性樹脂は、温度270℃、せん断速度122秒-1における溶融粘度が100Pa・s以上1,500Pa・s以下であることが好ましく、300Pa・s以上1,000Pa・s以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の温度270℃、せん断速度122秒-1における溶融粘度が100Pa・s以上であることによって、溶融樹脂がフィルター装置を通過する際、背圧が十分に大きく、効果的に異物を除去することができる。一方、熱可塑性樹脂の温度270℃、せん断速度122秒-1における溶融粘度が1,500Pa・s以下であることによって、フィルター装置へ過剰な圧力がかかることによるフィルター装置の破損を防ぐことができ、熱可塑性樹脂成形体の連続生産性が向上する。
なお、溶融粘度は、キャピログラフ等により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル系樹脂及び/又はアクリル系樹脂を指す。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物、メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物等が挙げられる。
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)が含有するメタクリル酸メチル単位の割合は、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上98質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上97質量%以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.5以上2.6以下であることが好ましく、1.6以上2.3以下であることがより好ましく、1.7以上2.2以下であることがさらに好ましい。分子量分布を1.5以上とすることによって、熱可塑性樹脂の成形加工性が良好となり、フィルター装置内での樹脂の滞留を抑える点でも有利である。また、分子量分布を2.6以下とすることによって、得られる熱可塑性樹脂成形体の耐衝撃性が良好となる。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
ゴム粒子としては、アクリル酸エステルに由来する構造単位を含有する重合体を含む粒子(以下、「アクリル系弾性体粒子」と称する。)、共役ジエンに由来する構造単位を含有する重合体を含む粒子、アクリル酸エステルに由来する構造単位及び共役ジエンに由来する構造単位を含有する重合体を含む粒子等が挙げられる。なお、これらの重合体は必要に応じて架橋性単量体に由来する構造単位を有していてもよい。中でも熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル系樹脂を含有するものを用いる場合、ゴム粒子はアクリル系弾性体粒子であることが好ましい。
メタクリル酸非環状アルキルエステルは、流動性及び耐熱性の観点から、メタクリル酸メチルであることが好ましく、コアシェル粒子を構成するメタクリル系重合体は、メタクリル酸メチル単位を80質量%以上100質量%以下含有することが最も好ましい。
添加剤は、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよいが、熱可塑性樹脂中での分散性の観点から、有機化合物が好ましい。
添加剤が熱可塑性樹脂に含有される場合、その含有量は特に限定されないが、該熱可塑性樹脂100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。添加剤の含有量が0.01質量%以上であることによって添加剤の効果を十分に発現することができ、10質量%以下であることによって熱可塑性樹脂成形体が本来有する物性を十分に維持できる。
熱可塑性樹脂成形体が光学用成形体である場合、光学用成形体の全光線透過率は好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは92%以上である。
なお、光学用成形体の全光線透過率は、JIS K7375(2008)に準拠して測定することができる。
測定対象樹脂4mgをテトラヒドロフラン(THF)5mLに溶解させ、孔径0.1μmのフィルターでろ過したものを試料溶液とした。GPC装置として、示差屈折率検出器(RI検出器)を備えた東ソー(株)製「HLC-8320」を使用した。カラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel Super Multipore HZM-M」2本と「Super HZ4000」とを直列に繋いだものを用いた。溶離剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムオーブンの温度を40℃に設定し、溶離液流量0.35mL/分で、試料溶液20μLを装置内に注入して、クロマトグラムを測定した。クロマトグラムは、試料溶液と参照溶液との屈折率差に由来する電気信号値(強度Y)を保持時間Xに対してプロットしたチャートである。
分子量が400~5,000,000の範囲の標準ポリスチレン10点を用いてGPC測定し、保持時間と分子量との関係を示す検量線を作成した。この検量線に基づいて、測定対象樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を決定した。なお、クロマトグラムのベースラインは、GPCチャートの高分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てマイナスからゼロに変化する点を結んだ線とした。クロマトグラムが複数のピークを示す場合は、最も高分子量側のピークの傾きがゼロからプラスに変化する点と、最も低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点を結んだ線をベースラインとした。
測定対象樹脂(ペレット)を80℃で12時間乾燥した後、東洋精機(株)製「キャピログラフ1D」を用いて、温度270℃、せん断速度122秒-1の条件で、溶融粘度を測定した。
艶消しの黒色布((株)川島織物セルコン製)の上に、各実施例及び比較例で得られたフィルムを1m×1mのサイズに切り出して置き、フィルム表面の垂直面から蛍光灯の反射光を利用して目視で見た際に表面凹凸の違いにより検出される異物の個数を数え、1m2当りの異物量として算出した。なお、ここでの異物とは、幅×長さの値が0.03mm2を超える異物を指す。
(1)(メタ)アクリル系樹脂の合成
メタクリル酸メチル95質量部およびアクリル酸メチル5質量部からなる単量体混合物に重合開始剤(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.1質量部および連鎖移動剤(n-オクチルメルカプタン)0.21質量部を加え溶解させて原料液を得た。また、別の容器にイオン交換水100質量部、硫酸ナトリウム0.03質量部および懸濁分散剤0.45質量部を混ぜ合わせて混合液を得た。耐圧重合槽に前記混合液420質量部と前記原料液210質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら温度を70℃にして重合反応を開始させた。重合反応開始後3時間経過時に温度を90℃に上げ、撹拌を引き続き1時間行って、ビーズ状共重合体が分散した液を得た。得られた共重合体分散液を適量のイオン交換水で洗浄し、バケット式遠心分離機によりビーズ状共重合体を取り出し、80℃の熱風乾燥機で12時間乾燥させ、重量平均分子量(Mw)が110,000、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0であるビーズ状の(メタ)アクリル系樹脂を得た。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器に、イオン交換水1050質量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換した後、内温を80℃に設定した。そこに過硫酸カリウム0.25質量部を投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸アリル=94:5.8:0.2(質量比)からなる単量体混合物245質量部を50分間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器にぺルオキソ2硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間撹拌した後、アクリル酸ブチル:スチレン:メタクリル酸アリル=80.6:17.4:2(質量比)からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに30分間重合反応を行った。
続いて同反応器にぺルオキソ2硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル=94:6(質量比)からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下供給し、滴下終了後、さらに60分間重合反応を行って、3層構造のアクリル系弾性体粒子を得た。
前記(1)で合成したメタクリル系樹脂80質量部と、前記(2)で合成した3層構造のアクリル系弾性体粒子20質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径58mmのベント付き二軸押出機を用いて(メタ)アクリル系樹脂のペレットを得た。得られた(メタ)アクリル系樹脂の溶融粘度は830Pa・sであった。
フィルター装置のハウジングの壁面を、該壁面に設けた流出口に近づくに従って流路の一端に設けられた流入口と離れる方向に傾斜するように削り、該壁面において流出口を除く部分の流路方向への投影面積Aに対する、該壁面に設けたテーパ部の流路方向への投影面積Bの比率{B/A}を調整した。
65mmφベント付き単軸押出機、ギアポンプ、図3に示すフィルターエレメントを4本備えるフィルター装置、スタティックミキサー、Tダイをこの順番に備えたフィルム製造装置にて、押出機、ギアポンプ、フィルター装置のハウジングの設定温度が260℃、吐出量が165kg/hの条件で、上述の製造例1で得た熱可塑性樹脂((メタ)アクリル系樹脂)を押出し、90℃に設定した鏡面金属剛体ロール及び鏡面金属弾性ロールで挟持して、厚さ100μmのフィルムを作製した。
フィルター装置は、溶融樹脂が流入する流入口及び流出する流出口を有し、前記のとおりに比率{B/A}を調整した壁面を有するハウジングと、ハウジング内に4本のキャンドル型のフィルターエレメントを備えたものを使用した。
キャンドル型のフィルターエレメントは長さ360mm、直径60mm、ろ過精度10μm、4本のフィルターエレメントの総ろ過面積1.21m2とし、比率{B/A}は0.96であった。
製膜開始から10時間経過後に得られたフィルム中の異物量の評価結果を表1に示した。
比率{B/A}を0.85に変更したこと以外は実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。
製膜開始から10時間経過後に得られたフィルム中の異物量の評価結果を表1に示した。
押出機の吐出量を200kg/hに変更したこと以外は実施例2と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。
製膜開始から10時間経過後に得られたフィルム中の異物量の評価結果を表1に示した。
比率{B/A}を0.25に変更したこと以外は実施例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。
製膜開始から10時間経過後に得られたフィルム中の異物量の評価結果を表1に示した。
押出機の吐出量を200kg/hに変更したこと以外は比較例1と同様にして厚さ100μmのフィルムを得た。
製膜開始から10時間経過後に得られたフィルム中の異物量の評価結果を表1に示した。
また、比率{B/A}が同じフィルター装置を用いた場合、滞留時間が短いほど、フィルム中の異物量が少ないことが分かる(実施例2及び3、並びに比較例1及び2参照)。
2 流入口
3、13 壁面
4、14 流出口
5、15 フィルターエレメント
15a フィルターエレメントの傾斜面
6 支柱部材
7、17 傾斜部
7a、7b、7c、17a、17b、17c 傾斜部の領域
8 ハウジング
10、20 フィルター装置
P 壁面が傾斜していないか又は傾斜していても該壁面と流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°以下の部分
Claims (10)
- 被処理流体の流路と、該流路の一端に設けられた流入口と、該流路の他端に設けられた壁面と、該壁面に設けられた流出口とを有するハウジングと、
前記流出口を覆い、前記流路に向かって突出した2本以上の筒型のフィルターエレメントとを備え、
前記壁面は、前記流出口側に近づくに従って、連続又は不連続に、前記流入口と離れる方向に傾斜しており、且つ流路方向に対して直交する平面とのなす角度が10°を超えるテーパ部を有しており、
前記壁面の流出口を除く部分の前記流路方向への投影面積Aに対する、前記テーパ部の前記流路方向への投影面積Bの比率{B/A}が0.7以上であり、
前記被処理流体が、(メタ)アクリル系樹脂およびゴム粒子を含有する溶融熱可塑性樹脂であり;
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択されるものであり、
押出機の吐出量をQ(kg/h)、フィルター装置の総ろ過面積をS(m 2 )、フィルターエレメントの直径をD E (mm)、フィルターエレメントの長さをL E (mm)としたとき、下記の関係を満たす、フィルター装置。
50≦Q/S(kg/m 2 ・h)≦200 かつ 5≦L E /D E ≦10 - 前記フィルターエレメントのろ過精度が1μm以上50μm以下である、請求項1に記載のフィルター装置。
- 溶融押出法による熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
押出機とダイとの間に請求項1又は2に記載のフィルター装置を配置し、前記押出機から吐出される溶融状態の熱可塑性樹脂を前記フィルター装置に通過させる工程を有し、
前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂およびゴム粒子を含有し、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、
メタクリル酸メチルの単独重合体(A);
メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C);
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びアクリル酸エステルの単独重合体(B)の混合物;
メタクリル酸メチルの単独重合体(A)及びメタクリル酸メチルとアクリル酸エステルの共重合体(C)の混合物;
からなる群から選択される、熱可塑性樹脂成形体の製造方法。 - 前記フィルター装置内における前記熱可塑性樹脂の滞留時間が50秒以上1,800秒以下である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記フィルター装置のハウジングの設定温度が230℃以上300℃以下である、請求項3又は4に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記フィルター装置の前記流入口及び流出口における初期差圧が0.1MPa以上10MPa以下である、請求項3~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂の、温度270℃、せん断速度122秒-1における溶融粘度が100Pa・s以上1,500Pa・s以下である、請求項3~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂成形体がフィルムである、請求項3~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂成形体が光学用成形体である、請求項3~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂成形体が加飾用成形体である、請求項3~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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