JP7257238B2 - 樹脂フィルムの切断方法 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂フィルムの切断方法に関する。
種々の方法で製膜された樹脂フィルムは、通常、用途や製品形状等に応じて所望の幅に切断されて使用される。しかしながら、機械的強度が低い樹脂フィルムは切断時に多量の切粉(切削屑)を生じる。切粉は異物となるだけでなく、切粉によって樹脂フィルムが傷ついたり、印刷抜け等の不具合が生じたりすることがあり、切粉の発生が少ない樹脂フィルムの切断方法が求められている。
切粉の発生を低減する樹脂フィルムの切断方法として、例えば特許文献1には、裁断時のフィルムの温度を60℃~Tg℃(ガラス転移温度)とする樹脂フィルムの裁断方法が提案されている。また、特許文献2には、切断時のポリマーフィルムの温度を(Tg-90)℃~(Tg-30)℃とするポリマーフィルムの切断方法が提案されている。
特開平9-85680号公報 特開2005-305637号公報
特許文献1及び2に記載された樹脂フィルムの切断方法では、切断時にフィルムの温度を制御しているが、温度制御装置の温度のゆらぎの影響を受けるため一定品質で切断することが困難であり、フィルムの欠けや切粉を十分に低減することが困難であった。また、加熱によりフィルムが軟化した状態で切断するため、糸状の切断屑が発生したり、樹脂フィルムの端部に切断不良部が発生したりする、いわゆる「糸引き」が生じやすくなるという問題もあった。
本発明は、前記従来の課題を鑑みてなされたものであって、切粉や糸引きを抑制することができる樹脂フィルムの切断方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、樹脂フィルムを特定の工程により加熱した後、更に特定の工程により冷却してから切断することにより、切粉と糸引きを低減できることを見出し、当該知見に基づいて更に検討を進め、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記[1]~[6]に関する。
[1]ガラス転移温度(Tg)が90℃以上である樹脂フィルムの切断方法であって、
下記式(1)の関係を満たす温度(Th)の高温体により前記樹脂フィルムを加熱する樹脂フィルム加熱工程と、
前記樹脂フィルム加熱工程後、前記樹脂フィルムの切断前に、前記高温体よりも低い温度であるロール状の冷却体と前記樹脂フィルムとを接触させる樹脂フィルム冷却工程と、
前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)[m]、及び前記樹脂フィルムの搬送速度(V)[m/分]が下記式(2)の関係を満たす条件で樹脂フィルムを切断する切断工程とを有する、樹脂フィルムの切断方法。
(Tg-80)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+150)[℃] (1)
0.05≦L/V≦2 (2)
[2]前記高温体が、金属ロール、ゴムロール及び気体から選ばれる1種以上である、前記[1]に記載の樹脂フィルムの切断方法。
[3]前記冷却体が、金属ロール、ゴムロール、及びカーボンロールから選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の樹脂フィルムの製造方法。
[4]前記樹脂フィルムを構成する樹脂組成物が、ガラス転移温度が90℃以上である樹脂(I)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂フィルムの切断方法。
[5]前記樹脂(I)が熱可塑性樹脂である、[4]に記載の樹脂フィルムの切断方法。
[6]前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂(A)である、[5]に記載の樹脂フィルムの切断方法。
本発明によれば、切粉や糸引きを抑制することができる樹脂フィルムの切断方法を提供できる。
本発明は、ガラス転移温度(Tg)が90℃以上である樹脂フィルムの切断方法であって、下記式(1)の関係を満たす温度(Th)の高温体により前記樹脂フィルムを加熱する樹脂フィルム加熱工程と、前記樹脂フィルム加熱工程後、前記樹脂フィルムの切断前に、前記高温体よりも低い温度であるロール状の冷却体と前記樹脂フィルムとを接触させる樹脂フィルム冷却工程と、前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)[m]、及び前記樹脂フィルムの搬送速度(V)[m/分]が下記式(2)の関係を満たす条件で樹脂フィルムを切断する切断工程とを有する、樹脂フィルムの切断方法である。
(Tg-80)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+150)[℃] (1)
0.05≦L/V≦2 (2)
式(1)において、Tgは樹脂フィルムのガラス転移温度を指し、Thは高温体の温度を指す。
本発明では、切断位置よりも手前にフィルムを冷却する工程を有するため、単に高温体を用いて加温するだけの方法と比較して、フィルムを高温に加温することができると共に、冷却ロールによって均一且つ切断に適した温度に調節しやすくなる。また、フィルムが軟化した場合でも冷却ロールでフィルム表面を整えることが可能である。
高温体の温度をフィルムの切断に適した温度付近に設定し、高温体の位置と切断位置とを近くした場合、高温体の温度ムラによってフィルムに温度ムラができる可能性がある。また、高温体の温度ムラの影響を少なくするためにフィルムを十分に加温し、高温体の位置と切断位置との間で放冷することにより切断位置での温度を調整しようとする場合、高温体の位置と切断位置との距離を長くすることが必要となるばかりでなく、高温体の位置と切断位置との間での放冷ムラにより温度ムラが生じる可能性がある。これに対して、本発明の切断方法によれば、前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)が比較的小さい場合や前記樹脂フィルムの搬送速度(V)が大きい場合であっても、切粉や糸引きを軽減することができる。
[樹脂フィルム加熱工程]
本発明における樹脂フィルム加熱工程は、下記式(1)の関係を満たす温度(Th)の高温体により前記樹脂フィルムを加熱する工程である。
(Tg-80)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+150)[℃] (1)
本発明において、高温体の温度が(Tg-80)℃よりも低温であると樹脂フィルムは十分に軟化せず、切粉の発生を抑制することができない場合がある。また、高温体の温度が(Tg+150)℃超であると樹脂フィルムの変形や、搬送時の破断が発生しやすくなる。これらの観点から前記式(1)は、好ましくは(Tg+20)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+140)[℃]であり、より好ましくは(Tg+50)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+130)[℃]である。
より具体的に高温体の温度は、好ましくは40[℃]≦Th[℃]であり、より好ましくは100[℃]≦Th[℃]であり、更に好ましくは140[℃]≦Th[℃]であり、より更に好ましくは170[℃]≦Th[℃]であり、そして、好ましくはTh[℃]≦260[℃]であり、より好ましくはTh[℃]≦250[℃]であり、更に好ましくはTh[℃]≦240[℃]である。
前記高温体としては、金属ロール、ゴムロール、及び気体(温風)から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これらの中でも、ゴムロール及び金属ロールが好ましく、フィルムの表面状態をより良いものにする観点から金属ロールがより好ましい。金属ロールやゴムロールによって加熱する場合、金属ロールやゴムロールの内部に温水やオイル、蒸気等の熱媒を循環させる方式や、誘電加熱方式、電気ヒーター加熱方式等を採用することができる。金属ロールやゴムロールによって加熱する場合、樹脂フィルム製膜時のキャスティングロールや、エンボス加工、ナーリング加工等に用いる金属ロールやゴムロールを使用することができる。なお、前記高温体と共に、赤外線や白熱灯による加熱を併用してもよい。
[樹脂フィルム冷却工程]
本発明における樹脂フィルム冷却工程は、前記樹脂フィルム加熱工程後、前記樹脂フィルムの切断前に、前記高温体よりも低い温度であるロール状の冷却体と前記樹脂フィルムとを接触させる工程である。
冷却工程においては、前記高温体よりも低い温度であるロール状の冷却体と前記樹脂フィルムとを、前記樹脂フィルムの切断前に接触させるため、樹脂フィルムを切断に適した温度で切断することができ、糸引き等の問題を抑制することができる。
冷却体としては、金属ロール、ゴムロール、及びカーボンロールから選ばれる1種以上を用いることが好ましく、これらの中でも、冷却効率を向上させる観点から、金属ロール、及びゴムロールが好ましい。これらの冷却体としては、例えば、樹脂フィルム搬送ロール、しわ取りロール、及びニップロール等として利用されているものを用いることができる。
冷却体の温度は前記高温体よりも低い温度であることが必要であり、具体的には10~50℃であることが好ましく、15~40℃であることがより好ましく、17~35℃であることが更に好ましく、20~30℃であることが更に好ましい。冷却体の温度が前記範囲内であれば高温体によって加熱された樹脂フィルムを適度に冷却することができ、切粉や糸引きの発生を抑制することができる。なお、冷却体の温度が極端に低いと樹脂フィルムの温度が低くなりすぎ、切粉が発生する可能性がある。
なお、樹脂フィルムを前記冷却体で冷却する際に、更に樹脂フィルムを気体と接触させてもよく、その場合は、ファン式送付機やファン式除電機等を使用できる。
[切断工程]
本発明における切断工程は、前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)[m]、及び前記樹脂フィルムの搬送速度(V)[m/分]が下記式(2)の関係を満たす条件で樹脂フィルムを切断する工程である。
0.05≦L/V≦2 (2)
前記式(2)におけるL/Vは、好ましくは0.05≦L/V≦1.0であり、より好ましくは0.06≦L/V≦0.3、更に好ましくは0.06≦L/V≦0.1である。L/Vが0.05未満であると樹脂フィルムが加熱装置の揺らぎの影響を受けやすくなる。一方、L/Vが2を超えると樹脂フィルムを加熱した効果が小さくなり、切粉の発生量が増加する。
前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)[m]は、好ましくは0.5~50mであり、より好ましくは1~30mであり、更に好ましくは2~15mであり、より更に好ましくは4~8mである。樹脂フィルムが高温体と接触する位置と、樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)が50m以下であるとフィルムの製造効率が向上し、また、製造装置のコンパクト化を図ることができる。一方、前記距離(L)が0.5m以上であると、加熱時間及び冷却時間を十分確保できるため樹脂フィルムの温度変動を抑えることができ、切粉や糸引きの発生を抑制できる。
なお、樹脂フィルムが高温体と接触する位置とは、高温体が金属ロール等の固体である場合は、樹脂フィルムと金属ロール等とが接する位置を指し、距離(L)は樹脂フィルムが高温体と接触する位置のうち、最も樹脂フィルムの切断位置に近い点と、前記切断位置との間の距離とする。一方、高温体が温風等の気体である場合は、温風等の気体を接触させた樹脂フィルムの温度を測定し、最も高温になっている部分のうち最下流側(フィルムの流れ方向に沿って、最も下流側)を、樹脂フィルムが高温体と接触する位置とする。
樹脂フィルムの搬送速度(V)は、好ましくは10~100m/分であり、より好ましくは22~90m/分であり、更に好ましくは30~80m/分、より更に好ましくは50~80m/分である。樹脂フィルムの搬送速度(V)が100m/分以下であると加熱時間及び冷却時間を確保できるため切粉や糸引きの発生を抑制できる。一方、樹脂フィルムの搬送速度(V)が10m/分以上であると樹脂フィルムの製造効率が向上する。
本発明において切断に用いる刃に特に制限はないが、耐久性の観点から、好ましくは金属であり、より好ましくは高速度工具鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼、ステンレス鋼、及び超硬合金鋼であり、更に好ましくは超硬合金鋼である。また、これらの素材に窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン等で表面処理を施した物を採用することもできる。これらの素材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、切断の方式は、シャーカット、レザーカット、スコア―カット、ヒートカット、回転レザーカット、レーザーカット、ウォータージェットカット、超音波カットなど公知のものを用いることができるが、アクリル樹脂フィルム等の脆いフィルムを切断する場合には、大きな投資を有せず切断できる点でシャーカットが好ましい。
本発明において切断する樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であり、樹脂フィルムの加工しやすさの観点から、好ましくは100~180℃であり、より好ましくは105~170℃であり、更に好ましくは110~150℃である。
なお、本明細書において、ガラス転移温度はJIS K 7121:2012に準拠して求めることができ、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。なお、樹脂フィルムが複数のガラス転移温度を有する場合、最も高いガラス転移温度の値を採用する。
[樹脂フィルムを構成する樹脂組成物]
前記樹脂フィルムの原料、すなわち、樹脂フィルムを構成する樹脂組成物としては、樹脂フィルムのガラス転移温度が90℃以上になる原料であれば特に制限はないが、ガラス転移温度が90℃以上である樹脂(以下、樹脂(I)ともいう。)を含むものが好ましい。ガラス転移温度が90℃以上の樹脂(I)を用いることにより、樹脂フィルムは耐熱性を備えることができ、また糸引きの発生を抑制することができる。これらの観点、及び加工性の観点から、樹脂(I)のガラス転移温度は、好ましくは100~180℃であり、より好ましくは105~170℃であり、更に好ましくは110~150℃である。樹脂(I)のガラス転移温度が180℃より高いと加工が困難になり、切粉が発生しやすくなる。樹脂(I)としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を挙げることができ、熱可塑性樹脂がより好ましく用いられる。
前記熱可塑性樹脂に特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート;ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、スチレン-マレイミド樹脂、スチレン系熱可塑エラストマー等の芳香族ビニル系樹脂又はその水素添加物;非晶性ポリオレフィン、結晶相を微細化した透明なポリオレフィン、エチレン-メタクリル酸メチル樹脂等のオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノールやイソフタル酸等で部分変性されたポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のエステル系樹脂;アミド系樹脂;イミド系樹脂;エーテルサルホン系樹脂;トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂;ポリフェニレンオキサイド系樹脂等が挙げられるが、透明性及び成形性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本明細書において(メタ)アクリル系樹脂とはメタクリル系樹脂及びアクリル系樹脂を指す。
<(メタ)アクリル系樹脂(A)>
本発明において用いられる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有する樹脂であれば特に制限はないが、耐熱性を向上させる観点から、例えば、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を主体とするものが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を主体とする場合、その含有量は、耐熱性を向上させる観点から、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることがより更に好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、全ての構造単位がメタクリル酸メチル単位であってもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル以外の他の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、メタクリル酸メチルと共重合可能であれば特に制限なく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n-へキシル、アクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-エトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸イソボルニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸iso-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸iso-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-へキシル、メタクリル酸2-エチルへキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-エトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-オクテン等のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、ミルセン等の共役ジエン;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、及びアクリル酸sec-ブチルがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併せて使用してもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位と、無水マレイン酸等のように分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位とを含有する重合体であってもよい。分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位を含有することによって(メタ)アクリル系樹脂(A)及び得られるフィルムの耐熱性が向上する。(メタ)アクリル系樹脂(A)が、分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位を含有する場合、分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位の(メタ)アクリル系樹脂(A)中の総含有量は、好ましくは1~40質量%であり、より好ましくは1~20質量%であり、更に好ましくは1~5質量%である。
分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位としては、>CH-O-C(=O)-基を環構造に含む化合物に由来する構造単位、-C(=O)-O-C(=O)-基を環構造に含む化合物に由来する構造単位、-C(=O)-NH-C(=O)-基を環構造に含む化合物に由来する構造単位、及び>CH-O-CH<基を環構造に含む化合物に由来する構造単位が好ましい。分子中に環構造を有する化合物に由来する構造単位は、無水マレイン酸、N-置換マレイミド等のような重合性不飽和炭素-炭素二重結合を有する環状単量体をメタクリル酸メチル等と共重合させることによって、又は重合によって得られた(メタ)アクリル系樹脂(A)の分子鎖の一部を分子内縮合環化させることによって、(メタ)アクリル系樹脂(A)に含有させることができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸メチル以外の他の単量体に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることがより更に好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性と成形性のバランス等の観点から、90~140℃であることが好ましく、100~135℃であることがより好ましく、105~130℃であることが更に好ましく、105~125℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度はメタクリル酸メチルと共重合する単量体の種類や量を変更することや、重合温度等により立体規則性を変更すること等によって調整することができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は60,000~150,000であることが好ましい。重量平均分子量が前記下限値以上であることによって機械物性が高くなり、前記上限値以下であることによって溶融粘度が低くなり加工性が向上する。重量平均分子量は、前記観点から、85,000~120,000であることがより好ましく、90,000~100,000であることが更に好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、重合開始剤及び連鎖移動剤の量によって調整することができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は実施例に記載の方法で測定することができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の製造方法に特に制限はなく、例えば、メタクリル酸メチルを主体とする単量体を重合することによって得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A)としては、市販品を用いてもよく、例えば「パラペットH1000B」〔MFR:22g/10分(230℃、37.3N)〕、「パラペットGF」〔MFR:15g/10分(230℃、37.3N)〕、「パラペットEH」〔MFR:1.3g/10分(230℃、37.3N)〕、「パラペットHRL」〔MFR:2.0g/10分(230℃、37.3N)〕、「パラペットHRS」〔MFR:2.4g/10分(230℃、37.3N)〕及び「パラペットG」〔MFR:8.0g/10分(230℃、37.3N)〕[いずれも商品名、株式会社クラレ製]等が挙げられる。
本発明の切断方法が適用される樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、樹脂(I)の他にゴム粒子を含むことができる。特に樹脂(I)として(メタ)アクリル系樹脂(A)を用いる場合、分散性等の観点から、ゴム粒子はアクリル系ゴム粒子(B)であることが好ましい。
<アクリル系ゴム粒子(B)>
アクリル系ゴム粒子(B)は、分散性の観点及び得られるフィルムの透明性と力学物性の観点から、少なくとも弾性体層と当該弾性体層を覆う外層とを有する多層構造であることが好ましい。更に、フィルムの硬度を高く保ちつつ、耐衝撃性を向上させる観点から、内層と、当該内層を覆う弾性体層と、当該弾性体層を覆う外層とを有する多層構造であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A)及びアクリル系ゴム粒子(B)の製造方法には制限はなく、例えば、国際公開第2014/167868号公報、国際公開第2017/204243号公報等に記載の方法により製造することができる。
<樹脂組成物>
本発明の切断方法が適用される樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)とアクリル系ゴム粒子(B)を含むもの((メタ)アクリル系樹脂組成物)が好ましい。アクリル系ゴム粒子(B)に対する(メタ)アクリル系樹脂(A)の割合(質量比)〔(A)/(B)〕は、成形性、フィルムの力学物性、及び耐熱性の観点から、5/95~95/5であることが好ましく、30/70~90/10であることがより好ましく、50/50~85/15であることが更に好ましく、60/40~84/16であることがより更に好ましく、77/23~83/17であることが特に好ましい。
また、成形性や得られた樹脂フィルムの力学物性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂組成物中の(メタ)アクリル系樹脂(A)及びアクリル系ゴム粒子(B)の含有量は、それぞれ以下の範囲であることが好適である。すなわち、(メタ)アクリル系樹脂(A)の含有量は5~95質量%であることが好ましく、30~90質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることが更に好ましく、アクリル系ゴム粒子(B)の含有量は95~5質量%であることが好ましく、70~10質量%であることがより好ましく、40~10質量%であることが更に好ましい。
本発明の切断方法が適用される樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。添加剤の種類は特に限定されず、例えば、紫外線吸収剤、高分子加工助剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、艶消し剤、充填剤、耐衝撃助剤、及び可塑剤等が挙げられる。添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加剤は有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよいが、樹脂組成物中での分散性の観点から、有機化合物が好ましい。
[樹脂組成物の調整方法、及び樹脂フィルムの製造方法]
前記樹脂組成物の調製方法に特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(A)等の樹脂(I)、アクリル系ゴム粒子(B)等のゴム粒子、必要に応じて添加される任意成分を溶融混練する方法が挙げられる。
混練を行うための装置としては、例えばニーダールーダー、二軸押出機、一軸押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等を挙げることができる。これらのうち二軸押出機が混練性の観点から好ましく、ベント付二軸押出機が着色抑制の観点からより好ましい。ベント付二軸押出機では減圧にして又は窒素を流通させて運転することが好ましい。溶融混練する際のせん断速度は10~1000/secであることが好ましい。混練時の温度は好ましくは110~300℃、より好ましくは180~300℃、更に好ましくは230~270℃である。押出機で溶融混練された樹脂組成物はストランド状に押し出され、ペレタイザ等でカットしてペレットにすることができる。
本発明の切断方法を適用される樹脂フィルムの製造方法には特に制限はなく、前記樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
成形方法は特に限定されないが、例えば、押出成形(Tダイ法等)、インフレーション成形、カレンダー成形、キャスト成形等の公知の成形方法を採用することができ、中でも押出成形法が好ましい。押出成形法、特にTダイ法によれば、靭性と表面硬度及び剛性とのバランスに優れた樹脂フィルムを得ることができる。
押出成形法、特にTダイ法に用いられる押出機は、1軸スクリュー又は2軸スクリューを有することが好ましい。また、樹脂フィルムの着色を抑制する観点から、ベントを使用して減圧下で溶融押出しすることが好ましい。更に、均一な厚さの樹脂フィルムを得る観点から、押出機にギアポンプを接続し、更にフィッシュアイ欠点を低減させるためにポリマーフィルターを通して溶融押出することが好ましい。更に、酸化劣化を抑制する観点から、窒素気流下での溶融押出を行うことが好ましい。押出機から吐出される材料の温度は好ましくは230~290℃であり、より好ましくは240~280℃である。
樹脂フィルムの表面平滑性及び厚さ均一性の観点から、押し出された樹脂フィルム状溶融樹脂を、鏡面ロール又は鏡面ベルトの間に引き取り挟圧することが好ましい。鏡面ロール又は鏡面ベルトは、いずれも金属製であることが好ましい。
鏡面ロール又は鏡面ベルト間の線圧は、表面平滑性を向上させる観点から、好ましくは10N/mm以上であり、より好ましく30N/mm以上である。鏡面ロール又は鏡面ベルトの表面温度は、表面平滑性、ヘーズ、外観等を向上させる観点から、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは70℃以上である。また、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは100℃以下である。
本発明の切断方法が適用される樹脂フィルムは、フィルム状に成形した後、延伸処理を施したものでもよい。延伸処理によって樹脂フィルムの機械的強度が向上し、ひび割れし難くなる。延伸方法は特に限定されず、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、チュブラー延伸法、圧延法等が挙げられる。
本発明の切断方法が適応される樹脂フィルムの厚さは、特に制限はないが、好ましくは10~500μmであり、より好ましくは20~300μmであり、更に好ましくは30~250μmであり、より更に好ましくは40~100μmである。
本発明の切断方法は、以下の各種用途に使用する樹脂フィルムに適用することができる。例えば、自動車内外装、パソコン内外装、携帯電話内外装、太陽電池内外装、太陽電池バックシート、道路標識、浴室設備、床材、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓、カーポート、照明カバー、建材用サイジング等の建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)、家電製品のハウジング、玩具、サングラス、文房具等に使用することができる。また、転写箔シートを使用した成形品の代替用途としても使用できる。
また、光学用フィルムにも好適である。例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の端末の液晶画面の前面板;液晶用導光板、拡散板、バックシート、反射シート、偏光フィルム透明樹脂シート、位相差フィルム、光拡散フィルム、プリズムシート、光学的等方フィルム、偏光子保護フィルム、透明導電フィルム等の液晶ディスプレイ用フィルム等として液晶表示装置周辺;表面保護フィルム等の情報機器分野;有機EL用フィルムとして有機EL装置周辺;等の公知の用途に適用できる。
本発明によって得られた樹脂フィルムは、少なくとも一方の面に、金属及び/又は金属酸化物よりなる層、熱又は活性エネルギー線によって硬化する樹脂からなる層、他の熱可塑性樹脂層等の他の層が積層された積層フィルム等として用いられることもできる。他の層を積層する方法は特に限定されず、直接又は接着層を介して接合する、又は共押出して製造することができる。他の層は、1層又は複数層であることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において採用された測定方法及び評価方法を以下に示す。
<フィルムの厚さ>
膜厚計(株式会社ミツトヨ製、高精度デジマチックマイクロメータ MDH-25M)を用いて、フィルム幅方向に均等に5点測定し、その平均値をフィルムの厚さとした。
<重量平均分子量 Mw>
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「HLC-8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultipore HZM-M」と「SuperHZ4000」を直結
・検出器 :東ソー株式会社製「RI-8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.35mL/分
・サンプル濃度:8mg/10mL
・カラム温度 :40℃
<ガラス転移温度>
JIS K 7121:2012に準拠して示差走査熱量計を用いて230℃まで昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃まで10℃/分で昇温させたときの、2回目の昇温時の示差走査熱量測定で得られる中間点ガラス転移温度を採用した。樹脂フィルム、及び(メタ)アクリル系樹脂(A)がそれぞれ複数のガラス転移温度を有する場合、最も高いガラス転移温度の値を採用した。
<切粉>
ロール状に巻き取った樹脂フィルムの巻き外5mを捨て、巻き取り方向に沿って更に内側1.5mを切り出した。この切り出した樹脂フィルムの厚さ方向から電灯(LED LENDSER M-17R)を照射して、樹脂フィルムを観察し、樹脂フィルムの流れ方向において、切粉が纏まって観察される位置の間隔を以下の通り評価した。下記評価基準でA又はBであれば実用に供することができる。
〔評価基準〕
A:纏まった切粉がないか、1箇所のみである。
B:纏まった切粉が2箇所以上あり、纏まった切粉同士の間隔のうち最小のものが10cm超である。
C:纏まった切粉が2箇所以上あり、纏まった切粉同士の間隔のうちの最小のものが10cm以下である。
<糸引き>
ロール状に巻き取った樹脂フィルムの巻き外5mを捨て、巻き取り方向に沿って更に内側1.5mを切り出した。次いで、樹脂フィルムの厚さ方向から電灯(LED LENDSER M-17R)を照射して、樹脂フィルムの幅方向両端部付近を樹脂フィルムの流れ方向に沿って観察した。樹脂フィルムの流れ方向において、長さ5mm以上ある糸状の切断不良部が観察される位置の間隔を以下の通り評価した。下記評価基準でA又はBであれば実用に供することができる。
〔評価基準〕
A:糸状物がないか、1個のみである。
B:糸状物が2個以上あり、その間隔のうち最小のものが10cm超である。
C:糸状物が2個以上あり、その間隔のうちの最小のものが10cm以下である。
[製造例]
<製造例1:(メタ)アクリル系樹脂(A)の製造>
メタクリル酸メチル99.3質量部及びアクリル酸メチル0.7質量部に重合開始剤〔2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃〕0.008質量部、及び連鎖移動剤(n-オクチルメルカプタン)0.26質量部を加え、溶解させて3000kgの原料液を得た。
イオン交換水100質量部、硫酸ナトリウム0.03質量部、及び懸濁分散剤0.45質量部を混ぜ合わせて6000kgの混合液を得た。耐圧重合槽に、当該混合液と前記原料液(合計9000kg)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、温度を70℃にして重合反応を開始させた。重合反応開始後、3時間経過時に、温度を90℃に上げ、撹拌を引き続き1時間行うことによりビーズ状共重合体が分散した液を得た。なお、重合槽壁面あるいは撹拌翼にポリマーが若干付着したが、泡立ちもなく、円滑に重合反応が進んだ。
得られた共重合体分散液を適量のイオン交換水で洗浄し、バケット式遠心分離機により、ビーズ状共重合体を取り出し、80℃の熱風乾燥機で12時間乾燥し、ビーズ状の(メタ)アクリル系樹脂(A)を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル単位の含有量が99.3質量%、アクリル酸メチル単位の含有量が0.7質量%であり、重量平均分子量(Mw)が92,000、ガラス転移温度は120℃であった。
<製造例2:アクリル系ゴム粒子(B)の製造>
(1)内層の合成
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部及び炭酸ナトリウム0.7質量部(合計2100kg)を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にした。そこに、過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間撹拌した。これに、メタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%及びメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に30分間重合反応を行った。
(2)弾性体層の合成
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間撹拌した。その後、アクリル酸n-ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%及びメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に30分間重合反応を行った。
(3)外層の合成
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間撹拌した。その後、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%及びn-オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に60分間重合反応を行った。
以上の操作によって、アクリル系ゴム粒子(B)を含むラテックスを得た後、アクリル系ゴム粒子(B)を含むラテックスを凍結して凝固させた。次いで水洗、及び乾燥してアクリル系ゴム粒子(B)を得た。当該粒子の平均粒子径は0.23μm、グラフト率は23%であった。
<製造例3>
製造例1で得た(メタ)アクリル系樹脂(A)80質量部と、製造例2で得たアクリル系ゴム粒子(B)20質量部をヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径41mmのベント付き二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
前記ペレットをベント付き単軸押出機のホッパーに供給し、260℃で溶融混練してギアポンプ、フィルター装置、スタティックミキサーの順に通過させ、リップ開度1mmのTダイから樹脂フィルム状に吐出した。次いで、鏡面を有し、且つ表面温度が90℃である金属弾性ロール及び金属剛体ロールでバンク無く挟持及び冷却することにより、厚さ80μm、幅1400mmであるアクリル樹脂フィルムを製造した。これをロール状に巻き取って樹脂フィルムロールとした。
得られたアクリル樹脂フィルムのガラス転移温度は120℃であった。
[実施例1]
製造例3で得たアクリル樹脂フィルムを樹脂フィルムロールから巻き出し、高温体としての熱風(温度:50℃)、及び冷却体としての金属ロール(表面温度:23℃(室温))を経由した後、フィルムの流れ方向の両端10mmをそれぞれ切断した。実施例1においては、前記高温体の位置と前記樹脂フィルムの切断位置との距離(L)は5m、樹脂フィルム搬送速度(V)は70m/分であった。
なお、樹脂フィルムの切断は、搬送中のアクリル樹脂フィルムを挟み込むように設けた刃で行った。具体的には、アクリル樹脂フィルムの搬送方向と平行に刃を設置し、アクリル樹脂フィルムの上面側と下面側に刃を配置し、シャーカットすることにより行った。結果を表1に示す。
アクリル樹脂フィルムの切断に使用したスリット上刃及び下刃を以下に記載する。
上刃:丸刃、ゲーベル式、直径98mm、片刃、超硬合金鋼製
下刃:丸刃、ゲーベル式、直径150mm、片刃、超硬合金鋼製
[実施例2~10、比較例1~6]
実施例1において、高温体の種類、高温体の温度、高温体位置と切断位置との距離(L)、樹脂フィルム搬送速度(V)を表1に示す通り変更したこと以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂フィルムを切断した。評価結果を表1に示す。
なお、実施例及び比較例で使用した高温体及び冷却体は以下のとおりである。
<高温体>
・熱風 :ドライヤー
・ゴムロール:株式会社加貫ローラ製作所製・ECタイタン
・金属ロール:トクデン株式会社・誘電発熱ロール
<冷却体>
・金属ロール:東芝機械株式会社・メッキロール
Figure 0007257238000001
*1:ゴムロールで冷却しながら送風により冷却した。
高温体の温度、高温体と切断位置との距離、樹脂フィルム搬送速度等を調整した本発明の切断方法により切断した実施例1~10では、切粉と糸引きの発生が低減していた。
一方、冷却体を用いなかった比較例1及び2では糸状物が2個以上発生し、その間隔のうち最小のものが10cm以下であった。
高温体の温度が(Tg-80)℃未満での比較例3では切粉が多く見られた。また、高温体の温度が(Tg+150)℃を超えていた比較例4では糸引きが多く見られ、その間隔のうち最小のものが10cm以下であった。
(L/V)が2超であった比較例5では、切粉が多く見られ、(L/V)が0.05未満であった比較例6では、糸引きが多く見られ、その間隔のうち最小のものが10cm以下であった。

Claims (4)

  1. ガラス転移温度(Tg)が90℃以上である樹脂フィルムの切断方法であって、
    樹脂フィルムを構成する樹脂組成物が、ガラス転移温度が90℃以上である熱可塑性樹脂樹脂(I)であり、
    下記式(1)の関係を満たす温度(Th)の高温体により前記樹脂フィルムを加熱する樹脂フィルム加熱工程と、
    前記樹脂フィルム加熱工程後、前記樹脂フィルムの切断前に、前記高温体よりも低い温度であるロール状の冷却体と前記樹脂フィルムとを接触させる樹脂フィルム冷却工程と、
    前記樹脂フィルムが前記高温体と接触する位置と、前記樹脂フィルムの切断位置との、フィルムの流れ方向に沿った距離(L)[m]、及び前記樹脂フィルムの搬送速度(V)[m/分]が下記式(2)の関係を満たす条件で樹脂フィルムを切断する切断工程とを有する、樹脂フィルムの切断方法。
    (Tg-80)[℃]≦Th[℃]≦(Tg+150)[℃] (1)
    0.05≦L/V≦2 (2)
  2. 前記高温体が、金属ロール、ゴムロール及び気体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の樹脂フィルムの切断方法。
  3. 前記冷却体が、金属ロール、ゴムロール、及びカーボンロールから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂(A)である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂フィルムの切断方法。
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