JP2020179600A - (メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、(メタ)アクリル系樹脂を押出成形により製膜する場合、フィルムの幅方向に厚みムラが発生するという問題があった。フィルムに厚みムラが発生すると、力学物性ムラや光学特性ムラが生じるだけでなく、フィルム表面にコーティング層を付与した場合に外観不良の原因となる場合がある。
[1]270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度が200〜2,000Pa・sである(メタ)アクリル系樹脂組成物をスタティックミキサーにより混合してTダイから押出す工程を含む(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法であって、
前記スタティックミキサーは、管の内部に配置され、エレメント数が5〜30であり、且つ前記管を加温することを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
[2]前記Tダイ吐出口から5cm下の位置にて測定した前記(メタ)アクリル系樹脂組成物のメルトカーテンの温度について、前記メルトカーテン中央部の温度(T1)に対する、前記メルトカーテンの両端部から100mm中央側の温度のうちT1との差の絶対値が大きい方の温度(T2)の比率[〔(T2)/(T1)〕×100]が95〜105%である、[1]に記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
[3]前記スタティックミキサーが内部に配置された管の出口から前記Tダイの入口までの距離が2.0m以下である、[1]又は[2]に記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
[4]前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が多層構造を有するアクリル系重合体(B)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法は、270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度が200〜2,000Pa・sである(メタ)アクリル系樹脂組成物をスタティックミキサーにより混合してTダイから押出す工程を含む(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法であって、前記スタティックミキサーは、管の内部に配置され、エレメント数が5〜30であり、且つ前記管を加温することを特徴とする。
図1の装置において、まず原料樹脂である(メタ)アクリル系樹脂組成物を押出機1にて溶融する。次いで、溶融した(メタ)アクリル系樹脂組成物はギアポンプ2を経て、ポリマーフィルター3にてろ過される。その後、熱可塑性樹脂組成物は、管及び該管の内部に配置されたスタティックミキサーとで構成されるスタティックミキサー部4を経て、Tダイ5からフィルム状に吐出される。吐出された溶融樹脂は、ロール6とロール7とに挟圧されて所望の膜厚に成形される。成形された(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取られる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物を溶融し、押出すための押出機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機、及び多軸押出機等を用いることができる。(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合する際に発生する揮発分を除去するため、押出機はベント機構を備えることが好ましい。
押出機のスクリューとしてはバリアフライトやミキシングセクション付きスクリュー等を用いることができる。スクリューのLS/DS(LSは押出機のシリンダー長さ、DSはシリンダー内径を表す)としては、(メタ)アクリル系樹脂組成物の充分な可塑化や混合状態を得る観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、更に好ましくは25以上であり、そして、好ましくは100以下であり、より好ましくは50以下であり、更に好ましくは40以下である。LS/DSが前記下限値以上であることにより(メタ)アクリル系樹脂組成物の十分な可塑化や混合状態が得られる。また、LS/DSが前記上限値以下であることにより、剪断発熱による(メタ)アクリル系樹脂組成物の分解を抑制しつつ混合が可能になる。
本発明においては、後述するポリマーフィルターやスタティックミキサーでの圧力損失を補うため、押出機の後にギアポンプを設置してもよい。ギアポンプとしては特に制限はないが、インバータ制御のギアポンプが好ましい。インバータ制御のギアポンプを用いることにより、押出機から吐出される溶融樹脂流量の脈動を抑制することができる。
ギアポンプ入口の樹脂圧は10MPa以下であることが好ましく、8MPa以下であることがより好ましい。ギアポンプ入口の樹脂圧が前記上限値以下であるとスタティックミキサーのエレメント数が増加した場合でも押出不良が発生しにくくなる。樹脂圧の下限値は、1MPaであることが好ましく、3MPaであることがより好ましい。ギアポンプ入口の樹脂圧が前記下限値以上であるとギアポンプの樹脂吐出量の変動が小さくなる。
本発明においては、ギアポンプとスタティックミキサーとの間にポリマーフィルターを用いることが好ましい。ポリマーフィルターとしては(メタ)アクリル系樹脂組成物をろ過するフィルターエレメント部と、溶融状態の(メタ)アクリル系樹脂組成物(溶融樹脂組成物)が導入及び排出されるハウジング部とからなることが好ましい。
フィルターエレメントとしては、ディスク型や筒型のものが挙げられるが、1エレメント当たりのろ過面積を大きくとれる筒型がコスト面で優れることから、筒型のものを用いることが好ましい。
筒型のフィルターエレメントは通常、外周面から流体をろ過するろ過部、ろ過された流体が流れる中空部、端部に存在し、前記中空部から流体を排出する排出部、及びフィルターエレメントの先端部を備える。筒型のフィルターエレメントとしては、例えばチューブタイプ、キャンドルタイプ等が挙げられ、中でも、キャンドルタイプのフィルターエレメントが好ましい。
キャンドルタイプのフィルターエレメントの形状に特に制限はなく、波型又はプリーツ型等が使用できる。前記プリーツ型におけるプリーツは、フィルターエレメントの半径方向に延びたものでもよいし、半径方向に対して斜めに延び、湾曲した断面形状又はアーチ型の断面形状を有する、いわゆるスパイラルプリーツであってもよい。
本発明においては、圧力損失を小さくしつつ、内部に生じる層流により高粘度の流体(ペースト)を効率的に撹拌混合するためにスタティックミキサーを用いるが、本発明においてはスタティックミキサーのエレメント数(単位混合要素の数)を5〜30とする。エレメント数が前記下限値未満であると、(メタ)アクリル系樹脂組成物の温度の均一性や、各配合成分の均一性が低下する。また、エレメント数が前記上限値を超えるとエレメントの表面積が増え、劣化した樹脂がエレメント表面に付着することでフィルムの品質低下につながる。これらの観点から、前記エレメント数は、好ましくは6以上であり、より好ましくは8以上であり、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは28以下であり、より好ましくは25以下であり、更に好ましくは20以下である。
エレメントの配置は、管内に四角形状の板を右方向に180゜ねじり曲げて構成した右エレメントと、管内に四角形状の板を左方向に180゜ねじり曲げて構成した左エレメントとを交互に配置することが好ましい。各エレメントの配置を上記のようにすることにより剪断を抑制しつつ効果的に混合できる。
更に、本発明のスタティックミキサーのエレメント1つあたりの長さLeと径Deとの比Le/Deは、(メタ)アクリル系樹脂組成物の滞留による熱劣化を抑制する観点から、好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.3以上であり、そして、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.7以下である。
管を加温する方法は、管がムラなく加温される方法であれば特に制限はないが、管にヒーターを巻き付ける方法、加温機能を有する管を用いる方法等が挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリル系樹脂組成物の温度分布を均一化しやすく、製造装置の構築容易性の観点から、管にヒーターを巻き付ける方法が好ましい。
また、前記管の内部の温度(スタティックミキサー部における熱可塑性樹脂組成物の温度)と前記管の加温温度との差は、3℃以下であることが好ましく、2℃以下であることがより好ましく、1℃以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、及びコートハンガーダイ等のTダイを用いることができる。なお、膜厚を安定化させるため、製膜したフィルムの厚みを測定して、リップ開度のボルトを自動で調整する機構を備える自動調整ダイを用いることが好ましい。
ダイリップ幅Wは、ダイリップクリアランスLと同様の観点から、好ましくは300〜4,000mmであり、より好ましくは1,000〜3,500mmであり、更に好ましくは1,500〜3,200mmである。
なお、V1は以下のとおり定義される。
V1(m/分)= Q ÷ 60 ÷ D ÷ (L× W)× 1000 式(2)
式(2)中、Q(kg/時間)はダイからの吐出量、Dは樹脂組成物の密度(g/cm3)、L(mm)はダイリップクリアランス、W(mm)はダイリップ幅を示す。
フィルムの引き取り速度(V2)は、ダイから吐出された溶融物を最初に引き取る金属ロールの直径及び回転数から算出した速度とすることができる。
本発明においては、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性及び膜厚精度を向上させる観点から、押出された溶融物を、好ましくは金属製の鏡面ロール又は鏡面ベルトを用いて引き取り、挟圧することが好ましい。金属製の鏡面ロールとしては、金属弾性ロールや金属剛体ロール等が挙げられるが、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性を向上させる観点から、金属弾性ロールと金属剛体ロールを組み合わせて用いることが好ましい。
鏡面ロール又は鏡面ベルトを用いる場合、その線圧は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性を向上させる観点から、好ましくは5N/mm以上であり、より好ましく10N/mm以上であり、更に好ましくは15N/mm以上である。また、線圧は通常45N/mm以下である。
また、鏡面ロール又は鏡面ベルトを用いる場合、その表面温度は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性、ヘーズ及び外観等を向上させる観点から、好ましくは50〜130℃であり、より好ましくは60〜100℃である。
本発明に用いる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度が200〜2,000Pa・sである。
270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度が前記下限値未満である場合、粘度が低すぎることによって製膜性が低下する可能性がある。一方、前記上限値を超えることにより、十分に混合することができず温度分布が均一にならず、結果として膜厚ムラが発生しやすくなる。これらの観点から、270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度は、好ましくは300Pa・s以上であり、より好ましくは400Pa・s以上であり、更に好ましくは500Pa・s以上であり、そして、好ましくは1,500Pa・s以下であり、より好ましくは1,300Pa・s以下であり、更に好ましくは1,000Pa・s以下である。
270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物のガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠して実施例に記載の方法で測定することができる。
また、ガラス転移温度が複数存在する場合、そのうちの最も高い値を(メタ)アクリル系樹脂組成物のガラス転移温度とする。
本発明に用いる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、少なくとも(メタ)アクリル系樹脂(A)を含む。(メタ)アクリル系樹脂(A)としては特に制限はないが、メチルメタクリレートに由来する構造単位と、必要に応じてアクリル酸エステルに由来する構造単位とを含有することが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)に用いることができるアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、ノルボルネニルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、フェニルアクリレート等を挙げることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキルアクリレートが好ましい。
また、(メタ)アクリル系樹脂(A)中のアクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの膜厚精度を向上させる観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A)中に、好ましくは0〜15質量%であり、より好ましくは0〜10質量%であり、さらに好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは0〜1質量%である。
(メタ)アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明に用いる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、多層構造を有するアクリル系重合体(B)を含有してもよい。
多層構造を有するアクリル系重合体(B)は、多層構造を有するものであれば特に制限はなく、例えば、コアシェル多層構造を有するアクリル系重合体を挙げることができる。また、多層構造を構成する層の数に特に制限はなく、2層でも3層以上でもよい。
これらの中でも、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの耐衝撃性を向上させる観点から、コアシェル多層構造を有するアクリル系弾性重合体であることが好ましく、より具体的には、コア(内層)、インナーシェル(中間層)、及びアウターシェル(外層)の3層からなるコアシェル多層構造を有するアクリル系弾性重合体が好ましい。本発明において、3層からなるコアシェル多層構造を有するアクリル系重合体とは、コアとインナーシェル、インナーシェルとアウターシェルが各々異なる重合体で構成されたものを指す。
なお、前記の3層からなるコアシェル多層構造を有するアクリル系重合体は、これを含む(メタ)アクリル系樹脂組成物を混合した場合に、前記アウターシェルの全部又は一部が(メタ)アクリル系樹脂(A)と融着、合一してマトリックスを形成し、該マトリックスがコアとインナーシェルの2層からなるコアシェル粒子を含有するようになる。
重合体(a)は、メチルメタクリレートに由来する構造単位、アルキルアクリレートに由来する構造単位、グラフト化剤に由来する構造単位、及び必要に応じて架橋剤に由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。なお、本発明においてグラフト化剤とは、異なる重合性基を2個以上有する単量体を意味し、架橋剤とは、同種の重合性基を2個以上有する単量体(ただし、前記グラフト化剤を除く)を意味する。
これらの中でも前記の観点から、メチルアクリレートが特に好ましい。
重合体(a)に用いるグラフト化剤としては、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、モノ−又はジ−アリルマレエート、モノ−又はジ−アリルフマレート、クロチルアクリレート、及びクロチルメタクリレート等を挙げることができる。これらのグラフト化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、重合体(a)と重合体(b)との間の結合能を向上させ、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの耐応力白化性及び透明性を向上させる観点から、アリルメタクリレートが好ましい。
重合体(a)に用いる架橋剤としては、例えば、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物、ジアリル化合物、ジビニル化合物、ジエン化合物、トリビニル化合物等が挙げられる。より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブタジエン等を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体(b)は、アルキルアクリレートに由来する構造単位、グラフト化剤に由来する構造単位、及び必要に応じて芳香族ビニル化合物に由来する構造単位、架橋剤に由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。
重合体(c)は、メチルメタクリレートに由来する構造単位、及びアルキルアクリレートに由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。
重合体(c)に用いるアルキルアクリレートとしては、前記重合体(a)で例示したアルキルアクリレートを挙げることができ、多層構造を有するアクリル系重合体(B)の耐熱分解性が向上すると共に(メタ)アクリル系樹脂フィルムの耐温水白化性や耐沸水白化性を向上させる観点から、メチルアクリレートが特に好ましい。
多層構造を有するアクリル系重合体(B)中の重合体(a)の量は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは5〜45質量%であり、更に好ましくは10〜40質量%である。重合体(a)の量が前記下限値以上であることによって(メタ)アクリル系樹脂フィルムの熱安定性及び生産性が向上する。一方、重合体(a)の量が前記上限値以下であることによって(メタ)アクリル系樹脂フィルムの耐衝撃性及び柔軟性が向上する。
本発明に用いられる多層構造を有するアクリル系重合体(B)の製造方法に特に制限はないが、例えば国際公開第2014/167868号、国際公開第2017/204243号に記載の方法で製造することができる。
本発明に用いる(メタ)アクリル系樹脂組成物は、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、高分子加工助剤、滑剤、染料、顔料等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂組成物が添加剤を含有する場合、その含有量は(メタ)アクリル系樹脂組成物中に20質量%以下であることが好ましい。
添加剤は、例えば、フィルム成形機内で溶融している(メタ)アクリル系樹脂組成物に添加してもよいし、ペレット化された(メタ)アクリル系樹脂組成物にドライブレンドしてもよいし、多層構造を有するアクリル系重合体(B)及び/又は(メタ)アクリル系樹脂をペレット化する際に添加してもよい(マスターバッチ法)。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの膜厚の変動係数とは、製造したフィルムについて、幅方向に等間隔で200点測定を行いながら、ロール全幅、全長にわたって合計10000点の膜厚を測定し、その測定値から算出した値であり、具体的には実施例に記載の方法にしたがって測定した値である。
また、光学用フィルムに好適であり、液晶用導光板、拡散板、バックシート、反射シート、偏光フィルム透明樹脂シート、位相差フィルム、光拡散フィルム、プリズムシート、光学的等方フィルム、偏光子保護フィルム、透明導電フィルム等の液晶ディスプレイ用フィルム等として液晶表示装置周辺;表面保護フィルム等の情報機器分野;有機EL用フィルムとして有機EL装置周辺等の公知の光学的用途に適用できる。
Tダイより吐出した樹脂組成物のロールによる狭圧開始前の垂れ流しの状態で、メルトカーテンより1m離れた位置から赤外線サーモグラフィ(R300SR、日本アビオニクス、放射率設置1.0)にて温度測定を実施した。赤外線サーモグラフィの視野角の都合により垂れ流している樹脂の全幅を5回に分けて撮影した。解析ソフト(InfReC Analyzer、日本アビオニクス)により、撮影箇所の温度分布を解析した。Tダイの樹脂吐出口より5cm下の位置におけるメルトカーテンの温度について線状解析を実施し、メルトカーテン中央部の温度(T1)、メルトカーテンの両端部より100mm中央側の温度のうちT1との差の絶対値が大きい方の温度(T2)を測定し、T1とT2の比率[〔(T2)/(T1)〕×100]を求めた。
製膜し、搬送しているフィルムに対しβ線式膜厚計(サーモフィッシャー社製)にてβ線部をトラバースしながら測定した。幅方向に等間隔で200点測定を行いながら、ロール全幅、全長にわたって合計10,000点の膜厚を測定した。10,000点の膜厚から、平均膜厚、標準偏差を下記の計算式より算出した。
平均膜厚:μ=(Z1+Z2+…Zn)/n
標準偏差:σ=(1/nΣ(Zn−μ)2)0.5
変動係数(%):CV=σ/μ×100
Z1〜Zn:各膜厚データ、n:データ数
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultipore HZM−M」と「SuperHZ4000」を直結
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.35ml/分
・サンプル濃度:8mg/10ml
・カラム温度 :40℃
ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠して測定した。すなわち、試料を200℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後室温から200℃までを10℃/分で昇温させる条件にて、示差走査熱量測定法にてDSC曲線を測定し、2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とした。
多層構造を有するアクリル系重合体(B)の平均粒子径は、試料粒子を含むラテックスを水で200倍に希釈し、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、装置名「LA−950V2」)を用いて25℃で係る希釈液を分析し、粒子径を測定した。この際、多層構造を有するアクリル系重合体(B)及び水の絶対屈折率をそれぞれ、1.4900、1.3333とした。
溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機製作所社製 型式1D、キャピラリー 直径1mm、長さ40mm)を用いて、270℃、せん断速度61/秒の条件で測定した。
メチルメタクリレート99.3質量部及びメチルアクリレート0.7質量部に重合開始剤〔2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃〕0.008質量部、及び連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.26質量部を加え、溶解させて3000kgの原料液を得た。
イオン交換水100質量部、硫酸ナトリウム0.03質量部、及びポリメタクリル酸カリウム0.45質量部を混ぜ合わせて6000kgの混合液を得た。耐圧重合槽に、当該混合液と前記原料液(合計9000kg)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、温度を70℃にして重合反応を開始させた。重合反応開始後、3時間経過時に、温度を90℃に上げ、撹拌を引き続き1時間行うことによりビーズ状共重合体が分散した液を得た。なお、重合槽壁面あるいは撹拌翼にポリマーが若干付着したが、泡立ちもなく、円滑に重合反応が進んだ。
得られた共重合体分散液を適量のイオン交換水で洗浄し、バケット式遠心分離機により、ビーズ状共重合体を取り出し、80℃の熱風乾燥機で12時間乾燥し、ビーズ状の(メタ)アクリル系樹脂(A)を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル単位の含有量が99.3質量%、アクリル酸メチル単位の含有量が0.7質量%であり、重量平均分子量(Mw)が92,000、ガラス転移温度は120℃であった。
以下の手順にしたがって、コア(内層)、インナーシェル(中間層)、及びアウターシェル(外層)の3層からなるコアシェル多層構造を有するアクリル系重合体(B)を製造した。
(1)内層の合成
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部及び炭酸ナトリウム0.7質量部(合計2100kg)を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にし、過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間撹拌した。これに、メチルメタクリレート95.4質量%、メチルアクリレート4.4質量%及びアリルメタクリレート0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間撹拌した。その後、n−ブチルアクリレート80.5質量%、スチレン17.5質量%及びアリルメタクリレート2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間撹拌した。その後、メチルメタクリレート95.2質量%、メチルアクリレート4.4質量%及びn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるように更に60分間重合反応を行った。
図1の装置を用いて(メタ)アクリル系樹脂フィルムを作成した。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂(A)80質量部と多層構造を有するアクリル系重合体(B)20質量部および紫外線吸収剤としてアデカスタブLA−31(株式会社アデカ製)2質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、260℃に設定されたスクリュー径58mm、ベント付きの二軸押出機を用いて混合を行って(メタ)アクリル系樹脂組成物を得た。
この(メタ)アクリル系樹脂組成物を265℃に設定されたスクリュー径75mm(LS/DS=34)、ベント付きの単軸押出機を用いて溶融状態とし、スタティックミキサー部(スタティックミキサーが内部に配置された管)の出口からTダイの入口までの距離1mを経由した後、170kg/時間の吐出速度でリップ幅1850mm、リップクリアランス0.8mmのTダイよりフィルム状にして押出し、90℃に設定した金属弾性ロールと90℃に設定した金属剛体ロールにより、30N/mmの線圧で挟圧して、フィルムの引取り速度(ライン速度)20m/分で膜厚75μm、全長2200mの(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得た。
ポリマーフィルターはろ過精度10μmのキャンドルフィルターを4本並列に設置したものを用いた。
スタティックミキサーは、Le/De=1.5(Le=57mm、De=38mm)の捻り羽根型エレメントを7個設置した。
また、スタティックミキサーを内部に配置した管(ステンレス製、内径38mm)にヒーターを取り付け、スタティックミキサー設置部前後の設定温度が265℃、その後のダイまでの温度も265℃に設定して(メタ)アクリル系樹脂フィルムを製造した。製造したフィルムについて前記方法により、膜厚測定を行った。
実施例1において、スタティックミキサーのエレメント数、スタティックミキサーが内部に配置された管の加温の有無を表1に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様に(メタ)アクリル系樹脂フィルムを製膜した。評価結果を表1に示す。
2 ギアポンプ
3 ポリマーフィルター
4 スタティックミキサー部
5 Tダイ
6、7 ロール
Claims (4)
- 270℃、せん断速度61/秒における溶融粘度が200〜2,000Pa・sである(メタ)アクリル系樹脂組成物をスタティックミキサーにより混合してTダイから押出す工程を含む(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法であって、
前記スタティックミキサーは、管の内部に配置され、エレメント数が5〜30であり、且つ前記管を加温することを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。 - 前記Tダイ吐出口から5cm下の位置にて測定した前記(メタ)アクリル系樹脂組成物のメルトカーテンの温度について、前記メルトカーテン中央部の温度(T1)に対する、前記メルトカーテンの両端部から100mm中央側の温度のうちT1との差の絶対値が大きい方の温度(T2)の比率[〔(T2)/(T1)〕×100]が95〜105%である、請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
- 前記スタティックミキサーが内部に配置された管の出口から前記Tダイの入口までの距離が2.0m以下である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が多層構造を有するアクリル系重合体(B)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル系樹脂フィルムの製造方法。
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