JP2017169552A - 立体組織体の作製装置、及び立体組織体の作製方法 - Google Patents

立体組織体の作製装置、及び立体組織体の作製方法 Download PDF

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泰秀 中山
良輔 岩井
Ryosuke Iwai
良輔 岩井
根本 泰
Yasushi Nemoto
泰 根本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、容易にリング状又は管腔状等の立体組織体を得ることができる立体組織体の作製装置を提供することにある。【解決手段】本発明の立体組織体の作製装置は、少なくとも1個の貫通孔を有する培養面と、前記貫通孔を挿通する心棒とからなる立体組織体の作製装置であって、前記培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面を少なくとも1つ含み、1つの前記被覆培養面の内側に、少なくとも1個の前記貫通孔を有し、前記培養面が前記心棒の延在方向に可動であることを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、立体組織体の作製装置、及び立体組織体の作製方法に関する。
従来、立体構造を有する細胞構造体、人工組織体の作製方法として、球状やシート状等単純な細胞構造体においては、ハンギングドロップ法(非特許文献1参照)、低接着性U字底培養皿(特許文献1参照)等が知られている。
また、複雑な3次元形状の細胞構造体においてはとしては、3Dプリンターを利用した細胞構造体が知られている。
特開2009−050194号公報
Keller G. M. et al., Curr. Opin. Cell Biol., 7, 862−869 (1995)
しかしながら、ハンギングドロップ法や低接着性U字底培養皿等を用いた方法では、細胞構造体内部に存在する細胞への酸素、栄養供給が、濃度勾配拡散に依存するため、サイズに限界があり、一般的には直径0.1mm程度が最大とされ、形状も球体に限定されている。
また、3Dプリンターによる細胞構造体の作製方法では、トリプシン等の酵素を使用して細胞を個々に分散させた細胞浮遊液を使用して、細胞をノズルから吐出して細胞構造体を作製する。この方法では、吐出した細胞同士を結合させるには、吐出した個々の細胞の周辺へ外部から接着因子等を同時に吐出する必要がある。しかしながら、この接着因子は細胞が分泌したものでなく、得られる3次元形状の細胞構造体は、細胞同士の結合の強度や細胞の活性という点で、十分とはいえなかった。
また、近年、機能障害や機能欠損に陥った組織や臓器の再生を図る再生医療等の観点から、細胞を細胞培養器内で培養して、例えばリング状、管腔状等の、組織の構造を模倣した立体的構造を有する細胞構造体を形成させる技術の重要性が高まってきている。また、組織の構造を模倣した立体的構造を有する細胞構造体として、細胞を主成分とする細胞構造体以外にも、細胞外マトリックスを主成分とする細胞構造体を作製する方法も求められてきている。
しかしながら、リング状又は管腔状等の、組織の構造を模倣した立体組織体を容易に形成する方法は知られていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、容易にリング状又は管腔状等の立体組織体を得ることができる立体組織体の作製装置、及び容易にリング状又は管腔状等の立体組織体を得ることができる立体組織体の作製方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、少なくとも1個の貫通孔を有する培養面と、上記貫通孔を挿通する心棒とからなる立体組織体の作製装置であって、上記培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面を少なくとも1つ含み、1つの上記被覆培養面の内側に、少なくとも1個の上記貫通孔を有し、上記培養面が上記心棒の延在方向に可動であることを特徴とする、立体組織体の作製装置を提供する。
上記立体組織体の作製装置は、複数の上記培養面を有し、1本の上記心棒が、上記複数の上記培養面の上記貫通孔を挿通していることが好ましい。
また、本発明は、上記立体組織体の作製装置を用いた立体組織体の作製方法であって、上記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程と、播種した上記細胞を培養して、上記心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程と、を含むことを特徴とする、立体組織体の作製方法を提供する。
上記立体組織体の作製方法は、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られた後に、上記培養面を上記心棒の延在方向に移動させる培養面移動工程と、移動後の上記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程と、播種した上記細胞を培養して、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体に隣接する、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程と、の繰り返しを更に含むことが好ましい。
上記立体組織体の作製方法は、全ての上記被覆培養面に上記細胞を播種し、播種した上記細胞を培養して立体組織体を得ることが好ましい。
上記立体組織体の作製方法は、上記播種工程において播種した上記細胞を含む立体組織体を得ることが好ましい。
上記立体組織体の作製方法は、上記培養工程の後に、上記細胞を除去して、上記細胞から分泌された物質を含む立体組織体を得ることが好ましい。
上記立体組織体の作製方法は、上記物質がタンパク質であることが好ましい。
本発明の立体組織体の作製装置は、上記構成を有するため、容易にリング状又は管腔状等の立体組織体を作製することができる。また、本発明の立体組織体の作製方法によれば、上記構成を有するため、容易にリング状又は管腔状等の立体組織体を作製することができる。
図1は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製装置を説明するための概略図(斜視図)である。 図2は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製装置を説明するための概略図(斜視図)である。 図3は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製装置を説明するための概略図(斜視図)である。 図4は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製装置の写真である。 図5は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製方法を説明するための概略図である。 図6は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製方法を説明するための概略図である。 図7は、実施例4で得られたリング状の立体組織体の写真である。 図8は、実施例5で得られた管腔状の立体組織体の写真である。 図9は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製装置を説明するための概略図(斜視図)である。 図10は、本発明の一実施形態の立体組織体の作製方法を説明するための概略図である。 図11Aは、実施例8で得られた管腔状の立体組織体の写真である。 図11Bは、実施例8で得られた管腔状の立体組織体のHE染色切片像である。 図12は、実施例9で得られた人工血管の写真である。 図13は、実施例10で得られた人工気管の写真である。 図14は、実施例11で得られたタンパク質を主成分とする立体組織体の写真である。
[立体組織体の作製装置]
本実施形態の立体組織体の作製装置は、少なくとも1個の貫通孔を有する培養面と、上記貫通孔を挿通する心棒とからなる立体組織体の作製装置であって、上記培養面に温度応答性ポリマー又は上記温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面を少なくとも1つ含み、1つの上記被覆培養面の内側に、少なくとも1個の上記貫通孔を有し、上記培養面が上記心棒の延在方向に可動である。
なお、本明細書において、ポリマーの「曇点」とは、必ずしも厳密な意味で、「所定の温度未満では溶解するが、所定の温度以上では不溶化して沈殿する、その温度」を指すものではなく、「不溶化して沈殿したポリマーを所定の温度未満の条件下で溶解する際に、溶解に要する時間が10分以上である、その温度」をも指す。
本実施形態の立体組織体の作製装置は、構成部品が少なく医療用品としての適用が比較的容易であり、感染のリスクが少ない。また、密封されたプラスチック容器内に設置して、衛生的に、無菌的に、立体組織体を作製することができる。また、構成部品が少なく、小型であるため、医療用品として廃棄する際の廃棄物の量を少なくすることができる。
(心棒)
上記心棒は、得られる立体組織体の寸法安定性を確保できれば特に限定されず、具体的には、上記心棒の材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック;シリコンゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン(登録商標)等)、SBR等のゴム・エラストマー;セラミック;ガラス;ステンレス、チタン、ニチノール(登録商標)等の金属・無機材料等が挙げられる。中でも、種々の滅菌法を適用することが可能であり、溶出物が少なく医療材料としての実績があるという観点から、ポチスチレン、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック、ステンレス、ニチノール(登録商標)等の金属が好ましい。
上記心棒の表面は、細胞接着性であってもよいし、細胞非接着性であってもよい。中でも、心棒に巻き付いた立体組織体の構造を保持しやすいという観点から、心棒の表面は細胞非接着性であることが好ましい。また、細胞から分泌された物質を含む立体組織体を心棒から剥がしやすい(抜き取りやすい)という観点から、心棒の表面にはタンパク質が含まれないことが好ましい。
心棒の表面の細胞接着性は、心棒の表面に細胞接着性物質をコーティングする方法、細胞接着性物質の膜で心棒の表面を被覆する方法、放射線・プラズマ放電等をして細胞接着性の分子団を心棒の表面に導入する方法等により、調整することができる。
上記細胞接着性物質としては、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ペプチド、カチオン性ポリマー、ポリスチレン等が挙げられる。上記ペプチドとしては、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸の配列を有するペプチド、アルギニン残基が8個以上連続する配列を有するペプチド等が挙げられる。上記カチオン性ポリマーとしては、アミノスチレン等が挙げられる。これらの中でも、細胞接着性が高い、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチンが好ましい。また、上記列挙の細胞接着性物質を含む試薬も好適に用いることができ、かかる試薬としては、血清等が挙げられる。
心棒の周囲に巻き付くリング状の立体組織体は、自ら分泌した細胞外マトリックスに覆われているため、心棒の表面を細胞接着性にする処理をしなくても、心棒周囲に巻き付くことができる。
なお、「細胞接着性」とは、接着系細胞(例えば、血管内皮細胞、血管細胞、軟骨細胞、線維芽細胞等)が、通常の培養条件下で、接着する性質をいい、いわゆる「低接着性」のものも含む。
なお、心棒の周囲に巻き付くようにして形成したリング状又は管腔状等の立体組織体は、心棒の表面が細胞接着性である場合でも、心棒表面から剥がすことができる。また、心棒表面が、テフロン(登録商標)、シリコンゴム、親水性コーティング等の細胞非接着性である場合は、例えば、心棒表面をコラーゲンチューブで被覆することで、コラーゲンチューブと一緒にリング状又は管腔状等の立体組織体を抜き取ることができる。
上記心棒の延在方向(長さ方向)に垂直な面の断面形状としては、例えば、略円形、略多角形、半月形、三日月形、弦形、涙形等が挙げられる。中でも、軟骨輪、血管、気管等の形状に近い立体組織体が得られる観点から、略円形が好ましい。即ち、上記心棒は、略円柱状が好ましい。
なお、上記心棒の延在方向に垂直な面の断面形状は、延在方向に、同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
また、心棒の延在方向の形状は、直線状(図1〜3参照)であってもよいし、C字状、U字状、渦巻き状等の曲線状であってもよい。
上記心棒の寸法は、特に限定されないが、例えば、長さは0.1〜600mmであることが好ましく、1〜300mmであることがより好ましい。また、心棒の延在方向に垂直な面の断面形状が略円形である場合、その最大径は、0.01〜150mmであることが好ましく、0.1〜50mmであることがより好ましい。
上記心棒の表面は、平滑であってもよいし、凹凸があってもよい。また、表面に孔を有していてもよく、網目状、多数の細孔が設けられた多孔質状等であってもよい。
また、上記心棒は、内部が空洞であってもよい。
中でも、心棒の周囲に巻き付いた立体組織体に含まれる細胞全体に、培地成分、酸素を安定的に供給することができ細胞の活性を高く維持できるという観点、細胞の代謝産生物を速やかに排除できるという観点から、上記心棒の内部が空洞で、心棒の表面が多孔質状であることが好ましい。
心棒がスポンジのような連続気泡体からなる多孔質体の場合、細胞が心棒内部へ浸潤して、深部まで到達した細胞が壊死する可能性や、形成される立体組織体と心棒が頑強に接着して剥離困難となる可能性があるため、心棒表面の最大孔径が200μm以下であることが好ましい。心棒が金属繊維の織布のような繊維集合体からなる場合、細胞が心棒表面に接着しやすく、また、細胞の分化に影響する可能性があるため、10μm以上であることが好ましい。
なお、複数本の心棒が用いられる場合、各心棒の材質、寸法、形状等は、同じであってもよいし異なっていてもよい。また、心棒間の距離は特に限定されず、例えば、複数本の心棒が接していてもよい。
(培養面)
上記培養面は、少なくとも一部の表面上に、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面を少なくとも一つ有する。上記培養面には、1つの被覆培養面が設けられていてもよいし、複数の被覆培養面が設けられていてもよい。
1つの被覆培養面が設けられている場合、上記培養面は、全面が被覆培養面であってもよいし(図1、3参照)、一部が被覆培養面であってもよい(図2参照)。中でも、製造が容易である観点から、培養面の全面が被覆培養面であることが好ましい。
また、培養面が、板状、円盤状等の二つの表面を有する形状である場合、片面のみに被覆培養面を有していてもよいし、両面に被覆培養面を有していてもよい。
上記培養面の材質としては、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ガラス、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。中でも、精密な成形加工が容易であり、種々の滅菌法を適用することが可能であるという観点から、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ガラス、シリコン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
上記培養面は、表面に細胞接着処理等の処理が施されたものであってもよいし、表面が無処理であってもよい。上記培養面表面は、細胞の接着性を調整するために、コーティング処理、加工処理等がされていてもよい。
上記培養面の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、略四角形等の略多角形(貫通孔を有する略多角形)、略円形(リング状等の貫通孔を有する略円形)等の形状が挙げられる。
上記培養面の面積は、リング状又は管腔状等の立体組織体を一層容易に製造することができるという観点から、0.1mm〜150cmであることが好ましく、8.4mm〜21cmであることがより好ましい。
上記培養面の底形状(底面の断面形状)は、特に限定されないが、平底、丸底、凹凸状底等が挙げられる。中でも、リング状又は管腔状等の立体組織体が得られやすいという観点から、平底が好ましい。
上記培養面は、同時に複数の立体組織体を形成することができ、より短時間でより効率的に管腔状の立体組織体を形成することができる観点から、複数(例えば、2以上、5以上、10以上等)設けられていてもよい。なお、培養面の上限数は、細胞の播種、培養等が可能で、立体組織体を作製することができる範囲であれば、特に限定されない。
培養面が複数設けられている場合、1本の上記心棒が、少なくとも2の上記培養面の上記貫通孔を挿通していることが好ましく、1本の上記心棒が、全ての上記培養面の上記貫通孔を挿通していることがより好ましい。
なお、本実施形態の立体組織体の作製装置としては、例えば、1本の心棒が挿通している複数の培養面(心棒の延在方向に培養面が棚状に配置された、心棒と複数の培養面とからなる部材)を1個有していてもよいし、複数個有していてもよい。
培養面が複数設けられている場合、上記心棒の延在方向における各培養面間の距離は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。上記心棒の延在方向における各培養面間の距離は、各培養面で作製したリング状又は管腔状の立体組織体が、容易につながるという観点から、例えば、使用する細胞の心棒の延在方向の長さに対して10倍以下であることが好ましく、7.5倍以下であることがより好ましい。具体的には、上記心棒の延在方向における各培養面間の距離は、0.1〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0mmである。
なお、各培養面で作製したリング状又は管腔状の立体組織体がつながるとは、各培養面で作製した、リング状又は管腔状の各立体組織体を構成する細胞同士が接着する以外にも、各培養面で作製した、リング状又は管腔状の各立体組織体を構成する細胞から分泌されたタンパク質(例えば、細胞外マトリックスを構成するタンパク質等)を介して、各培養面で作製したリング状又は管腔状の立体組織体がつながっている場合も含む。
上記被覆培養面の温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物としては、後述の調製工程に記載のものが挙げられる。
上記被覆培養面において、単位面積当たりに含まれる温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物の含有量としては、リング状又は管腔状等の立体組織体がより容易に得られるという観点から、5〜50ng/mmが好ましく、より好ましくは15〜40ng/mmである。
なお、被覆培養面が複数設けられている場合、各被覆培養面の単位面積当たりに含まれる温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物の含有量は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記被覆培養面の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、略四角形等の略多角形(貫通孔を有する略多角形)、略円形(リング状等の貫通孔を有する略円形)等の形状が挙げられる。中でも、細胞の分布がより均質な立体組織体が得られやすいという観点から、略円形が好ましい。
なお、被覆培養面が複数設けられている場合、各被覆培養面の平面視形状は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記被覆培養面の表面積としては、細胞の分布がより均質な立体組織体が得られやすいという観点から、0.1mm〜150cmが好ましく、8.4mm〜21cmがより好ましい。被覆培養面が複数設けられている場合、各被覆培養面の表面積は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
また、被覆培養面の面積が小さいと、心棒に巻き付く細胞数が減り、細胞マトリックスを主成分とする立体組織体を形成しやすくなる。細胞マトリックスを主成分とする立体組織体を形成する際の被覆培養面の面積としては、例えば、0.1〜50mmが挙げられる。
なお、被覆培養面の表面積は、顕微鏡写真の画像解析等の当業者に周知の方法により測定することができる。
上記被覆培養面表面のゼータ電位としては、0〜50mVが好ましく、より好ましくは0〜35mV、更に好ましくは10〜25mVである。ゼータ電位が0mV以上であることにより、負に帯電する細胞が接着しやすくなる。また、ゼータ電位が50mV以下であることにより、細胞毒性を軽減することができる。
また、ゼータ電位を上記範囲とすることにより、細胞を適切な培養条件で培養するだけで、播種した細胞を、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体とすることができる。これは、表面ゼータ電位を上記範囲とすることによって、被覆培養面表面に細胞毒性を惹起しない微弱な陽電荷を与えることができ、また、播種した細胞の速やかな接着を確保し、細胞の活性の向上及び細胞外マトリックスの分泌を促進し、更には、細胞遊走を適度に抑制して、細胞間の結合を強くすることができることによるものと推測される。
被覆培養面が複数設けられている場合、各被覆培養面のゼータ電位は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
なお、ゼータ電位とは、ポリスチレンラテックスをヒドロキシプロピルセルロースで被覆した粒子(ゼータ電位:−5〜+5mV)を標準のモニター粒子として、ゼータ電位計(例えば、型番「ELSZ」、大塚電子社製等)で測定した、Smoluchowski式により算出される値をいう。
上記被覆培養面に対する水の接触角としては、本発明の効果を高める観点から、50〜90°が好ましく、より好ましくは60〜80°、更に好ましくは62〜78°である。被覆培養面が複数設けられている場合、各被覆培養面に対する水の接触角は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
なお、被覆培養面に対する水の接触角とは、被覆培養面内の任意の数点において、JIS R 3257に準拠して測定される接触角の平均値をいう。
上記培養面は、少なくとも1個の貫通孔を有する。上記貫通孔が1個である場合、培養面の中央部にあることが好ましい。上記貫通孔に上記心棒が挿通することにより、上記培養面と上記心棒とが一体となった立体組織体の作製装置となる。
上記貫通孔の平面視形状は、特に限定されないが、例えば、略多角形、略円形等の形状が挙げられ、細胞がより均一に分布した立体組織体が得られやすいという観点から、上記心棒の延在方向に垂直な面の断面形状と同じ形状であることが好ましい。中でも、上記心棒の延在方向に垂直な面の断面形状、及び上記貫通孔の平面視形状が、共に略円形であること(図1〜3参照)が好ましい。
なお、貫通孔は、心棒が挿通する形状であれば、心棒の延在方向に垂直な面の断面形状と同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、貫通孔が複数個設けられている場合、各貫通孔の平面視形状は同じであってもよいし異なっていてもよい。
上記貫通孔は、上記被覆培養面の内側に少なくとも1個設けられており、1個設けられていることが好ましい。
上記貫通孔は、上記被覆培養面の内側に設けられており、1個の貫通孔が上記被覆培養面の中央部に設けられていることが好ましく、上記被覆培養面の重心を含む部分に設けられていることがより好ましい。上記被覆培養面が略円形である場合は、被覆培養面の中心から0.75r以内(rは、被覆培養面の半径)の領域に貫通孔が設けられていることが好ましい。上記貫通孔が、被覆培養面の中央部に設けられていると、細胞が凝集する方向を中央部へ集中させることができ、細胞の分布が一層均質な立体組織体を作製することができる。なお、貫通孔を被覆培養面の中央部からずらして設けることで、リングの輪の太さが不均一な立体組織体を作製することができる。
上記貫通孔は、寸法形状がよい立体組織体が得られやすいという観点から、1つの上記被覆培養面の内側に、1個設けられていることが好ましい。
なお、本実施形態の作製装置は、複数の被覆培養面が設けられている場合、全被覆培養面のうち少なくとも1つの被覆培養面において、被覆培養面の内側に少なくとも1個の貫通孔が設けられていればよく、被覆培養面の数と貫通孔の数が同数であり、各被覆培養面の内側に1個の貫通孔が設けられていてもよい。例えば、本実施形態の作製装置は、培養面に5つの被覆培養面が設けられており、そのうちの1つの被覆培養面の内側に、1個貫通孔が設けられた、5つの被覆培養面と1個の貫通孔を有する作製装置であってもよいし、培養面に5つの被覆培養面が設けられており、各被覆培養面の内側にそれぞれ1個ずつの貫通孔が設けられた、5つの被覆培養面と5個の貫通孔を有する作製装置等であってもよい。
上記貫通孔の表面積としては、0.1mm〜150cmが好ましく、8.4mm〜21cmがより好ましい。また、貫通孔が略円形である場合、最大径は0.01〜150mmであることが好ましい。なお、貫通孔が複数個設けられている場合、各貫通孔の表面積は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
被覆培養面の内側に1個の貫通孔が設けられている被覆培養面においては、上記被覆培養面の表面積(100%)に対する、上記貫通孔の表面積の割合は、0.1〜50%が好ましく、より好ましくは1〜30%である。割合が上記範囲であることにより、心棒の周囲に巻き付いた立体組織体を一層容易に得ることができる。
(心棒と培養面との位置関係)
上記心棒は、上記貫通孔を挿通していればよく、心棒と培養面は接していてもよいし(図1、2参照)、心棒と培養面の間に隙間があってもよい(図3参照)。心棒と培養面の間の隙間としては、凝集した細胞が隙間を飛び越えて心棒に巻き付くことができる、及び/又は、培養面を心棒の延在方向に移動させた時に心棒の周囲に巻き付いた立体組織体が剥がれない距離であることが好ましく、5.0mm以内であることがより好ましく、0.5mm以内であることがさらに好ましい。
上記培養面が複数設けられている場合、各培養面に細胞が均一に分布しやすくなり、各培養面で作製したリング状又は管腔状の立体組織体を容易につなげることができる観点から、心棒と培養面の間に隙間があることが好ましい。
上記培養面は、心棒の延在方向に可動であり、中でも、培養面を動かす際に生じる培地の流動によって、心棒の周囲に巻き付いた立体組織体へ物理的なストレスを与えるおそれが少なく、より容易にリング状又は管腔状等の立体組織体が得られる観点から、被覆培養面から培養面に向かう方向に可動であることが好ましい。また、上記培養面と心棒の延在方向とがなす角度は、特に限定されないが、垂直であることが好ましい。
貫通孔が複数個設けられている場合、全ての貫通孔に心棒が挿通していてもよいし、一部の貫通孔に心棒が挿通していてもよい。中でも、播種した細胞が培養面よりも下側に落ちにくくなり、播種した細胞を被覆培養面に接着させることができるという観点から、全ての貫通孔に心棒が挿通していることが好ましい。
以下に、本実施形態の立体組織体の作製装置の一例について、図1〜4、9を用いて説明する。図1〜4、9の作製装置は、構成部品が少なく医療用品としての適用が比較的容易であり、感染のリスクが少ないという観点、及びバイオチューブの作製が容易であるという観点から好ましい。中でも、一層容易にリング状又は管腔状等の立体組織体が得られる観点から、図3、9の立体組織体の作製装置が好ましい。
図1は、本実施形態の一例の立体組織体の作製装置の概略図である。
この例では、円盤状の培養面の一方の表面の全面に、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面が設けられている。被覆培養面の中央部には貫通孔があり、円柱状の心棒が貫通孔を挿通している。被覆培養面と心棒との間に隙間はなく、被覆培養面と心棒とは接している。培養面は、心棒の延在方向に対して垂直であり、心棒の延在方向に可動である。なお、図1〜4の培養面は、図の上方向(培養面から被覆培養面に向かう方向)にも、図の下方向(被覆培養面から培養面に向かう方向)にも可動である。培養面が動く方向、動く距離、及び/又は動かすタイミングは、例えば、コンピューター等で制御して自動的に行ってもよい。
図2は、本実施形態の一例の立体組織体の作製装置の概略図である。
この例では、円盤状の培養面の一方の表面の一部に、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面が設けられている。
図3は、本実施形態の一例の立体組織体の作製装置の概略図である。
この例では、円盤状の培養面の一方の表面の全面に、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面が設けられている。被覆培養面と心棒との間には隙間がある。即ち、貫通孔の孔径に対して、心棒の径が小さい。
図4は、本実施形態の一例の立体組織体の作製装置の写真である。
この例では、円盤状のプラスチック製の培養面の一方の表面の全面に温度応答性ポリマーで被覆された被覆培養面が設けられている。被覆培養面の中央部には貫通孔があり、円柱状の心棒が貫通孔を挿通している。心棒の内部は空洞、心棒の表面は網目状であり、心棒の内部に金属棒を通して、作製装置を固定している。被覆培養面と心棒との間には、隙間がある。培養面は、心棒の延在方向に対して垂直であり、心棒の延在方向に可動である。
本実施形態の立体組織体の作製装置は、培養面の外径よりもわずかに大きな内径の容器に入れられている。これにより、図4の上部から播種した細胞が、培養面よりも下側に落ちにくくなり、播種した細胞を被覆培養面に接着させることができる。
図9は、本実施形態の一例の立体組織体の作製装置の概略図である。
この例では、円盤状の培養面の一方の表面の全面に、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面が設けられた培養面が2つ設けられている。1本の心棒が、2の培養面の貫通孔を挿通しており、2つの培養面で、同時にリング状又は管腔状の立体組織体を形成することができる。被覆培養面と心棒との間には隙間がある。2つの培養面間の距離を調整することにより、2つの培養面で作製したリング状又は管腔状の各立体組織体は、各立体組織体に含まれる細胞同士が接着して、又は各立体組織体に含まれる細胞が分泌したタンパク質を介して、容易につなげることができる。
(立体組織体の作製装置の製造方法)
本実施形態の立体組織体の作製装置の製造方法としては、例えば、
温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物を調製する、調製工程と、
上記温度応答性ポリマー又は上記温度応答性ポリマー組成物で、上記培養面を被覆して、被覆培養面を準備する、被覆培養面準備工程と、
を含む方法等が挙げられる。
−調製工程−
上記立体組織体の作製装置に用いられる温度応答性ポリマー及び温度応答性ポリマー組成物としては、(A)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)単位と、アニオン性モノマー単位とを含む温度応答性ポリマー、(B)N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)単位と、カチオン性モノマー単位と、アニオン性モノマー単位とを含む温度応答性ポリマー、(C)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及び/又はその誘導体の重合体と、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)と、核酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、硫酸化多糖類、カードラン及びポリアルギン酸並びにこれらのアルカリ金属塩からなる群から選択される1種以上のアニオン性物質とを含む温度応答性ポリマー組成物等が挙げられる。中でも、リング状又は管腔状等の立体組織体が一層容易に得られるという観点から、(A)が好ましい。
ここで、上記(A)としては、例えば、(A−1)DMAEMAを水存在下で重合する方法により得られる温度応答性ポリマー、(A−2)主としてDMAEMAを含むポリマーブロック(重合鎖α末端)と、主としてDMAEMAとアニオン性モノマーとを含むコポリマーブロック(重合鎖ω末端)とを含む、温度応答性ポリマー等が挙げられる。
本発明の実施形態において、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、上記(A−1)の温度応答性ポリマー及びその製造方法について記載する。
(温度応答性ポリマーの製造方法)
(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む混合物を調製する混合物調製工程と、混合物に紫外線を照射する照射工程とを含み、ここで、混合物調製工程において、混合物は重合禁止剤及び水を更に含み、照射工程において、紫外線は不活性雰囲気下において照射される、ことを特徴とする。
(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法では、まず、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む混合物を調製する(混合物調製工程)。ここで、混合物は、重合禁止剤及び水を更に含む。
2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)としては、市販品を用いることができる。重合禁止剤としては、メチルヒドロキノン(MEHQ)、ヒドロキノン、p−ベンゾキノリン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−nitroso−N−phenylhydroxylamine(Cupferron)、t−ブチルハイドロキノン、等が挙げられる。また、市販のDMAEMAに含まれるMEHQ等をそのまま用いてもよい。水としては、超純水が挙げられる。
重合禁止剤の上記混合物に対する質量割合は、0.01〜1.5%であることが好ましく、0.1〜0.5%であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、ラジカル重合反応の暴走を抑制して、制御できない架橋を低減することができ、製造される温度応答性ポリマーの溶媒に対する溶解性を確保することができる。
水の上記混合物に対する質量割合は、1.0〜50%であることが好ましく、9.0〜33%であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、側鎖の加水分解反応の反応速度と、重合するポリマー鎖の成長反応の反応速度とを、バランスよく調和させることができる。これにより、側鎖が加水分解されたDMAEMAに対する、側鎖が加水分解されていないDMAEMAの割合(共重合割合)が1.0〜20程度の温度応答性ポリマーを得ることができる。
次いで、(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法では、混合物に紫外線を照射する(照射工程)。ここで、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射される。DMAEMAは、紫外線の照射により、ラジカル重合して、ポリマーとなる。
この工程では、例えば、透明な密封バイアルに、上記混合物を加え、不活性ガスをバブリングすることによってバイアル内を不活性雰囲気とした後に、バイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
紫外線の波長としては、210〜600nmであることが好ましく、360〜380nmであることが更に好ましい。上記範囲とすれば、効率よく重合反応を進行させることができ、所期の共重合割合を有する高分子材料を安定的に得ることができる。また、製造したポリマー材料が着色することを防ぐこともできる。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
反応条件に関して、温度条件としては、15〜50℃であることが好ましく、20〜30℃であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、熱による開始反応を抑制し、光照射による開始反応を優先的に進行させることができる。また、加水分解反応の反応速度をポリマー鎖の成長反応の反応速度に対してバランスのよいものにすることができる。
反応時間としては、7〜24時間であることが好ましく、17〜21時間であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、(A−1)の温度応答性ポリマーを高収率で得ることができ、また、光分解反応や不要な架橋反応を抑制しながらラジカル重合を行うことができる。
なお、混合物調製工程において混合物が調製され終えてから、照射工程において紫外線の照射が開始されるまでの時間は、10分〜1時間であることが好ましい。
混合物を加えたバイアルの内部の気体を置換して、バイアル内を不活性雰囲気とする際には、10分程度の時間を要する。そのため、上記時間を10分未満とすると、ラジカル重合に必要となる不活性雰囲気が得られない虞がある。また、混合物中では、DMAEMAの加水分解反応が、紫外線の照射が開始される前に開始される。そのため、上記時間を1時間超とすると、ラジカル重合反応に不活性なメタクリル酸が混合物中に多数生じてしまう。
(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法では、混合物に水が含まれるため、DMAEMAのラジカル重合反応と、ポリ2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)の側鎖のエステル結合の加水分解反応とを、拮抗させることができる。
この拮抗により、得られる生成物は、式(I)で表される繰り返し単位(A)
、及び式(II)で表される繰り返し単位(B)
を含むポリマーとなる。
そのため、ポリマーが有するカチオン性官能基、すなわち、ジメチルアミノ基と、ポリマーが有するアニオン性官能基、すなわち、側鎖のエステル結合が加水分解されてできたカルボキシル基の両方を、バランスよく備えることができる。そして、(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法によれば、カチオン性官能基及びアニオン性官能基を有する、ポリ(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)由来のポリマーを、少ない工程で簡便に製造することができる。
なお、(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法と同一の製造方法ではなくとも、DMAEMA、重合禁止剤、及び水が、紫外線照射時に反応系中に共存していれば、本発明の温度応答性ポリマーの製造方法の上記効果と同様の効果を得ることができる。
例えば、DMAEMA及び重合禁止剤を含む混合物と、水とを別々に準備し、次いで、混合物と水とに不活性ガスをバブリングし、その後、混合物と水とを不活性雰囲気下で混合すると同時に紫外線を照射するという、温度応答性ポリマーの製造方法も、(A−1)の温度応答性ポリマーに含めることができる。
(温度応答性ポリマー)
(A−1)の温度応答性ポリマーは、上記(A−1)の製造方法により製造される。
ここで、(A−1)の温度応答性ポリマーとしては、数平均分子量(Mn)が、10〜500kDaである分子が好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.1〜10.0である分子が好ましい。
(A−1)の温度応答性ポリマーの分子量は、紫外線の照射時間及び照射強度の条件により、適宜調整することができる。
(A−1)の温度応答性ポリマーによれば、曇点を、例えば室温(25℃)以下に、低下させることができる。
上記(A−1)の温度応答性ポリマーでは、曇点以上の温度で形成された温度応答性ポリマーの不溶化物が、室温(約25℃)条件下で再溶解するまでの時間が顕著に遅延する。これは、得られた(A−1)の温度応答性ポリマーは、分子内にカチオン性官能基とアニオン性官能基とが存在するため、高い自己凝集性を有するためであると推定される。
また、この(A−1)の温度応答性ポリマーを用いて、後述するように、培養面にこの温度応答性ポリマーが被覆されている細胞培養器を調製することができる。
更に、(A−1)の温度応答性ポリマーによれば、後述するように、細胞を適切な培養条件で培養することにより、リング状又は管腔状等の立体組織体を形成させることができる。
(A−1)の温度応答性ポリマーが有する、カチオン性官能基(2−N,N−ジメチルアミノ基)の官能基数と、アニオン性官能基(カルボキシル基)の官能基数との比(C/A比)は、0.5〜32であることが好ましく、4〜16であることが更に好ましい。
C/A比を上記範囲とすれば、曇点を低減させるという上記効果が得られやすい。上記C/A比を有する温度応答性ポリマーでは、上記温度応答性ポリマー中でカチオン性官能基とアニオン性官能基とが、イオン結合的に分子間及び/又は分子内の凝集に作用して、温度応答性ポリマーの凝集力が強くなった結果であると推測される。
また、C/A比を上記範囲とすれば、上記温度応答性ポリマー中の正電荷と負電荷とのバランスを特に好適にして、正電荷による細胞傷害性を抑制することができ、また、上記温度応答性ポリマーの親水性と疎水性とのバランスを特に好適にして、細胞の遊走や配向を生じやすくすることができるものと推定される。
以下、上記(A−2)の温度応答性ポリマー及びその製造方法について記載する。
(温度応答性ポリマーの製造方法)
(A−2)の温度応答性ポリマーの製造方法は、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む第一混合物に紫外線を照射する第一重合工程と、第一重合工程における重合物の数平均分子量が所定値以上となった時点で、第一混合物にアニオン性モノマーを添加して第二混合物を調製する添加工程と、第二混合物に紫外線を照射する第二重合工程と、を含むことを特徴とする。
(A−2)の温度応答性ポリマーの製造方法では、まず、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む第一混合物に紫外線を照射する(第一重合工程)。
ここで、第一混合物は、DMAEMA以外に、任意選択的に、例えば、他のモノマー、溶媒等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
DMAEMAとしては、市販品としてよい。
第一混合物に含まれ得る他のモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステル、N−イソプロピルアクリルアミド、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等が挙げられ、特に、イオンバランスの調整を安定的に行うことを可能にする観点から、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステル、N−イソプロピルアクリルアミドが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、他のモノマーの使用量のDMAEMAの使用量に対する割合(モル割合)は、0.001〜1とすることが好ましく、0.01〜0.5とすることが更に好ましい。
溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、メタノール、エタノール等が挙げられ、特に、DMAEMAのエステル結合に対して不活性であるため、トルエン、ベンゼンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この工程では、例えば、透明な密封バイアルに、上記第一混合物を加え、不活性ガスをバブリングすることによってバイアル内を不活性雰囲気とした後に、バイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
紫外線の波長としては、210〜600nmであることが好ましく、360〜380nmであることが更に好ましい。上記範囲とすれば、効率よく重合反応を進行させることができ、所期の共重合割合を有する高分子材料を安定的に得ることができる。また、製造したポリマー材料が着色することを防ぐこともできる。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cmであることが好ましく、0.1〜5mW/cmであることが更に好ましい。上記範囲とすれば、無用な化学結合の切断等による分解を抑制しつつ、安定的に、適切な速度(時間)で重合反応を進行させることができる。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
温度条件としては、10〜40℃あることが好ましく、20〜30℃あることが更に好ましい。上記範囲とすれば、通常の実験室の室温において反応を行うことができ、また、光とは別の手段(加熱等)により反応を抑制することが可能となる。
反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
この工程において、DMAEMAは、紫外線の照射により、ラジカル重合して、ポリマー(ポリ(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA))となり、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを含むホモポリマーブロックが形成される。他のモノマーも用いた場合には、DMAEMAと他のモノマーとを含むポリマーブロックが形成される。
次いで、(A−2)の温度応答性ポリマーの製造方法では、第一重合工程における重合物(具体的には、ポリマー化した2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)の数平均分子量が所定値以上となった時点で、第一混合物にアニオン性モノマーを添加して第二混合物を調製する(添加工程)。
ここで、第二混合物は、第一重合工程後の第一混合物、及びアニオン性モノマー以外に、例えば、他のモノマー、前述の第一混合物に含まれ得る溶媒(トルエン、ベンゼン、メタノール等)等を含んでよい。
また、アニオン性モノマーは、不活性雰囲気下において、添加されてよい。
アニオン性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するビニル誘導体等が挙げられ、特に、化学的安定性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第二混合物に含まれ得る他のモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステル、N−イソプロピルアクリルアミド、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等が挙げられ、特に、電気的に中性であり、且つ親水性である、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、他のモノマーの使用量のDMAEMAの使用量に対する割合(モル)は、0.01〜10とすることが好ましく、0.1〜5とすることが更に好ましい。
この工程では、例えば、バイアルに不活性ガスをフローさせることによってバイアル内を不活性雰囲気に保ちながら、上記第二混合物を添加する。
数平均分子量の所定値は、曇点低減の効果を十分に得る観点から、好適には5,000であり、更に好適には20,000であり、特に好適には100,000である。
なお、第一重合工程後の第一混合物中におけるポリマー化したPDMAEMAの数平均分子量は、所定の時点で重合系から少量の反応混合物を採取して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や光散乱法(SLS)等の当業者に周知の方法により、測定することができる。
この工程において、重合中のDMAEMAを含むホモポリマーに加えて、アニオン性モノマーも重合系に含められることとなり、バイアル内の重合系が、DMAEMAの単独重合系から、DMAEMAとアニオン性モノマーとの共重合系に、変わることとなる。
そして、(A−2)の温度応答性ポリマーの製造方法では、第二混合物に紫外線を照射する(第二重合工程)。
ここで、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
この工程では、例えば、第二混合物を添加した後のバイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
第二重合工程における、紫外線の波長、紫外線の照射強度、用いる不活性ガス、反応温度、反応時間等の諸条件は、第一重合工程における条件と同様としてよい。
この工程において、DMAEMAとアニオン性モノマーとが、紫外線の照射により、ラジカル重合して、第一重合工程において形成したDMAEMAを含むホモポリマーブロックの重合鎖α末端に連続する形態で、DMAEMAとアニオン性モノマーとを含むコポリマーブロックが形成される。他のモノマーも用いた場合には、DMAEMAとアニオン性モノマーと他のモノマーとを含むコポリマーブロックが形成される。
上記の通り、DMAEMAを含むホモポリマーブロックと、DMAEMAとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含む温度応答性ポリマーが得られる。
なお、(A−2)の製造方法では、当業者に理解される通り、種々の分子量及び分子構造を有するポリマーの混合物が生成するところ、DMAEMAを含むホモポリマーブロックと、DMAEMAとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含む温度応答性ポリマーを主成分として得る観点から、第一重合工程、添加工程、及び第二重合工程に亘って、同一の条件下で重合を行うことが好ましい。
(温度応答性ポリマー)
(A−2)の温度応答性ポリマーは、上記(A−2)の製造方法により製造される。
(A−2)の温度応答性ポリマーは、主として2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを含み、任意選択的にジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸等の親水性モノマー等の他のモノマー単位を含むポリマーブロック(重合鎖α末端)と、主として2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとアニオン性モノマー(重合鎖ω末端)とを含み、任意選択的に他のモノマー単位を含むコポリマーブロックとを含む。
好適には、(A−2)の温度応答性ポリマーは、DMAEMAのホモポリマーブロックと、DMAEMAとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含み、更に好適には、これらブロックからなる。
ここで、(A−2)の温度応答性ポリマーとしては、重合鎖α末端のポリマーブロック(例えば、DMAEMAのホモポリマーブロック)の数平均分子量が5000Da以上であることが好ましく、20000Da以上であることが更に好ましい。
(A−2)の温度応答性ポリマーとしては、数平均分子量(Mn)が、10〜500kDaである分子が好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.1〜10.0である分子が好ましい。
温度応答性ポリマーの分子量は、紫外線の照射時間及び照射強度の条件により、適宜調整することができる。
(A−2)の温度応答性ポリマーによれば、曇点を、例えば室温(25℃)以下に、低下させることができる。
上記(A−2)の温度応答性ポリマーでは、曇点以上の温度で形成された温度応答性ポリマーの不溶化物が、室温(約25℃)条件下で再溶解するまでの時間が顕著に遅延する。これは、得られた温度応答性ポリマーは、分子内にカチオン性官能基とアニオン性官能基とが存在するため、高い自己凝集性を有するためであると推定される。
特に、(A−2)の温度応答性ポリマーは、重合鎖α末端に、高分子量(例えば、5000Da以上)を有するDMAEMAのホモポリマーブロックを備えるため、DMAEMAの側鎖の温度依存的なグロビュール転移が生じやすく、曇点を効果的に低減することが可能となると考えられる。
また、この温度応答性ポリマーを用いて、後述するように、培養面にこの温度応答性ポリマーを被覆してなる細胞培養器を調製することができる。
更に、(A−2)の温度応答性ポリマーによれば、後述するように、細胞を適切な培養条件で培養することにより、リング状又は管腔状等の立体組織体を形成させることができる。
(A−2)の温度応答性ポリマーが有する、カチオン性官能基(2−N,N−ジメチルアミノ基)の官能基数と、アニオン性官能基(カルボキシル基)の官能基数との比(C/A比)は、0.5〜32であることが好ましく、4〜16であることが更に好ましい。
C/A比を上記範囲とすれば、曇点を低減させるという上記効果が得られやすい。上記C/A比を有する温度応答性ポリマーでは、上記温度応答性ポリマー中でカチオン性官能基とアニオン性官能基とが、イオン結合的に分子間及び/又は分子内の凝集に作用して、温度応答性ポリマーの凝集力が強くなった結果であると推測される。
また、C/A比を上記範囲とすれば、上記温度応答性ポリマー中の正電荷と負電荷とのバランスを特に好適にして、正電荷による細胞傷害性を抑制することができ、また、上記温度応答性ポリマーの親水性と疎水性とのバランスを特に好適にして、細胞の遊走や配向を生じやすくすることができるものと推定される。
以下、上記(B)の温度応答性ポリマー及びその製造方法について記載する。
(温度応答性ポリマーの製造方法)
(B)の温度応答性ポリマーの製造方法は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)(以下、「モノマー(A)」ともいう。)と、カチオン性モノマー(以下、「モノマー(B)」ともいう。)と、アニオン性モノマー(以下、「モノマー(C)」ともいう。)とを重合させるものである。任意選択的に、上記3種類のモノマーにこれら以外の他のモノマーを加えて重合させてよい。
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)としては、市販品としてよい。
カチオン性モノマーとしては、カチオン性官能基を有するモノマーが挙げられ、カチオン性官能基としては、第1級〜第4級アミノ基等のアミノ基、グアニジン基等が挙げられ、特に、化学的安定性、低細胞傷害性、滅菌安定性、強陽電荷性の観点から、第3級アミノ基が好ましい。
より具体的には、カチオン性モノマーとしては、生理活性物質を担持したり、アルカリ性条件下においたりしても、安定性が高いものが好ましく、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−(メタ)アクリレート、アミノスチレン、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中で、特に、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドは、高い陽電荷強度を有することから、アニオン性物質の担持を容易にするため、好ましい。
また、アミノスチレンは、高い陽電荷強度を有することから、アニオン性物質の担持を容易にすると共に、分子内の芳香環が水溶液中において他の物質の疎水性構造と相互作用することから、担持可能なアニオン性物質のバリエーションを広げるため、好ましい。
更に、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−メタクリルアミドは、中性域のpHで微弱な陽電荷を有し、且つ、水への溶解性が温度に影響されないことから、一度担持したアニオン性物質の放出を容易にするため、好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性モノマーとしては、アニオン性官能基を有するモノマーが挙げられ、アニオン性官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、ボロン酸基等が挙げられ、特に、化学的安定性、細胞親和性、高い精製度の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基が好ましい。
より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、等が挙げられ、特に、化学的安定性、細胞親和性の観点から、メタクリル酸、ビニル安息香酸が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のモノマーとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸等の中性の親水性モノマー等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のモノマーは、電荷以外の親水性・疎水性のバランスの調整に使用可能であり、バリエーションを広げることが可能となる。
ここで、(B)の温度応答性ポリマーの製造方法におけるNIPAMの使用量、カチオン性モノマーの使用量、他のモノマーの使用量それぞれの、モノマー(A)〜(C)の合計の使用量に対する割合(モル)は、モノマーの重合反応における反応性を考慮して、所望のモノマー成分の割合を得られるよう、当業者が適宜調整することができる。
ここで、重合方法としては、ラジカル重合、イオン重合等が挙げられる。
ラジカル重合としては、リビングラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合としては、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、イニファーター重合等が挙げられ、イニファーター重合が好ましい。
イオン重合としては、リビングアニオン重合が好ましい。
(B)の温度応答性ポリマーの製造方法の一例は、ラジカル重合を用いる方法である。
この製造方法の一例は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を含む第一混合物に紫外線を照射する第一重合工程と、第一混合物に、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを添加して第二混合物を調製する添加工程と、第二混合物に紫外線を照射する第二重合工程と、を含む。
この製造方法の一例では、まず、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を含む第一混合物に紫外線を照射する(第一重合工程)。
ここで、第一混合物は、NIPAM以外に、任意選択的に、例えば、他のモノマー、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
この工程では、例えば、透明な密封バイアルに、上記第一混合物を加え、不活性ガスをバブリングすることによってバイアル内を不活性雰囲気とした後に、バイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メタノール、水等が挙げられ、特に、溶解力の点、及び重合に不活性である点から、ベンゼン、トルエンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線の波長としては、210〜600nmであることが好ましく、360〜380nmであることが更に好ましい。上記範囲とすれば、効率よく重合反応を進行させることができ、所期の共重合割合を有する高分子材料を安定的に得ることができる。また、製造したポリマー材料が着色することを防ぐこともできる。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cmであることが好ましく、0.1〜5mW/cmであることが更に好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
温度条件としては、10〜40℃あることが好ましく、20〜30℃あることが更に好ましい。上記範囲とすれば、通常の実験室の室温において重合反応を行うことを可能とすることができ、また、光照射という手段とは別の加熱という手段での反応制御を可能とすることもできる。
反応時間としては、反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
この工程において、NIPAMは、紫外線の照射により、ラジカル重合して、ポリマー(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM))となり、N−イソプロピルアクリルアミドを含むホモポリマーブロックが形成される。他のモノマーも用いた場合には、NIPAMと他のモノマーとを含むポリマーブロックが形成される。
次いで、(B)の温度応答性ポリマーの製造方法では、第一重合工程後の第一混合物にカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを添加して第二混合物を調製する(添加工程)。
ここで、第二混合物は、第一重合工程後の第一混合物、カチオン性モノマー、及びアニオン性モノマー以外に、例えば、他のモノマー、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとは、不活性雰囲気下において、添加されてよい。
この工程では、例えば、バイアルに不活性ガスをフローさせることによってバイアル内を不活性雰囲気に保ちながら、上記カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを添加する。
この工程において、重合中のNIPAMを含むホモポリマーに加えて、カチオン性モノマー及びアニオン性モノマーも重合系に含められることとなり、バイアル内の重合系が、NIPAMの単独重合系から、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合系に、変わることとなる。
そして、(B)の温度応答性ポリマーの製造方法では、第二混合物に紫外線を照射する(第二重合工程)。
ここで、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
この工程では、例えば、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを添加した後のバイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
紫外線の波長としては、210〜600nmであることが好ましく、360〜380nmであることが更に好ましい。上記範囲とすれば、効率よく重合反応を進行させることができ、所期の共重合割合を有する高分子材料を安定的に得ることができる。また、製造したポリマー材料が着色することを防ぐこともできる。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cmであることが好ましく、0.1〜5mW/cmであることが更に好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
温度条件としては、10〜40℃あることが好ましく、20〜30℃あることが更に好ましい。上記範囲とすれば、通常の実験室の室温において重合反応を行うことを可能とすることができ、また、光照射という手段とは別の加熱という手段での反応制御を可能とすることもできる。
反応時間としては、反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
この工程において、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとが、紫外線の照射により、ラジカル重合して、第一重合工程において形成したNIPAMを含むホモポリマーブロックの重合鎖α末端に連続する形態で、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを含むコポリマーブロックが形成される。他のモノマーも用いた場合には、NIPAMと他のモノマーとを含むポリマーブロック、及び/又は、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーと他のモノマーとを含むコポリマーブロックが形成される。
上記の通り、NIPAMを含むホモポリマーブロックと、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含む温度応答性ポリマーが得られる。
なお、この一例の製造方法では、効率的な反応を実現する観点から、第一重合工程、添加工程、及び第二重合工程に亘って紫外線を照射することが好ましい。
(B)の温度応答性ポリマーの製造方法の別の例は、ラジカル重合を用いる方法であり、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)と、カチオン性モノマーと、アニオン性モノマーと、任意選択的に他のモノマーを含む混合物に紫外線を照射する。
ここで、上記混合物は、例えば、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
他の条件については、前述の一例の製造方法と同様としてよい。
更には、イニファーター重合を用いる場合、イニファーターとして、ベンジル−(N,N−ジエチル)ジチオカルバメートを、溶媒として、トルエン等を用いてよく、近紫外線の照射によりリビング重合を行ってよい。ここで、1番目のモノマーによる重合後、単離操作を経て、2番目のモノマーによる重合を行うことによって、ブロック共重合体を得ることができる。
更には、イオン重合を用いる場合、触媒として、NaOH粉末を、溶媒として、精製に用いられる再沈殿用溶媒と共に非プロトン系溶媒を用いてよい。1番目のモノマーによる重合後、再沈殿操作(この操作後もω末端にイオン種が残る)を経て、2番目のモノマーによる重合を行うことによって、ブロック共重合体を得ることができる。
(温度応答性ポリマー)
(B)の温度応答性ポリマーは、上記(B)の製造方法により製造される。
(B)の温度応答性ポリマーは、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)単位と、カチオン性モノマー単位と、アニオン性モノマー単位とを含み、任意選択的に、他のモノマー単位を含む。本ポリマーは、前述の一例、別の例の製造方法により製造することができる。
好適には、(B)の温度応答性ポリマーは、主としてN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)単位を含み、任意選択的に他のモノマー単位を含むポリマーブロック(重合鎖α末端)と、主としてカチオン性モノマー単位と、アニオン性モノマー単位とを含み、任意選択的に他のモノマー単位を含むコポリマーブロックとを含む。更に好適には、(B)の温度応答性ポリマーは、NIPAMのホモポリマーブロックと、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含み、特に好適には、これらブロックからなる。本ポリマーは、前述の一例の製造方法により製造することができる。
従来の温度応答性ポリマーのうちの1つ(特開2014−162865号公報参照)では、ポリマーに温度応答性を与えるDMAEMAが、同時に、(アニオン性モノマーと共に)細胞構造体の形成に必要となるカチオン性モノマーであり、また、温度応答性に関わるDMAEMAは、ポリマーブロックとして重合鎖α末端に含まれている。
かかる温度応答性ポリマーでは、重合鎖α末端に必ずカチオン性モノマーが存在することから、重合鎖中におけるカチオン性サイトの位置の調整の自由度が高くはなく、また、カチオン性モノマーが主としてDMAEMAに限られることから、カチオン性サイトの陽電荷強度の調整や、温度応答性ポリマー水溶液のpHの調整も必ずしも容易とは言えなかった。
そして、上記温度応答性ポリマーを、例えば、温度応答性ポリマーを薬物送達(DDS)に用いた場合、担持可能な薬剤の種類や量が限られる可能性があった。DDSの手法としては、例えば、細胞培養器に薬剤を担持させた温度応答性ポリマーを塗布して、塗布後の細胞培養器で細胞や組織を培養することによって、被覆物から細胞・組織に対して薬剤を徐放するといった手法等が挙げられる。ここで、上記従来の温度応答性ポリマーでは、陽電荷強度が小さいDMAEMAを含むため、アニオン性物質の薬剤の担持は必ずしも容易とは言えず、担持可能な薬剤の種類や量が限られる可能性があった。
一方、(B)の温度応答性ポリマーでは、ポリマーに温度応答性を与えるNIPAMは中性のモノマーであり、(アニオン性モノマーと共に)細胞構造体の形成に必要となるカチオン性モノマーはNIPAMとは異なるモノマーである。
(B)の温度応答性ポリマーでは、重合鎖α末端に必ずしもカチオン性モノマーが存在する必要はなく、重合鎖中におけるカチオン性サイトの位置を自由に調整することが可能であり、また、広範なカチオン性モノマーを用いることができるため、カチオン性サイトの陽電荷強度や温度応答性ポリマー水溶液のpHを容易に調整することが可能である。
(B)の温度応答性ポリマーによれば、例えば、温度応答性ポリマーを薬物送達(DDS)に用いた場合、担持可能な薬剤の種類を拡大しつつ、その量を増加させることが可能となり、ひいては、温度応答性ポリマーの応用範囲を拡大することができる。
(B)の温度応答性ポリマーでは、NIPAM単位の、NIPAM単位、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位の合計に対する割合(モル)が、0.6〜0.9であることが好ましく、0.7〜0.9であることが更に好ましく、0.9であることが特に好ましい。
他のモノマーも用いた場合には、他のモノマー単位の、NIPAM単位、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位の合計に対する割合(モル)が、0.001〜0.2であることが好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。
(B)の温度応答性ポリマーとしては、重合鎖α末端のポリマーブロック(例えば、NIPAMのホモポリマーブロック)の数平均分子量が5000Da以上であることが好ましく、20000Da以上であることが更に好ましい。
(B)の温度応答性ポリマーとしては、数平均分子量(Mn)が、10〜500kDaである分子が好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.1〜10.0である分子が好ましい。
温度応答性ポリマーの分子量は、重合条件により、適宜調整することができる。
(B)の温度応答性ポリマーによれば、曇点を、例えば室温(25℃)以下に、低下させることができる。
上記温度応答性ポリマーでは、曇点以上の温度で形成された温度応答性ポリマーの不溶化物が、室温(約25℃)条件下で再溶解するまでの時間が顕著に遅延する。これは、得られた温度応答性ポリマーは、分子内にカチオン性官能基とアニオン性官能基とが存在するため、高い自己凝集性を有するためであると推定される。
特に、前述の(B)の温度応答性ポリマーは、重合鎖α末端に、高分子量を有するNIPAMのホモポリマーブロックを備えるため、NIPAMの側鎖の温度依存的なグロビュール転移が生じやすく、曇点を効果的に低減することが可能となると考えられる。
また、この温度応答性ポリマーを用いて、後述するように、培養面にこの温度応答性ポリマーを被覆してなる細胞培養器を調製することができる。
更に、(B)の温度応答性ポリマーによれば、後述するように、細胞を適切な培養条件で培養することにより、リング状又は管腔状等の立体組織体を形成させることができる。
(B)の温度応答性ポリマーが有する、カチオン性官能基の官能基数と、アニオン性官能基の官能基数との比(C/A比)は、0.5〜32であることが好ましく、4〜16であることが更に好ましい。
C/A比を上記範囲とすれば、曇点を低減させるという上記効果が得られやすい。上記C/A比を有する温度応答性ポリマーでは、上記温度応答性ポリマー中でカチオン性官能基とアニオン性官能基とが、イオン結合的に分子間及び/又は分子内の凝集に作用して、温度応答性ポリマーの凝集力が強くなった結果であると推測される。
また、C/A比を上記範囲とすれば、上記温度応答性ポリマー中の正電荷と負電荷とのバランスを特に好適にして、正電荷による細胞傷害性を抑制することができ、また、上記温度応答性ポリマーの親水性と疎水性とのバランスを特に好適にして、細胞の遊走や配向を生じやすくすることができるものと推定される。
以下、上記(C)の温度応答性ポリマー及びその製造方法について記載する。
(温度応答性ポリマー組成物の製造方法)
(C)の温度応答性ポリマー組成物の製造方法は、まず、混合型温度応答性ポリマー組成物を調製する(混合物調製工程)。具体的には、(C1)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及び/又はその誘導体の重合体と、(C2)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)と、(C3)核酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、硫酸化多糖類、カードラン及びポリアルギン酸並びにこれらのアルカリ金属塩からなる群から選択される一種以上のアニオン性物質とを混合する。なお、(C2)トリスは任意選択的な成分である。
(温度応答性ポリマー組成物)
(C)の温度応答性ポリマー組成物は、上記の通り、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はその誘導体の重合体と、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールと、核酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、硫酸化多糖類、カードラン及びポリアルギン酸並びにこれらのアルカリ金属塩からなる群から選択される一種以上のアニオン性物質とを含む。
(C1)のDMAEMA及び/又はその誘導体の重合体は、温度応答性ポリマーであり、その曇点は32℃である。(C2)のトリスは、曇点の若干の低下、及び/又は曇点よりも高温で形成されたポリマーが、曇点以下に冷却された際に再溶解する速度を低減させる役割を果たし、また、疎水化されたポリマー層中でも親水性を維持しながら、アミノ基に由来する陽電荷により細胞に刺激を与える役割を果たすと推定される。(C3)のアニオン性物質は、培養する細胞の遊走や配向を可能にする役割や細胞傷害性を抑制する役割を果たすと推定される。
この混合型温度応答性ポリマー組成物によれば、曇点を室温(25℃)以下に低減させることができる。
上記組成物では、DMAEMA及び/又はその誘導体の重合体の側鎖とトリスとが、互いに相互作用(例えば、架橋する作用)して、上記重合体が凝集しやすくなっていると推定される。
ここで、上記(C1)について、DMAEMA及び/又はその誘導体の重合体としては、数平均分子量(Mn)が、10〜500kDaである分子が好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.1〜6.0である分子が好ましい。
また、(C1)のDMAEMAの誘導体としては、例えば、メタクリレートのメチル基の水素原子をハロゲン置換した誘導体、メタクリレートのメチル基を低級アルキル基で置換した誘導体、ジメチルアミノ基のメチル基の水素原子をハロゲン置換した誘導体、ジメチルアミノ基のメチル基を低級アルキル基で置換した誘導体が挙げられる。
上記(C2)について、トリスは、純度99.9%以上の純物質であるか、又は、トリス水溶液を、アルカリ性物質の添加等により、使用時に中性又は塩基性とすることが好ましい。トリスは、塩酸塩の状態で市販されているところ、これを用いた場合には、トリス水溶液のpHが下がるため、組成物の曇点が70℃程度にまで上昇してしまう。そのため、トリス塩酸塩は好ましくない。
上記(C3)に列挙したアニオン性物質のうち、核酸は、DNA、RNA、その他1本鎖、2本鎖、オリゴ体、ヘアピン等の人工核酸等が挙げられる。
また、上記(C3)に列挙したアニオン性物質は、ある程度の大きさ、例えば1〜5,000kDaの分子量(M)を有していることが好ましい。
分子量を上記範囲とすれば、アニオン性物質は、カチオン性物質とイオン結合して、カチオン性物質を、長時間捕捉する役割を果たすことができ、安定したイオン複合体微粒子を形成させることがでる。また、一般的にカチオン性物質が有する、細胞の細胞膜表面に対する静電的相互作用に起因する細胞傷害性を緩和することもできる。
(C3)に列挙したアニオン性物質の他にも、例えば、カチオン性ポリマーであるポリ(4−アミノスチレン)の4−位のアミノ基に対してシュウ酸等のジカルボン酸を脱水縮合させることによって、アニオン性官能基を導入した、実質的にアニオン性物質として機能するポリマー誘導体も、用いることができる。
なお、上記(C3)に列挙したアニオン性物質は、二種以上含まれていてもよい。
ここで、(C1)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及び/又はその誘導体の重合体に対する、(C2)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)の割合((C2)/(C1))が、1.0以下とした混合型温度応答性ポリマー組成物を用いることが好ましい。
なお、割合((C2)/(C1))は、質量割合であるものとする。
上記割合の混合型温度応答性ポリマー組成物を用いた場合、後述の培養工程で、立体組織体を形成しやすくすることができる。
この組成物によれば、上記組成物の親水性と疎水性とのバランスを更に好適にすることができる。そして、この好適なバランスが、培養面への細胞の接着性を好適に調整し、細胞の遊走や配向を活性化していると推定される。
また、上記割合((C2)/(C1))は、0.1以上あることが好ましい。
上記割合を0.1以上とすることにより、曇点を低減させるという上記効果が得られやすい。また、立体組織体を形成しやすくするという上記効果が得られやすい。
上記と同様の理由により、上記割合((C2)/(C1))は、0.1〜0.5であることが更に好ましい。
ここで、混合型温度応答性ポリマー組成物中のC/A比(正電荷/負電荷)が、0.5〜16であることが好ましい。
なお、本願明細書では、C/A比とは、組成物中に含まれる物質が有する正電荷の、組成物中に含まれる物質が有する負電荷に対する割合を指す。具体的には、C/A比は、(C1)DMAEMA及び/又はその誘導体の重合体のモル数をN1、(C3)アニオン性物質のモル数をN3としたときに、{(重合体1分子当たりの正電荷)×N1}/{(アニオン性物質1分子当たりの負電荷)×N3}という式で表される。
またなお、本願明細書では、アニオン性物質をDNAとした場合、アニオン性物質1分子当たりの負電荷数は、DNAの塩基対の数(bp数)×2で計算し、分子量(Da)は、bp数×660(ATペア及びCGペアの平均分子量)で計算するものとする。
C/A比を0.5〜16とすることにより、リング状又は管腔状等の立体組織体を形成させやすくするという上記効果が得られやすくなる。
上記組成物中の正電荷と負電荷とのバランスを好適にして、正電荷による細胞傷害性を抑制することができると推定される。また、上記組成物の親水性と疎水性とのバランスを更に好適にして、細胞の遊走や配向を生じやすくすることができると推定される。
上記と同様の理由により、上記C/A比は、2〜10とすることが更に好ましく、特にC/A比は8付近であることが最も好ましい。
−被覆培養面準備工程−
上記被覆培養面準備工程は、上記温度応答性ポリマー又は上記温度応答性ポリマー組成物で、培養面を被覆して、被覆培養面を準備する工程である。
上記被覆培養面準備工程は、例えば、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物を、溶媒に溶解して、温度応答性ポリマー溶液としてから、培養面上に塗布し、乾燥させて被覆培養面を準備する工程(被覆培養面準備工程I)としてもよく、また、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物を含む水溶液(温度応答性ポリマー水溶液)を温度応答性ポリマーの曇点以下に冷却し、冷却した温度応答性ポリマー水溶液を培養面上に流延させ、曇点超の温度まで加熱して、被覆培養面を準備する工程(被覆培養面準備工程II)としてもよい。
上記被覆培養面準備工程Iにおける温度応答性ポリマー溶液における溶媒としては、例えば、水;生理食塩水;緩衝液;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、サリチルアルコール等のアルコール;アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルビニルケトン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロペンタノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、イソホロン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸ビニル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、上記アルコールとリン酸のエステル、上記アルコールと炭酸のエステル等のエステル;クロロホルム;ベンゼン;トルエン;ジエチルエーテル;ジクロロメタン;等が挙げられる。
中でも、培養面に均一に被覆しやすく、また、温度応答性ポリマーの溶解性に優れるという観点から、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、アリルアルコール等のアルコール;アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルビニルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert−ブチル、酢酸ビニル等のエステル;クロロホルム;ベンゼン;トルエン;ジエチルエーテル;ジクロロメタンが好ましい。また、短時間で乾燥させることができ、培養面に一層均一に塗布しやすいという観点から、沸点が低い有機溶媒(例えば、炭素数1〜4の低級アルコール、炭素数3〜5の低級ケトン、及び炭素数1〜4のアルキル基を有する酢酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種、特に、水より沸点が低い、炭素数1〜4の低級アルコール、炭素数3〜5の低級ケトン、及び炭素数1〜4のアルキル基を有する酢酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種)がさらに好ましく、コスト、操作性にも優れる観点から、メタノール、エタノールが特に好ましい。
上記溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、温度応答性ポリマーの溶解性に優れるため、曇点以上の温度(例えば、室温や37℃等)にしても、温度応答性ポリマーが不溶化して沈殿しにくい。そのため、温度応答性ポリマーを塗布する際に、温度応答性ポリマー溶液の温度管理をする手間が省け、簡易に被覆培養面を準備することができる。
上記被覆培養面準備工程Iにおいて、温度応答性ポリマー溶液には、使用する細胞種によって、例えば、接着性の強い間葉系細胞や、凝集力が弱い癌細胞の場合、細胞が自己凝集しやすくなるという観点から、親水性分子が含まれることが好ましい場合がある。親水性分子としては、温度応答性ポリマーのC/A比に影響しない非イオン性かつ親水性であるもの、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ジメチルアクリルアミド(DMAA)、グリセリン、TritonX、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
上記被覆培養面準備工程Iにおいて、温度応答性ポリマー溶液中の温度応答性ポリマーの含有量は、温度応答性ポリマーが培養面に均一に被覆されやすくなるという観点から、温度応答性ポリマー溶液(100質量%)に対して、0.0010〜3.0質量%であることが好ましく、0.0012〜2.5質量%であることがより好ましい。
上記被覆培養面準備工程Iにおいて、温度応答性ポリマー溶液中の親水性分子の含有量は、細胞が自己凝集しやすくなるという観点から、温度応答性ポリマー(100質量%)に対して、0.00001〜0.00015質量%であることが好ましく、0.00003〜0.0001質量%であることがより好ましい。
上記被覆培養面準備工程Iにおいて、温度応答性ポリマー溶液は、培養面の全面に塗布してもよいし、培養面の一部に塗布してもよい。培養面の一部に温度応答性ポリマー溶液を塗布する場合は、培養面上に、被覆培養面を1個設けてもよいし、複数の被覆培養面を設けてもよい。なお、培養面の一部に温度応答性ポリマー溶液を塗布する場合は、培養面が細胞非接着性である細胞培養器を用いることが好ましい。
上記被覆培養面準備工程Iにおいて、塗布した温度応答性ポリマー溶液を乾燥させる条件としては、培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物を均一に被覆する観点から、大気圧下、温度10〜70℃、時間1〜3,000分が好ましい。塗布した温度応答性ポリマー溶液を、素早く乾燥させることにより、培養面上に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物が偏ることなく、均一に被覆されやすくなる。
塗布した温度応答性ポリマー溶液は、例えば、細胞培養器を37℃又は40℃のインキュベーター中で静置することによって乾燥させてもよい。
上記被覆培養面準備工程IIにおいて、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物を溶解する溶媒としては、例えば、水;生理食塩水;リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝液等の緩衝液;等が挙げられる。
上記被覆培養面準備工程IIにおいて、温度応答性ポリマー水溶液を冷却する方法としては、例えば、温度応答性ポリマー水溶液を約4℃の冷蔵庫に入れて曇点以下の温度まで冷却する方法等が挙げられる。
上記被覆培養面準備工程IIにおいて、温度応答性ポリマー水溶液を培養面上に流延させる方法としては、例えば、曇点以下の温度を有する温度応答性ポリマー水溶液を、培養面を傾けることによって伸ばす方法、スパチュラを用いて温度応答性ポリマー水溶液を延ばす方法等が挙げられる。
上記被覆培養面準備工程IIにおいて、流延した温度応答性ポリマー水溶液を曇点超まで加熱する方法としては、例えば、流延工程後の培養面を37℃のインキュベーター中で静置する方法等が挙げられる。
[立体組織体の作製方法]
本実施形態の立体組織体の作製方法には、上述の本実施形態の立体組織体の作製装置を用いる。
本実施形態の立体組織体の作製方法は、上記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程(本明細書において「1回目の播種工程」と称する場合がある)と、播種した上記細胞を培養して、上記心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程(本明細書において「1回目の培養工程」と称する場合がある)と、を含む。
なお、本明細書において、1回の播種、培養工程で得られた、心棒の周囲に巻き付いた立体組織体を「リング状の立体組織体」、リング状の立体組織体が複数積み重なった立体組織体を「管腔状の立体組織体」と称する場合がある。
なお、1回目の播種工程、1回目の培養工程の操作は、ヒトの手で操作しないことで、より無菌的、衛生的に操作できる可能性があるという観点から、コンピューター等を用いて制御し、自動的に行ってもよい。
(1回目の播種工程)
上記播種工程で播種する細胞として、例えば、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等の血管細胞、心筋細胞、軟骨細胞、神経細胞、脂肪細胞、脂肪幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、腎細胞、平滑筋細胞、iPS細胞、ES細胞等が挙げられる。細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体を製造する場合、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等の血管細胞、心筋細胞、軟骨細胞、神経細胞、脂肪細胞、脂肪幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、腎細胞、平滑筋細胞が好ましく、線維芽細胞、間葉系細胞がより好ましい。上記細胞は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、血管内皮細胞、平滑筋細胞を用いることにより、人工血管を得ることができる。また、軟骨細胞、線維芽細胞を用いることにより、人工気管を得ることができる。また、細胞外マトリックスを構成する物質等の細胞から分泌された物質を含む立体組織体を製造する場合、SV40プロモーター等のプロモーターを有し、エラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスを構成するタンパク質を発現する遺伝子を組み込んだ発現ベクターを導入した、LargeT抗原を発現する樹立細胞(例えば、COS細胞等)を用いてもよい。COS細胞等の上記樹立細胞を用いると、導入した遺伝子のコピーが支持可能となり、多量の遺伝子発現により効率良く、細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体を製造できる。
上記播種工程において、播種後の全細胞の被覆培養面上の密度は、上記被覆培養面の表面積に対して、90〜100%コンフルエントが好ましく、より好ましくは95〜100%コンフルエント、さらに好ましくは99〜100%コンフルエントである。播種した細胞は、増殖をする際に性質が変化する場合がある。播種する細胞密度が上記範囲であると、播種した細胞が増殖しにくくなり、細胞が増殖する前に心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を形成することができるため、播種時と同じ性質の細胞を含む立体組織体を形成することができる。
細胞の種類にもよるが、播種後の全細胞の被覆培養面上の密度としては、20〜15,000個/mmが好ましい。なお、播種される細胞は、生きた細胞とする。
上記播種工程において、播種した細胞が培養面より下側に分散せず、被覆培養面に細胞が接着しやすくなる観点から、培養面の外側端部に壁面を設けてもよい。また、本実施形態の立体組織体の作製装置を、培養面の外径よりも大きな内径を有する容器に入れてもよい(図4参照)。これにより、播種した細胞が、培養面よりも下側に落ちにくくなり、播種した細胞を被覆培養面に接着させることができる。なお、培養面の外径と、上記容器の内径との差は、播種した細胞が隙間から落ちにくく、培地の拡散を阻害しないという観点から、15.0mm以下が好ましい。
細胞の播種は、例えば、37℃のインキュベーター中に静置しておいた立体組織体の作製装置を、室温のクリーンベンチに取り出して、行うことができる。
なお、細胞は培地に希釈して播種することが好ましい。希釈する培地としては、細胞の培養が可能な培地であれば、特に限定されない。
(1回目の培養工程)
播種した細胞を培養する条件としては、例えば、一般的な37℃の細胞インキュベーターを用いて行うことができる。細胞の培養は、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られるまで続けることが好ましく、具体的には、10〜96時間培養することが好ましく、15〜48時間培養することがより好ましい。
上記被覆培養面に接着、培養した細胞は、被覆培養面の内側に向かって自己凝集をし、心棒の周囲にリング状の形態で巻き付く。心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体は、その立体組織体内に生存している細胞を有する。
心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体としては、細胞を主成分とする立体組織体が挙げられ、細胞からなる立体組織体であってもよい。また、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体は、細胞外マトリックスを構成するタンパク質等を分泌して細胞外マトリックスを構築し、細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体であってもよい。また、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体は、細胞から分泌された物質(例えば、細胞外マトリックスを構成するタンパク質等のタンパク質等)を含む立体組織体であってもよく、細胞から分泌された物質を主成分とする立体組織体であることが好ましく、細胞から分泌された物質のみからなる立体組織体であってもよい。上記細胞から分泌された物質としては、例えば、タンパク質、糖、脂質等が挙げられ、タンパク質が好ましい。
ここで、「主成分とする」とは、立体組織体の質量(100質量%)に対して、50質量%超をいい、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
全ての被覆培養面に細胞を播種し、播種した細胞を培養して立体組織体を得ることが好ましい。
(培養面移動工程)
本実施形態の立体組織体の作製方法は、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体が得られた後に、上記培養面を上記心棒の延在方向に移動させる培養面移動工程と、上記移動後の上記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程(本明細書において「2回目以降の播種工程」と称する場合がある)と、播種した上記細胞を培養して、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体に隣接する、上記心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程(本明細書において「2回目以降の培養工程」と称する場合がある)と、の繰り返しを更に含むことが好ましい。即ち、1回目の播種工程、1回目の培養工程を経て、リング状の立体組織体が得られた後に、培養面移動工程と2回目以降の播種工程と2回目以降の培養工程との繰り返しを含んでいてもよい。
なお、培養面移動工程、2回目以降の播種工程、2回目以降の培養工程の操作は、ヒトの手で操作しないことで、より無菌的、衛生的に操作できる可能性があるという観点から、コンピューター等を用いて制御し、自動的に行ってもよい。
培養面移動工程は、前回の播種工程において、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体が得られた後に設けられる工程である。培養面移動工程は、前回の培養工程において、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体が得られた直後に設けられてもよいし、間隔(例えば、1分〜96時間の間隔等)をあけて設けられてもよい。
上記培養面移動工程において、培養面を心棒の延在方向に移動させる距離としては、0.01〜50mmが好ましく、0.1〜10mmがより好ましい。
なお、1回目の播種工程、1回目の培養工程を経て得られたリング状の立体組織体と、2回目の播種工程、2回目の培養工程を経て得られたリング状立体組織体とは、互いに細胞同士が接着していてもよいし、離れていてもよい。離れている2つのリング状の立体組織体間の距離としては、培養面を心棒の延在方向に移動させる上記距離が挙げられる。リング状の立体組織体内の細胞が伸縮・遊走等をして、2つのリング状の立体組織体内の細胞同士が接着し、2つのリング状の立体組織体がつながる;2つのリング状の立体組織体内の細胞が分泌する物質(例えば、タンパク質等)を介して2つのリング状の立体組織体がつながる;別途作製したタンパク質、細胞等を2つのリング状の立体組織体間に加えて2つのリング状の立体組織体がつなげる;これらの組み合わせにより、2つのリング状の立体組織体がつなげる;等により、離れている2つのリング状の立体組織体を容易につなげることができる。なお、培養面の移動の際は、培養面を固定して心棒を動かしてもよいし、心棒を固定して培養面を動かしてよいし、培養面及び心棒を動かしてもよい。
なお、立体組織体の厚みを制御する観点から、例えば、培養面移動工程を設けずに、2回目以降の播種工程及び2回目以降の培養工程、又は2回目以降の播種工程及び2回目以降の培養工程の繰り返しを設けることにより、前回の播種工程で得られた、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体の周囲に、更に他のリング状の立体組織体を巻き付けて、立体組織体の一部を厚くすることも可能である。
また、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体の周囲に、更に他のリング状の立体組織体を巻き付けた後に、培養面移動工程を設け、同様の操作を続けることにより、立体組織体の全体を厚くすることも可能である。心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を形成する細胞と、その周囲に巻き付くリング状の立体組織体を形成する細胞の種類を変えることで、異なる細胞の層を有する立体組織体を得ることができる。
(2回目以降の播種工程)
上記2回目以降の播種工程としては、1回目の播種工程と同様の工程が挙げられる。
上記2回目以降の播種工程で用いる細胞の種類、濃度等は、1回目の播種工程と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、2回目以降の播種工程で用いる細胞の種類、濃度等は、2回目以降の各回の播種工程で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(2回目以降の培養工程)
播種した細胞を培養する条件としては、上述の1回目の培養工程と同様の条件が挙げられる。
上記2回目以降の培養工程の条件等は、1回目の培養工程と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、2回目以降の培養工程の条件等は、2回目以降の各回の培養工程で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
2回目以降の培養工程により、前回の培養工程において得られた、心棒の周囲に巻き付いたリング状の上記立体組織体(前回のリング状の立体組織体)に隣接する、新たな心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体(新たなリング状の立体組織体)が形成される。前回のリング状の立体組織体と、新たなリング状の立体組織体とは、例えば、37℃で1時間〜30日間培養することで互いに接着し、管腔状の立体組織体が得られる。
上記培養面移動工程、上記2回目以降の播種工程、上記2回目以降の培養工程の繰り返し数は、管腔状の立体組織体の厚さ、長さによって適宜選択することができ、例えば、1〜20回の繰り返しが好ましく、1〜10回の繰り返しがより好ましい。
細胞外マトリックスを含む立体組織体等の播種工程で播種した細胞から分泌された物質(特に、タンパク質)を含む立体組織体を製造する場合、例えば、培養工程後に、立体組織体に含まれる細胞を除去する工程を設けてもよい。立体組織体に含まれる細胞を除去する方法としては、例えば、高圧処理、アルコール処理、界面活性剤処理等の処理や、細胞が生存困難な条件での培養等で細胞を死滅させる方法等が挙げられる。立体組織体に含まれる細胞を除去する工程を設けることにより、立体組織体中の少なくとも一部の細胞を除去することができる。
また、複数種の細胞を用いて立体組織体を製造し、特定の細胞だけを除去(例えば、軟骨細胞と、細胞外マトリックスを構成するタンパク質を発現する遺伝子を組み込んだCOS細胞とを含む立体組織体から、COS細胞のみを除去)してもよい。特定の細胞だけを除去する方法としては、例えば、細胞の抗生物質への感受性を増大させて抗生物質を含む培地で培養する、得られる立体組織体中に残したい細胞へのみ抗生物質への耐性を付与して抗生物質を含む培地で培養する等の、特定の細胞のみが生存可能又は生存困難な条件で培養をする等の方法が挙げられる。
本実施形態の立体組織体の作製方法で得られる立体組織体は、リング状の立体組織体であってもよいし、管腔状の立体組織体であってもよい。立体組織体の内径は、0.01〜100mmであることが好ましく、0.1〜50mmであることがより好ましい。また、立体組織体の外径は、0.1〜120mmであることが好ましく、0.2〜70mmであることがより好ましい。管腔状の立体組織体の長さは、0.1〜300mmであることが好ましく、1〜250mmであることがより好ましい。
本実施形態の立体組織体の作製方法で得られる立体組織体は、細胞を主成分とする立体組織体であってもよいし、細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体等の細胞から分泌された物質を含む立体組織体であってもよい。
細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体の作製に好ましい条件としては、例えば、i)コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン等の細胞マトリックスの産生能が高い細胞(例えば、線維芽細胞、間葉系細胞等)を用いる、ii)細胞外マトリックスの産生を促成するアスコルビン酸を培地に添加する、iii)細胞の播種密度を下げて、細胞に対する細胞外マトリックスの比率を高くする、iv)心棒の周囲に巻き付いたリング状又は管腔状等の立体組織体を培養する時間を増やす(例えば、上記1回目の培養工程、及び又は上記2回目の培養工程において24〜350時間(好ましくは48〜170時間)培養する)ことで細胞外マトリックスの産生(分泌)量を増やし、細胞外マトリックスの結合(例えば、コラーゲン線維の結合)を成熟させる、v)表面に孔を有する心棒を用いることで、細胞へ栄養と酸素とを安定して供給し、且つ細胞の代謝物を培地中へ拡散しやすくすることで細胞外マトリックスの産生を促す、vi)培養面移動工程における培養面の移動距離を大きくすることで心棒の延在方向の細胞密度を低くする、等の条件が挙げられる。
得られる細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体としては、例えば、人工血管、人工気管等に用いることも可能な、コラーゲン性の管腔状のバイオチューブ等が挙げられる。
本実施形態の立体組織体は、例えば、人工血管、人工気管等に用いることができる、播種工程において播種した細胞を含む立体組織体;細胞から分泌されたタンパク質を主成分とする立体組織体、細胞外マトリックスを含む立体組織体、細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体等の、細胞から分泌された物質を含む立体組織体;等が挙げられる。
人工血管に用いることができる立体組織体としては、例えば、以下の方法で得られる立体組織体が挙げられる。
1回目の播種工程、1回目の培養工程で、心棒の周囲に血管内皮細胞のリング状の立体組織体(例えば、2〜3回、血管内皮細胞の播種工程、培養工程を続けることで、厚い血管内皮細胞のリング状の立体組織体としてもよい)を得た後に、2回目の播種工程、2回目の培養工程で、上記血管内皮細胞のリング状の立体組織体の周囲に、平滑筋細胞のリング状の立体組織体(例えば、3〜30回、平滑筋細胞の播種工程、培養工程を続けることで、厚い平滑筋細胞の立体組織体としてもよい)を巻き付けて、心棒の周囲の血管内皮細胞の層と、血管内皮細胞の層の外側の平滑筋細胞の層とを有する2層構造のリング状の立体組織体としてもよい。さらに、培養面移動工程を設けて、同様の操作を行うことにより、内壁に血管内皮細胞の層、その外周に平滑筋細胞の層を有する、生体中の血管と類似構造を有する、2層構造のリング状又は管腔状の立体組織体を得ることができる。
また、上記立体組織体において、各層を形成する細胞が混ざりにくくなる観点、及び血管の強度、柔軟性を調整する観点から、例えば、血管内皮細胞の層を形成する工程と、平滑筋細胞の層を形成する工程との間に、間葉系幹細胞や線維芽細胞等のコラーゲン、エラスチンを分泌する細胞を播種、培養する工程を設ける;血管内皮細胞の層を、コラーゲンのチューブやエラスチンのチューブ(例えば、本実施形態の立体組織体の製造方法で製造された細胞から分泌されたタンパク質を含む立体組織体等)で被覆する;等の方法により、血管内皮細胞の層と平滑筋細胞の層との間に、コラーゲン、エラスチン等を主成分とする(特に、エラスチンを主成分とする)、血管内皮細胞と平滑筋細胞とが混ざりにくくする、バリアとしての機能を有する層を配置することもできる。生体の血管中に見られる内弾性板のような、バリアとしての機能を有する上記層を配置することにより、遊走性を有する細胞が立体組織体を形成した後に各層間を移動することを防ぎ、一層生体の血管に近い構造を有する立体組織体が得られる。
人工気管に用いることができる立体組織体としては、例えば、以下の方法で得られる立体組織体が挙げられる。
第1の播種工程、第1の培養工程により、軟骨細胞のリング状の立体組織体(a)を得た後に、培養面移動工程を設けて、第2の播種工程、第2の培養工程により、軟骨細胞のリング状の立体組織体に隣接する、新たな線維芽細胞のリング状の立体組織体(b)が形成される。上記工程を適宜繰り返すことにより、例えば、心棒の延在方向に、a−b−b−a−b−b等の順にリング状の立体組織体が重なった管腔状の立体組織体を得ることができる。なお、リング状の立体組織体間には、細胞外マトリックスを主成分とするリング状の立体組織体、細胞から分泌された物質を含む立体組織体、細胞外マトリックスを構成する成分等の物質を分泌する細胞を含むリング状の立体組織体等を設けてもよい。また、強度を調整する観点から、得られた管腔状の立体組織体を、コラーゲンのチューブやエラスチンのチューブ(例えば、本実施形態の立体組織体の製造方法で製造された細胞から分泌されたタンパク質を含む立体組織体等)で被覆してもよい。
なお、軟骨細胞のリング状の立体組織体のみを用いた場合でも、軟骨細胞から分泌される細胞外マトリックスで、軟骨細胞のリング状の各立体組織体が連結され、人工気管を形成することができる。人工気管の強度の観点、及び移植後に血管が這い込みやすくなるという観点から、人工気管は、軟骨細胞のリング状の立体組織体と線維芽細胞のリング状の立体組織体とを含むことが好ましい。
細胞から分泌された物質を含む立体組織体としては、例えば、以下の方法で得られるタンパク質(例えば、細胞外マトリックスを構成するタンパク質)等の物質を含む立体組織体が挙げられる。
SV40プロモーターの配列を有し、エラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスを構成するタンパク質を発現する遺伝子を組み込んだ発現ベクターを導入した、COS細胞を用いてリング状又は管腔状の立体組織体を形成し、COS細胞からタンパク質等を分泌させる。培養工程後に、高圧処理、アルコール処理、界面活性剤処理等の処理や、COS細胞が生存困難な条件(例えば、COS細胞の抗生物質への感受性を増大させて、抗生物質を含む培地でCOS細胞を培養する等)での培養等で死滅させる等の方法により、COS細胞を死滅させ、除去する。なお、本実施形態の立体組織体は、細胞が完全に除去されていない、死滅した細胞、生存している細胞等を含む立体組織体であってもよい。
得られた細胞外マトリックスを構成するタンパク質を含む立体組織体は、例えば、本実施形態の製造方法で得られる立体組織体の強度を補強する被覆材料、人工血管、心筋パッチ、欠損部補填材等に用いることができる。
以下に、本実施形態の立体組織体の作製方法の一例について、図5、図6、図10を用いて説明する。
図5は、本実施形態の一例の立体組織体の作製方法の概略図である。
培養面の貫通孔に、心棒が挿通している立体組織体の作製装置(図5(i)参照)の培養面に、温度応答性ポリマーを塗布して、被覆し、被覆培養面を準備する(図5(ii)参照)。なお、この例では、培養面と心棒とは接している。その後、立体組織体の作製装置を、培養面の外径よりわずかに大きい内径を有する容器に入れ、培地に浸し、細胞を播種する(1回目の播種工程、図5(iii)参照)。播種した細胞は、被覆培養面に接着する(図5(iv)参照)。なおこの例では、細胞の密度は、100%コンフルエントである。その後、被覆培養面に接着した細胞は、被覆培養面中央部に向かって凝集し始め、端部が被覆培養面から離れて反り返り始めて、端部が反り返った細胞構造体となる(図5(v)参照)。その後、更に凝集を続けてリング状となり、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られる(図5(vi)参照)。ここで、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体は、心棒からずれ落ちない程度に心棒に巻き付いているため、心棒が細胞接着性でない場合でも、立体組織体の作製中に巻き付いた位置が大きく変わることはない。その後、培養面を心棒の延在方向下側に移動させ、得られたリング状の立体組織体の下側に隣接する、他のリング状の立体組織体を形成する隙間を設ける(培養面移動工程、図5(vii)参照)。その後、再度細胞を播種し(2回目の播種工程、図5(viii)参照)、培養することでリング状の立体組織体が積層した管腔状の立体組織体が得られる。培養面移動工程、2回目以降の播種工程、2回目以降の培養工程を繰り返すことにより、長い管腔状の立体組織体が得られる(図5(ix)参照)。
なお、上記の例において、例えば、播種する細胞数を少なくしたり、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られた後に静置して細胞外マトリックスを構成するタンパク質の分泌を待つこと等により、細胞外マトリックスを主成分とする立体組織体を得ることもできる。なお、上記の全て、又は一部の工程を、コンピューター等を用いて制御し、自動的に行ってもよい。
図6は、培養面と心棒との間に隙間がある立体組織体の作製装置を用いた、本実施形態の一例の立体組織体の作製方法の概略図である。
培養面の貫通孔に、心棒が挿通している立体組織体の作製装置(図6(i)参照)の培養面に、温度応答性ポリマーを塗布して、被覆し、被覆培養面を準備する(図6(ii)参照)。なお、この例では、心棒の径は、貫通孔の孔径よりも小さく、培養面と心棒との間に隙間がある。その後、立体組織体の作製装置を、培養面の外径よりわずかに大きい内径を有する容器に入れ、培地に浸し、細胞を播種する(1回目の播種工程、図6(iii)参照)。播種した細胞は、被覆培養面に接着する(図6(iv)参照)。なおこの例では、細胞の密度は、100%コンフルエントである。その後、被覆培養面に接着した細胞は、被覆培養面中央部に向かって凝集し始め、端部が被覆培養面から離れて反り返り始めて、端部が反り返った細胞構造体となる(図6(v)参照)。その後、更に凝集を続けてリング状となり、凝集する細胞構造体は、培養面と心棒との間には隙間を飛び越えるようにして、心棒の周囲に巻き付き、リング状の立体組織体を形成する(図6(vi)参照)。その後、培養面を心棒の延在方向上側に移動させ、得られたリング状の立体組織体の上側に隣接する、他のリング状の立体組織体を形成する隙間を設ける(培養面移動工程、図6(vii)参照)。その後、再度細胞を播種し(2回目の播種工程、図6(viii)参照)、培養することでリング状の立体組織体が積層した管腔状の立体組織体が得られる。培養面移動工程、2回目以降の播種工程、2回目以降の培養工程を繰り返すことにより、長い管腔状の立体組織体が得られる(図6(ix)参照)。
なお、上記の全て、又は一部の工程を、コンピューター等を用いて制御し、自動的に行ってもよい。
図10は、培養面を複数有し、培養面と心棒との間に隙間がある立体組織体の作製装置を用いた、本実施形態の一例の立体組織体の作製方法の概略図である。
2つの培養面の貫通孔に、1本の心棒が挿通している立体組織体の作製装置(図10(i)参照)の2つの培養面に、温度応答性ポリマーを塗布して、被覆し、被覆培養面を準備する(図10(ii)参照)。なお、この例では、心棒の径は、貫通孔の孔径よりも小さく、培養面と心棒との間に隙間がある。その後、立体組織体の作製装置を、培養面の外径より大きい内径を有する容器に入れ、培地に浸し、細胞を播種する(1回目の播種工程、図10(iii)参照)。播種した細胞は、被覆培養面に接着する(図10(iv)参照)。なおこの例では、細胞の密度は、100%コンフルエントである。その後、被覆培養面に接着した細胞は、被覆培養面中央部に向かって凝集し始め、端部が被覆培養面から離れて反り返り始めて、端部が反り返った細胞構造体となる(図10(v)参照)。その後、更に凝集を続けてリング状となり、凝集する細胞構造体は、培養面と心棒との間には隙間を飛び越えるようにして、心棒の周囲に巻き付き、リング状の立体組織体を形成する(図10(vi)参照)。その後、培養することで、2つのリング状の立体組織体がつながり、管腔状の立体組織体が得られる(図10(vii)参照)。
なお、図10(vii)では、管腔状の立体組織体を見やすくするため、培養面の図示を省いている。図10では、培養面と心棒との間に隙間があるため、培養面がある状態でも、培養面を除いた状態でも、2つのリング状の立体組織体はつながり、管腔状の立体組織体が得られる。
また、培養面の数を増やす、培養面移動工程、2回目以降の播種工程、2回目以降の培養工程を設ける、等の方法により、更に長い管腔状の立体組織体が得ることもできる。
なお、上記の全て、又は一部の工程を、コンピューター等を用いて制御し、自動的に行ってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
(立体組織体の作製装置の製造)
心棒として表面が網目構造のステンレスチューブ(富士フィルター工業製、3φ)を、培養面として商品名「PrimeSurface」(登録商標)(住友ベークライト株式会社製、品番「MS−9024X」)の一部を切り取って貫通孔(約3mm径)を設けたものを、使用し、培養面と貫通孔とが接している装置を製造した。培養面は、略円形であり、その外径は約25mmであった。なお、装置の形状は、図1の形状とした。
容量50mLの軟質ガラス製の透明なバイアル瓶に、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)10.0g、及び水5mLを加えて、磁気撹拌器を用いて撹拌した。そして、この混合物(液体)に対してG1グレードの高純度(純度:99.99995%)の窒素ガスを10分間パージ(流速:2.0L/分)することにより、この混合物を脱酸素した。なお、用いたDMAEMAには、重合禁止剤であるメチルヒドロキノン(MEHQ)が0.5質量%含まれていた。
その後、この反応物に対して、丸型ブラック蛍光灯(NEC社製、型番:FCL20BL、18W)を用いて、22時間紫外線照射することにより、上記反応物を重合させた。反応物は、5時間後に粘性を帯び15時間後に固化して、重合体が反応生成物として得られた。この反応生成物を2−プロパノールに溶解させ、溶液を透析チューブに移した。そして、透析を72時間行い、反応生成物を精製した。
反応生成物を含む溶液を、セルロース混合エステル製の0.2μmフィルター(東洋濾紙社製、型番:25AS020)で濾過し、得られた濾液を凍結乾燥させることにより、温度応答性(ホモ)ポリマーが得られた(収量:6.8g、転化率:68%)。このポリマーの数平均分子量(Mn)を、GPC(島津社製、型番:LC−10vpシリーズ)を用いて、ポリエチレングリコール(Shodex社製、TSKシリーズ)を標準物質として測定し、Mn=1.0×10g/mol(Mw/Mn=10.0)と決定した。
上述の温度応答性ポリマーの核磁気共鳴スペクトル(NMR)を、核磁気共鳴装置(Varian社製、型番:Gemini300)を用いて、重水(DO)を標準物質として測定した。下記には、代表的なピークを示す。
1H-NMR (in D2O) δ 0.8-1.2 (br, -CH2-C(CH3)-), 1.6-2.0 (br, -CH2-C(CH3)-), 2.2-2.4 (br, -N(CH3)2), 2.5-2.7 (br, -CH2-N(CH3)2), 4.0-4.2 (br, -O-CH2-)
ここで、主鎖のメチル基(δ 0.8-1.2)のプロトン数(DMAEMAのホモポリマーの場合はモノマー1分子につき3個)Aと、側鎖のジメチルアミノ基(δ 2.2-2.4)のメチルプロトン数(DMAEMAのホモポリマーの場合はモノマー1分子につき6個で)Bとから、側鎖が有するアミノ基の官能基数と、重合反応と同時に進行する側鎖のエステル結合の加水分解反応により生じた側鎖のカルボキシル基の官能基数との比を算出した。
その結果、上述の温度応答性ポリマーの場合は94:6となった。これは、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーとを含む2成分混合系におけるイオン複合体で言うC/A比に換算すると、C/A比=15.6となる。
上述の温度応答性ポリマーの曇点を以下の方法で測定した。
温度応答性ポリマーの3%水溶液を調製し、この水溶液の660nmにおける吸光度を、20〜40℃の間で測定した。
その結果、20〜30℃では、水溶液は透明であり、吸光度がほぼ0であったが、31℃付近から水溶液中に白濁が見られるようになり、32℃で吸光度が急激に上昇した。これにより、温度応答性ポリマーは、約32℃の曇点を有することを確認した。
なお、温度応答性ポリマーを37℃まで昇温させると、ポリマー水溶液は、良好な応答性で、懸濁し、その後、水溶液全体が固化した。この固化物を室温(25℃)で維持したところ、数十時間の間、固化した状態のままであった。その後、固化物が徐々に溶解して、均質な水溶液に変化した。固化したポリマーは4℃まで冷却すると、速やかに溶解した。そして、上記昇温及び降温の操作を繰り返し行なっても、応答性に変化は生じなかったことから、ポリマーが可逆的に相転移を生じさせることが確認された。
上述の温度応答性ポリマーを、純水に溶解して、温度応答性ポリマー溶液(終濃度15ng/μL)を調製した。この溶液を上述の装置の培養面の全面に塗布し、インキュベーター(40℃)中で1時間放置することによって、塗布した温度応答性ポリマーの水溶液を乾燥させ、被覆培養面を有する立体組織体の作製装置を準備した。
(実施例2)
心棒として表面が網目構造のステンレスチューブ(富士フィルター工業製、3φ)を、培養面として商品名「PrimeSurface」(登録商標)(住友ベークライト株式会社製、品番「MS−9024X」)の一部を切り取って貫通孔(約3.2mm径)を設けたものを、使用し、培養面と貫通孔との間に隙間がある装置を製造した。培養面は、略円形であり、その外径は約25mmであり、培養面と貫通孔との隙間は0.2mmであった。なお、装置の形状は、図3の形状とした。
実施例1と同様にして、温度応答性ポリマーで培養面を被覆し、被覆培養面を有する立体組織体の作製装置を準備した。
(実施例3)
(リング状の立体組織体の作製)
実施例1で製造した立体組織体の作製装置を、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)に入れ、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)+50μg/mLアスコルビン酸二リン酸塩(和光純薬製、商品番号:196−1252))中に浸した。その後、GFP組換えルイスラット脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、細胞浮遊液を調製した。その後、60×10個/mLの細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を播種した。
その後、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、24時間培養し、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
得られたリング状の立体組織体は、図7とほぼ同様のものであった。得られたリング状の立体組織体は、ADSCを主成分とする立体組織体であった。
(実施例4)
(リング状の立体組織体の作製)
実施例2で作製した立体組織体の作製装置を用いた以外は、実施例3と同様にしてリング状の立体組織体を作製したところ、凝集した細胞は、培養面と貫通孔との間の隙間を飛び越えて、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
図7に、実施例4で得られたリング状の立体組織体を示す。得られたリング状の立体組織体は、ADSCを主成分とする立体組織体であった。
(実施例5)
(管腔状の立体組織体の作製)
実施例1で製造した立体組織体の作製装置を、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)入れ、培地(RPMI−1640+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)+10ng/μL rat TGF−β1 recombinant(PEPROTECH社製、商品番号:100−21)+50μg/mLアスコルビン酸二リン酸(和光純薬工業株式会社製、商品番号:196−01252))中に浸した。その後、GFP組換えルイスラット膝関節から定法に従って採取した軟骨細胞を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、細胞浮遊液を調製した。その後、60×10個/mLの細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、培養面を心棒の延在方向下側に0.5mm移動させ、更に上記細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を再度播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養した(2回目の細胞播種、培養)。
同様にして、細胞の播種、培養を続け、播種と培養の繰り返しを合計9回行った。
そして、9個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着した、管腔状の立体組織体が得られたことを確認した。
図8に、実施例5で得られた管腔状の立体組織体を示す。なお、図8は、心棒であるステンレスチューブを抜き取り、シリコン樹脂製のチューブと入れ替えた後に撮影した写真である。
(実施例6)
(管腔状の立体組織体の作製)
実施例2で製造した立体組織体の作製装置を用い、培養面を心棒の延在方向上側に0.2mm移動させたこと以外は、実施例5と同様にして管腔状の立体組織体を作製し、9個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着した、管腔状の立体組織体が得られたことを確認した。
得られた管腔状の立体組織体は、図8とほぼ同様のものであった。
(実施例7)
(複数の培養面を有する立体組織体の作製装置の製造)
心棒として表面が網目構造のステンレスチューブ(富士フィルター工業製、3φ)を、培養面として商品名「PrimeSurface」(登録商標)(住友ベークライト株式会社製、品番「MS−9024X」)の一部を切り取って貫通孔(約3.2mm径)を設けたものを、使用し、培養面と貫通孔との間に隙間がある、9個の培養面を有する装置を製造した。全ての培養面は、略円形であり、その外径は約24mmであり、培養面と貫通孔との隙間は0.2mmであった。なお、装置の形状は、1本の心棒が9個の培養面の貫通孔を相通した、図9において培養面を9個有する形状とした。
実施例1と同様にして、温度応答性ポリマーで全ての培養面を被覆し、被覆培養面を有する立体組織体の作製装置を準備した。
なお、各培養面の間隔は1mmとした。
(実施例8)
(管腔状の立体組織体の作製)
実施例7で製造した立体組織体の作製装置を、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)入れ、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)中に浸した。その後、ラット皮下脂肪由来間葉系幹細胞を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、細胞浮遊液を調製した。その後、60×10個/mLの細胞浮遊液を2mL添加し、各被覆培養面上に細胞を播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、各被覆培養面から心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、更に48時間培養を続けたところ、各被覆培養面から形成された9個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着し、管腔状の立体組織体が得られたことを確認した。
図11Aに、実施例8で得られた管腔状の立体組織体(3.8%グルタアルデヒド固定後の写真)を、図11Bに、HE染色切片像を示す。
(実施例9)
(人工血管)
実施例7で製造した立体組織体の作製装置の9個の培養面へ、セルリンカーキットで赤色蛍光標識した臍帯血由来血管内皮細胞を、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)中に混ぜ、60×10個/mLの密度で1mLずつ添加して細胞播種を行った。これを、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)入れ、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)中に浸し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、心棒の周囲に巻き付いた血管内皮細胞のリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、GFPノックインラット皮下脂肪由来の間葉系幹細胞、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、間葉系幹細胞浮遊液を調製した。60×10個/mLを10mL添加し、細胞を播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、血管内皮細胞の層の外周に、間葉系幹細胞の層を有する、2層構造の9個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着した、管腔状の立体組織体(人工血管)が得られたことを確認した。
図12に、実施例9で得られた人工血管の蛍光顕微鏡像を示す。
(実施例10)
(人工気管)
実施例1で製造した立体組織体の作製装置を、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)に入れ、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)+50μg/mLアスコルビン酸二リン酸塩(和光純薬製、商品番号:196−1252))中に浸した。
その後、ビーグル犬膝関節由来の軟骨細胞を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、軟骨細胞浮遊液を調製した。その後、60×10個/mLの軟骨細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、心棒の周囲に巻き付いた軟骨細胞のリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、培養面を心棒の延在方向下側に0.5mm移動させ、ラット脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜて調製した線維芽細胞浮遊液(60×10個/mL)を2mL添加し、細胞を再度播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養した(2回目の細胞播種、培養)。
軟骨細胞、間葉系幹細胞を、交互に使用した。そして、6個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着した、管腔状の立体組織体(人工気管)が得られたことを確認した。
図13に、実施例10で得られた人工気管を示す。なお、図13は、心棒であるステンレスチューブを抜き取り、シリコン樹脂製のチューブと入れ替えた後に撮影した写真である。
(実施例11)
(タンパク質を主成分とする立体組織体)
実施例1で製造した立体組織体の作製装置を、内径30mmのコニカルチューブ(イワキ社製、商品コード「2345−050」)に入れ、培地(DMEM+10%FBS(Biological Industries社製、ロット番号:715929)+50μg/mLアスコルビン酸二リン酸塩(和光純薬製、商品番号:196−1252))中に浸した。
その後、ラット脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)細胞を、作製装置を浸した培地と同様の培地中に混ぜ、細胞浮遊液を調製した。その後、60×10個/mLの細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養し、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、培養面を心棒の延在方向下側に0.5mm移動させ、更に上記細胞浮遊液を2mL添加し、細胞を再度播種し、細胞インキュベーター(37℃、5%CO)中で、48時間培養した(2回目の細胞播種、培養)。
同様にして、細胞の播種、培養を続け、播種と培養の繰り返しを合計6回行った。
そして、6個のリング状の立体組織体が互いに連なって接着した、管腔状の立体組織体が得られたことを確認した。
その後、得られた管腔状の立体組織体を、ドデシル硫酸ナトリムおよびエタノールで処理後、3.8%グルタルアルデヒドで処理することにより、立体組織体中の細胞を死滅させて、管腔状のタンパク質を主成分とする立体組織体が得られたことを確認した。
図14に、実施例11で得られたタンパク質を主成分とする立体組織体を示す。

Claims (8)

  1. 少なくとも1個の貫通孔を有する培養面と、前記貫通孔を挿通する心棒とからなる立体組織体の作製装置であって、
    前記培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆培養面を少なくとも1つ含み、
    1つの前記被覆培養面の内側に、少なくとも1個の前記貫通孔を有し、
    前記培養面が前記心棒の延在方向に可動であることを特徴とする、立体組織体の作製装置。
  2. 複数の前記培養面を有し、
    1本の前記心棒が、前記複数の前記培養面の前記貫通孔を挿通している、請求項1に記載の立体組織体の作製装置。
  3. 請求項1又は2に記載の立体組織体の作製装置を用いた立体組織体の作製方法であって、
    前記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程と、
    播種した前記細胞を培養して、前記心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程と、
    を含むことを特徴とする、立体組織体の作製方法。
  4. 心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体が得られた後に、前記培養面を前記心棒の延在方向に移動させる培養面移動工程と、
    移動後の前記被覆培養面上に少なくとも1種の細胞を播種する、播種工程と、
    播種した前記細胞を培養して、心棒の周囲に巻き付いたリング状の前記立体組織体に隣接する、心棒の周囲に巻き付いたリング状の立体組織体を得る、培養工程と、
    の繰り返しを更に含む、請求項3に記載の立体組織体の作製方法。
  5. 全ての前記被覆培養面に前記細胞を播種し、播種した前記細胞を培養して立体組織体を得る、請求項3又は4に記載の立体組織体の作製方法。
  6. 前記播種工程において播種した前記細胞を含む立体組織体を得る、請求項3〜5のいずれか1項に記載の立体組織体の作製方法。
  7. 前記培養工程の後に、前記細胞を除去して、
    前記細胞から分泌された物質を含む立体組織体を得る、請求項3〜5のいずれか1項に記載の立体組織体の作製方法。
  8. 前記物質がタンパク質である、請求項7に記載の立体組織体の作製方法。
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