JP2017168217A - フレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

フレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能な、新規かつ改良されたフレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法を提供する。【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、シート状の第1の集電体と、少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体と、を有し、前記第1の集電体と前記第2の集電体とは、緩衝層を介してまたは互いに接するように、隣接して配置されている、フレキシブル二次電池用集電体が提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、フレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法に関する。
近年、情報機器の高機能化に伴い二次電池の高性能化、小型化、高エネルギー密度化が求められている。特に、リチウムイオン(lithium ion)二次電池などの非水電解液を用いた非水電解質二次電池は電池電圧を高くすることができ、高エネルギー(energy)密度化が可能なことから研究開発が盛んに行われている。中でも外装材にラミネート(laminate)を用い、その中に電極積層体(電極及びセパレータ(separator)を順次積層したもの)及び電解液を収納した非水電解質二次電池は、形状の自由度が高く、薄型化が可能であることから、注目されている。
このような非水電解質二次電池の中でも、繰り返し曲げるまたは巻き取ることができるフレキシブル(flexible)二次電池は、情報機器の形状に追従可能であるとともに、情報機器の形状の変形に応じて変形可能であることから、開発が盛んに行われている。
しかしながら、従来の電極積層体を含むフレキシブル二次電池を折り曲げる、または巻き取ると、電極積層体の各層間で平面方向におけるずれ(周長差)が生じる。
フレキシブル二次電池を折り曲げるまたは巻き取った際における電極積層体の各層間の平面方向の位置関係を維持するために、電極積層体の一端が固定され、他端が移動可能に構成されたフレキシブル二次電池が、特許文献1において提案されている。
米国特許出願公開2014/0079979号明細書
しかしながら、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合、電極積層体の正極および負極の表面において繰り返しずれが生じ、生じた摩擦力によって正極または負極とセパレータとの間で部分的に剥離が生じてしまう。このような場合、フレキシブル二次電池において充放電できない領域が発生し、フレキシブル二次電池の性能が劣化する。特許文献1において提案されるフレキシブル二次電池は、電極積層体の各層間の平面方向の位置関係を維持することは可能であるが、上述したようなずれの発生によるフレキシブル二次電池の性能の劣化を防止できない。
また、電極積層体においては、充電時に正極から放出されるリチウムイオンを対向する負極において吸収することが必要である。負極に吸収されたリチウムイオンは、放電時において、対向する正極に戻ることができる。しかしながら、充電時に正極から放出されるリチウムイオンが負極により吸収できない場合、金属リチウムが析出する場合がある。金属リチウムが析出すると、ショート不良等、二次電池の不良がもたらされ得る。したがって、従来の電極積層体は、負極の正極と対向する主面の面積を、対向する正極の主面よりも大きくし、正極から放出されるリチウムイオンを負極で吸収できるように構成されている。
しかしながら、フレキシブル二次電池は、折り曲げるまたは巻き取ったときの電極の端部において、正極と負極が周長差分だけずれることにより、正極と負極の位置関係が一定に保てない。すなわち電極端部において正極の一部が負極と対向できない、すなわち負極の端部からはみ出してしまう場合がある。このような場合、金属リチウムの析出や、負極の対面に正極が位置しないことによる放電量の減少などの問題が生じ得る。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能な、新規かつ改良されたフレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、シート状の第1の集電体と、少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体と、を有し、前記第1の集電体と前記第2の集電体とは、緩衝層を介してまたは互いに接するように、隣接して配置されている、フレキシブル二次電池用集電体が提供される。
この観点によれば、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止することができる。
ここで、緩衝層は、樹脂フィルムを含んでもよい。
この観点によれば、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止することができる。
また、樹脂フィルムは、フッ素樹脂またはポリオレフィン樹脂を含んでもよい。
この観点によれば、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止することができる。
また、緩衝層は、液体層を含んでもよい。
この観点によれば、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止することができる。
本発明の他の観点によれば、第1の電極活物質層と、前記第1の電極活物質層を一方の主面に担持するシート状の第1の集電体と、少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体と、前記第2の集電体の前記第1の集電体側の主面とは反対側の主面に担持される第2の電極活物質層と、を有し、前記第1の集電体と前記第2の集電体とは、緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように配置されている、フレキシブル二次電池用電極が提供される。
この観点によれば、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能なフレキシブル二次電池を提供することができる。
本発明の他の観点によれば、上記フレキシブル二次電池用電極を備えるフレキシブル二次電池用電極積層組立体が提供される。
この観点によれば、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能なフレキシブル二次電池を提供することができる。
本発明の他の観点によれば、シート状の第1の集電体の一方の主面に電極活物質層を形成する工程と、前記第1の集電体とシート状の第2の集電体とが緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように、前記第1の集電体の他方の主面を前記第2の集電体の主面と対向させて、前記第1の集電体と前記第2の集電体とを接続する工程と、を有する、フレキシブル二次電池用電極の製造方法が提供される。
この観点によれば、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能なフレキシブル二次電池を製造することができる。
本発明の他の観点によれば、シート状の第1の集電体と、少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体とを有し、前記第1の集電体と前記第2の集電体とが、緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように配置されている、フレキシブル二次電池用集電体を準備する工程と、前記第1の集電体の前記第2の集電体側とは反対側の主面に、電極活物質層を形成する工程と、を有する、フレキシブル二次電池用電極の製造方法が提供される。
この観点によれば、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能なフレキシブル二次電池を製造することができる。
以上説明したように本発明によれば、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止可能なフレキシブル二次電池を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル二次電池の外観を示す平面図である。 図1に示すフレキシブル二次電池のx−x’線断面図である。 図1に示すフレキシブル二次電池の縦方向部分拡大断面図である。 第1の実施形態の変形例に係るフレキシブル二次電池の部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るフレキシブル二次電池の縦方向断面図である。 図5に示すフレキシブル二次電池の縦方向部分拡大断面図である。 集電体間の動摩擦力の測定実験の概要を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.フレキシブル二次電池]
<第1実施形態>
図1〜図3に基づいて、本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル二次電池1の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル二次電池1の外観を示す平面図、図2は、図1に示すフレキシブル二次電池1のx−x’線断面図、図3は、図1に示すフレキシブル二次電池1の縦方向部分拡大断面図である。
図1〜図3に示すフレキシブル二次電池1は、その全体としてシート状をなしており、可撓性を有する非水電解質二次電池である。フレキシブル二次電池1は、その全体形状および可撓性に起因して、繰り返し折り曲げるまたは巻き取ることが可能である。
図1および図2に示すように、フレキシブル二次電池1は、負極10A、10B、10Cと、正極30と、セパレータ50と、負極端子70と、正極端子80と、電解液(図示せず)と、外装材(図示せず)とを有している。また、負極10A、10B、10Cと正極30とセパレータ50とは、負極10A、10B、10Cと正極30とがセパレータ50を介して交互に積層された積層体(フレキシブル二次電池用電極積層組立体)を形成している。
なお、図示の態様においては、フレキシブル二次電池1は、3つの負極10A、10B、10Cおよび2つの正極30とで構成されるが、本発明に係るフレキシブル二次電池はこれに限定されない。本発明に係るフレキシブル二次電池では、必要とされる容量、電圧および可撓性の程度に応じて、正極および負極の数を適宜選択することができる。また、フレキシブル二次電池1は、その積層体の端面が負極10A、10Cによって形成されているが、本発明に係るフレキシブル二次電池はこれに限定されない。本発明に係るフレキシブル二次電池では、正極および負極のいずれを積層体の端部に配置してもよい。また、積層体の端面の一方が正極により、他方が負極により構成されていてもよい。
(負極の構成)
負極10A、10B、10Cは、それぞれ、負極集電部(負極集電体)11と、負極集電部11の両面に形成された負極活物質層13と、負極集電タブ15とを含む。より具体的には、フレキシブル二次電池1の積層体の端面を形成する負極10Aおよび10Cでは、負極集電部11は一方の主面のみ正極30と対向するため、負極集電部11の同主面においてのみ負極活物質層13が配置されている。一方で、2つの正極30に挟まれる負極10Bでは、負極集電部11は両方の主面が正極30と対向するため、負極集電部11の両主面において負極活物質層13が配置されている。
負極集電部11は、導電体で形成された箔である。負極集電部11は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、銅、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。
負極活物質層13は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層13として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層13は、負極活物質を含み、結着剤をさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、およびLiTi12等の酸化チタン(TiO)系化合物等を使用することができる。なお、ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。また、負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等を使用することができる。
また、結着剤としては、特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池の負極活物質層に使用された結着剤であればどのようなものであっても使用できる。例えばポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、エチレンプロピレンジエン(ethylene−propylene−diene)三元共重合体、スチレンブタジエンゴム(Styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)等が挙げられる。
負極集電タブ15は、負極集電部11の一方の長手方向端部に配置されている。負極集電タブ15は、負極集電部11の一部が延長することにより形成されており、負極集電部11と同様の材料で構成される。負極集電タブ15は、負極集電部11とは反対側の端部付近において、他の負極集電タブ15とともに溶接され、負極端子70を形成する。
なお、負極集電タブ15は、負極集電部11とは異なる導電性材料で構成されていてもよい。また、負極集電タブ15は、負極集電部11とは別部材として構成され、例えば溶接等により接続されたものであってもよい。
以上説明した負極10A、10B、10Cは、平面視した際に、セパレータ50よりも面積が小さいことが好ましい。より具体的には、負極10A、10B、10Cは、平面視した際に、セパレータ50よりも長さおよび幅が小さいことが好ましい。これにより、負極10A、10B、10Cと正極30と間の短絡を防止することができる。
また、負極10A、10B、10Cの製造方法については後述する。
(正極の構成)
正極30は、それぞれ、正極集電部(フレキシブル二次電池用集電体)31と、正極活物質層33と、正極集電タブ35とを有している。
図3は、正極30の層構成を示している。図に示すように、正極集電部31および正極活物質層33は、シート状をなしている。また、正極集電部31の負極10A、10Bまたは10Cと対向する主面に正極活物質層33が配置されている。すなわち、正極集電部31の両主面には、正極活物質層33が配置されている。
図3に示すように、正極集電部31は、2枚のシート状の集電体(第1および第2の集電体、集電シート)311と、集電体311の間に配置される緩衝層313とを有している。2枚の集電体311は、緩衝層313を介して隣接して配置されることにより、その主面と平行な方向(平面方向)において互いに移動することが可能に構成されている。これにより、フレキシブル二次電池1が曲げられたまたは巻き取られた際において、2枚の集電体311が優先的にずれることができる。このため、フレキシブル二次電池1が曲げられたまたは巻き取られた際における、フレキシブル二次電池1の積層体中の他の部位における周長差に起因する応力を緩和することができる。したがって、正極集電部31と正極活物質層33との間、負極集電部11と負極活物質層13との間および正極活物質層33または負極活物質層13とセパレータ50との間における剥離が防止される。
さらに、フレキシブル二次電池1が曲げられたまたは巻き取られた際において2枚の集電体311が優先的にずれることにより、2枚の集電体311間を除く積層体の各層間の位置がずれにくいものとなっている。例えば、集電体311上に担持された正極活物質層33と、隣接するセパレータ50および当該セパレータ50と隣接する負極活物質層13とのずれが防止される。この結果、正極30は、その端部付近においても、より確実に負極10A、10Bまたは10Cと対向することができ、金属リチウムの析出や、負極10A、10B、10Cの対面に正極30が位置しないことによる放電量の減少などの問題が防止される。
以上の結果、フレキシブル二次電池1は、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化が防止されている。
集電体311は、導電体で構成されるシート部材である。集電体311を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、またはニッケルメッキ鋼等であることができる。
集電体311の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜100μm、好ましくは9〜30μmであることができる。これにより、緩衝層313とのずれによって生じる摩擦への耐久力を高いものとすることができるとともに、正極30を比較的薄くすることができる。
また、集電体311の集電体311同士が対向する側の算術平均表面粗さRaは、特に限定されないが、JIS B 0601に基づき、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであることができる。これにより、比較的小さな応力で集電体311が互いに平面方向に移動可能となり、フレキシブル二次電池1の積層体中の他の部位における周長差に起因する応力をより緩和することができる。
また、集電体311同士の(緩衝層313を介しての)動摩擦係数は、特に限定されないが、例えば、0.7以下、好ましくは0.01〜0.6であることができる。これにより、比較的小さな応力で集電体311が互いに平面方向に移動可能となる。
集電体311同士の(緩衝層313を介しての)動摩擦係数は、後述するセパレータ50と負極10A〜10Cとの間の動摩擦係数および/またはセパレータ50と正極30との間の動摩擦係数よりも小さいことが好ましい。より具体的には、集電体311同士の(緩衝層313を介しての)動摩擦係数は、後述するセパレータ50と負極10A〜10Cとの間の動摩擦係数および/またはセパレータ50と正極30との間の動摩擦係数よりも、例えば0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上小さいことが好ましい。これにより、集電体311同士が優先的に平面方向に移動可能となる結果、フレキシブル二次電池1の積層体中の他の部位における周長差に起因する応力、位置関係のずれをより緩和することができる。
なお、各集電体311は、その一端(図中一方の長手方向端部)において、一部が延長されて正極集電タブ35が形成されている。隣接する正極集電タブ35は、後述する正極端子80において電気的に接続される。これにより、隣接する集電体311同士は、電気的に接続されている。
緩衝層313は、集電体311の間に配置された層である。緩衝層313は、2つの集電体311の間に介在することにより、集電体311同士の平面方向の移動時における摩擦力を低減させる。これにより、比較的小さな応力で集電体311が互いに平面方向に移動可能となり、フレキシブル二次電池1の積層体中の他の部位における周長差に起因する応力をより緩和することができる。
緩衝層313は、集電体311同士の平面方向の移動を補助するものであれば、特に限定されず、例えば、樹脂フィルム、ゲルで構成されるゲル層または液体で構成される液体層であることができる。
樹脂フィルムは、電解液に不溶な樹脂で構成されたフィルムである。このような樹脂フィルムは、電解液に不溶であれば特に限定されないが、シリコーンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリウレタン、パーフルオロゴム等の可撓性を有するエラストマーまたはゴムシート、ならびにポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)フィルム、パーフルオロアルコキシ樹脂(tetra fluoro ethylene perfluoro alkyl vinyl ether copolymer、PFA)フィルム、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(perfluoroalkyl ethylene−propylene copolymer、FEP)フィルム等のフッ素樹脂フィルムおよびポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム等が挙げられる。
上述した中でも樹脂フィルムとしては、フッ素樹脂フィルムおよびポリオレフィン樹脂フィルムが好ましく、PTFEフィルム、PFAフィルムおよびポリエチレンフィルムがより好ましい。このようなフィルムは、平滑性に優れる平滑フィルムであり、集電体311同士の平面方向の移動時における摩擦力を十分に低減させることができる。
樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1〜200μm、好ましくは1〜50μmであることができる。
また、樹脂フィルムの集電体311に対向する側の算術平均表面粗さRaは、特に限定されないが、JIS B 0601に基づき、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.01〜1μmであることができる。これにより、集電体311同士の平面方向の移動時における摩擦力を十分に低減させることができる。
また、ゲル層に含まれるゲルとしては、ゲルを形成可能であれば特に限定されず、例えば、ゲル状となる高分子と電解液とで構成される。このような高分子としては、例えば、フッ素系高分子を挙げることができ、より具体的には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride、PVDF)、フッ化ビニリデン(VDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体等が挙げられる。なお、HFPのVDFに対する質量比が大きすぎると、フッ素系高分子が電解液に溶解してしまうので、VDFとHFPとの質量比は、フッ素系高分子が非水電解液に溶解しない程度で調整されればよい。フッ素系高分子の他の例としては、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体P(VDF−TFE)、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体P(VDF−TFE−HFP)等が挙げられる。
液体層としては、例えばシリコーンオイル、シリコーングリス、酸化ケイ素、シリコーンエマルジョンなどのシリコーン流動体、塩化パラフィン、アミンオイル、グリセリン、ワセリン、フッ素オイル等の各種電気絶縁性の流動体や、電解液が挙げられる。上述した中でも電解液が好ましい。このような電解液としては、特に限定されないが、後述する電解液が挙げられる。この場合において、電解液は、フレキシブル二次電池1に使用される電解液と同一であってもよいし異なってもよいが、同一であることが好ましい。
正極集電タブ35は、集電体311の一方の長手方向端部に配置されている。正極集電タブ35は、集電体311の一部が延長することにより形成されており、集電体311と同様の材料で構成される。正極集電タブ35は、集電体311とは反対側の端部付近において、他の正極集電タブ35とともに溶接され、正極端子80を形成する。
なお、正極集電タブ35は、集電体311とは異なる導電性材料で構成されていてもよい。また、正極集電タブ35は、集電体311とは別部材として構成され、例えば溶接等により接続されたものであってもよい。
正極活物質層33は、少なくとも正極活物質を含む。正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な物質であれば特に限定されず、例えば、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、「NCA」と称する場合もある。)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、「NCM」と称する場合もある。)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、酸化バナジウム等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
正極活物質は、上記に挙げた正極活物質の例のうち、特に、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩であることが好ましい。このような層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩としては、例えば、Li1−x−y−zNiCoAl(NCA)またはLi1−x−y−zNiCoMn(NCM)(0<x<1、0<y<1、0<z<1、かつx+y+z<1)で表される3元系の遷移金属酸化物のリチウム塩が挙げられる。
また、正極活物質層33は導電剤と、結着剤とをさらに含んでいてもよい。
導電剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjenblack)、アセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。
結着剤は、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電部31の集電体311とを結合する。結着剤の種類は特に限定されず、従来のリチウムイオン二次電池の正極活物質層に使用された結着剤であればどのようなものであっても使用できる。上述した負極活物質層13において挙げられた結着剤を使用することができる。
以上説明した正極30は、平面視した際に、セパレータ50よりも面積が小さいことが好ましい。より具体的には、正極30は、平面視した際に、セパレータ50よりも長さおよび幅が小さいことが好ましい。これにより、正極30と負極10A、10B、10Cと間の短絡を防止することができる。
また、正極30は、平面視した際に、対向する負極10A、10Bおよび/または10Cよりも面積が小さいことが好ましい。具体的には、正極30は、平面視した際に、対向する負極10A、10Bおよび/または10Cよりも長さおよび幅が小さいことが好ましい。より具体的には、正極30は、平面視した際に、対向する負極10A、10Bおよび/または10Cよりも長さおよび幅が、例えば0.05〜20mm、好ましくは1.0〜10mm、小さいことが好ましい。正極30端部からのリチウムイオンは負極10A、10Bおよび/または10Cの端面へ集中しやすい傾向にあるが、このように、正極30が対向する負極10A、10Bおよび/または10Cよりも面積が小さいことにより、リチウムイオンの負極10A、10Bおよび/または10Cの端面へ集中を防止し、金属リチウムの析出を防止することができる。この結果、短絡等のフレキシブル二次電池1の不具合を防止することができる。
また、正極30の集電体311と、当該正極30と隣接する正極30の集電体311との距離(すなわち、正極活物質層33と2枚のセパレータ50と負極10A、10Bまたは10Cとの合計の厚さ)は、特に限定されないが、例えば、50〜1000μm、好ましくは100〜500μmであることができる。このように複層化された集電体を有する正極30が所定の間隔で配置されることにより、フレキシブル二次電池1を曲げるまたは巻き取った際に、これら正極30間にある各部材に対する応力が十分に緩和される。
以上説明した正極30の製造方法については、後述する。
(セパレータの構成)
セパレータ50は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータ50としては、優れた高率放電性能を示す多孔質膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータ50を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(Polyester)系樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoro propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体等を挙げることができる。
また、セパレータ50の両面には、接着層が形成されることが好ましい。接着層は、各電極とセパレータ50との接着力を向上させるものであり、多孔質体となっている。接着層は、非水電解質二次電池に使用されるものであれば特に制限されない。接着層を構成する好ましい樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系のフッ素樹脂が挙げられる。このようなフッ素樹脂としては、例えば、PVDFの他、フッ化ビニリデン(VDF)と他の単量体(ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等)との共重合体等が挙げられる。
フッ素系樹脂を含む接着層は、例えば以下の第1の方法または第2の方法によりセパレータ50の表面に形成される。
第1の方法では、NMP(N−メチルピロリドン)、ジメチルアセトアミド、アセトン(acetone)等の有機溶剤中にフッ素樹脂を溶解させることでスラリー(slurry)を作製する。そして、このスラリーをセパレータ50に塗工後、水、メタノール、トリプロピレングリコール等の貧溶媒を用いてフッ素樹脂を相分離させることでフッ素樹脂を多孔質化させた接着層を形成する。第2の方法では、フッ素樹脂をジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等を溶媒とする加熱電解液中に溶解させることで加熱スラリーを作製する。そして、この加熱スラリーをセパレータ50に塗工することで塗工層を形成する。そして、塗工層を冷却することで、フッ素樹脂をゲル(電解液で膨潤した多孔質膜)に転移させる。すなわち、接着層を作製する。
このような接着層をセパレータ50の表面に形成することにより、負極10A、10Bもしくは10Cまたは正極30と、セパレータ50との間のずれをより確実にぼうしすることができる。この結果、正極30中の2枚の集電体311間がより優先的にずれやすくなり、本願発明の効果をより顕著に得ることができる。
ただし、接着層の接着性を発現させるため、電解液存在下で一定の圧力、温度で電極積層体をプレスするいわゆるヒートプレス工程が必要となる。このヒートプレス工程は、ポリマーのゾルゲル転移が起こるような高い温度で行われる。これにより、接着層中のポリマーが電極あるいはセパレータの微細孔に入り込む(いわゆるアンカー効果)。さらに、接着層中のポリマーは、電極表面に存在するバインダーと相互作用する。これらの作用により、電極間の接着力が発現される。ヒートプレスの条件は特に制限されないが、例えば、温度は25〜90℃、圧力は10〜100kgf/cmであることが好ましい。温度が25℃未満となる場合、セパレータ50と負極10A、10B、10C、正極30との接着力が十分でなくなる可能性がある。温度が90℃を超える場合、緩衝層が溶融し、集電箔と接着してしまう可能性がある。また、電解液が沸騰しガスが発生する可能性がある。圧力が10kgf/cm未満となる場合、セパレータ50と負極10A、10B、10C、正極30との接着力が十分でなくなる可能性がある。圧力が100kgf/cmを超える場合、電極積層体が過剰に圧縮されて、特性がかえって低下する可能性がある。
なお、接着層には、フレキシブル二次電池1の耐熱性等を向上するために、耐熱性フィラーを添加してもよい。耐熱性フィラーは、例えばセラミック粒子であり、より具体的には、金属酸化物粒子である。金属酸化物粒子としては、例えばアルミナ、ベーマイト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の微粒子が挙げられる。
(電解液の構成)
本実施形態において、電解液は、非水電解質溶液であり、電解質を有機溶媒に溶解させた溶液である。電解液は、外装材に包装された各部材の間隙を充填するようにして存在している。特に、電解液は、セパレータ50内に含浸されており、負極10A、10Bまたは10Cと正極30との間におけるリチウムイオンの移動を可能とする。
電解質は特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を使用することができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiPF6−x(C2n+1(但し、1<x<6、n=1または2)、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n−CNClO、(n−CNI、(CN−マレアート(maleate)、(CN−ベンゾアート(benzoate)、(CN−フタラート(phtalate)、ステアリルスルホン酸リチウム(stearyl sulfonic acid lithium)、オクチルスルホン酸リチウム(octyl sulfonic acid)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(dodecyl benzene sulphonic acid)等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。なお、電解質塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本実施形態では、適当なリチウム化合物(電解質塩)を0.8〜1.5mol/L程度の濃度で含有させた非水電解液を使用することができる。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(ethylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate)等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(butyric acid methyl)、酢酸エチル(ethyl acetate)、プロピオン酸エチル(ethyl propionate)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)またはその誘導体;1,3−ジオキサン(dioxane)、1,4−ジオキサン(dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyl diglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(Dioxolane)またはその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。電解液は、セパレータ50に含浸される。
(外装材の構成)
外装材の構成は特に制限されず、非水電解質二次電池に適用可能なものであれば本実施形態でも好適に使用可能である。例えば、外装材は、アルミラミネート等のラミネートであってもよい。外装材がラミネートとなる場合、外装材は電極積層体の形状変化を抑制しにくい。
以上説明したフレキシブル二次電池1は、正極30の正極集電部31が複層化されて、複数の集電体311を含んで構成されており、集電体311が互いに移動可能に構成されている。これにより、フレキシブル二次電池1が曲げられたまたは巻き取られた際において、2枚の集電体311が優先的にずれることができる。このため、フレキシブル二次電池1が曲げられたまたは巻き取られた際における、フレキシブル二次電池1の積層体中の他の部位における周長差に起因する応力を緩和することができる。したがって、正極集電部31と正極活物質層33との間、後述する負極集電部11と負極活物質層13との間および正極活物質層33または負極活物質層13とセパレータ50との間における剥離が防止される。
さらに、フレキシブル二次電池1は、曲げられたまたは巻き取られた際において2枚の集電体311が優先的にずれることにより、2枚の集電体311間を除く積層体の各層間の位置がずれにくいものとなっている。正極30は、その端部付近においても、より確実に負極10A、10Bまたは10Cと対向することができ、金属リチウムの析出や、負極10A、10B、10Cの対面に正極30が位置しないことによる放電量の減少などの問題が防止される。
以上の結果、フレキシブル二次電池1は、繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化が防止されている。
<変形例>
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。以下では、本発明の第1の実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の第1の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の第1の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の第1の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の第1の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
まず、上述した第1の実施形態の変形例としては、例えば図4に示すような構成を有するフレキシブル二次電池1Aが挙げられる。図4は、第1の実施形態の変形例に係るフレキシブル二次電池1Aの部分拡大断面図である。図4に示すフレキシブル二次電池1Aは、フレキシブル二次電池1と、正極集電部31Aの構成が異なっている。正極集電部31Aは、緩衝層を有さず、集電体311が互いに接するようにして隣接している。このような場合であっても、集電体311は互いに移動可能である。したがって、フレキシブル二次電池1Aも、上述したフレキシブル二次電池1と同様の効果を奏することができる。
他の変形例としては、集電体311間に、部分的に緩衝層が配置され、他の部分は集電体311同士が接しているフレキシブル二次電池が挙げられる。このようなフレキシブル二次電池も、上述したフレキシブル二次電池1と同様の効果を奏することができる。
また、他の変形例としては集電体311間に複数の緩衝層が配置されたフレキシブル二次電池が挙げられる。複数の緩衝層は、例えば樹脂フィルムを複数枚配置したものであってもよいし、樹脂フィルムと液体層またはゲル層とを配置したものであってもよい。特に、樹脂フィルムを複数層、例えば2枚配置した場合、集電体311同士の平面方向の移動時における摩擦力を十分に低減させることができる。
また、他の変形例としては、少なくとも一方の集電体311の隣接する集電体311と対向する主面に樹脂フィルムとしての樹脂層が形成されていてもよい。すなわち、一方の集電体311と樹脂フィルムとが接着されていてもよい。また、複数層の樹脂フィルムを挿入する場合には、2枚の集電体311は、それぞれ隣接する樹脂フィルムと接着されていてもよい。
<第2の実施形態>
以上、本発明の第1の実施形態および変形例を説明した。次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係るフレキシブル二次電池では、正極に代えて、負極が複数の集電体を有する負極集電部を有している。以下、上述した第1の実施形態との差異について中心的に説明し、同様の部分については説明を省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るフレキシブル二次電池1Bの縦方向断面図、図6は、図5に示すフレキシブル二次電池1Bの縦方向部分拡大断面図である。
図5に示すフレキシブル二次電池1Bにおいて、正極30Aは、正極集電部31Aと、正極活物質層33と、正極集電タブ35とを有している。正極集電部31Bは、単層の集電体である。
一方で、負極10D、10E、10Fは、負極集電部11Bと、負極活物質層13と、負極集電タブ15を有する。また、図6に示すように、負極集電部11Bは、2つの集電体111と、その間に配置された緩衝層113とを有する。集電体111の構成は、その構成材料を除き、上述した集電体111と同様であることができる。また、緩衝層113の構成は、緩衝層313と同様であることができる。なお、緩衝層113は、その一部または全部が省略されてもよい。
以上のような、フレキシブル二次電池1Bにおいても、フレキシブル二次電池1Bが曲げられたまたは巻き取られた際において、2枚の集電体111が優先的にずれることができる。したがって、フレキシブル二次電池1Bも、上述した第1の実施形態に係るフレキシブル二次電池1と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態において、上述した第1の実施形態の変形例と同様の変形例の適用が可能である。
[2.フレキシブル二次電池の製造方法]
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態に係るフレキシブル二次電池の製造方法について、上述したフレキシブル二次電池1の製造方法を例に、説明する。また、正極30の製造方法を例に、フレキシブル二次電池用電極の製造方法も合わせて説明する。
本実施形態にかかる正極30の製造方法(フレキシブル二次電池用電極の製造方法)は、シート状の集電体(第1の集電体)311の一方の主面に正極活物質層(電極活物質層)33を形成する工程(第1の工程)と、
集電体311とシート状のさらなる集電体(第2の集電体)311とが緩衝層313を介してまたは互いに接して隣接するように、集電体(第1の集電体)311の他方の主面を集電体(第2の集電体)311の主面と対向させて、2枚の集電体311を接続する工程(第2の工程)と、を有する。
まず、集電体311の一方の主面に正極活物質層33を形成する(第1の工程)。具体的には、まず、正極活物質層33の材料を有機溶媒や水に分散させることで正極合剤スラリーを形成し、この正極合剤スラリーを集電体311上に塗工する。これにより、塗工層が形成される。ついで、塗工層を乾燥する。ついで、乾燥した塗工層を正極集電部31とともに圧延する。これにより、正極活物質層33が形成される。
次に、負極10A〜10Cを、製造する。負極10A〜10Cは、例えば、以下の方法により製造される。まず、負極活物質および結着剤を所望の割合で混合したものを、溶媒(例えば水、有機溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)等)に分散させることでスラリーを形成する。次に、スラリーを負極集電部11上に形成(例えば塗工)し、乾燥させることで、負極活物質層13を形成する。さらに、圧縮機により負極活物質層13を所望の厚さとなるように圧縮する。これにより、負極10A〜10Cが製造される。ここで、負極活物質層13の厚さは特に制限されず、リチウムイオン二次電池の負極活物質層13が有する厚さであればよい。また、負極活物質層13として金属リチウムを用いる場合、負極集電部11に金属リチウム箔を重ねれば良い。なお、負極集電タブ15は、負極集電部11の形成時(裁断時)において、負極集電タブ15を負極集電部11の延長上に配置するようにして裁断することにより、負極集電部11と一体化して形成された負極集電タブ15を得ることができる。なお、負極10A、10Cの外表面側の負極集電部11では、負極活物質層13が省略されている。
次に、正極活物質層33が形成された集電体311、緩衝層313、負極10A〜10Cおよびセパレータ50を所定の順序で積層、接着させて、フレキシブル二次電池用電極積層組立体を得る。
また、この工程において、正極活物質層33が形成された集電体311とシート状のさらなる集電体(第2の集電体)311とが緩衝層313を介してまたは互いに接して隣接するように、集電体(第1の集電体)311の他方の主面を集電体(第2の集電体)311の主面と対向させて、2枚の集電体311を接続することができる(第2の工程)。
具体的には、集電体311、緩衝層313、負極10A〜10Cおよびセパレータ50を所定の順序で積層し、電極積層体を作成する。本実施形態において、積層時においては、集電体311および緩衝層313が正極30を形成するような順序で積層を行う。すなわち、2枚の集電体311の間には、緩衝層313が配置され、さらに、緩衝層313とは反対側の集電体311の主面には、正極活物質層33が配置されるようにする。また、正極30となる集電体311および緩衝層313ならびに負極10A〜10Cおよびセパレータ50の積層順序は、積層は、形成される複数の正極30と負極10A〜10Cとがセパレータ50を介して交互に配置されるように行う。本実施形態においては、下から、形成される側が、負極10C、セパレータ50、正極30、セパレータ50、負極10B、セパレータ50、正極30、セパレータ50、負極10Aの順序となるように、積層する。
次いで、第1の実施形態と同様に、得られた電極積層体の主面に対し垂直方向にプレスする。さらに、負極集電タブ15同士を溶接して、負極端子70を形成し、正極集電タブ35同士を溶接して、正極端子80を形成する。このようにして、隣接する集電体311同士は電気的に接続され、正極30が製造される。以上により、負極10A〜10C、正極30およびセパレータ50が所定の順序で積層、接着した、フレキシブル二次電池用電極積層組立体を得る。
なお、積層時においては、正極30の正極集電タブ35が同一位置に配置され、複数の負極10A〜10Cの負極集電タブ15が同一位置に配置されるようにして積層を行う。また、セパレータ50の両面には、事前に接着層が形成されていることが好ましい。これにより、電極積層体を作製する。
次いで、得られた電極積層体の主面に対し垂直方向にプレスする(接着層が存在する場合にはヒートプレスを行う)。ヒートプレスの条件は特に制限されないが、例えば、温度は25〜90℃、圧力は10〜100kgf/cmであることが好ましい。加熱を伴わない場合であっても、プレスの圧力は10〜100kgf/cmであることが好ましい。
次いで、負極集電タブ15同士を溶接して、負極端子70を形成し、正極集電タブ35同士を溶接して、正極端子80を形成する。これにより、負極10A〜10C、正極30およびセパレータ50が所定の順序で積層、接着した、フレキシブル二次電池用電極積層組立体を得る。
(フレキシブル二次電池の製造)
次いで、得られたフレキシブル二次電池用電極積層組立体を電解液とともに外装体(例えばラミネートフィルム)に挿入し、外装体を封止することで、フレキシブル二次電池1を作製する。なお、外装体を封止する際には、負極集電タブ15および正極集電タブ35によってそれぞれ形成される負極端子70および正極端子80を外装体の外部に突出させる。
<第2の実施形態>
次いで、第2の実施形態に係るフレキシブル二次電池の製造方法について、上述したフレキシブル二次電池1の製造方法を例に、説明する。また、正極30の製造方法を例に、フレキシブル二次電池用電極の製造方法も合わせて説明する。
本実施形態に係るフレキシブル二次電池の製造方法では、主に正極30の製造方法において、正極活物質層33形成前に集電体311を重ね合わせる点が上述した第1の実施形態に係る方法と異なる。すなわち、本実施形態に係るフレキシブル二次電池の製造方法においては、電極積層体の形成前に正極30を製造する。
まず、シート状の集電体(第1の集電体)311と、少なくとも一部が集電体311と導通するように接続されたシート状のさらなる集電体(第2の集電体)311とを有し、これらの集電体311が、緩衝層313を介してまたは互いに接して隣接するように配置されている、正極集電部(フレキシブル二次電池用集電体)31を準備する(第1の工程)。
具体的には、集電体となる金属箔2枚を緩衝層313を介して重ね合わせて積層シートを形成し、積層シートをロールで巻き取る。次いで、積層シートをロールから取り出しつつ、正極集電タブ35の形成予定部分において溶接を行い、再度ロールに巻き取る。
次いで、少なくとも一方の集電体311の他方の集電体311側とは反対側の主面に、正極活物質層(電極活物質層)33を形成する(第2の工程)。正極活物質層33の形成方法は、上述した第1の実施形態における方法と同様とすることができる。また、積層シートは、両面が金属箔であるため、積層シートの両面に正極活物質層33を形成する。すなわち、接続された2枚の集電体311の外表面側に電極活物質層としての正極活物質層33を形成する。
次いで、積層シートを所定の形状に裁断を行い、正極30を得る。
次いで、負極10A〜10Cを、第1の実施形態と同様に製造する。
次いで、正極30、負極10A〜10Cおよびセパレータ50を所定の順序で積層し、電極積層体を作成する。また、正極30、負極10A〜10Cおよびセパレータ50の積層順序は、積層は、形成される複数の正極30と負極10A〜10Cとがセパレータ50を介して交互に配置されるように行う。本実施形態においては、下から、形成される側が、負極10C、セパレータ50、正極30、セパレータ50、負極10B、セパレータ50、正極30、セパレータ50、負極10Aの順序となるように、積層する。
次いで、第1の実施形態と同様に、得られた電極積層体の主面に対し垂直方向にプレスする。さらに、負極集電タブ15同士を溶接して、負極端子70を形成し、正極集電タブ35同士を溶接して、正極端子80を形成する。以上により、負極10A〜10C、正極30およびセパレータ50が所定の順序で積層、接着した、フレキシブル二次電池用電極積層組立体を得る。
次いで、第1の実施形態と同様にフレキシブル二次電池用電極積層組立体を電解液とともに外装体(例えばラミネートフィルム)に挿入し、外装体を封止することで、フレキシブル二次電池1を作製する。
以下では、実施例および比較例を参照しながら、本実施形態に係る二次電池について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、あくまでも一例であって、本実施形態に係る二次電池が下記の例に限定されるものではない。
1.フレキシブル二次電池の製造および特性評価
[実施例1]
(正極活物質層の形成)
コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を固形分の質量比98:1:1でN−メチルピロリドン中に溶解分散させることで正極合剤スラリーを作製した。ついで、正極合剤スラリーを厚さ12μmのアルミ箔集電体の片面に塗布後、乾燥した。乾燥後の塗工層を圧延することで正極活物質層を形成した。正極活物質層を形成したアルミ箔集電体の総厚は80μmであった。ついで、厚さ80μmのアルミリード線を正極集電タブとしてアルミ箔集電体の長さ方向先端に溶接した。なお、正極活物質層を形成したアルミ箔集電体の長さ及び幅は、それぞれ50mm、25mmとなるようにした。
(負極の作製)
天然黒鉛、カルボキシメチルセルロース、SBR(スチレンブタジエンゴム)を固形分の質量比98:1:1で水溶媒中に溶解分散させることで、負極合剤スラリーを作製した。次いで、この負極合剤スラリーを厚さ8μmの銅箔集電体の片面に塗布後、乾燥した。乾燥後の塗工層を圧延することで負極活物質層を得た。すなわち、負極を作製した。負極の総厚は85μmであった。その後、ニッケルリード線を負極集電タブとして負極の先端に溶接した。なお、負極の長さ及び幅は、正極の長さ及び幅より大きくするため、それぞれ53mm、28mmとした。
(セパレータの作製)
セパレータとして、コロナ処理済みの厚さ12μmの多孔質ポリエチレンセパレータフィルムを用意した。セパレータの長さおよび幅は、負極よりも大きくするため、それぞれ56mm、30mmとした。
(ポリエチレンフィルムの作成)
アルミ箔集電体間の滑材(緩衝層)として、厚さ100μmのポリエチレンフィルムを用意した。ポリエチレンフィルムの大きさは、セパレータと同一とした。
(電極積層体の作製)
負極の塗工面を上にして設置し、その上にセパレータを積層した。次いで、正極活物質層を形成したアルミ箔集電体の塗工面が負極に対向するように、当該アルミ箔集電体を積層した。次いで、このアルミ箔集電体の非塗工面上にポリエチレンフィルムを積層した。次いで、さらなる正極活物質層を形成したアルミ箔集電体を用意し、当該アルミ箔集電体の非塗工面側がポリエチレンフィルムに対向するように、当該アルミ箔集電体を積層した。その上にセパレータを積層した。その上に負極の塗工面側がセパレータに対向するように負極を積層した。これにより、電極積層体を形成した。また、2枚のアルミ箔集電体がポリエチレンフィルムを狭持し、外側の両主面に正極活物質層が形成された正極が得られた。
(電池の作製)
上記電極積層体をポリプロピレン/アルミ/ナイロンの3層からなるラミネートフィルムに、2本のリード線が外に出るように電解液とともに減圧封止することで、電池を作製した。電解液には、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネートを3対7(体積比)で混合した溶媒に1MのLiPFを溶解させたものを使用した。以上の工程により、フレキシブル二次電池を作製した。
(特性評価)
以上のように作成したフレキシブル二次電池を用いて充放電試験を行った。1サイクル目の充放電では、充電条件を0.2Cで定電流定電圧(CCCV)0.05Ccut offの条件とし、放電条件を0.5CでCC放電、2.8Vcut offとした。次いで、2サイクル目の充放電では、定格放電量として、電流量を充電時では0.5C、放電時では0.2Cとした。
ついで、折り曲げ耐久性試験のため、フレキシブル二次電池を半径20mmのプラスチック筒に巻きつけて伸ばし、この巻き付けおよび伸ばす行為を10回繰り返した。まきつけは電池のタブ側から開始し、1回あたり60秒で終了するようにした。
その後、再度充放電試験を行った。3サイクル目では、充放電の条件を、電流量を充電時では0.5C、放電時では0.2Cとした。ついで、4サイクル目の放電負荷試験を、電流量を充電時0.5C、放電時1Cとして、行った。そして、2サイクル目の充放電容量を100%とした際の、3サイクル目、4サイクル目の容量比を算出した。結果を表1に示す。
[比較例1]
正極活物質層が両面に塗工された正極を用意した。厚さは130μmであった。この正極を、実施例のポリエチレンフィルムを間に挟んだ片面に塗工された二つのアルミ箔集電体の組み合わせと置き換える以外は実施例と同様の処理を行った。
表1に評価結果をまとめて示す。表1から明らかな通り、1C放電において、実施例1に係るフレキシブル二次電池は比較例1に係るフレキシブル二次電池よりも残存容量を大きくすることができた。
Figure 2017168217
2.動摩擦係数の測定
次に、本発明に係るフレキシブル二次電池の効果を確認するために、以下の実験を行った。以下の実験は、正極中の2枚の集電シート(集電体)の平面方向の移動のしやすさについての傾向を得るために行われたものである。
まず、集電シートとしてのAl箔(20×6cm)2枚を用意し、図7に示すようにAl箔を重ね、Al箔間に表1に示す緩衝層としての樹脂シートまたは液体を挿入または注入した。
次いで、図7に示すように、5cm角の1kgの重量ブロックをAl箔の重複部分に配置した。
次いで、下側のAl箔を固定し、上側のAl箔を下側のAl箔の表面に沿って長手方向(図中矢印の方向)に引っ張り、引張試験機(島津製作所製、オートグラフAGS−X)によりこのときのAl箔間の動摩擦力を測定した。
また比較のため、電極とセパレータ間の動摩擦係数を測定した。具体的には、正極(20×6cm)とセパレータ(20×6cm)を用意し、これらを図7のAl箔の代わりに配置した。なお、正極は、前述した実施例1と同様にして製造した。次いで、電池内部の状態を便宜的に得るために正極とセパレータとの間にプロピレンカーボネートを充填した。このようにして得られた正極−セパレータ積層体について、引張試験を実施し、電極とセパレータ間の動摩擦係数を測定した。
得られた動摩擦力および重量ブロックの重量から動摩擦係数を以下の式に従って算出した。結果を表2に示す。
F’=μ’N
式中、F’は動摩擦力であり、μ’は動摩擦係数であり、Nは垂直抗力(重量ブロックによる荷重)である。
Figure 2017168217
表2に示すように、いずれの例においても参考例よりも低い動摩擦係数が得られた。このことにより、電極−セパレータ間よりも集電箔間が優先的にずれることが示された。特に、例1の結果から、複層化した集電部は、緩衝層を省略しても十分に集電体が互いにずれるようにして移動可能であることが示唆された。また、例3、例4の結果から、樹脂フィルムを配置すると、集電体が互いに移動しやすくなることが示唆された。特に樹脂フィルムの枚数を増やすと、この傾向が顕著となることも示唆された。
また、参考例1の結果より、正極とセパレータとの間の動摩擦係数が比較的高いことが示された。集電箔を複層化していない場合には、これらの間が優先的にずれてしまう。この際に、大きな摩擦力が作用し、電極−セパレータ間の剥離を引き起こすことが示唆される。
以上の結果より、本発明のフレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用積層組立体およびフレキシブル二次電池は、折れ曲がりや巻取りに対し、複数の集電体を有する集電部が周長差を吸収することにより、各層間に生じる応力を緩和することができることが示された。また、電極端部の正極と負極の位置関係のずれを防ぐことにより、不良を予防することができる。したがって、本発明によれば、フレキシブル二次電池を繰り返し折り曲げるまたは巻き取った場合における性能の劣化を防止することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1A、1B フレキシブル二次電池
10A、10B、10C、10D、10E、10F 負極
11、11A、11B 負極集電部
111 集電体
113 緩衝層
13 負極活物質層
15 負極集電タブ
30、30A 正極
31、31A 正極集電部
311 集電体
313 緩衝層
33 正極活物質層
35 正極集電タブ
50 セパレータ
70 負極端子
80 正極端子

Claims (10)

  1. シート状の第1の集電体と、
    少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体と、を有し、
    前記第1の集電体と前記第2の集電体とは、緩衝層を介してまたは互いに接するように、隣接して配置されている、フレキシブル二次電池用集電体。
  2. 前記緩衝層は、樹脂フィルムを含む、請求項1に記載のフレキシブル二次電池用集電体。
  3. 前記樹脂フィルムは、フッ素樹脂またはポリオレフィン樹脂を含む、請求項2に記載のフレキシブル二次電池用集電体。
  4. 前記緩衝層は、液体層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレキシブル二次電池用集電体。
  5. 前記緩衝層は、電解液を含む、請求項4に記載のフレキシブル二次電池用集電体。
  6. 第1の電極活物質層と、
    前記第1の電極活物質層を一方の主面に担持するシート状の第1の集電体と、
    少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体と、
    前記第2の集電体の前記第1の集電体側の主面とは反対側の主面に担持される第2の電極活物質層と、
    を有し、
    前記第1の集電体と前記第2の集電体とは、緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように配置されている、フレキシブル二次電池用電極。
  7. 請求項6に記載のフレキシブル二次電池用電極を備えるフレキシブル二次電池用電極積層組立体。
  8. 請求項6に記載のフレキシブル二次電池用電極を備えるフレキシブル二次電池。
  9. シート状の第1の集電体の一方の主面に電極活物質層を形成する工程と、
    前記第1の集電体とシート状の第2の集電体とが緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように、前記第1の集電体の他方の主面を前記第2の集電体の主面と対向させて、前記第1の集電体と前記第2の集電体とを接続する工程と、を有する、フレキシブル二次電池用電極の製造方法。
  10. シート状の第1の集電体と、少なくとも一部が前記第1の集電体と導通するように接続されたシート状の第2の集電体とを有し、前記第1の集電体と前記第2の集電体とが、緩衝層を介してまたは互いに接して隣接するように配置されている、フレキシブル二次電池用集電体を準備する工程と、
    前記第1の集電体の前記第2の集電体側とは反対側の主面に、電極活物質層を形成する工程と、を有する、フレキシブル二次電池用電極の製造方法。
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