JP7267884B2 - シート状電池および電子機器 - Google Patents

シート状電池および電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP7267884B2
JP7267884B2 JP2019169652A JP2019169652A JP7267884B2 JP 7267884 B2 JP7267884 B2 JP 7267884B2 JP 2019169652 A JP2019169652 A JP 2019169652A JP 2019169652 A JP2019169652 A JP 2019169652A JP 7267884 B2 JP7267884 B2 JP 7267884B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
sheet
current collector
battery
electrode current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019169652A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021048039A (ja
Inventor
隆博 古谷
敬久 弘瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Ltd
Original Assignee
Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maxell Ltd filed Critical Maxell Ltd
Priority to JP2019169652A priority Critical patent/JP7267884B2/ja
Publication of JP2021048039A publication Critical patent/JP2021048039A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7267884B2 publication Critical patent/JP7267884B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、種々の機器への適用が容易なシート状電池、および前記シート状電池を電源とする電子機器に関するものである。
非水電解質を有する非水一次電池や非水二次電池、アルカリ電解質を有するアルカリ一次電池やアルカリ二次電池などは、円筒形または角筒形の金属容器を外装体とする形態のものや、コイン形またはボタン形と称される扁平状の金属容器を外装体とする形態のものが、数多く流通している。
しかし、近年では、例えば薄型の電子機器のように、前記の金属容器では適用し難い用途へのニーズもあり、こうした要請に応えるべく、ラミネートフィルムなどの樹脂フィルムを構成材とした外装体を用いた電池(シート状電池)も開発されている(例えば、特許文献1)。前記のような外装体を用いたシート状電池の場合、薄型の形態にしやすいといった点以外にも、金属容器と異なり外装体に可撓性があるために必要に応じてある程度形状を変え得ることから、前記のような金属容器を用いた電池よりも適用機器の範囲が広いといった利点がある。
特開2013-97931号公報
ところで、電池には一般に高容量化の要請があり、例えば正極(正極活物質を含有する正極合剤層)を厚くし、電池内に導入する正極活物質の量を増やすことで、これに対応することが行われている。ところが、正極合剤層を厚くした場合、電池を曲げるなどすると、特性が低下する場合がある。機器への適用に際して多少の変形を加える可能性があるシート状電池においては、特に厚い正極合剤層を有する正極を使用している場合には、変形の際の特性低下を抑制する技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可撓性を有し種々の機器への適用が容易なシート状電池と、前記シート状電池を電源とする電子機器とを提供することにある。
本発明のシート状電池は、正極、負極、セパレータおよび電解質を、樹脂フィルムを有するシート状部材で構成された外装体内に収容してなり、前記正極は、正極活物質を含有する2枚の正極合剤シートが、正極集電体を介して積層されて構成されており、前記2枚の正極合剤シートは、それぞれ、厚みが0.3mm以上であり、かつ一部分が前記正極集電体と接合されており、前記正極合剤シートと接合されていない正極集電体の端部の少なくとも一部は、平面視で、前記2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子機器は、本発明のシート状電池を電源として有することを特徴とするものである。
本発明によれば、可撓性を有し種々の機器への適用が容易なシート状電池と、前記シート状電池を電源とする電子機器とを提供することができる。
本発明のシート状電池に係る電極体の一例を模式的に表す断面図である。 本発明のシート状電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図である。 本発明のシート状電池に係る正極の他の例を模式的に表す平面図である。 本発明の非水一次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図4のI-I線断面図である。
図1に本発明のシート状電池に係る電極体(正極、負極およびセパレータを有する電極体)を模式的に表す断面図を示す。
図1に示す電極体100は、正極10と負極20とがセパレータ30を介して重ねられて形成された積層電極体である。正極10は、正極集電体12の両面に1枚ずつ正極合剤シート11、11が配置されて構成されている。また、負極20は、負極集電体22の片面(セパレータ30側の面)に負極活物質層21が配置されて構成されている。さらに、電極体100において、セパレータ30は、1枚のシート状のものが折り返され正極10を挟むことで、正極10の両面に配置されており、負極20は、1枚のシート状のものが折り返され正極10の外側に配置されたセパレータ30を挟むことで、セパレータ30の外側で正極10と対向するよう配置されている。
そして、正極10においては、正極合剤シート11、11は、これらと隣接する正極集電体12と、その一部分(正極合剤シート接合部11a)が接合されており、前記正極合剤シート接合部のみが一体化されている。図1の電極体100において、正極合剤シート接合部11aは、正極合剤シート11、11における図中点線部分よりも左側の網掛の箇所の、正極集電体12との接触部分である。
樹脂フィルムを有するシート状部材で構成された外装体を有するシート状電池において、高容量化を図るために正極(正極合剤シート)の厚みを大きくすると、適用機器への設置のために必要に応じて多少の変形を加えるなどした際に、正極合剤シートに割れや欠けが生じやすくなる。そこで、本発明のシート状電池においては、図1に示すように、正極集電体に隣接して設けられた2枚の正極合剤シートのそれぞれについて、一部分を前記正極集電体と接合して一体化し、他の部分においては正極集電体と接合しない非接合部とした。そのため、正極に多少の曲げを加えても、各正極合剤シートが、非接合部において正極集電体との間で位置ずれを起こし得ることから、過度の応力が正極合剤シートに付加されることを抑制でき、正極合剤シートの割れや欠けを抑えることが可能となる。これにより、本発明のシート状電池は、設置に際し電池に多少の変形を要する機器に適用しても、容量低下を良好に抑制できる。
ところが、前記構成の正極において、曲げを加えることで正極合剤シートと正極集電体との間で位置ずれが生じた場合、正極合剤シートと接合していない正極集電体の端部が露出して折れ曲がり、セパレータを傷つけて短絡を引き起こす虞がある。特に、網状の集電体の場合に前記の問題がより顕著となる。
図2に、本発明のシート状電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図を示している。図2において、一点鎖線部は、正極集電体12のうちの、正極合剤シート11の図中奥側に配置されている部分の位置を示している(後記の図3においても同様である)。図2に示す正極10においては、平面視で、後述するタブ部12を除いて、正極集電体12の端部が正極合剤シート11の端部よりも内側に配置されている。
本発明のシート状電池においては、正極集電体の端部の少なくとも一部を、平面視で、2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置することとした。この場合、正極合剤シートと正極集電体との間で位置ずれが生じても、正極集電体の端部のうち、正極合剤シートの端部よりも内側に配置された部分が表面に露出され難くなり、正極集電体の端部とセパレータとの接触が正極合剤シートによって抑制されるため、前記の短絡の発生を抑えることができる。
このように、本発明のシート状電池においては、正極における前記の各作用によって、電池に多少の変形を加えても容量低下や短絡の発生を良好に抑えることが可能であることから、種々の機器への適用が容易となる。
2枚の正極合剤シートの正極集電体との接合部の形成箇所については、正極に可撓性を付与できる範囲で特に制限はなく、図1に示すように、正極合剤シートの周縁部に設けてもよく、また、正極合剤シートの端部以外の箇所(中央部など)に設けてもよい。
正極合剤シートの正極集電体との接合部の面積は、正極合剤シートを正極集電体に確実に固定するために、正極集電体の面積(ただし、後述するタブ部を除く面積)の0.5%以上とすることが好ましく、1%以上とすることがより好ましい。
一方、正極集電体と接合されていない正極合剤シートの非接合部の割合を大きくして正極の可撓性を高めるために、正極合剤シートの正極集電体との接合部の面積は、正極集電体の面積の30%以下とすることが好ましく、10%以下とすることがより好ましい。
正極集電体の端部を正極合剤シートの端部よりも平面視で内側に配置する箇所は、少なくとも一部に設ければ、電池の短絡抑制効果は得られるが、例えば、図2に示すように、正極集電体12が、矩形(長方形および正方形を含む。本明細書において、以下同じ。)の本体部12aと、タブ部12bとを有し、かつ正極合剤シート11が矩形の場合には、 前記正極合剤シートの長手方向(正方形の場合には、いずれかの辺と平行な方向)の少なくとも一方の周縁部において、前記正極集電体の本体部の端部を、平面視で、正極合剤シート11(図2に示している、正極集電体12の図中手前側に配置された正極合剤シート11、および図示していない正極集電体12の図中奥側に配置される正極合剤シート)の端部よりも内側に配置することが好ましい。
正極合剤シートの長手方向に電池を曲げた場合には、これと直交する方向に電池を曲げた場合に比べ、正極合剤シートと正極集電体との間の位置ずれが大きくなり、短絡を発生しやすくなる。特に、正極合剤シートの長手方向における一方の周縁部が、前記正極集電体の本体部の周縁部と接合されて正極合剤シート接合部11a〔図2では、正極合剤シート11の図中奥側の面において、正極集電体11との接合部11a(図2中、網掛の部分)が形成されている〕となっている場合には、その部分では正極合剤シートと正極集電体との位置ずれが生じず、正極合剤シートの長手方向のもう一方の周縁部において、大きな位置ずれを生じることになる。このため、前記正極合剤シートが接合されていない側の正極集電体の本体部の端部を、平面視で、2枚の正極合剤シートよりも内側に配置することがより好ましい。
さらに、短絡防止効果をより高めるために、正極集電体の正極合剤シートが接合されていない部分において、平面視で、本体部の端部全体が、2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置されていることが特に好ましい。
なお、本明細書でいう正極合剤シートや正極集電体の形状を表す「矩形」には、四隅の少なくとも一つを切り欠いた形状のものや、端部を表す各辺が緩い曲線状であるものも含まれる。
図3には、本発明のシート状電池に係る正極の他の例を模式的に表す平面図を示している。図3に示す正極10は、正極集電体12の本体部12aが略円形をしており、この本体部12aから突出したタブ部12bを除く正極集電体12の端部が、正極合剤シート(図3に示している、正極集電体12の図中手前側に配置された正極合剤シート11、および図示していない正極集電体12の図中奥側に配置される正極合剤シート)の端部よりも内側に配置されている。本発明のシート状電池は、図3に示すような形態の正極を有する場合においても、正極集電体と正極合剤シートとの間で位置ずれが生じたときの正極集電体の端部によるセパレータの傷付きを、良好に抑制することができる。
なお、本明細書では、正極合剤シートや正極集電体の形状を表す「円形」には、図3に示す正極集電体12のように、本体部の一部に円周から逸れる部分があるようなものも含めており、これを略円形として表現している。
正極において、正極集電体の端部が正極合剤シートの端部よりも内側に配置される箇所においては、セパレータの傷付きによる電池の短絡の発生をより良好に抑制する観点から、平面視での正極集電体の端部と正極合剤シートの端部との距離は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。ただし、正極集電体の端部と正極合剤シートの端部との距離が大きくなると、正極合剤シートの周縁部において集電が取り難くなる。よって、正極集電体の端部が正極合剤シートの端部よりも内側に配置される箇所においては、平面視での正極集電体の端部と正極合剤シートの端部との距離は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
本発明のシート状電池は、非水電解質を有する非水電池(非水一次電池および非水二次電池)の形態を取ることができ、また、水溶液系の電解質を有する電池(アルカリ一次電池、アルカリ二次電池、空気電池などの水溶液系電解質電池)の形態を取ることもできる。以下には、主要な形態の一つである非水一次電池を例にとり、その詳細を説明する。
正極を構成する正極合剤シートは、正極活物質や導電助剤、バインダなどを含む正極合剤で形成する。
シート状電池が非水一次電池である場合、正極活物質としては、二酸化マンガン、リチウム含有マンガン酸化物〔例えば、LiMnや、二酸化マンガンと同じ結晶構造(β型、γ型、またはβ型とγ型が混在する構造など)を有し、Liの含有量が3.5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である複合酸化物など〕、LiTi5/3(4/3≦a<7/3)などのリチウム含有複合酸化物;バナジウム酸化物;ニオブ酸化物;チタン酸化物;二硫化鉄などの硫化物;フッ化黒鉛;などが挙げられる。
また、正極の導電助剤としては、例えば、鱗片状黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、正極のバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、六フッ化プロピレンの重合体などのフッ素樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極は、例えば、以下のようにして製造することができる、まず、正極活物質に導電助剤やバインダを配合し、必要に応じて水などを添加してなる正極合剤(スラリー)を、ロールなどを用いて圧延するなどして予備シート化し、これを乾燥・粉砕したものを再度ロール圧延などによってシート形状に成形して正極合剤シートとする。
このような正極合剤シートを2枚用意し、正極集電体を間に挟みつつ重ね、プレス処理などにより、それぞれの正極合剤シートの一部のみを正極集電体と接合することで、正極を製造することができる。
正極集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼やアルミニウムを素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、箔(板)などが例示できる。なお、ステンレス鋼製の網は、特に端部のバリを除去し難く、これを正極集電体として使用すると、正極合剤シートとの位置ずれが生じた場合にセパレータの傷付きが生じやすいが、本発明によれば、このような正極集電体を有する場合でも、セパレータの傷付きによる短絡の発生を良好に抑制することができる。
正極集電体の厚みは、0.05~0.15mmであることが好ましい。
正極集電体の表面には、ペースト状の導電材を塗布しておくことができる。正極集電体として立体構造を有する網状のものを用いた場合も、金属箔やパンチングメタルなどの本質的に平板からなる材料を用いた場合と同様に、導電材の塗布により集電効果の著しい改善が認められる。これは、網状の集電体の金属部分が正極合剤層と直接的に接触する経路のみならず、網目内に充填された導電材を介しての経路が有効に利用されていることによるものと推測される。
導電材としては、例えば、銀ペーストやカーボンペーストなどを用いることができる。特にカーボンペーストは、銀ペーストに比べて材料費が安く済み、しかも銀ペーストと略同等の接触効果が得られるため、非水電解液一次電池の製造コストの低減化を図る上で好適である。導電材のバインダとしては、水ガラスやイミド系のバインダなどの耐熱性の材料を用いることが好ましい。これは正極合剤層中の水分を除去する際に200℃を超える高温で乾燥処理するためである。
正極を構成する各正極合剤シートは、電池の高容量化・高エネルギー密度化を図る観点から、その厚みが、0.3mm以上であり、0.4mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることがより好ましい。ただし、各正極合剤シートが厚すぎると、正極合剤シートの内部抵抗が大きくなり、正極が有する容量が十分に引き出せなくなる虞がある。また、正極の可撓性が低下しやすくなり、正極合剤シートの一部分のみを正極集電体と接合した場合であっても、正極合剤シートに割れや欠けが生じやすくなる。よって、電池の特性を向上させたり可撓性をより良好に確保したりする観点から、各正極合剤層シートの厚みは、1mm以下とすることが好ましく、0.9mm以下とすることがより好ましい。
正極合剤層における各成分の組成としては、正極活物質の量が80~90質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5~10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.3~10質量%であることが好ましい。
正極全体の厚みは、可撓性の点から、2.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。
シート状電池の負極には、例えば負極活物質を含有する負極活物質層が集電体の片面または両面に形成された構造のものが使用できる。
シート状電池が非水一次電池である場合、負極活物質層は、例えば、リチウムシート(リチウム金属箔またはリチウム合金箔)で構成することができる。負極活物質層がリチウム合金箔で構成される場合、そのリチウム合金としては、リチウム-アルミニウムなどが挙げられる。特に、負極活物質層には、リチウム金属箔とアルミニウムの薄箔とを貼り合わせてなる積層体を用い、アルミニウムの薄箔側を、少なくとも、正極合剤シート側に配置することが好ましい。リチウム金属箔とアルミニウム箔との積層体は、電池内で後記の非水電解質と触れることで、その界面においてリチウム-アルミニウム合金を生成する。よって、リチウム金属箔とアルミニウム薄箔との積層体を用いると、電池内において、負極活物質層を構成するリチウムシートの表面でリチウム-アルミニウム合金が生成するが、このとき、リチウム-アルミニウム合金が微粉化するため、リチウムシートの前記合金含有面では、その比表面積が増大する。従って、この合金含有面を、正極合剤シートとの対向面とすることで、電池がより効率よく放電できるようになる。
負極活物質層を構成するリチウムシートの厚みは、0.1~1mmであることが好ましい。また、前記のリチウム金属箔とアルミニウムの薄箔との積層体を用いる場合には、リチウム金属箔の厚みが0.1~1mmであり、アルミニウムの薄箔の厚みが0.005~0.05mmであることが好ましい。
負極集電体には、銅、ニッケル、鉄、ステンレスなどの箔を用いることができる。負極集電体の厚み分だけ電池容器(外装缶)の内部体積が減少するため、負極集電体の厚みは可及的に小さいことが好ましく、具体的には、例えば、0.1mm以下であることが推奨される。すなわち、負極集電体が厚すぎると、負極活物質層を構成するリチウムシートなどの仕込み量を少なくせざるを得ず、正極を前記のように厚くすることによる電池容量の向上効果が小さくなる虞がある。また、負極集電体が薄すぎると、破れやすくなるため、負極集電体の厚みは、0.005mm以上であることが好ましい。また、負極集電体は、その幅が負極活物質層を構成するリチウムシートの幅と同じか、それよりも広いことが好ましく、また、その面積が、リチウムシートの面積の100~130%であることが好ましい。負極集電体の面積を前記のようにすることによって、負極集電体の幅がリチウムシートの幅と同じかまたは広く、長さが長くなるため、負極集電体の周囲に沿ってリチウムシートが切れて電気的接続が断たれることを防ぐことができる。
シート状電池が非水一次電池である場合、正極と負極との間に介在させるセパレータには、従来から知られている非水一次電池で使用されているセパレータ、すなわち、微孔性樹脂フィルムからなるセパレータや樹脂不織布からなるセパレータが使用できる。その材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンの他、耐熱用として、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。また、前記材質の微孔性フィルムと不織布とを複数積層するか、または微孔性フィルム同士や不織布同士を複数積層することによって構成される複層構造のセパレータを用いることにより、高温環境下で使用する場合の信頼性を高めることもできる。
セパレータの厚みは、例えば、10~500μmであることが好ましい。また、セパレータの空孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であって、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下である。ここでいうセパレータの空孔率は、一定面積の試料を切り出してその質量と厚みを測定し、これらの測定値から算出することで求められる値である。
正極の両面にセパレータを介して負極を配置する電極体の場合、2枚のセパレータを使用し、それぞれを正極の負極との対向面に配置してもよいが、図1に示すように、1枚のセパレータを、正極を挟むようにして折り返して配置してもよい。また、負極についても、2枚の負極を使用し、それぞれを、セパレータを挟んで正極と対向するように配置してもよく、図1に示すように、1枚の負極を、正極の外側に配置したセパレータを挟むように折り返して配置してもよい。このようにすることで、電池の生産性を高めることができる。
シート状電池が非水一次電池である場合の非水電解質には、有機溶媒に電解質を溶解させた非水電解液が使用できる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル;1,2-ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;などが挙げられる。特に、前記の炭酸エステルとエーテルとを併用することが好ましい。
非水電解液溶媒として、炭酸エステルとエーテルとを併用する場合には、全溶媒中の炭酸エステルとエーテルとの量比(混合比)は、体積比で、炭酸エステル:エーテル=30:70~70:30とすることが好ましい。
非水電解液に溶解させる電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiC2n+1SO(n≧1)[LiCFSO、LiCSOなど]、リチウムイミド塩[LiN(CFSO、LiN(CSOなど]、LiC(CFSO、LiCFCO、LiB10Cl10、低級脂肪酸カルボン酸リチウム、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどが挙げられ、それらのうちの少なくとも1種が用いられる。
非水電解液中における電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.2~2mol/lが好ましく、0.3~1.5mol/lがより好ましい。
前記非水電解液は、通常、液状のまま用いるが、ポリマーなどでゲル化したゲル状のもの(ゲル状電解質)を用いてもよい。
シート状電池は、正極と負極とをセパレータを介しつつ重ねて形成した電極体(積層電極体)と非水電解質とを、樹脂フィルムを有するシート状部材で構成された外装体内に封入して製造される。
図4および図5に、本発明のシート状電池の一例を模式的に表す図面を示す。図4はシート状電池の平面図であり、図5は図4のI-I線断面図である。
シート状電池1は、2枚のシート状部材で構成した外装体2内に、電極体100と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、外装体2は、その外周部において、上下のシート状部材(その樹脂フィルム)を熱融着することにより封止されている。なお、図5では、図面が煩雑になることを避けるために、外装体2を構成している各層や、電極体を構成している正極、負極およびセパレータを区別して示していない。
電極体100の有する正極は、電池1内で正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、電極体100の有する負極も、電池1内で負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側を外装体2の外側に引き出されている。すなわち、正極外部端子3および負極外部端子4は、外装体2の封止部において固定された状態で、外装体2の外側に引き出されている。
正極外部端子は、正極集電体のタブ部によって構成してもよく、正極集電体のタブ部に金属板や金属線などを溶接するなどして設けてもよい。また、負極外部端子も、負極集電体のタブ部によって構成してもよく、負極集電体のタブ部に金属板や金属線などを溶接するなどして設けてもよい。
なお、シート状電池において、正極が有する2枚の正極合剤シートは、その隣接する正極集電体との接合部を一部のみに設けるが、電池製造時や電池内において、各正極合剤シートと正極集電体とが散けてしまう虞もある。よって、電極体における正極の非接合部が位置する箇所を、クリップやストラップ、リングなどを用いて、正極の非接合部での電池の変形に伴う位置ずれを損なわない範囲で固定してもよい。
シート状電池の外装体を構成するシート状部材は、樹脂フィルムで構成される。このような樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは、20~100μmであることが好ましい。
なお、外装体の封止は、一方(例えば正極側)のシート状部材に係る樹脂フィルムの端部と他方(例えば負極側)のシート状部材に係る樹脂フィルムの端部との熱溶着によって行うが、この熱溶着をより容易にする目的で、前記例示の樹脂フィルムに、200℃以下の温度で溶融する樹脂層を積層してシート状部材に用いてもよい。前記樹脂層を構成する200℃以下で溶融する樹脂は、融点を有する場合は、JIS K 7121の規定に準じて測定される融解温度が200℃以下の樹脂であり、融点を有しない場合は、JIS K 7121の規定に準じて測定されるガラス転移温度が200℃以下の樹脂である。前記樹脂の具体例としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。前記樹脂層の厚みは20~100μmであることが好ましい。
また、樹脂フィルムに金属層を積層してシート状部材としてもよい。金属層は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)の蒸着膜やアルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔。)などにより構成することができる。金属層の厚みが10~150μmであることが好ましい。
また、外装体を構成するシート状部材は、200℃以下の温度で溶融する前記樹脂層(樹脂フィルム)と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
さらに、外装体を構成するシート状部材、樹脂フィルムに、水蒸気の透過を防ぐための、電気絶縁性の酸化物層を積層したものであってもよい。
電気絶縁性の酸化物層を構成する酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの無機酸化物が挙げられる。なお、酸化ケイ素で構成される層は、酸化アルミニウムで構成される層に比べて、電池内の電解液中の水分の透過を抑制する機能が高い傾向にある。よって、電気絶縁性の酸化物層は、酸化ケイ素で構成された層であることがより好ましい。
電気絶縁性の酸化物層は、例えば蒸着法によって樹脂フィルムの表面に形成することができる。電気絶縁性の酸化物層の厚みは、10~300nmであることが好ましい。
電気絶縁性の酸化物層を有する樹脂フィルムの場合、酸化物層を保護するための保護層を、酸化物層の表面(基材となる樹脂フィルムとは反対側の面)に形成してもよい。
電気絶縁性の酸化物層を有する樹脂フィルムは、例えば、バリアフィルムなどの名称で医療医薬用、電子デバイス用、食品用などの用途で市販されている積層フィルムを用いることができる。
市販の積層フィルムとしては、凸版印刷社製「GL FILM」および「PRIME BARRIER」(いずれも商品名)、三井化学東セロ社製「マックスバリア」および「TL」(いずれも商品名)、三菱ケミカル社製「テックバリア」(商品名)、大日本印刷社製「IB-Film」(商品名)、東洋紡社製「エコシアール」(商品名)などを例示することができる。
外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形の外装体の場合、正極外部端子および負極外部端子は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
また、大きなサイズのシート状部材を、電極体を挟み込むように折り曲げ、電極体の上下のシート状部材の、折り曲げた部分以外の外周部分同士を熱融着することで、外装体を構成することもできる。
本発明のシート状電池は、厚みを1.5~5mmと薄くすることができ、高エネルギー密度の電池とすることが可能である。
本発明のシート状電池は、従来から知られている非水電池や水溶液系電解質電池と同様の用途に適用可能であるが、特に筒形や扁平形などの金属容器を使用した電池が、その形状上の問題で適用し難い用途にも、好ましく適用することができる。また、特にシート状電池の一般的な特徴として、薄型の形態とすることが容易であることから、本発明のシート状電池は、薄型の電気機器などの電源用途として有用である。
すなわち、本発明の電子機器は、本発明のシート状電池を電源として有するものであり、例えば、厚みを2~10mmと薄くすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1
(正極の作製)
まず、以下の手順で、正極合剤(質量比で、固形分:水分=100:30のもの)を調製した。BET比表面積が600m/gのカーボンブラック:3%と二酸化マンガン:92%とを、プラネタリーミキサーを用いて乾式で5分間混合した後、水を固形分の20%(質量比)となるように添加して5分間混合した。PTFEディスパージョンを、固形分が、正極合剤の固形分で5%に当たる量だけ用意し、これを残りの水で希釈して、前記の混合物に添加し、5分間混合して正極合剤を得た。
前記の正極合剤を、直径:250mmの2本ロールを用い、ロール温度を125±5℃に調整し、プレス圧:7トン/cm、ロール間隔:0.4mm、回転速度:10rpmの条件で、ロール圧延してシート化した。ロールを通過した正極合剤(予備シート)を105±5℃で残水分が2%以下になるまで乾燥した。次いで乾燥後の予備シートを粉砕機を用いて粉砕した。この際、前記予備シートが、元の見かけ体積の2倍以上になるまで粉砕した。粉砕後の粒子径は、大部分が1mm以下であり、バインダとして添加したPTFEも1mm以下の長さの繊維状に切断されていた。粉砕後の材料について、再度ロールによるシート化を行った。ロールの間隔は0.6±0.05mmに調整し、ロール温度:125±10℃、プレス圧:7トン/cm、回転速度:10rpmの条件でシート化して正極合剤シートを得た。得られた正極合剤シートは、厚みが0.65mmであった。また、正極合剤シートの密度は2.5g/cmであり、空隙率は42%であった。この正極合剤シートを切断して、幅(図2中aの長さ):26mm、長さ(図2中bの長さ):65mmの正極合剤シートを2枚得た。
正極集電体には、厚みが0.1mmのステンレス鋼(SUS304)製の網を用いた。この網を、幅(図2中cの長さ):23.5mm、長さ(図2中dの長さ):60mmの矩形の本体部と、幅(図2中eの長さ):10mm、長さ(図2中fの長さ):5mmのタブ部とを有する形状に切断した。さらに、この網に、カーボンペーストを、網の目をつぶさない程度に塗布した後、105±5℃の温度で乾燥して正極集電体とした。なお、カーボンペーストの塗布量は、乾燥後の塗布量で5mg/cmとなるようにした。
次に、前記2枚の正極合剤シートの間に正極集電体を挟み、図2中下側の周縁部(端部およびその近傍)のみで各正極合剤シートと正極集電体とを接合して三者を一体化し、正極を得た。なお、前記三者の一体化の際には、正極集電体における図2中左右の2辺の端部を、2枚の正極合剤シートの図2中左右の2辺の端部よりもそれぞれ1.25mm内側とし、正極集電体における図2中上下(長手方向)の2辺の端部を、2枚の正極合剤シートの図2中上下(長手方向)の2辺の端部よりもそれぞれ2.5mm内側とした。また、正極合剤シート接合部11aの幅は5mmとした。
(負極の作製)
厚みが0.27mmの金属リチウム箔を、幅:25.5mm、長さ:130mmに切断した。負極集電体には、厚みが10μmの銅箔を、幅:26.5mm、長さ:130mmの本体部と、幅:10mm、長さ:3mmのタブ部とを有する形状に切断して用いた。前記金属リチウム箔を、前記銅箔の本体部の幅方向の中央部に配置して貼り付けて、金属リチウムからなる負極活物質層を負極集電体の片面に有する負極を得た。
(電極体の作製)
セパレータに、幅:31mm、長さ:138mm、厚み:16μmの微孔性ポリエチレンフィルムと、幅:31mm、長さ:138mm、厚み:40μmのポリエチレン製不織布とを重ねて使用し、これを、前記正極を両面から挟むように折り返して配置した。そして、前記負極を、折り返して正極を挟んだセパレータの外側を挟むように折り返して配置して、図1に示すような断面構造の電極体を形成した。前記電極体の正極のタブ部および負極のタブ部には、それぞれ、幅:6mm、長さ11mm、厚み:0.1mmのニッケル製の外部端子(正極外部端子および負極外部端子)を溶接した。
(シート状電池の組み立て)
厚み:0.085mm、幅:37mm、長さ:156mmのアルミニウムラミネートフィルムを、前記電極体を挟むように折り返し、電極体の上下のアルミニウムラミネートフィルムの2辺を熱溶着した。そして、両アルミニウムラミネートフィルムの残りの1辺から非水電解液(エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメトキシエタンとの体積比15:25:60の混合溶媒に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.45mol/Lの濃度で溶解させた溶液)を注入した。その後、両アルミニウムラミネートフィルムの前記残りの1辺を真空熱封止して、図4に示す外観で、外装体の折り畳み部分の構成を除いて図5に示す断面構造と同様の構造のシート状電池(シート状非水一次電池)を作製した。
(実施例2)
正極合剤シートの厚みを1.3mmとし、金属リチウム箔の厚みを0.54mmとした以外は実施例1と同様にして、正極および負極を作製した。さらに、前記正極および前記負極を用い、非水電解液の注入量を2倍にした以外は実施例1と同様にして、シート状電池を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様の2枚の正極合剤シートの間に正極集電体を挟み、正極合剤シート同士を全面で接合して、正極合剤シートと正極集電体とを完全に一体化した以外は、実施例1と同様にして正極を得た。さらに、前記正極を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状電池を作製した。
(比較例2)
実施例1と同様のステンレス鋼製の網を、正極合剤シートと同じ大きさ(幅:26mm、長さ:65mm)の矩形の本体部と、幅:10mm、長さ:2.5mmのタブ部とを有する形状に切断した。
実施例1と同様の2枚の正極合剤シートの間に、前記正極集電体を、矩形の本体部と正極合剤シートとが平面視で同じ位置になるようにして挟み、以下、実施例1と同様にして正極を得た。さらに、前記正極を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状電池を作製した。
(比較例3)
正極合剤シートの厚みを0.24mmとした以外は比較例1と同様にして、正極合剤シートと正極集電体とを完全に一体化した正極を得た。次に、金属リチウム箔の厚みを0.1mmとした以外は実施例1と同様にして負極を作製し、さらに、前記正極および前記負極を用い、非水電解液の注入量を0.5倍にした以外は実施例1と同様にして、シート状電池を作製した。
実施例1、2および比較例1~3のシート状電池を10個ずつ作製し、それぞれ以下の評価を行った。
直径が40mmの樹脂製の円柱の側面に沿うように、各シート状電池を長手方向に湾曲させ、その状態で接着テープにより各電池を前記円柱に固定した。
次に、正極の設計容量をC(mAh)とした場合に、1/500C(mA)となる電流値で各電池を放電させ、電池電圧が2Vに低下するまでの放電容量を測定し、10個の電池の平均値を求めた。また、正極の設計容量:Cに対する前記放電容量(平均値)の割合を正極の利用率として求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007267884000001
実施例1および2の電池は、電池を湾曲させた際に正極合剤シートと集電体との間でずれが生じたことにより、正極に生じる応力が緩和され、正極合剤シートの割れや欠けを抑えることができた。また、正極集電体の前記正極合剤シートが接合されていない部分の端部を、平面視で、2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置したことにより、正極集電体の端部がセパレータを突き抜けて負極と接触し、短絡を生じるのを防ぐことができた。このため、実施例1の電池では、正極合剤シートの総厚みが1.3mmと厚くなったにもかかわらず、可撓性に優れたシート状電池を構成することができ、また正極の利用率も87%と高い値を維持することができ、高容量のシート状電池とすることができた。
一方、実施例2の電池は、実施例1の電池よりもさらに高容量化を図ることができたが、それぞれの正極合剤シートの厚みが1mmを超えたため、正極の内部抵抗が高くなり、実施例1の電池に比べ正極の利用率が低下した。
比較例1の電池は、正極合剤シートと正極集電体とを完全に一体化したため、電池を湾曲させた際に正極に大きな応力が生じ、正極合剤シートに割れや欠けが生じたことから、実施例1の電池に比べ放電容量が低下した。
比較例2の電池は、正極集電体の正極合剤シートが接合されていない部分の端部を、平面視で、2枚の正極合剤シートの端部と同じ位置に配置したため、電池を湾曲させた際に正極集電体の端部が露出してしまい、セパレータを突き抜けて負極と接触し短絡を生じた電池が認められた。このため、実施例1の電池に比べ放電容量が低下した。
比較例3の電池は、正極合剤シートが薄いため、正極合剤シートと正極集電体とを完全に一体化しても、電池を湾曲させた際に問題を生じなかったが、高容量のシート状電池を構成することができなかった。
1 シート状電池
2 外装体
3 正極外部端子
4 負極外部端子
10 正極
11 正極合剤シート
12 正極集電体
12a 正極集電体の本体部
12b 正極集電体のタブ部
20 負極
21 負極活物質層
22 負極集電体
30 セパレータ
100 電極体

Claims (6)

  1. 正極、負極、セパレータおよび電解質を、樹脂フィルムを有するシート状部材で構成された外装体内に収容してなるシート状電池であって、
    前記正極は、正極活物質を含有する2枚の正極合剤シートが、正極集電体を介して積層されて構成されており、
    前記2枚の正極合剤シートは、それぞれ、厚みが0.3mm以上であり、かつ一部分が前記正極集電体と接合されており、
    前記正極合剤シートと接合されていない正極集電体の端部の少なくとも一部は、平面視で、前記2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置されていることを特徴とするシート状電池。
  2. 前記2枚の正極合剤シートは平面視で矩形であり、
    前記正極集電体は、平面視で、矩形の本体部と、本体部から突出するタブ部とを有しており、
    前記正極合剤シートの長手方向における一方の端部の周縁部が、前記正極集電体の本体部の周縁部と接合されており、かつもう一方の端部の周縁部では、前記正極集電体の本体部の端部が、平面視で、前記2枚の正極合剤シートよりも内側に配置されている請求項1に記載のシート状電池。
  3. 前記正極集電体の前記正極合剤シートが接合されていない部分の端部全体が、平面視で、前記2枚の正極合剤シートの端部よりも内側に配置されている請求項2に記載のシート状電池。
  4. 前記セパレータは、折り返され前記正極を挟んで配置されており、
    前記負極は、折り返され前記正極の外側に配置された前記セパレータを挟んで配置されている請求項1~3のいずれかに記載のシート状電池。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のシート状電池を電源として有することを特徴とする電子機器。
  6. 厚みが2~10mmである請求項5に記載の電子機器。
JP2019169652A 2019-09-18 2019-09-18 シート状電池および電子機器 Active JP7267884B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019169652A JP7267884B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 シート状電池および電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019169652A JP7267884B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 シート状電池および電子機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021048039A JP2021048039A (ja) 2021-03-25
JP7267884B2 true JP7267884B2 (ja) 2023-05-02

Family

ID=74878670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019169652A Active JP7267884B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 シート状電池および電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7267884B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006139918A (ja) 2004-11-10 2006-06-01 Hitachi Maxell Ltd 筒形非水電解液電池
JP2009218105A (ja) 2008-03-11 2009-09-24 Nec Tokin Corp 積層型電池およびその製造方法
JP2013097931A (ja) 2011-10-28 2013-05-20 Fdk Tottori Co Ltd 薄膜型電気化学素子の製造方法
JP2017168217A (ja) 2016-03-14 2017-09-21 三星エスディアイ株式会社Samsung SDI Co., Ltd. フレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0553128U (ja) * 1991-12-13 1993-07-13 古河電池株式会社 二次電池用正極板

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006139918A (ja) 2004-11-10 2006-06-01 Hitachi Maxell Ltd 筒形非水電解液電池
JP2009218105A (ja) 2008-03-11 2009-09-24 Nec Tokin Corp 積層型電池およびその製造方法
JP2013097931A (ja) 2011-10-28 2013-05-20 Fdk Tottori Co Ltd 薄膜型電気化学素子の製造方法
JP2017168217A (ja) 2016-03-14 2017-09-21 三星エスディアイ株式会社Samsung SDI Co., Ltd. フレキシブル二次電池用集電体、フレキシブル二次電池用電極、フレキシブル二次電池用電極積層組立体、フレキシブル二次電池およびフレキシブル二次電池用電極の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021048039A (ja) 2021-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8216718B2 (en) Anode and lithium-ion secondary battery
US8034483B2 (en) Anode and lithium-ion secondary battery
EP2495798B1 (en) Flat nonaqueous secondary battery
WO2016039323A1 (ja) 非水電解液電池、その製造方法、および非水電解液電池システム
JP6642880B2 (ja) 突出延長部とタブ連結部とを備えた電極リードを含んでいる電池セル
JP6032628B2 (ja) 薄型電池
WO2012124188A1 (ja) 非水二次電池用電極、その製造方法、および非水二次電池
JP4604306B2 (ja) 固体電解質電池及びその製造方法
JP5348720B2 (ja) 扁平形非水二次電池
EP3859821A1 (en) Separator and nonaqueous electrolyte secondary battery
JP5011928B2 (ja) 電池
JP2019160553A (ja) 電極及び蓄電素子
JP7267884B2 (ja) シート状電池および電子機器
JP7190018B2 (ja) 筒形非水電解液一次電池
JP4993859B2 (ja) 非水電解液一次電池
JP7330855B2 (ja) 非水一次電池
JP2006164883A (ja) 捲回電極およびその製造方法、並びに電池の製造方法
JP5566671B2 (ja) 扁平形非水二次電池
JP5681358B2 (ja) 扁平形非水二次電池
JP2007200824A (ja) 非水電解質電池
JP2021170489A (ja) シート状電池
JP2021158093A (ja) シート状リチウム一次電池およびその製造方法
JPH10172607A (ja) シート状リチウム二次電池
JP6870712B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池
JP2011154788A (ja) 電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7267884

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150