JP2021158093A - シート状リチウム一次電池およびその製造方法 - Google Patents

シート状リチウム一次電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 貯蔵特性に優れたシート状リチウム一次電池と、その製造方法とを提供する。【解決手段】 本発明のシート状リチウム一次電池は、熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液を収容してなり、70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積が、貯蔵前の電池の内容積の20%以下であることを特徴とするものである。本発明のシート状リチウム一次電池の製造方法は、外装体内に発電要素を封入し、仮組立体を作製する仮封止工程と、仮組立体が有する容量の一部を放電させる予備放電工程と、仮組立体を加温状態で保持する貯蔵工程と、その後に外装体の一部を開封し、内部のガスを除去するガス抜き工程と、ガス抜き工程の後で外装体を封止する本封止工程とを有することを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、貯蔵特性に優れたシート状リチウム一次電池とその製造方法に関するものである。
種々の機器の電源用途などに利用されているリチウム一次電池は、正極と負極とをセパレータを介して重ねて渦巻状に巻回した巻回電極体を筒形の金属容器に収容した形態のものや、正極と負極とをセパレータを介して重ねた積層電極体を扁平状の金属容器に収容した、コイン形やボタン形と称される扁平状の形態のものが一般的である。
しかし、近年では、例えば薄型の電子機器のように、前記の金属容器では適用し難い用途へのニーズもあり、こうした要請に応えるべく、ラミネートフィルム外装体を用いたシート状リチウム一次電池も開発されている。ラミネートフィルム外装体を用いたシート状電池の場合、薄型の形態にしやすいといった点以外にも、金属容器と異なり外装体に可撓性があるために必要に応じてある程度形状を変え得ることから、前記のような金属容器を用いた電池よりも適用機器の範囲が広いといった利点がある。
また、シート状リチウム一次電池は、コイン形リチウム一次電池に比べ、容量を大きくできるが、その一方で、負極および正極の活物質量が多くなり、また電極の面積も大きくなるため、電池内の水分と電極との反応によりガスが発生しやすく、さらに、ラミネートフィルムで構成された外装体が変形容易であるため、高温で貯蔵された際などに電池の膨れがより問題となりやすかった。
このようなシート状電池におけるガス発生の問題を解決するための技術開発も行われている。例えば特許文献1には、ラミネートフィルム外装体に発電要素を収容して一旦封止してからエイジング処理を施し、その間に発生したガスを外装体を開封して排気してから、再度封止して電池を組み立てる手法が提案されている。
特開2009−187711号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1の方法においても、電池の貯蔵時などにガス発生による外装体の変形が認められることが判明した。よって、シート状リチウム一次電池の貯蔵性向上においては、特許文献1に記載の技術も改善の余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯蔵特性に優れたシート状リチウム一次電池と、その製造方法とを提供することにある。
本発明のシート状リチウム一次電池は、熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液を収容してなり、70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積が、貯蔵前の電池の内容積の20%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のシート状リチウム一次電池の製造方法は、熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液よりなる発電要素を収容してなるシート状リチウム一次電池を製造する方法であって、前記外装体内に前記発電要素を封入し、仮組立体を作製する仮封止工程と、前記仮組立体が有する容量の一部を放電させる予備放電工程と、前記仮組立体を加温状態で保持する貯蔵工程と、前記予備放電工程および前記貯蔵工程の後で外装体の一部を開封し、内部のガスを除去するガス抜き工程と、前記ガス抜き工程の後で外装体を封止する本封止工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、貯蔵特性に優れたシート状リチウム一次電池と、その製造方法とを提供することができる。
本発明のシート状リチウム一次電池に係る電極体の一例を模式的に表す断面図である。 本発明のシート状リチウム一次電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図である。 本発明のシート状リチウム一次電池に係る正極の他の例を模式的に表す平面図である。 本発明のシート状リチウム一次電池の一例を模式的に表す平面図である。 図4のI−I線断面図である。
本発明のシート状リチウム一次電池は、熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液を収容してなり、70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積が、貯蔵前の電池の内容積の20%以下である。
すなわち、本発明のシート状リチウム一次電池は、貯蔵時における内部でのガスの発生が高度に抑制されており、例えば比較的過酷な条件下で貯蔵しても、内部でのガス発生に起因する外装体の変形の程度が小さい。このように、本発明のシート状リチウム一次電池は、優れた貯蔵特性を有している。
また、以下の本発明の製造方法によって、優れた貯蔵特性を有するシート状リチウム一次電池を製造することができ、例えば、70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積を、貯蔵前の電池の内容積の20%以下、好ましくは10%以下に抑制することができる。
(1)仮封止工程
仮封止工程では、負極、正極、セパレータおよび非水電解液といった発電要素を、熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に封入して、仮組立体を作製する。
外装体の封止は、外装体を構成するラミネートフィルムの熱溶着性樹脂層に係る熱溶着性樹脂の熱溶着によって行うが、仮組立体においては、シート状リチウム一次電池に要求されるサイズよりも外装体を大きくしておくことが好ましい。後述するように、仮組立体は、後述する工程において一部を開封するが、外装体を大きめにしておくと、外装体の一部を切断することで仮組立体の開封を行っても、求めるサイズのシート状リチウム一次電池を製造することができるからである。
(2)予備放電工程
予備放電工程では、仮封止工程によって得られた仮組立体が有する容量の一部を放電させる。この予備放電によって、仮組立体の電圧を、電池の内部に存在する水分が電気分解しない程度にまで下げることで、シート状リチウム一次電池内での水分の分解によるガス発生が抑制される。
予備放電工程で予備放電させる電気量は、仮組立体の有する容量(すなわち、シート状リチウム一次電池の設計容量)の1〜10%とすることが好ましい。これにより、仮組立体の電圧を、内部に存在する水分が電気分解しない程度にまで下げることができる。
予備放電においては、放電させる電気量の全てを1回の工程で放電させてもよく、複数回(2回、3回、4回など)の工程に分けて放電させてもよい。
(3)貯蔵工程
貯蔵工程では、仮組立体を加温状態で貯蔵する。この貯蔵によって、仮組立体(シート状リチウム一次電池)の電圧を安定化させるとともに、電池の内部の水分を活物質などと反応させてガス化させ、電池内に残留する水分量をできるだけ少なくする。
貯蔵工程における仮組立体の貯蔵条件は、例えば、40〜80℃で、6〜96時間とすればよい。
なお、予備放電工程と貯蔵工程の順番を入れ替え、貯蔵工程を先に行ってもよいが、予備放電工程を先に行う方が効果を高めることができる。
(4)ガス抜き工程
ガス抜き工程では、予備放電工程および貯蔵工程を経た仮組立体の外装体の一部を開封し、内部のガスを除去する。
この場合、前記の通り、仮組立体の外装体のサイズを、シート状リチウム一次電池に必要なサイズよりも大きくしておけば、外装体の溶着部の一部を切断することで開封しても、その後に所定サイズのシート状リチウム一次電池を得ることができる。
ガス抜きの手法については、特に制限はないが、単に外装体を開封するだけでは、内部のガスを十分に排除できない虞があることから、外装体内を減圧するなどして強制的にガス抜きをする手法を採用することが好ましい。
(5)本封止工程
本封止工程では、ガス抜き工程を経た仮組立体の開封部分を再度封止して、シート状リチウム一次電池を得る。
本発明の製造方法によれば、予備放電工程、貯蔵工程およびガス抜き工程を経ることで、外装体内の水分をガス化して排除し、電池内に残存する水分量を大幅に低減する(貯蔵工程およびガス抜き工程)だけでなく、残存する水分が電気分解によってガス化し難い状態にできる(予備放電工程)。よって、本発明の製造方法によれば、例えば、70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積が前記の値を満たし、貯蔵時において内部のガスによる外装体の変形が高度に抑制された本発明のシート状リチウム一次電池を得ることができる。
このようにして製造されるシート状リチウム一次電池は、例えば、正極活物質が、予備放電させた電気量、すなわち、電池の全放電容量の1〜10%に相当するリチウムを含有している。
電池が含有する正極活物質が、予め電池の全放電容量の1〜10%に相当するリチウムを含有していることは、以下のようにして把握する。
正極活物質中のリチウムの量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析などの分析法により測定することができる。
また、電池の全放電容量は、後記の実施例で採用している方法によって電池の放電容量を求め、前記の正極活物質中のリチウム量から見積もられる容量(本発明の製造方法における予備放電工程において実施した予備放電で消費した容量に相当する)を加えて算出する。
シート状リチウム一次電池の正極には、例えば、正極活物質や導電助剤、バインダなどを含む正極合剤で構成された正極合剤層が、集電体の片面または両面に形成された構造のものが使用できる。
正極活物質としては、二酸化マンガン、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、チタン酸化物、二硫化鉄などの硫化物、フッ化黒鉛、などが挙げられる。これらの中でも、高容量かつ高電圧であることから、二酸化マンガンが好ましい。
また、正極の導電助剤としては、例えば、鱗片状黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、正極のバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、六フッ化プロピレンの重合体などのフッ素樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極は、例えば、以下のようにして製造することができる、まず、正極活物質に導電助剤やバインダを配合し、必要に応じて水などを添加してなる正極合剤(スラリー)を、ロールなどを用いて圧延するなどして予備シート化し、これを乾燥・粉砕したものを再度ロール圧延などによってシート形状に成形して、正極合剤層を構成するための正極合剤シートとする。
このような正極合剤シートを、プレス処理などによって正極集電体と接合することで、正極を製造することができる。
正極集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼やアルミニウムを素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、箔(板)などが例示できる。
正極集電体の厚みは、0.05〜0.15mmであることが好ましい。
正極集電体の表面には、ペースト状の導電材を塗布しておくことができる。正極集電体として立体構造を有する網状のものを用いた場合も、金属箔やパンチングメタルなどの本質的に平板からなる材料を用いた場合と同様に、導電材の塗布により集電効果の著しい改善が認められる。これは、網状の集電体の金属部分が正極合剤層と直接的に接触する経路のみならず、網目内に充填された導電材を介しての経路が有効に利用されていることによるものと推測される。
導電材としては、例えば、銀ペーストやカーボンペーストなどを用いることができる。特にカーボンペーストは、銀ペーストに比べて材料費が安く済み、しかも銀ペーストと略同等の接触効果が得られるため、シート状リチウム一次電池の製造コストの低減化を図る上で好適である。導電材のバインダとしては、水ガラスやイミド系のバインダなどの耐熱性の材料を用いることが好ましい。これは正極合剤層中の水分を除去する際に200℃を超える高温で乾燥処理するためである。
正極合剤層は、電池の高容量化・高エネルギー密度化を図る観点から、その厚みが、0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.6mm以上であることがさらに好ましい。ただし、正極合剤層が厚すぎると、正極合剤層の内部抵抗が大きくなり、正極が有する容量が十分に引き出せなくなる虞がある。また、正極の可撓性が低下しやすくなり、正極合剤層に割れや欠けが生じやすくなる。よって、電池の特性を向上させたり可撓性をより良好に確保したりする観点から、正極合剤層の厚みは、1mm以下とすることが好ましく、0.9mm以下とすることがより好ましい。
なお、ラミネートフィルムで構成された外装体を有するシート状電池は、例えば金属製の缶などの外装体を有する電池と異なり、比較的可撓性に優れることから、適用機器への設置のために必要に応じて多少の変形が加えられる場合がある。ところが、高容量化を図るために正極(正極合剤層)を厚くすると、外装体に変形を加えるなどした際に、正極合剤層に割れや欠けが生じやすくなる。
そこで、正極合剤層を前記のように厚くする場合には、正極合剤層(正極合剤シート)について、一部分を正極集電体と接合して一体化し、他の部分においては正極集電体と接合しない非接合部とすることが好ましい。この場合、正極に多少の曲げを加えても、正極合剤層が、非接合部において正極集電体との間で位置ずれを起こし得ることから、過度の応力が正極合剤層に付加されることを抑制でき、正極合剤層の割れや欠けを抑えることが可能となる。これにより、設置に際し電池に多少の変形を要する機器に適用しても、容量低下を良好に抑制可能なシート状リチウム一次電池とすることができる。
図1に本発明のシート状リチウム一次電池に係る電極体(正極、負極およびセパレータを有する電極体)を模式的に表す断面図を示している。
図1に示す電極体100は、正極10と負極20とがセパレータ30を介して重ねられて形成された積層電極体である。正極10は、正極集電体12の両面に正極合剤層(正極合剤シート)11、11が配置されて構成されている。また、負極20は、負極集電体22の片面(セパレータ30側の面)に負極活物質層21が配置されて構成されている。さらに、電極体100において、セパレータ30は、1枚のシート状のものが折り返され正極10を挟むことで、正極10の両面に配置されており、負極20は、1枚のシート状のものが折り返され正極10の外側に配置されたセパレータ30を挟むことで、セパレータ30の外側で正極10と対向するよう配置されている。
そして、正極10においては、正極合剤層(正極合剤シート)11、11は、これらと隣接する正極集電体12と、その一部分(正極合剤層接合部11a)が接合されており、前記正極合剤層接合部のみが一体化されている。図1の電極体100において、正極合剤層接合部11aは、正極合剤層11、11における図中点線部分よりも左側の網掛の箇所の、正極集電体12との接触部分である。
正極が、正極集電体の両面に正極合剤層(正極合剤シート)を有する場合には、図1に示すように、両方の正極合剤層の一部分が正極集電体との接合し、他の部分が接合していないことが好ましい。
正極合剤層の正極集電体との接合部の形成箇所については、正極に可撓性を付与できる範囲で特に制限はなく、図1に示すように、正極合剤層の周縁部に設けてもよく、また、正極合剤層の端部以外の箇所(中央部など)に設けてもよい。
正極合剤層の正極集電体との接合部の面積は、正極合剤層を正極集電体に確実に固定するために、正極集電体の面積(ただし、後述するタブ部を除く面積)の0.5%以上とすることが好ましく、1%以上とすることがより好ましい。
一方、正極集電体と接合されていない正極合剤層の非接合部の割合を大きくして正極の可撓性を高めるために、正極合剤層の正極集電体との接合部の面積は、正極集電体の面積の30%以下とすることが好ましく、10%以下とすることがより好ましい。
正極合剤層(正極合剤シート)に、その隣接する正極集電体との接合部を一部のみに設けると、電池製造時や電池内において、正極合剤層と正極集電体とが散けてしまう虞もある。よって、このような場合には、電極体における正極の非接合部が位置する箇所を、クリップやストラップ、リングなどを用いて、正極の非接合部での電池の変形に伴う位置ずれを損なわない範囲で固定してもよい。
図2に、本発明のシート状リチウム一次電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図を示している。図2において、一点鎖線部は、正極集電体12のうちの、正極合剤層(正極合剤シート)11の図中奥側に配置されている部分の位置を示している(後記の図3においても同様である)。図2に示す正極10においては、平面視で、後述するタブ部12を除いて、正極集電体12の端部が正極合剤層の端部よりも内側に配置されている。
シート状リチウム一次電池においては、正極集電体の端部の少なくとも一部を、平面視で、正極合剤層(正極合剤シート)の端部よりも内側に配置することが好ましい。この場合、電池に変形を加えるなどして正極合剤層と正極集電体との間で位置ずれが生じても、正極集電体の端部のうち、正極合剤層の端部よりも内側に配置された部分が表面に露出され難くなり、正極集電体の端部とセパレータとの接触が正極合剤層によって抑制されるため、正極集電体によってセパレータが傷付くことによる短絡の発生を抑えることができる。
なお、ステンレス鋼製の網は、特に端部のバリを除去し難く、これを正極集電体として使用すると、正極合剤層との位置ずれが生じた場合にセパレータの傷付きが生じやすいが、正極集電体の端部の少なくとも一部を、平面視で、正極合剤層(正極合剤シート)の端部よりも内側に配置することで、このような正極集電体を有する場合でも、セパレータの傷付きによる短絡の発生を良好に抑制することができる。
正極が、正極集電体の両面に正極合剤層(正極合剤シート)を有する場合には、正極集電体の端部の少なくとも一部を、平面視で、両方の正極合剤層(正極合剤シート)の端部よりも内側に配置することが好ましい。
正極集電体の端部を正極合剤層の端部よりも平面視で内側に配置する箇所は、少なくとも一部に設ければ、電池の短絡抑制効果は得られるが、例えば、図2に示すように、正極集電体12が、矩形(長方形および正方形を含む。本明細書において、以下同じ。)の本体部12aと、タブ部12bとを有し、かつ正極合剤層11が矩形の場合には、前記正極合剤層の長手方向(正方形の場合には、いずれかの辺と平行な方向)の少なくとも一方の周縁部において、前記正極集電体の本体部の端部を、平面視で、正極合剤層11(図2に示している、正極集電体12の図中手前側に配置された正極合剤層11、および図示していない正極集電体12の図中奥側に配置される正極合剤層)の端部よりも内側に配置することが好ましい。
正極合剤層の長手方向に電池を曲げた場合には、これと直交する方向に電池を曲げた場合に比べ、正極合剤層と正極集電体との間の位置ずれが大きくなり、短絡を発生しやすくなる。特に、正極合剤層の長手方向における一方の周縁部が、前記正極集電体の本体部の周縁部と接合されて正極合剤層接合部11a〔図2では、正極合剤層11の図中奥側の面において、正極集電体11との接合部11a(図2中、網掛の部分)が形成されている〕となっている場合には、その部分では正極合剤層と正極集電体との位置ずれが生じず、正極合剤層の長手方向のもう一方の周縁部において、大きな位置ずれを生じることになる。このため、前記正極合剤層が接合されていない側の正極集電体の本体部の端部を、平面視で、2枚の正極合剤層よりも内側に配置することがより好ましい。
さらに、短絡防止効果をより高めるために、正極集電体の正極合剤層が接合されていない部分において、平面視で、本体部の端部全体が、正極合剤層の端部よりも内側に配置されていることが特に好ましい。
なお、本明細書でいう正極合剤層や正極集電体の形状を表す「矩形」には、四隅の少なくとも一つを切り欠いた形状のものや、端部を表す各辺が緩い曲線状であるものも含まれる。
図3には、シート状リチウム一次電池に係る正極の他の例を模式的に表す平面図を示している。図3に示す正極10は、正極集電体12の本体部12aが略円形をしており、この本体部12aから突出したタブ部12bを除く正極集電体12の端部が、正極合剤層(正極合剤シート)(図3に示している、正極集電体12の図中手前側に配置された正極合剤層11、および図示していない正極集電体12の図中奥側に配置される正極合剤層)の端部よりも内側に配置されている。本発明のシート状電池は、図3に示すような形態の正極を有する場合においても、正極集電体と正極合剤層との間で位置ずれが生じたときの正極集電体の端部によるセパレータの傷付きを、良好に抑制することができる。
なお、本明細書では、正極合剤層や正極集電体の形状を表す「円形」には、図3に示す正極集電体12のように、本体部の一部に円周から逸れる部分があるようなものも含めており、これを略円形として表現している。
正極において、正極集電体の端部が正極合剤層の端部よりも内側に配置される箇所においては、セパレータの傷付きによる電池の短絡の発生をより良好に抑制する観点から、平面視での正極集電体の端部と正極合剤層の端部との距離は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。ただし、正極集電体の端部と正極合剤層の端部との距離が大きくなると、正極合剤層の周縁部において集電が取り難くなる。よって、正極集電体の端部が正極合剤層の端部よりも内側に配置される箇所においては、平面視での正極集電体の端部と正極合剤層の端部との距離は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
正極合剤層における各成分の組成としては、正極活物質の量が80〜90質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.3〜10質量%であることが好ましい。
正極全体の厚みは、可撓性の点から、2.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。
シート状リチウム一次電池の負極は、リチウムまたはリチウム合金を負極活物質として含むものであり、例えば、前記負極活物質を含有する負極活物質層が集電体の片面または両面に形成された構造のものが使用できる。
シート状リチウム一次電池の負極活物質層は、例えば、リチウムシート(リチウム金属箔またはリチウム合金箔)で構成することができる。負極活物質層がリチウム合金箔で構成される場合、そのリチウム合金としては、リチウム−アルミニウムなどが挙げられる。特に、負極活物質層には、リチウム金属箔とアルミニウムの薄箔とを貼り合わせてなる積層体を用い、アルミニウムの薄箔側を、少なくとも、正極合剤シート側に配置することが好ましい。リチウム金属箔とアルミニウム箔との積層体は、電池内で後記の非水電解質と触れることで、その界面においてリチウム−アルミニウム合金を生成する。よって、リチウム金属箔とアルミニウム薄箔との積層体を用いると、電池内において、負極活物質層を構成するリチウムシートの表面でリチウム−アルミニウム合金が生成するが、このとき、リチウム−アルミニウム合金が微粉化するため、リチウムシートの前記合金含有面では、その比表面積が増大する。従って、この合金含有面を、正極合剤層との対向面とすることで、電池がより効率よく放電できるようになる。
負極活物質層を構成するリチウムシートの厚みは、0.1〜1mmであることが好ましい。また、前記のリチウム金属箔とアルミニウムの薄箔との積層体を用いる場合には、リチウム金属箔の厚みが0.1〜1mmであり、アルミニウムの薄箔の厚みが0.005〜0.05mmであることが好ましい。
負極集電体には、銅、ニッケル、鉄、ステンレスなどの箔を用いることができる。負極集電体の厚み分だけ電池容器(外装缶)の内部体積が減少するため、負極集電体の厚みは可及的に小さいことが好ましく、具体的には、例えば、0.1mm以下であることが推奨される。すなわち、負極集電体が厚すぎると、負極活物質層を構成するリチウムシートなどの仕込み量を少なくせざるを得ず、正極を前記のように厚くすることによる電池容量の向上効果が小さくなる虞がある。また、負極集電体が薄すぎると、破れやすくなるため、負極集電体の厚みは、0.005mm以上であることが好ましい。また、負極集電体は、その幅が負極活物質層を構成するリチウムシートの幅と同じか、それよりも広いことが好ましく、また、その面積が、リチウムシートの面積の100〜130%であることが好ましい。負極集電体の面積を前記のようにすることによって、負極集電体の幅がリチウムシートの幅と同じかまたは広く、長さが長くなるため、負極集電体の周囲に沿ってリチウムシートが切れて電気的接続が断たれることを防ぐことができる。
シート状リチウム一次電池において、正極と負極との間に介在させるセパレータには、従来から知られているリチウム一次電池などの非水一次電池で使用されているセパレータ、すなわち、微孔性樹脂フィルムからなるセパレータや樹脂不織布からなるセパレータが使用できる。その材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンの他、耐熱用として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。また、前記材質の微孔性フィルムと不織布とを複数積層するか、または微孔性フィルム同士や不織布同士を複数積層することによって構成される複層構造のセパレータを用いることにより、高温環境下で使用する場合の信頼性を高めることもできる。
セパレータの厚みは、例えば、10〜500μmであることが好ましい。また、セパレータの空孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であって、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下である。ここでいうセパレータの空孔率は、一定面積の試料を切り出してその質量と厚みを測定し、これらの測定値から算出することで求められる値である。
正極の両面にセパレータを介して負極を配置する電極体の場合、2枚のセパレータを使用し、それぞれを正極の負極との対向面に配置してもよいが、図1に示すように、1枚のセパレータを、正極を挟むようにして折り返して配置してもよい。また、負極についても、2枚の負極を使用し、それぞれを、セパレータを挟んで正極と対向するように配置してもよく、図1に示すように、1枚の負極を、正極の外側に配置したセパレータを挟むように折り返して配置してもよい。このようにすることで、電池の生産性を高めることができる。
シート状リチウム一次電池の非水電解質には、有機溶媒に電解質を溶解させた非水電解液が使用できる。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル;1,2−ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;などが挙げられる。特に、前記の炭酸エステルとエーテルとを併用することが好ましい。
非水電解液溶媒として、炭酸エステルとエーテルとを併用する場合には、全溶媒中の炭酸エステルとエーテルとの量比(混合比)は、体積比で、炭酸エステル:エーテル=30:70〜70:30とすることが好ましい。
非水電解液に溶解させる電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiC2n+1SO(n≧1)[LiCFSO、LiCSOなど]、リチウムイミド塩[LiN(CFSO、LiN(CSOなど]、LiC(CFSO、LiCFCO、LiB10Cl10、低級脂肪酸カルボン酸リチウム、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどが挙げられ、それらのうちの少なくとも1種が用いられる。
非水電解液中における電解質の濃度は、特に限定されるものではないが、0.2〜2mol/lが好ましく、0.3〜1.5mol/lがより好ましい。
前記非水電解液は、通常、液状のまま用いるが、ポリマーなどでゲル化したゲル状のもの(ゲル状電解質)を用いてもよい。
シート状リチウム一次電池において、正極と負極とは、セパレータを介しつつ重ねて形成した電極体(積層電極体)として、外装体内に収容される。
図4および図5に、本発明のシート状リチウム一次電池の一例を模式的に表す図面を示す。図4はシート状リチウム一次電池の平面図であり、図5は図4のI−I線断面図である。
シート状リチウム一次電池1は、2枚のラミネートフィルムで構成した外装体2内に、電極体100と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、外装体2は、その外周部において、上下のラミネートフィルム(その熱溶着性樹脂層)を熱溶着することにより封止されている。なお、図5では、図面が煩雑になることを避けるために、外装体2を構成している各層や、電極体を構成している正極、負極およびセパレータを区別して示していない。
電極体100の有する正極は、電池1内で正極外部端子3と接続しており、また、図示していないが、電極体100の有する負極も、電池1内で負極外部端子4と接続している。そして、正極外部端子3および負極外部端子4は、外部の機器などと接続可能なように、片端側が外装体2の外側に引き出されている。すなわち、正極外部端子3および負極外部端子4は、外装体2の封止部において固定された状態で、外装体2の外側に引き出されている。
正極外部端子は、正極集電体のタブ部によって構成してもよく、正極集電体のタブ部に金属板や金属線などを溶接するなどして設けてもよい。また、負極外部端子も、負極集電体のタブ部によって構成してもよく、負極集電体のタブ部に金属板や金属線などを溶接するなどして設けてもよい。
シート状リチウム一次電池の外装体を構成するラミネートフィルムは、熱溶着性樹脂層を有している。外装体の封止は、一方(例えば正極側)のラミネートフィルムに係る熱溶着性樹脂層の端部と他方(例えば負極側)のラミネートフィルムに係る熱溶着性樹脂層の端部との熱溶着によって行う。熱溶着性樹脂層を構成する樹脂は、200℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。熱溶着性樹脂を構成する200℃以下で溶融する樹脂は、融点を有する場合は、JIS K 7121の規定に準じて測定される融解温度が200℃以下の樹脂であり、融点を有しない場合は、JIS K 7121の規定に準じて測定されるガラス転移温度が200℃以下の樹脂である。前記樹脂の具体例としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱溶着性樹脂層の厚みは20〜100μmであることが好ましい。
ラミネートフィルムにおいては、通常、基材となる樹脂フィルムが、熱溶着性樹脂層に積層されている。このような樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。基材となる樹脂フィルムの厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
また、ラミネートフィルムにおける基材となる樹脂フィルムの、熱溶着性樹脂層側の面と反対の面には、金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)の蒸着膜やアルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔)などにより構成することができる。金属層の厚みが10〜150μmであることが好ましい。
また、ラミネートフィルムは、熱溶着性樹脂層と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
さらに、外装体を構成するラミネートフィルムは、熱溶着性樹脂層や、基材となる前記樹脂フィルムに、水蒸気の透過を防ぐための、水蒸気バリア層を積層したものであってもよい。
水蒸気バリア層は、電気絶縁性の酸化物によって構成できる。水蒸気バリア層を構成する酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの無機酸化物が挙げられる。なお、酸化ケイ素で構成される層は、酸化アルミニウムで構成される層に比べて、電池内の電解液中の水分の透過を抑制する機能が高い傾向にある。よって、水蒸気バリア層は、酸化ケイ素で構成された層であることがより好ましい。
水蒸気バリア層は、例えば蒸着法によって熱溶着性樹脂層や基材となる樹脂フィルムの表面に形成することができる。水蒸気バリア層の厚みは、10〜300nmであることが好ましい。
水蒸気バリア層を有するラミネートフィルムの場合、水蒸気バリア層を保護するための保護層を、酸化物層の表面(基材となる樹脂フィルムや熱溶着性樹脂層とは反対側の面)に形成してもよい。
水蒸気バリア層を有する樹脂フィルムは、例えば、バリアフィルムなどの名称で医療医薬用、電子デバイス用、食品用などの用途で市販されている積層フィルムを用いることができる。
市販の積層フィルムとしては、凸版印刷社製「GL FILM」および「PRIME BARRIER」(いずれも商品名)、三井化学東セロ社製「マックスバリア」および「TL」(いずれも商品名)、三菱ケミカル社製「テックバリア」(商品名)、大日本印刷社製「IB−Film」(商品名)、東洋紡社製「エコシアール」(商品名)などを例示することができる。
外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形の外装体の場合、正極外部端子および負極外部端子は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
また、大きなサイズのラミネートフィルムを、電極体を挟み込むように折り曲げ、電極体の上下のラミネートフィルムの、折り曲げた部分以外の外周部分同士を熱融着することで、外装体を構成することもできる。
本発明のシート状リチウム一次電池は、厚みを1.5〜5mmと薄くすることができ、高エネルギー密度の電池とすることが可能である。
本発明のシート状リチウム一次電池は、従来から知られているリチウム一次電池と同様の用途に適用可能であるが、特に筒形や扁平形などの金属容器を使用した電池が、その形状上の問題で適用し難い用途にも、好ましく適用することができる。また、特にシート状電池の一般的な特徴として、薄型の形態とすることが容易であることから、本発明のシート状リチウム一次電池は、薄型の電気機器などの電源用途として有用である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
(正極の作製)
まず、以下の手順で、正極合剤(質量比で、固形分:水分=100:30のもの)を調製した。BET比表面積が600m/gのカーボンブラック:3質量%と二酸化マンガン:92質量%とを、プラネタリーミキサーを用いて乾式で5分間混合した後、水を固形分の20%(質量比)となるように添加して5分間混合した。PTFEディスパージョンを、固形分が、正極合剤の固形分で5%(質量比)に当たる量だけ用意し、これを残りの水で希釈して、前記の混合物に添加し、5分間混合して正極合剤を得た。
前記の正極合剤を、直径:250mmの2本ロールを用い、ロール温度を125±5℃に調整し、プレス圧:7トン/cm、ロール間隔:0.4mm、回転速度:10rpmの条件で、ロール圧延してシート化した。ロールを通過した正極合剤(予備シート)を105±5℃で残水分が2%以下になるまで乾燥した。次いで乾燥後の予備シートを粉砕機を用いて粉砕した。この際、前記予備シートが、元の見かけ体積の2倍以上になるまで粉砕した。粉砕後の粒子径は、大部分が1mm以下であり、バインダとして添加したPTFEも1mm以下の長さの繊維状に切断されていた。粉砕後の材料について、再度ロールによるシート化を行った。ロールの間隔は0.6±0.05mmに調整し、ロール温度:125±10℃、プレス圧:7トン/cm、回転速度:10rpmの条件でシート化して正極合剤シートを得た。得られた正極合剤シートは、厚みが0.65mmであった。また、正極合剤シートの密度は2.5g/cmであり、空隙率は42%であった。この正極合剤シートを切断して、幅(図2中aの長さ):26mm、長さ(図2中bの長さ):65mmの正極合剤シートを2枚得た。
正極集電体には、厚みが0.1mmのステンレス鋼(SUS304)製の網を用いた。この網を、幅(図2中cの長さ):23.5mm、長さ(図2中dの長さ):60mmの矩形の本体部と、幅(図2中eの長さ):10mm、長さ(図2中fの長さ):5mmのタブ部とを有する形状に切断した。さらに、この網に、カーボンペーストを、網の目をつぶさない程度に塗布した後、105±5℃の温度で乾燥して正極集電体とした。なお、カーボンペーストの塗布量は、乾燥後の塗布量で5mg/cmとなるようにした。
次に、前記2枚の正極合剤シートの間に正極集電体を挟み、図2中下側の周縁部(端部およびその近傍)のみで各正極合剤シートと正極集電体とを接合して三者を一体化し、正極を得た。なお、前記三者の一体化の際には、正極集電体における図2中左右の2辺の端部を、2枚の正極合剤シートの図2中左右の2辺の端部よりもそれぞれ1.25mm内側とし、正極集電体における図2中上下(長手方向)の2辺の端部を、2枚の正極合剤シートの図2中上下(長手方向)の2辺の端部よりもそれぞれ2.5mm内側とした。また、正極合剤シート接合部11aの幅は5mmとした。
(負極の作製)
厚みが0.27mmの金属リチウム箔を、幅:25.5mm、長さ:130mmに切断した。負極集電体には、厚みが10μmの銅箔を、幅:26.5mm、長さ:130mmの本体部と、幅:10mm、長さ:3mmのタブ部とを有する形状に切断して用いた。前記金属リチウム箔を、前記銅箔の本体部の幅方向の中央部に配置して貼り付けて、金属リチウムからなる負極剤層を負極集電体の片面に有する負極を得た。
(電極体の作製)
セパレータに、幅:31mm、長さ:138mm、厚み:16μmの微孔性ポリエチレンフィルムと、幅:31mm、長さ:138mm、厚み:40μmのポリエチレン製不織布とを重ねて使用し、これを、前記正極を両面から挟むように折り返して配置した。そして、前記負極を、折り返して正極を挟んだセパレータの外側を挟むように折り返して配置して、図1に示すような断面構造の電極体を形成した。前記電極体の正極のタブ部および負極のタブ部には、それぞれ、幅:6mm、長さ11mm、厚み:0.1mmのニッケル製の外部端子(正極外部端子および負極外部端子)を溶接した。
(シート状リチウム一次電池の組み立て)
厚み:0.085mm、幅:37mm、長さ:156mmの、熱溶着性樹脂層を有するアルミニウムラミネートフィルムを、前記電極体を挟むように折り返し、電極体の上下のアルミニウムラミネートフィルムの2辺を熱溶着した。そして、両アルミニウムラミネートフィルムの残りの1辺から非水電解液(エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメトキシエタンとの体積比15:25:60の混合溶媒に、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.45mol/Lの濃度で溶解させた溶液)を注入した。その後、両アルミニウムラミネートフィルムの内部を減圧しながら、開口部を熱封止することによって外装体の仮封止を行って仮組立体を得た。
次に、仮組立体について、電池の設計容量(予備放電前の容量)の2%相当の容量を予備放電させ、その後に60℃で12時間貯蔵した。貯蔵後の仮組立体を、その溶着部の一部を切り取って開封し、内部を減圧してガスを除去した後、外装体を、再度内部を減圧しながら熱封止して、図4に示す外観で、外装体の折り畳み部分の構成を除いて図5に示す断面構造と同様の構造のシート状リチウム一次電池を得た。
実施例2
予備放電時の放電容量を、電池の設計容量の4%にした以外は、実施例1と同様にしてシート状リチウム一次電池を作製した。
実施例3
予備放電時の放電容量を、電池の設計容量の8%にした以外は、実施例1と同様にしてシート状リチウム一次電池を作製した。
実施例4
予備放電後の貯蔵時の条件を、60℃・24時間にした以外は、実施例1と同様にしてシート状リチウム一次電池を作製した。
比較例1
予備放電後の貯蔵を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてシート状リチウム一次電池を作製した。
比較例2
予備放電を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてシート状リチウム一次電池を作製した。
実施例および比較例のシート状リチウム一次電池を、70℃・相対湿度90%の環境下で30日間貯蔵してから、以下の評価を行った。
<ガス発生量測定>
貯蔵前後の電池を流動パラフィン中で分解し、外装体内のガスを採取し、その体積変化からガスの増加量を求め、電池の内容積(貯蔵前の内容積)に対する割合を算出した。
<容量低下率>
正極の設計容量をC(mAh)とした場合に、1/500C(mA)となる電流値で貯蔵前後の電池をそれぞれ放電させ、電池電圧が2Vに低下するまでの放電容量を測定して、以下の式により、容量低下率を求めた。
容量低下率(%)
= 100 ×(貯蔵前放電容量−貯蔵後放電容量) ÷ 貯蔵前放電容量
これらの結果を、各電池の作製時の各工程での条件と合わせて表1に示す。
Figure 2021158093
表1に示す通り、仮組立体での予備放電工程、貯蔵工程およびガス抜き工程を経て作製された実施例1〜4のシート状リチウム一次電池は、貯蔵後における容量減少が小さく、また、貯蔵後の内部でのガス発生も抑えられており、優れた貯蔵特性を有していた。
これに対し、比較例1の電池は、予備放電工程後に貯蔵工程を経ずに作製されたため、電池の組み立て時に電池内に残存している水分量が多く、70℃での貯蔵において活物質などとの反応により多量のガスが発生した。さらに、前記反応に伴い電池の放電容量が大幅に低下した。
また、比較例2の電池は、貯蔵工程により電池内に残存している水分量は比較例1よりも少なくなったものの、予備放電工程を経ずに作製されたため、残存している水分が分解されてガスが多く発生し、また前記反応に伴い電池の放電容量が大幅に低下した。
1 シート状リチウム一次電池
2 外装体
3 正極外部端子
4 負極外部端子
10 正極
11 正極合剤層(正極合剤シート)
12 正極集電体
12a 正極集電体の本体部
12b 正極集電体のタブ部
20 負極
21 負極活物質層
22 負極集電体
30 セパレータ
100 電極体

Claims (9)

  1. 熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液を収容してなるシート状リチウム一次電池であって、
    70℃かつ相対湿度90%の雰囲気下で30日間貯蔵した際に電池内で増加するガスの体積が、貯蔵前の電池の内容積の20%以下であることを特徴とするシート状リチウム一次電池。
  2. 前記正極は、正極活物質として二酸化マンガンを含む請求項1に記載のシート状リチウム一次電池。
  3. 前記正極が含む正極活物質が、予め電池の全放電容量の1〜10%に相当するリチウムを含有している請求項1または2に記載のシート状リチウム一次電池。
  4. 前記ラミネートフィルムが、水蒸気バリア層を有する請求項1〜3のいずれかに記載のシート状リチウム一次電池。
  5. 熱溶着性樹脂層を有するラミネートフィルムで構成された外装体内に、リチウムまたはリチウム合金を含む負極、正極、セパレータおよび非水電解液よりなる発電要素を収容してなるシート状リチウム一次電池を製造する方法であって、
    前記外装体内に前記発電要素を封入し、仮組立体を作製する仮封止工程と、
    前記仮組立体が有する容量の一部を放電させる予備放電工程と、
    前記仮組立体を加温状態で保持する貯蔵工程と、
    前記予備放電工程および前記貯蔵工程の後で外装体の一部を開封し、内部のガスを除去するガス抜き工程と、
    前記ガス抜き工程の後で外装体を封止する本封止工程とを有することを特徴とするシート状リチウム一次電池の製造方法。
  6. 前記予備放電工程における放電電気量を、前記仮組立体が有する容量の1〜10%とする請求項5に記載のシート状リチウム一次電池の製造方法。
  7. 前記貯蔵工程において、前記仮組立体を40〜80℃で保持する請求項5または6に記載のシート状リチウム一次電池の製造方法。
  8. 前記正極の正極活物質として二酸化マンガンを用いる請求項5〜7のいずれかに記載のシート状リチウム一次電池の製造方法。
  9. 前記ラミネートフィルムが、水蒸気バリア層を有する請求項5〜8のいずれかに記載のシート状リチウム一次電池の製造方法。
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